上村遼太イジメ殺人事件 起きてしまってから、「検証」と「再発防止」を言う愚かな同じことの繰返し

2015-02-28 10:04:51 | 教育



      『生活の党と山本太郎となかまたち』PR

       《2月24日(火)山本太郎共同代表記者会見要旨・党HP掲載ご案内》

      「今国会ではとんでもない危険な法案が沢山考えられています」山本太郎代表
 
      【質疑要旨】

      自公が進めている安全保障議論について
      辺野古での抗議市民の逮捕事件について
      選挙年齢の18歳への引き下げと若者からの支持拡大策について
      統一地方選挙での擁立候補者の目標数並びにその発表時期について
      街頭記者会見について
      小沢一郎代表の韓国訪問について
      西川公也・前農水相の辞任について    

 川崎市の多摩川河川敷で中学1年生の上村遼太(13)の首を刃物で刺された死体が発見されたのは2月20日。

 新聞は「上村遼太さん」とか、「上村遼太君」と書いているが、何故か他処よそしい。特に前者は13歳の、大人から見たらまだ幼い少年に対する呼び方からすると、例え一個の人格として扱うにしても、距離を置いた表現に思えてしまう。マスコミにしたら呼び捨てにはできないだろうが、父親や母親が自分の子供を例え呼び捨てたとしても、父親失格者でなければ、あるいは母親失格者でなければ、そこに常に親しみが込もっている。当たり前に生きていたときの少年に対する親しい人間であったかのように装うことにして呼び捨てにすることにした。

 昨日2月27日の衆院予算委員会でもこの事件を取り上げていた。

 文科相のエセ教育家下村博文は痛ましげな声の調子を作っていたが、原稿を読んで次のように答弁していた。

 下村博文「一般的には生徒が連続して長期間欠席したり、欠席日数が急に増えたりした場合は、電話連絡や家庭訪問などによる欠席理由を把握し、必要があれば警察や児童相談所と連携しつつ、早期に対応するのが通例であると承知をしております。

 本件の場合にそういう対応が十分になされたのか、子どもを守る点での対応に不足がなかったのかどうか、しっかりと検証していく必要があります。この事件を検証し、二度とこのような事件が起きないように実効ある再発防止策の策定につなげるために本日、丹羽副大臣を主査とするタスクフォースを設置致しました」――

 事務的な響きしか聞こえてこない。

 以下の答弁は「NHK NEWS WEB」記事を利用した。

 安倍晋三「なぜこのようなことが起こり、果たして防ぐことができなかったのかと思う。子どもたちを守るのは私たち大人の責任だ。できることは何でもやっていくという思いで、今後取り組んでいきたい。学校や教育委員会、警察や児童相談所との連携が十分だったのかも含めて検証しながら、再発防止策をしっかりと考えていかなければならない。こうしたことを二度と起こさないという決意で臨んでいく

 山谷右翼国家公安委員長「子どもは国の宝、未来の宝だ。前途ある少年が殺害されたことに胸が痛む。平素から警察は、学校、教育委員会、児童相談所などと枠組みを作り、連携し、情報収集に当たっている。子どもたちの安全確保と健全育成は、安全・安心社会の基盤だ。今回のようなことが起きないように、今後より一層、関係機関との連携に努め、早期の把握、情報収集、的確な対応を検証し直して、この痛みを胸と体に刻みながら、再発防止に努めていきたい

 塩崎厚労相(閣議後記者会見)「少年が悲惨な事件の犠牲となったことは残念だ。こうした事件が二度と起こらないようにするため、しっかりと検証することが大事であり、児童相談所などの制度の下で何を改善すればいいのか考えたい。関係省庁ともしっかり連携していきたい」
 
 悲惨な事件が起きてしまってから、「二度とこのような事件が起きないように」とか、「二度と起こさないように」とか、「再発防止に努める」と決まって言う。

 そしてこれらを決まり文句とし、「検証」「再発防止」の呼びかけを決まりきった取り組みとする。この繰返しである。

 学校関係者にしても同じ穴のムジナとなっている。遼太が通っていた中学校の校長。

 「容疑者が逮捕されたとはいえ、上村さんの不幸に変わりはなく、お悔やみのことばしかありません。欠席が続いたときに学校として、もっとできることがなかったか反省することはあると思う。教育委員会と連携して十分に検証していきたい

 遼太が一昨年7月まで通っていた島根県隠岐諸島の西ノ島町にある西ノ島小学校の金築康治校長。

 「何をしても遼太君は帰ってこないのだから、事件に対する怒りよりも、今はとにかく静かに祈りをささげたい思いです。彼の死をむだにしないよう、私たち教育関係者も事件の再発防止に取り組んでいかなければならないと思います

 福田紀彦川崎市長「被害にあった生徒に改めてご冥福を祈りたいと思っています。逮捕された少年が市内在住なのか、それとも市内の高校生なのか、まだ情報がないですが、仮にそうだとすれば、大変深刻な問題だと受け止めています。被害に遭った生徒本人によるSOSを私たち大人がしっかりと受け止められなかったことに深く反省するとともに、これからどうすべきなのか、しっかりと詰めていかなければいけないと思います」(以上NHK NEWS WEB

 市長は加害者が市内在住か市外在住か気にしている。加害者がどこに住んでいようと事件の深刻さは変わらないはずだが、市内在住によって事件の深刻度が増し、市外在住によって深刻度が和らげられると密かに思っている。

 市外在住なら、ホット一息つけるというわけなのだろう。事件そのものも市外在住者の間で起きて欲しかったと願っているに違いない。そして直接的な言葉は使わなかったが、「被害に遭った生徒本人によるSOSを私たち大人がしっかりと受け止められなかったことに深く反省するとともに、これからどうすべきなのか、しっかりと詰めていかなければいけないと思います」という表現で検証と再発防止を言っている。

 「二度と起きないように」を決まり文句とし、「検証」「再発防止」の呼びかけの繰返しに過ぎないことは既に何度も同じような事件が起きていることが証明している。自殺と他殺の違いはあっても、1994年の大河内清輝君イジメ自殺事件、2011年10月の大津中2イジメ自殺事件、自殺にも殺人にも至らなかったが、2000年4月発覚の中2男子をイジメた上に金銭を恐喝し、その金額が5000万円にも達した名古屋市緑区5000万円少年恐喝事件。

 但し最後の事件は主犯格の少年は恐喝事件発覚を恐れて、「中2男子の殺害計画を立てていたことも判明している」と「Wikipedia」には記述されている。

 そして今回の事件。

 似たパターンで繰返されている。大人の世界での似たパターンは1972年2月の12名の仲間をリンチに掛けて死に至らしめた連合赤軍リンチ事件、2012年10月に兵庫県尼崎市で発覚した2015年1月25日現在死亡9名・行方不明者2名の角田美代子(自殺時64歳)による連続殺人死体遺棄事件を挙げることができる。

 全ては暴力や威しを用いた恐怖心の巧みな植えつけを手口として権威主義的な支配と従属の関係を築き上げて言うことを聞かす人間操作術を同じパターンとして踏んでいる。

 いわば恐怖心の植え付けが権威主義的な支配と従属の関係をより良く築き上げる力となる。

 イジメは、児童・生徒のイジメであろうと、大人のイジメ(上の地位の者による下の地位の者に対する常識を超えた絶対的な服従欲求)であろうと、全てこのような人間関係を基本的構造としている。このような支配と従属(=イジメ)の行き過ぎた形態がときによってイジメ被害者の自殺への発展であり、イジメ加害者によるイジメ被害者に対する殺人となって現れる。

 恐怖心を言うことを聞かす力として支配と従属の人間関係を取ったイジメの行き過ぎた同じパターンの事件が繰返されている以上、「検証」「再発防止策」を大河内清輝君イジメ自殺事件後に、あるいは同じパターンのイジメ自殺事件、あるいはイジメ殺人事件がそれ以前にもあったかもしれないが、その場合はそれ以後に有効性ある形で成し遂げて、それを以て「二度と起きないように」の決意を言葉だけで終わらない形としなければならなかった。

 勿論、「検証」「再発防止策」を十二分に果たし得たとしても、同じパターンの事件が二度と起きない保証はない。

 そのためにも学校関係者は「二度と起きないように」という決意を日常普段から心に刻んで日々新にして、一旦構築した「検証」「再発防止策」を足りないところは補ってより役立つものに生かし続けて、新たな起き得るかもしれない権威主義的支配と従属を人間関係の構造としたイジメとそれが行き過ぎた自殺や殺人の予防に心掛けていなければならなかった。

 だが、心掛けていなかった。だから、「二度と起きないように」と同じ決まり文句を繰返し、「検証」「再発防止策」の同じ呼びかけを行わなければならないことになる。

 尤も日々予防に務めていながら同じパターンの事件が起きたら直ちに責任問題に直結するから、予防に努めず、事件が起きたら、同じ決まり文句を繰返し、同じ呼びかけを繰返していれば責任問題にも発展しないで済むのだから、その方が楽なのかもしれない。

 もしそうであるなら、安倍晋三や下村博文、あるいは学校関係者たちが口にする子どもの生命(いのち)に関わる言葉は単なるその場凌ぎの言葉となる。

 遼太は昨年2014年夏休み以降、バスケットボールの部活を休みがちになり、冬休み明けの1月8日から不登校になったという。担任は母親に何度も電話を掛け、5回に亘って家庭訪問し、2月16日に初めて遼太の携帯番号を知ることができて、その日に本人と話して登校を促したところ、「そろそろ行こうかな」と答えたと「asahi.com」記事が伝えている。

 そしてその4日後に死体で発見された。

 担任が一生懸命対応している姿が浮かんでくるが、不登校がイジメが原因となっていないだろうかと一度でも想像して、心配したり恐れたりしたことがあるのだろうか。教師である以上、イジメを受けていることも、逆にイジメを働いていることも自分から進んで口にはしない。そしてこのことがイジメの発見が遅れる主な原因となり、多くが行き過ぎたイジメへの発展を放置することになる。

 担任が不登校の原因が最悪の事態であるイジメに関係していないかと一度でも想像していたなら、起きているかもしれないが、本人からは聞き質すことが難しいイジメかどうかを明らかにするためには母親や本人と話をするだけではなく、遼太と付き合いのある同級生や付き合いがなくても、目撃者となり得る遼太自身を知っている同級生、その他に不登校の原因を聞いて回ることをしなければならなかったろう。

 遼太は友人の一人に「一緒につるんでいる先輩たちから『スーパーで万引きをしろ』と言われ、断ったら殴られた。万引きをしないと認めてもらえない。やりたくないけど、やらないと殴り殺されるかもしれない」とも打ち明けていたと「毎日jp」記事が伝えている。

 要するに友達は支配と従属の関係――イジメに巻き込まれている可能性を少なくとも知り得ていた。

 担任はこれを危険な関係と見做して、危険な領域から引き出してやらなければならなかった。

 これは後付けの知恵に過ぎないだろうか。

 権威主義的傾向が強く、学校社会・教育の場で一般的に認められている勉強やスポーツといった能力を自己活躍の手段とし、その活躍によって自己の存在を証明、自己実現をそれなりに図ることのできない児童・生徒はときにそのような果たすことのできない能力発揮の代わりに権威主義的傾向の強さから、自分よりおとなしい児童・生徒、あるいは自分よりも腕力の弱い児童・生徒を探し出して恐怖心を巧みに植えつけて支配と従属の人間関係を巧妙に構築、そこに自己活躍の手段を見い出し、その活躍を自己存在証明とし、自己実現を図るということがある。

 支配と従属との関係とは支配者が従属者を言うことを聞かす関係であり、その究極の自己存在証明、究極の自己実現として学校社会・教育の場での一般的な能力では満たすことができない、そのような能力とは正反対の位置にあるイジメが学校社会で自らに残された能力として利用しがちとなる。

 そしてイジメを手段とした場合の自己存在証明を確かな形で図ろうとすればする程、自己実現を目に見える形で達成させようとすればする程、イジメは行き過ぎた形態を取ることになる。

 2006年11月19日の当ブログ記事――《いじめられている君へ/「文部科学大臣からのお願い」 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に次のように書いた。 

 〈いじめが自己実現を図る自己活躍行為であり、そのことを自己存在証明とする権力行為であることは1994年11月27日に首を吊った大河内清輝君のいじめ自殺事件のいじめ首謀者が仲間に自分を「社長」と呼ばせていたことが象徴的に証明している。社長と言う地位は一般社会に於ける大いなる自己実現の一つであり、社長行為自体が自己活躍に入り、その全体が優れた自己存在証明となる。

 首謀者は清輝君に対して暴力と恐喝を使った権力を通して強制的にカネを貢がせる人間支配を恣(ほしいまま)にし、貢がせたカネで仲間と共にゲームセンターに入り浸ったり、高額な食事を味わったりの豪勢な暮らしに耽った。貢がせたカネを全部自分が所持していて、支払いのたびにさも自分のカネで奢るかのように、いわゆる札びらを切るといったことをしたのだろう。何しろ「社長」なのだから。

 いじめを通して清輝君を思いのままに支配した権力行為にしても、社長の地位で思いのままに面白おかしい、彼にしたら豪勢な暮らしに耽った行為にしても、中学生の身分でこれ程の自己実現、自己活躍はなかっただろうし、この上ない自己存在証明であったろう。それを止めるキッカケは清輝君の自殺といじめ側の3少年の逮捕・少年院送致といった物理的要因を待たなければならなかった。教師が輝君を呼び出して、いじめられているのか問い質しても、身体の怪我の原因を訊ねでも、いわば伊吹文部科学大臣のメッセージに当たる問いかけを教師が直接本人に発しながら、いじめが原因だとはついに告白させることができなかった。〉――

 であるなら、不登校の原因はやはり同級生その他からの聞き取りに賭けるしかない。

 イジメは支配と従属を人間関係の構造とした非常に危険な権力主義的行為であることを常に認識し、おとなしい子や体格の劣る子がその餌食として狙われ安く、しかしイジメる側は体格が左程しっかりしていなくても、力がそれ程強くなくても、多勢を組むことで力を獲得でき、恐怖心を植えつける十分な力となり得ることに考えを巡らせていなければならない。

 遼太は体格も小さく、優しい男の子だとネット上に記述がある。遼太に限らず、クラスに似たタイプの生徒がいたら、担任は支配と従属の人間関係に囲い込まれてイジメの餌食に狙われ易いタイプだと見做して、実際に餌食にならないよう注意する必要があるだろう。

 学校教師は学校のどこかで、あるいは校外のどこかで児童・生徒同士で権力主義的な支配と従属の人間関係が隠れた姿で幅を利かしているのではないかと常に恐れていなければならない。

 勿論、イジメ側の児童・生徒が勉強やスポーツの能力でもない、イジメの能力でもない、学校社会的に肯定し得る自己存在証明となって自己実現を図ることができ、日々自己活躍の手段とし得る能力を提供しなければならない。

