2/26衆院予算委:黒岩宇洋が「平均的な者」の定義を追及、統計を取る意味・目的、その働きの追及がより重要

2018-02-27 13:03:29 | 政治
安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 【訂正とお詫び】5日前の2018年2月22日付ブログ、《安倍晋三のゴマカシと責任転嫁と責任回避と開き直りの一人舞台となった対長妻昭2-20衆院予算委質疑 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で、「平均的な者(しゃ)」と文字を置くべきところを「平均的な社」と勘違いして書いてしまいました。2018年2月26日の衆院予算委で無所属の会の黒岩宇洋(たかひろ)が「平均的な者(しゃ)、平均的なもの」と解説するようにに言い直しているのを聞いて、「者(しゃ)」を当てるのだと気づきました。訂正し、謝罪します。


 「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」(平成25年10月・厚労省労働基準局)に、〈この項の「最長の者」とは、調査対象月における月間の時間外労働が最長の者のことをいい、「平均的な者」とは調査対象月において最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に含まれる労働者のことをいう。〉との解説が載っている。

 どうも「平均的な者(しゃ)」についてここに書いてある定義が素直に頭に入ってこないが、黒岩宇洋が上記予算委でこの定義について問い質していたから、その質疑を取り上げて、「平均的な者」が統計学的にどのような働きをするのか知るために文字起こししてみた。

 先ず無い頭をひねって、用語の解説を試みたいと思う。

 〈「平均的な者」とは調査対象月において最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に含まれる労働者のことをいう。〉

 いくつかの「時間外労働時間数の層」を設定して、そのうち「最も多くの労働者が属すると思われる」層に「含まれる労働者」を「平均的な者」としていることになる。

 例えば月10時間前後の軽い方の「時間外労働時間数の層」に100人が所属していて、かなりきつ目の月60時間前後の「時間外労働時間数の層」に20人所属しているとすると、「平均的な者」は月10時間前後の「時間外労働時間数の層に含まれる労働者」ということになる。

 月10時間前後しか残業しない「平均的な者」の陰に月60時間前後も残業する労働者の過酷さが隠れてしまうということにならないだろうか。

 この状況が10人:100人の逆となっていたなら、「平均的な者」は月100時間前後の「時間外労働時間数の層に含まれる労働者」ということになる。

 10時間と100時間をプラスして2で割って55時間前後の時間外労働を強いられている労働者を「平均的な者」とするのではなく、時間外労働時間の多い少ないに関係なしに人数が最も多く占めている「時間外労働時間数の層に含まれる労働者」を「平均的な者」としていることになる。

 と言うことは、バブル期のように殆どの企業が増産に駆り立てられて従業員は平日の月曜日から木曜日まで1日4時間の残業を強いられ、金曜日は定時で帰ることができたものの、土曜日と日曜日は休日出勤というパターンが少なくとも生産現場を覆っていたが、このように月120時間前後の残業を強いられていた労働者を、「平均的な者」としていたことになる。

 であるなら、「最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層」が高いランクを占めているかどうかによって、企業の生産活動の活発度を計ることができるバロメータの役目を果たしていることになる。

 では、「平均的な者」を統計で出す意味は「平均的な者」が占める層のランクによって企業の生産活動の活発度が把握できる点にあるということになるのだろうか。

 国や企業にとって労働者全体の平均的な残業時間などは意味はないのかもしれない。最多労働者が占める「時間外労働時間数の層」が高いランクを占めることだけを望んでいることになる。

 つまり残業は特に国にとっても企業にとっても、収入が増える点で労働者にとっても歓迎されるべき現象なのかもしれない。国と企業は現実には残業の野放しを望んでいるかもしれないが、但し残業に直接従事する生身の労働者にとっては限度というものがある。

 2018年2月26日衆議院予算委員会・質問者無所属の会黒岩宇洋

 黒岩宇洋「今日も平均的な者(しゃ)、平均的な者(もの)を定義は一体何ですかとお聞きしました。その中に出てくる言葉が平均的な者(しゃ)とは最も多い労働者が属する思われる法定外時間が、または裁量制の場合は労働時間の層に属する者と、このように定義されていると大臣の答弁にありましたが、加藤大臣、お聞きします。

 『労働時間の層』、この『層』の定義は一体何ですか」

 黒岩宇洋は加藤勝信に答弁を求めるが、厚生労働省労働基準局長の山越敬一が答弁に立つ。
 
 山越敬一「今仰られました『層』でございますけれども、敢えて幅のある概念だと思っています。その幅については必ずしも定義をされていないところでございます」

 黒岩宇洋「驚いたでしょう、みなさん。今日の議論でも幅があって、イメージされていると。

 例えば9時間から10時間からと、8時間から9時間からと、こういう幅を定義されていると思いきや、加藤大臣、加藤大臣からも仰ってください。『層』の定義はないということでよろしいですね」

 加藤勝信「今局長が答弁されたとおりでございます」

 黒岩宇洋「定義がないということですね。皆さん驚きませんか。

 だったら、先程分布の山などと言いましたが、これ山は最頻値だと思っていましたよ、統計学上の。全然違います。幅は30分だろうが、1時間だろうが2時間でもいいんです。こん中に入っているA、B、C、D、Eの人たち、いれば、そん中の好きな人、この定義のないそういうものに入っていれば、そのAさんを選んだ、Eさんを選んだ。

 とすれば、8時間1分の人を選んだ、2時間幅から10時間幅の人を選んだ。これ可能ですよね、制度上は。大臣、そうですね」

 山越敬一「お答え申し上げます。平均的な者というのは先程仰いましたように最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に属する労働者のことでございますけれども、層の幅の取り方というのは必ずしも定めていないわけでございます。

 色々事業場によって規模の大きいとこと小さいとこあると思いますけども、そういうところで監督官がいまして、そういった属するす労働者が多いその時間数を取るということでございます」

 黒岩宇洋「大臣、しっかり答えてください。層の定義はないわけですから、これは事業主なら事業主、労働基準監督官なら監督官のご自身の主観的な判断で、ここからここと決めたときに8時間から10時間なら、2時間がその層だと主観的に考えれば、8時間1分の人を選んでも、10時間の人を選んでも、平均的な者(もの)であることに変わりはないですね。

 イエスかノーで答えてください」

 加藤勝信「あの、今言われたようなこと、机上で考えると色々なケースがあると思いますけども、実際に監督官が行っている中でどういった方を一定の幅の中で一定の者を選んでくるのかという中に於いてはですね、ある程度常識的なところを選んでいるんではないかなというふうに思いますけれども、只今申し上げたように層を30分刻みにしようとか、1時間刻みにするとか、いった形でやっているのではないということは先程局長から答弁したとおりだと思います」

 黒岩宇洋「大臣、こういうことですか。統計的にまさに机上できっちりとした考え方や議論や定義があるわけではなく、監督官の常識に任せている。これが調査なんですか。これが統計的な調査と言えるんですか。大臣、お答えください」

 加藤勝信「今申し上げた実際の現場の話はですね、局長に聞いて頂くのが適切だと思いますけどれも、そういった中で監督官が判断した数字を調査(?)の中に入れている。

 最も多くの層の中の選んだ数字を監督官が最終的には記載をしている。こういうことでございます」

 黒岩宇洋「(委員席に向かって)もう分かりましたよね。今言った平均的な者の属する層というものの定義はないわけですから、この曖昧な中で基準官(監督官か)がまちまちでチョイスをしてきた人、その人の時間が平均的な者と記入されるわけですから、先程議論もあり、またしたけども、これは本当にイメージする平均的な者と整合性が取れるかどうかなんていう以前の問題で、平均的な者の定義が完全に崩れたんですよ」

 ここで黒岩宇洋は専門業務型裁量労働制にはないが、企画型裁量労働制には法律で使用者が従業員の労働時間を半年に1度報告する義務となっていて、労働時間を報告に記入してもいいことになっているが、記入しない場合は監督官が聞き取り調査をして平均的な者を抽出して自分で記入する2つの方法があるがと前置きして、この定期報告で報告する平均的な者と(厚労省が間違いだらけの調査データを出したために再精査することになったことか?)今回の調査的監督で行う4月1カ月の企画型裁量労働制労働者の平均的な者の定義は同じかと問う。

 山越敬一「お答えを申し上げます。先ず企画型裁量労働制の定期報告でございますけれども、これは1日の労働時間として平均的な者、最長の者の状況を報告するものでございます。

 他方で今回調査の方でございますけれども、これは1日で見て、最も多くの労働者の属すると思われる労働時間の層に含まれる労働者の労働時間と言うことになっているということでございます」

 上記「調査結果」で〈「最長の者」とは、調査対象月における月間の時間外労働が最長の者のことをいう〉と定義づけられていることからすると、「平均的な者」と「最長の者」を混同しているように見える。

 黒岩宇洋「全然分からないんですよ。加藤大臣、今言った定期報告の定義と定期的監督のこの調査の平均的な者(もの)の定義は同じなんですか」

 山越敬一「今御答弁申し上げたとおりでございますけれども、定期報告は平均的な者でございます。この調査の方は平均的な者を調べているわけですけど、今申したような調査をしているということでございます」

 混同から混乱状態に陥って、禅問答のようなチンプンカンプンな答弁となっている。

 黒岩宇洋「もうどうしようもない。私がかいつまんで言いましょう。私は事前に厚労省に聞いてますよ。この半年の定期報告はですね、例えば10人裁量労働者がいてですよ、ひと月に20日働くとなると、半年で120人働くことになります。この10人で120日でありますから、延べ1200日で時間がざあーっと並べられている。この純粋な平均値を取ってもいいし、山、最円頂、どっちをとってもいいというような定期報告の記入の定義なんです。

 同じ定期報告と言っても、二つの定義がある。そして後者であれ、定期報告から転記しない場合は、これはずっと議論している、1カ月の平均的なその層に最も多い1日を選んで、抽出して、10人なら10人のその層に入ってきている誰でもいいから、選んでいく。

 ですから、片や最頻値と平均値、どっちを使ってもいいですから、片や最頻値にちょっと似たようなものですよという。

 これ、どうですか、みなさん。重要な企画業務型裁量労働者の労働時間を調査して集めるときに今申し上げたとおり、集め方に大きく2種類ある。そていて定義も複数ある。困難で真っ当なデータとして比較できるわけがないじゃないですか。

 大臣、如何ですか」

 加藤勝信「今委員の前半のところと後半のところとあると思うんですが、先ず前半のところは半年ごとに報告を求めている数字の話をされたでしょうか。そういうふうに認識をしております。

 ちょっとそれについて私自身、具体的などういうものかについては詳らかに承知をしておりませんから、もう一度局長の方からきちんと説明を、(ヤジ)そこは説明をさせて頂かないと、ならないというふうに思います。

 で、後者については既に議事応答ということを御党に於いて出させて頂いておりますが、それに則って実際に今回の調査はですね、平成25年度の調査に於いてはそこの疑似応答が書かれているように報告から転記をするか、あるいは賃金台帳との記録を監督官が実際に調べて記入することを想定しているということで、平均的な者の1日の最も多く属すると思われる(時間外)労働時間数の層になる労働者の時間数を書くこととするとされているわけで、こういうふうになっているわけで、これを説明させて頂いたわけです」(後略)

 質問する黒岩宇洋は「平均的な者」の定義は崩れた」、「時間外労働時間数の層」の幅の定義はないと言い立て、答弁する厚労省局長と加藤勝信は厚労省「調査結果」に記してある「平均的な者」についての定義を繰返す堂々巡りを演じるだけとなっている。

 なぜ黒岩宇洋は「平均的な者」の定義に拘るよりも、如何なる統計も一定の意味・目的と一定の基準を用いて調査するのだから、調査の明確な基準のあるなしと、何のため、どのような意味・目的で出すのか、なぜ聞かなかったのだろうか。

 意味・目的が分かれば、統計学的にどのような働きをするのが一目瞭然となる。

 また明確な基準のない調査は統計にバラつきが出て、信用性を失うことになる。当然、如何なる議論の叩き台、参考資料とすることはできなくなる。

 そこまで追及してから「働き改革案」の撤回を求めなければならないはずだが、そこまで追及もせず、また相手が曲りなりに定義に触れているにも関わらず、いきなり大きな声を出して撤回を求める。

 安倍晋三の方は「これまで通りに進めます」といった趣旨の答弁で片付ける。「働き方改革案」、裁量労働制の見直しの議論の堂々巡りはここにまで至っている。

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安倍晋三の撤回国会答弁は厚労省の間違いデータ提出によって裁量労働制の意図的な有利性の誘導の証明となる

2018-02-26 12:05:42 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 安倍晋三が今国会で成立を図っている「働き方改革関連法案」は企画・立案・調査及び分析を業務としている社員に対する「企画業務型裁量労働制見直し」を柱の一つとしている。

 裁量労働制とはネットでの紹介を纏めてみると、使用者と被雇用者が1日の労働時間と賃金を契約、実際に働いた時間とは関係なく契約した一定時間を働いたものと見なすことを「裁量労働見なし労働時間制」(略して「裁量労働制」)と言い、契約通りの賃金を支払うシムテムと言うことになる。

 例えば8時間を労働の見なし時間として契約した場合、その日10時間働いたとしても、2時間の残業代は支給されないが、6時間や7時間で仕事をこなした場合は8時間で契約したとおりの賃金が支払われることになり、余った時間は自由に使うことができる。

 このような点に基づいて安倍首相は国会答弁で「働き方改革関連法案」について「多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求する」、あるいは「労働の質を高めていく」として裁量労働制の適用範囲の拡大を策し、その拡大を通して裁量労働制の一般化を図っている。

 例えば2018年1月29日衆院予算委員会。

 安倍晋三「多様で柔軟な働き方を可能とする働き方改革を進め、そして子育てや介護と仕事が両立しやすい環境をつくり上げてまいります」

 裁量労働制ともう一つの柱である残業時間規制改革の導入で可能になるとしている「多様で柔軟な働き方」が「子育てや介護と仕事が両立しやすい環境」に繋がると謳っている。

 但し自身の1日の労働時間を契約で決めて、その時間内に自身の労働量を収めるという徹底した成果主義は常に時間内の成果を背負うことなって、そのプレッシャー(精神的圧迫)は決して少なくないはずである。

 残業時間規制改革案については2017年3月17日付「毎日新聞」( 20時27分)が具体的な内容について次のように解説している。
  
 (1)残業時間は「月45時間、年間360時間以下」を原則とする(休日労働を含まない上限設定)
 (2)繁忙期であっても「月100時間未満」「2~6カ月の月平均がいずれも80時間以下」とする(休日労働を含んだ上限設定)
 (3)月45時間を超えるのは年6回まで(休日労働を含まない上限設定)
 (4)繁忙期を含めても「年720時間」を上回らない(休日労働を含まない上限設定)

 (2)以外の(1)と(3)と(4)が休日労働は別計算となっている。要するに各規制を守りながら、休日労働という形を取って規制外の残業を課すことが可能となる。

 当然、(2)以外は有名無実の規制改革案と言わざるを得ない。

 休日労働を含んだ上限設定である(2)の〈繁忙期であっても「月100時間未満」「2~6カ月の月平均がいずれも80時間以下」〉を見てみる。

 後段の「2~6カ月の月平均がいずれも80時間以下」の年5カ月間「80時間以下」は月20日制で1日4時間の残業が可能という計算になるが、人間の身体で消化できる時間を超えているから、消化できる範囲として平日2時間の残業で月40時間。残りの40時間は月8日の休日の内、5日間は休日出勤を可能とする計算となる。

 いわば1年の内5カ月間は平日毎日2時間残業して8日の休日の5日間は休日出勤という労働時間制を取って残業時間月平均80時間という計算ができる。

 これが繁忙期に例外的に月100時間の残業が許されるとなると、80時間を超える20時間は平日毎日3時間の残業か、毎日の2時間の残業はぞのままに月8日のうちの休日出勤5日間の残り3日間の休日から更に2日間=16時間削って残業時間をプラスして7日間の休日出勤という月を何カ月か設けなければ、100時間という残業時間はつくることはできない。

 だから、休日労働を含んだ上限設定としたのだろうが、いくらそうしたとしても、(2)の条件では年のうちの何カ月間は人間らしさを基本とした生活を送ることが果たしてできるだろうか。果たして安倍晋三が保証するように「労働の質」を高めることができるだろうか。 

