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2019年7月28日任期満了実施参院選で 安倍自民党を大敗に追いつめれば 政権運営が行き詰まり 2019年10月1日の消費税10%への増税を 断念させる可能性が生じる |
西暦2019年4月21日、スリランカの最大都市コロンボを始めとしたキリスト教徒の教会やホテル8か所で同時多発テロ爆発事件が発生、スリランカ政府は当初発表していた死者数359人を253人に訂正している。
発生時間を「Wikipedia」で調べると、午後2時前の1件と午後2時過ぎの1件を除いた残る6件のうち5件は午前9時前にほぼ同時に、あと1件は9時を5分過ぎたところとなっている。
この午前9時前後の6件の全ては自爆テロだという。女1人を含む9人の実行犯グループはスリランカ国内のイスラム過激派組織「NTJ=ナショナル・タウヒード・ジャマート」に所属、過激派組織IS=イスラミックステートがインターネット上に実行犯らを写したとする動画や写真と共に犯行声明を出したことなどから、ISの関与が強く疑われているとマスコミは伝えている。
マスコミ報道を見る限り、日本政府の対応は素早かった。事件発生の西暦2019年4月21日の翌日の西暦2019年4月22日の午後の官房長官菅義偉の記者会見。「NHK NEWS WEB」(2019年4月22日 16時08分)
菅義偉「現時点ではまず大使館によって懸命に対応させていただいている。そのうえで、外務省の『海外緊急展開チーム』が、本日中にスリランカに向けて出国できるよう調整を進めている」
記事は「海外緊急展開チーム」について医師や通訳などからなる外務省所属の組織だと説明している。
菅義偉の発言は外務省の「海外緊急展開チーム」が西暦2019年4月22日中に出国できるように調整を進めている、いわば記者会見時点ではまだ出国前であった。但し2019年4月22日付「asahi.com」記事を見ると、首相官邸直轄の「国際テロ情報収集ユニット(CTUJ)」は西暦2019年4月21日夜にスリランカに派遣したと出ている。
要するに「海外緊急展開チーム」よりも「国際テロ情報収集ユニット」チームを約1日早く、テロ事件発生の当日の夜早々に派遣していたことになる。このことを以って政府の対応を素早いとすることができたとしても、別の側面を抱えていることに留意しなければならない。
2019年4月22日付「NHK NEWS WEB」記事は、スリランカの捜査当局は10日ほど前に国内のイスラム過激派組織がキリスト教の教会などを狙った自爆テロを計画しているという情報をつかんでいたことが分かり、警察は今回の事件との関連を調べていると伝えている。
〈NHKが入手した捜査当局の内部文書によりますと、今月9日、「ナショナル・トウィート・ジャマーアト」という国内のイスラム過激派組織が、キリスト教の教会などを狙った自爆テロを計画しているという情報をつかみ、国防省が全国の警察に警戒態勢をとるよう指示を出していたことが分かりました。
しかし、計画がいつ実行されるのか、日付までは特定できていませんでした。
この組織が今回の同時爆破テロ事件を実行したとはまだ断定できていませんが、捜査当局はこの組織と事件との関連を捜査しています。〉
実行日が特定できていなかったとしても、そのような情報を掴んでいたなら、真偽を確認するために監視対象下に置いていたはずだ。だが、テロは発生した。
テロ事件発生の翌日の西暦2019年4月22日にはスリランカ・コロンボの警察は実行犯として「ナショナル・タウヒード・ジャマート」のメンバー24人を拘束している。要するに実行組織は情報通りの過激派組織であった。
自爆テロ計画の情報提供元と情報提供日は「CNN」(2019.04.24 Wed posted at 11:35)記事が伝えている。
政府報道官が4月22日の記者会見で明らかにした情報となっている。
情報提供元はインド。治安機関か捜査機関かということなのだろう。詳細な情報提供日は4月4日。そしてこの警告は事件の2日前の4月19日と事件発生の2時間前にも繰り返されていたとしている。
伝えられた情報内容はキリスト教会や観光名所を狙った自爆テロの計画。
