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安倍晋三の検察庁法改正案に賛成しよう! 但し不正疑惑渦中閣僚一人で検察人事関与不可を条件とする

2020-05-18 11:40:20 | Weblog
   検察庁法改正案を一体化させてある国家公務員法等の一部を改正する法律案が2020年3月13日閣議決定され、同日国会に上程された。検察庁法改正に関わるその主な内容と「論点」について2020年5月15日付「NHK NEWS WEB」記事「元検事総長ら 検察庁法改正案に反対の意見書提出 極めて異例」が詳しく解説しているから、それを纏めてみた。このブログ記事の最後にリンク切れに備えて、全文を参考引用しておくことにした。

🔴政治に対する検察の役割=捜査や裁判を用いた権力不正のチェック
🔴検察庁法の改正案は、内閣や法務大臣が認めれば検察幹部らの定年延長を最長3年まで可能。
🔴改正案は検察人事への政治権力介入の正当化をなす。
🔴政権側による人事権掌握、対公訴権行使制約の危険性。検察への政権の意向反映。政権による検察
 の自主・独立の侵害 
🔴定年に関わる改正案
 すべての検察官の定年を段階的に63歳から65歳へ引き上げ。
 検事正や検事長等幹部は原則63歳退官
 対幹部特例規定――内閣・法務大臣が「公務の運営に著しい支障が出る」と認めれば、個別幹部の
 役職定年、定年を最長3年まで延長可能。
 ※結果、内閣の判断で検事総長定年65歳→最長68歳まで。
     検事長役職定年63歳→最長66歳まで。
🔴問題点 内閣の判断で検察官の定年を延長する場合の判断基準が示されていない。
🔴従来からの検察官人事――検察側作成の人事案を内閣や法務大臣追認が慣例。
🔴法務省が昨2019年10月末の時点で検討していた当初の改正案では「公務の運営に著しい支障が生
 じることは考えがたい」等、個別に検察幹部の定年延長を認める規定は必要ないとしていた。20
 20年1月31日、政府は従来の法解釈を変更、東京高等検察庁の黒川検事長の定年延長を閣議決
 定。

 政治に対する検察の役割が捜査や裁判を用いた権力不正のチェックであるなら、検察官は政治的中立性を常に体現していなければならない。時の政権の意向を汲む、あるいは時の政権の鼻息を窺う(=ご機嫌を取る)、今どきの言葉で言うなら、忖度するようであったなら、政治的中立性など、吹き飛んでしまう。

 従来からの検察官人事は検察側作成の人事案を内閣や法務大臣が追認するのが慣例であったということは検察の人事は検察に任せる“検察人事・検察主導論”の体裁を取っていたことになる。つまり内閣、あるいは法務大臣は検察の主体性を重んじて、“検察人事追認機関”に過ぎなかった。

 だが、改正案で“検察人事・検察主導論”から“検察人事・内閣主導論”へと舵を切ることになる。内閣による検察人事への介入の始まりを意味する。しかも内閣が定年延長に関わる検察人事に関与する際の判断基準が用意されていない。

 判断基準がないということは内閣の判断を縛る基準がないということを意味するから、内閣の自由な判断を許すことになる。改正案によって内閣の自由な判断で検察人事に関与可能となる。当然、検察官の政治的中立性に影響を与えないではおかないことになりかねない。

 検察庁法改正案では定年延長に関して、「任命することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは」云々と続けて、それぞれ限度を設けて定年延長を認めているが、改正案のどこを読んでも、「内閣が定める事由」の説明がどこにも出ていなくて、理解不明であったが、ネットを検索して、「【全文 文字起こし】検察庁法改正 衆議院内閣委員会2020年5月15日」(犬飼淳/Jun Inukai|note)に行き当たることができ、やっと理解できた。文飾当方

 森まさこ(法相)「えー、現行国家公務員法上の勤務延長の要件は改正法によっても緩められておりません。また役職定年制の特例の要件も勤務延長と同様の要件が定められております。

 これらの具体的な要件は人事院規則において適切に定められるものと承知してます。改正法上の検察官の勤務延長を・・、や役割特例が認められる要件についても職務遂行上の特別の事情を勘案して当該職員の退職により公務の運営に著しい支障が生じると認められる事由として、内閣が定める事由などと規定しておりまして、改正国家公務員法と比較しても緩められておりません。

 かつ、これらの要件をより具体的に定める、内閣が定める事由等についてでございますが、これは新たに定められる人事院規則の規定に準じて定めます。

 このように改正法に検察官の勤務延長や役割特例が認められる要件を定めた上で新たな人事院規則に準じて内閣が定める事由でより具体的に定めることとしておりますが、現時点で人事院規則が定められておりませんので、えー、その内容を具体的に、いー、すべて示すことは困難であります」――
 
 「内閣が定める事由」は「人事院規則の規定に準じて定める」が、「現時点で人事院規則が定められておりません」

 検察庁法改正箇所をいくら読んでも、「内閣が定める事由」に行き当たらないことが分かったが、法律として未だ確定していない箇所がありながら、その不完全な法案を通そうとしている。

 日本の刑事訴訟法248条は、検察官は、〈犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。〉とある。いわば、起訴便宜主義を採用している。

 さらに検察庁法第4条は、〈検察官は、刑事(「刑法の適用を受け、それによって処理される事柄」のこと)について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、且つ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益(「社会一般の利益。公共の利益」のこと)の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。〉とある。

 「法の正当な適用」、「公益の代表者」、この言葉自体が既に検察官の全てに亘っての中立性を規定している。

 検察官が時の政権から何らかの力を受けて、あるいは何らかの影響を受けて政治的中立性を失い、政権の犯罪に対して起訴便宜主義に走らないよう、検察官は時の政権と政治的心情に於いて共通点があろうとも、相手の政治的立場に対して常に、常に距離を置いていなければならない。

 それが政治的中立性ということであり、それを失ったなら、検察の役割である政治権力不正のチェックができなくなる。

 当然、政権側も検察及び検察官が自らの政治的中立性を守ることができるように法律で担保しなければならないことなる。その法律がかつては検察庁法であった。上記NHK NEWS WEB記事を見る限り、検察庁法改正案を一体化させている国家公務員法等の一部を改正する法律案が検察及び検察官の政治的中立性を担保することになる法律案には見えない。

 では、安倍晋三の検察庁法改正部分に関する国会答弁や記者会見発言等見てみる。

 2020年5月12日 衆議院本会議

 中島克仁(国民民主党)「最後に検察庁法改正案についてお尋ねします。現在内閣委員会では検察官の定年引き上げを含む国家公務員法等改正案が審議されていますが、国民が強い疑念を抱いている中、ましてや新型コロナウイルス感染症で国民が不自由な生活を強いられている中で強行的に審議を進めるということは絶対あってはならないことであります。

 総理にお尋ね致しますが、今回の法改正の動機としてこれまでの『森・加計・桜』など、自らの疑惑を検察に追及されたくないという気持があるのではないのですか。総理には今回の法案から検察官の定年延長及び役職定年の特例を削除することを強く求めます。総理の見解をお尋ねして私の質問は終わります」
 安倍晋三「検察官の定年引き上げを含む国家公務員法等改正案についてお尋ねがありました。なお大前提として検察官も一般職の国家公務員であり、検察庁法を所管する法務省に於いて一般法たる国家公務員法の勤務延長に関する規定は検察官にも適用されると解釈されるところでであります。
 その上で、今般の国家公務員法等の改正案の趣旨・目的は高齢期の職員の豊富な知識・経験等を最大限に活用する点などにあるところ、検察庁法案の改正部分の趣旨・目的もこれと同じであり、一つの法案として束ねた上でご審議頂くことが適切であると承知をしております。

 今般の法改正に於いては検察官の勤務延長に当たっての要件となる事由を事前に明確化することとしており、自らの疑惑隠しのために改正を行おうとしているといったご指摘は全く当たりません。

 なお、法案審議のスケジュール等については国会でお決め頂くことであり、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います」

 そもそもからして「検察官も一般職の国家公務員」であり、「一般法たる国家公務員法の勤務延長に関する規定は検察官にも適用されると解釈される」との文言で検察官と一般職の国家公務員を同列に置くこと自体がトンデモない心得違いをしていることになる。
 一般職の国家公務員も政治的中立性を求められているが、検察官が裁判を通して政治権力不正チェックの任を与っている点、一般職国家公務員の政治的中立性の比ではない。元々、性格が異なる政治的中立性への要求と見なければならない。

 だからこそ、検察官を一般職の国家公務員と同列に置かずに国家公務員法と検察庁法を別建てとした。それを安倍晋三は「一つの法案として束ねた上でご審議頂く」と同列に置いて、かつてので“検察人事・検察主導論”から“検察人事・内閣主導論”へと持っていこうとしている。トンデモない心得違いを侵そうとしている。  

 このことは検察の政治的中立性を一般職の国家公務員の政治的中立性に近づけることになりかねない。

 「改正案の趣旨・目的」を「高齢期の職員の豊富な知識・経験等を最大限に活用する点などにある」と聞こえはいいが、内閣が検察の人事を握ることで検察官の政治的中立性を損なうか、少なくとも影響を受けて、「公益の代表者」たる資格を些かなりともか、大分か、あるいは完全に失うマイナスと比較した場合、「豊富な知識・経験等の最大限の活用」は意味を失う。

 つまり、「豊富な知識・経験等の最大限の活用」よりも、検察官の政治的中立性を重要視しなければならない。重要視するためには内閣が検察官人事に関与しないことが何よりの早道となる。

 だが、安倍晋三が検察官の政治的中立性よりも検察官の「豊富な知識・経験等の最大限の活用」を重要視していることは検察庁法改正案は検察庁法とは逆の方向を目指していることになる。

 「今般の法改正に於いては検察官の勤務延長に当たっての要件となる事由を事前に明確化することとしており、自らの疑惑隠しのために改正を行おうとしているといったご指摘は全く当たりません」
 
「事由」は改正案そのものには「明確化」されていない。そしていくら後付で明確化しようとも、内閣が検察の人事を握る“検察人事・内閣主導”の体制に持っていく以上、検察官の政治的中立性に影響を与えない保証はない。

 安倍晋三は「自らの疑惑隠しのために改正を行おうとしているといったご指摘は全く当たりません」と言っているが、「森友・加計・桜を見る会に関わる不正疑惑の指摘は全く当たりません」とは言っていない。

 つまり疑惑を事実と見て、それを隠すための法改正ではないと断わっている。でなければ、「私に掛けられている疑惑は全て事実無根で、それを隠すための法改正など必要のないことで、改正はあくまでも高齢期の検察職員の豊富な知識・経験等を最大限に活用する点などにあります」と答弁するはずである。

 「asahi.com」記事に誘導されて知ることになったのだが、森友学園の安倍晋三に掛けられた忖度疑惑が事実なのは、「森友学園案件に係る不動産鑑定等に関する調査報告書(概要版)」(大阪府不動産鑑定士協会/2020年5月14日)の次のような記事内容が証明することになる。

 〈本件の各鑑定評価書等に共通するのは、 何れも意図的とは断定できないが、依頼者側の意向に沿うかたちで鑑定評価書等が作成され、結果として各成果品が依頼者に都合良く利用され、あるいは利用される恐れがあったという現実である。

 それは、とりもなおさず、国有財産の賃貸、処分の場面においては国民の利益に反し、大阪府私立学校審議会への提出の場面においては、私立学校の経営に必要な財産の価格の把握を誤らせることになり、不動産鑑定評価制度に対する国民・府民からの信頼を毀損する結果に繋がるものと言わざるを得ない。不動産鑑定士が作成する鑑定評価書等は、眼前の依頼者や利用者を満足させるだけではなく、社会からも合理的であるとの評価を受けるものでなければならない。

 当然のことながら、不動産鑑定士が意図的に依頼者に迎合し、不当な鑑定評価等を行うことは論外である。しかし、本件では、不動産鑑定士に悪意がないとしても、悪意ある依頼者又は不動産鑑定制度の趣旨や価格等調査業務を正確に理解せず、あるいは十分に理解しない依頼者が不動産鑑定士の作成した成果品の都合のよい部分のみを利用しようとすることに対し、不動産鑑定士があまりにも無防備または慎重さを欠いていることが明らかになった。

 今回の国有地売却を巡って表面化した不動産鑑定上の問題に関しては、個々の不動産鑑定士の問題あるいは近畿財務局や森友学園という依頼者側の特異性に起因すると捉えるのではなく、不動産鑑定士が社会から求められている専門性や責務について改めて問い直し、鑑定評価制度の土台となる社会的信頼を維持・ 向上させる契機として活かしていくべきと考える。そのような観点から、今般の調査において、当委員会が検討した今後の方策または検討課題を次のとおり提言する。〉――

 〈会計検査院報告書81ページによれば、B不動産鑑定士は、依頼者が提示した地下埋設物撤去・処分概算額には依頼者側の推測に基づくものが含まれ、調査方法が不動産鑑定評価においては不適当であったことなどから、「他の専門家が行った調査結果等」としては活用できなかったという。つまり、不動産鑑定士から見て上記概算額は信用性に欠けるということである。

 そうであったなら、依頼者の要望により意見価額を記載するとしても、専門家である不動産鑑定士が作成する鑑定評価書の信頼性を確保するため、地下埋設物撤去・処分概算額は依頼者が提示したものであるとするだけではなく、不動産鑑定士として認識した内容(信用性に欠ける部分がある旨)も明記すべきであったと考えられる。〉――

 森友学園理事長籠池泰典は国有地を格安で財務省から買い受けるために安倍昭恵の総理大臣夫人の肩書を利用し、財務省は安倍昭恵の背後にいる首相たる安倍晋三を忖度して、不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を鑑定依頼者たる財務省が提示した「推測に基づく」地下埋設物撤去・処分概算額約8億1900万円を差し引いて、約1億3400万円で売却を受けることになった。

 安倍晋三が「30年来の腹心の友」と言って憚らない加計学園理事長加計孝太郎と安倍晋三が首相官邸で2015年2月25日に15分程度の面談を行い、獣医学部新設について話し合ったことが愛媛県文書の1枚に書いてある事実を安倍晋三はマスコミが伝えている「首相動静」を用いて、「どこにも記載されていない。面談の事実はない」と否定、加計学園獣医学部認可自体への自身の政治的便宜付与の疑惑そのものを否定しているが、首相官邸正面エントランスホールで待ち構えている記者の前を通り抜けずに首相執務室に行く通路があって、そこを通った場合はマスコミの「首相動静」に記載されないということを幾つかのマスコミが伝えている。

 それを知らないはずのない安倍晋三が全ての面会者を把握できるわけではない「首相動静」に加計孝太郎との面会の記載がないことを利用して加計学園獣医学部認可自体への自身の政治的便宜付与の疑惑を否定することは疑惑の事実を自らが証明していることになる。

 このように首相である安倍晋三自身が不正疑惑の渦中にある。もし改正案が国会を通過すれば、検察官の人事を内閣が主導することになり、安倍晋三が在任中は数々の不正疑惑の渦中にあるにも関わらず、必要に応じて検察官人事に手を付けることも可能となる。

 その必要に応じてが「疑惑隠し」どころではなく、検察官の政治的中立性を蔑ろにする「疑惑潰し」に利用されない保証はない。

 検察庁法改正を含めた国家公務員法等改正案に賛成するなら、閣僚が一人でも不正疑惑の渦中にある場合は、ましてや閣僚のトップたる首相がそのような状況に置かれているとしたら、なおさらのこと、検察の人事に関与することを不可とする条件を付けなければならない。

 安倍晋三は5月15日夜、ジャーナリストの桜井よしこのインターネット番組に出演、東京高検検事長の黒川弘務の定年延長を閣議決定したのは、黒川弘務が安倍政権に近いからだとの見方を否定して、「私自身、黒川氏と2人で会ったことはないし、個人的な話をしたことも全くない。大変驚いている」と話したと2020年5月15日付「東京新聞」が伝えているが、例え会ったことがなくても、個人的な話をしたことがなくても、第三者を通した忠誠心の間接的確立は不可能ではない。その第一歩が黒川弘務の定年延長の閣議決定ということもあり得る。

 閣議決定に対して大いに感激して涙あられ、安倍晋三センセイの方に足を向けて寝ることはできない、命に代えてでもお守りするといった決意はマンガの世界だけのことではないはずだ。

 検察官の政治的中立性を第一義としなければならない。第一義とするためには検察官人事から閣僚や国会議員を距離を置くように仕向けなければならない。検察官が従来どおりに定年を迎えることになったとしても、その「豊富な知識・経験」は後に続く検察官が前々から引き継ぎ、少しずつ積み重ねていき、超えていかなければならない「知識・経験」であって、後輩検察官が少なくとも遜色のない「知識・経験」にまで到達できなかったなら、先輩検察官は後輩を育てなかったという謗りを受ける。後輩を満足に育てることができなかった「豊富な知識・経験」は定年延長で居残ったとしても、大した財産とはならない。

 要するに検察人事における第一要件はあくまでも検察官の政治的中立性であって、「高齢期の職員の豊富な知識・経験等の最大限の活用」ではないということである。

 新型コロナウイルス緊急事態宣言39県解除の「記者会見」でも、「検察庁法の改正法案は、高齢期の職員の豊富な知識や経験等を最大限に活用する観点から、一般職の国家公務員の定年を引き上げること等に合わせて、検察官についても同様の制度を導入するものであります。

 そして、そもそも検察官は行政官であります。行政官でございますから、三権分立ということにおいては正に行政、言わば強い独立性を持っておりますが、行政官であることは間違いないのだろうと思います」と発言しているが、その発言全てが以上当記事に書いてきたように心得違いから発している。

 この心得違いは疑惑の渦中にあることから、検察官の政治的中立性どころではない「疑惑潰し」が頭にあって、その中立性を忘却していることから発している産物なのだろう。でなければ、検察官の政治的中立性を第一要件としない検察庁法の改正案など発想するはずはない。

 ◇元検事総長ら 検察庁法改正案に反対の意見書提出 極めて異例(NHK NEWS WEB/020年5月15日 19時31分)

検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案について、ロッキード事件の捜査を担当した松尾邦弘元検事総長ら、検察OBの有志14人が「検察の人事に政治権力が介入することを正当化するものだ」として、反対する意見書を15日、法務省に提出しました。検察トップの検事総長経験者が、法務省が提出する法案を公の場で批判するのは極めて異例です。
検察庁法の改正案に反対する意見書を提出したのは、松尾邦弘元検事総長など、ロッキード事件などの捜査を担当した検察OBの有志14人です。

検察庁法の改正案は、内閣や法務大臣が認めれば検察幹部らの定年延長を最長3年まで可能にするもので、意見書では「改正案は、検察の人事に政治権力が介入することを正当化するもので、政権側に人事権を握られ、公訴権の行使まで制約を受けるようになれば、検察は国民の信託に応えられない」としています。

 (「公訴権」公訴を提起し裁判を求める検察官の権能。「公訴」刑事事件について、検察官が裁判所に起訴状を提出して裁判を求めること)

そのうえで「田中角栄元総理大臣らを逮捕したロッキード世代として、検察を、時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きは看過できず、定年延長を認める規定の撤回を期待する」と訴えています。

松尾氏は会見で「定年延長は、今までの人事の流れを大きく変化させる懸念がある。検察官にいちばん大事なのは自主・独立だ」と述べました。

松尾氏は平成16年から2年間、検察トップの検事総長を務め、ライブドア事件や日本歯科医師会をめぐる1億円不正献金事件などの捜査を指揮しました。

検事総長経験者が、法務省が提出する法案について公の場で反対意見を表明するのは極めて異例です。

検察庁法の改正案とは
改正案は、すべての検察官の定年を段階的に63歳から65歳に引き上げるとともに、「役職定年制」と同様の趣旨の制度を導入し、検事正や検事長などの幹部は原則63歳で、そのポストから退くことが定められています。

しかし特例規定として内閣や法務大臣が「公務の運営に著しい支障が出る」と認めれば、個別の幹部の役職定年や定年を最長3年まで延長できるとしています。

このため内閣の判断で定年が65歳の検事総長は最長で68歳まで、役職定年が63歳の検事長は最長で66歳までそのポストにとどまることができるのです。
論点1「政権の人事介入への懸念」
論点の1つは、検察人事への政治介入の懸念です。

検察庁は法務省に属する行政機関で、検察官の人事権は内閣や法務大臣にあります。

一方、検察は捜査や裁判で権力の不正をチェックする役割も担い、政治からの中立性や独立性が求められるため、実際には検察側が作成した人事案を内閣や大臣が追認することが「慣例」となってきました。

日弁連=日本弁護士連合会などは、内閣や大臣の判断で個別の検察幹部の定年延長が可能になれば、検察官の政治的中立性を脅かし、捜査を萎縮させるおそれが強いなどと指摘しています。

論点2「“個別の定年延長制度” 導入の経緯」
個別の検察幹部らの定年延長を可能にする特例規定が改正案に盛り込まれた経緯も論点です。

法務省が去年10月末の時点で検討していた当初の改正案では「公務の運営に著しい支障が生じることは考えがたい」などとして、個別に検察幹部の定年延長を認める規定は必要ないとしていました。

しかし、ことし1月、政府が従来の法解釈を変更し、東京高等検察庁の黒川検事長の定年延長を閣議決定しました。

個別の検察幹部の定年延長の特例規定は、ことしになって改正案に盛り込まれていて、有志の弁護士の団体などは「法解釈の変更による黒川検事長の違法・不当な定年延長を法改正によって後付けで正当化するものだ」としています。
論点3「定年延長を判断する基準」

また、内閣の判断で検察官の定年を延長する場合の判断基準が示されていないことも論点になっています。

元検察幹部は「恣意的(しいてき)な人事の運用ができないよう基準をできるかぎり細かく、具体的に定めることが必要だ」と指摘しています。

現職の検察幹部 さまざまな意見

検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案について、現職の検察幹部からは、さまざまな意見が出ています。

NHKの取材に対し、現職の検察幹部の1人は「検察幹部が定年を超えても政府の判断で、そのポストにとどまることができるようになれば、政権の検察への介入を許すのではないかという批判は受け止めるべきだ。検察は巨大な権力を持つ組織で個別の定年延長を認めないことが、検事総長や検事長への過度な権力集中を防ぐ抑止効果にもなっていたと思う。新型コロナウイルスの影響が広がる中、急いで審議を進める話ではないのではないか」と話しています。

また、個別の検察官の定年延長を可能にする特例規定が、去年10月末の時点で法務省が検討していた当初の改正案に盛り込まれていなかったことについて、別の幹部の1人は「昨年の秋に法務省が必要ないとしていた規定を、なぜ黒川検事長の定年を延長した後に加えたのか説明すべきだ」と指摘しています。

一方、別の現職の幹部の1人は「今回の法改正で、政権が人事を通じて検察に介入しやくなるという危惧はよく分かるが、検察は常に正義とは限らず、暴走するおそれもある。検察をどのように民主的にコントロールしていくかという視点も必要だ」と話していました。

また検察幹部の1人は「検察の独立性という問題があることは理解できるが、定年延長を使って事件に介入しようとする政治家が、本当に出てくるとはあまり思えない」と話していました。

元東京地検特捜部検事「国民の信頼を揺るがすおそれ」

元東京地検特捜部検事でリクルート事件などを担当した高井康行弁護士は、今回の検察庁法改正案について「政治と検察の制度的なバランスを変える意味があり、国民の検察の独立性への信頼を揺るがすおそれがある」と指摘しています。

高井弁護士は、これまでの検察官の人事は、検察庁法に規定されている懲戒などを除いて罷免されないという「身分保障」と、定年が来れば一律に必ず退官するという「定年制」が政権の介入を防ぎ、2つの制度は検察の独立性を守る「防波堤」の役割を果たしていたと指摘しています。

このため、内閣や大臣の判断で個別の検察幹部の定年延長が可能になる今回の改正案については「一律の定年制という独立性を担保する制度の1つがなくなることになる。政治と検察の制度的なバランスを変える意味があり、検察の独立性についての国民の信頼を揺るがすおそれがある」と話しています。

また、内閣が個別の検察幹部の定年を延長する場合の判断基準が、現時点で示されていないことについては「恣意的な運用ができないような制度的な歯止めが必要で、基準をできるかぎり細かく具体的に定めることが必要だ」と指摘しています。

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安倍晋三の一世帯2枚布マスク配布の不透明な業者選定は政治的利益供与か 家庭の自助努力で解決可能を考えない壮大なムダ遣い

2020-05-04 12:32:55 | Weblog
 《新型コロナウイルス感染症対策本部(第25回)》(首相官邸サイト/2020年4月1日)

 安倍晋三センセイがこの会議の感染症専門家の議論を踏まえて、不足しているマスクに関して次のように述べたことが記述されている。
  
 安倍晋三「マスクについては、政府として生産設備への投資を支援するなど取組を進めてきた結果、電機メーカーのシャープがマスク生産を開始するなど、先月は通常の需要を上回る月6億枚を超える供給を行ったところです。更なる増産を支援し、月7億枚を超える供給を確保する見込みです。

 他方、新型コロナウイルス感染症に伴う急激な需要の増加によって、依然として店頭では品薄の状態が続いており、国民の皆様には大変御不便をお掛けしております。全国の医療機関に対しては、先月中に1,500万枚のサージカルマスクを配布いたしました。さらに、来週には追加で1,500万枚を配布する予定です。加えて、高齢者施設、障害者施設、全国の小学校・中学校向けには布マスクを確保し、順次必要な枚数を配布してまいります。

 本日は私も着けておりますが、この布マスクは使い捨てではなく、洗剤を使って洗うことで再利用可能であることから、急激に拡大しているマスク需要に対応する上で極めて有効であると考えております。

 そして来月にかけて、更に1億枚を確保するめどが立ったことから、来週決定する緊急経済対策に、この布マスクの買上げを盛り込むこととし、全国で5,000万余りの世帯全てを対象に、日本郵政の全住所配布のシステムを活用し、一住所あたり2枚ずつ配布することといたします。

 補正予算成立前にあっても、予備費の活用などにより、再来週以降、感染者数が多い都道府県から、順次、配布を開始する予定です。

 世帯においては必ずしも十分な量ではなく、また、洗濯などの御不便をお掛けしますが、店頭でのマスク品薄が続く現状を踏まえ、国民の皆様の不安解消に少しでも資するよう、速やかに取り組んでまいりたいと考えております。

 政府においては、国民の皆様の命と健康を守るため、引き続き、各種対策に全力で取り組んでまいりますので、国民の皆様におかれましても、御協力を何とぞよろしくお願いいたします」

 全国の医療機関に対して3000万枚のサージカルマスクを配布した上で高齢者施設、障害者施設、全国の小学校・中学校に必要枚数を順次配布、さらに「全国で5,000万余りの世帯全てを対象に、日本郵政の全住所配布のシステムを活用し、一住所あたり2枚ずつ配布する」

 そして、「この布マスクは使い捨てではなく、洗剤を使って洗うことで再利用可能であることから、急激に拡大しているマスク需要に対応する上で極めて有効であると考えております」とその有効性を請けあっている。

 2020年4月7日、政府は2020年度補正予算案を閣議決定。全世帯布マスク2枚配布に233億円計上。2020年度当初予算の予備費からも233億円を充当させることも決定。合計466億円の経費とした。

 社民党・福島瑞穂が2020年4月10日、厚生労働省マスク班に発注先と契約内容を質問、4月21日に同省よりFAXで回答があった。このことを伝えている2020年4月21日付 「日刊ゲンダイ」記事から見てみる。

 企業名と契約金額
 興和株式会社 約54.8億円
 伊藤忠商事 約28.5億円
 株式会社マツオカコーポレーション 約7.6億円

 合計90.9億円。

 予算466億円に対する90.9億円の契約金額。差額375.1億円。

 厚生労働省マスク班から次のような回答が添えてあったという。

 〈マスク枚数を開示した場合、契約金額との関係で、マスクの単価を計算できることとなり、今後の布マスクの調達や企業活動への影響(他の取引先との関係)を及ぼすおそれがあるため、回答は差し控えさせていただきます。〉

 〈ご回答が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます〉

 記事。〈厚労省マスク班の回答に対し福島議員は、「466億円との差がありすぎます。いったいどういうことなのか。4社といっていたのに3社しか出てきておらず、大きな部分がわかりません。公共調達ルールで93日以内に明らかにしなければならないのだから早く言ってくれればいいのに。差額分は追及していく」と話した。〉・・・・・・

 各世帯、高齢施設等への各施設への配達を請け負う日本郵政の受注額は26億円だそうで、契約金額90.9億円+26億円=116.9億円。予算466億円との差額が349.1億円。