 (2)だけではない。休日労働を含まない(4)の〈繁忙期を含めても「年720時間」を上回らない〉にしても年間労働日数の240日で割ると、1日3時間の残業が1年間続くことになるだけではなく、そこに休日労働が例え1日でも割って入るとなると、人間らしさは削がれて、知らぬ間に働く動物にされかねない。

 こういった点を捉えてなのだろう、主だった野党は裁量労働制の適用範囲の安易な拡大や残業時間規制改革は長時間労働化の危険性、ひいては過労死の増加の危険性の観点から働き方改革に反対している。

 この過程で安倍晋三が間違ったデーターに基づいて裁量労働制の正当性を訴える国会答弁し、その答弁を撤回し謝罪するという重大事態が発生した。

 野党はこの撤回を厚労省が「働き方改革法案」の成立を有利に持っていくためにデータを捏造したのではないのか、首相が指示して出させたデーターではないのかと問題視した。


 疑惑が事実だとすると、安倍晋三は厚労省にデータを捏造させて、捏造されたデータに基づき、国会答弁を用いて裁量労働制の意図的な有利性の誘導を謀った疑いが出てくる。

 どういった経緯で厚労省が不適切なデータを安倍晋三の国会答弁用に出したのか、マスコミ記事から時系列的に纏めてみる。文飾は当方。

 ①2013年10月、厚労省は自身が作成した「労働時間等総合実態調査」を労政審に提出。

 ②2013年11月中旬~12月中旬の期間で厚労省はその一方で独立行政法人労働政策研究・研修機構に対して「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査 労働者調査」を要請。

 ③2014年6月30日、労働政策研究・研修機構は調査結果をマスコミに対して報道発表している。

 いわば2014年6月30日以前に厚労省に調査結果は提出された。

 ④2017年9月15日、厚生労働相の諮問機関である労政審(労働政策審議会)に対して諮問された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」を厚労相の加藤勝信に答申。

 ③2018年1月29日衆院予算委員会。
 
 立憲民主長妻昭「是非、総理、(労働法制を「働き方改革」によって)岩盤規制、ドリルで穴をあけるというこの考え方は是非改めていただきたいと思うんですが、如何ですか」

 安倍晋三「その岩盤規制に穴をあけるには、やはり内閣総理大臣が先頭に立たなければ穴は開かないわけでありますから、その考え方を変えるつもりはありません。

 それと、厚生労働省の調査によれば裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもあるということは御紹介させて頂きたいと思います

 裁量労働制適用労働者の労働時間が一般労働者よりも短いデータがあり、裁量労働制の適用業種の範囲拡大が必ずしも長時間労働に繋がるわけではないと「裁量労働制の見直し」の正当性を主張した。

 ④2018年2月14日衆院予算委。

 安倍晋三「引き続き精査が必要と厚労省から報告があったためですね、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回をして、そしてお詫びをさせて頂いたところでございます」

 ⑤2018年2月19日、「労働時間等総合実態調査」の調査に当たった厚生労働省労働基準監督官が衆議院予算委員会の理事会に出席、野党に対して説明。

 厚労省が事業所の中から「平均的な人」を1人選んで労働時間等を聞き取って行ったものだと説明してきた1日当りの労働時間は――

 一般の労働者が9時間37分。
 企業の中枢部門で経営に関わる企画などにあたる「企画業務型」の裁量労働制従事者9時間間16分としていた。

 安倍晋三はこの調査に基づいて裁量労働制の見直しが必ずしも長時間労働に繋がらないとする趣旨の国会答弁を行ったことになる。

 但し実際の調査方法は違っていた。

 一般の労働者に関しては「平均的な人」1人について1カ月間で時間外労働の時間が最も長い日の労働時間を尋ね、裁量労働制適用労働者に関してはで1日の労働時間を聞く方法を採用したと言う。
 
 安倍晋三はこのような聞き取り方の異なる調査に基づいた労働時間の間違った比較を用いて裁量労働制の適用業種の範囲拡大の正当化を謀る答弁を試みたことになる。

 この比較を安倍晋三が気づいていたかどうかだが、このような調査方法を単に不適切な調査と切って捨てることはできない。質問内容を変えている以上、意図的に誘導した裁量労働制の有利性と見なければならない。

 この裁量労働制の意図的な有利性の誘導は労政審(労働政策審議会)に対する諮問にも見て取ることができる。厚労省は労働政策研究・研修機構にわざわざ調査を依頼した「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査 労働者調査」を労政審に諮問の叩き台として提出はせず、自らが調査した「労働時間等総合実態調査」のみを叩き台とさせるべき提出していたことである。

 労働政策研究・研修機構の「報告」には、前にブログに一度使ったが、裁量労働制と通常労働制に於ける労働時間の比較に関して、〈1ヵ月の実労働時間をみると、「専門業務型」は、「企画業務型」「通常の労働時間制」に比べて「150 時間以上200 時間未満」の割合が低く、「200 時間以上250 時間未満」「250 時間以上」といった長い労働時間の割合が高い。「企画業務型」も「通常の労働時間制」と比較すれば労働時間が200 時間以上の割合が高い(図表2)。〉となっていて、厚労省の「労働時間等総合実態調査」に基づいた安倍晋三の2018年1月29日衆院予算委員会での国会答弁「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」とした記述は見当たらない。

 もし両調査共に諮問の参考資料として提出していたなら、どちらが正しいか比較されて、厚労省が調査で用いた質問の間違いが明らかになったはずである。

 だが、働き方改革を有利とすることができる間違った資料だけを渡した。それだけではなく、労働政策研究・研修機構に対して自らが依頼した調査を自らムダにした。

 なぜそうしなければならなかったのか、厚労省の必要性を考えた場合、犯罪事件で言う動機を考えた場合、裁量労働制の意図的な有利性の誘導以外に思い当たることができるだろうか。

 2018年2月19日の衆議院予算委員会の理事会に出席して野党に対して行った厚労省労働基準監督官の説明では誤った記入や入力ミスと見られる例が少なくとも87の事業所で117件確認されたとしている。

 となると、一般労働者と比較した裁量労働制適用労働者の労働時間は「短いというデータもある」とした安倍晋三の国会答弁の基となったデータは多くの過ちの中の一つであって、国会答弁は安倍晋三が厚労省、そして厚労相の加藤勝信とグルになって演出した裁量労働制の意図的な有利性の誘導ではないとすることができる。

 逆に安倍晋三が答弁に用いた過ったデータを多くの過ちの中にその一つとして紛れ込ませるために用意した117件ものデータミス、あるいは調査ミスではない、今後精査した場合、もっと出てくる可能性のある過ちの一片に過ぎないとの証明となる。

  だが、2018年2月24日付「ロイター」が伝えている調査に当たった労働基準監督官(男)が共同通信の取材に対して行った「結果的に調査が杜撰になってしまった」とする発言の内容は安倍晋三の国会答弁にしても、現時点での117件ものデータミス、あるいは調査ミスにしても、裁量労働制の意図的な有利性の誘導を目的としたミスのデッチ上げと解釈することが可能で、安倍晋三が答弁に用いた過ったデータを多くの過ちの中にその一つとして紛れ込ませることは到底できない。

 発言の内容を伝えている画像を載せておく。

 これらの理由で調査時間を十分に取れなかったからと言って、労政審(労働政策審議会)の諮問に影響を与えて一つの法律を正当づけるキッカケにもなっているのだから、杜撰な調査をしていい理由とは決してならない。

 「企業が必要な資料を準備しておらず、正確な労働時間分布を調べられなかった」と言っているが、厚労省が「労働時間等総合実態調査」を労政審に提出したのは2013年10月。調査はそれ以前に行ったはずで、労政審が諮問に対する答申を行ったのは約4年後の2017年9月15日。

 企業に対して必要な資料を準備させる時間的余裕は十分にあったはずである。にも関わらず、なかったかのような説明となっている。

 厚労省の内規で「1社当たりの調査時間を約1時間半」のうち、「移動や報告書作成の時間も含まれるために調査は数十分」だった、「1日5社も回らけなければならず、まともに調べられなかった」などとグダグダと言っているが、一つの法律の成立に影響を与える調査である以上、正確を期すだけの人数を投入すれば、グダグダ言っていることの解決はつくはずであるし、立場上、そうしなければならなかったはずだが、そうはしなかった。

 移動の時間が含まれると言っているが、企業に準備させた資料をメールで遣り取りしても調査はできるはずである。

 労働基準監督官はデーターミスを止むを得なかった事態だったと理由にならない理由で正当づけることで、安倍晋三が答弁に使ったデータをも全てのデータミスの中のその一つとして紛れ込ませる意図を働かせたものの、逆に語るに落ちる形で調査のミスも安倍晋三の国会答弁も裁量労働制の意図的な有利性の誘導を目的とした調査ミス――捏造であって、その線に添った安倍晋三の国会答弁だったと自供してしまったも同然である。

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安倍晋三のゴマカシと責任転嫁と責任回避と開き直りの一人舞台となった対長妻昭2/20衆院予算委質疑

2018-02-22 10:57:20 | Weblog
安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 【訂正とお詫び】(2月23日7時10分)

 当記事に聞き取りにくかったが、「事務PT」と聞き取って「(事務プロジェクトチーム?)」と丸括弧付きで記載したが、昨日、2月22日衆院予算委NHKテレビ国会中継で立憲民主党逢坂誠二が「労働政策研究・研修機構、何とかPT]と発言していたことから、「事務PT」と聞き取った言葉は労働政策研究・研修機構(JILPT)と分かりました。訂正し、お詫びします。

 なお、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果 労働者調査結果」(労働政策研究・研修機構・平成26年6月30日)には、裁量労働制と通常労働制に於ける労働時間の比較に関して、〈1ヵ月の実労働時間をみると、「専門業務型」は、「企画業務型」「通常の労働時間制」に比べて「150 時間以上200 時間未満」の割合が低く、「200 時間以上250 時間未満」「250 時間以上」といった長い労働時間の割合が高い。「企画業務型」も「通常の労働時間制」と比較すれば労働時間が200 時間以上の割合が高い(図表2)。〉との記載があります。

 昨日(2018年2月21日)の当ブログで2018年2月20日衆院予算委での立憲民主党長妻昭と安倍晋三の裁量労働制を巡る安倍晋三の答弁撤回問題に対する追及と答弁のみを文字起こしして、遣り取りの解説は今日に回すことにした。

 文字起こししてみる気になったのはNHKの国会中継テレビを視聴したとき、長妻昭が攻めることができる相手の答弁を見逃してムダな発言を繰返すばかりの追及の甘さが結果として安倍晋三のゴマカシと責任転嫁と開き直りの一人舞台を許してしまったことに気づいたからである。

 意に留めるべき発言には文飾を施し、ページ最後に昨日文字起こしした遣り取りを参考のために再度記載することにした。

 長妻昭は2018年1月29日の衆院予算委員会で安倍晋三が厚労省の調査を基にして「裁量労働制で働く平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁し、その答弁を2月14日の衆院予算委で撤回したことを問題視して、そのデーターは捏造ではないか、捏造を基に世論誘導を謀ったのではないかといった追及を混じえているが、そのような疑いを持ったなら、そのことのみに集中した追及を行うべきだったが、それができなかった。

 長妻昭は1時間の質問時間を与えられていたが、その時間的余裕が聞かなくてもいい余分な質問にまで時間を割いてしまうムダをつくり出してしまったのかもしれない。

 以下、長妻昭の質問はなるべく簡単に、問題とすべき安倍晋三の答弁は詳しく取り上げてみることにする。

 先ず長妻昭は「何を撤回されたのですか」と最初の質問の矢を放った。

 安倍晋三「只今厚労大臣から答弁をさせて頂いたとおりでございます。引き続き精査が必要と厚労省から報告があったためですね、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回をして、そしてお詫びをさせて頂いたところでございます

 既にこの時点で安倍晋三の答弁を問題にすべきだったが、遣り過して、「総理が撤回したデータというの、どのデータ、どういうデーターなんですか。一般労働者よりも短いというデータがあると総理が答弁されたわけですね。総理ご自身がですよ」と如何なるデーターか聞いたのはいいが、もっと的確に「何という名称のどのような内容のデーターですか」と聞くか、開示を求めるべきだったろう。

 「世論誘導を目的とした捏造、情報操作の類いでなければ、開示はできるはずだ」とより直截に攻めるべきだった。

 そうしなかったから、同じ答弁の繰返しを招くことになった。
 
 安倍晋三「(からかうふうに)お・こ・た・えを致します。私が撤回を致しましたのは、先程の答弁を繰返させて頂きますが、『引き続き精査が必要と厚労省から報告があったため、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回をして、そしてお詫びをさせて頂きます』

 これは同じ答弁を引き出す時間のムダを費やしただけではなくて、質問のまずさを示している。安倍晋三は「引き続き精査が必要と厚労省から報告があったためですね、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回」と述べている。

 卑しくも総理大臣や所管大臣が国会答弁に使うデーターである。「満足に精査していないデータを厚労省はなぜ出したのか」といった追及ができなかたのだろうか。厚労相の加藤信勝は「データーを出した職員は精査不足だったことに気づかなかった」とは答えることはできないはずだ。答えたとしたら、精査がいい加減だったことになって、職員の能力に疑いを差し挟まなければならない適性の問題にかかってくる。

 安倍晋三が後の方で、「性格の異なる数値を比較していたことは不適切であり」と発言しているが、「性格の異なる数値」に気づかずに比較していたことも、無能と言ってもいい考えられないいい加減さである。

 このように追及していったなら、事実精査不足のまま出したのか、国会答弁を通して世論を騙すために意図的に数値を操作したのか、炙り出すことができる可能性も否定できない。

 後者であるなら、明らかに捏造に基づいた世論誘導となるが、長妻昭自身は「捏造ではないか」、「世論誘導ではないか」と言うだけで、安倍晋三の発言から疑惑が推定できる事実を特に突つくことはせずに、最後の方で「捏造ではないということはぜひ証明して頂きたい」と証明するはずもない相手に証明を預けたばかりか、精査不足のこのデーターを厚労省が2015年3月に民主党の厚生労働部門会議に出した際、課長と局長に説明はあったが、当時の塩崎大臣には説明を行っていなかったと加藤勝信が答弁したことに関して「検証して、きちっと紙で後日出して頂きたい」と要求する程度の生ぬるい追及で終えている。

 続いての質問で長妻昭は「そのデータが総理知らないで答弁しちゃったんですか、そのデータを」などと聞いているが、データの捏造と捏造したデータに基づいた世論誘導を疑って質問に立った以上、「総理は知っていて答弁したのではないのか」と聞かなければならなかったはずだが、そのように聞かなかったのは質問に立った自身の意図に明らかに逸脱していて、そのことに気づかないまま質問していたことになる。

 次の長妻昭の「撤回されたということは総理の答弁は虚偽だったと。事実と異なるということでよろしいですね」との質問に対する安倍晋三の答弁からも攻め込むことのできる点があったが、見逃してしまった。、

 安倍晋三「先程答弁をさせて頂いているところでありますが、私が答弁を致しました、いわば撤回を致しましたのはデーターを撤回すると申し上げたのではなくて、引き続き精査が必要と厚労省から報告があったため、精査が必要なデータに基づいて行った答弁について撤回し、お詫びをしたところでございます。

 ここで激しいヤジが起こるが、当然である。「精査が必要なデータに基づいて行った答弁」は撤回するが、「精査が必要なデータ」そのものは撤回しない。

 答弁を撤回せざるを得なくなった原因となったデータはそのままにしておくと言っているのだから、明らかに矛盾している。「精査が必要」と言っているが、意図的操作云々は抜きにしても正しくなかったデータであったことからの精査の必要性であって、それを「精査が必要」と表現しているのは正しくなかったとすることによって生じる責任を曖昧にする目的があるからだろう。

 このような目的が答弁は撤回、データは撤回せずという矛盾となって現れ、目的と矛盾が整合性の関係を取ることになる。責任を曖昧にする目的で矛盾を平気で犯すのは開き直り以外の何ものでもない。

 安倍晋三のこの後の発言からも、追及しなければならない点がいくつかあった。

 安倍晋三「詳細について答弁するのは、あの、詳細にですね、詳細について答弁させて頂くのは勿論、厚労大臣でありますし、この問題については詳細にですね、事実を全て把握しているのはこれは厚労大臣であります」

 確かに厚労大臣は厚労行政に関する政策・知識に関しては首相よりも詳細に把握しているだろうが、それでも政策その他の細部についての国会答弁や記者会見発言に関しては厚労省のレクチャーを受けたり、データに頼ったりしなければ大臣を成り立たせることはできないはずだ。

