米中の半導体戦争がいよいよ本格的になってきたようです。アメリカが日本の半導体産業を壊滅させたやり方をChinaに対してやりだしたようです。
日本に対する悪賢さを発揮して貰いたいものです。何とも嫌なやり口ですが、それをChinaにもやって貰いましょう。
宮崎さんが詳しく取り上げてくれています。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)6月8日(木曜日)
通巻第7785号 <前日発行>
中国「超限戦」の半導体戦略とはTSMCをそのままあんぐり飲み込む
米国の戦略家は別レベルのシナリオを用意している
台湾統一を呼号する中国共産党はあたかも祖国統一が歴史的使命感のような強迫観念に基づいていると考えがちである。
それは宣伝洗脳の結果だが、一般の中国人にとっては迷惑な話だし、中国に進出した台湾企業がごっそりと撤退し、在中だった台湾人も30万人がすでに引き上げている。
中国が軍事行動を起こしてTSMCをそっくり頂くという野望は台湾人実業家を含めた国際会議の場で中国人学者が公然と言い放ったことである。出席してい た台湾人パネラーはうすうす感じていたとはいえ、こうも公然と言い放たれると、撤退どころか、台湾からもアメリカと日本への工場移転を深刻に考えるだろ う。
日米欧による制裁で、高度な半導体、半導体製造装置から閉め出された中国は国内メーカーを育成し自製を目指すとするが、補助金にたかって食いつぶし、すでに数千社が倒産もしくは廃業した。
悪質なのは中国政府が推奨し、補助金がでると判って、我も我もと半導体製造企業をつくる、エンジニアを世界中あつめたと豪語して資金を集めドロンしたのもいる。CATLを例外として、ほとんどがうまくいっていない。
くわえてUATLの半導体は二世代遅れ、電化製品の部品ていどのレベルである。ちなみに日本は半導体材料で世界の56%、製造装置で32%とダントツなのである。
米国は中国を半導体のサプライチェーンから外す戦略を決めたものの、半導体メーカーからすれば巨大なマーケットを持つ中国を無視する訳にはいかない。半 導体の基本設計は英国アーム社とアメリカ、製造技術のトップは台湾のTSMC、メモリーは韓国サムスン。日本、オランダは半導体ウエハー及び半導体の表面 洗浄技術に分化して来た。
そこで台湾に侵攻しTSMCを製造設備とエンジニアごと丸呑みすると中国が考えるのは戦略として当然だろうし、クリス・ミラーの『半導体戦争』でもその可能性を述べている。
ところがアメリカ軍人の戦略家の間では「台湾有事となればTSMC工場を爆破・破壊する」という非公開のシナリオが存在することは一部のチャイナ ウォッッチャーのあいだでしか知られていない。(詳しくは拙著『国際金融危機! 米中メルトダウンの結末』(ビジネス社)を参照されたし。
https://www.amazon.co.jp/dp/4828425314
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)6月5日(月曜日) 通巻第7781号
ファーウェイ禁止で西側は1000億ドルを無駄にした
欧米の中国制裁で一番得をしたのは日本だと中国系メディア
「欧米が中国のファーウェイやZTEを制裁したため、一番得をしたのは日本だ」(アジアタイムズ、5月26日)
同紙は6月3日付けでも、下記のような論評を掲げた。
「西側は5G機材や設備においてファーウェイ、ZTEを排撃したことにより最終的には1000億ドルを損失した」
意味は米国、英国が軍、公務員、政府職員下請け、警察にいたるまでスマホで、ファーウェイ使用を禁止し、もっと高い機材に切り替えた費用。さらに基地局の設備更新によるとするが数字データの出所は曖昧である。同紙はオックスフォード系列の研究機関の調査としている。
2019年から事実上の中国製排除はトランプ政権下の米国で開始され、英国が追随、「ファイヴ・アイズ」の豪、NZ、ニュージーランドも追随姿勢を見 せ、EU諸国も渋々としたがった。しかしドイツなどでは設備の入れ替えは大変なカネがかかると消極的だった。英国だけでも68億ポンド、ドイツ一国でも 60億ドルの費用が必要とされた。
EU内では「ガスをロシアに依存することは国家安全保障上の危険が大きい」として、スマホや基地局の中国企業への依存は危険とする。
ところが、5Gのネットワークで中国製に依存している国々はオランダが72%、オーストリアが62%、ドイツ58%、ハンガリー55%となっており、一番低いのがフランスの26%だ。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)6月8日(木曜日)弐
通巻第7786号
中国包囲網から抜け駆けのフランス、つづいてスイスも
EU企業の23%が中国に留まり続ける(EU本部の調査)
マクロン仏大統領は米国主導の中国政策から距離を置く立ち位置を鮮明にした。
EU内に亀裂が入った。NATOもトルコとスウェーデンの対立が鮮明化し、中国への態度では一枚岩ではない。
しかし、次の話は本当なのか?