 学校社会の能力を勉強とスポーツに限定せず、価値観の多様化・能力の多様化を図らなければならない。すべての児童・生徒が学校社会の陽の当たる場所で生き生きとできる日常の提供である。

 少なくともそのような姿勢を持たなければならない。

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エセ教育家下村博文の政治資金規正法違反疑惑に見る素朴な疑問

2015-02-27 08:12:09 | 政治


 2月26日発売の「週刊文春」(3月5日号)が下村の活動を支援すると規約にある「博友会」なる団体から政治団体として届け出をしていないままに下村の政党支部へのカネの流れがあるとする違法献金疑惑を報じているという。

 勿論、政治資金規正法は「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」は政治団体に当り、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出の義務が生じる上に毎年、政治資金収支報告書を提出しなければならないと規定している。

 断るまでもなく、カネの流れを明確にするためにである。裏を返すと、規定してもカネの流れをゴマカス政治家は多々存在するのだから、野放しにしたら、政治家は天井知らずの金額で如何ようにもカネの流れをゴマカスからに他ならない。

 もし隠したカネの流れがあったとしたら、勿論のこと政治資金規正法違反となる。

 下村博文は2月26日の衆院予算委で疑惑を追及され、その疑惑が事実無根だからなのか、事実有根だが、認めるわけにはいかないとき持ち出さざるを得ないパターンとしてなのか、疑惑を否定している。

 但し後者の場合が多いと相場は決まっている。
 
 《下村文科相「私の政治活動とは無関係だ」》NHK NEWS WEB/2015年2月26日 12時24分)   

 柚木民主党国会対策副委員長「(博友会は)人を集めて会費制のパーティーをやっており、規約にも下村大臣の活動を支援するとある。政治団体として、本来、届け出るべきではないか」

 下村博文「東京都選挙管理委員会に届け出ている『博友会』以外に全国に地域の名前がついた『博友会』は6つあるが、塾の経営者など民間教育者らの有志の方で構成する懇親のための任意団体だ。私の事務所は一切、タッチしておらず、私も財政面も含め、これら団体に係る具体的な運営に関する事柄は一切、知らない。

 地方の『博友会』の方からは、『年に1回ぐらいは顔を見せて話をしろ』と言われており、懇親会は政治的目的を持った会合ではなく、ましてや政治資金を集めるような集まりではない。地方の『博友会』から寄付を受けたり、パーティー券を購入して貰うことはない。地方の博友会は私の選挙区外にあり、私の政治活動とは無関係の任意団体だ。

 その中の一部の有志が個人的に政党支部に寄付をしていただいたり、東京での政治資金パーティーにお越しいただいている。個人からいただいた寄付やパーティー券の購入は法令に従って適正に収支報告している。地方の『博友会』の方々にも自分が代表を務める政党支部から寄付のお願いを毎年、出しており、さまざまな個人や企業、団体から政党支部に浄財をもらっており、地方の『博友会』に所属されている方もいる」

 柚木民主党国会対策副委員長「会費制の講演会に出席して謝礼や車代は受け取っているのか」

 下村博文「講演料とか、いわゆるお車代というのは一切、貰っていない」

 博友会幹部(NHKの取材に対して)「数年前から全国各地で団体ができたが、活動は年に1回の下村大臣の講演会程度なので、あくまで下村大臣を支援する勝手連的なものに過ぎず、政治団体ではない。また、下村大臣から献金を集めるよう求められることもないし、そのための団体でもない」

 菅義偉(2月26日午前の記者会見)「具体的な事実関係については承知していないが、今朝、下村文部科学大臣から報道されている内容について、『違法なものは一切なく、国会の場でしっかりと説明を果たしていきたい』と報告があった。予算委員会での審議で説明されており、説明責任は十分、果たされたと思うし、違法性について全く問題ないと考えている」

 記者「政権運営に与える影響については」

 菅義偉「そこは全くない。違法性はなく、しっかりと説明責任を果たしたと思う」――

 菅義偉は疑惑の追及が始まったばかりなのに下村博文一人の言い分だけを聞いて、「違法性はない」と無罪判決を言い渡す。独裁国家の裁判みたいだ。

 もう一つ、《下村文科相「違法性なく今後も説明尽す」》NHK NEWS WEB/2015年2月26日 12時35分)見てみる。      

 下村博文「事実確認をしっかりとしないまま違法献金だと報じており、単なる誹謗中傷で強い憤りを感じる。

 きょうの衆議院予算委員会で質問され、説明できる機会だったので非常によかったと思う。何ら法的に問題がないことなので、これからもそういう話があれば、詳しく説明したい。直接、政治資金を出してもらったり、パーティー券を買ってもらったりはない。講演料とかいわゆる車代は一切貰っていない。

 任意団体ということで、私も秘書も内容には一切タッチしていない。独自にやっている。ちょっと誤解があったのは、『博友会』という名前を使ったことだ。東京の『博友会』は、政治資金規正法に則って届け出ている団体で、同じ名前だと誤解が生じるということは反省点としてある。政治団体として届け出た方がいいのではないかという議論が、任意団体の中でされているということなので、そういうことであれば、是非そうして貰った方がいいかもしれない

 (任意団体への年会費が、下村大臣が代表を務める自民党の支部への寄付として処理されていたという報道について)領収書の但し書きに、年会費と書かれた領収書があるということだが、事務所に確認したところ、過去にそのような但し書きをした領収書があったことは事実だということが分かった。相手のご要望で、但し書きには年会費と書いてくれというようなことがあって書いたという記憶があるというのが事務方から上がってきているが、やはり適切ではないので、そのような但し書きは現在ではしていない」――

 下村は「単なる誹謗中傷だ」と憤りを見せている。この憤りがホンモノであることを願う。「誹謗中傷」と言ったことの正当性が最後の最後まで維持されることを願う。

 この記事で分かったことは博文会が年会費制で、それを資金に団体を成り立たせているということである。もし年会費制ではなく、領収書の但し書きに年会費と書いてくれと頼まれてその通りにしたとしたら、頼んだ側は何らかのゴマカシを働いたことになり、頼まれた方はそのゴマカシに加担したことになるばかりか、年会費制を前提にしていたとしても、領収費目が年会費ではないにも関わらず年会費としたこと自体も、何らかのゴマカシがそこに介在していたことになる。

 年会費制かそうではないかは下村博文側も把握しているはずだ。

 最初の記事で柚木国対副委員長は講演会は会費制だと言っている。金額いくらの会費なのだろう。調べたところ、近畿博友会が開催した2013年春の大阪の講演会は1人2万円の会費で、約200人が集まったと報じている記事がある。

 2万円程度が閣僚級の講演会や政治資金パーティの一般的な会費相場ではないだろうか。

 会費を取って行う政治資金パーティは政治団体主催が、これも相場となっている。経費を差し引いてその利益を政治家の活動資金とする必要上、政治団体の主催でなければ旨味はない。

 但し会費制の講演会の場合、政治団体主催とは限らない。講演料とお車代程度の収入しか頂くことができない場合もあるだろう。


 講演会は下村博文の政治団体主催ではなく、各地の博文会が主催だとしている。


 下村博文はその講演会から「講演料とか、いわゆるお車代というのは一切、貰っていない」。下村博文の政治団体への資金の流れもない。

 だとしたら、多額の支出は主として会場費のみとなる。ホテルで行ったとしても、東京グランドホテルの場合は237平方メートル、使用時間2時間、使用目的「セミナー」、収容人員200人で10%のサービス料、8%の消費税込みで約80万円以下である。

 セミナーは講演に代用できる。

 237平方メートルで200人が収容できる。これを基準に収容面積から他を見てみると、京都グランのホテルの場合、収容面積370平方メートル、使用時間2時間で24万円。

 2013年春に近畿博友会が主催した大阪の講演会は1人2万円の会費で約200人が集まった。計400万円。会場費その他で100万円かかったとしても、300万円の利益となる。

 年会費まで取っていて、下村博文に払う講演料もお車代もなし、下村博文の政治団体への上納金もなしで、1人2万円の会費を徴収する必要、300万円も利益を上げる必要がどこにあるのだろうか。 

 これが素朴な疑問である。

 下村博文以外に講演者がいたとしても、本人が一切の報酬を受け取らないのに他が受け取ることができるだろうか。よしんば受け取ったとしても、下村ゼロに対していくら有名人であっても、100万円も受け取ることはできまい。100万円出さなければならない有名人なら、下村ゼロを考えて、最初から呼ぶことはせず、数万円か、せいぜい数十万円で済む講演者を選ぶはずだ。

 また、「但し書きには年会費と書いてくれというようなことがあって書いたという記憶がある」と下村は釈明しているが、では実際の領収費目は何だったのだろう。なぜ「年会費」としなければならなかったのか。

 博友会幹部を国会に参考人として呼び、実際の領収費目と「年会費」としたことの理由と、講演会入場会費1人2万円という金額設定の理由、300万円近いと見られる利益を上げなければならない理由を問い質して貰わなければ、素朴な疑問は解消しない。

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安倍晋三は西川公也が献金を受けた会社が補助金を受けていたことを知らなかったと擁護することはできない

2015-02-26 06:38:14 | 政治


 ―― 一歩通行を逆走して取締まりに合い、一方通行であることを知らなかったからと言って道路交通法違反が許されるわけではない――

 西川公也は国の補助金を受けていた選挙区内の木材加工会社から2012年に300万円の献金を受け取っていた。政治資金規正法は補助金の交付決定を受けた会社が1年間献金することを禁じている。

 「Wikipedia」によると、この木材加工会社は2009年度に1億6100万円、2010年度にも3億7000万円、2012年度に7億円の補助金を国から受けていたという。一会社が12億以上もの補助金を受けているということはどういうことなのだろう。

 西川公也はその木材会社が国の補助金を受けていたことは知らなかったと言い、「農林水産大臣という立場から道義的なことを考えて返金したから問題ない」としていた。

 一歩通行を逆走して取締まりに合い、一方通行であることを知らなかったからと言って道路交通法違反が許されるわけではない。献金を受ける際、政治資金規正法を適正に運用するために補助金受領法人かどうか確認する責任を有している。

 例え確認しなかった場合の罰則が政治資金規正法に規定されていなくても、国民の選択を受けて成り立たせている身分であることの資格を常に有効足らしめるためには確認を義務として自らを律する厳しさが求められているはずである。

 だが、それを怠った。国民の選択を受けて成り立たせている身分ではあっても、選択を受ける資格はなかったことになる。大臣辞任だけではなく、国会議員も辞職すべきだろう。

 西川公也はまた、自身の政党支部が2013年7月、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に日本が初参加する直前に砂糖メーカーの団体「精糖工業会」(東京都千代田区)の運営するビル管理会社「精糖工業会館」(同)から100万円の献金を受けていた。

 「精糖工業会」とビル管理会社「精糖工業会館」は社長は同じで、両者の役員は重なり、事務所も同じビルのフロアにあるとマスコミは伝えている。そして「精糖工業会」は2013年3月、農林水産省の「さとうきび等安定生産体制緊急確立事業」で13億円の補助金交付が決まっていたという。

 「精糖工業会」は政治資金規正法が国の補助金の交付決定から1年間の政治献金を禁じていることを知っていて、ビル管理会社「精糖工業会館」を通して、いわば迂回させる形で100万円の献金をしたと疑うこともできる。
 
 西川公也は「工業会館は、工業会とは別法人で補助金交付団体ではない」と身の潔白を訴えていたが、100万円を「違法性はないが、大臣の職責に鑑み、些かも疑問を持たれないよう、今朝一番で返金した」と2月17日の閣議後の記者会見で明らかにしている。

 問題は西川公也の任命責任者であった安倍晋三自身にしても西川が木材加工会社からの献金を国の補助金を受けていたことは知らなかったから問題ないと擁護していて、献金を受ける際、政治資金規正法を適正に運用するために補助金受領法人かどうか確認する責任を問わず、蔑ろにしている点である。

 2月25日、衆議院予算委員会での答弁。

 安倍晋三「本人は一生懸命説明し、違法性はないと説明しているが、一般の方々にとってはなかなか分かりにくいものもある。日頃から説明をしていくことは当然求められ、要望があれば議員として応えていくのは当然だが、疑問があるとすぐにまるで罪があるかのごとく、大きな疑惑があるかのごとく決めつけていくことはいかがなものかという印象は持っている」(NHK NEWS WEB

 安倍晋三「西川前大臣は『献金を受けた相手方が補助金を貰っていたことは知らなかった』と説明しており、『知らなかったんだろうな』と思った。そうであれば、西川前大臣という受け手にとっては違法ではない。西川前大臣は『国民の皆様にはなかなかご理解をいただいていない部分もあるが、これから一生懸命説明していきたい』と話していた。農協改革など、西川前大臣が進めてきた仕事は多とするところだ」(同NHK NEWS WEB

 政治資金規正法の適正運用のために補助金受領法人かどうか確認する責任と確認を義務として自らを律する厳しさが常に求められることになる国会議員としての身分を成り立たせるための前提を一切無視している

 特に過去の国会答弁に照らし合わせた場合、安倍晋三は任命責任者としてこの前提を無視してはならない。

 政治資金規正法が外国人や外国法人から献金を禁止しているにも関わらず、宮沢洋一経産相が2007年と2008年に外国人が株式の過半数を持つ広島県の企業から計20万円の政治献金を受けていた問題で、宮沢洋一は「事務所としては、日本の企業であり問題ないとの認識だった」と、経営者が外国籍だとは知らなかったとして違法性はないとしていた。

 2014年10月30日の衆院予算委員会。

 安倍晋三「例えば私の場合はですね、私の場合は(外国籍だと)類推できない方からですね、寄付がある場合も、まあ、あります。その場合は入会のシオリを渡しまして、そこに日本国籍を有する者ということを一応念のためにですね、書いているわけであります」

 要するに政治資金規正法を適正に運用するために禁止規定に触れないかどうかの確認を自らの責任事項とし、国会議員としての身分、あるいは一国のリーダーとしての身分を有効足らしめる義務として自らを律していた。

 だとしたら、自分が首相として任命した閣僚に対しても同じ責任と義務を求めていいはずだ。「入会のシオリ等を渡して、政治資金規制法のこれこれの規定に触れる個人・団体からの政治献金は禁止されていますからとなぜ前以て認知させなかったのか。後になって外国籍であることは知らなかったとか、国の補助金を受けていたことは知らなかったでは政治資金規正法を適正に運用する責任を果たしていないばかりか、国会議員としての国民に対する義務も果たしていないことになる」と。

 求めなかったことは自身の発言を裏切ることになるばかりか、自分が任命した者に対して身内の無責任と義務不履行を庇うために二重基準を施したことになる。

 勿論、庇うということは西川の献金受領を断罪しないことによって自身の任命責任を回避できることから、そのことを意図した行為と言うことになる。

 一国の首相である。このような任命責任回避のみで、首相としての資質を問うことができるはずである。

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安倍晋三のヘイトスピーチ新法慎重姿勢は人種差別が存在否定であることの認識のないことが原因している