 大体が厚労相がデーター問題に関して「詳細に事実を全て把握」していたなら、「精査が必要」なデータを安倍晋三の国会答弁用に出すこと自体が矛盾することになる。厚労省そのものが働き方改革法案を通したいばっかりに捏造したデーターを安倍晋三に渡し、そのことに前任の塩崎恭久や加藤勝信が加担していたと疑われても仕方がない。

 加藤勝信が「詳細に事実を全て把握」していたわけではないことは、安倍晋三に続いて答弁に立った加藤勝信の発言が証明することになる。

 加藤勝信「私はですね、答弁の中で具体的な数字・データをお示ししておりますので、そうしたデータをお示しさせて頂いたこと、これを撤回させて頂きます。私は撤回させて頂いたところでございます。

 いずれにしても、そうした撤回をしておりますわけですから、今、委員ご指摘のように確か事務PT(事務プロジェクトチーム?) ですか、一般労働者と裁量労働者について実際に働いている方に対するアンケートと言いますか、聞き取った調査の結果で比べると、平均時間に於いては一般労働者の方がですね、裁量労働者よりも短いというデータがあるということは承知をしているところであります」

 虚偽答弁ではないことを証拠立てるためにどこでどう精査不足が生じたのか、にも関わらず、精査不足を罷り通らせたのはなぜなのか等々長妻昭を納得させる答弁ではなく、ウソが混じっているかどうかも分からないこれまでの経緯を表面的に述べた程度の「詳細に事実を全て把握」に過ぎない。

 安倍晋三の引き続いての次の答弁に関しても何らかの追及を行わなければならなかったはずだ。  

 安倍晋三「私の場合は勿論、この予算について、森羅万象全てのことについて私はお答えしなければならない立場ではありますが、全てのことについてはですね、しかし、それは全て私が詳細に把握しているわけではありません。

 私がお答えさせて頂いたのはですね、まさに厚生労働省の調査によれば、『裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデーターもある』

 そういう旨の答弁をですね、これは厚労省から来るわけであります。そしてそれをですね、私は参考にして答弁をさせて頂いたと、こういうことであります。

 それ以上のものではない。そういうことでございます。その中のそれ以上の詳細については厚労大臣がおりますから、厚労大臣と議論して頂ければいいのではないかと、このように思います」――

 厚労省が出したデータを「全て詳細に把握しているわけではない」が事実そのとおりであったとしても、「精査が必要」は後付けのことであって、そのデーターを国会で自分の口から発信した以上、そのデータと自分の意図なり考えなりを一致させたことになる。

 他人が出したデータだからと言って、あるいは単に参考にしただけであっても、自分の意図なり考えなりと一致させることのできないデーターを国会で答弁として用いることができるだろうか。もし用いるとしたら、これは自分の意図あるいは考えと異なるデータだと前以て断りを入れなければ、国会を騙すだけではなく、国民をも騙すことになる。

 いや、用いる前に自分の意図なり考えなりと一致しなからと、用いることを断るはずだ。

 勿論、国民世論を誘導するために一致させたかどうかは分からない。追及の持っていきどころによっては、そのような一致であるかどうかを炙り出すことができるかもしれないし、炙り出すことができないかもしれない。

 2018年1月29日の衆院予算委員会で安倍晋三が「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもあるということは御紹介させていただきたいと思います」と発言できたのはそのデータと自分の意図なり考えなりを何らかの目的のもと、一致させることができたからであろう。

 当然、そのデータを国会答弁に用いた責任は生じる。「全て詳細に把握しているわけではない」からとか、厚労省が出したデータだからと言って責任を逃れることはできない。

 このような観点からすると、上記発言は責任を回避する意図に基づいたゴマカシそのものとなる。

 対して長妻昭は「総理の言うことはですね、半分は正しいと思いますよ。厚労大臣は厚労行政を詳細に把握すると。だから、総理はですね、じゃあ、こういう答弁はしちゃあダメなんですよ」と的外れな反応を示している。そして裁量労働制の労働時間と一般の労働時間の平均の違いを「実はあんまり知らなくて言ってしまった」ことを「無責任ですよ。総理、そういう責任はどうなるんですか」と発言しているが、責任の範囲をその回避にまで広げることはできない。

 首相たる者が、例え一大臣であっても、省庁なり他人が出したデーターを国会答弁や記者会見に用いる以上、そのデータと自分の意図なり考えなりと一致させていたことになるという認識がないと、間違えたデータを用いた意図について長妻昭が「私は世論を誘導したんではないかと、そういう強い疑いを持っているわけですが」と追及したとしても、安倍晋三から「ですから、精査が必要なこの調査についてですね、答弁したことについては撤回をし、お詫びをしたところでございます」と繰返し用いている答弁でいとも簡単に片付けられることになる。

 長妻昭がデータは「首相官邸サイドからですね、呟きとか、あるいはこういうデータないんだとか、あるいはそういうデータを探さなきゃいけないと忖度が働いた」意図的な捏造ではないと発言されると、安倍晋三は次のように答弁している。

 安倍晋三「官邸から資料を出したんではないかという疑いを掛けられましたが、私の方から答えさせて頂き、えー、資料についてはですね、厚労大臣からお答えさせて頂き、このように思います。

 で、先ずですね、4月29日の予算委員会でですね、長妻委員から、裁量労働制について質問の通告を頂きました。その後の勉強会、いわばその日、7時間かな、予算委、すべての質問について私は勉強会を早朝から開くわけでございまして、一つ一つの質問についてはそれ程長い時間を掛けれないというのは委員もご承知のとおりだろうと思います。

 その後の勉強会の際にですね、事務PTのアンケート調査、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者より短いというデータもあるという「メモ答弁」が厚生労働省から上がってきているという説明を受けました。

 かねてより事務PTのデータかどうかは定かではないが、委員を始めとする野党の皆さんから裁量労働制の方が一般の方よりも労働時間が長くなるとのご指摘を受けてまいりました。


 そうしたご指摘を受けてきたことを踏まえて、1月29日の答弁に於いては厚労省から上がってきた答弁にはデータがあったことから、岩盤規制厚生労働委員会の際、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均の方で比べれば、一般の労働者よりも短いというデータもあるとご紹介させて頂いたところでございます」――
 
 この発言も厚労省が国会答弁用にメモしたデータ(「メモ答弁」)を「ご紹介させて頂いた」だけだと、厚労省に対するゴマカシそのものの責任転嫁を働いている。責任転嫁は責任回避を背中合わせとする。

 「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデーターもある」と発言して、その当時は精査不足だと知らされていないから、裁量労働制の見直し・職業範囲拡大が裁量労働制労働者の不利になるわけではないと思わせた、あるいは、ああ、そんなものかと同意を誘導しようとしたのである。

 それを「ご紹介させて頂いた」だけで済ませようとしている。この責任転嫁=責任回避も開き直りの部類に入る。

 対して長妻昭は「総理、ちょっとお答えになっていないんですよ。このデータが、先程申し上げたじゃないですか。作られたのは今じゃなくてですね、このデーターについて2015年の3月に、直前に作られたんですよ」と応じている。

 この程度の追及しかできないなら、いくら質問時間を与えられても満足な追及はできまい。

 満足な追及ができことに対応した安倍晋三の答弁に現れることになるゴマカシと責任転嫁と責任回避と開き直りの一人舞台ということなのだろう。

 2018年2月20日衆院予算委:裁量労働制発言撤回に関わる安倍晋三と長妻昭の質疑応答

 長妻昭「裁量労働制のデータについて先月私に対する答弁、撤回されたということですが、私が与り知らないところで総理サイドから何の連絡もなく、一方的に撤回されたということで、どういうことなんでしょう。何を撤回されたのですか」

 厚労相の加藤勝信が指名される。

 長妻昭(立ち上がって)「総理に聞いているんですよ。委員長、総理が撤回したんでしょ。何で総理が答えないんですか。何を撤回しているのか聞いているんですよ。最初から何でそういうふうになるんですか」

 加藤勝信「委員の方からご指摘を頂き、私供の方で調査させて頂きましたところ、調査に時間を要するということに対して色々とご議論を頂き、野党の、長妻先生からも撤回すべきだとご指摘を受けたように思っていますし、与党からもそうしたご指摘がございましたので、そうした精査に時間を要するのも申し訳ないのですが、そうしたデータをお示しをし、討論させて頂いとこと、これについて撤回をし、そしてこれまで皆様方に、国会、そして国民の皆様方にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げたところでございます」

 安倍晋三「只今厚労大臣から答弁をさせて頂いたとおりでございます。引き続き精査が必要と厚労省から報告があったためですね、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回をして、そしてお詫びをさせて頂いたところでございます」

 長妻昭「総理が撤回したデータというの、どのデータ、どういうデーターなんですか。一般労働者よりも短いというデータがあると総理が答弁されたわけですね。総理ご自身がですよ」

 ここでパネルが示される。

 長妻昭「ヤジを飛ばさないでください、ヤジを。真面目にやっているんですから」

 安倍晋三「(からかうふうに)お・こ・た・えを致します。私が撤回を致しましたのは、先程の答弁を繰返させて頂きますが、『引き続き精査が必要と厚労省から報告があったため、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回をして、そしてお詫びをさせて頂きます』」

  長妻昭「そのデータが総理知らないで答弁しちゃったんですか、そのデータを。データとはどんなデータだったんですかと私は聞いたんですが、総理。

 じゃあ、知らないということですね、そのデータを」

 加藤勝信「先程申し上げましたように平成25年の私供厚労相の調査の結果を踏まえてですね、お示しをしたデーターで、それが精査が必要だといったデータ、これについてお示しをしたことについて撤回をさせて頂いたということでございます」

 長妻昭「別に我々は敵じゃないですからね、総理。働き方改革、いい方向に持っていきたいですよ、我々は。ただ事実がですね、違う事実を現状把握をして間違えた方向に政策が進むというのは、これは不幸なことですよ。 

 だから、それを冷静に議論しているわけですから。総理ですね、ちょっと今の遣り取りで驚いているのはデータの中身をご存じなくて答弁されていた、今非常に強く持つわけですございますけども。

 総理、ちょっと伺いますが、撤回されたということは総理の答弁は虚偽だったと。事実と異なるということでよろしいですね」

 安倍晋三「先程答弁をさせて頂いているところでありますが、私が答弁を致しました、いわば撤回を致しましたのはデーターを撤回すると申し上げたのではなくて、引く続き精査が必要と厚労省から報告があったため、精査が必要なデータに基づいて行った答弁について撤回し、お詫びをしたところでございます。   (開き直り)

 この段階ではですね、(ヤジ)すみません、答弁中は。これNHKを見ておられる方は聞こえないかもしれません。大変な声量のヤジでございますから。これ、落ち着いてですね、皆さん、議論しましょうよ。

 そこでですね、私が申し上げたのはいわば精査をしている最中でありますから、精査をしているさ中に於ける私の答弁でありますから。しかし引き続き答弁が、精査が必要な、このデータについて答弁したことについては、これは、えー、撤回をさせて頂きたいと、こういうことでございます。

 そしてその上に於いてですね、今週月曜日にですね、精査したものをですね、厚労省がお渡しをしたんだと、こういう時系列でございますからそのとおり私が申し上げているところでございます。

 そしてですね、また長妻委員が私が知らないで答弁したと、どこまで知っているのかという問題でも、分かるわけでございますが、これはですね、担当大臣は厚労大臣であります。詳細について答弁するのは、あの、詳細にですね、詳細について答弁させて頂くのは勿論、厚労大臣でありますし、この問題については詳細にですね、事実を全て把握しているのはこれは厚労大臣であります。

 私の場合は勿論、この予算について、森羅万象全てのことについて私はお答えしなければならない立場ではありますが、全てのことについてはですね、しかし、それは全て私が詳細に把握しているわけではありません。

 私がお答えさせて頂いたのはですね、まさに厚生労働省の調査によれば、『裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデーターもある』

 そういう旨の答弁をですね、これは厚労省から来るわけであります。そしてそれをですね、私は参考にして答弁をさせて頂いたと、こういうことであります。

 それ以上のものではない。そういうことでございます。その中のそれ以上の詳細については厚労大臣がおりますから、厚労大臣と議論して頂ければいいのではないかと、このように思います」

 長妻昭「総理の言うことはですね、半分は正しいと思いますよ。厚労大臣は厚労行政を詳細に把握すると。だから、総理はですね、じゃあ、こういう答弁はしちゃあダメなんですよ、

 詳細に把握していないのに、我々の(労働時間が)長いという追及に反論しなかったのか。裁量労働制が短いということを総理自身がおっしゃって、でも、実はあんまり知らなくて言ってしまったと。

 今、そんなような答弁だったと思いますけど、無責任ですよ。総理、そういう責任はどうなるんですか。で、答弁は撤回したけれども、データは撤回しないと。こういうご答弁がありました。これはデータは撤回したんですか。

 つまり裁量労働制の方が長いと、一般の労働者と比べてですね、平均的な者では裁量労働制のほうが長いと。こういう逆のデータがあるとデータになったと。こういうことでよろしいですか」

 加藤勝信「私はですね、答弁の中で具体的な数字・データをお示ししておりますので、そうしたデータをお示しさせて頂いたこと、これを撤回させて頂きます。私は撤回させて頂いたところでございます。

 いずれにしても、そうした撤回をしておりますわけですから、今、委員ご指摘のように確か事務PT(事務プロジェクトチーム?) ですか、一般労働者と裁量労働者について実際に働いている方に対するアンケートと言いますか、聞き取った調査の結果で比べると、平均時間に於いては一般労働者の方がですね、裁量労働者よりも短いというデータがあるということは承知をしているところであります」

 長妻昭「ま、これですね、裁量労働制、これみなし残業時間をつけて、そして、それ以上働いても残業代は出ない。しかも上限の労働時間もないということでございます。

 大体みなし残業時間ですね、厚労省の調査によると、平均で8時間19分、裁量労働制ですね、でも、実際には平均で9時間16分、働いておられる。いうようなことで、非常にですね、みなし、オバーしてしまう。

 まあ、政府はですね、裁量労働制が入れば、短い働き方ができますよ。こんなような話を仰ってるんですけど、現実には全く逆である。過労死が増える。ご家族も、過労死のご家族も仰っておられます。

 その中で平成25は労働時間等総合実態調査というのを厚労省が出され、そこで1日の労働時間については平均的な者では裁量労働制が9時間16分。一般の方が9時間37分で、いや、裁量労働制の方が一般の方よりも短いから、そういうデータもあるんだと。

 こういうようなことで、私は世論を誘導したんではないかと、そういう強い疑いを持っているわけですが、総理、そういう軽率な答弁の責任というのはどうするんです」

 安倍晋三「ですから、精査が必要なこの調査についてですね、答弁したことについては撤回をし、お詫びをしたところでございます」

 長妻昭「お詫びをすれば済むって話なんですかね、これ。これはある意味3年間騙され続けてきたんです。これ、国民の皆さんもそう思うかもしれません。

 一番初めにこのデータが出たのは民主党の厚生労働部門会議というところにですね、我々の昔のスタッフに確認をしましたら、2015年の3月26日に厚労省から提示をされたと。

 その当時はですね、裁量労働制というのは相当に労働時間が長くなる。こんなようなことを我々もですね、問題視をしていたさ中でございます。その中で裁量労働制の方が短い、そういうデーターもあるんです、バックデータもなしでしたけれども、民主党厚生労働部門会議で初めてそれが出てきた。

 経緯を見ますとですね、その前から、前年もそうですけど、総理に対しても当時の塩崎大臣ですか、塩崎大臣に対して相当追及が強まってたんですね、野党から。裁量労働制、長いじゃないかと、おかしいじゃないかと。

 独立行政法人の労働政策研究研修機構、このデータでは平均労働者ではですね、通常の労働者よりも企画型裁量労働制の方が長い、こういう平均時間がきちっとしたデータがあるんです。

 そういうデータがあるというではないかと追及していたときにですね、この2015年3月に出てきた。非常にうま過ぎる話なんですよ。そして今回、そのデータがインチキだったことが分かったわけでありまして、これ、捏造ではないかと言うことを私は強く疑うわけであります。

 捏造というのは事実ではないことを事実のように拵えること、デッチ上げることをいうふうに辞書にはありますけれども、これ捏造であれば、政策を歪める意図が働いたということで、これ、大変なことだと思いますよ。