 この差額の不可解さだけではなく、福島瑞穂の4月10日の質問に対する厚生労働省マスク班の4月21日のFAX回答が10日も要していることと、「4社といっていたのに3社しか出てき」いない事実も不可解の一語に尽きる。ごく短時間の単なる事務処理で済ますことができたはずだし、国会議員に対して平身低頭の役人にしては日数がかかりすぎている。

 野党議員に対しては面従腹背の平身低頭であることを考慮したとしても、回答日数の不可解さは消えないし、受注企業が4社なのか、3社なのか、事実不明な点も疑惑を掻き立てる。

 4月17日から全戸配布が始まり、配布済みの妊婦向けの布マスクから虫や髪の毛の混入、カビの付着や縫製ミス等がある欠陥品が見つかっただけではなく、そのお粗末さを受けてのことだろう、余程単価を抑えたのか、全世帯用の配布前の確認作業でも欠陥品確認されたと言う。
 
 もし単価を極端に抑えた結果の欠陥品の出現だとしたら、予算との差額も頷くことができることになるが、では、差額はどこに行ってしまったのかの疑惑を付け加えなければならないし、疑惑が一つや二つでないことも、森友・加計、桜を見る会等で安倍晋三が関わった政治上の利益供与疑惑に続く利益供与を連想させることになる。

 この利益供与疑惑を連想してのことだろう、マスコミは安倍晋三が配布を言い出したマスクを「アベノマスク」と言い回すようになった。
 
 2020年4月27日午前の官房長官菅義偉の記者会見。「毎日新聞」(2020年4月27日 16時13分)

 記者「政府が配布する布マスクについて妊婦用も含めて4社が製造に携わっており、政府はこれまで3社の社名は公表しているが、1社を公表していないのはなぜか」

 菅義偉「現在まで介護施設など向けに2000万枚の布製マスクを納入した事業者は興和、伊藤忠商事、マツオカコーポレーション、ユースビオ、横井定の5社であります。そして妊婦用マスクについては、この介護施設など向けのマスクの一部50万枚を配布したものであります」

 最初は4社と言っていて、3社のみを公表して、1社は非公表としていた。ところが、菅義偉は4社ではなく、公表の3社に加えて、2社を公表、合計5社とした。では、最初は4社としていた姿勢はどのような必要からなのだろうか。4社と言っていながら、3社のみを公表して、1社は非公表とする必要があった。

 ところが野党の追及で、その必要性を引っ込めざるを得なくなって、追いつめられた必要性として4社+1社、合計5社を公表するに至った。最初に公にした4社にとどめておいて、5社目がどこからか漏れた場合、安倍政権自体が持たなくなる恐れがあることから、最初の4社でとどめて置くことができずに全部曝け出す具合に5社目まで公表するに至ったといったところか。

 離婚した女性と付き合うことになった。子どもが一人いるということを聞いていて、最初のデートにその子どもと一緒にやってきた。次のデートで子どもが二人になった。三度目のデートで子どもが三人、四度目のデートで子どもが四人、五度目のデートで五人、「これで最後」と言われたみたいだ。交際する女性がなかなか見つからないような男なら、何もかも認めざるを得なくなる。

 2020年4月28日の衆議院予算委員会で立憲民主党の大串博志がこの「アベノマスク」を取り上げた。大串博志は具体的な言い回しを使ってではなかったが、業者選定の具体的な基準を質した。対して厚労相の加藤勝信も、安倍晋三も、具体的な基準については何ら触れていない。答えることができていたなら、答えていたはずである。答えることができないのは予算と契約金額の差額からも判断できる。

 要するに差額がゼロなら、正々堂々と答えることができる。差額が大き過ぎるから、そこに何らかの秘密があって、答えることができない。何の秘密もなければ、差額は生じない。非常に単純なことである。

 2020年4月28日の衆議院予算委員会

 大串博志「先ず布マスクの問題でございます。今日、私、安倍総理からご提言して全戸配布されている布マスク、着けさせて頂きました。(床に置いた袋からマスクを取り出して)これはあのー、私の事務所にも、私の宿舎にも届きました。2つ来ました。あれっと思いましたけども、この辺もどうかなと思うんですけども、着けさせて頂いて、ちょっとまあ、やっぱしさすがに小さいなっていう感じもしますし、ちょっと横がやっぱりあくなーっていう感じもします。

 それはさておきながらですね、このマスク、先ずは妊婦さん用に配られましたですね。妊婦さん用に配られマスクのうち、約8000枚近くが、不良品、髪の毛が入ったり、ゴミが入ってたり、あるいは黒ずんでいたりということがあったということでございました。

 それは解消されてるってことでございますけど、これに関してちょっとやや経緯が分からないことがありまして、布のマスクを発注して、配布していた業者さんですね、今まで政府の方からは、伊藤忠さん、興和さん、マツオカコーポレーションさん、3社プラス一社だというふうに聞いていました。言ってきました。

 しかしプラス一社が先週からなかなか出てこない。プラス一社、もう一社はどこだったのか、なかなか言えないということでした、それが昨日やっと明らかになっては、福島県にあるユースビオという会社さんだということであります。このユースビオさんという会社は、私の事務所で写真を撮ってきましたけど、福島市、これ昨日の写真です。町の一角のまあちょっとこう横つながりの事業所見たいなところの一部屋ですね、一部屋です。

 白マスク(画像処理)してるところは、あの公明党さんのポスターが貼られてたんですけど、ちょっと出せないってことなんで、消させて頂きました。そういうことで、こういう会社なんですね。非常に不思議に思ったのは、伊藤忠さん、興和さん、マツオカコーポレーションさん、マツオカコーポレーションさんというのはアパレルの大手ですね、どれも極めて大きな規模の大きな会社さんでいらっしゃいます。

 この4社目として福島のユースビオさん。この会社の方とですね、いわゆる随意契約という形で、この妊婦用のマスク、布マスクの発注を受けられたということでいらっしゃいますけども、このユースビオという会社はどういう会社ですか」

 加藤勝信「福島県福島市に本社を持って、輸出入業務を行っている企業であるというふうに承知をしております」

 大串博志「ユースビオさんに発注した布マスクは枚数とか単価は契約の関係で言えないということでしたけども、昨日、事務方の方にお尋ねしたところ、3月24日に契約を結んで、3月中には納入してもらって、契約金額としては5.2兆円であったと、5.2億円であったということで間違いないですか」。

 加藤勝信「このユースビオの関係でですね、この会社とあと輸入の関係の会社と一緒くたの契約になってるそうでありますが、5.2億円ということです」

 大串博志「(契約)時期に関してもご答弁お願いします」

 加藤勝信「3月16日に令和元年度の予備費で契約をした緊急随契ということです」

 大串博志「3月16日に緊急随契で契約したってことですね。あの、これ、どういう会社がというふうにお尋ねしましたところ、今福島県福島市の会社で輸出入業務を行っている会社だと仰っていました。本当ですか。本当ですか」

 加藤勝信「木質ペレット(破砕木材を圧縮成型した固形燃料)の関係の輸出入業を行っていたと聞いております」

 大串博志「この会社がどういう会社でいらっしゃるか、私ももよく分かりません。ですから、きちんと調べさせて頂きました。法務局に行きまして、法人登記見させて頂きました。この会社ユースビオは福島県福島市にあります。会社の定款にある目的、これに関しては再生可能エネルギー生産システムの研究開発及び販売、バイオガス発酵システム研究開発及び販売。ここですね、先程仰ったのは。

 発電・売電に関する事業、ユーグレナ(ミドリムシ)の微細藻類の生産加工及び販売、オリゴ糖の糖質の生産加工及び販売、その他附帯関連する一切の事業。

 これがこの会社の3月に於ける定款の事業なんです。マスクを作る、マスクを輸出入する。定款上、一切ありません。それどころかこの会社は4月に入って、定款変更の届け出をしています。

 4月1日に変更の申出があって、4月10日に登記がなされていますが、追加された内容のところに、4月に入ってからですよ。4月に入ってから追加された内容に不動産の売買賃貸管理と共にですね、貿易及び輸出入代行業並びにそれらの仲介及びコンサルティングっていうのが4月に入ってから定款に入ってるんです。

 つまり3月中はこの会社の目的として輸出入の代行とか、輸出入を行う定款にはなっていなかったんです。そういう会社だということ、つまり知らないで契約したということですか」

 加藤勝信「先程ですね。5.2億円のときに申し上げたんですが、輸出入するもう一つの会社と一緒になって契約額が5.2億円と申し上げた。従って輸出についてはその会社が担っているというふうに聞いております」

 大串博志「もう一つの会社のお名前は何ていう会社でですか。初めて聞きました」

 委員長「そちらの方は質問通告は?」

 加藤勝信「要するにシマトレーディングという会社でありまして、このユースビオはマスクに於ける布の調達、あるいは納品時期等の調整、そして今申し上げたシマトレーディングは、生産・輸出入の担当されていたというふうに承知をしております」

 大串博志「そうすると、四社目がユースビオであったという官房長官の答弁されて、初めて明らかになったことなんですけども、それは正確ではなかった、そういうことですか」

 加藤勝信「ですから、ユースビオが主として納品時期等の調整等を担当しておりまして、ユースビオが、要するにユースビオとグループでありますから、代表的にユースビオということで申し上げているということであります」

 大串博志「今になって新しいことを色々と言われて、極めて不透明な感じがするんですけども、先程ユースビオは布の調達及びその調製に関する業務みたいなことをやっていたというふうに仰いました。よって契約の対象なんだみたいなことを仰いましたけども、それにしてもですね、それにしても、3月にユースビオが定款に会社の目的として書いていた中には布の調達とか、そういったもののコーディネーションではないんですよ。

 そういった会社になぜ布マスクの調達の業務が、しかも随意契約です。随意契約というのはこの会社にやってくれっていうふうに政府の方からお願いして、『急ぐから、あなたしかいないんだ』ということなんです。そのほかの会社は伊藤忠さん、興和さん、そしてマツオカコーポレーションさん。大きな会社です。代表的な会社です。

 だから、政府がそこに目をつけて、お願いっていうのは分かります。実際、伊藤忠さんはプレスリリースの中でしっかり、そこの点は言われていて、政府が調達できなかったから、自分たちはこれは何とかしなきゃいかんと思って、協力したっていうことは書かれていらっしゃいます。

 この伊藤忠さんや興和さんと比べて、ちょっと社の規模としてはこれは資本金1千万だということなんでは、かなり違うここがどういう経緯で、大臣、マスクを政府側から随契で早く納めてくれんと言うふうな対象にどういう経緯で行ったんですか」

 加藤勝信「ユースビオは他の布製のマスクの供給をされてる方含めてですね、これ、政府に於いて広く声がけをして頂きました。これは私どもと経産省が主体になって、これは他もこういうことやっています。(声が小さくなる)それに応えて頂いた事業の、事業社一社ということであります。

 マスクの品質及び価格、企業の供給能力及び迅速な対応が可能であるかという観点から選定を行い、速やかにマスクを配布する必要があるということで随意契約を行ったということでございます。具体的にはユースビオ社から供給可能枚数などの納入計画の内容についてご提案を頂き、当該ご提案に基づき、供給能力や納期についてヒアリングを行い、マスクのサンプルの提出を依頼をし、提出されたサンプルを確認することで品質に支障がないことを確認した上で契約を締結したということでございます」

 大串博志「この会社の名誉のために言っておきますけども、この会社が提供したマスクにに関しては不良品はなかったっていうことは私も知っております。今仰った、他の布製マスクと同時に政府として広く、経産省を主体としてですか、急いで調達できる先を声がけしたその中で上がってきたということなんですか。

 でも、全国このような、いわゆるスタイルの会社であったら、たくさんあると思うんですよ。たくさんある中で伊藤忠さん、興和さん、マツオカコーポレーションさんじゃなくて、なぜここだったのかというところがどうもはっきりしないんですよ。もうちょっと(聞き取れない。「詳しく説明」か)頂きますか。

 こういうルートから、こういう人から、ここがあるよという話だったんで、そこに話を持ってったんだと、これはもう少しはっきり説明して頂かないと、なんせ5億円を超える契約ですから、どういうルートだったんだと、みんな思いますよ。如何ですか」

 加藤勝信「ちょっと委員の質問の趣旨が受け取れているかどうか。いや、ということでありまして、先程申し上げように広く経産省の方から声をかけて頂く中から、じゃあ自分の所がということで声を上げて頂いたっていうことであります。

 いや、まさに私共、早くにマスク、色んなものを調達しなければなりません。従って積極的に手を挙げて頂けるとこがあればですね、そこと先程申し上げた、勿論、品質とか納期とか、色んなものはチェックさせて頂きますけれども、最大限、今確保しなければならない、特に国際的にですね、国際的な中で他国と競争しあっているわけでありますから、そういった中で今申し上げた緊急の必要性があるということで契約を結ばせていただいた。

 そして納品を頂き、そして先程委員のご指摘がありました、妊婦の件については色々指摘ありますけれども、当会社については少なくとも今の段階でですね、不良品等々のご指摘は受けていないということでございます」

 大串博志「すみません、この、あの、総理に配っていただいたマスク、空気が吸いにくいと思ったので代えさせて頂きましが(国配布のマスクから自前のマスクに交換)、あの、私はね、これは実は地元の縫製工場が作ってくださったマスクなんです。私の地元には縫製工場がたくさんありまして、マスクを何かつくり出していらっしゃいます。非常に、私、よくできて、皆さん努力をされてると思います。

 ところが、私の地元の縫製工場で、先程広く経産省を中心に声かけた中で反応して頂いたというふうに言われましたけども、私の所、縫製工場多いんですけれども、声かかった何ていう話、一度も聞いたことありません。余程、恐らく、ここと定めをつけてやられないと、全国でこの、しかも縫製工場持ってらっしゃる雰囲気でもない。余程のルートがないと、こういうところに行き着かないと思うんです。

 だから、普通はね、こういう場合にナーンカ人的な関係?誰かの友達であったとか、何がしかの構造、人的関係があって、こうなったんだなと思いますよ。そこをはっきりさせないと、随意契約ですからね、競争契約じゃないわけですから、ここだと決めて、政府の方が入札をかけないでお願いするわけですから、5億円を。

 やはり相当な説明責任を求められると思いますが、どうですか。妊婦さんが使うマスクでしょ。それに説明責任を果たしていると思われますか」

 加藤勝信「ですから、先程申し上げた質などのサンプルを取り寄せて、チェックをさせて頂いております。結果に於いても先程委員がご指摘を頂いたように当会社の納入したものについては少なくとも現時点でとしか言いようがありませんけれども、特段の問題を指摘をされておりません。それから委員ご指摘のようにですね、徹底的に調べる、あるいは当該、この納入してた実績だけある社、を対象にしていたんでは原価でですね、マスク始め、様々な物、入手できないんですね。

 で、今、異業種にも色々お願いしております。幅広くお願いしています。そして早くできるところを積極的に取りに行く。これが今の我々の姿勢であります。従って今、何か、ちょっと、ちょっと、おかしなちょっと、感じるようなご指摘はありましたけれども、むしろそうではなくて、積極的に手を挙げて頂いてるところ、これに対してはですね、今申し上げた納品の質とか能力とか、時期をしっかり守って頂けるものであれば、積極的に対応していく。これが現下の姿勢であります」

 大串博志「積極的に手を上げられたんであれば、この会社が積極的に手を挙げて、政府内のどこに手を挙げていたんですか」

 加藤勝信「先程申し上げた経産省が経産局を通じてお声かけて頂いた、その中からこの一社、ここまですね、手を挙げて頂いたということであります」

 大串博志「これは申し上げたくないことでありますけど、この会社のこの社長さんは少し前に脱税の容疑で告発されていらっしゃったりされますね。それが品質がどうのってことは言いません。しかしながら、随契で5億円ですよ。契約するためには余程の説明責任を政府は負うと思います。しかも妊婦さんが使われるマスク。やはり皆さんが気持ちよく使って頂くためには、説明責任をきちんと果たさなければならない。

 しかも今回、説明誤魔化してるじゃないですか。先週の段階で三社に加えてあと一社あると、厚労省、ずっと言ったんでしょ。あると言ってた。ところが、昨日の説明なんですか。このユースビオが妊婦さんにも納めてたことがやっと分かったから、これが4社目だと特定できたというふうに言ってた。先週の時点で4社があると言ってたんじゃないですか。

 それを昨日になってやっとユースビオさんが収めていたことが分かったっていうのも、論理的には極めて変な説明。そういうふうなこの説明のおかしさ。これがね、マスクに通底する、布マスクに通底する何となくモヤモヤ感が拭えないんですよ。

 国民一般に対するこのマスクもそうです。安倍総理にお尋ね致します。4月1日に安倍総理、このマスクを国民に一世帯辺り2枚、配布しようというふうに突然言われ出しました。これはどういう背景で、言われ出したんですか。マスコミ報道によると、総理官邸の経産省、官邸官僚からこのマスクを配れば、国民の皆さんの不安をパット解消しますよって言われて、そうだということで決断をされたというようなことが書かれていました。どうやってこれは決断されたんですか」

 安倍晋三「最初はこの布マスクして頂いたんですが、途中から息苦しいっていうことで外されましたが、私とずっとしてるんですが、全然息苦しくはございません。あの、意図的にですね、そういった貶めるような発言はですね、やめて頂きたいと本当に思います。

 そこでですね、マスクについてはですね、2月以降、設備投資補助などにより大幅増産に取り組んできましたが、機械設備の輸入や原料加工など制約もあり、急激な需要の拡大に追いついておらず、残念ながら店頭での品薄状況が長引いているのが現状でもあろうと思います。こうした中でマスクが手に入らず、不安に感じておられる皆さんもおられると認識を致しまして、これまで医療機関へのサージカルマスクの優先的な配布に加えまして、介護施設や小中学校などに、先程は妊婦さんにということでございましたが、実態としてはですね、介護施設、小中学校などに感染防止、拡大防止の観点から布マスクの配布を行ってきました。

 その上でマスクが手に入らず、困っておられる方々がいらっしゃるとの認識のもとですね、国民の皆様に幅広く布マスクの配布をしたところでございます。先程申し上げましたように小中学校、あるいは介護施設等々に送らせて頂きましたが、息苦しいとか、そういう苦情は今まで聞いてはいないということは申し上げおきたいと思います。

 そのマスクはですね、布マスクはですね、咳などによる飛沫の飛散、(大串、席から抗議)いや、いや、これは大切なところですから、飛沫の飛散を防ぐ効果などなど、感染拡大防止に、(抗議)これも経緯の一つでありますから、聞いて頂きたいと思いますが、感染拡大防止に一定の効果があると考えておりまして、米国のCDC(アメリカ疾病予防管理センター)もですね、使用を推奨する旨の発表を行ったほかですね、シンガポール、フランスのパリ、タイ、バンコクなどで市民に配布する動きが広がっていると承知をしております。

 また、洗濯することでですね、繰り返し利用できるため、皆様に選択のご負担をおかけするが、急増しているマスク需要の抑制の観点からも有効と、ちょっと、答弁中でございますから、もう暫くの辛抱を・・・、

 急増しているマスク需要の抑制の観点からも有効と考えているわけでございまして、先日、マスク増産に取り組んでおられるユニチャームの高原社長からもですね、今般配布される布マスクの定着が進むことで全体として現在のマスク需要の拡大状況を凌げるのではないかという話もあったところでございます。

 こうした経緯からですね、今お話をさせて頂いた中に於いて、すみません、ちょっと私が答弁している最中でございますから、そこでですね、今は・・・・

 これは経緯ということを仰っているわけですから、どうしてそういう判断をしたかってっていうことであればですね、どういう需給の状況だったかということについて、あるいはその有効性について説明するのは、これは当然ことではないでしょうか。

 当然のことをご説明しているという中に於いてですね、質問者の方からですね、断たれて、その答弁を遮られては、これは遣り取りにならないのではないのかということは申し上げておきたいと思います。

 今申し上げたようにそういう需給状況があるという中に於いて有効であろうと考えたわけでございます」

 大串博志「時間稼ぎはやめてください。私は4月1日のときになぜ、この1億枚のマスクを配ろうと思ったのか、そんときの判断の経緯を聞いたんです。それを延々ね、全然関係のないこと言われて、いつものことですけど、これはね、総理、今普通のときじゃないんですよ。国難の時期だから、国民の皆さんははっぱりリーダーとして安倍総理は何をどうしてくれるのかって真剣に見ているんですよ。466億円のマスクを使って、本当にそれがお金を使って、マスクを配ることが本当にいいのかと。466億円のお金があれば、私たちの学費や生活費の支援をして欲しいと思っている子どもたちがいるから言っているんですよ。

 なぜそういう判断ができないかと言うことを聞きたいから、私は聞いているんです。経緯も含めて。是非真摯に答弁をしてほしいと思います。

 総理にお尋ねしますけど、このマスク、いつまでに配布を行えるんでしょうか。昨日の段階で郵便局、増田さんや、日本郵政社長の話では、まだ4%しか配ってないということでありました。いつまでに、これ、配布は行えるんでしょうか」

 安倍晋三「大串委員、だから、私は先程説明したじゃないですか。そういう予算をかけるんですから、どういう事情があるのかということを真剣に私は真剣に答弁させて頂いたつもりですよ。その最中に立ち上がったですね、答弁を邪魔されたんではですね。冷静な遣り取りにはならないじゃないですか。

 その中に於いて、では他国はどうであったかという例も引用させて頂きました。当然ではないですか。そういう状況をしっかりと真面目に私は答弁をさせて頂いてるんですよ。それを余りにもですね、私が例えば時間稼ぎする必要なんかないんじゃないですか。ちゃんとですね、ちゃんと説明をさせて頂きたいと、このように思います。

 ですから、先程、需要に於いても海外でどういう評価、いわば(ヤジ)評価するような話をするとですね、ヤジで遮られたり、邪魔をされるわけでございますが、それも含めてですね、どういう評価を得ているかということについて話をすると、直ちに妨害をされるというのは、まことに遺憾であると、こう思うわけでございます。

 そこですね、前回残念ながら黄ばみがあるものが出たということでございまして、返品を今、しっかりとさせているところでございます。どこから出荷したかということも含めて、それをもう一度ですね、検品等の見直しを行っているわけでございまして、そういうものを行った上に於いてですね、できるだけ早くお届けを国民にしたいと考えているところででございます。今、検品等をしっかりやっている最中でございまして、今、直ちにですね、いつまでにお配りができるかということについてはですね、あのー、えー、これを今ですね、ここで答をするには至っていないところでございますが、できるだけ早くですね、検品を強化をし、そして提供をしたいとこのように考えているところでございます」

 大串博志「総理は4月1日にこれを発表されたときに1億枚のマスクの、布マスクの目処はついたというふうに仰っていらっしゃいました。本部にて。

 本当にそうですか。ちょっと確認ですけども、本当は1億枚の目処はついてなかったんじゃないですか。4月に入って慌てて駆け込むように各地に発注をしている、とか、そういうことはないですか。慌てて発注してるがゆえに一次下請け、二次下請け、三次下請け、こういうふうに注文が発注が流れていって、結果としてどこ
製造者の方々が、一生懸命やってくださってると思いますよ、一生懸命やってくださってると思うけども、でも、一次下請け、二次下請け、三次下請けと落ち、流れていくうちに誰が本当に責任を持ってこのマスクを作ってるのかっていうのが分からないような状況になってはいないでしょうか。

 本当に4月1日に1億枚のマスクの目処がついていたんでしょうか」

 加藤勝信「あの、今日は予算措置と関係がありますから、当初予備費で使わせて頂きました。それの意味については先程申し上げたようにその契約をしたり、それから現地で工場の生産をお願いしたり、そういった目処をしっかり確認、目処を、そういった状況を確認しながら、作業を進めているというところでございます」

 大串博志「と言うことは一応、この辺の目処は4月1日の時点ではついていなかったということですか。今、どこかやってくれる人がいないかということは発注してるという、そういうことですか」

 加藤勝信「その段階では当然、この1億万枚ですね、1億枚については、あの、目処がついていたと。ここでお願いするという段取りをして折り、それから逐次、そのあと何回も、これ一回限りではありませんから、その後の納入も、必要ですから、それにあたっての対応も、当然しているということだよ。大串博志の1億枚の目処がついて、たっていうことですけども、それ本当でしょうか。後ほどまた、検証させていただきたいと思います」

 (中略)

 大串博志は安倍晋三に最後に提案をする。

 大串博志「総理に提案があります。全国4%の配布の状況です。これから検品されているという状況ですけども、466億円の予算を見直して、執行を止めて、この予算、やめたらどうか。今どうやって命をつなぐか、生活をつなぐか、明日が分からないという方々が今多く日に日に増加していらっしゃる。そういう状況にあります。そういう中に於いて全国の皆さんは理解してくださると思います。安倍総理が仮に466億円のマスクの配布予算案を止めて、例えば私の提案ですけども、学生さんたち、バイトが止まって、学生団体の調べでは13人に一人の学生がもう退学しなければならないじゃないかと、こういうことを考えている状況にあります。

 この学生さんたちに提供できるようにこの466億円、変えたらどうでしょうか。(学生の生活窮状を訴える。一食50円のうどんをゆがいで生卵を乗せて・・・・。)お腹が空くと御飯食べなければならないから、寝て誤魔化す。ということを言っていて、私、身につまされましたよ。もうそういう状況に、総理が言った4月1日から比べると、なってるんじゃないですか。ここはあのときはそうだったけど、今は確かに違う。総理のそれこそ政治決断を以って、466億円、まだ4%しか出ていないから、これをやめると、国民の皆さんには申し訳ない、マスクは届かないけど、でも、これは学生の皆さんたちの生活面に回す。そういった、生活が明日は苦しいという方々に回してください。何万人学生が救えますから。そういうふうに今、政治決断で舵切る。それが総理としての、あるべき姿ではないでしょうか。どうでしょうか」

 安倍晋三「学生の皆さん。アルバイトで学費を稼いでいる皆さんについてどう対応していくかということはもう午前中に議論させて頂きました。アルバイトの方々に対しても補償金の対象とさせて頂いているところでありますし、と同時にですね、高等教育の無償化の対応についてもですね、今回の事態に対しても今回対応させて頂くということをさせて頂いております。

 また、給付型の奨学金につきましても、これは給付型ですけが、これは生活費、学費だけではなく、生活費のあるものでございます。今回の事態に対する給付の対象ともしているわけでございますから、そういうものも是非活用して頂きたい。このように思うところでございます。

 他方、このマスクにつきましては先程来、このマスクは全く使えないかの如きのご質問を頂いておりますが、介護施設、あるいは学校等にはもう既に相当量を配布をさせて頂いている。それなりの評価を頂いているところでございます。

 大串委員は確かにご地元のですね、布マスクを手に入れられるということでございますが、多くお方々はなかなかマスクは手に入らないという悩みを持っておられるのは事実でございます。そういう中に於いて、まさに十分ではないかもしれませんが、また、毎日洗って頂かなければならないということでご不便はおかけすると思いますが、先ずは2枚贈りさせて頂きまして、それを手元に置くことでご安心を頂ける。

 また、今マスク市場に対してもそれなりのインパクトはあったのは事実でございまして、業者の中に於いてはですね、ある種の値崩れを起こす効果になっているということを評価する人もいるわけでございまして、先程申し上げました増産等をお願いをさせて頂いているユニ・チャームの高原社長からもですね、今般配布された布マスクとの併用が進むことで、全体として現在のマスク需要の拡大状況を凌げるのではないのかとのお話も頂いているところでございまして、こうした形の効果が出てくることを待ちたいと、このように考えているところでございます」

 大串博志(しんみりした口調で)「一カ月の給料なり、一カ月のバイト代が入らなくて、どうしようかという生活を総理、送られたことがありますか。私浪人と言いますか、役所を辞めて政治活動に入るとき、そういう状況だったので、(周りの議員を示して)多くの皆さんもそういう経験をされたと思いますけども、まあ、世の中の多くの皆さんも、一カ月給料なくなる、バイト代なくなる、大変なことなんですよ。 

 明日どうしようかっていうそういう話なんですよ。だから、恐らく国民の皆さんはこのマスクは届かなくても、それが学生の皆さんの学業を続けると言うためになるんだったら、喜んでと仰ると私は思いますよ。それは私は国のリーダーとしてあるべき姿だと思いますよ。

 今の答弁、極めて残念です」

 大串博志は資本金1千万のユースビオが伊藤忠(資本金2534億円)や興和株式会社(資本金38億円)、マツオカコーポレーション(資本金5.29億円)といった大手企業と並んで5.2億円もの緊急随契ができた理由を尋ねた。

 もっと単当直入に「業者選定の具体的な基準は何か」と聞くべきだったが、「この伊藤忠さんや興和さんと比べて、ちょっと社の規模としてはこれは資本金1千万だということなんでは、かなり違うここがどういう経緯で、大臣、マスクを政府側から随契で早く納めてくれんと言うふうな対象にどういう経緯で行ったんですか」と、「経緯」という形で業者選定の基準を尋ねた。