2015-02-25 11:09:12 | 政治


 ヘイトスピーチに関わる人種差別を規制する新法の立法について公明党議員の国重徹と安倍晋三の間で議論されたとのマスコミ記事に誘導されて動画から文字起こししてみた。国重徹が新法立法に熱心なのかと思ったら、左程のことではないことが分かった。

 40歳だそうで、見た目は若く見え、勢いのいいハキハキした物言いをするが、そのような物言いに反して新法に関しては事勿れな姿勢で向き合っているに過ぎなかった。

 勿論、安倍晋三は日本人優越主義者であることが原因しているのだろう、立法には不熱心である。その不熱心を誤魔化すためにさも人種差別に嫌悪しているかのような尤もらしげな言葉を駆使して繕うことは忘れていない。



 2015年2月23日衆院予算委員会国重徹VS 安倍晋三のヘイトスピーチ議論

 国重徹「先月総理はイスラエルの ホロコースト記念館を視察されて、その後次のように演説されました。一分抜粋になりますが、ここで紹介させて頂ます。

 『特定の民族を差別し、憎悪の対象とすることが、人間をどれ程残酷なものにしてしまうのかを、学ぶことができました。差別と戦争のない世界、人権の守られる世界の実現に向け、働き続けなければなりません。先の大戦終結から70年、そして、アウシュビッツ解放以来70年でもある本年、このような悲劇を二度と繰り返させない、との決意を表明します』

 この総理の演説に私は深い感銘を致しました。道は険しかろうとも、総理のおっしゃる差別と戦争のない人権の守られる世界の実現に向けてありとあらゆる努力をしていく。私もそうですし、ここにいる議員のみなさんも同じ思いを共有していると思います。

 ただ総理、残念ながら我が国でも特定の民族・人種に対する差別や憎悪を煽る、いわゆるヘイトスピーチを伴うデモが各地で頻発しております。京都の朝鮮学校へのヘイトスピーチをめぐる裁判に於いてはゴキブリ、ウジ虫、朝鮮半島に帰れ、保健所で処分します。犬の方が賢い、などといった発言が人種差別に当り、法の保護に価しない違法であるとの判決が昨年12月9日の最高裁判所決定で確定致しました。

 そこで総理、イスラエルに於ける総理の差別のない世界の実現という演説、そしてヘイトスピーチが人種差別に当たるという司法判決が下ったことを踏まえて、改めてヘイトスピーチを含む人種差別についての総理の基本的認識から先ずお伺いします」

 安倍晋三「一部の国民にとって民族を排除しようという言論や人種差別があるということは極めて残念であります。あってはならないことと考えているわけであります。

 先日のホロコースト博物館では先程ご紹介頂いたように特定の民族を差別し、憎悪の対象とすることが人間をどれ程残酷なものにしてしまうのか、ヘイトスピーチに於いてもそうなんです。

 もしその言葉を自分に向けられたら、どんな思いがするのか、自分の子供や家族がどんな感じを持つのかという、いわば想像を巡らせば、そんなことはしてはならないということはすぐに分かるわけでありますから、差別観が憎悪を掻き立てる、そうした理性的な思考を止めてしまうということではないかと思います。私自身、差別と戦争のない世界、人権の守られる世界の実現に向けて働きかける決意を明らかにしたところであります。

 確かに委員がおっしゃるようにまだまだ道は険しいわけでありますが、一人ひとりの人権が尊重される豊かな安心できる成熟した社会を実現していくことが重要だと、このように考えています」

 国重徹「ありがとうございます。総理の今おっしゃられた考えのもと、法務省の人権擁護局は例えば『ヘイトスピーチを許さない』をメインコピーしたポスター(隣にいた議員が黄地に黒の大きな文字で書いた大きなポスターを答弁席に向ける。)今お示しをしているポスターですが、こういったポスターやリーフレットの配布、インターネット広告の掲示などを実施しております。これらの取組みについて私も評価できるものだと思っております。

 ただ、今取り組んでいる対策だけで十分と言えるのか、被害者の救済として十分と言えるのか。今月6日、我が党のヘイトスピーチ対策プロジェクトチームはヘイトデモが繰返し行われました東京の新大久保地域に行って参りました。そこで地元の商店主の皆さま始め、様々な方からお話を伺って、より一層な対策、講じていかなければならないと私も実感しているところです。

 では、如何なる対策が考えられるのか。特定の個人や団体に対して向けられたヘイトスピーチについては現行法で名誉棄損罪、侮辱罪等の刑事罰の対象になり得ますが、問題は不特定多数が属する人種・集団全体に向けられたヘイトスピーチでございます。これは現行法では一般的に刑事罰対象になりません。

 また民事でもそれ単独で法行為を構成することは困難であります。実際にあったヘイトデモに於ける発言ですが、北朝鮮人を強制収容所にぶち込め、叩き出せ、お前たち二人朝鮮人共は全ての病原菌、病原菌の元である。

 こういった聞くに堪えない罵詈雑言を吐いて街を練り歩く。街宣活動をしていても、これが朝鮮人、また韓国人といった人種・集団全体に対して向けられたものであれば、これを現行法で対処することは著しく困難です。

 こういったヘイトデモが毎週のようにこの日本で公然と繰返し行われているのです。このようなことからヘイトスピーチに対して法整備をすべきだという意見がございます。

 昨年8月、国連の人種差別撤廃委員会は日本政府に対してヘイトスピーチに対して法規制をすべきだという勧告を出しております。各地の主要議会の多くの、多くはありませんが、まあ、続々とではありますけど、各地の主要議会の法整備を含む対策を国に求める意見書を今相次いで纏めております。

 ただ、総理、総理は御存知の通り、法整備については例えば刑事規制は恣意的な運用によって正当な言論活動まで規制・弾圧もある危険もございます。従いまして憲法21条が保障する表現の自由との関係で慎重な検討が必要になってきます。

 他方、法整備には乱用の伴う刑事規制ではなくて、総理がおっしゃった人種差別は許さない、こういう理念を定めた理念法というものも考えられます。

 そこで総理、ヘイトスピーチに対する法整備について、総理がどのようにお考えか見解をお伺い致します」

 安倍晋三「ただいま委員が実際にあった例として発言を紹介しました。こういう発言があること自体、極めて不愉快であり、残念であります。こういう発言をすること自体が実は自らを貶めることになり、そういう発言が行われる日本を貶めることに、私はつながるとこのように思います。

 他方でいわゆるヘイトスピーチと言われる言動の危険については(顔を殆どテーブル上の原稿に向け、読み上げる調子で発言。官僚の作文を読んでいるのだろう。)、個々の事実、事案の具体的な状況を検討する必要があり、一概に申し上げることは困難でありますが、いわゆるヘイトスピーチへの対応としては現行法の適切な適用の他、啓発活動により差別の解消につなげていくことが重要であると考えております。

 委員ご指摘の理念法の立法など様々な議論があるところでございますが、立法措置についてはそれは各党に於ける検討や国民的な議論の深まりを踏まえまして考えていきたいと思います」

 国重徹「総理のお考えはわかりました。私は個人的には時間を掛けて丁寧な議論をした上ですけれども、表現の自由には十分に配慮しつつも理念法等何らかの法整備が必要ではないかと考えております。

 その上で総理にお願いがあります。法整備をさておき、総理の強いリーダーシップを発揮して頂ければ、政治的に様々な対策を講じることができます。2020年は東京オリンピック・パラリンピックがあります。多くの外国人がこの日本にやってまいります。この方々は日本をよくよく見るはずです。今年は戦後70年の節目の年としております。

 今こそ総理の強いリーダーシップでヘイトスピーチを含む人種差別の根絶に向けて政府を上げて全力で取り組んで頂きたいと思います。そしてその対策を有効なものとするためにまずは被害の実態調査をして差別を受けて苦しんでいる人たち、子どもたちの声をしっかりと聞いていくことも必要でしょうし、学校教育に於ける人権教育の強化や差別の是正に向けた指導、そして総理や法務大臣が適切な機会に『人種差別は許さない!』、毅然と言い切る。繰返し言い切る。

 政府が本気でこの問題に取り組んでいる姿勢を懸命に示していくこと。こういったことも大事になってくると思います。

 総理、ヘイトスピーチを含む人種差別ついての根絶に向けて、政府を上げて一体的に、政府を上げてありとあらゆる対策を講じまた対策を強化していくことが重要だと考えますが、総理の決意、見解を伺います」

 安倍晋三「先ず政府としてですね、ヘイトスピーチや人種差別の根絶に向けて現行法を適切に適用して対処していく。同時に啓発や教育を通じて社会全体の人権意識を高め、こうした言動は許さないという認識を醸成することによって差別の解消につなげていくことが重要であると考えています。

 恐らく多くの方々は例えばご紹介されたような発言に対して強い怒りを、私もそうですが、持ったんだろうとこのように思います。確かに委員がご指摘のように2020年は東京オリンピック・パラリンピックを控えています。そうした言動がいわば街頭で堂々と行われる。日本はまさに自らの価値を下げることになります。

 そしてそうした発言で多くの人々が傷つけられている。こうした現実を直視しなければならないと、このように思います。安倍内閣としては今後共一人ひとりの人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を醸成するために委員ご指摘の点も踏まえて教育や啓発活動の充実など、様々な施策の推進に務めてまいります」

 国重徹「総理、是非よろしくお願いします。ヘイトスピーチの多くが在日朝鮮人・韓国人をターゲットにしたものですけれども、今年は日韓正常化50周年に当ります。差別や憎悪の対極にあるものが友情でございます。私たちは未来志向の関係を築くべく、ここ2年の間に韓国、中国に青年訪中団、青年訪韓団を・・・・・・」



 人種差別は、差別主義者が気づいていなくても、差別対象者の人格を否定する強い意思を持って行われる。人はそれぞれに固有の人格を有し、それがその人なりの存在を証明することから、人種差別に於ける人格否定は存在否定そのものを意味する。

 例えばナチスヒトラーのユダヤ人差別はそれが虐殺にまで発展しないものであっても、人格否定と言うよりも存在否定そのものの人種差別に当たるはずだ。ユダヤ人としての存在そのものを許さない憎悪があれまでの残酷な人種差別を誘発した。

 そして究極の存在否定の形を取った人種差別がホロコースト(大量虐殺)=存在抹殺であった。

 ヘイトスピーチで使われる「ゴキブリ、ウジ虫、朝鮮半島に帰れ、保健所で処分します。犬の方が賢い」といった悪意ある言葉は明らかに人格否定を超えた存在否定そのものである。

 この存在否定は人種差別に限らず、イジメや体罰についても言うことができる。あるいは家庭内暴力についても言うことができる。人格を有する者としてのそれぞれ存在を認めようとしない意思がイジメや体罰や家庭内暴力の形を取って存在否定へと向かう。

 執拗なイジメや体罰を受けた子供がその執拗な存在否定の攻撃に耐えきれずにその存在否定を受け入れて、自ら進んで自殺を手段とした存在抹殺で帳尻を合わせる。

 多分、推測に過ぎないが、自殺する瞬間、ああ、これでもうイジメを受けずに済む、体罰を受けずに済むと心穏やかになって、一瞬の間だけ自らの存在を取り戻すのではないだろうか。

 安倍晋三にしても国重徹にしても人種差別、そしてイジメや体罰、更には家庭内暴力等々は存在否定だとする厳しい認識を欠いていたために以上の議論となった原因であろう。

 国重徹自身がヘイトスピーチ規制の新法立法を強く望んで提起するのかと思ったら、2014年12月9日の京都の朝鮮学校へのヘイトスピーチが人種差別であり、法の保護に価しない違法だとする最高裁の判決まで持ち出し、さらにヘイトスピーチを法規制をすべきだという昨年8月の国連人種差別撤廃委員会の日本政府に対する勧告まで持ち出していることに反して、「ヘイトスピーチに対して法整備をすべきだという意見がございます」と第三者の意見として述べたに過ぎないことを暴露、最終的には「総理がおっしゃった人種差別は許さない、こういう理念を定めた理念法というものも考えられます」と事勿れな解決策に落ち着く真剣度のなさを見せている。

 人種差別は許さないといったポスターや声掛け、その他を使った啓発活動、教育、あるいはこうあることが望ましいといった理念を記した理念法で人種差別が片付くなら、同じ手段でイジメや体罰、家庭内暴力、更にはストーカ行為はとっくの昔に解消しているはずである。

 学校教育法で体罰を禁止し、文部省や各教育委員会、校長等が教師や部活動顧問に体罰が悪であることを訴えても体罰はなくならないし、2013年9月28日にいじめ防止対策推進法が施行され、施行を期に各学校で改めてイジメは人を傷つける行為でしてはならないということを各生徒に教え、啓発しただろうが、イジメはなくなっていない。

 如何に事勿れで当たり障りのない議論であり、その真剣度が分かる。誰にとっても第三者の存在を否定することは法律上も精神上も許されていない。日本国憲法は基本的人権の保障を通して各個人が各個人として存在することを認めることで逆の存在否定を許さない形を取っている。

 安倍晋三と国重徹の議論は人種差別は存在否定であると認識する強い嫌悪意識・忌避意識を欠いていることの反映としてある真剣度のなさであるはずだ。

 存在否定に対する強い嫌悪意識・忌避意識を有していたなら、人種差別に特定した新法の立法を否応もなしに考えざるを得なくなるに違いない。「刑事規制は恣意的な運用によって正当な言論活動まで規制・弾圧もある危険」があると言うなら、個々のケースに応じて裁判で決すれば事は済むはずである。

 このことは最高裁がヘイトスピーチの「ゴキブリ、うじ虫」等の罵詈が人種差別に当り、法の保護に価しない違法であると判決を下していることが可能であることの証明となる。

 そもそもからした安倍晋三がヘイトスピーチを深刻に把えていないことが次の発言に現れている。

 「一部の国民にとって、民族を排除しようという言論や人種差別があるということは極めて残念であります。あってはならないことと考えているわけであります」

 「残念」という言葉の意味は、「物足りなく感じること。諦めきれないこと。また、そのさま。 悔しく思うこと」といった意味で、軽度の否定感情を表す言葉に過ぎない。

 その程度の真剣度でしかヘイトスピーチを考えていない。

 安倍晋三が恐れていることは立法によって人種差別に特定した法律が日本に存在することになって、その法律が日本に人種差別が存在していることを証明し続けることになるからに違いない。

 なぜなら、安倍晋三の日本民族優越主義が許さないからである。民族優越主義は常に自民族に対する無誤謬性に裏打ちされている。安倍晋三にとって日本の歴史に侵略戦争や従軍慰安婦の日本軍による強制連行と強制売春があってはならないと同様に人種差別などあってはならないからである。