 本当にこれ捏造ではないのかどうか、きちっとした調査をして確認をしたんですか。あるいは総理も追及をされていました。裁量労働制長くなると言って、前年に。首相官邸サイドからですね、呟きとか、あるいはこういうデータないんだとか、あるいはそういうデータを探さなきゃいけないと忖度が働いたとか。

 このデータ、やっちゃあいけないことをやってるんですよ。総理はやってますけどもね。笑っていることではないんですよ、総理。分かってるんですか、この重大性を。

 政策は、政策はあれですよ、(後ろからヤジ)いやいや、『決めつける』というヤジを飛ばすから、これ、言わざるを得ないんですよ。決めつけじゃなくて、インチキなデータだったんですよ。

 そういう厚労行政、私も携わっていましたけども、データに基づいて現状を冷静に把握していかないと。それは間違うわけですよ。だから、私は言っているんですけども、捏造ではないということはぜひ証明して頂きたい、調査をしていただきたいと思いますが、本当に捏造じゃないんですか、これ」

 安倍晋三「官邸から資料を出したんではないかという疑いを掛けられましたが、私の方から答えさせて頂き、えー、資料についてはですね、厚労大臣からお答えさせて頂き、このように思います。

 で、先ずですね、4月29日の予算委員会でですね、長妻委員から、裁量労働制について質問の通告を頂きました。その後の勉強会、いわばその日、7時間かな、予算委、すべての質問について私は勉強会を早朝から開くわけでございまして、一つ一つの質問についてはそれ程長い時間を掛けれないというのは委員もご承知のとおりだろうと思います。

 その後の勉強会の際にですね、事務PTのアンケート調査、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者より短いというデータもあるというメモ答弁が厚生労働省から上がってきているという説明を受けました。

 かねてより事務PTのデータかどうかは定かではないが、委員を始めとする野党の皆さんから裁量労働制の方が一般の方よりも労働時間が長くなるとのご指摘を受けてまいりました。

 そうしたご指摘を受けてきたことを踏まえて、1月29日の答弁に於いては厚労省から上がってきた答弁にはデータがあったことから、岩盤規制厚生労働委員会の際、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均の方で比べれば、一般の労働者よりも短いというデータもあるとご紹介させて頂いたところでございます。

 で、ここでですね、今委員がご指摘になったようにですね、民主党の部門会議に提出する資料の作成についてでございますが、そのときについてどうだったかという経緯を官邸内でもう一度調べてみたわけであります。

 その結果ですね、私や、私が答弁したことをですね、私のスタッフが指示を行ったこともないわけであります。厚労省の所管に属する事項については本来厚労省に於いて責任を持って資料を作成する決まり(?)であります。これは当然のことであろう、ええ、思うわけであります。

 しかしながら、今回、結果として性格の異なる数値を比較していたことは不適切であり、私からも深くお詫びをしたいと思いますが、厚労大臣から厚労省については答弁させてたいと思います」

 長妻昭「総理、ちょっとお答えになっていないんですよ。このデータが、先程申し上げたじゃないですか。作られたのは今じゃなくてですね、このデーターについて2015年の3月に、直前に作られたんですよ。

 そのとき初めて民主党の部門会議に出てきましたから、そのときに首相官邸サイドが色んな所からですね、何かデータがないのか、責められる一方だと。裁量労働制は長い、長いと言われているからと、そういうような話があったんですかと、いうようなことをお伺いしたいのに、今の話じゃないですよ。

 2015年3月より前の話で、お伺いしているわけですけれども、そっちの方、厚労相はどうですか。塩崎大臣でしたけども、決済上がってるんですか」

 安倍晋三「私はお答えさせていただきました。1月29日のことは1月29日とお答えさせて頂きましたから、その後ですね、当時の民主党の部門会議に提出する資料の作成については私や私のスタッフから指示を行ったことではないと、その前に、その当時のことを調べて、そういうふうに答弁させて頂いております。

 その後にですね、また1月29日の答弁について触られておりますが、それぞれお答えさせて頂いております」

 加藤勝信「委員ご指摘のようにそれぞれ異なる形で選んだデータをですね、比較をしてしまったということ、これは不適切とされ、これはそのとおりであります。

 深くお詫びをしたいと思います。その上で平成27年3月、ご指摘のように当時の民主党の厚生労働部門会議に於いてこの裁量労働制初めとした議論がなされておりました。で、具体的な経緯・評価は残っておりませんけれども、その場に於いて裁量労働制について色々とご指摘を頂いた、それにお答えをしていくということで、(指で厚さを示して)20枚以上の資料を提出した中に今ご指摘を頂いている、その提出した資料があったわけであります。

 で、そのときには具体的な手続きとして決済とおっしゃいましたけど、私のイメージでは決済書をつくって回すということではなくて、そういう手続きは厚労省は取っていないようでありますが、こういう文書を民主党のそういったところに出しますよということで課長、そして当時の局長にですね、説明があり、了解を得たということで、大臣には説明を行っていないと、そういうことで確認をしております」

 長妻昭「これだけの資料をですね、野党に出すときに、まあ、私の経験では大臣に説明を行うはずだと思いますよ。

 これも検証して、きちっと紙で後日出して頂きたいと思います。本当に捏造ではないのかどうか。まあ、委員長にですね、採決までに、そういうデーた、資料をお出し頂きたいと言うことを要請します」

 河村委員長「理事会で闘技をさせて頂きます」

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安倍晋三のゴマカシと責任転嫁と開き直りを罷り通らせた長妻昭の裁量労働制に関わる2/20衆院予算委質疑

2018-02-21 13:07:27 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 【訂正とお詫び】(2月23日7時10分)

 当記事に聞き取りにくかったが、「事務PT」と聞き取って「(事務プロジェクトチーム?)」と丸括弧付きで記載したが、昨日、2月22日衆院予算委NHKテレビ国会中継で立憲民主党逢坂誠二が「労働政策研究・研修機構、何とかPT]と発言していたことから、「事務PT」と聞き取った言葉は労働政策研究・研修機構(JILPT)と分かりました。訂正し、お詫びします。

 なお、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果 労働者調査結果」(労働政策研究・研修機構・平成26年6月30日)には、裁量労働制と通常労働制に於ける労働時間の比較に関して、〈1ヵ月の実労働時間をみると、「専門業務型」は、「企画業務型」「通常の労働時間制」に比べて「150 時間以上200 時間未満」の割合が低く、「200 時間以上250 時間未満」「250 時間以上」といった長い労働時間の割合が高い。「企画業務型」も「通常の労働時間制」と比較すれば労働時間が200 時間以上の割合が高い(図表2)。〉との記載があります。

 安倍晋三が2018年1月29日の衆院予算委員会で「働き方改革」の議論中、厚労省の調査を基にして「裁量労働制で働く平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁して裁量労働制の見直しが必ずしも裁量労働制労働者に不利にはならないとする趣旨の答弁を行い、その答弁を2月14日の衆院予算委で撤回し、「お詫び申し上げたい」と陳謝した

 2018年2月20日の衆院予算委で立憲民主の長妻昭が取り上げて、データを捏造したのではない、間違えたデータに基づいた答弁は無責任ではないか、世論を誘導しようとしたのではないのか等々追及した。

 この件に関して動画から文字起こした追及と答弁のみを今日のブログで紹介し、明日のブログで気づいたことを書いてみたいと思う。長妻昭の追及の甘さと、それ故に堂々巡りとなってしまった質疑、その結果安倍晋三に対してゴマカシと責任転嫁と開き直りを巧妙に罷り通らせてしまった一部始終が否応もなしに目についてしまうことになると思う

 長妻昭「裁量労働制のデータについて先月私に対する答弁、撤回されたということですが、私が与り知らないところで総理サイドから何の連絡もなく、一方的に撤回されたということで、どういうことなんでしょう。何を撤回されたのですか」

 厚労相の加藤勝信が指名される。

 長妻昭(立ち上がって)「総理に聞いているんですよ。委員長、総理が撤回したんでしょ。何で総理が答えないんですか。何を撤回しているのか聞いているんですよ。最初から何でそういうふうになるんですか」

 加藤勝信「委員の方からご指摘を頂き、私供の方で調査させて頂きましたところ、調査に時間を要するということに対して色々とご議論を頂き、野党の、長妻先生からも撤回すべきだとご指摘を受けたように思っていますし、与党からもそうしたご指摘がございましたので、そうした精査に時間を要するのも申し訳ないのですが、そうしたデータをお示しをし、討論させて頂いとこと、これについて撤回をし、そしてこれまで皆様方に、国会、そして国民の皆様方にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げたところでございます」

 安倍晋三「只今厚労大臣から答弁をさせて頂いたとおりでございます。引き続き精査が必要と厚労省から報告があったためですね、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回をして、そしてお詫びをさせて頂いたところでございます」

 長妻昭「総理が撤回したデータというの、どのデータ、どういうデーターなんですか。一般労働者よりも短いというデータがあると総理が答弁されたわけですね。総理ご自身がですよ」

 ここでパネルが示される。

 長妻昭「ヤジを飛ばさないでください、ヤジを。真面目にやっているんですから」

 安倍晋三「(からかうふうに)お・こ・た・えを致します。私が撤回を致しましたのは、先程の答弁を繰返させて頂きますが、『引き続き精査が必要と厚労省から報告があったため、精査が必要なデータに基づいて行った答弁については撤回をして、そしてお詫びをさせて頂きます』」

  長妻昭「そのデータが総理知らないで答弁しちゃったんですか、そのデータを。データとはどんなデータだったんですかと私は聞いたんですが、総理。

 じゃあ、知らないということですね、そのデータを」

 加藤勝信「先程申し上げましたように平成25年の私供厚労相の調査の結果を踏まえてですね、お示しをしたデーターで、それが精査が必要だといったデータ、これについてお示しをしたことについて撤回をさせて頂いたということでございます」

 長妻昭「別に我々は敵じゃないですからね、総理。働き方改革、いい方向に持っていきたいですよ、我々は。ただ事実がですね、違う事実を現状把握をして間違えた方向に政策が進むというのは、これは不幸なことですよ。 

 だから、それを冷静に議論しているわけですから。総理ですね、ちょっと今の遣り取りで驚いているのはデータの中身をご存じなくて答弁されていた、今非常に強く持つわけですございますけども。

 総理、ちょっと伺いますが、撤回されたということは総理の答弁は虚偽だったと。事実と異なるということでよろしいですね」

 安倍晋三「先程答弁をさせて頂いているところでありますが、私が答弁を致しました、いわば撤回を致しましたのはデーターを撤回すると申し上げたのではなくて、引き続き精査が必要と厚労省から報告があったため、精査が必要なデータに基づいて行った答弁について撤回し、お詫びをしたところでございます。  

 この段階ではですね、(ヤジ)すみません、答弁中は。これNHKを見ておられる方は聞こえないかもしれません。大変な声量のヤジでございますから。これ、落ち着いてですね、皆さん、議論しましょうよ。

 そこでですね、私が申し上げたのはいわば精査をしている最中でありますから、精査をしているさ中に於ける私の答弁でありますから。しかし引き続き答弁が、精査が必要な、このデータについて答弁したことについては、これは、えー、撤回をさせて頂きたいと、こういうことでございます。

 そしてその上に於いてですね、今週月曜日にですね、精査したものをですね、厚労省がお渡しをしたんだと、こういう時系列でございますからそのとおり私が申し上げているところでございます。

 そしてですね、また長妻委員が私が知らないで答弁したと、どこまで知っているのかという問題でも、分かるわけでございますが、これはですね、担当大臣は厚労大臣であります。詳細について答弁するのは、あの、詳細にですね、詳細について答弁させて頂くのは勿論、厚労大臣でありますし、この問題については詳細にですね、事実を全て把握しているのはこれは厚労大臣であります。

 私の場合は勿論、この予算について、森羅万象全てのことについて私はお答えしなければならない立場ではありますが、全てのことについてはですね、しかし、それは全て私が詳細に把握しているわけではありません。

 私がお答えさせて頂いたのはですね、まさに厚生労働省の調査によれば、『裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデーターもある』

 そういう旨の答弁をですね、これは厚労省から来るわけであります。そしてそれをですね、私は参考にして答弁をさせて頂いたと、こういうことであります。

 それ以上のものではない。そういうことでございます。その中のそれ以上の詳細については厚労大臣がおりますから、厚労大臣と議論して頂ければいいのではないかと、このように思います」

 長妻昭「総理の言うことはですね、半分は正しいと思いますよ。厚労大臣は厚労行政を詳細に把握すると。だから、総理はですね、じゃあ、こういう答弁はしちゃあダメなんですよ、

 詳細に把握していないのに、我々の(労働時間が)長いという追及に反論しなかったのか。裁量労働制が短いということを総理自身がおっしゃって、でも、実はあんまり知らなくて言ってしまったと。

 今、そんなような答弁だったと思いますけど、無責任ですよ。総理、そういう責任はどうなるんですか。で、答弁は撤回したけれども、データは撤回しないと。こういうご答弁がありました。これはデータは撤回したんですか。

 つまり裁量労働制の方が長いと、一般の労働者と比べてですね、平均的な社では裁量労働制のほうが長いと。こういう逆のデータがあるとデータになったと。こういうことでよろしいですか」

 加藤勝信「私はですね、答弁の中で具体的な数字・データをお示ししておりますので、そうしたデータをお示しさせて頂いたこと、これを撤回させて頂きます。私は撤回させて頂いたところでございます。

 いずれにしても、そうした撤回をしておりますわけですから、今、委員ご指摘のように確か事務PT(事務プロジェクトチーム?) ですか、一般労働者と裁量労働者について実際に働いている方に対するアンケートと言いますか、聞き取った調査の結果で比べると、平均時間に於いては一般労働者の方がですね、裁量労働者よりも短いというデータが有るということは承知をしているところであります」

 長妻昭「ま、これですね、裁量労働制、これみなし残業時間をつけて、そして、それ以上働いても残業代は出ない。しかも上限の労働時間もないということでございます。

 大体みなし残業時間ですね、厚労省の調査によると、平均で8時間19分、裁量労働制ですね、でも、実際には平均で9時間16分、働いておられる。いうようなことで、非常にですね、みなし、オバーしてしまう。

 まあ、政府はですね、裁量労働制が入れば、短い働き方ができますよ。こんなような話を仰ってるんですけど、現実には全く逆である。過労死が増える。ご家族も、過労死のご家族も仰っておられます。

 その中で平成25は労働時間等総合実態調査というのを厚労省が出され、そこで1日の労働時間については平均的な社では裁量労働制が9時間16分。一般の方が9時間37分で、いや、裁量労働制の方が一般の方よりも短いから、そういうデータもあるんだと。

 こういうようなことで、私は世論を誘導したんではないかと、そういう強い疑いを持っているわけですが、総理、そういう軽率な答弁の責任というのはどうするんです」

 安倍晋三「ですから、精査が必要なこの調査についてですね、答弁したことについては撤回をし、お詫びをしたところでございます」

 長妻昭「お詫びをすれば済むって話なんですかね、これ。これはある意味3年間騙され続けてきたんです。これ、国民の皆さんもそう思うかもしれません。

 一番初めにこのデータが出たのは民主党の厚生労働部門会議というところにですね、我々の昔のスタッフに確認をしましたら、2015年の3月26日に厚労省から提示をされたと。

 その当時はですね、裁量労働制というのは相当に労働時間が長くなる。こんなようなことを我々もですね、問題視をしていたさ中でございます。その中で裁量労働制の方が短い、そういうデーターもあるんです、バックデータもなしでしたけれども、民主党厚生労働部門会議で初めてそれが出てきた。

 経緯を見ますとですね、その前から、前年もそうですけど、総理に対しても当時の塩崎大臣ですか、塩崎大臣に対して相当追及が強まってたんですね、野党から。裁量労働制、長いじゃないかと、おかしいじゃないかと。

 独立行政法人の労働政策研究研修機構、このデータでは平均労働者ではですね、通常の労働者よりも企画型裁量労働制の方が長い、こういう平均時間がきちっとしたデータがあるんです。

 そういうデータがあるというではないかと追及していたときにですね、この2015年3月に出てきた。非常にうま過ぎる話なんですよ。そして今回、そのデータがインチキだったことが分かったわけでありまして、これ、捏造ではないかと言うことを私は強く疑うわけであります。

 捏造というのは事実ではないことを事実のように拵えること、デッチ上げることをいうふうに辞書にはありますけれども、これ捏造であれば、政策を歪める意図が働いたということで、これ、大変なことだと思いますよ。