 対して厚労相の加藤勝信は、「政府に於いて広く声がけをして頂きました。これは私どもと経産省が主体になって、これは他もこういうことやっています。(声が小さくなる)それに応えて頂いた事業の、事業社一社ということであります」、「広く経産省の方から声をかけて頂く中から、じゃあ自分の所がということで声を上げて頂いた」、「先程申し上げた経産省が経産局を通じてお声かけて頂いた、その中からこの一社、ここまですね、手を挙げて頂いたということであります」と答弁している。

 加藤勝信は「私ども(厚労省)と経産省が主体になって」「声がけ」したが、「これは他もこういうことやっています」と言うとき、声が小さくなった。自身がしていることを他者を引き合いに出して正当化するとき、自身が正しいことをしていることなら、声を小さくする必要性も、誰もがやっていることだとか、ほかでもやっていることだと引き合いに出す必要性も生じない。業者選定に何らかの如何わしさも抱えているからこその表面に現れた様子なのだろう。、

 「広く声がけをした」、「広く経産省の方から声をかけた」、「経産省が経産局を通じてお声かけて頂いた」ということなら、大串博志はいずれかの答弁後に「広く」とはどの程度の範囲なのか、どういう「声がけ」だったのか、具体的に聞くべきだった。

 前者の「広く」に対して全国を対象にしてなのか、全国を幾つかの地域に分けてなのか、後者に対しては何社に対しての「声がけ」だったのか、どのような文言を用いたのか、連絡は電話を使ったのか、FAXなのか、ウエブメールで行ったのかを問い質すべきだった。

 不透明な選定基準でなかったなら、答えることができるし、何らかの記録も残っていなければならないし、何らかのコネで選定したことなら、答えることはできないし、記録も残していないことになる。安倍政権の記録は残さない、あっても、廃棄処分にしてしまう手を何度も見てきているはずである。

 人は何らかの選択をするとき、選択の種類や内容に適した何らかの基準を設ける。当然、「広く声がけをした」、「広く経産省の方から声をかけた」は設けた基準に応じた地域と社数でなければならない。ところが声がけの基準とした地域も社数も言わずに、「広く」とだけ言う。誰にでも公表できる正当な基準であったなら、「広く」といった抽象的な言葉で事足りる説明とすることはできない。

 大串博志は布マスク配布に何百億というカネをかけるよりも、困っている学生の支援に回すべきではないかと提案した。安倍晋三は「マスクの店頭での品薄状況が長引いてる」、「マスクが手に入らず、不安に感じておられる皆さんもおられる」、安倍政権のマスク配布によって供給不足に対する需要過多からの値上がりしていたマスクの「値崩れを起こす効果になっている」等の理由を挙げてマスク配布を正当化し、大串博志の提案を断っている。

 政府はコロナウイルスの感染拡大に応じてマスク着用と手洗いの励行と外出自粛をうるさく言ってきた。国民の多くはそれなりに守っている。もし安倍晋三が言うように「マスクの店頭での品薄状況が長引いてる」が事実で、その事実によって国民の多くにマスクが行き渡っていない状況にあったなら、生活必需品の買い物に外出する際のコロナウイルスに対しての身を守る術を持たないことになり、大騒ぎになる。その他の外出もビクビクしながらでないと、できないことになる。

 だが、大騒ぎにはなっていない。テレビのニュースで見る限り、見かける外出者の殆どがマスクを着用している。国民が冷静でいるこの状況は「マスクの店頭での品薄状況」が事実だとすると、何らかの方法でマスクを調達していることになる。ネットではマスクの型紙から手作りの方法まで数多く紹介されている。100円ショップで売っている60枚入りのコーヒーフィルターの4枚を使って、ホッチキスで止めるだけのマスクを手作りするページもある。慣れれば、作るのに5分もかからないし、15枚分のマスクが手作りできる。

 要するに政府がマスクを配布しなくても、手作りによってて供給不足に対する需要過多からの値上がりに対する値崩れを引き出すことができる。介護施設や小中学校等への配布にしても、介護施設では認知症防止の観点から入所高齢者にパッチワークやその他の手芸に取り組ませているところもあるし、中学生は「技術・家庭科」の授業で裁縫に取り組んでいると言う。

 自分たちの手作りで既に用意している学校もあるだろうが、介護施設では介護士の指導の元、中学校では教師の指導の元、手作りで十分に間に合わせることができる。小学生に対しても教師の指導で手作りできないわけではないし、できなければ、中学生が余分に手作りして、小学生に配布するという手もあし、中学生に対して協調精神を育むことができる。

 一般家庭でも、本格的な布マスクの手作りが不可能というわけではない。ミシンがなくて、手縫いでも、さして時間がかかるわけではない。要するに家庭の自助努力で解決可能なマスク問題に過ぎない。にも関わらず、政府は466億円という大金をかけて国民にマスクを配る壮大なムダ遣いを実行しつつある。

 しかもマスク配布業者の選定基準にしても、マスク配布の予算に対する契約金額の目に余る差額に関しても明瞭・明快から程遠い不可解・不透明のまま推移している。

 自然災害が起きて、大きな被害が出ると、政府はボランティアをお願いする。466億円も使わずにボランティアをお願いする例に習って、マスク問題が起きた当初から家庭や介護施設、学校でのマスクの手作りをなぜお願いしなかったのだろうか。

 政治的利益供与を作り出す必要性からの、政府予算を466億円も使うことになったマスク配布なのだろうか。だとしたら、家庭や介護施設、学校へのマスク配布は政治的利益供与を作り出すために利用されていることになる。

 まあ、森友・加計、桜を見る会等で腕を上げてきた安倍晋三の政治的利益供与である。新たに一つ加わえたとしても、安倍晋三にしたら屁を一つ落とす程度のどうってことはない政治活動なのかもしれない。

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安倍晋三の政治パフォーマンス? 緊急事態宣言を効果あると発令したなら、より早い発令で、その効果の前倒しを狙うべきではなかったか

2020-04-13 12:55:23 | Weblog
 2020年4月7日、安倍晋三は政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。対象地域は感染拡大している東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の6都府県。宣言の効力は来月5月6日まで。

 要するに1ヶ月で緊急事態宣言の効果が出ると見た。但し万が一の場合の保険のためなのだろう、経済再生担当相の西村康稔は緊急事態宣言発出2日後の4月9日午前10時50分過ぎに経団連会長の中西宏明、日本商工会議所会頭の三村明夫とテレビ会議を行い、緊急事態宣言が目指す最低7割、極力8割程度の人と人との接触機会の削減の成果は2週間後に表れるが、想定通りの削減で進まない場合には2週間を待つことなく、さまざまな措置を取らざるを得なくなると述べたという。

 その後、午前11時過ぎの内閣府での記者会見に望んで、「この接触機会の8割削減が達成できれば、2週間で成果が出る。8割削減が実行されていなければ、施設の使用制限を要請するなど、より強い措置に踏み切らざるを得ない」と同じことを述べている。

 しかしより強い措置の発出はあくまでも結果であって、緊急事態宣言の発令そのものは1ヶ月で効果が出ると想定して行った。想定しなければ、1ヶ月と期限を区切ることはできない。効果が出なければ、さらに強い措置を取ることを想定して、取り敢えずは1ヶ月ということにしましたといった法律の出し方はない。

 4月7日に緊急事態宣言を発令したものの、4月8日の携帯電話の位置情報などのデータでは人手が3割から4割程度の削減にとどまっていることが分かったということで、政府はこの状況に危機感を抱いて、より強い措置という警告を発出せざるを得なかったということなのだろう。

 いずれにしても、今回の緊急事態宣言は人と人との接触機会の最低7割、極力8割程度の削減成果は2週間後に表れ、その後の2週間、合計1ヶ月で大幅な感染収束に向けた効果が出てくると想定した発令でなければならない。

 安倍晋三は発令同日の午後7時から記者会見を開いて、発令についての説明を行っている。

 安倍晋三「医療への負荷を抑えるために最も重要なことは、感染者の数を拡大させないことです。そして、そのためには何よりも国民の皆様の行動変容、つまり、行動を変えることが大切です。特別措置法上の権限はあくまで都道府県の知事が行使するものでありますが、政府として、関東の1都3県、大阪府と兵庫県、そして福岡県の皆様には、特別措置法45条第1項に基づき、生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう要請すべきと考えます。事態は切迫しています。東京都では感染者の累計が1,000人を超えました。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります。

 しかし、専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。そうすれば、爆発的な感染者の増加を回避できるだけでなく、クラスター対策による封じ込めの可能性も出てくると考えます。その効果を見極める期間も含め、ゴールデンウイークが終わる5月6日までの1か月に限定して、7割から8割削減を目指し、外出自粛をお願いいたします。

 繰り返しになりますが、この緊急事態を1か月で脱出するためには、人と人との接触を7割から8割削減することが前提です。これは並大抵のことではありません。これまでもテレワークの実施などをお願いしてまいりましたが、社会機能を維持するために必要な職種を除き、オフィスでの仕事は原則自宅で行うようにしていただきたいと思います。どうしても出勤が必要な場合も、ローテーションを組むなどによって出勤者の数を最低7割は減らす、時差出勤を行う、人との距離を十分に取るといった取組を実施いただけるよう、全ての事業者の皆様にお願いいたします。レストランなどの営業に当たっても、換気の徹底、お客さん同士の距離を確保するなどの対策をお願いします」

 「人と人との接触の7割から8割削減」は国民任せの他力本願ではない。特定した業種の営業自粛や自粛指示によって一定程度の成算を見込んだ自力本願でなければならない。でなければ、法律を作った意味も、作った法律の発令も意味がなくなる。

 つまり発令によって効果が出ると予測した安倍晋三の発言でなければならない。次の発言も効果を想定した発言となる。

 安倍晋三「今回の緊急事態宣言は、海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くありません。そのことは明確に申し上げます。今後も電車やバスなどの公共交通機関は運行されます。道路を封鎖することなど決してありませんし、そうした必要も全くないというのが専門家の皆さんの意見です。海外では、都市封鎖に当たり、多くの人が都市を抜け出し、大混乱と感染の拡大につながったところもあります。今、私たちが最も恐れるべきは、恐怖それ自体です。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で広がったデマによって、トイレットペーパーが店頭で品薄となったことは皆さんの記憶に新しいところだと思います。ウイルスという見えない敵に大きな不安を抱くのは、私も皆さんと同じです。そうしたとき、SNSは本来、人と人の絆(きずな)を深め、社会の連帯を生み出すツールであり、社会不安を軽減する大きな力を持っていると信じます。しかし、ただ恐怖に駆られ、拡散された誤った情報に基づいてパニックを起こしてしまう。そうなると、ウイルスそれ自体のリスクを超える甚大な被害を、私たちの経済、社会、そして生活にもたらしかねません」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 安倍晋三「率直に申し上げて、政府や自治体だけの取組みでは、この緊急事態を乗り越えることはできない。これは厳然たる事実です。感染者の爆発的な増加を回避できるのか。一人でも多くの重症者を死の淵(ふち)から救うことができるのか。皆さんを、そして皆さんが愛する家族を守ることができるのか。全ては皆さんの行動にかかっています。改めて御協力をお願いします。

 「都市封鎖、ロックダウン」まで行う必要はない。今回の緊急事態宣言が指示内容とした外出自粛や営業自粛、在宅勤務とそれに代わるテレワーク等々の措置だけで感染収束に事足りると、その効果を前提とした発言となっている。

 後段の発言は国民の協力にかかっているとしているが、国民の協力を得ることができることを想定した緊急事態宣言の発令でなければならないのだから、国民の協力に対する念押しの発言でなければならない。

 国民の協力が期待できないままに発令したとなると、大いなる矛盾を抱えることになる。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の下に置かれた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーである感染症専門家の科学的・合理的根拠に基づいた、感染収束に向けて効果あると見込んだ発令でなければならない。

 冒頭発言最後の次の言葉も緊急事態宣言発令の効果を見込んだ物言いとなる。

 安倍晋三「9年前、私たちはあの東日本大震災を経験しました。たくさんの人たちがかけがえのない命を失い、傷つき、愛する人を失いました。つらく、困難な日々の中で、私たちに希望をもたらしたもの、それは人と人の絆、日本中から寄せられた助け合いの心でありました。今、また私たちは大きな困難に直面しています。しかし、私たちはみんなで共に力を合わせれば、再び希望を持って前に進んでいくことができる。ウイルスとの闘いに打ち勝ち、この緊急事態という試練も必ずや乗り越えることができる。そう確信しています」

 東日本大震災の前例に鑑みて、「私たちはみんなで共に力を合わせ」ることが期待できることを見込んだ発言でなければ、到底、発令などできない。

 発令が遅すぎたのではないかと見る意見もあるが、この記者会見質疑でも同じ質問が飛んだ。

 NHK松本記者「今回の決断に至るまで、いろんなデータや調整があったのだと思いますけれども、この判断のタイミングについて遅過ぎると、遅いという批判もございます。今回の決断がもう少し早ければ、今のような感染拡大は防げたのではないかという声もあろうかと思いますが、そうした声にどのようにお答えになりますか。

 また、ここに至るまで異例の対応が続いてきたと思います。イベント自粛や一斉休校。それでも感染拡大を抑えることができなかった。この原因についてどのように分析されていますでしょうか、お答えください」

 安倍晋三「先ず、この特措法を改正した日から、いつ緊急事態宣言を出すべきか、ずっと緊張感を持って考えてきました。でも、今、御質問がございましたが、あのときにどういう議論があったか。むしろ緊急事態宣言は私権を制限するから慎重に出すべきだという議論が随分ありましたよね。しかし、私たちは出すべきときには出すべきだと考え、その中で最大限の緊張感を持って、事態を、感染者の数の拡大状況、専門家の尾身先生を始め、専門家の皆さんに分析をしていただいてまいりました。そこで、我々、イベント等の自粛、また、学校の一斉休校も行いました。だけれども、感染者の拡大を防げなかった。確かにそのとおりです。しかし、スピードはどうなのかということでありまして、今、世界を見ていて、一時スピードが上がっていく、このスピードをどれくらい抑えることができるかということが重要であります。

 中国、韓国においては、日本よりも感染者の数は相当多いですが、死亡者の数も多いですが、今、スピードは相当落ちてきている。日本も早くそのピークをはるかに小さいところで抑えていきたい。そして、言わば減少に転じさせたいと、こう思っています。

 先週から、我々は、いつ出すべきか、西村大臣と尾身先生と毎日、緊密に協議をし議論をしました。これはやみくもに出せません。専門家の皆様が判断をする。準備をすべきだという判断をいただきました、昨日。その理由については、先ほど申し上げたとおりであります。専門家の皆さんのこの判断、言わば、一つは、累積の感染者の数、スピード、そして医療の提供体制との関係、そして我々行政の場では何を考えるべきかということについて言えば、言わば緊急事態宣言を出す段階において、十分な医療体制をしっかりと対応できるものを、体制をつくっていく必要があります。ですから、先週、私も含めてホテルチェーンの社長さんたちにお願いをしまして、軽症者等を受け入れるお願いをさせていただいた。そういうお願いもさせていただき、準備を整えた上で、言わば緊急事態宣言を出せば、そういうところが、言わばそういう感染者の皆さん、軽症者あるいは無症状者の皆さんを収容していただくことができるわけであります。

 同時に、混乱を起こさないようにする必要があります。国民の皆様の理解を進めていく。最初はロックダウンになるのではないかという間違った認識が広がりました。こういう認識をしっかりとなくしていくという準備も整えながら、尾身会長としっかりと心を合わせながら、昨日、ああした形で準備をせよという御判断をいただき、本日の緊急事態宣言となったわけであります」

 緊急事態宣言の発令は「専門家の皆様が判断をする」と、専門家に丸投げした。行政がすることは緊急事態宣言を発令した場合の受入れの十分な医療体制の構築だとしている。

 だが、発令如何に関わらず、行政はどのような状況にあっても十分に構築された医療体制で応じなければならない。しかも2020年2月末には新型コロナウイルスの発生源とされている中国湖北省武漢では医療体制の崩壊が指摘されていた。日本でも感染者が増加の状況に遭遇したなら、医療体制の逼迫、次に崩壊を想定し、それらの想定の段階に応じて専門家の意見を借りながら、医療体制が対応可能かどうか精査し、万が一対応不可能性の答が出たなら、そのことに備えておかなければならないのだから、発令は遅くはなかった、タイミング的に正しかったことの理由とはならない。

 厚生労働省は2020年4月2日の時点で新型コロナウイルス感染の軽症者あるいは無症状者のホテルや自宅療養を可能とする「事務連絡」を既に発出している。正式名は「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」となっている。

 つまり、厚生労働省は4月2日の時点でホテル利用(宿泊療養)や自宅療養を可能とする準備を指示する事務連絡を都道府県向けに行った。これは東京都が軽症・無症状の患者に関しては病院外で療養させられるよう感染症法の運用見直しを国に諮り、調整した結果だと言うから、緊急事態宣言を発令するかしないに関係しないところで決められたことになって、緊急事態宣言を発令したから、ホテル療養や自宅療養が可能となったということではない。

 要するに安倍晋三は発令が遅かったかどうかに答えることができずにゴマカシ答弁をしたことになる。

 この記者会見で質疑の間安倍晋三と同席していた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長の尾身茂が宣言の対象地域が7都府県となったことの理由を次の3点を挙げて説明している。

 「累計の報告者数」
 「倍加時間」(感染者が2倍になるのにどのぐらいの時間がかかっているかということ)
 「リンクの追えない孤発例の割合」

 尾身茂「東京と大阪は、もう累計報告数が400を超えているということと、倍加時間も、実はヨーロッパのイタリアなんかは大体2(日)とか2.5ぐらいなのですけれども、東京都は3月の上旬は10とか11でしたけれども、最近になって5、大阪も6.6、それから孤発例(感染経路を追うことができない症例)が令東京では68パーセント、大阪でも5割近くはリンクが追えないということです。神奈川、埼玉、千葉というのは、東京ほどではないですけれども、生活圏、行政区としては別ですけれども、生活圏としてはほぼ同じということで、その3つ。

 それから、大阪は今、言ったようなことですけれども、その近隣県としては、兵庫県が感染状況も大阪に近いし、生活圏としても一体であるということ。それから福岡ですけれども、実は福岡は累積の報告数はいまだ少ないのですけれども、2つの重要な特徴がありまして、1つは倍加時間が、先ほど言ったように2倍になるのに必要な時間が、これは全国で最大、最も短い。昨日の時点で2.9日、最も短い。それから孤発例の割合もこれは全国で一番高くて、昨日の時点で72パーセントです。

 こういうことがあって7つの都府県ということで、その他の県は、こういう7つの都府県に比べれば、まだこれから感染拡大のおそれが当然あるわけですけれども、今日、昨日の段階では、その7都府県に比べてまだそこまで達していない。ただし、感染拡大のおそれがあるので、十分これからも3密を中心に警戒を怠れない状況だと思います。

 尾身茂は7都府県以外は「7つの都府県に比べれば、まだこれから感染拡大のおそれが当然あるわけですけれども、今日、昨日の段階では、その7都府県に比べてまだそこまで達していない」、つまり「累計の報告者数」、「倍加時間」、「リンクの追えない孤発例の割合」の3点で7都道府県程に切迫した状況に至っていないから、発令対象地域から除外したと言うことになる。

 だが、安倍晋三にしても、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の感染症専門家にしても、緊急事態宣言の発令によって「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます」との計算に立って、人と人との接触機会の7~8割削減を想定内とし、宣言終了期間の5月6日には大幅な感染抑止に効果があると見て発令したのである。

 当然、発令の効果は感染者数がより少ない間に在宅勤務やテレワーク等による人と人との接触機会の削減や密閉、密集、密接の3密の危険性の高い居酒屋やライブハウス等々の営業自粛や営業時間の短縮等々を要請した場合の方がより高くなるはずである。病気が進行してから医者にかかるよりも、体の調子が悪くなったら医者にかかる方が治りが早いのと同じ道理である。

 だが、尾身茂はこの単純な道理を踏まずに7都府県以外は「7つの都府県に比べれば、まだこれから感染拡大のおそれが当然あるわけですけれども」と、悪く言うと、政府としては感染のあり得る拡大を待つ姿勢で、いわば感染の拡大まで何も手を打たない姿勢で発令を見送った。

 2020年4月12日のNHK日曜討論「緊急事態宣言 必要な対策を問う」に西村康稔などと出席した尾身茂が宣言発令のタイミングについて発言している。

 中川緑キャスター、「このタイミングでの緊急事態宣言を出すことを妥当だと判断した、その一番の理由は何かということと、もう一つ、宣言から5日経って、ここまでの効果と課題、どう見ていますか」

 尾身茂「宣言を政府に提言した理由は二つございます。一つはこのまま放っておくと、ヨーロッパでね、言われている、いわゆるオーバーシュート(感染者の爆発的拡大)ですね、その軌道に入った。オーバーシュートになるわけではないが、その軌道に入ってしまうということ。

 それから、横倉(義武・日本医師会会長)先生が仰ったように医療の機能不全、もう起こりつつあるということで、タイミングについてはもっと早くしてもいいという意見もあったということは十分承知ですが、私は一般の市民がですね、この時期なら、協力してくれるというタイミングがあるんで、ほぼそのタイミングが来たんじゃないかと、ま、そういう感染対策上と、国民がどれだけね、協力してくれるか、この2点で政府に提言させて、まあ、適切な時期じゃなかったかと、私は思っております」

 尾身茂は宣言発令のタイミングの一つの理由として、このまま宣言を出さずにいたら、「オーバーシュートの軌道に入ってしまう」懸念があったからとしている。と言うことは、「オーバーシュートの軌道に入ってしまう」懸念が生じる程に感染が拡大する状況に至るまで宣言の発令を待っていたことになる。

 もし東京都やその他の府県の感染の拡大状況を最悪の事態を想定する危機管理意識のもと、読むことができていたなら、「ヨーロッパみたいにオーバーシュート軌道に入ったわけではないが、その軌道に入ってしまう懸念がある」から、そこに発令のタイミングを置いたといった趣旨の発言はできない。

 大体が宣言が効果あるものと見做していたなら、発令を前倒ししても、効果自体が前倒しできて、その分、経済の回復に向けた政策の着手も前倒しできることになる。感染が拡大する前に手を打つという発想はどこにも見当たらない。

 尾身茂は宣言発令のタイミングのもう一つの理由として、「医療の機能不全、もう起こりつつある」ことと、「一般の市民がですね、この時期なら、協力してくれるというタイミングが来た」ことを挙げているが、前者の「医療の機能不全」の解消に向けた対応の一つは厚労省が「事務連絡」で既に行っているが、「医療の機能不全」が「もう起こりつつある」ことに発令のタイミングを置くことに何の矛盾も感じないらしい。置くとしたら、医療の機能不全が起こる前に置かなければならないからだ。

 感染症の専門家でありながら、このことができなかった。自身の判断が間違っていたのか、多分、政権から早期の発令を止められていたために、その遅れを隠すために矛盾したことを強弁する必要に迫られたとしか考えられない。

 「一般の市民がこの時期なら協力してくれる」と言っていることの「時期」とは一般市民が新型コロナウイルスの感染拡大状況に切迫感を持つに至っている「時期」を意味していて、その切迫感が増す「時期」を発令のタイミングとしたことになって、感染拡大状況とその状況に対する一般市民の切迫感を前以って読んだ発令ではないことになる。

 要するに宣言発令のタイミングを合理的な知見に基づいて感染拡大の推移とその状況に置いたのではなく、SNSでの発言やマスコミ報道から感知してのことなのだろう、知ったことになる一般市民の切迫感を発令の一つの理由に置いたことになって、合理性を疑わせることになる。

 宣言の発令が遅すぎたのではないかとする意見に合理的な答弁ができないことからの、言うことに事欠いて、理由とならない理由を並べたとしか見えない。少なくとも安倍晋三にしても、尾身茂にしても、発令は遅くはない、グッドタイミングだったと周囲が納得できる答を口にしてはいない。

 大体が4月7日の記者会見で発言した、「累計の報告者数」、「倍加時間」、「リンクの追えない孤発例の割合」の3点を宣言発令の根拠に置いたことと、合理性の点で著しく劣ることになる。

 麻生太郎が緊急事態宣言の早期の発令を「経済がとんでもないことになる。ガタガタになる」と反対、官房長官も慎重姿勢だったとマスコミが報道していることが安倍晋三の決断を鈍くしたことの理由と考えられるが、発令を待つまでもなく、新型コロナウイルスの抑止することができない感染拡大と営業自粛や外出自粛の要望による人の移動の激減、インバウンドの急激な激減等によって日本経済が満足に回転しなくなり、かつてない程に低迷することになった。

 安倍晋三は記者会見で「雇用と生活は断じて守り抜いていく」、「GDP(国内総生産)の2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策を実施する」、「困難に直面している御家族や中小・小規模事業者の皆さんには、総額6兆円を超える現金給付を行います」、「史上初めて事業者向けの給付金制度を創設した」等々、予算の勇ましい配分なのか、勇ましい大判振舞いなのか、さも立派なことであるかのように述べ立てたが、このことも宣言の発令が早ければ、収束時期も早まることになって、応じて経済の回復も早まることになる道理に反した宣言の発令の遅れを隠す政治パフォーマンスの一面を顔を覗かせているように見えた。

 安倍晋三がやってもおかしくない政治パフォマンスである。

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安倍政権のクルーズ船内集団隔離によるヒトからヒトへの感染の危機意識なき新型コロナウイルス感染者培養の無残な危機管理

2020-02-17 09:35:45 | Weblog
 中国湖北省武漢市の海鮮市場を感染源とされている2019年12月に始まった新型コロナウイルスによる感染症が武漢市を超えて、中国国内に広がりを見せていた。

 湖北省武漢市から2020年1月6日帰国の神奈川県在住30代男性が帰国前の1月3日から発熱があり、帰国当日の1月6日に医療機関を受診、1月10日から入院、1月15日に新型コロナウイルス陽性が判明し、国内初感染が判明したが、症状は軽く、その日に退院している。〈新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)〉(厚労省/2020年1月16日)

 国内感染の2例目は湖北省武漢市在住40代男性。1月19日来日前の1月15、17日に武漢市の医療機関を受診したが、肺炎の診断がなく、そのまま来日。その翌日の1月20日に日本の医療機関を受診、やはり肺炎の診断はなかったが、2日後の1月22日に医療機関受診、新型コロナウイルスに関連した肺炎と診断された。

 厚労省は新型コロナウイルス陽性と診断された訪日中国人に対しても、武漢滞在帰国日本人に対しても感染源とされていていた武漢市の海鮮市場に立ち寄ったかどうかを聞き取っているが、いずれも立ち寄っていないと返答している。

 海産物等の食材からの感染いがある一方、市場には海産物だけでなく、野生動物を販売している区画もあり,この市場で売られていた、生きた哺乳動物由来であるとする説も浮上していた。

 〈2020年1月20日、病原体を調査している中国・国家衛生健康委員会(NHC)専門家グループ長の鍾南山が、広東省でヒトからヒトへの感染が確認されたと発表した。〉(「Wikipedia」

 武漢市の海鮮市場に立ち寄っていないにも関わらず感染していたということはヒトからヒトへの感染を疑わなければならない事例となるが、中国でヒトからヒトへの感染が確認されたこの2020年1月20日は記憶にとどめておかなければならない。それまではヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はないとされていた。

 厚労省はその後も日本国内で感染が確認された中国人訪日客に対しては、感染源を知るためにだろう、武漢市の海鮮市場への立ち寄りの有無を聞き取っているが、国内感染6例目の60代奈良県在住の日本人男性が武漢市への滞在歴はなく、1月8日~1月11日に武漢からのツアー客を運転手としてバスに乗せ、さらに別の武漢からのツアー客を1月12日~1月16日に載せてバスを運転、体調を崩し、医療機関への入院を経て、検体を送付、1月28日に国立感染症研究所より新型コロナウイルスに関連した感染症発症の報告を受けている。

 要するに1月8日から1月11日の間か、1月12日~1月16日の間に明らかにヒトからヒトへの感染によって新型肺炎を発症、このことが日本国内で初めて確認されたことになる。但し確認された事例であって、確認されていない、潜伏した密かな状況でヒトからヒトへの感染が発生している可能性を危機管理としなければならないことは言わずもがのことであろう。

 《医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド》(一般社団法人 日本環境感染学会/ 2020年2月13日)には次のような下りがある。

 〈発生状況

 国内の感染者数は増加していますが、軽症例や無症候病原体保有者が多くを占めています。〉

 〈臨床的特徴(病態、症状)