 このことは安倍晋三の次の発言に現れている。 

 「こういう発言をすること自体が実は自らを貶めることになり、そういう発言が行われる日本を貶めることに、私はつながるとこのように思います」

 存在否定という許し難い人種差別を受けている在日韓国人・朝鮮人を日本人による人種差別を手段とした存在否定から如何に救済するかに視点を置くのではなく、差別する日本人を貶め、日本を貶めると、日本人と日本の評判、いわば日本という国を単位とした世界に向けた世間体に視点を置き、気にしているところに日本民族の無誤謬性への願いを見て取ることができ、その視点からのヘイトスピーチの取り扱いとなっているところに現れている立法への真剣度の事勿れな低さであろう。
 それが現行法の適切な適用や啓発活動という一歩も二歩も距離を置いた対策というわけである。

 日本という国を単位とした世界に向けた安倍晋三の世間体は次の発言にも現れている。

 「確かに委員がご指摘のように2020年は東京オリンピック・パラリンピックを控えています。そうした言動がいわば街頭で堂々と行われる。日本はまさに自らの価値を下げることになります」

 このことは国重徹にしても同じである。「2020年は東京オリンピック・パラリンピックがあります。多くの外国人がこの日本にやってまいります。この方々は日本をよくよく見るはずです」

 二人はお互いに世間体を響き合わせている。世間体からの人種差別の解消は本質的な解消には決してつながらない。

 安倍晋三の人種差別観には被害者の視点を欠いていることも世間体に重きを置いていることとは無関係ではあるまい。

 国重徹が安倍晋三の今年1月19日のホロコースト博物館視察後の発言を取り上げているが、人種差別の被害を受けたユダヤ人の博物館を訪れながら、「特定の民族を差別し、憎悪の対象とすることが、人間をどれほど残酷なものにしてしまうのかを学ぶことができました」と、加害者のナチス・ドイツ人の側に立った差別と憎悪をキッカケとした攻撃的な人間性への変容を言うばかりで、被害者のユダヤ人が味わった存在否定と存在抹殺に対する癒しがたい嫌悪感・忌避感については一言も触れていない。

 「もしその言葉を自分に向けられたら、どんな思いがするのか、自分の子供や家族がどんな感じを持つのかという、いわば想像を巡らせば、そんなことはしてはならないということはすぐに分かるわけでありますから」と言い、あるいは「そうした発言で多くの人々が傷つけられている。こうした現実を直視しなければならない」と人種差別を受けている側の人間の立場に立って言ってはいるが、人種差別が些かも許されるはずのない存在否定に当たるという厳しい認識を欠いていること、世界に向けた世間体を気にしていること、新法立法に不熱心であること等々からすると、議論に辻褄を合わせた発言としか解釈しようがない。

 また、「そうした発言で多くの人々が傷つけられている」という発言にしても、「安倍内閣としては今後共一人ひとりの人権が尊重される厖で安心できる成熟した社会を醸成するために委員ご指摘の点も踏まえて教育や啓発活動の充実など、様々な施策の推進に務めてまいります」の発言にしても、現行法が如何に役に立っていないかの縷々とした説明に他ならない。

 にも関わらず、現行法の適切な適用を言う。

 安倍晋三のヘイトスピーチ新法に不熱心であることから確実に言うことができることはホロコースト博物館で発言した「差別と戦争のない世界、人権の守られる世界の実現に向け、働き続けなければなりません」は有言不実行の言葉に過ぎないということである。

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安倍晋三の西川農水相辞任受入れは自己保身からのトップとしての務めの放棄と任命責任回避

2015-02-24 06:07:58 | 政治

 
 ――閣僚の行為を間違っていないとするなら、任命した者としてその閣僚を信用して、その地位と名誉を最後まで守り通さなければ、信頼されるトップ足り得ない――

 西川公也(こうや)農水相が2月23日(2015年)安倍晋三と首相官邸で会談、自らの政党支部が国の補助金を受けた企業などから献金を受けていた問題などでこれ以上国会審議に影響が出ることは避けたいなどとして辞表を提出し、受理されたと、《西川農相 安倍首相に辞表提出》NHK NEWS WEB/2015年2月23日 18時57分)が伝えていた。  

 農水相の政治資金規正法違反疑惑。

 その1――農水相の政党支部が国の補助金を受けた栃木県内の木材加工会社から300万円の献金を受け取っていた。

 その2――国の補助金を受けた砂糖の業界団体の代表が社長を務める会社からも100万円の献金を受けていた。

 後任は林前農水相。

 野党の違法だとする国会審議等での追及に対して。

 西川農水相「違法性はないと判断している。農林水産大臣という職責に鑑みて、疑問を持たれないようにいずれも返金した」

 「違法性はないと判断している」の「判断している」というところがミソである。この場合の「判断」は自身の解釈であって、政治資金規正法と照合して得た、客観性を持たせた「解釈」というわけではない。

 二人はどんなことを話し合ったのだろう。

 安倍晋三{お主、悪いのう」

 西川公也「お代官様、あなたこそ」・・・・・・とでも?
 
 安倍晋三とコソコソ話し合った会談後の記者団への説明。

 西川公也「私がいくら説明しても分からない人は分からないということで、農林水産大臣の辞表を出してきた。安倍総理大臣からは『農業関係の仕事を大変よくやってくれた。引き続きできればやってほしい』ということだったが、私はもう自分で決めたので、政府から外れるということを申し上げてきた。安倍総理大臣も了承してくれた。

 全部説明できたし、法律に触れることはないということは安倍総理大臣も分かってくれた。これから農政改革をやるときに内閣に迷惑をかけてはいけないということで、自ら辞表を出した」

 要するに西川は自分は何も悪いことはしていないと自身の身の潔白を訴え、安倍晋三も、「農業関係の仕事を大変よくやってくれた。引き続きできればやってほしい」と慰留することと、「法律に触れることはない」と理解することで西川の身の潔白を認めたということになる。

 だったら、少しぐらい国会審議が遅れようが何しようが、被任命者を信用して最後ま守り通すのが任命した者の責任であり、そうすることで信頼されるトップ足り得るはずである。

 だが、安倍晋三は任命責任者として被任命者を信用して最後まで守り通すという信頼されるトップとしての務めを果たさなかった。

 と言うことは、西川自身が自分は正しいとし、安倍晋三も間違っていないとしていながら、円滑な国会審議を優先させた、イコール安倍晋三は自己保身を優先させたということになる。

 西川辞任について安倍晋三がどう発言しているか《安倍首相 「国民におわびしたい」》NHK NEWS WEB/2015年2月23日 18時21分)から見てみる。  

 安倍晋三「西川大臣には、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉、農協改革に大いに力を発揮して頂いた。『是非、とどまって職を全うして頂きたい』とお願いしたが、『政策の審議に集中すべきだが、みずからの問題でそれが叶わない状況は変えたいと思っており、それには辞任しかない』という強い意志の表明があり、尊重することにした。大いに力を発揮していただいた方だが大変残念だ。

 2年近く安倍政権で大臣を務め、党にあって農林水産戦略調査会長として、西川大臣とともに農協改革等に取り組んできた林芳正氏にお願いすることとした。

 任命責任は私にあり、国民の皆様におわび申し上げたい。林新大臣の下、与党と協力してしっかりとした新しい農政を進め、若い皆さんが農業に魅力を感じる農政、そして農山漁村の所得倍増を目指して頑張っていきたい。政策を力強く推進していくことによって責任を果たしていきたい」

 「TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉、農協改革に大いに力を発揮して頂いた」と西川の能力とその人間性を認めているが、能力と人間性を認めていたからこそ農水相に任命したのだから当然であり、両者間にお互いに信頼し合うという固い絆を結び合わせていただろうから、「『是非、とどまって職を全うして頂きたい」というお願いも自身も最後まで全うしてこそ、任命責任者として西川に向けた信頼と、被任命者としての西川の任命者である安倍晋三に向けた信頼を双方共に損なうという人間としてあるまじき振舞いに及ばずに済むはずである。

 だが、安倍晋三は西川を最後まで守り通すことはしなかった。守り通すことをしなかったばかりか、「任命責任は私にあり、国民の皆様におわび申し上げたい」と謝罪し、自身の任命責任を認めるという矛盾した態度に出た。

 「『是非、とどまって職を全うして頂きたい』とお願い」している以上、西川の政治資金規正法違反疑惑を認めているわけではない。既に触れたように逆にその能力と人間性に信頼を置いているのである。

 謝罪しなければならないことは国会審議中の閣僚交代という混乱、あるいは騒動に対してだろう。西川は正しいと見做している以上、任命責任とは関係ない。

 被任命者に信頼されるトップとしての務めを果たさなかったばかりか、任命責任があるとしているわけでもないのに「任命責任は私にあり、国民の皆様におわび申し上げたい」の言葉は早いとこ任命責任を認めてしまって、混乱を、もしくは騒動を短時間に収拾してしまいたいとする自己保身そのものの魂胆からだろう。

 当然、言葉だけの、あるいは口先だけの方便で認めた任命責任に過ぎない。

 言葉だけ、あるいは口先だけで早々に任命責任を認めることで逆に任命責任を回避するという高等戦術を使ったのである。

 安倍晋三が示すべきはもし被任命者が政治資金規正法に違反していないと見るなら、その地位と名誉を最後まで守り通して、被任命者の任命者に向けている信頼を失わないことでありながら、円滑な国会審議を口実に早々に辞表を受理して収拾を図ろうとしている。

 自己保身の意識なくしてこのような信頼に悖ることはできない。自己保身には任命責任回避を当然の要素とする。

 何というトップなのだろう。真に信頼される資格のあるトップと言えるのだろうか。

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安倍晋三の「日本は安全な国」は強迫観念的漸増性の過剰警備強化下の「日本安全神話」ヘと質を変えている

2015-02-23 10:46:19 | 政治


 2015年2月20日衆院予算委員会で辻元清美が安倍晋三が公邸に住まず、私邸に住んでいるのは警備の点で大変だから公邸に住むべきだ、映画やコンサートやゴルフに行くのはその移動とそれらの場所での警備が大変だから慎んだ方がいいといった戒めを説いた。

 辻元清美「村山元首相にお正月には温泉にでも行かないのかと尋ねたら、自分が動いたら、警備が大変だ、年始年末は警備の人を家族もいることだから休ませてあげたいと言っていた。それとプラス、テロの危機が広がっている。この年末の(昨年末のゴルフやコンサートに行ったことの)反省を元に行動して貰いたい」

 安倍晋三「私を貶めようというその努力は認める。しかしはっきりと申し上げて日本というのはですねそういう(テロの)威しに遭ったとしても安全な国なんです。

 我々の政権ができて500万人観光客が増えて、日本は素晴らしい国だ、安全な国だからみんな来てくれる。

 日本は危険な国であるかのようにあなたはおっしゃった。私はトンデモナイことだと思いますよ。日本は安全な国だ。そういう安全な国であるということを確保することこそが私の責任です。そのための保証(?)と予算をしっかりと確保する。

 そういう仕事をちゃんとやっていうことが大切なんです。私に求められているのはね、公邸に泊まるとか泊まらないとか言うことではないんですよ。公邸にずっと泊まっていたら立派な総理大臣になるんですか。私は違うと思いますがね」

 余程頭が悪くなければ、こういった答弁はできない。途中、与党席からだろう、拍手したり、「そうだ」といった声をかけていたが、頭の悪さで同じ穴のムジナでなければ拍手したり、掛け声をかけたりはできない。

 確かに頭の悪い安倍晋三が言うように日本は安全な国である。だが、安全の質が以前とは違っていることに気づいていない。だから、頭が悪い。

 安全の質が違っていることを昨日2月22日の東京マラソンを例に取って説明してみる。

 今回の東京マラソンの警備陣は総勢で1万人だと共同電として「日経電子版」が伝えている。特に「イスラム国」の警告を受けた措置でもあろう。

 既にこのこと自体が「安全」の質を変えていることを示している。

 この警備強化は一昨年のボストンマラソンで発生した3人死亡、282人負傷のテロ事件を受けて昨年2014年東京マラソンからのものだという。そして今回、更に警備強化に走った。

 配備した警察官数の推移を見てみる。

 2013年東京マラソンは約3000人態勢。

 2014年東京マラソンは2013年の約1.5倍近い4400人態勢。

 2014年東京マラソンは4500人態勢。100人増員している。

 100人しか増員していないように見えるが、100人だけでもかなりの数である。100人の中には警視庁の駅伝チームを中心に全コースを分担して走り不審者・不審物を警戒する新手のランニングポリス64人も入っているから、警備態勢自体の強化を見て取ることができる。

 但し「産経ニュース」は警察官の数以外の強化を伝えている。

 警備員5500人から6000人。
 監視カメラ11カ所から21カ所。
 ゲート式金属探知機7台から60台。

 東京マラソンの警備強化から見て取ることができるように今後日本の安全はテロへの脅威から前回よりも今回、前年より今年というふうにより完璧な安全を求める警備強化の元の安全となっていくはずだ。そうしなければ安心できないという強迫観念に裏打ちされた年々漸増させていく警備強化に走らざるを得なくなるということである。

 結果として否応もなしにこれでもかといった過剰警備に陥る可能性は否定できない。

 もしどこかでちょっとしたテロ事件でも起きたら、どのような催しでも、人が大勢集まる場所の警備は一挙に強化されることになるだろう。

 昨年放送していたNHK「クローズアップ現代」が、日本全国で500万台の防犯カメラが設置されていると放送していた。テロを警戒して更に増えているに違いないし、今後共増えていくに違いない。

 このことも安全の質を変えていく要因となる。 

 にも関わらず安倍晋三は治安面に於ける日本の安全を従来どおりの安全だとしか考えていない。いわば「原子力安全神話」ならず「日本安全神話」に陥っている。この「日本の安全」を守るために過剰だと思っていても何かが起きたらという強迫観念に促されて警備強化を漸増させていくことになる。

 そうしなければ、「原子力安全神話」が幻想でしかなかったように「日本安全神話」も幻想として叩きのめされないとも限らない。

 安倍晋三の頭の悪さを他処に「日本の安全」を守るために強迫観念的漸増性の過剰警備強化が、悲しいことだが、進行しつつある。

 安倍晋三は日本は安全な国だから、安倍政権ができてから観光客が500万人も増えたと言っているが、残念ながら観光目的の訪日は必ずしも治安上の安全が基準とならない。

 アメリカの大都市の中では比較的安全といわれているものの、それでも東京よりも圧倒的に治安が悪いニューヨーク市のネットで調べた2012年犯罪数と日本の犯罪数を比較してみる。

 殺人 NY 419件(未遂を含まず)・東京 118件(未遂を含む) 
 強姦 NY 1445件        ・東京 147件
 強盗 NY 20144件       ・東京  569件