EU域内で第二位の半導体メーカー「STマイクロエレクトロニクス」社(本社スイス)が中国のLED大手「三安光電」(SANNA OPTELECTONICS)と提携し、重慶に半導体製造の新工場を建設し、32億ドルを投じるという。
新工場の完成は2025年第四四半期を予定し、ますます需要の高まるEVへ200ミリの半導体を提供するという。
STマイクロの社内ニュースに依れば、契約を正式に済ませた(6月7日)と発表されている。同社は日本にも支社がある。
一方、福建省厦門に本社のある三安光電の株価が、この発表直後から劇的な下落をはじめ、2015年以来の安値を記録したのである。「???」。
サウスチャイナモーニングポストなどに依れば関連企業の社債デフォルトが響いたという。
EU本部の外交委員会の調査では、域内11ヶ国の主要企業を対象としたアンケートで、23%のEU企業は米中対立にも拘わらず、中国の留まるとしていることが判った。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)6月9日(金曜日) 通巻第7787号
嘗て日米半導体協定でアメリカは日本から強引に競争力を奪った
今度は中国に対して同じ措置。そのために日本にテコ入れするのだ
嘗て日米半導体協定でアメリカは日本から強引に半導体競争力を奪い、日本の頭越しに台湾と韓国へ先端技術を移した。今度は理由が安全保障とはいえ、同様な措置を中国に対してなした。
そのために日本にテコ入れするのだから、歴史のサイクルは皮肉。
日本政府は米国の圧力によって、半導体製造装置23品目を輸出貿易管理対象とし、7月23日から施行する
経済産業省は省令改正理由を「国際的な安全保障環境が厳しさを増し、軍事転用の防止を目的として、ワッセナーアレンジメントを補完するとともに、半導体 製造装置に関する関係国の最新の輸出管理動向なども総合的に勘案し、特定の貨物及び技術を輸出管理の対象に追加する」とした。
追加項目は洗浄(3品目)、デポジション(成膜、11品目)、アニーリング(熱処理、1品目)、リソグラフィー(露光、4品目)、エッチング(科学的除去、3品目)、検査(1品目)となる。必要な技術(プログラムを含む)も輸出管理の対象となる。
これらを輸出もしくは移転するには、経済産業大臣の許可を受ける。例外は米国やオランダなど「輸出管理を厳格に実施している国」への輸出について個別の認可は不要。つまり中国やロシアなど42ヶ国が規制の対象である。
6月7日、日本政府は「特許非公開」の25分野をまとめた。2024年春から運用開始予定で、対象となる技術は「国家および国民の安全を損なう事態を生ずる恐れが大きい発明」と抽象的に表現された。
具体的にはステルス航空機などの擬装、隠蔽技術やサイバー攻撃回避設備、インフラの運行管理システムなど敵の攻撃に脆弱な分野が特定されている。現在のハッカー戦争、SNSにおける技術の争奪戦争を背景に適宜対応したことがわかる。
中国はこれにより大きな打撃をうけることになり、怒りの声名を出している。
一方でマイクロンの半導体などは輸入不要という措置を講じた。マイクロンの半導体は汎用品が多く、DRAM、フラッシュメモリーなど。IDMでは半導体売り上げで世界四位。東芝メモリーの部門を買収したことでも知られる。
注目をあつめていたのはエヌビデアの出方だった。
NVIDIAはゲーム向けやテスラのAIに組み込む半導体を製造する米国企業だが、創業者は台湾人の黄仁勲(ジェンスン・ホアン)という。トレードマークは革ジャン。60歳、台湾生まれでスタンフォードに学び、カリフォルニア州で起業した。
▼NVIDIA vs アーム、そして孫正義
台湾にあってもTSMC並みに有名だが、孫正義が、このNVIDIAに英アームを売却しようとしたところ、中国の反対で実現しなかった「事件」があった。孫は英国で世界一の半導体設計企業のアーム社を三兆円で買収していた。
そのアームは中国にも支社があり、定款では買収案件に中国法人の同意が必要だった。だから経緯が深く、政治的背景に、台湾人経営のアメリカ企業という要素がついて廻っていたことになる。
NVIDIAの時価総額は過去二十年間に400倍に化けた。
もし当時、先見の目があって百万円を投資した人がいたら、いま4億円のミリオネアである。同社株は、この半年だけでも108・13ドルから419・58ドルへと暴騰し、時価総額が1兆ドルを越えた。これは史上八番目、生成AIとチャットGPTの急伸に裏打ちされた。
CEOのファンは5月30日に台湾を訪問した。
これは台湾にAI研究開発センターを設立するためで、ちなみに台湾政府が67億NTドル(280億円)を支援する。他の台湾のハイテク企業も、北京の動きを横目にしながら中国へのコミットを減らすか、避けつつある。
NEX工業がChinaの現状を取り上げてくれています。
果たしてアメリカはChinaの半導体を叩き潰す事が出切るのでしょうか。と言うか、絶対にやって貰わなければなりません。