 新型コロナウイルスは呼吸器系の感染が主体です。 ウイルスの主な感染部位によって上気道炎、気管支炎、および肺炎を発症すると考えられます。本ウイルスに感染した方全員が発症するわけではなく、無症状で経過してウイルスが排除される例も存在すると考えられます。〉(一部抜粋)

 本人が知らないままにウイルスを抱え込んだとしても、発症しないままに過ごして、知らないままにウイルスが消滅してしまう例があると言うことは、本人は無事であったとしても、ウイルスを抱え込んでいる間、そのウイルスに第三者が感染、発症する例もあることを意味することになる。

 特に体力が低下している高齢者や、高齢者ではなくても、何かの病気治療中で体力が万全ではない中高年層がコロナウイルス感染の症状が出ていない、いわば野放し状態となっている無症候病原体保有者と何らかの接触をした場合、ヒトからヒトへの感染が起こり得る可能性は否定できないばかりか、一人の発症から感染経路を辿る作業にしても、感染元が無症候病原体保有者で、既にウイルスを消滅させていた場合は事前の感染者が特定不可能となって、感染元を一人ひとり探し当てて、入院隔離するなりして感染拡大を阻止するローラー作戦にしても、全てがうまくいかないことになって、感染経路を辿る作業が往々にして迷路に迷い込むことになりかねない。

 だが、こういった始末の悪さも感染拡大防止対策の危機管理としなければならない。

 2020年1月15日に国内初の新型コロナウイルス感染例が報告されてから、国内での感染例が徐々に増えていき、2020年1月20日にヒトからヒトへの感染が確認されたにも関わらず、安倍政権は対策本部をすぐには立ち上げなかった。立ち上げたのはヒトからヒトへの感染が確認された2020年1月20日から10日後の2020年1月30日になってからのことだった。

 その日の「新型コロナウイルス感染症対策本部幹事会」での安倍晋三の発言。

 安倍晋三「新型コロナウイルスによる感染状況については、我が国でも昨日までに武漢滞在歴がない患者が2名報告されており、その方を含め8名の患者が確認されています。加えて、昨日(1月29日)、帰国された方のうち、3名の方がウイルス検査の結果、陽性であったことが確認されました。現在、専門の医療機関において、入院・治療に当たっています。今回、このうちお二人の方は、無症状でありました。無症状であるにもかかわらず陽性反応が出たということを踏まえれば、これまで実施してきた水際対策などのフェーズを、もう一段引き上げていく必要があります。

 感染拡大防止のため、これまでのサーベイランス(調査監視)の考え方に捉われることなく、あらゆる措置を構じてまいります。武漢市などに滞在歴がある全ての入国者を対象として、症状の有無に関係なく、日本固内での連絡先等を確認し、健康状態をフォローアップする仕組みを導入します。
 今後も、今回のウイルスの特性をしっかりと踏まえながら、感染拡大の防止を何よりも第一に、事態の推移を十分に注視しながら、これまでの発想に捉われることなく、柔軟かつ機動的な対策を構じてまいります」

 以下は2月5日当日の210名の日本人の武漢から帰国に関しての発言だが、最後に次のように述べている。

 安倍晋三「各閣僚におかれては本対策本部の下、これらの取組を連携して速やかに実施してください。今後とも、情勢変化を踏まえなから政府一丸となって、何よりも国民の命と健康を守ることを最侵先にやるべき対策を躊躇なく決断し実行してください」――

 「我が国でも昨日までに武漢滞在歴がない患者が2名報告されており」と言っているが、武漢滞在歴がなくても、武漢在住訪日中国人との何らかの接触によってヒトからヒトへの感染が国内日本人に既に発生していることから、日本人から日本人へのヒトからヒトへの感染へと場面が変わる状況をも予測内に収め、さらに1月29日に政府のチャーター便で中国から帰国した日本人の中に3名がウイルス検査の結果、陽性であったものの、この内の2名が無症状(無症候病原体保有者)であったことから、検査前に、あるいは検査を経ないままにウイルスが消滅する、あり得る事例が感染経路を辿る作業を困難にすることをも予測する危機管理意識を持った、「これまで実施してきた水際対策などのフェーズを、もう一段引き上げていく必要があります」の発言だったはずである。

 特に危機管理意識を働かせなければならない点は中国人から日本人へのヒトからヒトへの感染に代わる日本人から日本人へのヒトからヒトへの感染でなければならない。なぜなら、中国人訪日客が大挙押し寄せていたときであっても、中国人と日本人の接触よりも、日本人と日本人の接触の方が圧倒的に多いから、感染の機会が増えると考えなければならないからである。

 香港在住の80歳の男性が1月17日に飛行機で来日、1月20日に横浜港から乗客・乗員合わせて約3700人のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船、横浜港出港1月20日から香港入港1月25日までの6日間のクルーズの旅を楽しみ、香港で下船後、乗船前からの風邪の症状が悪化したことから検査を受けたところ、新型コロナウイルスへの感染が確認されたという。

 「ダイヤモンド プリンセス」は2月3日夜に横浜港に戻り、沖合に停泊、厚労省は検疫法に基づく臨船検疫を開始し、翌々日の2月5日にマスコミが乗船者10人から新型コロナウイルスの陽性反応が出たと報道。

 2020年2月5日6時14分から同29分までの《新型コロナウイルス感染症対策本部第5回会議》(首相官邸サイト)

 安倍晋三「2月3日に横浜港に到着したクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』については、先月末に香港で当該クルーズ船から下船した方が新型コロナウイルスの感染が確認されたことを踏まえ、検疫法に基づく臨船検疫を実施しております。現在も継続中ですが、船内において発熱等の症状のある方、濃厚接触者の方などの検体採取をし、分析を進めています。

 そのうち、現在までに10名の方から陽性反応が出たことから、検疫官付き添いの下、これらの方々には下船いただき、神奈川県内の医療機関にて措置入院をしています。残る乗員・乗客には、最大14日間の潜伏期間を想定することが必要であることを踏まえ、当面上陸を認めないこととし、必要な期間船内に留まっていただき、感染を予防する行動を徹底しつつ、各自の客室で待機していただいています。

 大型客船内での集団感染という新たな事態の発生に直面しましたが、乗員・乗客の方々の健康状態に十分配慮しつつ、感染の拡大防止に向けて万全の対策を講じなくてはなりません。船内で必要となるマスク等の衛生用品や医薬品、生活物資の支給に加え、今後、医師や看護師等を派遣し、乗客・乗員の健康の確保に万全を期してください。関係省庁は引き続き緊密に連携し、冷静に対応を進めていってください。

 また、水際対策の強化はもとより、国内の検査体制や相談体制の充実・拡大といった蔓延防止対策の強化も喫緊の課題です。現在、国立感染症研究所や地方衛生研究所で行っている検査について、民間の検査機関においてもできる体制の構築に向け取り組んでいるほか、全国の自治体や関係団体において相談体制を充実しているところでありますが、引き続き体制の整備に向けて取り組み、国民の不安や声をしっかりと受け止めてください。

 引き続き、対策本部を中心に何よりも国民の健康と命を守ることを最優先に、やるべき対策を躊躇なく決断し、実行してまいりますので、各位にあっても引き続きよろしくお願いいたします」――

 「残る乗員・乗客には、最大14日間の潜伏期間を想定することが必要であることを踏まえ、当面上陸を認めないこととし、必要な期間船内に留まっていただき、感染を予防する行動を徹底しつつ、各自の客室で待機していただいています」と、「ダイヤモンド・プリンセス」の船内に集団隔離する中で検疫を進める対策を取った。

 この14日間、なるべく個室から出ないように通達されたと言うが、乗客が個室を出なくても、乗員が各個室を訪れなければ、買い置きの食材を保存しているわけはないだろうから、生命維持を図ることはできない。特に高齢者は、何らかの持病を抱えているなら、なおさら、体力の維持に極力務めなければならない。不安や食事制限、あるいは食事時間の不規則化等々を受けた体力低下、気持の不安定化はヒトからヒトへの感染に対する予防を体力的にも精神的にも強化するどころか、逆に脆弱化することになるからだ。

 当然、乗員は食事に限って手抜きなく調理した料理を時間を厳格に守り、各客室を訪れてルームサービスを行い、決めた時間に食器類を下げなければならない。食事が来る時間や食器類を下げる時間が遅くなった場合、客室という密閉空間に閉じ込められた乗客が、高齢者や持病を抱えた乗客程、何か不穏なことが起きているのではないかと気持の不安に駆られた場合、ヒトからヒトへの感染の隙きを与えない保証はない。

 乗客を客室に閉じ込めておいたとしても、乗員が食事やその他の用事で各客室を次々に回って異なる乗客と複数回接触し、その過程で他の乗員と接触していく中で乗客から乗員への、あるいは逆に乗員から乗客への、さらに乗員から乗員へのヒトからヒトへの感染が決して発生しないと断言はできるのだろうか。

 当然、このことを予防するためには乗員全てが防護服でしっかりと身を固めて、各客室を訪れる体制を取らなければならない。安倍晋三はこういった危機管理意識に立った指示を出した上で、「感染拡大防止のため、これまでのサーベイランス(調査監視)の考え方に捉われることなく、あらゆる措置を構じてまいります」と広言したのだろうか。

 あるいは「今後も、今回のウイルスの特性をしっかりと踏まえながら、感染拡大の防止を何よりも第一に、事態の推移を十分に注視しながら、これまでの発想に捉われることなく、柔軟かつ機動的な対策を構じてまいります」と請け合ったのだろうか。

 さらに「今後とも、情勢変化を踏まえなから政府一丸となって、何よりも国民の命と健康を守ることを最侵先にやるべき対策を躊躇なく決断し実行してください」と指示、その指示の先頭に立つ気構えを示したのだろうか。

 大体が「最大14日間の潜伏期間を想定」して上陸を認めないという措置にしても、集団隔離である以上、潜伏期間最終日の14日目にヒトからヒトへの感染を受ける可能性は否定できないのだから、「14日」という日数は合理的根拠を失う。合理的根拠を保つためには乗客・乗員合わせて約3700人を厳格に個別隔離するか、先に挙げたように乗員全てが防護服に身を固めて、乗客は各客室にとどめる以外に方法はないはずである。

 安倍晋三は検疫法に基づく臨船検疫の結果、「現在までに10名の方から陽性反応が出た」と発言しているが、乗客・乗員合わせて約3700人のうちの何人を検査したのかは2020年2月5日付「日経電子版」が詳しく伝えている。

 乗客が提供したという記事添付の写真には男性検疫官は完全な防護服を身に纏っているようには見えない。検疫官の周りにいるのは乗員なのだろう、マスクに手袋といった軽装となっている。この点からもヒトからヒトへの感染に対する危機意識を強く感じることはできない。

 「ダイヤモンド・プリンセス」に対する検疫法に基づく臨船検疫の最初の検査対象は乗客・乗員合わせて約3700人のうちの273人で、結果判明者が31人、そのうちの10人から陽性反応が出たと記事は解説している。特に自覚症状がひどい乗客を選んで優先的に検疫したのだろうが、それにしても約3対1という感染率は高い。この時点で当然、ヒトからヒトへの感染に対する危機意識を強めなければならなかった。

 2020年2月12日午前のマスコミ報道の時点で「ダイヤモンド・プリンセス」で新たに乗客29人と乗員10人の合計39人と、ご丁寧にも検疫官1人の感染が確認され、乗客・乗員を合わせた感染者は締めて174人となった。その多くが軽症者だそうだが、軽症者から次のヒトからヒトへの感染が軽症を保証するわけではない。それが高齢者や病身であった場合は軽症の保証率は低くなる。当然、軽症者が多いからと言って、ヒトからヒトへの感染防止対策の手を緩めることはできない。

 検疫官は2月3日から4日まで船内で乗客の体温の測定や質問票の回収業務を行っていたが、医療用マスクや手袋を着用し、作業ごとに消毒をしていたというが、防護服は着用していなかった。この点からもヒトからヒトへの感染に対する危機意識が相当に低い。

 この危機意識の低さは安倍政権の危機意識の低さの反映であろう。

 2020年2月16日付「NHK NEWS WEB」記事が、「ダイヤモンド・プリンセス」で新たに70人の感染が確認され、乗員・乗客で感染が確認されたのは合わせて355人となったと伝えている。

 新たな70人の感染者のうち、症状がない無症候病原体保有者は38人で、重症者は感染確認の全355人のうちの18人で、ほかに感染が確認されていない1人が重症だそうだ。残りは程度の差はあるものの、軽症者ということになるが、乗客・乗員合わせて約3700人のうち、検査が行われたのは1219人で、まだ約2481人を残している。

 例え軽症者が多数を占めていても、「ダイヤモンド・プリンセス」内外で既にかなりの人数の重症者を出していて、神奈川在住の80代女性を国内初の死者としている以上、今後とも重症者も死者も出ない保証は何一つない。「ダイヤモンド・プリンセス」に限って言うと、検査残りの2481人のうち、アメリカ政府がアメリカ人乗客380人のうちの希望者を昨晩2月16日夜にチャーター機でアメリカに帰国させ、カナダ政府も255人のカナダ人乗客のうち複数の感染者を残してカナダに帰国させると言うから、差し引いた1500人程度の検査を進めるうちに、新たなヒトからヒトへの感染が潜行する形でさらに広がることになるのか、既に終わっているヒトからヒトへの感染が検査結果として出てくることになるのか、前者・後者、どちらのケースであっても、終わらない状況として提示されることになるはずだ。

 こういったことは何もかも、多くの病院や国の宿泊施設に分離隔離することでヒトからヒトへの感染を防止しながら、多くの手で検疫を行い、陽性なら、さらに重症者・軽症者に分けて効率的に治療に当たるのではなく、クルーズ船という巨大な密室に防護服を身に着けさせることもなく、3700人もの乗客・乗員を閉じ込める形で集団隔離したために新型コロナウイルスの感染者を培養するような結果を招くことになった、ヒトからヒトへの感染に関わる無残な危機管理となったはずである。

 安倍晋三は「何よりも国民の命と健康を守ることを最侵先にやるべき対策を躊躇なく決断し実行してください」と指示を出しているが、「ダイヤモンド・プリンセス」に於けるヒトからヒトへの感染に関わる無残な危機管理からは人命を、当然その健康を尊ぶ意識は何ら見えてこない。
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安倍晋三「桜を見る会」権力及び予算私物化検察送致相当 内閣府大臣官房長大塚幸寛が決定的証言を提供

2020-02-03 08:50:02 | Weblog

 2020年1月27日午後の衆議院予算委員会での無所属の江田憲司と同委員会、無所属の今井雅人、1月29日参議院予算委員会での立憲民主の蓮舫の「桜を見る会」関係の安倍晋三に対する疑惑追及を順次取り上げることにする。既に百も承知なことのはずだが、安倍晋三が自身主催の公的行事「桜を見る会」を総裁選や参院選に利用したのではないのかとの権力の私物化・予算の私物化等の限りなく黒に近い疑惑を掛けられているが、にも関わらず、その疑惑の解明を困難にしているのは内閣府・内閣官房が安倍晋三に手を貸しているからこそである点に留意しなければならない。

 手を貸しているから、安倍晋三は疑惑が解明されないままにその地位が守られている。安倍晋三からすると、内閣府・内閣官房の手を借りて、自身の地位を辛うじて守っている。であるなら、内閣府・内閣官房が展開している疑惑否定の論理を先ずは打ち破らなければならない。重点的に攻めるべきは内閣府・内閣官房であって、重点性という点で、一番手の内閣府・内閣官房に対して安倍晋三は二番手に置かなければならないはずだ。

 
 〈2020年1月27日午後衆議院予算委員会〉

 江田憲司「今度またまた、公文書の廃棄でしょ。森友問題にもありましたよね。これね、私、信じられないですよ。招待者名簿を廃棄しました。去年分廃棄しました。

 官僚というのは古今東西、前例踏襲主義ですよね。人事異動も頻繁にある。後任の者はですね、前例を見て仕事を始める。会計検査院や色んなとこから後刻、検証が入る。そうしたときに書類、公文書を以って説明しなきゃいかん。それをね、この『桜を見る会』の招待者名簿を全部廃棄しましたって。

 到底ね、私もね、官僚やってましたし、官邸にもおりましたし、(内閣)総務官室にもおりまけど、信じられないんですよね。で、ちょっと通達をご覧頂きたいんですかどね。(掲載画像のパネルを出す)

 これ内閣府の官房の人事課が事務的に出している通達ですが、小さくて申し訳ないですが、この線を引っ張っているところ(下線箇所)、ご覧になってください。〈人選に当たっては、まあ、云々(「OBは避けて民間人を優先し」は省略)、原則として同一人が連続して招待を受けることがないよう配慮願います。〉

 こういう通達を毎年出してるんですよね。そしたら、前年分の招待者名簿、廃棄したっていうんだったらね、どうやって連続して招待しないっていうことをチェックするんですか

 大塚幸寛(政府参考人内閣府大臣官房長)「お答えいたします。あの、先ずその、昨年、一昨年のこの『桜を見る会』の名簿につきましては、会の終了を以って使用目的を終えるほか、個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理すると、そういった必要が生じるため、これは公文書の管理ルールに基づきまして、保存期間を1年未満文書として会の終了後、遅滞なく廃棄をすることとしたものでございます。

 そうした中で毎回各省から推薦を頂き、私ども内閣府・内閣官房として取り纏めを行ってきたところでございます」
 
 江田憲司「(席に座ったまま)どうやってチェックしたのか。(挙手して立ち上がってから)全く答えていない。僕が聞いているのは、どうやって重複を排除、チェックするんですかっていうことなんです。何という答えなんです」

 大塚幸寛「あの、お答え致します。各省からそういった方をお願いした上で、その上で各省から推薦されてきた者に対しまして私共、内閣官房・内閣官房として(ママ)、それを踏まえて取り纏めたものがございます」

 江田憲司「国民の皆さん、常識で考えてほしいんですね。これ(「通達」のパネルを指差して)出している張本人ですよ、通達を(大塚を指差す)。

 重複を排除、連続して招待するのを。その元締めの張本人がチェックできないように廃棄しているんですね。これはもう、官僚の常識では考えられません。官邸から指示があったんでしょ」

 大塚幸寛「お答えを致します。内閣官房等から推薦を依頼する際に、同一人が連続して招待を受けることがないようにするといった点も、そうお願いしたのも事実でございますし、それを一つの要素として配慮をしてございます。

 ただ、その上で基本的に招待者の推薦に当たりましては、氏名や役職等の情報を頂いておりまして、こういう情報をもとに私どもとしては取り纏めを行っているとこでございます。

 個々の推薦者、招待者等は違いますが、過去に招待した方はお呼びしないというのは難しい場面もあったのではないかと考えております。また、いずれにしましても、こうした運用を反省致しまして、今後、招待基準の明確化、招待プロセスの透明化等を検討して、全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら、行う必要があると考えてるところでございます」

 江田憲司「役人にこれ以上求めても、可哀想なんです。非常識な事やってるんだっていうことはよくお分かり頂けたと思いますよ。総理ね、あると思いますよ。身に覚えがないと、指示したことなんかないと仰るんなら、厳正に調査を命じられたら、どうなんですか」

 江田憲司は大塚幸寛への追及を打ち切る。

 以下、安倍晋三が「桜を見る会」権力及び予算私物化疑惑払拭の常套句を江田憲司に対しても使っていたから、このことを裏返すと、追及野党議員は安倍晋三に対してこの常套句の活用をいつまでも許していることになるのだが、ここに挙げておく。

 安倍晋三「『桜を見る会』についてはですね、昭和27年以来、内閣総理大臣から各省庁等からの意見を踏まえ、功績・功労のあった方々などを幅広く招待し、日頃のご労苦を慰労すると共に親しく懇談する内閣の公式行事として開催しているものであります。同会については長年の慣行の中で行われてきたところではありますが、様々な分野や地域で頑張っている方々を幅広く招待してきたことの積み重ねで、結果的に招待数が膨れ上がってしまった実態があり、そのことは反省しなければならないと考えております」

 安倍晋三「招待基準が曖昧であったためにですね、歴代内閣に於いても、地元の方々の出席はあったわけでございます。それは先般、様々な質疑の中でですね、我々も見てきたところでございますし、私も経験から、それは知っているわけでございますが、私の事務所に於いてはですね、内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く、参加者を、希望者を募り、推薦を行っていたところでございます。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、事務所を通じた推薦以外は行っていないということでございます。

 他方ですね、繰り返しになりますが、『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者について最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところでありまして、ということであります」

 江田憲司「政府の公式行事、税金で賄われている行事に総理の後援会の地元のみな様をご招待しようと、そう思われたのは私には信じられないんですね。小泉純一郎元総理、地元の人を呼ぼうなんて考えもしなかった。

 私がお仕えした橋本総理のときもね、『桜を見る会』ありましたが、改めて当時の担当者に確認を致しましたけれども、地元の後援会の人は一切呼んではいません。

 これが常識なんじゃないでですか。これが総理大臣たるモラルなんじゃないでしょうか。最低限の。

 だから、私には率直にお伺いしたいんです。どういう発想で地元の後援会の、しかも800人から、1000人ですか、呼ぼうと思われたんですか」

 安倍晋三「一人も呼んでいないというのはですね、事実ではないと、だからいいということを申し上げているのではなくて、ほかのときに一人も呼んでいなくて、私のときに増えたということではないわけでございまして、小泉政権のときは1年分だけ、国立公文書館に残っているわけでございます。

 ですから、申し上げているわけでございますが、今申し上げましたようにですね、私の事務所に於いて内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加がふさわしいと思われる方を始め、幅広く、参加者を(ヤジ)、これは同じ質問されておりますので、同じ答えしかできないということでございまして、お答えをさせて頂いているわけであります。

 私の事務所に於いてはですね、内閣官房からの依頼に基づき後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加者を募り、推薦を行ってきたところでございます」

 先ず江田憲司は内閣府内では事務次官、審議官に次いでナンバースリーの地位にある大臣官房長である大塚幸寛に「前年分の招待者名簿、廃棄したっていうんだったらね、どうやって連続して招待しないっていうことをチェックするんですか」と尋ねた。

 対して大塚幸寛は3度目に立った答弁、「内閣官房等から推薦を依頼する際に」云々と言ったあとで、「基本的に招待者の推薦に当たりましては、氏名や役職等の情報を頂いておりまして」と発言、要するに内閣官房等から官邸、各省庁、自民党等々に「桜を見る会」の参加者の推薦を依頼し、その後届く推薦者名簿に記載の「氏名や役職等の情報」に基づいて招待者の取り纏めを行ったとの趣旨となる。

 と言うことは、招待者の取り纏めに際して前年の招待者名簿を使用するわけではないから、公文書管理法の改正に基づいて1年未満廃棄に処したしても、何の差支えもないのだと答弁したことになる。

 では、なぜこのことを最初の答弁で直接的に触れなかったのだろう。触れていたなら、答弁は一度で済んだ。一度で済まさずに3度目の答弁で初めて明かした。この手際の悪さはどのような意味があるのだろう。

 江田憲司がパネルで示した、2019年1月25日に内閣府大臣官房人事課記録・調査課が内閣府各部局庶務担当者宛に出した(「桜を見る会」招待者の推薦について〉の通達に記した「招待者の人選方法」〈人選に当たっては、OBは避けて民間人を優先し、原則として同一人が連続して招待を受けることがないよう配慮願います。〉の順守事項を推薦者名簿を使用して守るためには、江田憲司が言っている"同一人物重複排除チェック"を推薦者名簿上で行うためには推薦者名簿が「氏名や役職等の情報」のみの提供では不可能で、「招待履歴」の「有・無」を問う欄が設けられていて、その情報をも提供されていなければならない。

 そのようになっていたなら、「招待履歴」の「有・無」の欄に過去に招待されていながら、「無」の方にチェックを入れた場合は少数の例外として「同一人が連続して招待を受ける」ケースが生じるが、その他大勢の重複は簡単な事務作業で避けることが可能となる。

 だが、大塚幸寛は推薦者名簿に「招待履歴」の「有・無」の情報を問う欄が設けれれていて、その情報に基づいて、"同一人物重複排除チェック"を行っていたとは言っていない。
 事実、ネット上から探した、〈2019年11月22日に参院予算委理事懇談会へ提出した推薦者名簿〉なる画像には「招待履歴」の「有・無」を問う欄は設けてはいない。サイズが小さくしてあって、字が満足に読み取れなかったから、「氏名や役職等の情報」の「等」の部分が記されている名簿の右端だけを拡大して字を読み取り、エクセルで書き直して、それを画像に直したものをここに載せておく。

 もし「招待履歴」の「有・無」を知ろうとするなら、「備考」欄で問うことができるが、問うための断りの文字は記入されていないし、大塚幸寛にしても、「備考欄に招待履歴の有無を記入するようにお願いしていて、その有無で重複を避けるチェックをしていた」とは言っていないし、そのような要請を出していたなら、5年連続で「桜を見る会」に招待された福岡市長のような例は出てこない。

 内閣府の役人は推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみから、できようはずもないにも関わらず、重複回避のチェックを行っていたことになる。大塚幸寛はそうすることができる可能性を問われないうちに前以って「同一人が連続して招待を受けることがないようにするといった点も、そうお願いしたのも事実でございます」が、「過去に招待した方はお呼びしないというのは難しい場面もあったのではないかと考えております」と、さも推薦者名簿から曲がりなりにもチェックを行うことができたかのように装わせて、できるかできないかの可能性を問われることを巧妙に避けたのだろう。

 このことの裏をかいて、当然、推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみから"同一人物重複排除チェック"を具体的にどう行うことができたのかを問わなければならない。

 もう一つ、招待者の取り纏めに当った内閣府の役人は招待基準としている「功労・功績のあった方」を推薦者名簿記載の「特技大学」を含めた
「氏名や役職等の情報」のみから、どのように判断したのだろうか。 

 もし判断できたとするなら、次の三つの方法に限られるはずである

① 推薦者名簿に載る前に「功労・功績」のチェックを受けていて、合格した人物のみが名簿に記載されている。
② 推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のうちの「特技大学」を含めた「役職等の情報」をそのまま「功労・功績のあった方」の情報だとスライドさせて、
 ノーチェック・フリーパスとした。
③ 内閣府の役人が千里眼を持ち合わせていて、推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」だけから「功労・功績のあった方」を見抜くことができた。

 ③の場合は面識のない人物から受け取った名刺の氏名と肩書から、その人物の「功労・功績」の有無までを直ちに見抜くことができるような千里眼相当を持ち合わせていなければできないが、内閣府の役人だろうが、誰だろうがそのような千里眼を持ち合わせているはずはないから、より現実的な方法として、①か②のケースでなければならない。

 2020年1月29日午前、参議院予算委員会質疑

 安倍晋三が常々「私の事務所では後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っている」と発言していることに対しての質問。

 蓮舫「総理、幅広く募った参加希望者にふさわしいかどうかの条件はつけましたか」

 安倍晋三「当然、ふさわしいと思われる方をですね、幅広く募ったということです」

 蓮舫「条件をつけましたかって聞いているんです」

 安倍晋三「ふさわしいものと思われる方ということは、当然、その前提ではございます」

 蓮舫「資料で安倍事務所が作った『桜を見る会』の参加申し込み、このどこに『ふさわしい』という項目がありますか」

 安倍晋三「これはですね、事務所が、いわば幅広く参加者を募り、推薦を行っているところであります。それが実際にふさわしいかどうかということについてはですね、官邸・内閣府(?「内閣官房・内閣府」ということか)で取り纏めているということでございます」

 蓮舫「安倍事務所が『ふさわしいと思われる方を幅広く募った』。今の答弁では官邸事務所、内閣・内閣官房がふさわしいかを決める。安倍事務所ではふさわしいかを調べてないじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように安倍事務所としてふさわしいかどうかを考えているわけでありますが、それをさらに内閣府に於いてですね、取り纏めをおこ(蓮舫が何か異議を述べたのか)、同じことを言っていると思いますが、それを内閣府に於いてですね、それをチェックをして、チェックをして、取り纏めを行っているということでございます」

 蓮舫「安倍事務所としてふさわしいと考えている人を募った。でも、この資料を見ると、『ご家族、知人、友人はコピーをご利用してお申し込み下さい』  
 コピーを使って、『桜を見る会』に行きたいと申し込んだ人はどうやってふさわしいと安倍事務所では判断したのですか」

 安倍晋三「その上でですね、事務所として内閣府に推薦しているということであります」

 安倍晋三(答弁のやり直し)「先程既に申し上げているんですが、事務所でふさわしいと考えているものが果たして基準に合っているかどうかということについては内閣府で最終的にですね、取り纏めを行う際に、この、いわばチェックをしているということでございます」