 2013年、NYを訪れた観光客5430万人
 2014年、NYを訪れた観光客過去最高5640万人

 1年で210万人増えている。

 2013年訪日外国人旅行者1,036 万4000人
 2014年訪日外国人旅行者1341万3600人。

 前年比約29.4%プラスの304万9600人増

 日本全国で2014年の外国人観光客1341万3600人に対して日本よりも遥かに安全ではないニューヨーク市だけで2014年は5640万人も訪れている。

 第2次安倍政権発足後2年間で500万人。単純計算して2で割ると、1年間に250万人増。ニューヨーク市の1年で210万人増えているよりも40万に多いが、アメリカ随一の大都市ニューヨーク市のみと日本全国と比較した場合の外国人旅行者は4分の1以下に過ぎない。

 治安の良さ、安全が観光での外国訪問の基準となっているわけではないにも関わらず、また日本の安全の質が変わっていることに気づきもせずに安倍晋三の日本が素晴らしい国であること、安全な国であることを根拠とした「我々の政権ができて500万人観光客が増えた」としている答弁は虚しさしか響かせない。

 頭の悪い安倍晋三に言っても仕方がないが、今後の日本の安全は強迫観念的漸増性の過剰警備強化よって守られることになる安全であり、その手の「日本安全神話」になるということ、従来とは異なるということに留意しなければならない。

 いわば日本の安全は如何に警備を強化するか、如何に警備を万全にするかかかることになる。

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安倍晋三は邦人拘束のテロリストに身代金を要求されても、人命が犠牲になっても応じないことを明らかにせよ

2015-02-22 10:37:41 | 政治


 2月19日の衆院予算委員会で民主党代表岡田克也の2邦人殺害事件に関する質問に対して官房長官の菅義偉は次のように答弁している。

 菅義偉「12月3日の日にですね、何者かに拘束されているというメールが入っているんですよね。その交渉についてですね、後藤夫人、民間のですね、専門家の方にですね、相談をされて、ずっと対応をしてきているんです。

 で、それに対して政府はですね、後藤夫人と警察、外務省がサポートしてきている」

 後藤健二さんに関わる「交渉」を民間の専門家に「相談」、「ずっと対応してきている」

 この交渉とは解放交渉であろう。

 菅義剛が言う「専門家』とはネットで調べたところ、かつて後藤健二さんがジャーナリスト向けの戦場訓練を受けたことのあるイギリスの危機管理コンサルタント会社だと、2月21日付の「TBS NEWS」が伝えている。  

 海外邦人保護は日本政府の役目である。後藤さんの奥さんが犯行グループからメールを受け取ったのは12月3日とされている。そして政府に知らせた。だが、政府の解放交渉と併行して後藤さんの奥さんもイギリスの危機管理コンサルタント会社に解放交渉を依頼していた。

 同じく2月19日の衆院予算委員会。

 岸田文雄「1月20日、動画が掲載された時点でISIL関係者による犯行である可能性が高い。このように判断したわけであります。

 そしてそれに対する対応でありますが、後藤さんと湯川さん、二人を解放する上で何が最も効果的なのか、この観点から、政府として全体で検討をした次第であります。この観点で検討した結果、まあ、ISILと直接交渉する、接触するということではなくて、我が国が今日まで外交等に於いて培ってきた様々な関係国、その情報機関、あるいは宗教関係者さらには部族長、こういったあらゆるルートを活用して取り組むという対応を決定し、それを実行したということであります」 

 安倍政権は1月20日に犯行グループが「イスラム国」と判明したことに対応させて日本の外務省や警察だけではなく、様々な関係国、その情報機関、あるいは宗教関係者さらには部族長にまで解放のための手を広げた。

 なぜ、後藤夫人は解放交渉を政府に全面的に預けることをしなかったのだろう。

 同じ2月19日の衆院予算委員会で安倍晋三は次のように答弁している。

 安倍晋三「そもそも政府としての立場はテロリストとは交渉しない。これが基本的な立場です」

 この場合の「交渉しない」とは「取引きしない」という意味であるはずだ。テロリストが拘束した邦人の解放条件に身代金を要求をしても、その取引きには応じない、誰かとの人質交換を要求しても、その取引きには応じないということであろう。

 だとすると、上記岸田の「ISILと直接交渉する、接触するということではなくて」という発言は単なる解放のための方法論を言ったのではなく、テロリストとは如何なる取引きにも応じないとする安倍政権の姿勢を差し障りのない表現に変えて提示した言葉と見ることができる。

 こう見てくると、マスコミが犯行グループからの後藤さん奥さんへのメールには20億円の身代金要求があったと伝えていながら、岸田が2月2日衆院予算委であったともなかったとも肯定も否定もせずに曖昧にしたことも理解できる。

 細野豪志「(後藤さん拘束後)身代金の要求がったのは事実なのか」

 岸田「奥さんとは緊密に連絡を取ってきた。できる限り(奥さんの)気持に添って対応してきた。そういう遣り取りは1月20日映像が公開されtて広く事実が公になるまでは後藤さんの安全の問題もあるので、非公開とした。その間の具体的な遣り取りについては(公表を)控えさせて貰いたい」

 細野豪志「この事案の検証を考えるとき、事前に身代金を要求されていたかどうかは重要なポイントだから、政府には説明責任がある」

 岸田「メールで犯人側から何らかの要求があったかは後藤さんの奥様に対する様々なメッセージがあったわけだから、政府としては明らかにするのは控えさせて頂きたい」

 身代金要求があったとすると、どう対応したのかと問われた場合、20億円は政府が払うことができない金額ではないにも関わらず、如何なる取引きには応じないという政府の基本的立場をあからさまにしなければならなくなって、マズイことになるからだろう。

 テロリストとは如何なる取引きにも応じない姿勢を「ISILと直接交渉する、接触するということではなくて」と解放交渉の方法論に言い替えて巧みにオブラートに包むくらいなのだから、身代金要求を曖昧にするぐらい何のこともないはずだ。

 だが、後藤さんの奥さんに対しては知らぬ存ぜぬでは通用しない。政府の基本的立場を伝えたはずだ。身代金要求に応じた場合、それが活動資金となって、より多くの人命を犠牲にすることになるといった理由をつけて。

 だが、奥さんにしたら、身代金要求に応じないということは夫の命を犠牲にすることを意味する。政府にしたらたかが国民一人の命かもしれないが、奥さんにしたら、夫の命であり、子どもたちの父親の命であって、一人、二人と数で数えることのできない大きな存在であろう。
  
 菅義偉は「その交渉についてですね、後藤夫人、民間のですね、専門家の方にですね、相談をされて、ずっと対応をしてきているんです」と犯行グループからメールを受け取って以後、イギリスのコンサルタント会社に身代金の支払いを含めた(相手が要求している以上、交渉に含めなければならない)解放交渉を依頼したかのように言っているが、個人で支払うことのできる20億円の身代金ではないのだから、政府から身代金取引きには応じない旨を知らされて、コンサルタント会社にそれまでは所在の調査を依頼していたことに加えて仕方なく身代金の支払いを含めた解放交渉を依頼したといったところではないだろうか。

 可能性として想定しなければならない夫の犠牲を単に待つだけということはできない。必死だったに違いない。

 安倍政権が最初からどのような取引きにも応じない姿勢でいたのなら、湯川さん、後藤さん拘束の情報を得て、それぞれの情報に対応させてヨルダンに現地対策本部を、首相官邸、外務省等に対策関係の部署を立ち上げたのは何のためだったのだろうか。

 あるいは湯川さん、後藤さん拘束の情報を入手してから関係国や部族長、更には宗教関係者に解放交渉を依頼したのは何のためだったのだろう。

 テロリストが身代金要求を撤回して無条件に解放に応じる性善説に期待を掛けたからなのだろうか。

 だが、身代金を支払わなかった米英ロの人質計6人が殺害され、政府が内々に身代金を支払ったフランスやドイツのジャーナリストなどは解放されていて、殺害された人質に関しては殺害される前に人質の家族に身代金要求のメールが送信されたケースもあるという。

 アメリカの殺害された男性ジャーナリストの親にも身代金要求のメールが送られている。

 このことは今回の後藤さんの奥さんに身代金要求のメールが送られてきたことと附合する。

 いわば解放か殺害かの基準は身代金を支払うか支払わないかに対応させていることになって、安倍政権にしてもこういった情報は把握しているはずだから、性善説に期待すること自体が矛盾することになる。「テロリストとは交渉しない」という厳格さに反することになるばかりか、身代金は支払いません、性善説に期待しますでは虫が良過ぎることになる。

 性善説からではないとすると、首相官邸や外務省、ヨルダンに迄現地対策本部まで立ち上げ、関係国や部族長、更には宗教関係者に解放交渉を依頼したのは何のためにだろうか。

 「イスラム国」が1月24日(2015年)に湯川さん殺害と後藤さんの解放と引き換えに「ヨルダンの連続爆破テロの女性死刑囚、サジダ・アル・リシャウィ容疑者の釈放をヨルダン政府に求める」とする動画をネット上に配信、対してヨルダン政府が女性死刑囚と「イスラム国」に拘束されているヨルダン軍パイロットとの人質交換交渉に入って、後藤さんを抜きにしていたのは、日本政府はヨルダン政府の交渉の推移を見守るという姿勢を見せていたが、後藤さんを人質交換の対象に入れた場合、間接的に取引きすることになって、日本政府の基本的な立場に反することからの日本政府側からの内々の要請に基づいた後藤さん抜きということではなかったのではないだろうか。

 ヨルダン政府は後藤さんが殺害されてから、後藤さんを含めて人質交換交渉を行っていたと言っているが、記者会見等の公の場では2対1の交換だとは一度も明言していない。

 もし女性死刑囚との人質交換で後藤さんが解放されたとしても、解放された女性死刑囚が新たなテロで多くの人命を犠牲にした場合、日本政府は女性死刑囚解放はヨルダン政府がやったことだとは言えない。

 拘束がまだはっきりとしないうちから首相官邸や外務省等に対策関係の部局を立ち上げ、ヨルダンに現地対策本部まで立ち上げたことは、そうすることで発動させることになった拘束が事実の場合を想定した危機管理にしても、さらに1月20日になって解放交渉を関係国や部族長、宗教関係者に依頼したことも形式に過ぎず、安倍政権が2邦人解放の精一杯の努力していますというところを見せるためのアリバイ作りだとしたら、これ程国民を愚弄する見せかけはない。

 安倍晋三は「テロリストとは交渉しない」とうことは身代金要求を含めたどのような要求に対しても取引きに応じないということであり、そのためには人質となった邦人を擬性にすることをあり得るということを国民に正直に説明すべきだろう。

 それとも今後共アリバイ作りに終始し、国民を愚弄し続けるということなのだろうか。

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安倍晋三が国民の生命をどう考えているか分かった2月29日衆院予算委岡田克也との2邦人殺害事件質疑

2015-02-21 12:16:54 | Weblog


 2015年2月19日の衆院予算委員会で民主党代表岡田克也が「イスラム国」による2邦人殺害事件の政府対応の妥当性と、その拘束が疑われている時期に安倍晋三と官房長官の菅義偉(よしひで)が二人共総選挙の応援演説に駆け回っていて首相官邸を開けていたことの国家危機管理に於ける政府対応の妥当性を追及、対して菅義偉は何ら問題はなかった、安倍晋三は対応に瑕疵はなかったと答弁している。

 堂々巡りの質問と同じ堂々巡りの答弁となって、ちょっと長いが、この質疑に関わる個所を全文文字起こししてみた。果たして皆さんはどんな判定を下すのだろうか。



 岡田克也「ISIL(アイシル)による日本人殺害について検証を政府に求められるということですが、やはり私は12月3日から1月20日の間に、その間に何ができたかということの検証が非常に重要だと思います。

 岸田外務大臣に聞きたいと思うのですが、大臣は12月3日に拘束が、後藤さんの拘束がメールで、奥様のメールで判明したというふうに答弁されていますよね。3日の何時ぐらいにお知りになったのでしょうか。

 もう一つは結局政府が直接返事をするということではなくて、色々な国とか関係各国とか、あるいは宗教関係者とか部族とか、そういうふうに働きかける道を選んで、政府は直接、その時はISILだと直接知られていなかったと思うのですが、そことメールを通じて交渉するということはしなかったんだというふうにおっしゃりましたが、そういうふうに決めたのは何時頃ですか」

 岸田文雄「先ずはご指摘のように12月3日から犯行ブループからのメールについて奥様から連絡を受け、この段階で後藤氏が何者かに拘束された可能性が高いことを認知した次第です。

 そして12月3日何時にこの報告を受けたのかという質問を頂きました。えー、今ちょっと手元に(背広の裾の両ポケットを探るジェスチャーをして)その日課の記録がありませんので、具体的に事務的な報告を受けたか、ちょっと今確たるお答えをすることができませんが、3日に連絡を受けて早々に私もそういった事態について連絡を受けたもだと承知をしております。

 そして直接交渉をしなかったご質問を頂きました。この点につきましては今申し上げましたように12月3日何者かに拘束された可能性が高いということは認知しましたが、その時点でISILによって拘束された可能性は否定できないものの、確たるその情報に接していなかった、そういうことでありました。

 そして12月20日にISILとよるものに見られる動画がネットに掲載された時点で、私、失礼、1月20日、えー、まあ、動画が掲載された時点でISIL関係者による犯行である可能性が高い。このように判断したわけであります。

 そしてそれに対する対応でありますが、後藤さんと湯川さん、二人を解放する上で何が最も効果的なのか、この観点から、政府として全体で検討をした次第であります。この観点で検討した結果、まあ、ISILと直接交渉する、接触するということではなくて、我が国が今日まで外交等に於いて培ってきた様々な関係国、その情報機関、あるいは宗教関係者さらには部族長、こういったあらゆるルートを活用して取り組むという対応を決定し、それを実行したということであります」

 岡田克也「いつ决定したのかと聞いているのです」

 岸田文雄「対応につきましては12月3日以降、こうした事態をしっかりと把握したのち、その時点では現地対策本部、それより遡って8月からスタートしておりましたし、外務省に於きましても対策室、官邸に於きましても情報連絡室、警視庁に於きましても連絡室、立ち上げていたところであります。

 そうした事態を把握したのち、いつの時点か、何日の何時だったのか、その点につきましては今把握しておりませんが、早急に対応を検討し、方針を確定し、それを実行したということであります」

 岡田克也「12月3日に拘束が判明して、すぐには決められなかったと思うんですね。相手が誰なのかそれは結局12月3日まで、1月20日迄分からなかったということですが、そもそも後藤さん、本当にメールの相手が後藤さんなのかということも、奥さんとのメールを何回か遣り取りする中で確認されたと思うんですね。

 ですから、直後ではないと思うんですけども、12月のどこかの時点でメールの相手と直接交渉するのではなくて、違う遣り方で、つまり今大臣がおっしゃった、私に申し上げた関係国部族長か宗教関係者のルートでやるべきだということを12月のどこかの段階で決めたという理解でいいのですね」

 岸田文雄「先程申し上げたように月3日以降、関係者で検討し、そして対応を决定した次第であります」

 岡田克也「官房長官にちょっとお聞きしたいのですが、官房長官、答弁の中でですね、参議院の予算委員会の中でですけども、(官房長官の参議院での答弁を記したボードを出して)『ISILはまともに交渉できる相手ではない』と。

