『慧可断臂図』は雪の積もる場面なのだが、雪舟作は背景が洞窟内なのでよくわからない。なので慧可は座禅中の達磨大師の聖域である洞窟内には入らずとした。雪舟の時代、これがどれだけ知られたエピソードかは判らないが、もう少し説明したく、腕を切断した剣を雪に突き立て雪上に血を滴らせたい。雪上の血といえば。 最初の出版『乱歩 夜の夢こそまこと』(絶版)で『盲獣』を制作した。盲目の殺人鬼が連続バラバラ殺人を犯す、という話だが、乱歩がそう書いているのだ、と女の切断された脚を風船で浅草寺上空を飛ばしたり、ハムの包み紙の中から切断された手首。雪の中から足が。そう思った時、既に東京に雪はなく、ネットの情報をもとに、切断された足役の女性を伴い、電車の中から線路脇の雪を探しながら、たどり着いたのが閑散とした温泉町。早速雪を求め、除雪され、積まれた道路脇の塊に足を突っ込んでもらい、ペットボトルの血糊を振り撒き撮影した。思えば馬鹿馬鹿しいことばかりである。