 蓮舫「コピーで申し込んだ人を安倍事務所はどうやってふさわしいと判断して、内閣官房に提出したんですか」

 安倍晋三「安倍事務所としてですね、いわば申し込んで頂いた方々等について、推薦を頂いているのを、それぞれ、その前にですね、後援者の推薦を頂いているので、その段階でふさわしいものと考えているということでございます」

 蓮舫「ご家族、知人、友人、コピー利用した人はどうやってふさわしいかと分かるかって、凄くシンプルなことを聞いているんですよ」

 安倍晋三「それはですね、安倍事務所が推薦をする、ふさわしいと思って。その段階では推薦をしているわけでございますが、内閣官房が確認した結果ですね、私の事務所から推薦を行った者で招待されなかった例もあったものと承知をしております」

 安倍晋三(答弁のやり直し)「もう既に何回も答弁させて頂いているのですが、これは事務所の方でですね、事務所の方で色々な方々に推薦を頂いたことも含めてですね、地方でありますから、これは大体、どう(いう)人かってことは分かっているわけでありますから、それを推薦してですね、それを先程申し上げましたようにふさわしいかどうかは内閣府に於いてチェックをするということでございます」

 蓮舫「確認ですけど、出席希望者の推薦を受けた安倍事務所はふさわしい確認などの作業をした上で内閣官房に名簿を提出するんですか」

 安倍晋三「基本的にですね、事務所に於いてですね、チェックするという形はそれぞれ限界があるわけでありますから、誰かの推薦があれば、これはふさわしいだろうと、そういう認識の基に。最終的な責任を負うのは内閣府に於いてですね、内閣府に於いてそれを取り纏めを行っている中に於いてふさわしいかどうかということを含めて、取り纏めを行っているということでございます」

 蓮舫「何もやっていないとしか受け取れないんですけど――」

 官房長官の菅義偉に質問を振り向けて、招待者名簿の再調査はしないのかの確認を求める。

 蓮舫がすべきことは安倍後援会事務所が内閣官房・内閣府が決めた招待基準である「功労・功績のあった方」であるか否かを調べた上で、「桜を見る会」に招待されるにふさわしいと見て、推薦者名簿に名前を連ねたのかどうかであって、それ以外の追及は時間の無駄でしかない。

 調べた上で推薦者名簿に名前を連ねたとすると、内閣官房・内閣府側は推薦者名簿に記載されている被推薦者が「桜を見る会」の招待基準に合致するか否かを検証する必要はなく、そのまま招待基準に合致する人物と見て、単に割り当てた人数に絞り込むだけの作業で済ますことができる。割当人数を超えていた場合は削って、2019年1月25日に内閣府大臣官房総務課が各所に通達した2019年4月13日の〈「桜を見る会」開催要領〉が招待人数を「計約1万人」としていた範囲内に収めなければならない。

 ところが、実質的な招待者は1万5千420人に膨れ上がっていた。報道によると夫婦同伴の夫人側の人数700人を計算に入れていなかったということだから、1万5千420人という人数にしても、少なく見せかける仕掛けが施された1万5千420人である可能性は否定できず、信用できない。

 安倍晋三はここで取り上げた最後の答弁で蓮舫に対して「基本的にですね、事務所に於いてですね、チェックするという形はそれぞれ限界があるわけでありますから、誰かの推薦があれば、これはふさわしいだろうと、そういう認識の基に。最終的な責任を負うのは内閣府に於いてですね、内閣府に於いてそれを取り纏めを行っている中に於いてふさわしいかどうかということを含めて、取り纏めを行っているということでございます」と、最初から繰り返し言っていたことを纏めている。

 つまり安倍事務所は「桜を見る会」への参加希望者を募る際、その参加希望者に対して内閣官房・内閣府が「功労・功績のあった方」としている招待基準に合致しているか否かのチェックは行わずに、自分たちの基準でふさわしいと見た人選を行い、それを纏めた推薦者名簿を内閣官房・内閣府に送った。

 しかも安倍晋三は参加希望者に対して「招待履歴」の「有・無」を問うことをしたか否かに関する発言は何もしていないのだから、内閣官房・内閣府は推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみから、同一人物の重複を排除するチェックを、どういう方法で行うことができたのか不明だが、少数の洩れはあったとしても、行うことができたことになり、なおかつその情報のみから招待基準としている「功労・功績のあった方」を抽出・取り纏めを、これもどういう方法で行うことができたのか不明だが、行ったことになる。

 抽出・取り纏めを可能とする三つの方法を江田憲司の質疑に続けて挙げて、現実的な方法を二つに絞ったが、①の〈推薦者名簿に載る前に「功労・功績」のチェックを受て、合格した人物のみが名簿に記載されている。〉は、実際はしていなかったのだから、早々に外さなければならない。

 となると、残る②の〈推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のうちの「特技大学」を含めた「役職等の情報」をそのまま「功労・功績のあった方」の情報だとスライドさせて、ノーチェック・フリーパスとした。〉が有力な取り纏めの方法ということになる。

 2019年の「桜を見る会」には安倍晋三の地元から850人も招待されたというが、それが安倍晋三が言っている「後援会の関係者を含め、地域で活躍されている」人物だとしても、取り纏めた結果、850人だとするなら、それ以上の参加希望者の「功労・功績」を推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみからでは、いくら内閣官房・内閣府の役人が優秀であっても、見て取ることはで土台無理な話であるし、招待履歴の情報を欠いていたなら、誰が前年の招待と重複しているかどうかのチェックも不可能そのものであるはずだ。

 大塚幸寛は江田憲司から、「前年分の招待者名簿、廃棄したっていうんだったらね、どうやって連続して招待しないっていうことをチェックするんですか」と追及され、答弁に窮して、推薦者名簿を持ち出し、そこに記載の「特技大学」を含めた「氏名や役職等の情報をもとに私どもとしては取り纏めを行っている」と事実でないことを口にして、さも事実そのとおりに推薦者名簿から全ての事務を行ったかのように装ったに過ぎない。

 そのように装えば、招待者名簿を廃棄したとしても取り纏めを可能とすることができたとすることができるし、招待者名簿の廃棄自体も正当化し得る。共産党衆院議員の宮本徹が招待者名簿の資料請求をした当日に名簿をシュレッダーに掛けたことも、情報隠蔽ではないことの証明とし得る。

 それが装いではなく、事実そのものであるなら、最初に答弁に立ったときにこのことを告げていたはずである。事実でないからこそ、3回目の答弁で口にすることになったはずだ。廃棄した前年の招待者名簿に代えて、重複チェックできる文書を挙げなければならなかった。そして挙げるまでに時間を要した。

 招待基準に合致しているか否かのチェックは行わずに、安倍事務所や官邸側が自分たちの基準でふさわしいと見た人選を行い、それを纏めて内閣官房・内閣府に送った推薦者名簿なのだから、その推薦者名簿の「特技大学」を含めた「氏名や役職等の情報」からどう逆立ちしても、重複チェックも、招待基準の「功労・功績」に合致しているか否かのチェックも、できようはずはないのだから、②の〈推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のうちの「役職等の情報」をそのまま「功労・功績のあった方」の情報だとスライドさせて、ノーチェック・フリーパスとした。〉としか看做すことはできない。

 このように内閣官房・内閣府が事務に関わる事実ではないことを事実であるかのように装うこと自体が、安倍晋三の「桜を見る会」の権力の柄私物化・予算の私物化は単なる疑惑ではなく、事実そのものの証明となる。内閣府・内閣官房は国会答弁や理事懇談会答弁等を使って、安倍晋三に事実隠蔽の手を貸して、その地位の保全を謀っている。 

 次の国会質疑でも、内閣府のおエライさん、内閣府大臣官房長の大塚幸寛は事実でないことを事実であるかのように装わせている。

 2020年1月27日午後衆議院予算委員会

 今井雅人「(『桜を見る会』)総理は答弁の中で年を経るごとに人数が多くなったことは反省しなければならないというふうに謝罪をしておられます。それでですね、役所の方から毎年の招待者数っていうのが平成25年からずっとこう頂いておるんですけども、平成17年の分も、これ国立公文書館から出てきておりますが、これを見る限りですね、いわゆる省庁からの、大体みな同じ形式はなんですけど、省庁を見ると、(省庁)からの推薦ですが、それ以外のところは、殆ど何も数字が変動がなくて、変動しているのは、読みますかね、各界功績者、カッコ総理大臣カッコ、ここの部分だけが急増しているということなんですけども、つまり(安倍晋三が)人数が多かった(増えた)ことは反省しなければならないっていうのはこの各界功労者カッコ総理大臣等カッコっていうところが増えてしまったことを反省してる ということでよろしいですね」

 安倍晋三「全体としてこの数が増えてしまったということを申し上げているわけでございますが、今井委員が今分析して仰ったわけでございまして、いわばそれも含めてですね、反省をしてるということでございます」

 今井雅人「質問通告もしていますし、これ頂いたものをちゃんと見るんですけれども、大体各省庁の各界功績者ってのは大体2千2百か、2千4百ぐらいなんですね。ところが、総理等の功績者のとこは7千5、6百ぐらいから9千台、伸びていて、ほかのところは殆ど変動がありません。

 増えているのはここというのは数字上、明白なんですけれど、その確認です。それでよろしいですか」

 安倍晋三「それは増えていることだと思います」

 今井雅人「その上でですね、その先程総理がどういう方を呼んだんですかってことを話されましたけれども、正確に聞き取れなかったんですが、後援会の方も含め、功績があった人たちを推薦しているということでありますので、このここの増えてる分というのは、そういう方だけを推薦してきたってことなんですか。それで増えたんですか。

 それとも、広く一般の方に呼びかけをして、ちゃんとした、この人はどういう功績があってということをチェックをしないまま広く集めたのか、どちらですか」

 安倍晋三「これは党も含めてですね、広く呼びかけた結果であるということでございますが、最終的には内閣官房・内閣府に於いて取り纏めを行ったということでございます」

 今井雅人「これ、あの安倍事務から作られたっていうことを確認されている『桜を見る会』の案内なんですけれども、まあ、これを見ると、安倍事務所の方で広く色んな方にこの『桜を見る会』に参加しませんかということをお声かけをしていますよね。このときに、それぞれお声かけをするときにこの方はこういう功績がある方、この方はこういうことで呼ぶ。そういうことをちゃんと決めて、(案内状を)送っておられるのですか」

 安倍晋三「事務所を、私の事務所に於いて内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っているところでございますが、その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともありましたが、実際の事務所に於ける推薦作業の詳細は私は承知はしておりません」

 今井雅人「ちょっと表現(?)が分かりにくいんですが、功績のあった方とそれから後援会の方と、それぞれ別々ってことですね。今の表現は」

 安倍晋三「私も詳細については承知していないのでございますが、後援会の方とですね、功績のあった方。あるいはその功績、主な方はですね、後援会活動をやっている方は様々な地域活動をやっておられる方が実際ですね、多いということではないかと、こういうふうに思います」

 今井雅人「恐らくですね、そういうのをお声かけをするときには、まあ皆さん、それぞれ後援会があるでしょうから、後援会名簿があって、それに従って、皆さん(案内状を)送ってらっしゃると思うんですね。それで参加をされました。で、取り纏めをします。

 この取り纏めをどこがやっているかといったら、安倍事務所ですね。ま、ちょっと確認します。この『桜を見る会』のツアーと言うと、この会の主催は安倍晋三後援会ということでよろしいですね。

 いやいや、『桜を見る会』のツアーとそれから前夜祭も含めて、一連のものの主催は安倍晋三後援会ってことでよろしいですね」
 
 安倍晋三「前日の夕食会はですね、これは後援会でありますが、ツアーそのものは、これは旅行代理店ということであります」

 今井雅人「それはおかしいですよ。それは安倍事務所が皆さんにお声かけをしてですね、参加されますかということまでツアーの全部をご案内もして、往復飛行機の手配については安倍事務所で手配するか、自分で手配するかですね。

 宿泊ホテルについては安倍事務所で手配か、自分で手配かって、こういう項目まであるんですよ。これは主催は安倍晋三後援会で、旅行代理店とは代理店ですから、エージェントですから、後援会の代理店として事務を扱ってると、そう考えるのが普通だと思いますが、如何ですか」

 安倍晋三「厳密に言えばですね、そうではなくて、私の事務所が支援をしたという立場でですね、いや、これは、いわば主催というのはですね、これは厳格に言えば、主催はですね、旅行代理店になるということあります」

 今井雅人「いや、ちょっと、それは僕もびっくりいたしました、その答弁は。安倍事務所の後援会が皆さんにお声かけをして、ツアーを組むんでしょ。なぜ主催が旅行代理店なんですかね。

 それはちょっとおかしい、ま、もう一回お願いします」

 安倍晋三「それは少し誤解をされているんだと思いますが、いわばこれはですね、旅行を企画して、実行する主たるそれを事務代理を行った者としてはですね、当然、旅行代理店でありまして、いわば安倍事務所、あるいは後援会はですね、この旅行自体をですね、運営するものではない。当然、旅行自体を運営するものではないわけでございますから、それを主催者ということは言えないと、それを主催者とは言えないと、正確性を期してそう申し上げているわけであります」
 今井雅人「安倍事務所に返信のように全部コースも作って、返事を全部安倍事務所が取り纏めるっていうのを旅行代理店が主体で、私達は手伝っているというのはちょっと、私は納得がいきませんが、すいません、時間がありませんので、次に行きます。

 あのー、これですね、平成17年の『桜を見る会』、これあの、共産党の宮本議員が入手されたものをちょっと使わせて頂いてるんですけど、ここを見ますとですね、『分野別招待者数』ってのがありますが、そこの横(「招待者内訳』項目欄の左横)に分別してる番号があります。

 この『60』番というのを見ると、『総理大臣』て書いてあります。『総理大臣』。それでですね、(各大臣に)資料にもお渡ししていますが、これと同じものが出てきているものの中に招待者数、ちょっと写真なんで見づらいんですけど、『招待者数』っていうのを皆さんにつけているんですが(『招待者数』なる資料を皆さんにお渡ししているという意味か)、実はこの『招待者数』っていうこの形式、平成31年、30年ずっと続いて来ているものの形式と全く同じなんですね。

 先程まさに菅官房長官おっしゃってましたけど、その役所は前例主義、前例踏襲主義いうふうに仰ってましが、そのまさに典型なんですよ。ずっとこの招待者数のカテゴリー、皇族から各国大使館って順番に順番に並んでいるんです。

 この分野別の招待者数も、それと同じふうに並んでいます。恐らくこれも前例主義ですから、踏襲されてるはずです。と言うことは、今も『60』というのは総理大臣なわけだったんです。こういうことになると思うんですけども、如何でしょうか」

 大塚幸寛(政府参考人内閣府大臣官房長)「委員指摘のこの番号につきましては、招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付与してるものでございまして、会の終了を以って使用目的を終え、またその招待者名簿については破棄するため、個別の番組については定かではないということでございますから、その上でその関係者から過去の取り扱いも含めて、聞き取りを行いました。

 その公文書館のものはもう既に10年以上の前ということで、正直、確認することはできませんが、聞き取りを行ったところによれば、その区分番号の『60』番台はこれが從來から官邸や与党の関係だったと思うと、ことだったという、その報告を受けたところでございます」

 今井雅人「そういう答弁をしているから、誰も信用できなくなるんです。聞いている方、皆おかしいと思いますよ。だって僅か数ヶ月前に実務やってらっしゃるんでしょ。それぞれの番号をつけて、封入して、送付する。そういう作業をやっておられるわけじゃないですか。それがもうないから分からないで。本当ですか?」

 大塚幸寛「お答え致します。まさしくその封入、招待状の発送、効率的に行うために便宜的に付与しているということでございまして、その会の終了を以って目的を終えることから、あの、担当者の記憶と致しましても、定かのものがないということでございます」

 今井雅人「ちょっと、ボク、あの、承服できません。実務を行うために便宜的に番号振っているわけですけども、それは便宜的に番号を振るんですから、番号それぞれにはちゃんと分類があるはずですよね。誰でも分かります。

 何を隠してるんですか。何を庇ってるんですか。僅か数カ月後、しかもですよ、これ毎年作ってらっしゃるんでしょ。毎年全部廃棄している、今年、また新しいもの作るんですか。当然、昨年のものを見ながら、また作るんじゃないですか。これ残ってますよ。

 残ってなかったら、どうやって実務やっていくんですか。皆さんは都合のあまり、悪くはない、こういうものは出してこられるけれども(手に持った用紙を示しながら)『60』番は総理大臣だと特定されて困るようなものは出してこないんですよ。今説明聞いて、確かになって、内閣府の言うとおりだなっていうふうに思える方いらっしゃると思いますか。

 もう一回説明して下さい。ちゃんと本当のことを」

 大塚幸寛「お答えを致します。あのご指摘の番号、これは招待状を発送を効率的に行うために便宜的に付与しているものでございまして、その会の終了を以って目的を終え、また招待者名簿をついても廃棄しているため、個別の番号については定かではないということでございます。繰り返しで恐縮でざいます」

 今井雅人「こんな答弁を繰り返してるようでは、とてもこの問題を終えることはできません。もう一つですね、資料の4ページ目にですね、この招待区分のあとに整理番号が4桁があって、これ、封入の業者にこの4桁の整理番号ですっていうことを説明している文章ですが、この整理番号ってのは、当然通し番号でしょうから、この招待区分の下に何人くっついてるかっていうのはこの整理番号を見れば分かりますね」

 大塚幸寛「お答え致します。あの、こちらの番号につきましても、その性格としては、先程来申し上げたとおり、招待状の発送をあくまでも効率的に行うために便宜的に付与するものでございまして、会の終了を以って使用目的を終えるということでございます。

 で、この件につきましても、その個別の分については定かではないとこでございますが、あくまでもこれは各区分に属する招待者をあくまでも便宜上整理するために付したものであるということでございます」

 今井雅人「実務を行うための整理番号がどういうふうに使ったか分からない。あり得ないですね。一つだけ教えてください。これ通し番号ですか。一番から順番に付いてるわけですか」

 大塚幸寛「お答え致します。あの繰り返しで恐縮でございますが、その個別の意味の番号については定かではないということでございます」

 今井雅人「壊れたレコードのようですね、これ本当に。いくら聞いても、そう答えるんでしょうけど、こんな答弁はすればするほど隠蔽してるなということが印象付けられるだけですから、ちゃんと説明した方がみなさんのためだと思いますよ」

 今井雅人の質疑の前半は2日後の参院予算委の蓮舫の質問とほぼ重なる。今井雅人の「桜を見る会」は功績をチェックして参加希望者を募っているのかといった質問に対して安倍晋三は功績のあった方として、「後援会活動をやっている方は様々な地域活動をやっておられる方が実際ですね、多い」と答弁、「様々な地域活動」を以って「功績」と看做しているから、明らかに内閣官房・内閣府が招待基準として挙げている「功績・功労」とは必ずしも一致はしない。

 今井雅人は平成17年の「桜を見る会」「分野別招待者数」のパネルを見せて、「今も『60』というのは総理大臣なわけだったんです。こういうことになると思うんですけども、如何でしょうか」と質問すると、大塚幸寛は「招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付与してるもので、個別の番組については定かではない」と、「60」が総理大臣宛の番号であるとの断言を避けている。

 対して今井雅人は「実務を行うために便宜的に番号振っているわけですけども、それは便宜的に番号を振るんですから、番号それぞれにはちゃんと分類があるはずですよね」と反論している。

 そもそもからしてこの手の一定期間を置いて繰り返し使う文書は、多くの人が知っていることだが、事務手続きの簡略化を図るために一定の書式に基づいた雛型を、例えばパソコンを使う場合はWordやEXCELなどを使って作成しておいて、パソコンに保存、新たに作成する必要が生じた場合は保存文書をWord上やEXCEL上に開いて、必要箇所のみを入力し直して、再利用するのが一般的となっている。

 特に最後に作成した内容はそのまま保存するのが慣例となっていて、その内容を次の作成の参考にすることが当たり前の事実となっている。

 このような事実を前提とすると、「分野別招待者数」も次の利用のために前年の内容のままにパソコンに保存してあるはずだが、安倍晋三の「桜を見る会」の権力の私物化・予算の私物化を隠蔽するために早々に消去してしまったとしても、毎年繰り返し使っていたこととパソコンを使って事務を取る者は常識としている事実であることから、大塚幸寛が言うように職員たちが「個別の番組については定かではない」とするのは事実でないことを事実であるかのように装わせる、実際の事実の隠蔽そのものである。

 また、「60」が便宜的に付与した番号だとしても、今井雅人が「実務を行うために便宜的に番号振っているわけですけども、それは便宜的に番号を振るんですから、番号それぞれにはちゃんと分類があるはず」と反論しているように一定期間を置いて繰り返し使う文書の形式を取っていなければならないから、その「便宜」は便宜上のものであっても、一定の意味と役割を持たせた「便宜」ということになる。当然、安倍晋三が首相である間の「60」は安倍晋三を特定する番号ということにしなければならない。

 そういった雛型の形式にはなっていない、会が終われば、パソコンに保存してあるファイルも消去することになっていて、消去したということなら、効率性や生産性、合理性を一切考慮しない事務作業を続けてきたことになって、無能・税金のムダ遣いと非難を受けることになる。

 大体が表の作成自体に時間・手間がかかって、表の中への文字入力はさして時間も手間もかからない。雛型にして再利用することこそが、効率性や生産性、合理性を確保する肝要な事務作業となる。要するに一定期間を置いて繰り返し使う雛型となっている文書であることを隠して「60」が便宜的に付与した番号だ、「個別の番組については定かではない」とすることも、事実ではないことを事実であるかのように装っただけのことで、このように装わなければならない事実こそが、安倍晋三の「桜を見る会」を利用した権力の私物化・予算の私物化が疑惑のままでとどまらずに検察送致相当の事実そのものであることを物語ることになる。

 いわば大塚幸寛は国会答弁を通して、検察装置相当のの決定的証言を提供した。 

 大塚幸寛は今井雅人との遣り取りで、他の場合も似たり寄ったりだが、最後の最後まで、「60」番を「便宜的に付与しているもの」、「個別の番号については定かではない」を貫き通した。

 その信念は敬服に値するが、その信念によって、いわば内閣府そうぐるみで事実ではないことを事実であるかのように装うこと自体も、最後の最後まで安倍晋三の「桜を見る会」を利用した権力の私物化・予算の私物化の隠蔽に手を貸し続けていることを意味することになり、これからも手を貸し続けるのは明白であり、安倍晋三の方も内閣官房・内閣府の手を借りることによってこれらの私物化を疑惑のままにとどめておくことが可能となっている。

 だが、このような手の貸し借りからも、検察送致相当の私物化としなければならない。私物化が根も葉もない疑惑で、潔白そのものであるなら、手の貸し借りは何ら必要としない。

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安倍晋三の「桜を見る会」私物化容疑、201回国会代表質問答弁で「これで逃げます」のパターンを列挙

2020-01-26 12:10:28 | Weblog
 第201回通常国会が2020年1月20日に招集、当日安倍晋三の施政方針演説が行われた。演説ではカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業に絡む汚職事件と首相主催の「桜を見る会」に於ける招待客数のそれまでの7千人半ば台の推移に対して自民党総裁選挙の2018年(9月20日投開票)には9千人半ば台に膨れ上がったことから、総裁選に利用したのではないのかとの疑惑と、さらに自民党事務局総務部が2019年7月21日投開票参議院選挙での自民党参議院改選議員に対して出した「桜を見る会」案内状には「一般の方(友人、知人、後援会等)」を4組まで招待できる内容になっていたことから参院選に利用したのではないのかとの疑惑に掛けられた公式行事の私物化容疑に関しては一切触れなかった。

 野党は安倍晋三の施政方針演説に対して代表質問でIR疑惑と「桜を見る会」私物化容疑を追及することになった。ここでは「桜を見る会」の私物化容疑に対する追及のみを取り上げることにする。安倍晋三の答弁はNHKテレビ中継の録画から文字化した。

 「日本共産党委員長志位和夫代表質問」(しんぶん赤旗/2020年1月24日)

 2020年1月23日衆院本会議。

 志位和夫「私は、日本共産党を代表して安倍総理に質問します。

 総理、あなたの施政方針演説を聞いて、私が驚いたのは、『桜を見る会』の『サ』の字もなく、カジノ汚職の『カ』の字もなく、公職選挙法違反の疑惑で2人の閣僚が辞任した問題にも、一言も触れなかったことです。

 これらはすべて、総理の直接の責任が厳しく問われる問題です。総理には、その自覚がないのですか。国民にすすんで説明しようという意思がないのですか。まず、お答えいただきたい。

 (血税を使った買収疑惑――事実上ノーチェックで招待されていたのではないか)

 具体的に聞きます。

 『桜を見る会』疑惑で第一に問われるのは、総理が、国民の血税を使って、地元有権者を買収していたのではないかという疑惑です。

 総理は、安倍事務所が「後援会の関係者を含め、…幅広く参加者を募り、推薦を行っていた」ことを認めたものの、招待者は最終的には内閣官房と内閣府で取りまとめを行っているので、公選法違反にあたらないと弁明しています。

 ならば聞きます。安倍事務所が推薦した人は何人で、そのうち内閣官房と内閣府の判断で招待者にしなかった人は何人いるのですか。事実上ノーチェックで招待されていたのではありませんか。そうであれば、血税を使った買収そのものではありませんか。

 (悪徳商法の会長の招待――個人情報を盾に答弁を拒否することは成り立たない)

 第二は、悪徳商法で悪名をはせていたジャパンライフの山口会長を、総理自身の推薦で招待し、被害を広げた疑惑であります。

 総理は、この問題を問われると、『招待者や推薦元については、個人情報なので、回答を控える』といいますが、なぜ『推薦元』まで開示できない個人情報なのか。また、山口会長自身が招待をされたことを自ら大々的に明らかにしている以上、個人情報を盾に答弁を拒否することは成り立たないではありませんか。

 悪徳商法の会長を一体誰の責任で招待したのか。しかとお答えいただきたい。

 (公文書を法律や規則を無視して廃棄――最初から組織的隠蔽をはかったのではないか)

 第三は、2013年~17年の招待者名簿が、公文書管理法に違反して、行政文書ファイル管理簿にも記載せず、総理の同意手続きも行わないまま破棄されるという、違法行為が行われていたことを政府が認めたことについてです。

 そうなりますと総理の昨年12月2日の『内閣府は定められた手続きにのっとって招待者名簿を廃棄している』とした国会答弁は、虚偽答弁だったということになるではありませんか。内閣府の責任者は総理大臣です。総理、あなたは違法行為の責任、虚偽答弁を行った責任を負っているとの自覚はありますか。お答えいただきたい。

 さらに、政府が2019年の招待者名簿を、『会の終了後、遅滞なく破棄』したとしていることにも重大な問題があります。公文書管理法にもとづく行政文書管理ガイドラインは、森友問題などを踏まえ、『事業の実績の合理的な後付けや検証に必要となる行政文書』については、原則として1年以上の保存を義務づけているからです。『遅滞なく破棄』したなら、自ら決めたガイドライン違反ではありませんか。

 これらのすべての事実は、安倍政権が当初から、国民の知的共有財産である公文書を法律や規則を無視して廃棄したとすることで、招待者名簿の組織的隠蔽(いんぺい)をはかっていることを疑問の余地なく示していると考えますが、いかがですか。明確な答弁を求めます。

 安倍晋三「志位和夫議員にお答え致します。施政方針演説と説明責任についてお尋ねがありました。先ず『桜を見る会』については本年は開催せず、また今国会に提出した100兆円を超える来年度予算には関係予算に全く計上していないことから、施政方針演説に特段の記載を行っておりません。

 また(IR疑惑について)捜査に関する事柄に関しては内閣として言及することが個別の事案の捜査に影響を与える可能性があることから記載しなかったものであります。

 いずれにしましてもこれらについては私の演説内容如何に関わらず国会によるご指摘があることは元より承知をしているところであり、こうしたご指摘については誠実に対応させて頂く所存であります。

 『桜を見る会』の推薦者についてお尋ねがありました。私の事務所からの推薦に基づく招待人数の概数については既に官房長官が内閣官房及び内閣府の事務方を含む関係者からの聞き取りを踏まえて、国会にご報告をしたところでございますが、私の事務所から何名を推薦したのかについては既に記録が残っていないことから、その詳細は明らかではありません。

 また内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行ったもので、招待されなかった例もあったものと承知をしております。具体的な人数については名簿も廃棄されていることから、明らかではありません。

 いずれにしても、『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者につき、最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、当該プロセスに私は一切関与していないことから、公職選挙法に抵触するものではないかとのご指摘は当たりません。

 『桜を見る会』の招待者についてお尋ねがありました。『桜を見る会』の個々の招待者の推薦元に関する情報そのものは個人に関する情報であると共に招待者に密接に関係する情報であることから、從來から回答を差し控えさせて頂いているところであります。