 そういう中で国家安全保障局、内閣危機管理監、内閣情報室、警察、外務省で協議したと。それから、最終の判断を誰が行ったのかと問われて、(ボードには「後藤さんの奥様のメールに返信しないとの最終判断は誰が行ったのか」と問われて――と書いてある。)『私のもとで情報集約への会合を開いてそこで判断した』と、こうお答えになっておりますが、ちょっと不思議なのは、内閣とか、総理とか、外務大臣が入らない、情報関係者の中で決めたということですか。

 つまりどういう交渉をするかという非常に大事なこと、命に関わる大事な留意点、私間違った判断をしたと言うつもりはないんですけども、大事な判断を官房長官、情報関係者だけが決めたということなんですか」

 菅義偉「その前に申し上げたいんですけども、12月3日の日にですね、何者かに拘束されているというメールが入っているんですよね。その交渉についてですね、後藤夫人、民間のですね、専門家の方にですね、相談をされて、ずっと対応をしてきているんです。

 で、それに対して政府はですね、後藤夫人と警察、外務省がサポートして、(ここの個所聞こえない。)そして確か12月19日だったと思うんですけども、この夫人と犯人側との遣り取りの中でですね、後藤さんが確かに拘束されているという印象を持ったのが確か12月19日であります。

 そしてそこから、また民間の専門家を通じて、後藤夫人がですね、メールを交換して、それについて勿論、政府がサポートさせて頂いたと。その中で、しかし、具体的にですね、その犯罪者というのは誰かということの確証は得ることができなかった。

 結果として1月20日、あのような大きな動画によって発信をされて、そういう中で先程岡田委員の話になるわけですけども、私共、私と3人の官房副長官、そして当初から対応をしておりました内閣情報室、そして外務省、警察庁、専門家の中で様々ですね、対応について相談をして、その方向性をそこで見い出して、当然総理に報告をして頂いてですね、ISILというのは、先程申し上げましたけど、まさにテロリストであって、実体が定かでないと、そういう中で12月3日からですね、最も影響のある国家的な対応は何が必要なのかという中で、私共様々な相談をしたわけでありまして、そういう中でヨルダンを始め、周辺国、更には宗教の指導者、部族の長、そうした人たちにですね、一番効果的な対応はそこではないかということの対応で判断して、総理のところにご報告をして頂いてですね、私共が判断させて頂いということです」

 岡田克也「まあ、ですから、12月19日、映像が出たのは1月20日ですから、約1ヶ月間近くあったんですね。で、この間、直接コンタクトするんじゃyなくて、関係国やあるいは部族やあるいは宗教指導者(指折り数えて)、まあ、そういうあらゆるルートを使って、何とか後藤さんと接触できないかと政府は努力されたんと思うんですが、一つ私、よく分からないのは、現地の対策本部に十数名増員したと、それは1月20日以降だというふうに外務大臣答弁されているんですよね。

 国会で部族長や宗教関係者とコンタクトを取ろうとすれば、やはり土地勘のある専門家を早く現地に投入して、そして物量作戦ではありませんが、少しでも多くの人がしっかりとコンタクトをすべきだと思いますが、なぜ20日なってから、十数名の増員と、それまでは増員していないということになったのでしょうか。如何でしょうか」

 岸田文雄「元々ヨルダンの現地対策本部にはシリアから退避してきました大使館の関係者、そして元々いたヨルダンの大使館の関係者、このアラビアの、イスラムの専門家が常駐しておりました。現地対策本部はその態勢でこの対応をしていたわけですが、1月20日以前もですね、外務省本省、あるいは中東周辺の在外公館からは、例えばトルコに対しまして、シリアと接するトルコに出張ベースで数名ずつ何回かに分けてこの人員を派遣して情報収集を行う。

 また警察庁につきましてもシリア周辺国に人員を派遣して協力要請とか情報収集を行う。こういった形で様々な働きかけそして協力を得ていたと、いうことであります。
 
 ですから現地対策本部の人員という意味に於いては1月20日以降、人数を増やしたということでありますが、その外側で外務省、あるいは周辺の在外公館、あるいは警察庁、様々な関係者が周辺国に出張ベースで出かけて行き、働きかけを行い、協力を得てきました。こういった対応で臨んだ次第です」

 岡田克也「 ヨルダンが最も重要な国であると、そう考えたからこそ、そこに現地対策本部を設けたと思うんですよね。そこの現地対策本部の増員ではなくて、トルコや周辺国、それは分かりますよ。だけど、どうして一番大事だと考えたヨルダンの増員がなされなかったのかということが私には分からない。説明してくださいますか」

 岸田文雄「ヨルダンに現地対策本部を置いた理由ですが、今回の事案、シリアに於いて発生した事案でありますが、シリアに於いては他の周辺国も同じでありますが、治安の悪化に伴って大使館が退避しておりました。現実シリアには我が国の大使館が存在しないという状況でありました。

 そしてシリア大使館がヨルダンに退避している。こうした状況でありました。そうしたことに加えてやはりヨルダンというのは中東地域に於ける情報拠点としてもう一つ評価されている国である地域であります。こうした諸点を勘案した上で我が国としましてはヨルダンに現地対策本部を置いた次第であります。

 そしてその人員の状況につきましては先程申し上げましたような対応に基づいて具体的な増員は1月20日以降にさせて頂いた次第であります」

 岡田克也「まあ、大臣が何を言っているのかよく分からないのですが、大事な国だったら、もっと早く増員すべきだと。ま、そこは私は危機管理が足りなかったんじゃないかというふうに思いますね。周辺の国に人員を張りつけたのかもしれませんが、もっとヨルダンにも集中的に早く人を配置すべきだったんじゃないかというふうに思います。

 この点を更に議論させて頂きたいと思いますが、官房長官、ちょっとお聞きします。先程12月3日にですね、後藤さんの拘束が分かりました。官房長官、何時に官邸に入られましたか」 

 菅義偉「私は当時解散の選挙中でありました。自民党本部の要請に基づいて私は遊説に出向いておりましたので、私が官邸を留守にする間にですね、内閣法に基づいてですね、定めによって世耕副長官に私の職務を代行できるものがありますので副長官にお願いをして、私は不在をしておりました。

 ただ常に電話連絡は取っていたということであります」

 岡田克也「やはり拘束がはっきり分かってから直ちに官邸中心に対応を取ろうとしたら、官房長官、12月3日にいたことが(「官邸にいることが」か?)分かっていたんじゃないですか。この日の日程を見ますと、朝から静岡県、愛知県、10個所街頭演説をされて、最終的には名古屋新幹線口、JR名古屋駅口で演説をされていますから、恐らく官邸に入られたのは早くても21時前後ぐらいじゃないかと私は思うんですね。

 もし官房長官が官邸におられたら、もっと早く対応できたんじゃありませんか。反省ありませんか」

 菅義偉「ご理解を頂きたいんですけども、官房長官不在のときはそれは内閣法の定めによって官房副長官が職務代行することができるわけですから、それは私はそうさせて指名をしてですね、当時参議院の加藤副長官に代行をしてですね、対応できるよう手当をしていたということであります。

 それとですね、同時に12月3日というのは、後藤さんが拘束された、本当にそうかどうかということはその時点で分かっていなかったんです。12月3日、拘束されているというメールが来たわけです。で、先程申し上げましたけども、12月19日になって、それは後藤さんだと判明したわけですね。そう理解してください」

 岡田克也「官房長官、えひめ丸事件ご存知ですよね。森政権のときに森さんは横浜でゴルフをしていた。官房長官福田さんは群馬県で離れていた。結局総理と官房長官が共に官邸を離れていたことの反省に立って、官房長官、これ暗黙のルールであったんじゃないんですか。

 つまり官房長官は基本的に官邸周りにいる。離れるときは総理が代わりにいる。基本的にはそういうことじゃないですか。それは暗黙のルール。私はこれは暗黙のルールかもしれませんが、しかしこれは重要なルールだと思います。国家の危機管理としてね。

 いざというときに何か起こったら、しかもオペレーションルームに降りていって、指示しなければいけないでしょ、官房長官は。その人が遠くに離れていて、総理も遠くに離れていてそれで国家の危機管理できるんですかね。どうですか」

 菅義偉「私が申し上げましたようにですね、内閣法に於いて官房長官不在のときに予め官房長官の定める所によって副長官がその職務を代行する。そういう規定をですね、定めているところでありますし、それに基づいて私は世耕副長官をですね、代行できるようにしておいたわけでありますし、その日に後藤さんが12月3日にですよ、完全に拘束されているという3日の日は分からなかったんです。事実確認できたのは(語気を強めて)19日ですから」

 岡田克也「翌日、12月4日も官房長官は朝から茨城県に街頭演説に出掛けておられますね。選挙中に官邸におられたのは閣議があった12月9日午前中。 で、記者会見をそんとき、官房長官、やっておられますね。それだけ官邸をずっーと明け続けていた。

 後藤さん(の拘束)がはっきりしたのは19日かもしれなせんが、あらゆる情報を収集してどうなっているかということを、官邸はまさしく必死の思いでやっていたはずだと私は思うんでですよ。

 それから外務大臣が先程言われていた部族長や宗教関係者や色んな国との関係で情報を集めて、色んな情報がありますから、正しい情報、間違った情報、そういうものを精査をして、何とかして人質の命を助ける。

 そのために官邸は必死の思いでやっていたと私は思うんですが、それにしても毎日毎日街頭演説ですか。街頭演説されているんですか。いつ官邸におられるんですか。夜ですか。どうして昼おられないんですか。お答えください」

 菅義偉「夫人がですね、旧知の民間の専門家、その方を通じて遣り取りしていたんです。そして12月20日、あ、19日ですね、12月19日になってですね、その遣り取りの中で後藤さんが拘束されているという心証を持ったのは12月19日なんですよ。

 ですから、それまでの間に政権として私は当時選挙中ですから、選挙応援に行きました。しかし官邸には私の職務を代行できるという内閣法の定めに従って、世耕副長官がしっかりと対応した。このように思っています」

 岡田克也「この間の奥様とISILとのメールの遣り取りの、これも色んなアドバイスを政府としてはしていたと思うんですが、そういう作業、それから先程申し上げました関係部局とで情報収集や分析、部族長、宗教関係者必死になって日本国政府としては対応していたはずですよ。

 そのときに中心になる官房長官が昼間いないということが私には理解できないんですよ。はっきりと(拘束であるということが)固まっていなかったからいいという話では私はないと思います。総理如何ですか」

 安倍晋三「もう一度官房長官から答弁させて頂きますが、官房長官の仕事は何かということなんだろうと思います。そしてこうした事態が起こって、まだISILかどうか分からない段階に於いて基本的には(内閣)危機管理監が対応します。で、そこに、これは当たり前なんですよ。それは日々色んな起こっているわけですから、実際に。

 で、世界中色んなことが起こってんですよ。で、そこでですね、定かではないという情報、邦人がいなくなったという情報は結構あるんですよ。で、そん中でですね、どう対応していこうかということはここは危機管理監のところで対応していきます。

 今回のことについては後藤さんの奥様からご連絡があった。(ヤジ)少し静かにしてください。(民主党の)山井さん、私が一生懸命答弁しているんですから。(委員長『静かに」)

 いいでしょうか。そこでですね、そういう中に於いて官房長官のところにも勿論情報が入っておりますが、選挙中でもありながら、私共のところにも秘書官がずっとついているわけですから、これは情報が入ってきます。メールも電話もあるんですから、常時ですね、と言うことに於いてはオペレーション自体何の支障もないわけですし、そこで次々とオペレーションを進めていくという指示を出さなければいけないという段階ではないんですよ。残念ながらですね、この段階では。

 情報もかなり限られておりましたし、その段階ではないわけでありました。ですから、そこでまたISIL側ともですね、まだISILかどうかってことも分からないわけですから。そもそも政府としての立場はテロリストとは交渉しない。これが基本的な立場です。

 しかし接触等についてはですね、この段階ではまだISILとは明らかになっていないわけですから、明らかになっていないのにそこに接触して聞くというのはこんな馬鹿げたことを勿論ないわけですから、そこで部族長等々とですね、さらにですね、我々は情報収集等を展開をしていたわけでありまして、そんな中で残念ながら、なかなか収穫がないという状況が続いたと、こういうことであります」

 岡田克也「ま、ですから、相手がはっきりしないけれども、ま、ISILの可能性が高いということは容易に想像できたと思うんですねえ。後藤さんの行き先から見ればですね。そういうときに、しかも公務じゃないんですよね。選挙演説ですから。ま、私はその感覚が、感覚が分からないですよ。ああ、それでいいって開き直るなら、いいんですよ。だけど最終的に国民の命、そこに責任を持つ、危機管理に責任を持つのは総理であり、官房長官じゃないですか。その程度の認識でいいんですか、本当に。

 私はね、選挙期間中に記者会見で申し上げたことがことがございます。残念ながら記事にはなっていませんが、やはり官房長官があれだけ選挙で官邸を離れているは如何なものかと。

 例えばあのときにエボラ熱の感染が国内に広がる可能性がありましたね。北朝鮮のミサイルの話も、どうなるか。いつ何が起こるか分からない。勿論、国内外のテロだって分からない。そういう様々なリスクがある中で、ずっとノンキに昼間連続して官邸を空けていいんですか。公務ではない選挙をやってですよ。

 官邸を空けていたという、そういう感覚が私はわからないと言っているんですよ。如何ですか」

 安倍晋三「危機管理ができているかどうか、民主党がそんなことを言えるんですか。それはそういう(言いたい)気持になりますよ。それははっきりと申し上げてですね(激しいヤジ)。で、私がですね、先程えひめ丸の例を挙げましたが、えひめ丸の例を挙げましたがね、あのとき私は官房副長官で、東京でそれを担当しておりました。

 ですから、実際ですね、私は官房副長官としてオペレーションを担当しておりましたけど、これは官房長官の代理として職務を果たしていたと思いますよ。で、そん中に於いてあのときですね、外務省に対しても、あるいは海保に対しても様々な指示を出しておりましたし、アメリカとの連絡に於いても官房副長官としての役割を果たしてまいりました。

 ですから、官房長かですね、離れていたからダメだということではなくて、それは法律でそうなっているわけですから、だから官房副長官というのはそういう覚悟を常に持ち、準備をしながら、そういう態勢を整えながら、当然官房長官や総理と直ちに連絡を取れるようにしていくということであろうと思います。

 で、また選挙でありますから、安倍内閣の考え方を国民に選挙という機会を通じて国民に伝えていくということも、これは政治家としての側面でもあるわけですから、これは一つの当然ですね、l民主党にとっては官房長官が選挙で回るということはイヤなことかもしれませんがね、そこはですね(ヤジ)、その仕事との関係に於いてはですね、何ら支障はないということははっきりと申し上げておきたい。

