2015年2月20日衆院予算委員会で辻元清美が安倍晋三が公邸に住まず、私邸に住んでいるのは警備の点で大変だから公邸に住むべきだ、映画やコンサートやゴルフに行くのはその移動とそれらの場所での警備が大変だから慎んだ方がいいといった戒めを説いた。
辻元清美「村山元首相にお正月には温泉にでも行かないのかと尋ねたら、自分が動いたら、警備が大変だ、年始年末は警備の人を家族もいることだから休ませてあげたいと言っていた。それとプラス、テロの危機が広がっている。この年末の(昨年末のゴルフやコンサートに行ったことの)反省を元に行動して貰いたい」
安倍晋三「私を貶めようというその努力は認める。しかしはっきりと申し上げて日本というのはですねそういう(テロの)威しに遭ったとしても安全な国なんです。
我々の政権ができて500万人観光客が増えて、日本は素晴らしい国だ、安全な国だからみんな来てくれる。
日本は危険な国であるかのようにあなたはおっしゃった。私はトンデモナイことだと思いますよ。日本は安全な国だ。そういう安全な国であるということを確保することこそが私の責任です。そのための保証(?)と予算をしっかりと確保する。
そういう仕事をちゃんとやっていうことが大切なんです。私に求められているのはね、公邸に泊まるとか泊まらないとか言うことではないんですよ。公邸にずっと泊まっていたら立派な総理大臣になるんですか。私は違うと思いますがね」
余程頭が悪くなければ、こういった答弁はできない。途中、与党席からだろう、拍手したり、「そうだ」といった声をかけていたが、頭の悪さで同じ穴のムジナでなければ拍手したり、掛け声をかけたりはできない。
確かに頭の悪い安倍晋三が言うように日本は安全な国である。だが、安全の質が以前とは違っていることに気づいていない。だから、頭が悪い。
安全の質が違っていることを昨日2月22日の東京マラソンを例に取って説明してみる。
今回の東京マラソンの警備陣は総勢で1万人だと共同電として「日経電子版」が伝えている。特に「イスラム国」の警告を受けた措置でもあろう。
既にこのこと自体が「安全」の質を変えていることを示している。
この警備強化は一昨年のボストンマラソンで発生した3人死亡、282人負傷のテロ事件を受けて昨年2014年東京マラソンからのものだという。そして今回、更に警備強化に走った。
配備した警察官数の推移を見てみる。
2013年東京マラソンは約3000人態勢。
2014年東京マラソンは2013年の約1.5倍近い4400人態勢。
2014年東京マラソンは4500人態勢。100人増員している。
100人しか増員していないように見えるが、100人だけでもかなりの数である。100人の中には警視庁の駅伝チームを中心に全コースを分担して走り不審者・不審物を警戒する新手のランニングポリス64人も入っているから、警備態勢自体の強化を見て取ることができる。
但し「産経ニュース」は警察官の数以外の強化を伝えている。
警備員5500人から6000人。
監視カメラ11カ所から21カ所。
ゲート式金属探知機7台から60台。
東京マラソンの警備強化から見て取ることができるように今後日本の安全はテロへの脅威から前回よりも今回、前年より今年というふうにより完璧な安全を求める警備強化の元の安全となっていくはずだ。そうしなければ安心できないという強迫観念に裏打ちされた年々漸増させていく警備強化に走らざるを得なくなるということである。
結果として否応もなしにこれでもかといった過剰警備に陥る可能性は否定できない。
もしどこかでちょっとしたテロ事件でも起きたら、どのような催しでも、人が大勢集まる場所の警備は一挙に強化されることになるだろう。
昨年放送していたNHK「クローズアップ現代」が、日本全国で500万台の防犯カメラが設置されていると放送していた。テロを警戒して更に増えているに違いないし、今後共増えていくに違いない。
このことも安全の質を変えていく要因となる。
にも関わらず安倍晋三は治安面に於ける日本の安全を従来どおりの安全だとしか考えていない。いわば「原子力安全神話」ならず「日本安全神話」に陥っている。この「日本の安全」を守るために過剰だと思っていても何かが起きたらという強迫観念に促されて警備強化を漸増させていくことになる。
そうしなければ、「原子力安全神話」が幻想でしかなかったように「日本安全神話」も幻想として叩きのめされないとも限らない。
安倍晋三の頭の悪さを他処に「日本の安全」を守るために強迫観念的漸増性の過剰警備強化が、悲しいことだが、進行しつつある。
安倍晋三は日本は安全な国だから、安倍政権ができてから観光客が500万人も増えたと言っているが、残念ながら観光目的の訪日は必ずしも治安上の安全が基準とならない。
アメリカの大都市の中では比較的安全といわれているものの、それでも東京よりも圧倒的に治安が悪いニューヨーク市のネットで調べた2012年犯罪数と日本の犯罪数を比較してみる。
殺人 NY 419件(未遂を含まず)・東京 118件(未遂を含む)
強姦 NY 1445件 ・東京 147件
強盗 NY 20144件 ・東京 569件
2013年、NYを訪れた観光客5430万人
2014年、NYを訪れた観光客過去最高5640万人
1年で210万人増えている。
2013年訪日外国人旅行者1,036 万4000人
2014年訪日外国人旅行者1341万3600人。
前年比約29.4%プラスの304万9600人増
日本全国で2014年の外国人観光客1341万3600人に対して日本よりも遥かに安全ではないニューヨーク市だけで2014年は5640万人も訪れている。
第2次安倍政権発足後2年間で500万人。単純計算して2で割ると、1年間に250万人増。ニューヨーク市の1年で210万人増えているよりも40万に多いが、アメリカ随一の大都市ニューヨーク市のみと日本全国と比較した場合の外国人旅行者は4分の1以下に過ぎない。
治安の良さ、安全が観光での外国訪問の基準となっているわけではないにも関わらず、また日本の安全の質が変わっていることに気づきもせずに安倍晋三の日本が素晴らしい国であること、安全な国であることを根拠とした「我々の政権ができて500万人観光客が増えた」としている答弁は虚しさしか響かせない。
頭の悪い安倍晋三に言っても仕方がないが、今後の日本の安全は強迫観念的漸増性の過剰警備強化よって守られることになる安全であり、その手の「日本安全神話」になるということ、従来とは異なるということに留意しなければならない。
いわば日本の安全は如何に警備を強化するか、如何に警備を万全にするかかかることになる。