 また、招待のルート等については個人に関する情報であり、個々の言動等を踏まえて、政府として明らかにすることは考えておりません。なお一般論として申し上げれば、『桜を見る会』が企業や個人の違法・不当な活動に利用されることは決して容認できません。

 招待者名簿の管理についてお尋ねがありました。ご指摘の私の答弁についてはあくまで昨年の招待者名簿に関して行ったものであり、昨年の招待者名簿は内閣府に於いて公文書管理法などのルールに基づき、会の終了後遅滞なく廃棄する対応をしたところです。虚偽答弁とのご指摘は当たりません。

 また、ご指摘の行政文書の管理に関するガイドラインについては平成29年12月にこれを改正し、保存期間1年未満の行政文書の取扱に関する新たなルールを設けたところです。

 これに基づき、『桜を見る会』の招待者名簿については会の終了を以って使用目的を終えるほか、個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理するなどの必要が生じることから、保存期間1年未満文書として終了後遅滞なく廃棄するとの扱いとしたものです。

 このような対応はガイドラインに則った対応であると考えており、法律を無視して組織的隠蔽を謀ったとのご指摘は当たりません。

 なお、野田内閣の、民主党政権時代の平成23年、24年を含めて、平成23年から平成29年の間の招待者名簿の取扱については公文書管理法に違反するものであり、当時の文書管理者である担当課長を厳正処分すると共に官房長官から内閣府に対して改めて文書管理のルールの徹底を指示したところと承知しております」

 

 「日本共産党副委員長山下芳生代表質問」(しんぶん赤旗/2020年1月25日)

 2020年1月24日参院本会議

 山下芳生「(「桜を見る会」――問われているのは安倍首相が行った私物化)

 まず、『桜を見る会』について聞きます。

 どの世論調査でも7、8割の国民が、総理の説明に『納得できない』と答えています。ところが、総理は施政方針演説で、この問題に一言も触れませんでした。あまりに無自覚、無反省といわねばなりません。

 以下、端的にうかがいます。

 一つ。総理は、『長年の慣行の中で』『招待者の基準が曖昧であった結果として招待者の数がふくれあがってしまった』との答弁をくり返していますが、問われているのは『長年の慣行』ではありません。第2次安倍政権で総理自身が行った『桜を見る会』の私物化です。その認識はないのですか。

 二つ。下関市の安倍晋三事務所が、『桜を見る会』の参加者を募り、安倍事務所主催のツアー旅行に利用した、総理はこのことを認めますか。これが『桜を見る会』の適切な招待だという認識ですか。

 三つ。総理は昨日、安倍事務所が推薦したもので、招待されなかった例もあったと答弁しましたが、その根拠は何ですか。

 四つ。2018年には、自民党の都道府県会議員研修会の参加者に対し、希望者には翌日開催される『桜を見る会』の招待状を渡していたとの報道があります。これは事実ですか。内閣府が提出した資料でも、2018年は『総理等』の招待者が最も多い9494人に達しています。これは、同年行われた総裁選挙で地方票を獲得するために、自民党地方議員を多数招待したからではないですか。

 以上、明確な答弁を求めます」

 安倍晋三「山下芳生議員にお答え申し上げます。

 『桜を見る会』についてお尋ねがありました。『桜を見る会』については昭和27年以内来、内閣総理大臣が各省庁からの意見等を踏まえ、各界に於いて功績・功労等があった方々などを幅広く招待し、日頃のご労苦を慰労すると共に親しく懇談する内閣の公的行事として開催しているものです。

 当会の招待者については 提示された推薦者につき内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところですが、当該プロセスに私は一切関与しておりません。

 他方、『桜を見る会』については長年の慣行の中で行われてきたところでありますが、招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れ上がってしまった実体があると認識しています。こうした運用を大いに反省するとともに国民の皆様からの様々なご批判を踏まえ、来年度の開催を中止するほか、今後、私自身の責任に於いて全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいる所存です。

 『桜を見る会』の推薦等についてお尋ねがありました。私の事務所に於いては後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始めとして、幅広い参加者希望者を募ってきたところです。

 他方でご指摘の都内観光ツアーについては私の事務所によれば、希望する方に対して旅行会社の紹介等を行っていたとのことですが、ツアー自体の主催企画はあくまで旅行会社であったとのことであります。

 次に私の事務所から推薦を行った者で招待されなかった例もあったものと承知しておりますが、これは内閣官房が確認した結果であると聞いております。

 なお長年の慣行で与党にも推薦依頼を行っているところですが、自民党内の推薦の経緯等については政府として掌握はしておりません。

 IRについてお尋ねがありました。・・・・・・」

 安倍晋三の志位和夫に対する答弁の中に、当然のことだが、山下芳生に対する答弁と重なっていることと、更に安倍晋三のこれまでの「桜を見る会」に関わる国会答弁、記者会見発言をも重ね合わせると、「桜を見る会」に関わる選挙利用や予算等の私物化容疑から、「これで逃げます」のパターンが、今後の国会審議で様々なバリエーションを駆使することになるだろうが、基本的には列挙されていると見ることができる。

 となると、追及に立つ野党側はこのパターンを打ち破る論理を打ち立てなければならない。明日2020年1月27日から衆議院で予算委員会が始まるが、野党は「桜を見る会」に関わる私物化容疑を持ち出さないはずはない。志位和夫と山下芳生に対する代表質問答弁から窺うことができる「これで逃げます」のパターンをどう打ち破ることができるのかどうか、見ものだが、その可能性は私自身についても言える。

 但し私は国会議員みたいに追及のプロではなく、全くのド素人だが、ド素人の限界を弁えつつ、安倍晋三の「これで逃げます」のパターンを打ち破るべく、これから書くことは以前ブログに書いたことと重なるが、試してみることにする。

 安倍晋三は志位和夫に対しては「内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行ったもので、招待されなかった例もあったものと承知をしております。具体的な人数については名簿も廃棄されていることから、明らかではありません」、山下芳生に対しては「次に私の事務所から推薦を行った者で招待されなかった例もあったものと承知しておりますが、これは内閣官房が確認した結果であると聞いております」と答弁している。

 第一に内閣官房は招待者名簿が廃棄されているにも関わらず、招待洩れの例をどのようにして確認できたのだろうか。内閣官房は廃棄した招待者名簿以外の物的証拠(形あるモノに基づいた事実提示)からの確認なのかどうかを明らかにしなければならない。

 もしそれが記憶に基づいた証言(記憶を言葉に変えた事実提示)であるなら、利害関係にある者同士の言葉だけの証言は口裏合わせの可能性が否定しきれないだけではなく、利害関係のない第三者からはその記憶自体の事実性を確認する如何なる方法もなく、官邸や官房長官の菅義偉に言わされている、あるいは内閣官房の方から官邸や菅義偉を忖度して、そうと言っているといった疑惑をいたずらに招いて、そうであることの可能性にしても否定しきれなくなり、証拠能力を著しく欠くことになり、安倍晋三の主張を事実そのとおりと受け止めることは不可能となるか、不可能に近くなる。

 もし安倍晋三も菅義偉も内閣官房に言わせているわけではない、忖度させているわけではない、内閣官房も言わされているわけでもないし、忖度して庇っているわけでもないということなら、そのように否定できる、利害関係にある者もない者も等しく納得し得る確かな可能性を提示して、証拠能力をカバーしないといけない。 
 第二にあべ事務所が送付した《「桜を見る会」への参加申込書》と自民党事務局総務部が2019年(平成31年)1月31日に参議院改選議員に宛てたとの整合性の問題である。

 前者のあべ事務所が送付した《「桜を見る会」への参加申込書》に書かれている内容。(一部抜粋)

〈※ご夫婦で参加の場合は、配偶者欄もご記入ください。
 ※後日郵送で内閣府より招待状が届きますので、必ず、現住所をご記入ください。
 ※参加される方が、ご家族(同居を含む)、知人、友人の場合は、別途用紙でお申し込み下さい。(コピーして利用して下さい)〉・・・等々が記載されている。

 この参加申込書は記入欄に必要事項を記載すれば、「後日郵送で内閣府より招待状が届きます」との物言いで、「申し込めば、ストレートに招待状が届く」体裁を取っている。安倍晋三が答弁しているように「私の事務所から推薦を行ったもので、招待されなかった例もあった」とすることができる断りは、そのカケラさえも文面のどこからも窺うことはできない。参加を申込めば、全員当選の形式以外の何ものでもない。

《「桜を見る会」のお知らせ》 後者の自民党事務局総務部が2019年の参議院選挙の改選議員に送った《「桜を見る会」のお知らせ》は、冒頭、〈内閣府主催による「桜を見る会」が、下記の通り開催されることになり、一般の方(友人、知人、後援会等)を、4組までご招待いただけます。〉と記載されていて、自民党の改選参議員共々、その友人、知人、後援会員等々の4組までの参加を無条件に請け合っていて、4組までの範囲内なら、改選参議員1人につき全員当選の形式を持たせている。

 もし安倍晋三が答弁のように「私の事務所から推薦を行ったもので、招待されなかった例もあった」ことが事実とすると、〈4組までご招待いただけます。〉の保証は詐欺行為に当たることになる。

 逆にノーチェック・フリーパスだったからこそ、前者の《「桜を見る会」への参加申込書》も、後者の《「桜を見る会」のお知らせ》も、それぞれの文面を体裁とすることができたとしなければ、整合性が取れない。

 但しこの整合性は安倍晋三の答弁と実際の招待との間の整合性を逆に否定することになる。

 共産党委員長志位和夫の「政府が2019年の招待者名簿を、『会の終了後、遅滞なく破棄』したとしていることにも重大な問題があります。公文書管理法にもとづく行政文書管理ガイドラインは、森友問題などを踏まえ、『事業の実績の合理的な後付けや検証に必要となる行政文書』については、原則として1年以上の保存を義務づけているからです。『遅滞なく破棄』したなら、自ら決めたガイドライン違反ではありませんか」と問い質したのに対して次のように答弁している。

 安倍晋三「ご指摘の行政文書の管理に関するガイドラインについては平成29年12月にこれを改正し、保存期間1年未満の行政文書の取扱に関する新たなルールを設けたところです。

 これに基づき、『桜を見る会』の招待者名簿については会の終了を以って使用目的を終えるほか、個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理するなどの必要が生じることから、保存期間1年未満文書として終了後遅滞なく廃棄するとの扱いとしたものです。

 このような対応はガイドラインに則った対応であると考えており、法律を無視して組織的隠蔽を謀ったとのご指摘は当たりません」

 原則として1年以上の保存を義務づけられていた行政文書管理を2017年12月に保存期間1年未満とする新たなルールへと改正した。この改正に則って2019年4月13日開催の「桜を見る会」の招待者名簿を会の終了を以って使用目的を終えたことから、1ヶ月も満たない5月9日に廃棄した。

 新ルールへの改正は2017年12月だから、2018年4月21日開催の「桜を見る会」の招待者名簿の廃棄も、2019年の1ヶ月も満たない廃棄の素早い対応に照らすと、廃棄した正確な月日の情報は把握していないが、保存期間1年未満の早い時期、それも2018年4月21日開催から1ヶ月かそこら経ったか経たないうちに廃棄したことが予想される。

 3ヶ月も4ヶ月もあととなると、「個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理するなどの必要が生じる」ことを廃棄の理由に挙げていることと矛盾が生じる。少なくとも2019年「桜を見る会」開催の4月13日よりも半年も前の廃棄でないと説明がつかないことになる。

 2019年11月21日午前の記者会見での官房長官菅義偉の答弁。

 菅義偉「先ずは内閣官房・内閣府から各省庁等に対して推薦を求める際に幅広く色んな方を招待するための前提として同じ人が推薦をされないことも配慮事項の一つであるというお願いを致しております。

 実際に前年の招待者の再度推薦をされることもあるかと思いますけども、まあ、頂いた推薦を基に内閣官房・内閣府が最終的に取り纏めを行っている。いずれにせよ、配慮事項はそういうことになっております」

 つまり再度推薦される例は間々あるが、原則として同じ人物の招待を避けるルールとなっていた。但しこのルールを徹底するためには前年の招待者名簿と照合する必要が生じる。例え行政文書の管理に関わるルールを保存期間1年未満としていたとしても、各年の招待状発送がその年の3月以降ということだから、招待状発送の前の2月の末頃までは保存しておかなければ、照合不可能となる。

 2019年の「桜を見る会」の招待者を決める際、前年の招待者名簿を破棄しておいて、何を根拠にして同じ人物の招待を避ける手立てとしていたのだろうか。

 安倍晋三の「桜を見る会」私物化容疑の影響を受けて2020年の「桜を見る会」は中止となったが、中止が決まるまでの間、内閣官房及び内閣府は招待者名簿を早々に廃棄してしまった以上、2021年の招待者について同じ人物の招待を避ける方法として如何なる文書に基づくつもりでいたのだろうか。

 内閣官房及び内閣府は何に基づくつもりだったのか、明らかにしなければならない。まさか招待者は全て頭の中に記憶しているなどとは言うはずはない。

 3期福岡市長を務めている高島宗一郎は5年連続で「桜を見る会」に招待されていたと自ら明らかにしている。その記事を全文参考引用しておく。

 桜を見る会 福岡市長、5年連続出席 招待理由は「把握せず」(毎日新聞2019年12月12日 10時58分)

 福岡市2019年12月は11日、高島宗一郎市長が首相主催の「桜を見る会」に少なくとも今年まで5年連続で出席していたことを明らかにした。また、高島市長は同会の前夜祭にも「時間が合えば参加している」として今年出席したと述べた。開会中の12月定例市議会で山口湧人議員(共産)の一般質問に答えた。

 市によると、高島市長は桜を見る会にいずれも公務で出席。具体的な招待理由は「把握していない」とし、招待の推薦者の区分が記された受付票は「当日の受け付けに提出しているため、内容を確認することができない」と説明した。高島市長も「最終的に内閣府がとりまとめて招待状が来るので、どういった形で来たかは分からない」と述べた。

 また、前夜祭の会費5000円を自費で払ったとした上で「立食で飲み物とおつまみのようなものがあり立派な食事が出たわけではないので適切かなと思う」と語った。【加藤小夜】

 内閣官房及び内閣府は同じ人物の招待を避けるルールに抵触せずに5年連続も続けて招待したことが"間々ある"うちに入る例であるということの正当性ある、誰もが納得できる説明をしなければならない。

 安倍晋三も菅義偉も内閣官房及び内閣府も招待基準を「各界に於いて功績・功労のあった方々」としている。福岡市長高島宗一郎は2010年12月就任から9年務めている。3期など短いうちで、5期、6期、7期、あるいはそれ以上長く務めている市長もいるはずで、もしそういった市長でありながら、招待されていなかったとしたら、そういった市長と高島宗一郎とで招待基準である「功績・功労」の点で、どういった違いがあるのか、内閣官房及び内閣府は、この点についても正当性ある、誰もが納得できる説明責任を果たさなければならない。

 ほかにも連続で招待されたという証言を載せている報道がある。こういった例からすると、実際に同じ人物の招待を避けていたのか、「各界に於いて功績・功労のあった方々」としている招待基準に厳密であったのかどうか、実際はノーチェック・フリーパスではなかったのか疑わしくなるが、この疑惑を解くためにも、既に触れたように内閣官房及び内閣府は招待者名簿を次の招待者を取り纏める前に廃棄している以上、同じ人物の招待を避けるためにどのような方法を採用してきたのか、あるいは2020年以降は採用するつもりでいたのかに関しては確実・全面的に明らかにしなければならない。

 そうしなければ、安倍晋三の「桜を見る会」に関わる私物化容疑は晴れない。安倍晋三は「『桜を見る会』が企業や個人の違法・不当な活動に利用されることは決して容認できません」と断言しているが、「違法・不当な活動」として「利用」する「個人」の中に安倍晋三自身を入れなければならない。勿論、多くの国民が既に入っていると見ている。

 以上、安倍晋三が代表質問答弁で列挙した、「桜を見る会」私物化容疑に対する「これで逃げます」のパターンを破る論理の打ち立てを試みてみたが、どんなものだろうか。

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安倍晋三の行政と予算の私物化を隠蔽し、正当化する意図的な作為からの「桜を見る会」招待者名簿等の「管理簿」記載漏れ

2020-01-20 12:22:03 | Weblog
 当ブログの官房長官菅義偉の記者会見の模様は「buu」氏がツイッターで文字起こししていたから、それを拝借させて貰うことにした。

 官房長官菅義偉が2020年1月9日午前の記者会見で「桜を見る会」の招待者名簿等の「行政文書ファイル管理簿」への記載を行っていなかったことを明らかにしたと同日付、「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。

 記事は、〈公文書管理法では、1年以上保存する行政文書は原則としてファイルにまとめ、「行政文書ファイル管理簿」に記載して公表することが義務づけられています。〉と伝えている。記載漏れは2013年から2017年の5年分。

 この5年分の「桜を見る会」の招待者名簿と各省庁への招待者の推薦依頼文書を、当記事も触れているが、公文書管理のルールを定めた政府のガイドラインが文書廃棄時に行政文書ファイル名や廃棄日などを「廃棄簿」に記載することを義務づけているのに対して記録を残していなかったことを2019年12月29日付で既にマスコミが明らかにしている。二重の怠慢ということになる。

 「文部科学省」のサイトには「行政文書ファイル管理簿」について次のように記載している。文飾当方。
 〈行政文書ファイル管理簿は、公文書管理法及び情報公開法の円滑な運用に資するものとして、文部科学省・スポーツ庁・文化庁で保有する行政文書ファイルの名称、作成組織、作成時期などについて国民の皆様に対して案内を行うものです。〉

 他の省庁ではその省庁が「保有する行政文書ファイルの名称、作成組織、作成時期など」を「行政文書ファイル管理簿」に記載することが義務付けられていることになる。

 〈行政文書ファイル管理簿は、公文書管理法及び情報公開法の円滑な運用に資する〉目的の"国民の皆様に対する案内"だと位置づけている。当然、行政側からしたら軽々しく扱ってはならない重大性(事が重要であって軽視できないさま、またはその度合いを意味する語。「Weblio辞書」)を持つ文書管理ということになる。

 何しろ公文書を管理する側が軽々しく扱ったなら、国民の知る権利の一つとなっている情報公開法の円滑な運用に支障を来たすことになる。行政側はこの重大性を常に認識していなければならない。

 だが、内閣府お完了はこの種の文書管理が持つ重大性を認識しないままに「桜を見る会」の招待者名簿と各省庁への招待者の推薦依頼文書の「行政文書ファイル管理簿」への記載を怠っていた。このことは昨年2019年4月13日に開かれた「桜を見る会」の招待者名簿を内閣府では名簿の保存期間を2018年4月に「1年」から「1年未満」に変更していることを理由に1ヶ月も経たない5月9日に廃棄したことと関係があるのだろうか。

 いわば廃棄した手前、「行政文書ファイル管理簿」への記載もナシにする必要が生じたということはないだろうか。

 菅義偉の2020年1月10日午前の記者会見で記者が公文書の未記載は「しばしばあるのか」と質問すると、次のように答えている。

 菅義偉「先ず、内閣府や各省庁が行う、これ、内部監査、その中で、そのような事例が、把握されている事もあると、このように聞いています」

 つまり「行政文書ファイル管理簿」への記載漏れは内閣府だけではなく、他の省庁でも、「そのような事例が、把握されている」。と言うことは内閣府の5年分の「桜を見る会」の招待者名簿と各省庁への招待者の推薦依頼文書以外にも「行政文書ファイル管理簿」への記載漏れの文書は存在していることになる。

 菅義偉は他の省庁の同様の事例と内閣府でも「桜を見る会」に関係する文書以外にも記載漏れがあることを明らかにすることによって意図的未記載ではないこと、つまり偶発的手落ちだと示唆したことになる。

 但し偶発的手落ちからの記載漏れのその偶発性を意図的記載漏れにまで被せて、その意図性を隠蔽するのは誤魔化す個人、あるいは誤魔化す組織が頻繁に利用する手である。

 記者は記載漏れは「桜を見る会」関係文書以外にどのような文書があるのか聞くべきだった。菅義偉は上記発言の最後に「ま、詳細は内閣府の、公文書管理担当にお尋ねを頂きたい、このように思います」と言っているから、野党の内閣府に対するヒアリングの際に問い質すべきだろう。内閣府職員がほかにも記載漏れ文書を持ち出すようなら、文書管理の杜撰さが浮かび上がる。その杜撰さが少しでも不自然であるなら、意図的記載漏れの疑いが(このことは招待者名簿と招待者の推薦依頼文書の廃棄の意図的可能性に繋がる)浮上、追及の突破口とすることができるかもしれない。

 菅義偉は2020年1月14日午前の記者会見になって、それまでは「事務的な記載漏れ」としていた2013年から2017年までの5年間の「桜を見る会」招待者名簿と各省庁への招待者の推薦依頼文書の「行政文書ファイル管理簿」への未記載が「11年と12年は開催直前に桜を見る会が中止になり、管理簿に掲載すべきだった招待者名簿を掲載せずに廃棄した。その取り扱いが前例として13年以降も漫然と後任に引き継がれた」と説明したと2020年1月14日付「毎日新聞」記事が伝えている。

 菅義偉「11、12年も内閣府は各省から推薦名簿を集めて招待の準備をしていた。当時のルールでは(作成した)招待者名簿は管理簿に記載すべきだったが、中止になり、名簿も管理簿に掲載せずに廃棄していた」

 記事は、〈第2次安倍政権下で開催された13~17年の招待者名簿も「公文書管理違反の扱いが漫然と引き継がれていた」と、前政権での扱いを前例踏襲したものだったと語った。〉ことと、〈民主党政権時代の2011年は東日本大震災、2012年は北朝鮮のミサイル対応のために中止になった。〉と解説している。

 中止なら、「行政文書ファイル管理簿」への記載の必要性は失うはずだが、そのことを前例として未記載を踏襲したということはどういうことなのだろう。
 
 「buu」氏の文字起こしから2020年1月15日午前会見の遣り取りの要所要所を拾ってみる。

 記者の2011年と2012年の中止になって招待されなかったケースと2013年以降の決行して招待されたケースとでは性格が異なるにも関わらず、漫然と引き継いだという説明は不自然だがという質問に対して、菅義偉は「各省から推薦名簿を集めて、内閣府として、招待の準備をしていた場合はルール上は管理簿に掲載されるべきだが、事務的なミスで掲載しなかった」といった趣旨の答弁をしている。

 この発言は納得できないことはない。中止になったけれども、何人の推薦があり、その中で何人が招待される予定だったか、そして中止となったイキサツはのちの参考として文書に残して置かなければならないかもしれない。

 だが、記者の質問どおりに2011年と2012年の中止による「行政文書ファイル管理簿」への未記載を漫然と引き継いだ、あるいは事務的なミスだとすることは組織要員としての文書管理上の能力の問題となってきて、簡単には見過ごせない。雇用の問題にも関わってくる。

 記者が職員に違反の認識にあったのかないのかを問うと、菅義偉は「この2011年から2017年、この7年間の担当者に確認しましたから、ルールはあまり調べずに対応しておりですね、これ前例を踏襲する中で、違反の認識はなかったと言うことです」と答えている。

 「ルールはあまり調べなかった」、違反の認識もなく、ただただ「前例を踏襲」してきた。つまり頭から無考えのまま、自らに与えられた職務を遂行してきた。

 このこと自体が文書管理を職務として与えられている職員としては考えられない姿勢だが、考えられないのは当然で、調べる、調べないの前に頭に入れて置かなければならない公文書管理のルールだからである。

 さらに文書管理は一人の職員が1点の文書のみを管理するのではなく、一人でか、あるいは数人で協同してそれぞれに数点ずつに亘って管理する体制を取っているはずだから、それが一人の仕事だとしたら、1点の文書の未記載は他の文書の未記載となり、数人で協同の場合は、扱う全ての文書に亘って未記載か、記載かのいずれかに分かれることになる。

 と言うことは、一人で数点に亘って文書管理をする場合でも、数人で協同して数点に亘って文書管理する場合でも、管理した文書の全てに亘って未記載であったときにのみ、
文書管理のルールに対する無知によって全ての文書に亘って未記載が生じたとすることは受け入れることができるとしても、「前例を踏襲する」云々の問題ではなくなる。

 なぜなら、菅義偉が言っているように記載漏れの「事例が、把握されている」としても、記載されている文書が存在する以上、「桜を見る会」に関係する文書のみの未記載を以って前例踏襲というのは成り立たないからだ。逆に2011年と2012年の未記載の理由を中止と、その中止に対応した未記載となった諸般の事情から思慮し、2011年と2012年の未記載と厳しく区別して、2013年以降の文書管理に対処しなければならない。

 いわば文書管理の全体性から言って、一部の文書にのみ関係した未記載の前例踏襲は文書管理法に逸脱することになる。あるいは自分たちで文書管理法の一部を曲げたことになる。

 その自覚もなかったとしたら、文書管理上の能力の問題と雇用の問題を再び言わなければならない。一言で言うと、こういった職員を雇用していることは税金のムダ遣いである。

 事はこれ程にも重大であるが、菅義偉は職員の文書管理上の能力の問題と雇用の問題を一切無視して、平然としている。この平然とした無視は文書管理の重大性を認識していないことによって生じている。

 菅義偉「行政文書の管理簿と言うのは、極めて事務的なものであって、そして各年度の担当者がルールと言うものをきっちりと調べずに、前年において管理簿に掲載されないという、そうした前例を漫然と踏襲したと、そういうことであると言うことです」

 文書管理の重大性を無視して、「極めて事務的なもの」で片付けている。文書管理の重大性を前にして、「極めて事務的」であってはならないと言うことである。

 「公文書管理法」

第一条 この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
第四条 行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。

一 法令の制定又は改廃及びその経緯
二 前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
三 複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯
四 個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
五 職員の人事に関する事項
 (文飾当方)

 このようなルールに則って一つに纏めたものを「行政文書ファイル」としている。

 公文書管理法の第1条「目的」に書いてある文書管理の重大性と照らし合わせた場合、「ルールはあまり調べなかった」はあり得ない姿勢であり、違反の認識もなかった、「前例を踏襲」で片付ける無考えな官僚の姿は誰が素直に認めることができるだろうか。

 日本の官僚は優秀であるとの評判を得ている。事実でないことを事実と言いくるめるときだけが優秀ではあるまい。存在する文書を存在しないことにするときだけが優秀ではあるまい。

 だが、菅義偉は「ルールはあまり調べずに対応して、前例を踏襲する中で違反の認識はなかった」と優秀とされる日本の官僚像のメッキを懸命に剥がしている。菅義偉が描くメッキの剥げた官僚像は事実でないことを事実と言いくるめるときの優秀な官僚像と余りにもかけ離れていて、余りにも現実的ではない。存在する文書を存在しないことにするときの優秀な官僚像とも余りにもかけ離れていて、余りにも現実的ではない。

 菅義偉と内閣府官僚の「公文書管理法」の重大性を頭に置かない非現実的な姿勢と合わせて、菅義偉が優秀性とは正反対の信じ難い凡庸性を殊更に国民の前に描き出している、メッキを剥がした内閣府官僚像のその非現実性を実際の現実に近づけるためには、「桜を見る会」の招待者名簿等の「行政文書ファイル管理簿」への記載漏れは「桜を見る会」の招待名簿の意図的な廃棄に続く意図的な作為と見ないと整合性が取れない。

 菅義偉が言っていることを要約すると、内閣府官僚はバカだから、招待名簿を破棄し、「行政文書ファイル管理簿」へ記載漏れが生じたとしていることになる。

 だが、内閣府官僚はバカではない。至って優秀であるはずだ。当然、文書管理に関わる官義偉のこの意図的な作為は「桜を見る会」を利用した安倍晋三の行政の私物化・予算の私物化を隠蔽し、正当化する作用を持たせていなければ、終始一貫しない。

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安倍晋三がバラ色の輝きを誇るアベノミクス、厚労省「国民生活基礎調査」から見る7年間の逆説 上に極厚・下に極薄

2019-12-23 11:36:39 | Weblog
 
【謝罪】(訂正2019/12/24 AM3:50)

 計算間違いが一箇所ありました。文飾箇所です。

 〈もしアベノミクスのバラ色の成果を謳うなら、「平均所得以下世帯」を大きく減らして、平均所得金額以上の「600~700万世帯」は民主党政権最後の年よりも0.6ポイント増やしてはいるが、中間層に当たる「700~800万世帯」、「800~900万世帯」の割合を大きく増やさなければならないが、前者は1.5ポイント、後者にしても、0.6ポイント減らしている。例え0.1ポイントであっても、全世帯数約5千万世帯の0.1ポイントは500万世帯に当たり、バカにならない世帯数となる。

