イーロン・マスクは信長のように高転びすると予測されていた宮崎さんがテスラの危機を取り上げてくれています。
それにしてもEVの前途は厳しそうです。テスラはどうなるのでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)5月31日(水曜日)弐 通巻第7775号
テスラは「人質」である。テスラの総売上高の21%は中国である。
イーロン・マスクが突如、北京へプライベートジェットで乗り付けた
イーロン・マスクが5月30日に突如、北京へプライベートジェットで乗り付け、秦剛外相と会談した。
マスク所有のジェット機は「2015 ガルフストリーム G650ER」で、アラスカで給油後、日本、韓国上空を飛行したことがロイターの追跡で判明しており、当初の予測ではマスクは北京で李強首相と面会する予定と言われた。
中国外務省によれば、会談で、「テスラはデカップリングや供給網の分断に反対し、中国での業務拡大を続けていく」と話したという。
「米中対立のさなかだが、テスラは中国重視の姿勢をアピールしたい。世界第2位の経済大国(=中国)がさらなる市場開放に向けて努力し、海外投資に対する魅力を高めている状況にあることを世界的に宣伝できる機会ともなった」と関係者は言う。
蛇足だが中国の報道では「秦国務委員兼外相がマスク(世界一の金持ち。資産2000億ドル)と会見」となっており、報道の重点の置き方が、順番と資産にあることを物語っている。
秦剛外相は「テスラを含む諸外国企業に中国が市場志向、法的、国際的なビジネス環境の構築に尽力する。中国の発展は世界にとってチャンスだ。健全で安定した建設的な中米関係は、中国と米国だけでなく世界全体にとっても有益だ」と綺麗ごとを述べた。
中国に大工場をかかえ年間45万台を上海工場で生産するテスラは、換言すれば「人質」である。なにしろテスラの総売上高の21%は中国である。
イーロン・マスク訪中の直前にもスターバックスのCEO、ラクスマン・ナラシンハンが、アップルCEOのティム・クック、ファィザーCEOのアルバート・ボウラらが訪中した。
スタバは中国全土に展開しているが、価格は日本より高いのに若い世代に人気がある。
アップルのスマホは中国で組み立てられており、またファイザーの中国における売り上げも巨大である。
▲マスクはトランプ支持からデサンティスに乗り換えたのか?
問題はイーロン・マスクの政治的立ち位置だろう。
政治的にはトランプを支援し、巨費を投じてツィッターを買収して、「永久凍結」されたトランプのアカウントを再開する。マスクは共和党支持である。
ところが一方で、次期大統領選挙ではトランプに挑戦するデサンティスを熱心に支援している。
マスクの政治行動で気になるのは台湾統一に関して「台湾を特別行政区として統一すれば良い」と中国側に吹き込まれてことを直截に表現していることだ。
バランス感覚から言えばテスラの市場は中国であって台湾ではない。したがって台湾独立には距離をおいているか、無関心である。
したがってマスクがのこのこと北京へ詣でたことは中国の政治宣伝の鴨だったことにならないか。
マスクがChinaという弱点を持っていることは大問題ですね。この分ではChinaとの共倒れになりそうです。
やはり、Chinaに進出したことが大失敗なのじゃないでしょうか。さて、マスクは高転びするのでしょうか。