 その段階では官房長官を中心にオペレーションをしなければいけないという状況では全くないわけでありますから、そこについてですね、そういう、いわば官房長官がボーッとしていたが如くにですね、ご指摘は私は当たらないと、そこは失礼な指摘ではないかと、このように思います」

 岡田克也「まあ、総理は言いたいことを言われましたけども、あとでよく精査されて、削除された方がいいと思いますが、2年前の選挙のとき藤村官房長官は自らの選挙は厳しかったけど、藤村さん選挙中1日しか地元に戻っていないんですね。そのときには総理が官邸にいたと、

 で、彼は落選しました。勿論、それが原因で落選したわけではないかもしれませんが、責任感はあったということですよ。責任感はあったということなんです。

 それが普通なんです。今までの自民党の歴代内閣、選挙期間中、どうなんですか。官房長官が選挙で駆け回っているっていう内閣ありますか。今回初めてじゃないですか。そう言うことは、あの、集中的オペレーションしている時期ではないと総理おっしゃったんですが、では聞きますが、東日本大震災並みの地震があったときに総理が官邸からどこか遠く離れたいたら、誰がオペレーションルームに入って各大臣に対して指示するんですか。副長官がやるんですか。

 それはやっぱり官房長官が必要だからこそ、官房長官の存在があるんじゃないんですか。つまり副長官ができますか。総理お答えください」

 菅義偉「先ずですね、副長官はできます。このことは明言しますよ。先程私は申し上げているじゃありませんか。内閣法の中で官房長官が不在のときは予め官房長官が定めるところによって官房副長官が代行する旨が規定されているわけですから、それに基づいて私はしっかりと対応していたわけでありますので、それは官房副長官が指揮できるということはこれは明言しますし、それと同時に岡田委員もですね、外務大臣やられたと思います。邦人保護、これは危機管理。それと外務省、これで対応するというのが、これ基本ですよね。

 それでその時点に於いて先程来申し上げておりますけれども、12月3日の時点に於いては拘束されたの一報だけで、それが事実かどうかさえ確認できなかったわけです。それでありとあらゆるところで情報収集をした。それと同時にメールもですよ、メールも、その頻繁に交わしていることじゃなくて、それはプライバシーの部分もありますけども、後藤夫人はですよ、旧知の民間の専門家の方にお願いをしていたわけであります。

 そうしてその最終的に後藤さんが拘束されていると分かったのが12月19日です。そこは危機管理は全く問題なかったと思います」

 岡田克也「まあ、私が申し上げたのは、何が起こるか分からない。これから国内のテロだって起こるかもしれない。そういうときに総理も官房長官もいなくて、それで危機管理を万全に尽くしたって言えますかってことを聞いているわけです。総理如何ですか」

 安倍晋三「そのためにですね、例えば危機管理監がオペレーションについて様々な邦人保護については危機管理監がいるわけであります。そして例えば、東大日本大震災のことが急に起こったら、どうかその段階では勿論、例えば私が離れていたら、総理大臣である私が責任者でありますから、基本的にはですね、勿論官房長官が官邸に於いては指示を出すことはできますよ。

 でも、それは基本的に総理大臣が指揮を取るわけです。どこにいたって、どこにいたってです。私の場合は多くの秘書官が大体帯同して行っておりますから、そこで直ちに連絡を取るようにしてしておりますし、自衛隊が常に待機、ヘリコプターが待機してですね、直ちにヘリコプターで帰京できる態勢を常に整えながら行動をしているわけでございます。

 そういう段階に於いては総理大臣が直ちに対応する。あるいは外にいてもですね、官邸にいなければですね、何も指示を出さないという状況ではないんですから。
 
 ですから、余り形式的に陥ってですね、結果としてですね、逆に結果を出さないとことになるわけですから、官邸にいるときにしか指示を出せないわけではないですよ。私が外にいても指示を出せるんですよ、これは。

 例え外国にいても、私は指示を出せますよ。今までも指示を出していました。ですから、そういう意味に於いては危機管理上、問題なかったということははっきりと申し上げて置きたいと思います」(拍手が起こる)

 岡田克也「私は拍手する人の気がしれませんね。私も危機管理として官邸におりましたが、ちょっと感覚違い過ぎます。それじゃあ、総理、確認しますが、これからも総理、官房長官が共に官邸を離れると、普通にあるんだということですね。如何ですか」

 安倍晋三「それは今迄ですね、ずっと、この2年、この少しの実際の状況を見て頂ければ、明らかなわけですから、あれは選挙の期間だから、ああいうことがあったわけでございますが、(場内笑い声。後ろで西川農水相が献金疑惑を抱えていながら、笑っていられる場合ではないはずだが、笑う。)それ以外に於いては大体、しかしですね、でも、それは絶対ダメかと言えば、そうではないわけでありますし、で、基本的にですね、極めて形式、形式主義的におっしゃっているのは、えー、私も、第1次政権と比べれば、3年以上総理大臣をやっておりますし、また官房長官1年、官房副長官3年やっております。

 これは形式主義に陥るのはよくないんです。ある意味、官僚主義的でね。そこはどこにいてもですよ、やはり基本的には総理大臣がやっぱ指示を出すんですよ。官房長官がいようと。副官房長官がいようとね。

 ですから、大切なことは総理である私が指示を出す。今回のことについても基本的には私のところに情報が入っていましたし、私から最終的な指示を、官房長官が報告をした上に於いて指示を出しているわけであります。官邸にいなければ何もできないというようなことは基本的にはですね、勿論官邸に帰ってきますよ。しかし同時にですね、官邸にいなくたって連絡できないわけではではありませんし、えー、それは当たり前のことなんだろうなあと、このように思いますよ。

 ですから、例えばアメリカですら、アメリカですら、一時9・11のときに大統領も副大統領も両方ワシントンを意図的に離れるわけであります。それはむしろ意図的に離れている中に於いて、ですね、上空からこれは指示を出して、日本はそこまでいっていないわけですが、これは事実としてですね、そうなわけであります。

 このように我々はあの選挙のときはそうだった(9・11のような事態であった)わけでは勿論ありませんが、ですから形式主義的にですね、官邸にいなければ仕事ができない、いわば官邸にいる人がやらなければいけないということとはないです。様々な危機対応には危機管理監が対応すると、これが基本だということは知って頂きたいとこのように思います」

 岡田克也「総理、言うことを欠いてアメリカのテロのときの話はちょっとおかし過ぎますよ。あれはワシントンにいて二人狙われる可能性がある。そういうことでバラバラにワシントンを離れたわけですが、きちんとハード的には対応できるということがあるわけじゃないですか。日本にはそういうのがないわけでしょ。

 そしてオペレーションルーム。オペレーションルームにいれば色んな情報が集まるし、直ちに出される。そういう仕組みになっていますよ。それに代わるものがありますか。だからこそ、やっぱり官邸なりに総理か官房長官、どちらかがいなければいけないことになっているんじゃないですか。

 その程度の認識ですか、国家の危機管理について。私は全く理解できないですよ。大丈夫ですか。これ。大丈夫ですか、これから。色んなことが、酷なことが起こるかもしれませんよ、総理。

 総理に危機管理監なり、官邸の中でやっぱ官房長官かどちらかが官邸にいるべきだっていうアドバイスをした人がいませんか。私、そうした人いなかったとしたら、おかしくなりますよ。それだったら、そういうことも含めて是非しっかりと対処してください。

 私は更にこの問題を議論して頂きたいと思います。何か一言あれば、おっしゃってください」

 安倍晋三「内閣法があるんですから。内閣法に則ってですね、指示を出せる人がいるわけですよ。で、まさに官邸にいなければ対応できないというわけではないです。今まで私は外国や何かに行ってますから、そこからしっかり指示を出しているわけですから。

 山梨のときだって、そうですよ。最終的に指示を出したのは私が指示を出して、海外から指示を出して、その通り対応を出しているわけであります。形式的に官房長官が官邸から出していることはあるかもしれませんが、私がちゃんと官房長官に指示を出して、出しているわけであります。

 これはそういうものなんです。ですから、そん中に於いて私はしっかりと対応できていて、瑕疵はなかったと言うことははっきりと申し上げておきたい。

 形式だけを整えておけばいいということではないわけでありまして、法的にはしっかりと我々は対応できているわけでありますし、実際のオペレーションに於いてそれは問題なかったということは申し上げておきたいと思います」

 岡田克也「私も外務大臣を経験して海外に行ったときにいろんな情報に接するということは何度もありましたが、官邸にいて様々な情報に接するのと海外にいるのではやっぱり違うです。

 いや、是非ですね、私、とにかく総理と官房長官の危機管理についての認識を今日聞いて非常に驚きましたが、国民の皆さんはどう思われたでしょうか。今はこの辺にこの問題はしておきたいと思います」(以上)
 

 岡田克也は「イスラム国」による2邦人殺害事件の政府対応の妥当性よりも安倍晋三と菅義偉が首相官邸を空けて選挙応援に駆け回っていた危機管理対応の妥当性に重点を置いて追及した。

 安倍晋三、菅官房長官の自己正当性の理由は内閣法に則って副官房長官を代理に任命、首相官邸で官房長官の職務を代行させていたから何の支障もなかったということ、基本的な指示発出者は総理大臣であり、例え選挙応援で官邸を留守にしても、あるいは国内のどこにいても、外国にいてすらメール、携帯で指示を出すことも情報を受け取ることもできて危機管理を機能させることができるから、居場所は問題ではないと言うことに置いた。

 2邦人拘束疑惑中の首相官邸を留守にした選挙応援の具体的な妥当性理由は12月3日に後藤夫人への犯行グループからのメールで拘束されたらしいという可能性を知ったのみで、拘束の事実の印象を持ったのは同じく後藤夫人への犯行グループからのメールで、それが12月19日のことで、そして翌日の1月20日に「イスラム国」から2邦人解放と引き換えの2億ドルの身代金要求の動画がネット上に配信されて初めて犯行グループを特定でき、拘束された事実を確定することができたのであって、選挙応援はそれ以前のことだから問題はないとしている。

 一つ疑問なのは後藤さん拘束疑惑の情報を得たのは2月2日参院予算委員会では外相の岸田文雄が11月1日だと答弁している。

 岸田文雄「後藤さんですが、11月1日に後藤さんが行方不明になったという情報を得ています。ただこの段階では、何者によって拘束されたのか、これについては、あのーえー、十分に情報を得ておりませんでした」

 11月1日が12月3日になぜ、いつ変更されたのだろうか。変更の理由は何なのだろうか。12月3日にしたら安倍政権側に好都合な理由があるから、そうしたのだろうか。

 例えば解散は11月21日である。11月1日に拘束の可能性を把握していながら、国民の生命の安全を他処に解散したと受け取られることの不都合を12月3日に持っていくことで既に解散も公示日も決まってしまっていたことで仕方ないとすることで解消できる好都合である。

 繰返しになるが、選挙期間中の遊説に問題はないとしている菅義偉の発言は次のようになっている。

 菅義偉「確か12月19日だったと思うんですけども、この夫人と犯人側との遣り取りの中でですね、後藤さんが確かに拘束されているという印象を持ったのが確か12月19日であります」

 菅義偉「最終的に後藤さんが拘束されていると分かったのが12月19日です。そこは危機管理は全く問題なかったと思います」

 選挙で官邸を留守にしても、副官房長官を代理に置いたとしていることについての答弁は次のとおりである。

 菅義偉「私は当時解散の選挙中でありました。自民党本部の要請に基づいて私は遊説に出向いておりましたので、私が官邸を留守にする間にですね、内閣法に基づいてですね、定めによって世耕副長官に私の職務を代行できるものがありますので副長官にお願いをして、私は不在をしておりました。

 ただ常に電話連絡は取っていたということであります」

 安倍晋三も同じようなことを言って、自己対応を正当化している。

 8月に湯川さん拘束情報を得て、官邸、外務省に対策関係の部署を設け、ヨルダンに現地対策本部、今回は12月3日に後藤さん拘束情報を受けて、同じく官邸、外務省、警察等に対策関係の部署を立ち上げてまでし、更にヨルダン現地対策本部の人員を増員したのは、単なる疑いであっても、拘束が事実の場合を想定した危機管理からだろう。

 拘束が疑いの範囲を出ない、あるいは疑いの可能性に過ぎないと見做して危機管理対策を発動したわけではあるまい。

 何が起こるか分からない。何も起こらないかもしれない。だが、何が起こっても早急に手が打てるようにという想定が危機管理である。

 つまり12月3日は単なる拘束の可能性であり、犯行グループが特定できなかろうと、12月19日に拘束の事実の印象を持とうと、12月20日になったやっと犯行グループが特定でき拘束の事実が確定しようと一切関係ないということである。

 「国民の生命と財産を守る」使命を負っている国家の義務として、特に安倍晋三も「国民の命と幸せを守る」と言っていることに反しないためにも拘束が事実の場合を想定した危機管理を発動し、そのような危機管理は拘束されたのでも何でもない2邦人の無事を確認するか、解放して身体的な保護を確保するか、あるいは無事の願いも虚しく悲劇が明らかになるまで継続しなければならない。

 このことは選挙中だろうと、そうでなかろうと同じだということである。選挙中だからと言って、その期間中、拘束が事実の場合を想定した危機管理を停止することができるだろうか。

 停止できる「国民の生命と財産を守る」使命など聞いたことはないし、国家の怠慢・不作為そのものとなる。

 だが、安倍晋三も菅義偉も意識しないままに停止状態に置いた。国家の怠慢・不作為そのものである。

 内閣法に基づいて副官房長官を代理として首相官邸に詰めさせたということは理由とならないし、基本となる指示を出すのは首相だから問題はないとする安倍晋三の主張も理由とならない。
 
 確かに基本的な指示を出すのは首相であり、このことは外国にいても可能である。首相官邸から連絡を受けつつ、指示を出して危機管理を機能させることはできる。

 だが、具体的にどのような内容の情報が必要で、必要とするには誰を対象にどういった方法で、どう収集するか、危機管理のスタッフと謀りつつその指示を出すのは立ち上げた組織のトップであることに越したことはない。

 なぜなら、指示・命令はそれを出す者の地位が負っている権威の大小に応じた有効性と権威の大小に応じて指示・命令を受ける者との間に構築される信頼関係の有効性に従って機能することになるからだ。

 いわば信頼関係が構築されているという前提で、地位が上の者程、その指示・命令は効力を備えることになる。

 首相を除けば、副官房長官よりも官房長官ということになる。

 官房長官が首相からの指示だからと出す場合と、副官房長官が首相からの指示だからと出す場合と効力は自ずと違ってくることは誰に目にも明らかであろう。後者の方が効力を有しているとしたら、地位が上でありながら、権威も信頼関係も失っていることを意味する。

 また、指示・命令や情報収集の円滑性・迅速性を確保する最善にして最的確な場所は国家危機管理に関わる指揮・監督、あるいは統率の司令拠点としている首相官邸であることは断るまでもない。