 全世帯数約5千万世帯に0.1%をかけるべきところを、そのままを0.1をかけてしまいました。5千万の0.1%は5万世帯です。次のように訂正しておきました。謝罪します。

 〈もしアベノミクスのバラ色の成果を謳うなら、「平均所得以下世帯」を大きく減らして、平均所得金額以上の「600~700万世帯」は民主党政権最後の年よりも0.6ポイント増やしてはいるが、中間層に当たる「700~800万世帯」、「800~900万世帯」の割合を大きく増やさなければならないが、前者は1.5ポイント、後者にしても、0.6ポイント減らしている。例え0.1ポイントであっても、全世帯数約5千万世帯の0.1ポイントは5万世帯に当たり、結構な世帯数となる。〉 

 約5千万世帯のうちの5万世帯をたかが5万世帯と見るか、されど5万世帯と見るかですが、“平均所得以下”の収入というのはなかなか深刻です。

 当時経済再生担当相茂木敏充は2019年1月29日に開かれた月例経済報告等に関する関係閣僚会議で、「景気の回復の長さについて、2012年12月に始まった今回の景気回復期間は今月で74か月、6年2か月となり、戦後最長となったとみられます」とアベノミクス景気の息の長さを評価した。

 茂木敏充のこの“戦後最長予測”を前以って報告を受けていて、それを励みにもしていたことなのだろう、前日の2019年1月28日の政方針演説で安倍晋三は次のようにアベノミクスがもたらした成果にバラ色の輝きを与えている。

 安倍晋三「この6年間、3本の矢を放ち、経済は10%以上成長しました。国・地方合わせた税収は28兆円増加し、来年度予算における国の税収は過去最高62兆円を超えています。

 そしてこの成長の果実を、新3本の矢によって子育て支援をはじめ現役世代へと大胆に振り向けてきました。児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は24%から42%に上昇し、悪化を続けてきた子どもの相対的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。平成5年以来、一貫して増加していた現役世代の生活保護世帯も、政権交代後、8万世帯、減少いたしました。

 5年間で53人分の保育の受け皿を整備した結果、昨年、待機児童は6千人減少し、十年ぶりに2万人を下回りました。子育て世代の女性就業率は7ポイント上昇し、新たに2百万人の女性が就業しました。成長の果実をしっかりと分配に回すことで、次なる成長につながっていく。『成長と分配の好循環』によって、アベノミクスは今なお、進化を続けています」

 アベノミクス景気のバラ色の成果を謳い上げ、なおかつ「アベノミクスは今なお、進化を続けている」とバラ色の輝きを一層増すだろうことを約束している。

 安倍晋三はほかにもアベノミクス景気のバラ色の成果を謳い上げているが、数ある演説のうちから二つ挙げてみる。

 「共同通信加盟社編集局長会議 安倍総理スピーチ」(2018年10月12日)

 安倍晋三「これまでの農政改革によって、生産農業所得はこの18年間で最も高い3.8兆円まで拡大しました。ビザの緩和など観光立国を推し進めた結果、日本を訪れる外国人観光客は、5年連続で過去最高を更新し、2800万人を超えました。生産性の向上や下請け対策など、中小企業政策は安倍内閣が最も力を入れてきた分野です。中小・小規模事業者の倒産は、今、四半世紀で最も少なくなり、この春の賃上げ率は20年間で最高となりました。

 こうした中で、地方の法人関係税収は、ほとんどの都道府県でこの5年で4割から5割増加しました。今、地方税収は過去最高となっています。これは、地方にも、確実に、景気回復の温かい風が届き始めた証左だと思います。もちろんこれで十分だとは思ってません。もっとこの流れを加速していきたいと考えています。そして、地方から東京圏への人口流出の問題にもしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

 皆さんも御存じのとおり、安倍内閣になって史上初めて47全ての都道府県で有効求人倍率が1倍を超えました。そしてこの状況が、既に2年以上続いています」

 「この春の賃上げ率は20年間で最高となりました」、「47全ての都道府県で有効求人倍率が1倍を超えました」等々。

 このバラ色の成果は、当然、各家庭の所得にバラ色の輝きを失わないままに反映されなければならない。

 既知の事実となっているが、安倍晋三は戦後最長と見ているアベノミクス景気が打ち立てたバラ色の成果のその輝きを民主党政権時代の経済指標との対比でも描き上げている。2019年2月10日の自民党大会。5ヶ月後に参議員選挙を控えていた。文飾を当方。

 安倍晋三「12年前のいのしし年、亥年(いどし)の参院選、我が党は惨敗を喫しました。当時、総裁であった私の責任であります。このことは片時たりとも忘れたことはありません。我が党の敗北によって政治は安定を失い、そしてあの悪夢のような民主党政権が誕生しました。

 今、皆さんにはしみじみと思い出していただいたと思います。決められない政治。経済は失速し、後退し、低迷しました。若い皆さんがどんなに頑張ったってなかなか就職できない、仕事がなかったあの時代、地方においても今よりも中小企業の倒産件数が3割も多かったあの時代、もう人口が減少していくんだから成長なんかできないと諦めていたあの時代に、皆さん、戻すわけにはいかないんです」

 「あの悪夢のような民主党政権」との対比で逆説的にアベノミクス景気のバラ色の成果を大型スクリーン一杯に写し出すように描き出している。

 安倍晋三がかくまでも高らかに謳い上げているアベノミクス景気の成果が民主党政権最後の年の2012年との比較で第2次安倍政権の2013年から2018年までの階級別の所得金額の分布状況から謳い上げているとおりのバラ色の輝きを実際に放っているのかどうかを見てみることにした。

 以下の2012年から2018年までの「階級別所得の分布状況」(2019年分は2020年7月に公表)は厚労省サイト「国民生活基礎調査」から採り、纏めたもの。最後のマス目の「平均」2013年から2018年までの安倍政権の平均を計算した。

 但し平均値が全て有力な意味を持つわけではない。例えば「平均所得金額」等は各年ごとの増減がより大きな意味を持つし、ポイント数が下がっている方が統計上の成果を挙げている場合もある。その辺は適宜解釈されたい。相対的貧困とは世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々のことを言い、日本なりに貧困状態にあるとこと示すが、〈「貧困率」は、平成22(2010)年以降の大規模調査年のみ掲載しています。>となっていて、図には載せていないが、2012年と2015年が調査対象年となっている。

 〈2012年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は122 万円(名目値)となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は16.1%となっている。また、「子どもの貧困率」(17 歳以下)は16.3%となっている。〉

 〈2015年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分、熊本県を除く。)は122 万円となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合、熊本県を除く。)は15.7%(対2012年△0.4ポイント)となっている。また、「子どもの貧困率」(17 歳以下)は13.9%(対2012年△2.4 ポイント)となっている。

 相対的貧困率も子どもの貧困率も少しずつ下がってきていて、安倍晋三も2019年1月28日の通常国会施政方針演説で、「悪化を続けてきた子どもの相対的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。平成5年以来、一貫して増加していた現役世代の生活保護世帯も、政権交代後、8万世帯、減少いたしました」とアベノミクス効果を誇っているが、安倍晋三が「この6年間、私たちの経済政策によって働く人、雇用は380万人も増えました」等々と謳い上げているが、バラ色の輝きを持ったバラ色の成果程には貧困率が急減しているわけではない。

 なぜなら、雇用が380万人も増えれば、賃金が上がり、貧困世帯も、子どもの貧困も劇的に減ってもいいはずだが、そうなっていないのは総務省統計局調査の2019年7~9月期平均の「労働力調査」は、〈役員を除く雇用者5681万人のうち,正規の職員・従業員は3492万人と,前年同期に比べ8万人減少。非正規の職員・従業員は2189万人と,71万人増加〉としていて、正規10人に対して非正規は6人も占めている。

 尤も政府は、〈非正規の職員・従業員について,男女別に現職の雇用形態についた主な理由をみると,男女共に「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も多く,男性は前年同期に比べ31万人増加,女性は14万人増加〉と自己都合型非正規の多さを以って非正規雇用の正当化を謀ろうとしているが、自己都合型非正規であろうと、非自己都合型非正規であろうと、そもそもからして正規と非正規の賃金格差は年収で120万以上も違いがあるという厳然たる事実、男女間の賃金格差も無視できない金額となっていることがそもそもの元凶であって、その元凶をそのままに非正規雇用の正当化を謀ろうとすること自体が間違っているだけではなく、景気回復で上は上がっても、低所得層の賃金が上がらない要因の一つとなっていて、格差が是正できない原因となっている。

 安倍政権は2016年1月の通常国会施政方針演説「ニッポン1 億総活躍プラン』を掲げ、「同一労働同一賃金」をその柱の一つにしたが、2019年9月27日付「時事ドットコム」記事によると、2018年の1年間に得た平均給与は6年連続増加しているものの、〈雇用形態別に見ると、役員を除く正規社員が503万5000円、非正規が179万円で、分類を始めた12年以降、格差は一貫して広がっている。〉としていて、雀の涙程賃金が上がっても、格差の大きさは生活の困窮か解放されるには如何ともし難い。

 2018年の正規と非正規の賃金格差、男女の賃金格差は独立行政法人「労働政策研究・研修機構」調査で平均年齢43.6歳所定内給与337万円に対して女性平均年齢41.4歳247万円となっていて、女性は男性の73.3%という差がついているだけではなく、G7の中では男女賃金格差が最も高いとされている。

 当然、安倍晋三が「この春の賃上げ率は20年間で最高となりました」と言っているアベノミクスのバラ色の成果は安倍晋三本人が謳い上げる程にはバラ色の輝きを放っていないことになる。

 図にある給料から税金や社会保険料等を差し引かれた、実質的に消費に回すことができるカネである「平均可処分所得金額」は「平均所得金額」と比較して120~30万円も少なくなっているが、所得分布が低い世帯程、この差は低くなるにしても、低所得層にとって可処分所得金額が自身の所得金額よりも少なくなるいということは生活に余裕を与えない、かなりしんどい厳然たる事実に違いない。

 例えば平均所得が100万円未満の世帯は市県民税が免除されるが、生活保護を受けていなければ、国民健康保険税を払わなければならないし、特に買い物時に常に徴収される消費税は溜め息をつかせる年中行事になっているに違いない。

 その「100万円未満世帯」は民主党政権最後の年の2013年6.9%に対して安倍政権2018年6.2%と0.9ポイント減少していて、それなりの成果を見て取ることができるが、「100~200万円世帯」はプラス0.7ポイント、「200~300万世帯」は1.3ポイント、「300~400万円世帯」は0.2ポイント、世帯数を増やしているが、「400~500万世帯」で1.5ポイント減、「500~600万世帯」で0.6ポイント世帯数を減らしている。

 要するに「100万円未満世帯」の減少分が、「100~200万世帯」、「200~300万世帯」、「300~400万世帯」の増加で十分に補っているものの、その範囲の増加であって、「300~400万世帯」よりも上の「400~500万世帯」と「500~600万世帯」で民主党政権時よりも減らすことで、全体的に差し引きほぼ等しくなっていて、これと言って見るべき程の成果となって現れていない。

 このことは「平均所得金額以下世帯」と「平均所得金額以上世帯」の割合の増減にも現れているが、民主党政権の2012年の「平均所得金額以下世帯」62.3%に対して安倍政権2018年は62.4%と0.1ポイント、悪い方向に増やしていて、「平均所得金額以上世帯」にしても2012年民主党政権の37.3%に対して2018年の37.6%と0.3ポイント、格差拡大を意味する悪い方向に増やしている。

 もしアベノミクスのバラ色の成果を謳うなら、「平均所得以下世帯」を大きく減らして、平均所得金額以上の「600~700万世帯」は民主党政権最後の年よりも0.6ポイント増やしてはいるが、中間層に当たる「700~800万世帯」、「800~900万世帯」の割合を大きく増やさなければならないが、前者は1.5ポイント、後者にしても、0.6ポイント減らしている。例え0.1ポイントであっても、全世帯数約5千万世帯の0.1ポイントは500万世帯に当たり、バカにならない世帯数となる。

 「平均所得以下世帯」を大きく減らして、「700~800万世帯」、「800~900万世帯」の割合を大きく増やせば、平均所得金額そのものの数値が上がることになる。その数値を目を見張る程に上げることができて初めて、「アベノミクスは格差ミクス」の批判を拭い去ることができるのだが、そうはなっていない。

 平均所得金額がしっかりと上がっていないから、そうはなっていないから、いわば

 確かにアベノミクスによって少しはマシな傾向が見て取れるが、バラ色の成果を謳ったり、民主党政権を「悪夢」と非難できる資格を認めることができる程には成果を挙げていない。

 そもそも平均所得金額を眼を見張る程の数値で上げることができなければ、「平均所得以下世帯」は自らの収入に安心感を持てないことになって、安倍政権は2016年に2025年度を目処に出生率を1.8にする目標を掲げているが、どれ程に子育て支援を掲げたとしても、期待外れに終わる公算が大きい。このことはこれまでの出生数を見れば分かる。

 2019年6月7日に厚労省が発表した2018年の出生数は91.8万人、過去最低を更新し、出生率は1.8に程遠い1.42人、2019年の出生数は2021年と見込んでいた90万人割れが推計より2年早くなるのは確実で、勿論、過去最少の予想だという。つまり歯止めをかけることもできていない。

 先に挙げた2019年1月28日の通常国会施政方針演説でも少子化に触れている。

 安倍晋三「我が国の持続的な成長にとって最大の課題は、少子高齢化です。平成の30年間で、出生率は1・57から1・26まで落ち込み、逆に、高齢化率は10%から30%へと上昇しました。

 世界で最も速いスピードで少子高齢化が進む我が国にあって、もはや、これまでの政策の延長線上では対応できない。次元の異なる政策が必要です。

 子どもを産みたい、育てたい。そう願う皆さんの希望を叶(かな)えることができれば、出生率は1・8まで押し上がります。しかし、子どもたちの教育にかかる負担が、その大きな制約となってきました。

 これを社会全体で分かち合うことで、子どもたちを産み、育てやすい日本へと、大きく転換していく。そのことによって、『希望出生率1・8』の実現を目指します。

 10月から3歳から5歳まで全ての子どもたちの幼児教育を無償化いたします。小学校・中学校九年間の普通教育無償化以来、実に70年ぶりの大改革であります」

 華々しく掲げた政策の成果をバラ色の輝きで誇るが、特に一般国民が安心と保証を手に入れることができる賃金に関する政策では等しく満足させる程に何一つ実現できていない。統計上、アベノミクス景気が戦後最長景気であることが明らかになったとしても、実感なき景気であることに変わりはない。アベノミクス景気がバラ色の輝きを放っているかのようにその成果を誇るのは自らが看板に偽りありを演じているに過ぎない。

 大企業が過去最高益を上げている状況に対して一般生活者の賃金が満足に上がらない状況、実感なき景気回復に過ぎない状況は“上に極厚・下に極薄”のアベノミクスが格差ミクスそのものであることを物語っていて、一般的な国民の一般的な生活に向けてバラ色の成果は逆説となって襲いかかってくる。

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「桜を見る会」:反社会的勢力等招待は「功労・功績者」とする招待基準に関わる原理・原則の問題で、個人に関する情報は無関係

2019-12-02 09:44:43 | Weblog
 2019年12月2日参議院本会議での共産党田村智子参議員の「桜を見る会」に関わる質問と対する安部晋三の答弁をなにかのさんこうになるかと思い、付け加えることにしました。青文字で寸評を加えた。(2019年12月4日朝8時5分)

 「質問全文」しんぶん赤旗)&安部答弁
  
 日本共産党の田村智子議員が2日の参院本会議で行った、2018年度決算についての質問は以下の通りです。

 予算の大幅超過

 「桜を見る会」が大問題になった始まりは、支出額が予算の3倍にも膨れあがったことにあります。首相は、予算の大幅超過をいつ認識しましたか。知っていながら、なおも支出を増やし続けたのですか。

 しかも結果的に予算を超えてしまったのではありません。本決算の2018年は、ケータリング2136万円、これだけで「桜を見る会」全体の予算1778万円を大きく超えています。しかも契約は、予算成立の5日後、予算審議中にその準備を進めていたのです。これは国会をあざむく行為ではありませんか。

 憲法は、内閣に、国会へ予算を提出し、審議と議決を経たうえで支出することを義務づけています。予算審議中に、提案した額を上回る歳出を準備する。しかも毎年、予算超過を拡大させる。このように憲法が定める財政民主主義を無視したやり方が、なぜ許されていたのでしょうか。「首相主催」の行事は、憲法さえも超越するのですか。明確な答弁を求めます。

 首相の推薦枠は

 11月8日の予算委員会以降、安倍晋三事務所が作成・配布した文書が次々と明らかとなり、菅義偉官房長官は、首相などからの推薦の仕組みがあることを認め、20日の本会議で首相も「私自身も事務所から相談を受ければ推薦者についての意見を言うこともありました」と答弁した。つまりは、首相からの推薦・招待の仕組みを、安倍首相は前々からご存じだったのではありませんか。

 それなのになぜ、予算委員会で、私の指摘を事実であると認めなかったのですか。私は、「首相は招待者のとりまとめをしていますか」とは、一言も聞いていません。安倍事務所が参加者を募り、首相の地元後援会員を招待しているかと、繰り返しただしたのです。これを認めなかったことは、まさに偽り、ごまかしの答弁そのものではありませんか。質問をすり替えることなくお答えいただきたい。

 予算委員会理事懇談会に提出された資料により、各省庁からの推薦者数には、ほとんど変動がないことがわかりました。首相をはじめとする自民党からの推薦者が増え続け、1万8000人もの参加者となった。このことを認めますか。

 後援会員を招待

 「桜を見る会」は、招待がなければ参加できません。新宿御苑を貸し切り、禁止されている飲酒も特別に認められ、無料で飲食物が提供され、お土産が配られる。首相と特別に記念撮影ができる。このような場に、首相の選挙区をはじめ、自民党の後援会を大勢招待する。その目的・意図はなんでしょうか。

 11月15日の会見で、「自分は安倍総理の選挙等を支えてきているから、その貢献で選ばれたと思うという方がいらっしゃった」という記者の問いに、首相は「確かにそう思われる方もおられると思います」と答えています。また今年は、直後の参議院選挙で改選となる議員に多くの招待状が配分されたことを、世耕弘成参院幹事長が認めています。自民党の選挙への貢献に感謝し、次の選挙でも支持を広げてくれることを期待し、後援会の招待を拡大してきたのではありませんか。

 公職選挙法は、自らの当選だけでなく、第三者に当選を得させようとして、金銭・物品その他の供与、供応接待することを買収行為として禁じています。首相、「桜を見る会」であなたと自民党がやってきたことは、まさに税金をつかった事実上の買収行為ではありませんか。

 首相は、「招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れあがってしまった」と言いますが、内閣府が省庁に示した推薦の基準は、勲章・表彰を受けた方、ボランティアや被災地の復興に尽力した方など明確です。一方、安倍事務所の参加申込書には社会的な功績・功労を示す記入欄はありません。どのような基準で推薦名簿をとりまとめたのでしょうか。安倍事務所に申し込めば、すべての招待状が届く仕組みだったのではありませんか。

 また、昭恵夫人が関わったイベントや団体の方からは「名刺交換をしたら毎年招待状が届くようになった」という発言が多数確認できます。総理や昭恵夫人からの直接の推薦者もあったと推測されますが、いかがですか。

 推薦千人の根拠

 菅官房長官は「総理からの推薦約1000人」と国会で答弁しましたが、この根拠は極めて薄弱です。官邸総理室がとりまとめた招待者は何千人になるのか、首相の責任で明らかにしていただきたい。答弁を求めます。
悪徳マルチ商法

 悪徳マルチ商法で高齢者を食いものにし、その財産を奪い取ったジャパンライフの会長が、2015年「桜を見る会」に招待されたことは極めて重大です。ジャパンライフの資料には、招待状の受付票に「60」という招待区分番号が記されています。内閣府は、招待区分「60~63」が「総理・長官等の推薦者」であることをやっと認めました。首相、「60」は官邸総理室がとりまとめた「総理の推薦者」ではないですか。ジャパンライフの会長は、首相もしくは首相関係者によって招待されたのではありませんか。

 11月29日の「桜を見る会 野党追及推進本部」では、被害者の肉声が公表されました。「安倍総理から招待されるのはすごいことだ、偉い会社だと、安心して貯金も生命保険も言われるままにつぎ込んだ。15歳から働いて蓄えた財産をすべて失ってしまった」。同日、大門実紀史議員は国会質疑で、ジャパンライフが計画的破綻を視野に、最後の荒稼ぎをしようとした時期に招待状が届いたことを明らかにしました。首相が、ジャパンライフを信用させ、悪徳商法の被害を拡大する役割を果たしたのです。この責任をどうとるつもりか。

14年、ジャパンライフへの厳格な立ち入り調査が行われる方針だった。ところが行政指導にとどまった。その理由として大門議員が入手した内部文書には、「政治的背景を懸念し」と書かれています。被害者7000人、被害総額2000億円、これほど被害が拡大したのはなぜか。「政治的背景」とは何か。徹底的な真相究明が必要であることを厳しく指摘しておきます。

 招待の実態をただすと、内閣府は「名簿を廃棄したのでわからない」との説明を繰り返しています。

 データ復元せよ

 今年の名簿は、宮本徹衆院議員が資料要求した1時間後にシュレッダーにかけた。各省庁には推薦者名簿が保存されているのに、内閣官房にあるはずの「総理・長官等の推薦者」「与党による推薦者」の名簿だけが廃棄された。これが事実ならば、安倍政権のもとで、内閣府と内閣官房は、公文書のまともな取り扱いさえできない行政府になりはてた、ということではありませんか。

 反社会的勢力が招待されたのかという事実確認さえ、「できない」で終わらせることは許されません。やましいところがないならば、首相の責任で電子データを復元させ、全ての名簿を明らかにすべきです。

 国立公文書館には、「桜を見る会」の文書が多数保存されています。岸信介内閣時代の名簿は永久保存です。1957年の名簿は、戦後の引き揚げ者、戦後の復興への功績・功労者として、招待者の名前がすべて開示されています。政府がどのような考え方で、どのような施策を行ったのか、後世においても検証できるよう、国民の財産として公文書を保管する。自民党政権のもとでもこうした歴史と伝統、政府としての矜恃(きょうじ)は受け継がれてきたはずです。

 安倍政権の7年間で、公文書が、隠され、改ざんされ、廃棄される。官僚の答弁は、総理をかばうために矛盾に矛盾を重ねる。こんなことがどれだけ繰り返されてきたか。いつまでこんなことを繰り返すつもりなのか。日本の民主主義が壊されていくことを黙認などできるはずがありません。当たり前の公正な政治を取り戻すために、心ある皆さん全てと力を合わせる決意を述べ質問を終わります。

 安部晋三答弁

 安部晋三「田村議員の質問にお答えする前に先程の柴田議員の決算検査報告書についての質問に対する私の答で指摘額を1200億円と申し上げましたが、正しくは1002億円でございましたので、訂正し、お詫びを申し上げます。
 『桜を見る会』への予算と支出について質問がありました。『桜を見る会』については長年の慣行の中で行わてきたところではありますが、招待基準が曖昧であり、結果として招待者の人数が膨れ上がった実態があったと認識しております。

 私自身は支出の詳細については承知しておりませんでしたが、結果的には望ましいものではなかったと認識しております。4月上旬に契約を締結するためには入札等に必要な工事期間を適正に確保する必要があることから予算審議中に工事自体は一般的に行われているものと承知しております。また契約額は予算積算上の見積額を上回ってはいるものの、国会で既設(?)を頂いた内閣府の共通定義の範囲内で執行されたものと承知をしております。(下線箇所、意味不明)

 (共産党席の議員が笑い、何かヤジめいた言葉を発している様子をカメラが映し出していたから、こじつけた答弁だったのだろう。)

 いずれにしても『桜を見る会』のこれまでの運営については大いに反省すべきであり、今後、私自身の責任に於いて招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討すると共に予算や招待人数も含めて全体的な見直しを幅広く、意見を聞きながら行って参ります。

 『桜を見る会』の招待に関する私の答弁についてお尋ねがありました。『桜を見る会』の招待者については内閣官房及び内閣府が最終的な取り纏めを行っているところ、長年の慣行として官邸内や与党にも推薦依頼を行っており、私の事務所にも、これまで推薦を行って参りました。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、実際の事務所に於ける推薦作業の詳細は承知しておりません。

 『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、当該プロセスには一切関与しておりません。従って、私が地元後援会員を招待しているのではないかとの質問に対する私の先日の答弁は虚偽とのご指摘は当たりません。

 『桜を見る会』への推薦者についてお尋ねがありました。『桜を見る会』については長年の慣行として官邸内や与党にも推薦依頼を行っているところ、自民党内の推薦の経緯等については参議院幹事長から先日ご説明があったものと承知をしておりますが、政府として把握しておりません。

 私の事務所に於いては後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行ってきたところです。

 既に記録が残っていないところから、その詳細は明らかではありませんが、『桜を見る会』については長年の慣行の中で行われてきており、招待者の基準が曖昧であった結果として招待者の数が膨れ上がってしまった実態があると認識しております。

 他方、いずれにしても招待者は選出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、公職選挙法に抵触するのではないかとのご指摘は当たりません。

 『桜を見る会』への私の事務所からの推薦についてお尋ねがありました。私の事務所に於いては内閣官房からの依頼に基づき後援会の関係者を含め地域で活躍されてるなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っていたところであります。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、事務所を通じた推薦以外は行なっておりません。

 他方、繰り返しになりますが、『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、私の事務所が申し込めば必ず招待状が届くものではありません。

 (安部後援会と自民党参議院の案内状は「事務所が申し込めば必ず招待状が届く」内容となっている。)

 また、私の事務所から推薦に基づく招待人数の概数については既に官房長官が内閣官房及び内閣府の事務方からの聞き取りを踏まえ、国会にて報告したところでありますが、既に記録が残っていないところから詳細を明らかにすることは困難だと承知をしております。

 平成27年の『桜を見る会』の招待者についてお尋ねがありました。先ずご指摘の番号は招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付しているものであり、会の終了を以って使用目的を終えることから、内閣府に於いて現時点でこれらに関する情報は保有していないと報告を受けております。

 その上で『桜を見る会』の個々の招待者やその推薦元については個人に関する情報であるため、招待されたかどうかも含めて従来から回答を差し控えさせているところであります。

 一方、一般論として申し上げれば、『桜を見る会』は企業や個人の違法、不当な活動に利用されることは決して容認できません。『桜を見る会』については長年の慣行の中で行われてきたところでありますが、招待者の基準が曖昧であるなどのご批判を国民の皆様から受けているところであります。

 これまでの運用を大いに反省し、今後私自身の責任に於いて招待基準の明確化や招待のプロセスの透明化を検討すると共に予算や招待人数も含めて全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいります。

 招待者名簿の廃棄等についてお尋ねがありました。『桜を見る会』の招待者名簿については会の終了を以って使用目的を終えることに加え、これを全て保存すれば、個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理するなどの必要が生じることから、公文書文書管理法等に基づき、内閣府に於いて保存期間1年未満文書として終了後、遅滞なく廃棄する取り扱いとしています。

 『桜を見る会』運営等についてはこれまでの運用を大いに反省し、今後、私自身の責任に於いて全般的な見直しを行ってまいりますが、内閣府始め予め定められた手続きに則って招待者名簿を廃棄しているものと承知をしております。

 内閣府が採用しているシステムは個々の端末ではなく、サーバーでデータを保存するシンクライアント方式であり、端末にデータが保存されておらず、またサーバーをデータ廃棄後、バックアップデータの保存期間を経たあとは復元は不可能であるとの報告を受けております」(以上)

 安部晋三支持者や自民党国会議員支持者を好き勝手に招待した疑いから予算の私物化・行政の私物化ではないかと糾弾対象と化した安部晋三主催の公的行事「桜を見る会」に関しての安部晋三側の態度は野党の糾弾に対して招待者に関しては「個人に関する情報」であることと推薦者名簿と招待者名簿は共に廃棄したことを楯に一切の情報公開を遮断、野党が疑惑追及の場として予算委員会開催の要求していることに対しても開催拒否を貫き、私物化疑惑の払拭に努めているが、マスコミの世論調査で政府の説明は信用できないが70%から80%も占めている。

 時間が経てば、疑惑は沈静化するだろうと踏んでいるのかもしれないが、特に「個人に関する情報」を楯に情報公開を遮断し、説明責任を回避することは果たして正当性ある態度として許されるのだろうか。

 「桜を見る会」の予算の私物化疑惑・行政の私物化疑惑は2019年11月8日の参議院予算委員会で日本共産党議員田村智子が取り上げてから、一気に問題化した。安倍晋三側は田村智子から質問通告を受けて、どう逃げ切るか、用意周到に準備を整えていたのだろう。