 本当にこれ捏造ではないのかどうか、きちっとした調査をして確認をしたんですか。あるいは総理も追及をされていました。裁量労働制長くなると言って、前年に。首相官邸サイドからですね、呟きとか、あるいはこういうデータないんだとか、あるいはそういうデータを探さなきゃいけないと忖度が働いたとか。

 このデータ、やっちゃあいけないことをやってるんですよ。総理はやってますけどもね。笑っていることではないんですよ、総理。分かってるんですか、この重大性を。

 政策は、政策はあれですよ、(後ろからヤジ)いやいや、『決めつける』というヤジを飛ばすから、これ、言わざるを得ないんですよ。決めつけじゃなくて、インチキなデータだったんですよ。

 そういう厚労行政、私も携わっていましたけども、データに基づいて現状を冷静に把握していかないと。それは間違うわけですよ。だから、私は言っているんですけども、捏造ではないということはぜひ証明して頂きたい、調査をしていただきたいと思いますが、本当に捏造じゃないんですか、これ」

 安倍晋三「官邸から資料を出したんではないかという疑いを掛けられましたが、私の方から答えさせて頂き、えー、資料についてはですね、厚労大臣からお答えさせて頂き、このように思います。

 で、先ずですね、4月29日の予算委員会でですね、長妻委員から、裁量労働制について質問の通告を頂きました。その後の勉強会、いわばその日、7時間かな、予算委、すべての質問について私は勉強会を早朝から開くわけでございまして、一つ一つの質問についてはそれ程長い時間を掛けれないというのは委員もご承知のとおりだろうと思います。

 その後の勉強会の際にですね、事務PTのアンケート調査、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者より短いというデータもあるというメモ答弁が厚生労働省から上がってきているという説明を受けました。

 かねてより事務PTのデータかどうかは定かではないが、委員を始めとする野党の皆さんから裁量労働制の方が一般の方よりも労働時間が長くなるとのご指摘を受けてまいりました。

 そうしたご指摘を受けてきたことを踏まえて、1月29日の答弁に於いては厚労省から上がってきた答弁にはデータがあったことから、岩盤規制厚生労働委員会の際、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均の方で比べれば、一般の労働者よりも短いというデータもあるとご紹介させて頂いたところでございます。

 で、ここでですね、今委員がご指摘になったようにですね、民主党の部門会議に提出する資料の作成についてでございますが、そのときについてどうだったかという経緯を官邸内でもう一度調べてみたわけであります。

 その結果ですね、私や、私が答弁したことをですね、私のスタッフが指示を行ったこともないわけであります。厚労省の所管に属する事項については本来厚労省に於いて責任を持って資料を作成する決まり(?)であります。これは当然のことであろう、ええ、思うわけであります。

 しかしながら、今回、結果として性格の異なる数値を比較していたことは不適切であり、私からも深くお詫びをしたいと思いますが、厚労大臣から厚労省については答弁させてたいと思います」

 長妻昭「総理、ちょっとお答えになっていないんですよ。このデータが、先程申し上げたじゃないですか。作られたのは今じゃなくてですね、このデーターについて2015年の3月に、直前に作られたんですよ。

 そのとき初めて民主党の部門会議に出てきましたから、そのときに首相官邸サイドが色んな所からですね、何かデータがないのか、責められる一方だと。裁量労働制は長い、長いと言われているからと、そういうような話があったんですかと、いうようなことをお伺いしたいのに、今の話じゃないですよ。

 2015年3月より前の話で、お伺いしているわけですけれども、そっちの方、厚労相はどうですか。塩崎大臣でしたけども、決済上がってるんですか」

 安倍晋三「私はお答えさせていただきました。1月29日のことは1月29日とお答えさせて頂きましたから、その後ですね、当時の民主党の部門会議に提出する資料の作成については私や私のスタッフから指示を行ったことではないと、その前に、その当時のことを調べて、そういうふうに答弁させて頂いております。

 その後にですね、また1月29日の答弁について触られておりますが、それぞれお答えさせて頂いております」

 加藤勝信「委員ご指摘のようにそれぞれ異なる形で選んだデータをですね、比較をしてしまったということ、これは不適切とされ、これはそのとおりであります。

 深くお詫びをしたいと思います。その上で平成27年3月、ご指摘のように当時の民主党の厚生労働部門会議に於いてこの裁量労働制初めとした議論がなされておりました。で、具体的な経緯・評価は残っておりませんけれども、その場に於いて裁量労働制について色々とご指摘を頂いた、それにお答えをしていくということで、(指で厚さを示して)20枚以上の資料を提出した中に今ご指摘を頂いている、その提出した資料があったわけであります。

 で、そのときには具体的な手続きとして決済とおっしゃいましたけど、私のイメージでは決済書をつくって回すということではなくて、そういう手続きは厚労省は取っていないようでありますが、こういう文書を民主党のそういったところに出しますよということで課長、そして当時の局長にですね、説明があり、了解を得たということで、大臣には説明を行っていないと、そういうことで確認をしております」

 長妻昭「これだけの資料をですね、野党に出すときに、まあ、私の経験では大臣に説明を行うはずだと思いますよ。

 これも検証して、きちっと紙で後日出して頂きたいと思います。本当に捏造ではないのかどうか。まあ、委員長にですね、採決までに、そういうデーた、資料をお出し頂きたいと言うことを要請します」

 河村委員長「理事会で闘技をさせて頂きます」

 データは捏造ではないか、不適切なデータを用いた安倍晋三の答弁は無責任ではないか、世論を誘導するためのデータではないかのかといったこの件についての追及はこのように堂々巡りの形で終わる。

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大企業は円高・株高演出のアベノミクスだけでなく、安倍晋三の「働き方改革」からも大きな利益を吸い上げる

2018-02-20 12:23:33 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき


 安倍晋三が自身の「インスタグラム」に平昌オリンピックで金メダルを獲った羽生結弦と小平奈緒を祝福する投稿を載せたとマスコミが伝えていた。覗いてみたら、小平奈緒への投稿記事の中に「こういった祝福を寄せると、すぐ政治利用だと批判するヤツがいる」といったコメントが寄せられていた。

 金メダルアスリートを祝福しても、安倍晋三自身の権威づけになるとは思えないから、端的に政治利用と言うことはできなかもしれないが、人気情報に便乗して自身に対する好印象を期待する人気情報の利用と言えるかもしれない。

 このような意味では国民栄誉賞授与も人気情報の利用の側面を備えているはずだ。

 私自身もお節介ながら、「月並みな賛辞。国連演説や主要会合での演説のようにスピーチライターに書いて貰ったら、月並みから脱することができたに違いない」といったコメントを寄せたが、既に削除されている。

 安倍晋三が自身の「インスタグラム」に政治利用に見える羽生結弦と小平奈緒を祝福する投稿を載せたからなのかどうか分からないが、今日のアクセス記事一覧の中に2007年2月14日付当ブログ記事《人の死をも利用する安倍首相の冒涜行為? - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》がアクセス数僅か10人程度だったが、11年という時を経て亡霊のように蘇っていた。

 線路内に入った女性を助けようとして電車にはねられ、重傷を負ったのち回復ならずに死亡した巡査部長に対して安倍晋三は異例とされる弔問を行った。どのような利用なのか、参考までにここで紹介することにした。

 安倍政権は「働き方改革」を掲げて、「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」、「短時間労働者の処遇改善」、「長時間労働の是正」等の実現を目指している。

 その一方で年収1075万円以上の勤労者を労基法による労働時間、休日・深夜の割増賃金等を規制の対象から外す高度プロフェッショナル制度の創設や実際の労働時間に関係なく、労働者と使用者の間の協定で定めた時間だけ働いたと見なし、賃金を支払う仕組みの裁量労働制の見直しを掲げている。

 狙いの核は「労働生産性の向上」である。労働生産性とは労働者1人当たりが生み出す成果を言う。当然、同じ労働者数で労働の成果を上げれば上げる程、労働生産性は向上することになる。

 労働の生産性向上に成功すれば、企業が利益を上げることができ、企業の利益は賃金に還元されて、賃金の上昇に繋がることになる。但し企業が還元する気があるならばである。 

 企業としては賃金は抑制し、労働者数も可能な限り抑えて、生産性だけを上げたいと欲しているはずだ。

 他の先進国とは異なって日本の企業が利益を上げてきた要因の一つに長時間労働がある。労働者数が少なくても、残業で労働時間を増やせば、同じ労働者数で労働の投入量を増やすことができ、当然、労働の成果=労働生産性もそれなりにプラスさせることができるばかりか、逆に賃金は抑えることができる。

 残業がなくなると、満足に生活できない、余分な贅沢ができない、あるいは住宅ローンが払えなくなるといった労働者が多く存在することが残業が長時間に亘る程、企業にとっては賃金抑制のメリットとなり、このような労働状況によって労働生産性を維持している何よりの証明であろう。

 当然、安倍政権が「働き方改革」で掲げている「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」、「短時間労働者の処遇改善」等の賃金改善は企業のコスト負担増となって、企業利益にとってはデメリットとなる。「長時間労働の是正」は労働生産性にマイナスの影響を与えかねない。

 これらのマイナス面を補うには労働生産性のみを大きく改善しなければ「働き方改革」は絵に描いた餅で終わる。但し労働生産性を一挙に向上させる特効薬など存在しない。存在していたなら、2016年OECD加盟35カ国中の生産性が前年同20位で、6位のアメリカ(69.6ドル)の3分の2の水準にとどまり、主要7カ国では最下位というランクは遥か過去のものとしていただろう。

 となると、創設を狙っている年収1075万円以上の勤労者を労基法による労働時間、休日・深夜の割増賃金等を規制の対象から外す高度プロフェッショナル制度と実際の労働時間に関係なく、労働者と使用者の間の協定で定めた時間だけ働いたと見なし、賃金を支払う仕組みの裁量労働制の見直しといった新たな制度から企業の賃金負担増や、残業時間の短縮、あるいは長時間労働の短縮による労働生産性の低下を主として埋め合わさなければ、企業の利益自体が低下することになる。

 つまり企業としては企業利益維持の観点から賃金抑制や労働生産性維持の期待を高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の見直しにかけていることになる。そうでなければ、企業の味方、特に大企業の味方である安倍晋三が「働き方改革」を進めるはずはないし、大企業側が賛成するはずはない。また、労働者の側に立つ野党が反対するはずはない。

 となると、安倍晋三の2018年1月29日の衆院予算委員会での「働き方改革」の議論中、厚労省の調査を元にして「裁量労働制で働く平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁して裁量労働制の見直しが決して悪法化ではないと思わせたものの、その答弁を2月14日の衆院予算委で撤回し、「お詫び申し上げたい」と陳謝したが、最初の答弁自体は企業、特に大企業に味方する意図を担っていたはずだ。

 なぜなら、いくら厚労省が出したデータだったとしても、目を通せば、企業にメリットとなるデータとなっていることに気づかなければならないからだ。例え目を通さずに答弁に利用したとしても、読み上げる過程で企業にメリットとなることに気づかなければならない。

 気づかずに答弁したとしたら、認識力もなく原稿を読み上げる人間と化す。もし労働側に味方していたなら、用いないデータであるし、大体が異なる比較を用いた間違っていたデータである。

 円高・株高を演出したアベノミクスから企業は、特に大企業は大きな利益を吸い上げた。安倍晋三の「働き方改革」からも、大きな利益を吸い上げるに違いない。
 

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安倍晋三国有地売却忖度疑惑:野党は音声データそのものよりも「ストリー」なる文言を追及の突破口とすべき

2018-02-19 12:38:04 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき


 2018年2月15日の衆院予算委で共産党議員の宮本岳志が2017年11月28日の衆院予算委に続いて2016年3月下旬から4月頃にかけて森友学園に対する国有地売却を巡って国側が近畿財務局と大阪航空局、森友学園側が森友夫妻と代理人弁護士、工事関係者の出席のもと、地下埋設物――ゴミの量を多く見積もって売却価格を下げる話し合いを録音したとされる「音声データ」を用いて政府側を追及した。

 但し2017年11月28日衆院予算委の追及から何の発展も見られなかった。当日は立憲民主党の川内博史、同じ立憲民主党の逢坂誠二も音声データについて質問し、翌々日の2017年11月30日の参議院予算委員会では宮本と同じ共産党の辰巳孝太郎が宮本と似たような質問をし、追及に対応した国側の財務省理財局長太田充から宮本に対するのと同じような答弁を引き出したのみで終わったが、だからこそ、これらの答弁を参考にして何かを学習するということは宮本岳志の今回の質問からは何ら見受けることはできなかったが、発展のない追及で終わったことの原因であろう。

 先ず過去の質疑から何も学習していない根拠となる2018年2月15日の衆院予算委の関連する箇所を国会議事録から適宜ここに記載してみる。文飾は当方。

   宮本岳志「 この音声データには、籠池氏が、僕はもう紹介者に対して申しわけないからとか、あの方自身が愚弄されていると思ったから僕来たんですとか、繰り返し背後にいる大きな力をちらつかせるとともに、最後は、棟上げ式に首相夫人が来られて餅をまくことになっているからなどと、名誉校長である安倍昭恵氏の名前を出して交渉をしております」

     ――(中略)―― 

 太田充「お答えを申し上げます。

御指摘の財務局職員の発言に関する音声データにつきましては、昨日御答弁を申し上げました45分のデータと異なりまして、恐らく、全体が公開されているわけではなくて、会話の一部が切り取られているものだというふうに承知をしてございます。

ですが、報道の内容に関しまして近畿財務局の職員に事実関係の確認を行った結果は、以下のとおりでございます。

報道されている音声データは、平成28年の3月下旬から4月頃に森友学園側を訪問した際のやりとりではないかというふうに思われます。平成28年の3月11日に、新たな地下埋設物が出てきた旨の連絡が森友学園側からあり、3月24日には、森友学園より、新たな地下埋設物の撤去費用を控除した価格で本件土地を購入したいとの要望が出され、それを踏まえて、本件土地を売却する方向で森友学園との打ち合わせに臨んでいたところでございます。地下埋設物の撤去費用を見積もるためには資料が必要であり、3メートルより深いところから出てきたものにつきましては新たな地下埋設物になるとの認識のもとで、必要な資料の提出をお願いする旨の話をしてございます。
ただ、報道を聞いておりますと、こういう認識を伝える表現としてストーリーという言葉を使っておりますが、それは大変適切でなかったというふうに本人も申しております。

いずれにいたしましても、先方とはさまざまなやりとりがありましたが、新たな地下埋設物の撤去費用を見積もるためには資料が必要であるから、さまざまな資料の提出をお願いしていたということでございます。

 宮本岳志「もう一問聞きますけれども、この会合、先ほど紹介した三月下旬から四月の音声データに録音されているその場に、大阪航空局が同席しておりましたか。していたと当人は言っておりますか」

 太田充「大阪航空局の方も同席していらっしゃったというふうに私どもの職員は申しております。

 宮本岳志「重大ですよ、これは。工事業者から見積もりに必要な資料の提出を受けるための協議というようなものではありません。ここに記録されていたのは、財務省と大阪航空局の職員が森友学園関係者と買い取り価格をめぐって口裏合わせを行っていたという驚くべき内容であります。

きょうは、その放送の全文を皆さんの手元に資料として配付してあります。そこで紹介された音声データの一部分をここにパネルにしてまいりました。このパネルを見ていただきたい。

まず、地下深くまでごみがあったことにして売却価格を引き下げるというシナリオを国側の職員が切り出しております。

これまで3メートルの深さまでごみがあることはわかっていたが、下線のところを見てください、その下にあるごみは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしているんですと述べております。国側が、先ほど不適切だったと言ったストーリーという言葉まで使っております。

それに対して、驚くべきことに工事業者が、3メートルより下からは語弊があります、3メートルより下から出てきたかどうかはわからないですと伝えている、そういうふうに認識を統一した方がいいなら我々合わせるが、下から出てきたかどうかは、私の方から、あるいは工事した側から確定した情報として伝えていない。きっぱり否定をしております。

続いて、国側の職員が、言い方としては、混在と、9メートルまでの範囲で、こう言い、すると、またすかさず工事業者が、9メートルというのは分からないです、3メートルより下からはごみはそんなに出てきていないと重ねて否定をしております。

ここで次のパネルになりますけれども、結局、学園の代理人弁護士が割って入って、そこは言葉遊びかもしれないがと前置きをして、9メートルのところまでがらが入っている可能性を否定できますかと言われたら否定できないでしょう、できないんです、そういう話なんですと述べる。