記事はインド当局者の1人がCNNに語った内容として、スリランカ当局に提供した情報内容の少なくとも一部は、インドで逮捕されたISメンバーの容疑者に対する取り調べから得られた情報だったと伝えている。
インド当局からテロ計画を警告する情報がスリランカ当局に提供されていて、現実にテロ事件が発生した。しかも6箇所にも亘る同時多発自爆テロ事件だった。スリランカ政府は国民に謝罪することになった。「NHK NEWS WEB」(2019年4月23日17時58分)
4月22日のスリランカ政府報道官の記者会見。事前に外国(インド)の情報機関から複数回に亘ってキリスト教の教会やホテルなどを狙ったテロ事件が計画されていると警告を受けていたことと、提供情報どおりにテロ実行グループは国内のイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマート」であり、そのメンバー7人による自爆攻撃だったことを明らかにしたうえで、「全て我々の責任だ」と述べたという。
記事は、〈事前に情報が寄せられていたものの政府内部で十分に共有されず、事件を未然に防ぐことができなかったことを認め、国民に謝罪しました。〉と伝えている。
このようなスリランカ当局の、広く言うと、スリランカ政府のテロに関わる危機管理能力機能不全に対して日本政府は「海外緊急展開チーム」と首相官邸直轄の「国際テロ情報収集ユニット(CTUJ)」の派遣で幕を閉じることができるだろうかという問題を見なければならない。
先ず「海外緊急展開チーム」がどのような組織か、「海外における安全確保について~日本人と日本企業に対する脅威と政府の対応~」(外務省/西暦2016年8月26日)の記事から見てみる。
記事は〈外務省邦人テロ対策室首席事務官江端康行〉の署名付きとなっている。
「外務省の取組」として「情報収集・発信能力の強化」や「即応体制の強化」、その他を挙げている。
〈テロと邦人保護
外国でのテロの発生は防げない。しかし,邦人の被害は避けなければならない。
被害の可能性を減らすため,様々な情報やノウハウを提供。
最終的には各人が「予防」と(テロ発生時の)「対処」を行うことが必要。〉
最後の〈最終的には各人が「予防」〉云々の自己責任論は「様々な情報やノウハウ」提供が前提とならなければならない。満足な情報提供も満足なノウハウの提供をせずに自己責任論を振り回すのは安倍晋三なら当然と見られても、世間には通用しない。
次に「海外緊急展開チーム」の「テロ事件の緊急事態発生」前の取組みについて上記PDF記事の中のリンクを付けておいた左の画像から説明してみる。
「危機の危険・不穏な兆候」を察知した場合、「海外緊急展開チームの派遣」を行い、
①事態・展開状況の把握
②取るべき体制の検討・策定
③情報収集など初動として必要な対応
等を行うとしている。
首相官邸直轄の「国際テロ情報収集ユニット(CTUJ)」に関しては次の記事から見てみる
「国際テロリズムに対する取組~テロの未然防止に向けて」(内閣官房) シリア邦人事件やパリ連続テロ事件等、一段と厳しさを増すテロ情勢を踏まえ、我が国における国際テロ情報収集・集約体制の抜本的強化が必要であるとの認識の下、平成27年12月、「国際テロ情報収集・集約幹事会」、「国際テロ情報集約室」、「国際テロ情報収集ユニット(CTU-J※1)」が設置されました。 また、国際テロ対策等を更に効果的に推進するため、平成30年8月、国際テロ情報等の迅速な共有・分析を行う「国際テロ対策等情報共有センター(CTI-INDEX※2) 」が「国際テロ情報集約室」に設置されました。 我が国は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック等の開催を控えており、こうした国際テロ情報の収集・集約体制の強化を通じ、テロの未然防止に全力を尽くしていきます。 組織図(省略) 国際テロ情報収集・集約幹事会 ●内閣官房副長官(事務)を議長とし、情報間係省庁及び政策・事態対処部門の代表が構成員として参加。 ●国際テロに関する情報及ぴ情報関心の共有、情報収集の焦点や優先度について集約。 国際テロ情報集約室 ●内閣官房副長官(事務)が室長、内閣情報官が室員代理。 ●官邸幹部や関係省庁の情報関心の取りまとめを行うほか、内外の関係機関との連絡との連絡調整を行うなど、国際テロ情報収集ユニットと緊密に連携 国際テロ情報収集ユニット/在外公館 国際テロ情報収集担当 ●4名の幹部級職員の下、東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカの4地域を中心に国際テロ情報を収集。 ●拠点となる公館に、国際テロ情勢、現地情勢や語学に精通する適任者を省庁横断的に配置。 ●官邸の直轄部隊として、①邦人関連テロ発生時に備えた各国の治安・情報機関との迅速な協カラインの確立、②我が国としてのファーストハンドの情報収集に取り組む。 国際テロ対策等情報共有センター ●テロ組織・活動との関連が疑われる事案等に関する端緒情報について、関係11省庁で迅速に共有するとともに、各省庁が保有するデータベースその他関連情報との照合・分析を行い、当該事案等の詳細の解明に努めている。 |
安倍政権のテロ未然防止対策に向けた組織は錚々たる名前のものが並んでいる。
あくまでも、「テロの未然防止に向けて」である。「国際テロ情報収集ユニット」は主として4名の幹部級職員の下、東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカ4地域の在外公館を拠点とした「邦人関連テロ発生時に備えた各国の治安・情報機関との迅速な協カラインの確立」を謳っている。
これらの国々の在外公館に派遣したテロ防止要員は他の国に関わるテロ情報を把握した場合、その国の在外公館に派遣される仕組みを取っているか、全ての在外公館に最少人数は配置していなければ、詳細な銃砲把握できない。
ともあれ、各国の治安・情報機関と迅速な協カラインを確立させていて、つまり緊密に提携して、テロその他の情報の収集に努め、収集した場合、政権内部の関係機関に報告、各国の在留邦人保護に動かなければならない。例え計画がいつ実行されるのか、日付が特定されなくても、少なくとも在留邦人に対して注意喚起しなければならない。
スリランカ政府は今回の自爆テロ計画の情報を前以って把握していた。対してスリランカ政府の危機管理が満足に作動しなかったとしても、安倍政権の「国際テロ情報収集ユニット」はスリランカ治安機関、あるいは情報機関からテロ計画の情報提供を受け、その情報を共有していなければならなかった。
そのような情報の提供も受けていなかった、当然、情報を共有してもいなかったでは、「国際テロ情報収集ユニット」は情報をただ座して待つだけの組織に成り下がる。全ての国々の全ての治安機関、あるいは全ての情報機関と情報を迅速に共有できる関係を前以って構築させて置くのも役目で、そのような前以っての備えを前提とすることによって情報は速やかに共有できることになる。
もしスリランカ当局から何の情報の提供も受けていなかったとしたら、良好な関係構築を築くこともできていなかったことになり、政府が垂れ流しているテロ防止に関わる膨大なお題目は見せかけだけとなり、有名無実、看板倒れとなる。
テロが発生した、在留邦人が犠牲になったからといって、それが迅速な対応だったとしても、事後に「海外緊急展開チーム」を派遣した、「国際テロ情報収集ユニット」を派遣したでは済まないということである。
テロの未然防止に向けた組織ではなくて、何の組織なのかということになる。
インド政府当局からスリランカ当局に提供を受けたテロ計画情報をスリランカ当局から日本の情報機関がさらに提供を受け、それが政府内にも伝わっていたのかどうか、伝わっていなかったとしたら、どこに問題点があったのかなかったのか、あるいは伝わっていたが、スリランカ政府が計画実行日が特定できなかったからと放置したことに右へ倣えしたのかどうか、検証し、国民に明らかにしなければならないはずだ。
あるいは情報の一端を把握していて、万が一を想定し、スリランカ在住邦人に何らかの警告の形で情報を発信していたのかどうか、その内容がどのようなものであったのか、にも関わらず、犠牲になった邦人女性が警戒を怠ったことから巻き添えとなった自己責任で片付けることができるのかどうか、全ては政府側の全責任はのかどうか、安倍晋三は全てを国民に明らかにすべきだろう。