 当該参院予算委では安部晋三側は「各界に於いて功績・功労のあった方々」が「桜を見る会」の招待基準だとして、全ての招待客が基準に合致しているとの趣旨で答弁、対して田村智子は安倍晋三の後援会員やその他の自民党議員の後援会員を招待基準抜きに恣意的に招待したために約1万人としていた定員をオーバーして招待客が1万8千人(11月20日午前の衆院内閣委員会での官房長官菅義偉の答弁では約1万5000人=首相枠約1000人+各界功労者や勲章受章者約6000人+自民党関係者約6000人+特別招待者や報道関係者約1000人+副総理ら官邸幹部が約1000人)にものぼったのではないかと追及した。

 但し菅義偉による政府側公表の約1万5千人は推薦者名簿も招待者名簿も、これらの電子データも廃棄したとしているのだから、確かめようもないことで、少なく見積もった約1万5千人ということは十分にあり得る。

 この質疑に関しては2019年11月11日の当「ブログ」に取り上げたが、今回は「個人に関する情報」を楯に情報公開を遮断している発言箇所を適宜拾い出して、招待基準との兼ね合いでそれが正当性ある発言となっているのかどうかを見てみる。

 大塚幸寛(政府参考人内閣府大臣官房長)「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績・功労のあった方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。

 まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているところでございます」

 田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約一万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。

 なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。

 『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』

 これ当時規制改革担当大臣。『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。

 2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』

 その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』」

 大塚幸寛が言っている「その他各界の代表者等」とは「皇族、元皇族」を筆頭に「各国大公使等」、「国会議員」等々11段階に分けたうちの最下位に位置する「招待範囲」であり、他の「招待範囲」と同様に招待基準をほかの答弁に合わせて「各界に於いて功績・功労のあった方々」としている。

 実際に招待された中に国会議員の後援会員や選挙のウグイス嬢、安部晋三の後援会会員が混じっているとなると、「功績・功労のあった方々」といった価値づけにふさわしい招待基準としていたのかどうか、国民側からしたら説明責任を求める権利があるはずだが、その責任を「個人に関する情報」であることと名簿廃棄を楯に果たそうとする意思を一切見せようとしていない。

 田村智子「後援会なんですよ。総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党の中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」

 安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。

 私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」

 「各界に於いて功績・功労のあった方々」の「招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知」をしていて、安部晋三自身は「招待者の取り纏め等には関与していない」からと、暗に誰が招待されたのか分からないとし、その上、「個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いている」と、二重三重に説明拒否を張り巡らせている。

 大塚幸寛(内閣府大臣官房長)「あの、具体的な、その招待者の、その推薦、例えば推薦名簿ですが、推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えるということもございますし、それからその個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理すると、支障が生じることもございまして、これは従前からその一連の書類につきましては保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとするところでございます」

 安倍晋三やその他の閣僚等からの「推薦名簿」の中から内閣官房と内閣府が誰を招待するのか最終的に取り纏めて「招待者名簿」を作成する。「推薦名簿」の廃棄は「招待者名簿」をも廃棄したことを意味する。両方の名簿を廃棄しないことには招待基準に則った招待であったかどうかが明らかにされる恐れを残すことになる。

 尤も廃棄しなくても、「個人に関する情報」を楯に答弁拒否できるのだが、答弁拒否をより堅固な城壁で囲って崩さられないために廃棄も必要としたと疑うことはできる。

 上記ブログに、〈招待の基準とする「功労・功績」がどのような性格と程度を備えたものであることが必要であるといったことは「個人に関する情報」を口実にして、決して説明しようとしない。招待の基準は「個人に関する情報」のうちには入らない。〉と書いた。

 なぜなら、「功労・功績者」とする招待基準は原理・原則の問題であって、その基準に合致しているかどうかは個々の個人情報とは無関係に判断ができるからである。例えば安部晋三の今年の「桜を見る会」の招待枠約1000人のうち、その後援会会員が多く含まれていて、誰が招待されたかは分かっているだろうから、誰がは問題にせずにどのような招待理由で推薦されたかは聞き取り可能で、聞き取った招待理由から招待基準に則っているかどうかは国民の判断に委ねることができる。

 この国民の判断に委ねる行為こそが国民に対する説明責任に当たり、説明責任を果たすことになる。

 例えばウグイス嬢が招待されたとしても、それがどこの誰であるのかといった「個人に関する情報」は無関係に地域に関係することであっても、社会一般が認めるどのような「功労・功績」を地域に与えて、招待基準としている原理・原則をクリアするに至ったのかといった一点を明らかにすることによって「桜を見る会」が予算の私物化や行政の私物化を免れて、正しく運営されたかどうかの判断材料となるはずである。

 だが、こういった説明責任を果たす意思はサラサラ見せないばかりか、招待基準の原理・原則の問題を疎かにしたまま「個人に関する情報」であることを口実に答弁を拒否して、説明責任とは逆行する態度に終止している。「桜を見る会」の招待を巡る運営に瑕疵はないとする自己正当化にいくら邁進したとしても、そのことを以って国民に対する説明責任を果たしたとは言えない。招待基準の原理・原則に則った招待であったかどうかの問題をクリアしてこそ、説明責任を果たすと同時に全ての疑いを晴らすことができて、安部晋三以下の政府側の自己正当化は成り立つはずである。

 当然、「個人に関する情報」とは無関係に「功労・功績者」とする招待基準に合致した招待であったかどうかの原理・原則の問題こそが核心的部分で、その問題をクリアしないままの現在の段階での自己正当化は認めるに値しない。

 と言うことは、過去の「桜を見る会」なのか、今年の「桜をみる会」なのか、反社会的勢力が招待されていて、その人物と官房長官の菅義偉が肩を並べて握手しながらカメラに向かっている写真がネット上に出回っているが、その人物が誰であるかの「個人に関する情報」とは無関係に、招待されて、菅義偉と握手することを可能とした、招待基準に関わる原理・原則を無効とした理由の説明責任、あるいは原理・原則に関しては十分に機能していて有効そのもので、それが正当性ある出席で、握手にしても正当性あるとすることができる理由の説明責任こそが、当然、核心的に求められることになり、政府側はその求めに応じなければならないことになる。

 このような求めに応じているのか、反社会的勢力が「桜を見る会」の招待客となっていたことに関わる菅義偉の国会答弁や記者会見発言の正当性如何を見てみる。

 2019年11月26日午後菅記者会見。

 記者「長官の以前の会見で反社会的勢力とされる方の出席についてそういう方が入られたということはそのように言われても止むを得ないと答えられておりますけれども、それでは実際にそうした方が出席があったことは把握しているんでしょうか。また出席があって、軽率だったと考えていますか」

 菅義偉「出席は把握しておりませんでしたけれども、『桜を見る会』で写真を撮った中にそうした方がいたそうですという指摘を受けましたので、結果として入っていたんだろうということを申し上げたところであります。
 何年の分か分かりません。いつのときだったか全く分からない状況ですけどけれども、まあ、マスコミの方から『そうした方』というご指摘を頂いたということは、これ事実でありますから、結果的に入られたんだろうというふうに思ってます」

 反社会的勢力が「結果として入っていたんだろう」、あるいは「結果的に入られたんだろう」と答えている。物事は結果に対して原因が存在する。原因の存在しない結果などありようがないことは誰にでも分かっている。菅義偉は11月25日の参議院行政監視委員会で安部晋三主催の「桜を見る会」での招待者決定の際の最終的な意思決定者は誰かと問われて、「私が責任者だ」答弁している。

 当然、菅義偉は招待者決定の際の最終的な意思決定者である以上、反社会的勢力が「結果として入っていた」なら、なぜ「入っていた」のかの原因を究明する責任を有することになる。兎に角「桜を見る会」の会場と思われる場所で花を咲かせた多くの桜の木とその前に集っている大勢の人を背景にその人物と菅義偉が肩を並べて握手しながらカメラに向かっている写真がネット上に出回っている以上、その写真が合成なのか、合成でなければ、何年の「桜を見る会」の会場だったのか、実際に反社会的勢力の一員なのかどうか、一員だとしたら、どのような理由・経緯で招待されるに至ったのか、事実関係=原因を究明する段階で否応もなしに招待基準を「功労・功績者」とする原理・原則に合致していたのかどうかの問題に行きつくことになる。

 ところが菅義偉の発言は「結果として入っていた」と結果だけを口にする無責任極まりない内容となっている。

 2019年「菅義偉11月27日記者会見」(asahi.com/2019年11月27日21時47分) 

 記者「長官の『(反社会的勢力が)結果として入っていたんだろう』との発言を受け、野党側は『進退に関わる』と問題視している。責任をどう捉えているか」

 菅義偉「『桜を見る会』の個々の招待者が招待されたかどうかも含め、個人情報なので従来から回答は控えている。『反社会的勢力』は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではない。26日の記者会見では、もし一緒に撮った写真があるなら、私自身は把握していないが、その方は結果として会場にいたのだろうと(いう趣旨で)申し上げた。反社会的勢力の出席を私自身は申し上げてはいない」

 記者「本当に出席していたかは確認しているのか」

 菅義偉「撮影の人物は面識がないし、個々の招待者の参加について承知していない」

 記者「写真の人物がどういう人物か確認しているのか」

 菅義偉「まったくしていない」

 記者「(オーナー商法を展開し、特定商取引法違反容疑で今年、家宅捜索を受けた)『ジャパンライフ』元会長の招待も疑われている。首相の推薦枠との指摘もある」

 菅義偉「現時点でこれらの情報は保有しておらず、お答えできない」

 記者「(反社会的勢力に関して)『結果として入っていた』という言い方だが、招待していない人物が入った可能性はあるのか」

 菅義偉「個々の招待者については、招待されたかどうかも含めて個人情報なので従来から回答を控えている。26日の会見で私は『把握していない』と申し上げた上で、『みなさんからのご指摘があればそうだろう』と申し上げたということ。ただ、事実関係は承知していない」

 記者「反社会的勢力をめぐっては、過去に(会合に同席するなどした)タレントが謹慎するなどしており、『知らなかった』では通用しない。首相や長官も謹慎すべきだといった厳しい意見もあるが、責任を取る考えはあるのか」

 菅義偉「責任というか、私自身は把握しておりませんので、ただ、反社会の人かどうかということは皆さんがずっと言われているわけですから、私自身は把握していないということであります」

 記者「反社会的勢力は定義の問題もあるのでしょうが、政府としては反社会的勢力と疑われる人が入っていたかどうかを改めて確認する考えはないんですか」

 菅義偉「そこは反社会的勢力はいけないんじゃないかというふうに思っております」

 やはり「『桜を見る会』の個々の招待者が招待されたかどうかも含め、個人情報なので従来から回答は控えている」を「桜を見る会」の運営の正当性を担保する唯一の楯にして、「結果」に於ける事実関係の確認、事実と確認した場合のそのような「結果」を招いた「原因」の究明を通して「功労・功績者」であることを原理・原則としている招待基準に合致した招待であったかどうかの問題を明らかにしようとする意思は毛程も見せていない。

 そしてそのような自身の態度を正当化するために「『反社会的勢力』は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではない」などと擁護するようなことを口にしているが、この手の擁護は事実確認をしなければ口にすることはできないはずである。事実確認をして初めて、「彼のことを反社会的勢力の一員と見る向きもあるが、我々からすると、一員に入らない。定義は一義的に定まっているわけではない」と擁護できる。

 既に触れたように核心的なことは「功労・功績者」であることを原理・原則としている招待基準に合致した招待であったかどうかであって、反社会的勢力と目された人物の出席の事実確認をして、事実と確認された場合は招待基準に合致した招待であったかどうかにまで遡って全ての経緯を明らかにしてこそ、安部晋三主催の「桜を見る会」が正しく運営されてきたのか、予算の私物化や行政の私物化との指摘に対する正否の判断の提供、即ち国民に対する説明責任となる

 だが、安倍晋三も菅義偉もそのような正否の判断の提供が可能となる地点、国民に対する説明責任を可能とする地点にまで導く手立ては一切せずに「個人に関する情報」だからと、あるいは書類は廃棄したからと、情報公開を遮断し、説明責任は回避している。

 そうすることを必要としている以上、不明朗な運営があったと判断せざるを得ない。記者が「反社会的勢力は定義の問題もあるのでしょうが、政府としては反社会的勢力と疑われる人が入っていたかどうかを改めて確認する考えはないんですか」と聞いたのに対して菅義偉が「そこは反社会的勢力はいけないんじゃないかというふうに思っております」と口だけで済ましているが、この発言にこそ、招待基準に合致した招待であったかどうかを含めて全ての事実確認を省こうとする意思を象徴的に表した最悪の説明責任となっている。

 予算の私物化・行政の私物化の非難を解消する唯一の手立ては「功労・功績者」であることを原理・原則としている招待基準に合致した招待であったかどうかを明らかにする以外に道はないことを改めて指摘しておく。

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2019年11月8日参議院予算委員会:共産党田村智子「安倍晋三『桜を見る会』私物化問題視質問全文

2019-11-09 19:55:39 | Weblog
 田村智子「共産党の田村智子です。安倍内閣のモラルハザードが問われていますが、私は総理自身の問題を質問致します。毎年4月、総理大臣主催の『桜を見る会』が新宿御苑で行われていますが、安倍総理のもとで参加者数、支出額が年々増えています。これ2013年以前の資料がないということなのですで、2014年を見ると、参加者1万3700人、支出額3千5万円。予算の1.7倍です。

 ここから伸び続けて、今年は参加者1万8200人、支出額5千520万円、予算の3倍は超えました。驚くのは来年度の要求額ですね。先の国会で予算とかけ離れていると批判されたからなのか、今年度の支出額を超えて、5千730万円を要求しているわけなんです。

 総理、なぜこんなに参加者と支出額を増やしてきたんですか」

 委員長「内閣府大臣官房長大塚幸寛くん」

 大塚幸寛「あの、お答えを致します。先ず要求額でございますが、この『桜を見る会』の概算要求に当たりましては、例えばテロ対策の強化や混雑緩和のための措置など、近年に講じた改善点を反映させるなど致しましては、実態に合わせた積算をさせて頂きましたが、その結果として、今ただ今ご紹介ございました来年度要求は、5千728万8千円を要求をさせて頂いてるとこでございます。

 それから招待客が増えている理由でございますが、ま、こちらにつきましては『桜を見る会』には例えば外交団、国会議員、都道府県知事、議長初め、各界に於いて功績・功労のあった方々を、これは各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をしております。

 そしてその上で内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めているところでございますが、そうした結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」

 田村智子「総理主催ですから、総理に答えて頂きたいんですがね。次の資料で、今、テロ対策等々と言いましたが、支出数値だけを見てくださいよ。一番経費がかかっているのは飲食物提供ですね(パネルから22,615千円)。

 案内状も実は2.5倍に増えてるんですよ。案内状というのは封筒の裏面が総理のお名前です。表面に招待者の名前を記して、必ず一人ひとりに送付を致します。招待者が本当に増えたってことが分かるわけですよ。

 招待者が増えれば、参加者も増える。混雑緩和のための会場設営費もどんどん増えると。そういうことですね。もう一つ見たいんです。『桜を見る会の開催要領』。これ毎年閣議に配布がされているということなんですけれども、この中の招待範囲、今色々言いましたね、確かに皇族とか、各国大使、また議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りはですね、年々増えるってあり得ないんですよ。

 内閣府に聞きましたら、推定だが、まあ2千人くらいで、ほぼ固定的だって言うんですね。そうすると、一番下ですね。『その他各界の代表者等』、これが増えたっていうことだと思うんですが、じゃあ、これ内閣府でいいですよ。『等』も含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」

 大塚幸寛「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。

 まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているとこでございます」

 田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約一万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。

 なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。

 『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』

 これ当時規制改革担当大臣。『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。

 2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』

 その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』

 もう一人ご紹介します。『萩生田光一の永田町見聞録』、2014年4月18日、総理主催の『桜を見る会』が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様を
(ご夫婦で)お招きしました」

 萩生田大臣、当時は自民党総裁特別補佐ですけれども、常任幹事会の皆様というのはどういう方で、どの部署が推薦してくださったんですよね(くださったんですか)」

 萩生田光一「『桜を見る会』については各界に於いて功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待しているものと承知をしており、最終的な取り纏めは内閣官房及び内閣府に於いて行われていると承知しております。実際に参加された方は手続きに則り、招待さた方であると承知をしております」

 中断。

 萩生田光一「自分の知り合いの方をのべつまくなしに入れるという仕組みにはなっておりません。その方たちが例えば各種業界団体の東京都単位の役員になってる、そういう方について、(田村智子が自席から何か言ったのか)それ何年のでしょうか。(ふっと一笑いしながら)常任幹事会の中にそういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方達がお招きをされたと承知をしております。まあ、あの、私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」

 田村智子「常任幹事会って何ですか。常任幹事会って、何の団体の常任幹事なんですか」

 萩生田光一「2014年の常任幹事会って言うのは後援会の中の常任幹事の方だということだと思います」

 田村智子「後援会なんですよ。総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」

 安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。

 私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」

 田村智子「安倍総理のことでお聞きしますよ。友田たもつ下関市選出の山口県議会議員のブログ、2014年5月1日号、『4月12日、安倍首相が主催する「桜を見る会」に行ってまいりました。今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会。安倍首相には長く政権を続けて貰い、今後もずっと「桜を見る会」に下関の皆さんを招いて頂きたい』とあるんですね。『ホテルから貸切バスで移動する』と。総理ね、そういうご自身も、地元後援会の皆様さんを多数招待されてるんじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように『桜を見る会』についてはですね、これは昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため、などのため開催しているものと承知をしておりますが、萩生田大臣からも答弁させて頂いたとおりですね、えー、様々な、例えば地元に於いて自治会等々ですね、あるいはPTA等で役員をされている方々もおられるわけでございますから、当然、そういう方々とですね、これはあの後援会に入ってる方々が、これは重複することも、当然、あるわけでございます。

 そういう中で招待されてるものと承知をしておりますよ」

 田村智子「これね、ちゃんと調べてくださいよ。例えば友田県議員。後援会の女性部。『どういう功労・功績が認められたのか』と(調べてほしい)。で、『どの府省が』というのは内閣府とその他色々省ってことですよね。

 どの府省の推薦で招待されたのか、ちゃんと調べてくださいよ、総理」

 大塚幸寛(内閣府大臣官房長)「あの、具体的な、その招待者の、その推薦、例えば推薦名簿ですが、推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えるということもございますし、それからその個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理すると、支障が生じることもございまして、これは従前からその一連の書類につきましては保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとするところでございます」

 田村智子「ほんとにね、検証ができない状態なんですよね。私もね、友田県議とか、下関の後援会ですが、何で招待されるんだろうかと。内閣府が発送しているので、我が党の『しんぶん赤旗』、現地取材をしました。

 下関市の後援会員の男性は今年の『桜を見る会』についてこう話ししてるんです。『2月頃、下関市の安倍事務所から「桜を見る会」に行きませんかと案内が来た。名前や住所などの必要事項を紙に書いて、安倍事務所に送り返すと、内閣府から「桜を見る会」の招待状が届いた。安倍政権になってから毎年参加している。下関からは毎年数百人が上京する』

 案内状というのは発送は内閣府が一括して行い、必ず招待者一人ひとりに宛てて送付をする。これ以外の発送ルートはありません。総理、安倍事務所が取り纏めをしなければ、下関市の後援会員の名前や住所がどうして分かるんでしょうか。

 これもしね、内閣府が独自に知っていたってことになると、これさらに大問題だと思うんですけれども、総理、如何ですか」

 大塚幸寛「あの、お尋ねの招待状につきましては各府省等を通じて元々元々ご推薦を頂いておりますし、各府省等を通じて発送を頂くなど、最も効率的と考える方法で招待者のお手元に届くように毎回してるところでございます」

 田村智子「そんなこと聞いてるんじゃないんです。その下関市の後援会の人たちの名前を。内閣府、それじゃあ、もうお答え頂くってことですね。どうやって確認したんですか。どうして分かったんですか。各府省の取り纏めなんでしょ。どの府省が下関の安倍さん関係の後援会の人の名前と住所を押さえることができるってことなんですか」

 大塚幸寛「あのー、その具体的な各推薦者の最終的取り纏めの検討過程にかかる情報につきましては、これを明らかにすることは内閣官房、内閣府に於きます円滑な取り纏めに支障を及ぼす恐れがあると書いてございまして、只今の答弁につきましてはお答えを差し控えさせて頂きたいと考えております」

 田村智子「これね、私達は、総理お答えくださいよ。安倍事務所に申し込んだら、内閣府から招待状が来たという証言を複数の方から得ているんですよ。得ているんですよ。それ以外に発送する術はないんですよ。そうじゃないって言うんだったら、ちゃんと安倍事務所に確認してくださいよ。地元事務所に。総理」

 安倍晋三「あのー、先程、赤旗の取材に私の後援者が答えたっていうことは私も寡聞にして存じないんですが、そこでですね、今も既に申し上げておりますように個別の方については招待されたかを含め、個人に関する情報であるため回答を差し控えさせているというのが従来からの政府の立場でございます」

 田村智子「これね、『開催要領」の逸脱が疑われているんですよ。各界を代表する功労・功績のあった方を府省が取り纏めて、招待するんですよ。これ以外ないんですよ。じゃあ、萩生田さんの後援会の常任幹事、これなんの功労・功績があったと思います?」

 大塚幸寛「先程総理からもご説明しましたが、その個々の方についてその功労・功績は何か。その以前にその招待されたかどうかということは、これは個人に関する情報でございまして、お答えを従来から差し控えさせて頂いているところでございます」

 田村智子「これね、今、後ろからもありました。税金を使った公的行事なんですよ。誰でも参加できるわけじゃないんですよ。だから、招待範囲も人数も、『開催要領』を閣議に配って、それで府省の推薦で功労・功績が認められ方を招待するんですよ。そしたらね、当然、それぞれの方にどのような功労・功績があるのか、これ説明できなきゃおかしいですよ。それが桜を見る会なんじゃないんですか。総理。総理、お答えくださいよ。

 そういうことでしょ。公的行事。(大塚幸寛が委員用に名前を言われて答弁のために立ち上がりかけると、手で払いながら)あなたはもういい、あなたはいい、もう要らないから。総理」

 安倍晋三「先程来、答弁させていただいているようようにですね、『桜を見る会』については昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため開催をしているものでございます。

 先程来、申し上げておりますようにですね、個々の方々につきましてはですね、個人情報であるため、回答を控えさせて頂いてるということでございます」

 答弁に不服、中断。

 田村智子「それではね、委員長、私、全然お答え頂いていないので、先程の萩生田幹事長の常任幹事会、後援会常任幹事会、どの府省からなのか。下関の安倍事務所。これね、安倍事務所にどっかの府省が連絡取ったのか。こういうことを是非ね、お調べになって委員会にご報告頂きたいというふうに思いますね。お願いします」

 委員長「後刻理事会に於いて協議致します」

 田村智子「もうちょっとブログ見てみたいんですよ。藤井律子山口県周南市長のブログ、2018年5月4日、当時山口の県議なんですけどね。『「桜を見る会」に行ってきました。片山さつき先生と久しぶりの再会を果たしました。今日は山口県からたくさんの人が来て下さっているわねえ。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよといつものように元気よくお声をかけて頂きました』

 こういうのはね、もう、いっぱーいあるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私はね、税金を使った公的行事っていう自覚もなく、安倍総理が地元からの招待者をどんどん増やしたんじゃないかと。

 さらにはね、地元後援会の恒例行事にしてきたんじゃないかっていうことも指摘したいんです。先程の友田県議のブログです。『桜を見る会』の記述は前日の行動から始まります。『前日の早朝に飛行機で上京。夜にはANAのインターコンチネンタルホテルの大広間に於いて下関市、長門市そして、山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティ。次の早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑へ』と続いていくんですね。

 もう一つ吉田真次下関市市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、『前日12日に飛行機で東京へ。夜は『桜を見る会』の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きました』。で、前夜祭の宴会会場の写真・続けて翌日の新宿御苑の写真なんですね。

 総理ね、これね、総理しか答えられないんです。『桜を見る会』安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭とセットで総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める、そういう行事になっているんじゃないですか」

 安倍晋三「『桜を見る会』については政府委員から答弁しているとおりでございまして、個々の個人名等々についてはお答えを差し控えさせて頂きたいということでございます」

 田村智子「前夜祭と一体でしょ。もう少し示しますよ。首相動静。この3年間、『桜を見る会』の前日、『ホテルニューオータニの宴会場で安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭に出席」と。3年間、ずっとあるんですよ、総理。それ以前も、ホテルや名称は異なりますが、必ず前日夜は後援会の方々と懇親会、宴会にご夫婦でご出席されてるんですよ、総理。

 よくご存知でしょう、ご自身が。今年の前夜祭の参加者は約850人。翌朝、貸切バス17台で新宿御苑に移動。これはね、あの甲府市ライオンズクラブの会報に載せられた寄稿、載せられた文章から分かりました。

 また私たちの取材でも、複数の参加者からですね、貸切バス17台だと。自分は何台目、何番目に乗るんだということが全部確認できたわけなんですよ。まさに安倍総理の演会の一大行事になってるんじゃないかと。

 違いますか。セットでしょ、総理も。総理にとっても『桜を見る会』前夜祭と翌日の『桜を見る会』がセットになって、山口県の皆さんと親しく懇親をする。そういうふうになっているんじゃないですか』

 安倍晋三「その懇親会にですね、私が出席をして、写真等を撮っているのは事実でございます。勿論、それは各個人がですね、それぞれの費用によってこの上京をし、そしてこのホテルとの関係に於いてもそれはホテルに調節、まあ、払込をしているというふうに承知をしているところでございます。

 なお、この招待客については先程来から答弁をしているとおりでございます」

 田村智子「セットなんですよ。じゃねえ、『桜を見る会』当日の首相動静、これも指摘します。今年は『午前7時48分、総理は夫妻で新宿御苑に到着、そして7時49分、昭恵夫人と共に地元の後援会関係者らと写真撮影』とあります。遡れば、毎年午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されてるんですね。『桜を見る会』の開門及び受付時間は午前8時30分です。開門もしていないのに会場で地元後援会の皆さんと記念撮影を毎年されておられます。

 まさに後援会活動そのものじゃないですか」

 安倍晋三、委員長に顔を向けて、大塚幸寛を指差す。中断。

 大塚幸寛「『桜を見る会』の開園時間につきましては開催要領で定められていますとおりに午前8時半から午前10時30分の間の随時入園参観となっておりま
す。これが『桜を見る会』でございます」

 安倍晋三「あの、これは招待者のですね、えー、それぞれの受付時間の対応に関するこの情報につきましてはこれはセキュリティに関するため回答を差し替えさせて頂きたいと、このように思います」

 安倍晋三、質問者に対して後ろ向きで首相席に座る際、薄く笑う。

 田村智子「だから、何で開門前に山口の後援会の皆さんとあなた、写真撮ってるんですかってことなんですよ。答えてくださいよ」

 安倍晋三「これについてはですね、どういう形で私が動くかということにもかかってまいりますので、そのセキュリティに関わることでございますので、回答を控えさせて頂きたいと思います」

 田村智子「しんぶん赤旗の取材でね、下関市の後援会の男性、『到着すると安倍事務所の秘書らがバスの席を回って、入場のための受付表を回収する。その秘書が受付を済ませ、参加者用のリボンを配る。纏めてのチェックインで手荷物検査はなかった』

 何がテロ対策のためだ、ですか。これ調べてください。調べてください、総理」

 委員長が大塚幸寛の名前を読んだために中断。

 大塚幸寛「受付に関する質問(?)だというふうに受け止めました。受付時の対応に関する情報はこれはまさしくセキュリティに関することであるためおこ答は差し控えさせて頂きたいと考えております」

 安倍晋三「あの、今、政府参考人からお答えをさせて頂きましたように受付の仕方等々につきましてもですね、これはまさにこれは、例えばその後の私との関係に於いてもですね、これセキュリティにかかることがございますから、これはお答えを差し控えさせて頂きたいとこのように思います」

 田村智子「開演前に手荷物検査もしないで会場に入ったら、それこそセキュリティ上の問題じゃないですか。『桜を見る会』は参加費無料なんですよ。会場内で無料で食べ酒、その他のアルコール、オードブルやお土産は無料なんですよ。これは政治家が自分のおカネでやったら、明らかに公職選挙法違反。そういうことはあなたは公的行事で税金を利用して行なっているんですよ。これは重大問題だと、まさにモラルハザードは安倍総理が起こしていると、こういうことを指摘して、質問を終えます」

 委員長が盛んに時間が来たことを伝えている中で、早口で言いたいことをいい終えようとしているために、聞きづらくなる。
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