ついに工事業者も、その辺をコントロールしてくれたら我々は資料を提供しますのでと折れ、国側職員は、虚偽のないようにあれが大事なので、混在していると、ある程度3メートル超のところにもあると、ゼロじゃないとと念を押し、工事業者が、あると思いますと言うと、国側が、そんなところでつくりたいと、話をつくっているんですよ。

最後に、学園側弁護士が、責任問題に発展しないように頑張っていただけると信頼している、半分は我々のためにやってもらえると思って、半分は御自身のために頑張ってください。

ひどいじゃないですか。冗談じゃないですよ。こんな口裏合わせで、根拠も定かでない8億2千万円の大幅値引きをやって、国民の財産である国有地をただ同然で売却してやる。

総理、これはもう明確な背任ではないですか。

 太田充「今ほど御答弁を申し上げたとおり、先方とさまざまなやりとりがありましたけれども、あくまで、新たな地下埋設物の撤去費用を見積もるために資料が必要であるということから、さまざまな資料の提出をお願いしたということでございまして、委員御指摘のような口裏合わせをして地下埋設物の撤去費用を見積もろうとしたということは当たっていないというふうに考えてございます」

 宮本岳志「口裏合わせじゃないと。そんな話は通りませんよ」

総理、これは明確な口裏合わせじゃないですか。総理、御答弁ください」

 河村委員長「太田理財局長。(発言する者あり)」

太田理財局長、答えてください」

 太田充「先ほど内容について御説明申し上げたとおりでございまして、あくまで、三メートルを超える深いところから出てきたものについては新たな地下埋設物になるという認識のもとで、必要な資料の提出をお願いしてきたということでございます。

ストーリーという表現が適切でなかったと申し上げましたが、言葉遣いが適切でなかったところはあるかもしれません。ただ、あくまで、地下埋設物の見積もりをするために必要な資料の提出をお願いしているということでございます」

 出席者の発言を理解しやすようにするために宮本岳志がパネルで示して以前ブログ用に起こした会話内容をここに記してみる。


 関西テレビ報道番組の音声データより

 (国側の職員とみられる人物)

 「3mまで掘っていきますと、土壌改良をやってその下からゴミが出てきたと理解している」

 「その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリはイメージしているんです」

 (工事関係者とみられる人物)

 「3mより下からは語弊があります。3mより下からは出できたかどうかは分からないと伝えている。

 そういうふうに認識を統一した方がいいなら、我々は合わせるが、下から出てきたかどうかは私の方からは、あるいは工事をした側から確定した情報として伝えていない」

 (池田靖国有財産統括官・当時)

 「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのか、ご協議させて頂けるなら、そういう方向でお話をさせてもらえたらありがたい」

 (工事関係者とみられる人物)

 「3mより上のほうがたくさん出てきている。

 3mの下からっていうのはそんなにたくさん出てきていない」

 (国側の職員とみられる人物)

 「言い方としては“混在と、9mの範囲まで”」 

 (工事関係者とみられる人物)

 「9mというのは分からないです」

 「3メートルより下はそんなにゴミは出てきていない」

  (学園の代理人弁護士)

 「そこはね、もう言葉遊びかもしれないけれども、9mのところまでガラ(廃棄物)が入っている可能性は否定できますかって言われたら否定できないでしょ。できないんです。そういう話です」

 (工事関係者とみられる人物)

 「その辺をうまくコントロールしてくれたら我々は資料を提供しますので」

 (国側の職員とみられる人物)

 「虚偽のないようにしてあれが大事なので、“混在していると。ある程度3mの所にもあると。ゼロじゃないと”」

 (工事関係者とみられる人物)
 
 「あると思います」

 (国側の職員とみられる人物)

 「そんなところで作りたい」

 (学園の代理人弁護士)

 「責任問題に発展しないように頑張っていただけると信頼している。半分は我々のためにやってもらえると思って、半分はご自身のためにがんばってください」

 では、2018年2月15日の衆院予算委での宮本岳志の追及を見てみる。

 宮本岳志「私は昨年11月28日の当委員会で2016年3月下旬に録音された近畿財務局・大阪航空局が森友学園側と協議した内容の音声データを明らかにしました。そのときの太田理財局長の答弁は『様々な資料の提出をお願いした』というのがありました。

 また理財局長が『一部を切り取られている』などと言うので、昨日私はこの音声データの全体を財務省にお渡しし、今日まで聞いてくるようにお願いを致しました。財務省、聞いてきましたね」

 太田充「お答え申し上げます。昨日午後に当委員会の宮本委員の方から私に常日頃からご指導頂いております課長及び課長補佐からお呼びを頂き、二時間程の音声データを頂戴致しました。勿論森友関係の国会対応が優先されましたということでやっておりますけども、理財局、国債の話もありますし、財政投融資の話もあります。

 また昨日も、13日も色々ございますので、一部聞けませんでしたけど、それでは委員のご指摘に添えないと思いましたので、部下職員の協力も得て、全体像、大筋がどうなっているかというのは把握してこの席に臨んでおります」

 「私に常日頃からご指導頂いております課長及び課長補佐からお呼びを頂き」と言っている言葉全体、特に「お呼びを頂き」なる言葉に表れている上下関係の権威主義には恐れ入る。

 こういった権威主義が省庁内の部局同士のタテワリ、あるいは省庁間のタテワリを強固にしていく。

 「勿論森友関係の国会対応が優先されましたということでやっておりますけども、理財局、国債の話もありますし、財政投融資の話もあります」――

 忙しいけど、「森友関係の国会対応が優先される」から仕方なく音声データを聞いたといったバカにしたふざけた言い方になっている。

 宮本岳志は、いくら忙しくも、国有地売却に国側が便宜を図る不正があったのではないかとの国民の疑惑が存在する以上、その疑惑を晴らすのが忙しさを差し置いた最優先事項ではないのかと、なぜ追及しなかったのだろうか。

 何も言わなかったのはバカにしたふざけた言い方を許したことになる。

 宮本岳志はここで音声データは3月30日の会合の会話を録音された長さ2時間に及ぶということ、森友学園側の出席者が籠池夫妻、工事事業者、設計業者、代理人弁護士で、国側出席者が近畿財務局の池田靖国有財産統括官、その他の職員だと説明。

 宮本岳志「今日は重要なところを予め私の事務所で聞き取り、文字に起こしたものを資料として配布しました」

 安倍晋三は出席していないが、麻生太郎や野田聖子、林芳正、石井啓、その他の出席大臣に文字に起こしして配布したということなのだろう。

 そして 宮本岳志は3メートルの深さまでゴミの存在は明らかになっていたが、更に深い所からゴミが出てきたとされていると説明してから、「その下にあるごみというのは国が知らなかった事実なんで、そこはきっちりやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしている」だとか、「それでは語弊がある」だとか、国会で以前取り上げた国側、森友学園側、双方それぞれの発言を紹介してから、太田充が「地下埋設物の撤去費用を見積もるために必要な資料の提出をお願いする会話だとしていることに対して最後に一言質問している。

 宮本岳志「価格を下げるのに役立つような資料だけを出しましょうと言うことではありませんか」

 太田充「お答えを申し上げます。その部分だけを取り上げて、そういうふうにご指摘されると、困る(?)と申し上げざるを得ません。この音声データと称されるものは先方で当方の断りもなく一方的に録音されたもので、私供としてはそういうこと(録音)は致しておりませんので、そういう意味では確認のしようがないものでございます。

 ただ、委員がここまで仰っておられて、予定しておりますので、そのテープを前提に我々にも調べてお答えを申し上げるというところでございます。で、今回委員から、2時間程のテープを頂戴致して把握を致しました。

 で、今委員からご指摘の部分は昨年の委員会でも、ご指摘を頂いたところだと思っております。あるいは報道でも結構出ている部分だろうと思います。

 ただ、今回2時間全体を聞かせて頂きましたんで、そうしますと、正直に申し上げて、聞き取りにくい部分も大変多くて、難しい部分もあるんですが、全体として聞いていると、登場人物も大変多くて把握しにくいんですけども、全体として聞いてみると、このままでは学校開校に間に合わないと。

 で、損害賠償だ、国の責任だと言うことを随分言われ、そいう中で弁護士の方が中心となって議論されているなあという印象を持ったところでごまいます」

 この答弁にも追及しどころがいくつかあるが、宮本岳志は放置してしまった。最初に世に出た音声データの内容はテレビが声紋鑑定をしたために国側が事実と認めている。後から出された録音内容が捏造かどうかは声紋鑑定すれば分かることで、問題とすべきは事実かどうかであるにも関わらず、太田充は「当方の断りもなく一方的に録音されたもの」だ、国の方は録音していないから、「そういう意味では確認のしようがない」と筋が通らないことを好き放題発言している。

 要するに太田充は音声データ自体を“ストーリー”扱いしていることになる。宮本岳志は「会話の内容を事実だと認めないのか、我々のストーリーだと思っているのか」と反論すべきだったろう。

 あるいは「不当な格安売却こそが、自分たちでつくり上げたストーリーに基づいていた着地点ではなかったのか」という追及もできたはずだ。

 反論していたなら、「確認のしようがない」だ、「聞き取りにくい部分も大変多くて」などといった発言は口が裂けてもしなくなるだろう。
 
 宮本岳志は音声データだけ渡して、文字起こしした資料を渡さなかったのだろうか。渡しておけば、聞き取りにくい発言も文字を辿ることで意味が伝わる場合もある。宮本側が聞き取れない箇所があったなら、「聞き取れなし」と赤色の文字で記しておいたとしても、会合の目的が把握できさえすれば、細部まで聞き取れなくてはならないということはない。太田充にしても、「聞き取りにくい部分も大変多くて」などといった不遜な口の利き方はしなかったはずだ。

 また森友側が「損害賠償だ、国の責任だ」と言い立てることと正規の価格で売却することとは別問題であるだけではなく、問題の核心は正当な価格で売却したのかどうかであって、そのことを問題とせずに核心から離れたことを云々するのは答弁として成り立たないのではないのかと逆に追及できたはずだが、宮本岳志は「ダメですよ、速記を止めでください」と答弁になっていない抗議の姿勢は示したが、有効な追及はせずじまいで、音声データの国側の職員の会話、それに対する工事関係者の会話の説明を延々と続ける。

 前の国会の質疑応答から何も学ばず、学ばないから、何の発展もない質問を繰返し、同じような答弁を成果とするだけとなる。

 宮本岳志は会話の説明の最後に質問を一言加えるワンパターンを繰返す。

 宮本岳志「近畿財務局や大阪航空局の諸君にとっては責任問題に発展しかねない大幅の値引きの口裏合わせの証拠だと私は思いますけど、大臣(麻生のこと)、ここまで明らかになって、お認めになりますね」

 認めるはずもない散々否定してきたことを改めて尋ねた。麻生太郎は答弁に立たず、太田充は宮本岳志が「そんなことは聞いていない」と何度も自席から遮ろうとしたが、構わずにいつ頃の音声データだとか、どういった内容だとか、これまで国会答弁で繰返したのと同じ内容を繰返す。 

 太田充「(宮本岳志の抗議に逆らって)いやいや、地下埋設物の撤去費用を見積もるために算定する費用なり情報などが必要だと考えていた状況でございましてそうした認識や手順について協議をしておりました。

 ただ、こうした認識や手順を伝える表現としてストーリーという言葉を使ったということは適切ではなかったと本人も申しております。

 いずれにしても先方とは様々な遣り取りが行われましたけども、新たな地下埋設物の撤去費用の見積もりに当たり、反映する資料なり、情報なり、必要な手順等に協議を進めたというふうに認識しております」

 宮本岳志の質問は以後も続くが、“ストーリー”という言葉に最大のポイントを置かなければならなかったのだが、置くこともせず、「私供はこの後、この音声データは全てメディアに明らかにしたい」とか、「こういう遣り取りがあったことは事実なんですね」とか役にも立たないことを口にしている。

 なぜなら、メディアにどう公開されようと、あるいは会話の内容自体は事実と認めたとしても、値引きの口裏合わせだと認めさせることができない限り、追及側が「口裏合わせだ、口裏合わせだ」と単に騒ぐだけのことで終わるからだ。

 太田充はこの手の質疑が国会で展開されると、音声データに記録されている会合で池田靖国有財産統括官が「ただ、こうした認識や手順を伝える表現としてストーリーという言葉を使ったということは適切ではなかったと本人も申しております」と何度も答弁している。
 
 2017年11月28日の衆院予算委での宮本岳志の質疑を2017年11月30日付の「ブログ」にしたとき、〈データ内の良からぬ謀り事を行うときに用いる「ストーリー」という言葉を足がかりに森友学園工事関係者を証人喚問し、次いで安倍昭恵を喚問に持っていくべきだろう。

 この場合の「ストーリー」という言葉は表には出すことができない何らかの利益を図るための良からぬ謀り事を創作する場合に使う。一般的には「話をつくる」、あるいは「絵を描く」と言う。ネットの「日本語俗語辞書」には「絵を描く」を「ヤクザ用語で敵をハメたり、自分や所属する組に都合の良い状況になるよう、陰謀や策略を練ることをいう」とあるが、一般人でも何か良からぬ謀り事を用いて人を騙して利益を得ようとするとき、どういった謀り事にするか、その種類と手順の考えを巡らすときに使う。

 要するに良からぬ利益を図ることを暗黙の了解として話し合う場合、自ずとそれぞれが「ストーリー」を作ることになったり、その作成に加担することになったりする。

 事実に即して物事を進めていたなら、「ストーリ」という言葉も「話をつくる」という言葉も「絵を描く」という言葉も使う必要はない。単に物事の性格に応じた計画を立てて、実行に移すという段階を踏むに過ぎない。「ストーリーはイメージしているんです」という言葉が残されている以上、謀り事を暗黙の了解とすべく策していると見なければならない。

 当然、「大変適切ではなかった」と適切・不適切では片付けて済む言葉ではない。しかし宮本岳志は済ませてしまった。〉と書いた。

 例え一度は済ませてしまったとしても、再び音声データを取り上げて追及に当たるなら、そのデータが主として「新たな地下埋設物の撤去費用の見積もりに当たり、反映する資料なり、情報なり、必要な手順等に協議を進めた」会話が録音されたものだとする場合、そういった協議でどこをどう叩いたら、「その下にあるごみは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりやる必要があるでしょうというストーリー」「イメージ」することの必要性が出てくるのだと先ずは聞くべきだろう。

 撤去費用の「見積もり」を当たり前に「反映する資料なり、情報なり」が必要だと話し合うだけなら、「その下にあるごみは国が知らなかった事実なんで、そこはきっちりやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしている」などといった“話をつくる”意味の会話は必要ない。

 太田充がもし単に 「大変適切でなかったというふうに本人も申しております」と同じ答弁を繰返すようなら、池田靖を証人喚問に呼んで単なる協議に「イメージ」という表現を使ったことの必要性、どこをどう押したら必要となるのか、さらに協議との関連でどこがどう「適切でなかった」と反省するに至ったのか、具体的聞き質すべきだろう。

 口裏合わせの会合でない限り、話をつくる必要もないのに話をつくる意味の「ストーリー」なる言葉を使ったのである。協議と「ストーリー」という言葉の関連性を具体的かつ正確に説明しょうとすれば、必ずボロを出すことになるに違いない。

 少なくとも同じような追及を繰り返して、同じような答弁を繰返させることを成果とするよりも、この言葉を使ったことは池田靖も認めているのだから、「ストーリーはイメージしている」なる言葉を不正追及の突破口とすべきだろう。
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枝野幸男2/14日衆院予算委森友追及:ゴミの存在有無に尽きることを棚に上げた埒の明かない堂々巡りに右へ倣え

2018-02-16 12:39:20 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき


 森友国有地格安売却は不動産鑑定評価額9億5600万円の国有地に大量の地下埋設物――ゴミが存在すると見積もり、その撤去・処分費用として8億1974万円値引きし、1億3千万円余のタダ同然で売却した“ストーリ”によって成り立っている。この“ストーリ”が安倍晋三忖度案件疑惑なのか否か、その解明は撤去・処分費用が8億1974万円も必要とする程のゴミが実際に存在していたかどうかの解明に尽きる。