 いわば2邦人の拘束が事実の場合を想定した危機管理は官房長官が首相官邸で極力陣頭指揮を取って始めて、よりよく機能させることことが可能となり、そうすることこそが国家の義務としての「国民の生命と財産を守る」使命に違わない姿勢を取り続けたことになる。

 「次々とオペレーションを進めていくという指示を出さなければいけないという段階ではない」とする安倍晋三の主張も首相官邸を空ける理由にはならないし、拘束の事実確認ができたのは12月20日だからと、それ以前は可能性に過ぎなかったからということも首相官邸を空ける理由とはならない。

 拘束が事実の場合を想定した危機管理を怠った。それも「国民の命と財産を守る」ことよりも選挙を優先させるためにである。

 これで二人が口で何と言おうと、それらしい立派なことをどのようにどう言おうと、国民の生命(いのち)をどう考えているか分かったはずである。

 菅官房長官が言うように「危機管理は全く問題なかった」と認めることはできないし、安倍晋三の言うように国民の生命に関わる危機管理に「瑕疵はなかった」とすることはできない。

 岡田克也は二人の発言が様々に問題点を抱えていながら、的確に把握して追及に変えることができなかった。だから、同じ言葉を繰返す堂々巡りの質問となり、答弁の方も堂々巡りとなった。

 岡田克也が首相と官房長官が同時に官邸を離れていた例としてえひめ丸沈没事件を持ち出すと、安倍晋三はその事件のとき「私は官房副長官としてオペレーションを担当しておりましたけど、これは官房長官の代理として職務を果たしていたと思いますよ。で、そん中に於いてあのときですね、外務省に対しても、あるいは海保に対しても様々な指示を出しておりましたし、アメリカとの連絡に於いても官房副長官としての役割を果たしてまいりました」とさも副官房長官でも危機管理上の役目を果たせるかのように頭が悪くなければ言えないことを言っているが、森喜朗が首相に就任したのは2000年4月5日、ハワイ沖で日本の高校生の練習船「えひめ丸」がアメリカ海軍の原子力潜水艦と衝突して沈没したのが2001年2月10日、岡田克也が言うように当日ゴルフをしていて沈没第一報が入ってからも1時間半もプレーを続行したことが災いして支持率を下げ、それから約2ヶ月後の2001年4月26日に辞任している。

 要するに福田官房長官も安倍晋三副官房長官も国民の生命の安否に関わることだから、直ちにプレーを打ち上げて帰京し、首相官邸に入るようにとは指示を出さなかったか、出したとしても、森喜朗が無視したかどちらかだった。

 後者だとしても、説得させるだけの危機管理の点で二人とも能力を発揮できなかった。にも関わらず安倍晋三は「官房副長官としての役割を果たしてまいりました」と言うことができる。

 安倍晋三はまた官邸にいなければ対応できないわけではない例として、「山梨のときだって、そうですよ」と言っているが、昨年2014年4月11日の熊本県多良木町の養鶏場で「H5」型の鳥インフルエンザウイルスに感染して4月11日から4月13日に かけて飼育中のニワトリ5万6000羽のうち約1100羽 が大量死したときと、同じく昨年2014年8月20日の広島土砂災害のときのことを指すはずだ。

 両方共ゴルフを続行した。特に広島の土砂災害の場合は8月20日午前3時20分頃の土砂崩れで土砂に埋まった子ども2人のうち1人が午前5時15分頃心肺停止の状態で発見されていながら、心肺停止が限りなく死の危険に近い状態であることも構わずにゴルフを続け、ゴルフ場から官邸に指示を出していたと強弁、万が一の死の発生を想定した危機管理を怠り、首相官邸に入らずにゴルフの楽しみを優先させた。

 この土砂災害では74人の死者を出している。

 ゴルフを優先させるような危機管理意識が2邦人拘束が事実の場合を想定した危機管理を怠り、選挙を優先させることができたと考えると、双方の危機管理を相互対応させることができる。決して二つのことは無関係ではないはずである。

 最後に岸田文雄は1月20日に身代金要求の動画が掲載された時点で、「二人を解放する上で何が最も効果的なのか、この観点から、政府として全体で検討をした次第であります。この観点で検討した結果、まあ、ISILと直接交渉する、接触するということではなくて、我が国が今日まで外交等に於いて培ってきた様々な関係国、その情報機関、あるいは宗教関係者さらには部族長、こういったあらゆるルートを活用して取り組むという対応を決定し、それを実行したということであります」と言っているが、この発言からも安倍晋三にしても菅義偉にしても岸田文雄にしても12月3日を起点とした拘束が事実の場合を想定した危機管理体制を本格的には取っていなかったことが分かる。

 つまり1月20日以前は湯川さん拘束の疑いが出でも、後藤さん拘束の疑いが出ても、「様々な関係国、その情報機関、あるいは宗教関係者さらには部族長、こういったあらゆるルートを活用」することはなかった。

 この本格的であることを欠いていた事実からも、国民の生命をどう考えているかを窺うことができる。

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「生活の党と山本太郎となかまたち」を小政党と言えども侮る勿れ、「政界一寸先は闇」

2015-02-20 09:37:44 | Weblog



      『生活の党と山本太郎となかまたち』PR

       《2月17日(火)小沢一郎代表・山本太郎代表共同記者会見要旨 党HP掲載のご案内》

      こんにちは、生活の党と山本太郎となかまたちです。
      2月17日に行われた小沢一郎代表と山本太郎代表の共同記者会見要旨を党ホームページに掲載
      しました。ぜひご一読ください。

      「過去の歴史的事実をしっかりと受け止めるべき」戦後70年談話について
 
      【質疑要旨】

      ・選挙権年齢の18歳引下げ関係法案への対応について
      ・農協改革について
      ・西川農相の政治資金問題について
      ・戦後70年談話について
      ・その他(街頭記者会見について)    

 NHKは「日曜討論」の参加要件を独自に決めて、政党参加の討論に「生活の党と山本太郎となかまたち」を排除した。

 その参加要件はNHKへの抗議文に書いてあり、次のとおりである。



 2月3日 「生活」排除は国民の「知る権利」を侵害、NHKに抗議

こんにちは、生活の党と山本太郎となかまたちです。

山本太郎代表と玉城デニー幹事長は2月3日、参議院内でNHK担当者と面談し、2月1日の『日曜討論』において恣意的な参加要件が設定されたため、我が党をはじめ国会に議席を有する特定政党が招かれなかったことは、憲法、放送法の規定を侵害するものであり、健全な民主主義の発達からも大きく逸脱するものとして、厳重に抗議するとともに早期の見直しと是正を求めました。抗議文全文は下記となります。

2015年2月3日

日本放送協会(NHK)
専務理事・放送総局長 板野裕爾 殿

生活の党と山本太郎となかまたち
 代表 小沢一郎
 代表 山本太郎

衆議院総選挙後初めてとなる国会の論戦が始まったことを受け、2月1日の『日曜討論』は、「拘束事件・経済再生 与野党に問う」をテーマとしながら、「放送機関の編集権のもとで公職選挙法第86条の1項、2項の両号を満たす政党」とする出席基準をNHKが独自に設定したため、我が党をはじめ、国会に議席を有する複数政党が討論に招かれませんでした。これは、憲法、放送法の規定を侵害するものであり、以下に理由を述べ早期の見直しと是正を求めます。

放送法第3条「放送番組編集の自由」は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、憲法で保障された国民の「知る権利」に奉仕するため、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と規定しています。 

国民の「知る権利」をより良く充足するために、放送法第4条は「政治的に公平であること。意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と規定しています。

つまり、憲法、放送法は、報道機関による放送に対して、言論・報道の多様性を通じて国民の「知る権利」に奉仕することを期待しています。それに対して今回のNHKがとった特定政党を排除するという措置は、明らかに憲法、放送法の趣旨に反するものであり、到底容認できるものではありません。

また、公職選挙法第86条における政党の定義は、下記の各号のいずれかに該当するものと規定されています。

一  当該政党その他の政治団体に所属する衆議院議員又は参議院議員を五人以上有すること。
二  直近において行われた衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政党その他の政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であること。

つまり、2つの条項を満たすことは政党の要件にはなっていません。それにもかかわらず、NHKの恣意的な基準に満たないからといって、我が党をはじめ、特定政党を討論に招かないといった措置は、健全な民主主義の発達を妨げるものであり、NHKの放送のあり方について猛省を促すものであります。

以上


 抗議は不発に終わったようで、2月15日の「日曜討論」(与野党に問う農協改革・安保法制)の議論からも排除された。

 5人の小政党である。だが、5人の排除で終わるわけではない。「生活の党と山本太郎となかまたち」が政党として掲げている主張そのものの排除に当たる。

 さらに2014年12月14日投開票の総選挙では比例代表で約100万票を獲得している。いわばNHKは100万人の有権者を排除し、その意思を侮っていることになる。

 その100万人の殆どが、あるいは全員がNHKの受信料を払っているはずである。

 果たして許されることだろうか。

 また、「政界一寸先は闇」と言われている。

 安倍政権は国民が積み立てた年金積立金約130兆円を資金に国内外の株式と外国債で運用、株価を上げることに成功、株バブルの様相を呈していると警告を発する識者もいる。そうでなくても、アベンミクス第3の矢は全く機能していない。実体経済が伴わない株価と円安で持っている先行き不安を抱えた景気に過ぎない。

 更に安倍晋三の戦前の日本国家を国家の理想像とする国家主義・歴史修正主義、更に世界に向けて軍事的な影響力を持つことで日本の地位を高めようとする軍国主義がいつまでも長持ちすることは考えにくい。長持ちすること自体が民主国家日本にとって危険な信号となる。

 アベノミクスが国民の前に危機的状況を露わにして政権交代を求める機運が国民の間に醸成されたものの、政権交代欲求機運の勢いが僅かに届かず、全くの与野党伯仲状態となったとき、自公、野党それぞれが頭数を増やすために無所属の議員や小政党の議員の引き抜き・スカウトにかかるはずである。

 そのとき5人の小なりの政党と言えども、政権獲得・運営のキャステングボードを握らないと誰もが断言できないはずである。握った場合、5人の中から大臣を出すこともあり得る。

 かつて小政党ながら、社民党も国民新党も政権に参加した。そしてそれぞれが一人ずつ大臣を出した。

 もし握って、政権に参加したとき、その大臣の出演が必要になったとしても、NHKは独自に設けた「日曜討論」出演要件に満たないからと排除するのだろうか。

 「政界一寸先は闇」である。決して侮ってはいけない

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安倍晋三の歴史認識お友達籾井NHK会長は政府御用報道機関意志丸出し、その追従精神は放送人の資格なし

2015-02-19 07:29:23 | 政治




      『生活の党と山本太郎となかまたち』PR

       《2月16日「労働者を犠牲にした企業の発展はあってはならない」主濱副代表》    
       
      こんにちは、生活の党と山本太郎となかまたちです。

      濱了副代表、玉城デニー幹事長は2月16日、国会内で連合の神津里季生事務局長、高橋睦子副事務
      局長から当面の経済運営および予算編成等に関する要請を受け、意見交換をしました。双方は安
      倍政権による労働法制の改悪、格差是正策の欠落について見解が一致し、今後連携を深めていくこ
      とを確認しました。

 籾井NHK会長が2月18日(2015年)、1月策定の2015年度~2017年度3カ年経営計画の説明のために民主党の総務・内閣部門会議に出席したところ、人事政策や過去の自身の発言についての質問が相次ぎ、時折、激しい遣り取りとなり、そこで再び問題発言が飛び出したという。

 問題発言のみを取り上げてみる。

 「The Huffington Post」によると、〈従軍慰安婦問題をめぐる政府見解と番組作りについて、「河野談話」や「村山談話」を日本政府の公式見解と認めた〉とした上で、「FNN」は次の発言を伝えている。

 籾井NHK会長「今のところはいい。将来のことはわからない。政権が変わって、その人が、村山談話はもう要らないと言うかもしれない」

 この発言は同じく問題となった今年2015年2月5日の定例会見の定例会見のときの発言と対応するものであろう。

 記者「去年、朝日新聞の誤報問題で従軍慰安婦が脚光を浴びたが、従軍慰安婦問題を戦後70年の節目で取り上げる可能性は」

 籾井勝人NHK会長「なかなか難しい質問ですが、やはり従軍慰安婦の問題というのは正式に政府のスタンスというのがよくまだ見えませんよね。そういう意味において、やはり今これを取り上げてですね、我々が放送するということが本当に妥当かどうかということは本当に慎重に考えなければいけないと思っております。そういう意味で本当に夏にかけてどういう政府のきちっとした方針が分かるのか、この辺がポイントだろうと思います」

 両方共放送は政権の歴史認識次第で決めていくという姿勢を示している。

 また、このような姿勢は昨年の2014年2月5日の定例会見での発言と相呼応している。

 記者「尖閣諸島などの領土問題について、国内番組で日本の立場を伝えたほうがいいという考えか」

 籾井NHK会長「日本の明確な領土ですから、これを国民にきちっと理解してもらう必要がある。今までの放送で十分かどうかは検証したい」

 記者国際放送では日本の立場を政府見解そのままに伝えるつもりか。

 籾井NHK会長「国際放送は国内とは違う。領土問題については、明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」(asahi.com)  

 勿論、NHKは、どの放送局も同じだが、政府の立場は「政府の立場は」と断りを入れて伝えるだろう。だが、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」追従精神をNHKの姿勢としていることからの情報伝達では決してない。

 当然、籾井会長自身が政府に対するそういった追従精神を自身の姿勢としていることになり、言葉となって口をついて出たと見なければならない。

 この追従精神が2月18日の民主党の総務・内閣部門会議でも自ずと発揮されることになった。

 「政権が変わって、その人が、村山談話はもう要らないと言うかもしれない」

 政権が要らないということになったら、放送はしないということである。そしてもし別の政権となって、要るということになったら、再び放送するということである。

 いわば政府の御用通りに応じる。戦前、政府の御用通りに応じた記事を書く新聞のことを御用新聞と言った。自らの表現の自由を投げ捨て、自身の思想・信条の信念を持たなくなった新聞のことである。

 すべての新聞が御用新聞に成り下がった。

 戦後70年を経て、自らの表現の自由に無関心で、自身の思想・信条の信念を持つことに無知な人間がNHKという報道機関のトップの座に座って、トップの力で政府の御用通りに応じる自らの“スタンス”を組織に対してもトップの御用通りに応じさせる意志を露わにしている。

 御用新聞ならぬ御用報道機関に成り下がろうとしている。戦後70年、民主主義に成熟してもいい時期に来ていることに反して御用報道機関の出現の危機を迎えていると言い替えることもできる。 

 歴史認識お友達である安倍晋三という歴史修正主義者の再びの登場に決して無縁ではあるまい。

 自らの表現の自由を堅持する自覚も意志も持たず、思想・信条の信念を高々と掲げる放送人としての使命感を歌うことを忘れた人間に放送人としての資格は全くない。

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