 共産党辰巳孝太郎が2017年11月30日の参院予算委で参考人で呼んでいた、この格安売却の妥当性を検証した河戸光彦会計検査院長に「ゴミは土の層から出たと推認されるか」と尋ねたのに対して会計検査院長は「概ね地下3メートル以深は沖積層が分布、新たに確認された廃棄物混合土は既知の3メートル程度と考えられる」と答えている。

 そして会計検査院長は沖積層を「約1万8千年前よりのちの最終氷期以降に堆積した地層とされている」と答弁している。いわば人間が捨てる生活ゴミ、あるいは産業廃棄物の類いが紛れ込む余地のない地層ということになって、3メートル以下はゴミは存在しなかったのではないかと考えていることになる。

 但し公明党国交相の石井啓一が、「沖積層でも、場所により河川や池などの分布によってその厚さが変わる。緩い地層はその底部が乱されて、深い所までゴミが混入している可能性もある」と、沖積層だからと言って、ゴミが存在しないと断言できないといった答弁をして辰巳孝太郎の3メートル以深にはゴミは存在しなかったのではないかという疑いを否定している。

 そこで2017年12月2日の当「ブログ」に、〈地層はそれが地層の変わり目とか、池や沼、川が存在したといったことは例外として一般的には一定の範囲で一定の深さを保つ。〉から、〈現在小学校の建物が立っている周囲全体を5メートル程度の間隔でボーリング〉してみれば、全体的な地層は割り出すことができるのではないかと言ったことを書いた。

 そのときは触れなかったが、ボーリング各所の地層の厚みをコンピューターに入力したら、全体的な地層図は解析できるのではないだろうか。

 この参院予算委の前日2017年11月29日の同じ参院予算委で民進党議員の川合孝典が会計検査院の報告書とこれまでの国会答弁の間に食い違いが生じているからとゴミの再調査を求めた。

 対して麻生太郎が次のように答弁している。

 麻生太郎「森友学園に御存じのように売却をいたしました土地につきましては、この土地の所有権というものに関しては本年6月に返還をされておりますのは御存じの問題だと思いますが、現実の問題として、今そこにはもう建物が、ほぼ完成した建物が建っておりまして、土地、建物の取扱い、これ掘り返すということになるんでしょうけど、掘り返すことにつきましては、これは管財人と交渉を行わなあいかぬと。

 この建物だって取っ払って真っ更地にして返してもらわないかぬわけですから、その建物を建てたお金は、建てた人は、受け取っていないという状況ですから、これどういう扱いをされるのか。

 これは交渉人に対して我々、取っ払ってくださいというのが我々の立場なんですが、我々は、この建物を建てましたけど、建物を建てた人から金をもらっていないと、その金をもらってきてからじゃないと、これそんなのできませんよというのが向こうの立場ですから、なかなか難しいのが一つ。

 従って、工事請負業者がそこを占有しておられるという現実がありますので、そういった意味では土地の調査等々を行うのは難しいという現実も御理解いただければと存じます」

 土地の所有権は国に返還された。とは言え、「現実の問題として」既にそこには建物が建っている。掘り返すということになると、森友学園が民事再生法の適用を申請し、現在管財人が財産の管理を行っているから、「管財人と交渉を行わなければならない」と言うなら、交渉をして承諾を得ればいい。

 管財人は裁判所によって専任されるということだから、土地の所有権を持つ国として裁判所に申し立てて許可を得て、裁判所が管財人に対して命令を下すことができる。

 但し建物の扱いがまだ決定していないから、建物の下は掘り返すことができなということなら、先程の校舎周囲をボーリングする方法を取ればいい。

 ゴミが実際に存在するかしないかによって8億1974万円もの値引きが不当なものかどうかが直ちに判明する。当然、国有地売却が不正な方法によって行われたかどうかの解明はゴミの存在有無の解明に尽きる以上、そのことに注力すべきだろう。。

 もう一つ、例えその土地のゴミ混入率が47.1%であったとしても、杭を打ち込むことさえできれば、撤去・処理の必要はなく、地中にゴミが残ることになっても、それは放置される。杭が建築物本体を支えるのであって、杭の間に残されることになるゴミは本体を支えるのに何ら障害とはならないからである。
 
 要するに回転させながら杭を捻り込んでいく際に周りの土と一緒に先端の羽によって地上に押し出されるゴミだけ処分すればいいから、そのゴミの量によってゴミ混入率47.1%が正当な見積もりであったのか、ゴミ混入率の見積もりに基づいたゴミ量に対する撤去・処分費用の算定が正当であったかどうかが判断できる。

 このことは実際に杭打ちを請け負った業者が最も明確に確認し得ることであり、埒の明かない安倍昭恵や前財務省理財局長佐川宣寿の国会証人喚問を求めるよりも杭打ち業者等の証人喚問を疑惑解明の突破口とすべきであるという「ブログ」を2018年2月5日付でエントリーした

 だが、記録文書を廃棄したとしている答弁に食い違いがあるとの理由で前財務省理財局長の佐川宣寿や首相夫人として便宜を謀った疑いから安倍昭恵の国会証人喚問を求める森友疑惑の追及が国会で繰返し繰り広げられるのみで、実際のゴミの量を確認する疑惑解明の方法に見向きもしない。

 疑惑追及が結果的に埒の明かない堂々巡りで終わっているにも関わらずである。

 立憲民主党代表の枝野幸男が代表になって初めて2月14日(2018年)に国会論戦に立った。2時間弱の持ち時間の全てを独占、〈辻元清美国対委員長は13日の党代議士会で「党を挙げて(国会論戦の)ヤマ場にしていきたい。約2時間の党首討論になる」と強調し、枝野氏の応援に集まるよう呼び掛けた。〉と2018年2月13日付「時事ドットコム」記事が伝えていた。

 「ヤマ場にする」と言うことは党首討論と見立てた枝野幸男のこの国会論戦をキッカケに安倍政権の政治の綻びを誘い出し、政権交代に追い詰めていくというプロセスを想定した追及でなければならない。その予感を与えない追及なら、ヤマ場の意味を成さない。

 枝野幸男は安倍晋三が構想している憲法改正問題や待機児童問題、労働法制問題、森友国有地格安売却問題等を取り上げたが、ここでは午後に入ってから森友問題でどのような追及が行われたのか見てみる。

 枝野幸男「残念がながら、佐川長官の問題を最後に聞かなければならない状態が続いています。最初に検査院にお伺いします。いわゆる森友問題で昨年11月に報告書を出しました。

 これは会計検査院法30条の3に基づく報告というふうに聞いておりますが、通常の会計検査とどう違うのか、先ず説明してくだし」

 河戸光彦会計検査院長「お尋ねの報告につきましては会計検査院が昨年3月に参議院予算委員会からの要請を受け、学校法人森友学園に対する国有地売却等に関し、貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続きの適正等について検査を実施し、11月22日にその結果を報告したものです」

 枝野幸男「これは財務大臣にお尋ねすべきだと思うんですが、この森友問題の土地にかかる様々な文書が破棄されたという国会での当時の佐川理財局長の答弁が繰返されたわけですが、そもそもこうした行政文書についての管理責任者は誰だったんです」

 麻生太郎「森友問題に対しましては国有地の貸付・売却にかかる文書は決裁文書の文書管理責任者は近畿財務局の統括国有地財産管理官であります」

 枝野幸男「と言うことは、その管理官が記録が残っていないという報告を佐川当時の局長にしていたという、そういう理解なんでしょうか」

 麻生太郎「その財務官の報告に基づいて佐川が答弁されたとご理解頂ければと思います」

 枝野幸男「そうすると、これは処分していたという、棄ててしまっていたという表現自体が先週の金曜日にも20項目のですか、文書が出てきたというようなことで、そもそも処分をしていたという説明自体が間違っていたと言うことがあるんですが、処分が適切でなかったとすれば、処分をしたその責任者はその近畿財務局の担当者ということでよろしいですね」

 麻生太郎「処分をした文書に関しましては私供としてはきちんと規則に則ってしておりますんで、今回出させていただきましたのはいわゆる法律文書、法律相談の文書なんでありまして、個別の面会記録ではないということで、法律違反ではないということでございます」


  枝野幸男「だけど、今回出てきた文書の中にはですね、15年4月2日付の文書の中には、『将来、学園側から損害賠償を請求される可能性がある』と法務担当者が指摘してですね、『遣り取りを整理し、可能な限り証拠を収集しておく必要がある』と、そもそも皆さまがお出しになった文書の中で法務担当者がそういう指摘をしてるんじゃないですか。

 違法かどうかではなくて、適切であったかどうかと言うことをお答えください」

 麻生太郎「ご指摘の文書は平成28年3月、新たなゴミがいわゆる発見される前の平成27年12月に作成された法律相談でありまして、ゴミが発見される以後の遣り取りとは関係ないというご理解頂ければと思います。

 この件に関しては当時森友学園の済んでおりました売買予約権の行使に関する手続き的な手順について相談したもんでありまして、新たな埋設物が発見された後の売買契約とは全く関係のないものであります」

  枝野幸男「何が関係ないのか、説明して頂かないと分かりません。一連の流れは賃貸借するという話だった。すると、売ってくれという話になった。ゴミが出てきた。全部一連の流れで、突然、売ってくれとか、買ってくれとか話になった。

 ゴミが出てきた。全部一連の流れで、その途中から、突然、売ってくれ、買ってくれとか、突然、ゴミが出てきたわけじゃないですか。将来トラブルになるかもしれないということで証拠書類を残して置かなければならない状況はゴミが出てこようが、賃貸が売買に変わろうが、一緒じゃないですか」

 麻生太郎「あの文書を廃棄していたというのに対して今般新たな文書が出てきたということなんだと思いますが、今般公開した法律相談の内容につきましてはこれまでも説明をしているものであって、開示請求の対応の中で文書の存在が判明したということで、国会より提出要請を頂いたところから確認作業を進めさせて頂いた上で、2月9日ですかね、ご示しをさせて頂いたということでありまして、今般開示した法律相談の文書と言うのは法的な論点について近畿財務局が検討を行っていた資料でして、検討を行うために必要な方法として相手方の主張と当方の考え方は勿論、含まれています。

 これまで佐川やらが念頭に置いて答弁をして、いわゆる森友学園との交渉記録ではございません。

 なお、法律相談の文書として検討している内容につきましてはこれまで国会や検査の過程で説明しているものでありまして、ことさら文書を隠してたもんではないというふうに考えております」

 枝野幸男「答えておりません。私が聞いているのは公開の話ではなくて、破棄についてです」

 この辺で文字起こしは切り上げることにする。何も変わらない質疑応答となっているからだ。枝野幸男には埒の明かない堂々巡りの質疑応答を続けているに過ぎないという意識はさらさらない。
  
 大体が最初の会計検査院長に対する質問はどうでもいいことであって、会計検査院長が国会で何度か答弁していることを聞き出したに過ぎない緩い出だしで始めている。

 枝野幸男は行政文書の管理責任者は誰かと聞き、麻生太郎が「近畿財務局の統括国有地財産管理官」だと答えると、「と言うことは、その管理官が記録が残っていないという報告を佐川当時の局長にしていたという、そういう理解なんでしょうか」などと疑い知らずの発言をしているが、安倍晋三や麻生、国交相の石井、国有地売却に関わった財務省の役人たちがグルになって不正を隠す陰謀のチームワークの存在可能性を疑う立場から質問しているはずだが、頭からすっかり抜け落ちたような発言となっている。

 新たな文書を開示したということはその開示によって疑惑が追及される恐れのない文書であるか、少しは怪しい文書であっても、言い逃れが可能と判断した場合であろう。

 それが麻生の「売買の経緯を記録した文書ではなく、法律相談の文書」といった趣旨の答弁となって現れ、「売買の経緯を記録した文書の破棄は規則に則ったもので、法律違反ではない」といった発言となって現れているのだろう。

 裏に存在するかもしれない経緯を疑わずに質問を繰返すから、結果、同じ答弁を何度も引き出すことになる。
  
 枝野幸男は最後に「1年前に(新たな20通の)文書を出せたのに出さなかった。責任者は佐川局長ではないか」と、他の野党議員同様に前財務省理財局長佐川宣寿の国会証人喚問を求めている。

 安倍晋三は証人喚問は党が決めることだというタテマエを取っているが、結局は優勢な頭数が決めることになる証人喚問が疑惑隠しと同じく安倍晋三やその他の閣僚と自民党役員がグルになったチームワークによって不都合と判断して反対していると疑えないことはない可能性を考えると、佐川と安倍昭恵の証人喚問に拘るのは時間のムダの積み重ねとなりかねない。

 実際にも枝野幸男が張り切って追及している午後のこの質疑の午前中2月14日11時16分発信で、自民党幹事長二階俊博と公明党幹事長井上義久が東京都内で会談、佐川宣寿の国会招致は「必要ない」との認識で一致したしたと「産経ニュース」が報道している。

 森友学園に対する国有地格安売却が安倍晋三忖度案件とは無縁で、何ら疑惑が存在しないなら、とっくに佐川宣寿ばかりか、安倍昭恵の国会証人喚問にしても実現していただろう。

 安倍晋三側が数の力で国会証人喚問を拒否する以上、埒の明かない堂々巡りは早々に切り上げなければならないのだが、枝野幸男は立憲民主党の約2時間の持ち時間を独占し、党首討論と位置づけて張り切って追及に及んだが、森友疑惑追及に関しての結果は右へ倣えの埒の明かない堂々巡りに終止することになった。

 安倍晋三や麻生太郎は内心、野党をあざ笑っているに違いない。

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安倍晋三の北朝鮮序列2位金永南との5分の会話:自身の発言だけを紹介して相手の反応を伝えない胡散臭さ

2018-02-15 12:06:16 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき


 安倍晋三が2月9日、平昌オリンピック開会式出席のために韓国を訪れ、開会式前に開かれた韓国文在寅(ムン・ジェイン)大統領主催の歓迎レセプション出席中、その終わり間際に同じテーブルに着いた北朝鮮の高位級代表団を率いる北朝鮮序列2位の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と握手し、通訳のみを交える形で5分程度、言葉を交わしたとマスコミが伝えていた。

 会話の内容については当日の9日夜遅くに「中身については詳細は申し上げられないが、従来からのわれわれの考え方を伝えた」と記者団に話したという。

 ところが、歓迎レセプション当日の2月9日付「NHK NEWS WEB」記事は北朝鮮による拉致問題や核・ミサイル開発を取り上げて、懸念など日本側の考えを伝えて前向きな対応を求めたと報じている。
 
 この記事が金永南(キム・ヨンナム)に伝えたとしている内容と2月13日午前の衆院予算委員会で自民党の柴山昌彦の質問に対する安倍晋三の答弁が符合する。但し柴山昌彦が問いもしないのに金永南(キム・ヨンナム)に何を伝えたのか自分から積極的に話している。

 柴山昌彦「平昌オリンピック開会式出席は自民党内でも反対論があった。どのような成果があったのですか」

 安倍晋三「日韓首脳会談で文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対して日韓合意は最終的且つ不可逆的な解決を確認したものであり、国と国との約束は二国間関係の基盤であるとの日本の立場を明確且つ詳細に伝えました。

 また、未来志向の日韓関係をつくり上げていかなければならないとの認識を共有致しました。

 北朝鮮問題について私から文大統領に対話のための対話には意味がないことをはっきりと伝えました。北朝鮮にその政策を変えさせ、北朝鮮の側から対話を求めてくるように日朝の緊密な連携のもと、圧力を最大限まで高めていくことで一致を致しました。

 さらに(文在寅大統領の)レセプションの機会を捉えて、北朝鮮の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長に対して私から拉致問題、核・ミサイル問題の日本側の考えを伝えました。

 特に全ての拉致被害者の帰国を含め、拉致問題の解決を強く、直接金永南(キム・ヨンナム)氏に求めたところであります。

 平昌オリンピックの開会式に同じアジアのリーダーとして出席をし、その成功に向けて協力すると共に選手村を訪問しまして、直接日本選手団を激励し、女子ホッケーの試合を観戦し、日本チームの応援をしたところであります。

 是非日本選手団には大活躍をして頂き、この機運の盛り上がりを2020年の東京オリンピックに繋げていきたいと思います。

 今回の訪韓は韓国および北朝鮮に対し、我が国の立場を直接伝える観点からも、平昌オリンピックの盛り上がりを東京大会の成功に繋げる観点からも、大変有意義であったと考えております。

 なお文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対しましては日韓合意について、あの決断の際にも私に対して様々な厳しい批判があったことを伝えたところであります。

 しかしその際、外交に於いてはリーダーが決断をしなければ、ある程度批判されることを含めて甘受しながら決断をしなければ、両国関係の、未来志向の両国関係は築けないかということも申し上げたところでございます」

 柴山昌彦は安倍晋三のこの答弁で平昌オリンピック開会式出席についての質問は切り上げて、外国人労働問題に移る。

 安倍晋三の答弁は自身の外交上の活躍場面を見事描ききっている。
 但し自分に都合のいいことのみを述べていて、不都合な点は何も触れていない。いわば柴山昌彦は安倍晋三に都合のいいことを答弁させるために質問を仕掛けたヤラセと疑えないことはない。

 例えば2月10日付「NHK NEWS WEB」記事は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との日韓首脳会談の際、安倍晋三が今回のオリンピックとパラリンピックの期間中、定例の米韓合同軍事演習の実施が見送られたことに関して「軍事演習は延期する事柄ではない。予定どおり進めることが重要だ」と主張したところ、北朝鮮の核放棄に向けた連携には同意したものの、「米韓演習は我が国の主権の問題、内政問題だ。安倍総理大臣から言われても困る」と述べたと伝えている。

 いわば文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米韓合同軍事演習について安倍晋三の主張に異を唱えたことになるが、こういった安倍晋三にとってはプライドを何がしか、あるいは相当に傷つける反応に関しては国会では触れずじまいにしている。

 ここに自身にとって都合にいいことは得々と披露するが、都合の悪いことは隠す、あるいは自身をカッコよく見せることができるきことは朗々と話すが、カッコ悪いことは口をつぐんでいるという、他のケースでもよく使う答弁の構図を見て取ることができる。
 
 また文在寅(ムン・ジェイン)大統領は日韓合意に関して「再交渉を求めない」という態度を取っているが、日韓合意の検証で「被害当事者たちの意思をきちんと反映していない」こと、「日本側が自ら、国際的な普遍基準によって真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力を続けてくれることを期待する」として合意に異議の意思表示をしているのは安倍晋三が従軍慰安婦の強制連行も強制売春もなかったという否定の立場を取っているのに対して文在寅(ムン・ジェイン)大統領が強制連行と強制売春の存在を歴史的事実として肯定する立場に立っているからだろう。

 だから、安倍晋三の否定に対して「日本側が自ら、国際的な普遍基準によって真実をありのまま認め」と肯定を求める文言を形成することになっている。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が自ら信じる歴史認識に立ち、その事実に賭けている以上、いわば自らの信念を曲げるか曲げないかの問題である以上、安倍晋三が日韓合意の際は自身も批判された、リーダーたる者は批判を甘受しながら、決断しなければならないといった問題ではないことになるし、その程度の問題にすること自体、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の歴史認識を蔑ろにすることになる。

 要するに批判と甘受云々も、実際に日韓首脳会談で述べたが事実だとしても、文在寅(ムン・ジェイン)大統領なりの反応があったはずだし、なければならないはずだが、そのことに一言も触れないのは国会では自分に都合のいいことだけを披露していることになる。

 安倍晋三が国会答弁で金永南(キム・ヨンナム)に対して「拉致問題、核・ミサイル問題日本側の考えを伝えた」と言っている以上、これも事実伝えたのだろう。だが、金永南(キム・ヨンナム)側の反応は何も紹介していない。ここに例の如くの都合のいいことは披露し、都合の悪いことは隠す答弁でよく使う構図を潜ませてはいないだろうか。

 北朝鮮にとっては拉致問題はどうあれ、核・ミサイル開発問題は自国の安全保障上の国家的な最重要課題であり、日本にとっては拉致問題にしても北朝鮮の核ミサイル開発問題にしても日本国民の生命・財産、さらには日本の安全保障に関わる最重要問題である。

 当然、5分程度の会話で、しかもレセプション(歓迎会)という集まりの性格上、突っ込んだ具体的な要求や主張を展開できるだけの時間的余裕もないはずだし、そうである以上、相手から具体的な回答を期待できる話に持っていくまでの時間的余裕にしてもなかったはずだ。

 要するに日朝間に横たわる重大な二国問題を話し合う場として設けられた正式の席ではないし、そうであるがゆえに時間的余裕がないにも関わらず、そのことに反して重大な二国問題も取り上げたこと自体の矛盾が生じる。

 この矛盾は安倍晋三が伝えた日本側の考えに対する金永南(キム・ヨンナム)の反応、もしくは回答を何ら紹介していないことによって色濃くなる。

 金永南(キム・ヨンナム)にしても北朝鮮序列2位の最高人民会議常任委員長である。子どもの使いで韓国に乗り込んできたのではないのだから、安倍晋三から伝えられたことをただ単に金正恩に伝えますと応じるはずはない。

 大体が北朝鮮外務省日本研究所の報道官が「日本人拉致問題は我々の誠意と努力で既に解決された問題だ」と主張したと2018年1月19日付「朝鮮労働党機関紙・労働新聞(電子版)」が伝えたと「時事ドットコム」記事が報じている。

 この解決済みは予てから北朝鮮の公式見解として伝えられている。

 当然、金永南(キム・ヨンナム)は拉致問題に関してはこの公式見解を安倍晋三に示すか、例え子供の使い並みに金正恩に伝えますと応じたとしても、安倍晋三はこのことを国会答弁で紹介しなければならない。

 相手の反応を紹介しないままに自身の得点となるよう見栄えのいい働きかけだけを紹介するのはある意味ゴマカシそのものであって、胡散臭い限りである。

 安倍晋三が金永南(キム・ヨンナム)に拉致被害者全員の帰国を求めたということで拉致被害者横田めぐみさんの母早紀江さん(82)が2月10日、共同通信の取材に応じ「直接話してくれてうれしい。後は日本の気持ちが金正恩さん(朝鮮労働党委員長)に届けば」と期待を示したと「共同通信47NEWS」が伝えていた。

 トランプが来日したときは安倍晋三は拉致被害者家族とトランプを面会させた。そのときも早紀江さんはトランプが解決の力になると期待した。だが、何も起こらなかった。

 安倍晋三が金永南(キム・ヨンナム)の反応を何ら紹介しないのは胡散臭い限りだが、相手の反応を知らせないままに期待だけ抱かせるのは何よりも罪作り話となる。

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安倍晋三建国記念日メッセージ:建国を歴史上のどの場所に置くか、その歴史認識が愛国心の意味をも違わせる

2018-02-13 11:46:29 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき


 安倍晋三が2018年2月9日、2月11日の建国記念の日を迎えるに当たっての「メッセージ」(首相官邸/2018年2月9日)を発した。

 平成30年2月9日「建国記念の日」を迎えるに当たっての安倍晋三メッセージ

 「建国記念の日」は、「建国をしのび、国を愛する心を養う」という趣旨のもとに、国民一人一人が、今日の我が国に至るまでの古からの先人の努力に思いをはせ、さらなる国の発展を願う国民の祝日であります。
 我が国は、四季折々の豊かな自然に恵まれ、長い歴史を経て、諸外国に誇れる日本固有の文化や伝統を育んできました。私たちは、五穀豊穣を祈り、田畑をともに耕し、水を分かち合い、乏しきは補い合い、共に手を携え助け合う、麗しい社会を築いてまいりました。知恵と創意工夫により、自然に向き合い、自然との調和を図りながら、科学技術の発展をはじめ、様々な分野において、人類の営みに大きく貢献してきました。

 長い歴史の中で、我が国は、幾度となく、大きな困難や過酷な試練に直面してきましたが、その度に、先人たちは、勇気と希望をもって立ち上がり、一人一人のたゆまぬ努力により今日の平和で豊かな国を築き上げ、自由と民主主義を守り、人権を尊重し、法を貴ぶ国柄を育ててきました。そうした努力の礎の上に、今日の発展があります。

 今を生きる私たちは、先人たちの足跡の重みをかみしめ、国際社会とも緊密に連携しながら、この尊い平和と繁栄を次の世代に引き継いでいくため、能う限りの力を尽してまいります。

 伝統を守りながら、同時に、変化をおそれず、困難な課題に対しても果敢に挑み、乗り越えていく。そうした努力を積み重ね、より良い未来を切り拓いてまいります。「建国記念の日」を迎えるに当たり、私はその決意を新たにしております。

 「建国記念の日」が、我が国のこれまでの歩みを振り返りつつ先人の努力に感謝し、さらなる日本の繁栄を希求する機会となることを切に希望いたします。

 平成30年2月11日 内閣総理大臣 安倍 晋三

 安倍晋三は“日本の建国”を歴史上、二つの時代に置いている。一つは紀元前660年とされている初代の神武天皇即位に、もう一つは日本が近代化を開始した明治維新であろう。

 建国記念日の前身の同じ2月11日の紀元節は神武天皇即位の日を当てている。また、皇祖を天照大御神と定める説と皇統が始まった神武天皇に置く説があるようだ。

 因みに「紀元」は「建国の最初の年」、「節」は「祝日」を意味する。

 前者は「四季折々の豊かな自然」、「五穀豊穣」、あるいは「田畑をともに耕し、水を分かち合い、乏しきは補い合い、共に手を携え助け合う、麗しい社会」といった言葉で象徴されている。

 後者は「今日の発展」と言っている、その幕開けを成した明治維新の時代を「長い歴史の中で、我が国は、幾度となく、大きな困難や過酷な試練に直面してきましたが」以下云々の言葉で表している。

 安倍晋三が“日本の建国”の一つを初代神武天皇の時代に置いているのは「タペストリー」(綴織・つづれおり)という言葉を使って、代々天皇家を日本の中心に据えているところに現れている。

 「タペストリー」に関しては安倍晋三著「美しい国へ」でも取り上げているし、取り上げないはずはないのだが、テレビでも何度か熱心に話している。

 今回は一度だか、ブログで取り扱ったが、2009年2月11日の明治神宮会館で開催の「建国記念の日奉祝中央式典」でのスピーチから一部抜粋してみる。

 安倍晋三「よく『国柄、国柄』と、こういうことを議論することがあるんですが、私たちの国柄は何かと言えば、これはもう、古来からの長い長い歴史の中において、日本人の営みの積み重ねの中に自然に出来上がってきたものが、私は、『日本の国柄』ではないかなと思うところでございます。
  
 日本の歴史というのは、言ってみれば、いわば、つづら織りのようなものでありまして、タペストリーですね。

 この長い歴史をそれぞれの人々が個々の歴史を積み重ねる中で、全体のつづら織ができあがってきたわけでありますが、やはり、真ん中の中心線というのは、わたくしはそれはご皇室であろうと、このように思うわけであります。(大きな拍手)
  
 そしてそれはまさに、一本の線で、ずーーっと古来から今日までつながっている。 ここが諸外国とは大きく違う点であろうと、わたくしは思います。

 日本と外国との違い、たくさんあります。また、外国の王室との違いも私はある、と思います」

 「真ん中の中心線というのは、わたくしはそれはご皇室」だと、日本の歴史の中心線を代々の天皇家と見ている。「この長い歴史をそれぞれの人々が個々の歴史を積み重ねる中で、全体のつづら織ができあがってきたわけでありますが」との言い方で時代時代の日本人一人ひとりが歴史をつくる参加者としてはいるが、そのようにしてつくられた歴史の中心線に天皇家を置いているということは天皇を日本の歴史の主宰者と看做す国家観であって、天皇を特別な存在とする国家観となる。

 そして歴史の中心線に天皇家を置いた安倍晋三という人間の中での“日本の建国”は、当然、神武天皇の時代ということになる。“日本の建国”を神武天皇の時代に置くことによって、日本の歴史の中心線を代々の天皇家とすることができるし、合理的整合性を失わずに済む。

 安倍晋三という人間の中でのもう一つの“日本の建国”を日本が近代化を開始した明治維新に置いていることを見ていく。

 明治維新は天皇が君主としての実権を回復した節目の瞬間でもあった。1889年(明治22年)2月11日公布の「大日本帝国憲法」で統治権と陸海軍に対する統帥権を与えられ、「神聖ニシテ侵スヘカラス」の絶対的存在とされた。

 但し実質的な政治権力は主として薩長閥出身の政治家や軍人が握っていて、彼らが明治維新から敗戦まで絶対的権力者としての天皇の名に於いて政治を動かすことで天皇を国民統治装置とする権力の二重構造を築いていた。

 そしてこの権力の二重構造は明治維新によって始まったわけではなく、4世紀頃から6世紀頃までの大和朝廷の時代からほぼ一貫して各時代の天皇と各時代の世俗権力者によって権力の二重構造は続けられた。明治維新になって、その政府が前時代までの二重構造制度を踏襲したに過ぎない。

 当然、天皇が国家の中心に位置していることに変わりはなかったし、大日本帝国憲法との整合性からも、少なくとも国民から見た場合は天皇は国家の中心そのものであった。安倍晋三が歴史的且つ伝統的な権力の二重構造を無視して、特に明治維新から色濃さを増した敗戦までの二重構造に目を向けずに天皇を日本の歴史の中心線と看做し、日本の歴史の主宰者に位置づけていられるのは安倍晋三自身が国家権権力者の立場に立った視線で天皇を眺めているからだろう。

 国家権権力者の立場から天皇を頭に戴く以上、権力の二重構造に触れるのはタブーとなる。国民に対して敗戦までの如何なる時代に於いても権力の二重構造など存在しなかったように見せ掛けなければならない。そうしないと、国民に対しては天皇の有り難味を失わせることになり、国家権権力者にとっては「日本国民統合の象徴」という名で現代に於いても国民統治装置の側面を持たせた天皇の有り難味が失わせてしまうことになるからだ。

 以上のことを踏まえて、安倍晋三の2018年1月1日の「年頭所感」首相官邸)を見てみる。

 安倍晋三「新年あけましておめでとうございます。

 本年は、明治維新から、150年の節目の年です。

      ・・・・・・・・・・

 150年前、明治日本の新たな国創りは、植民地支配の波がアジアに押し寄せる、その大きな危機感と共に、スタートしました。

 国難とも呼ぶべき危機を克服するため、近代化を一気に推し進める。その原動力となったのは、一人ひとりの日本人です。これまでの身分制を廃し、すべての日本人を従来の制度や慣習から解き放つ。あらゆる日本人の力を結集することで、日本は独立を守り抜きました」――

 安倍晋三は現在の日本という国の起点を明治維新に置いている。いわば「建国記念日」に擬えて歴史的に眺めるときは日本の歴史の中心線に置いた天皇の初代である神武天皇の即位が“日本の建国”に当たるのに対して明治維新を現代に続く日本の近代化の出発点という意味で、“日本の建国”に当てて、後者は象徴的意味合いでだが、結果として歴史上の二つの時代に“日本の建国”を設ける歴史認識に立っている。

 後者については上出「建国記念の日奉祝中央式典記念講演」の別の発言に現れている。

 安倍晋三「わたくしは残念ながら、この占領下にあって、日本はその姿かたちを占領軍の手によってつくりかえられたのだろうと、このように思うわけでございます」

 発言の意味は誰がどう見ようと、戦後という時代の否定である。約7年間の占領時代に基本的人権の保障、学問や言論の自由、女性参政権付与等々の新しい日本国憲法が制定され、米国指導の元、民主的な教育理念に則った教育改革が行われ、教育基本法が制定され、基本的人権の否定材料としての治安維持法や治安警察法が廃止され、特別高等警察等が解体された。

 占領時代は7年間であっても、戦前とは180度異なる以上のような制度の中で日本人は呼吸し、その精神は育まれていき、占領時代が終わりを告げたとしても、呼吸し、精神を育む土壌は変わりなく続くことになった。

 いわば占領時代の終わりと同時に「占領軍の手によってつくりかえられた」日本の「姿かたち」が簡単に元に戻るわけではない。だから、「つくりかえられた」と占領時代を否定しなければならない。

 この「記念講演」から3年後の2012年4月28日に安倍晋三は自民党主催「主権回復の日」にビデオメッセージを送って、同じ趣旨のことを述べている。

 安倍晋三「皆さんこんにちは。安倍晋三です。主権回復の日とは何か。これは50年前の今日、7年に亘る長い占領期間を終えて、日本が主権を回復した日です。
 しかし同時に日本はこの日を独立の日として国民と共にお祝いすることはしませんでした。本来であれば、この日を以って日本は独立を回復した日でありますから、占領時代に占領軍によって行われたこと、日本はどのように改造されたのか、日本人の精神にどのような影響を及ぼしたのか、もう一度検証し、そしてきっちりと区切りをつけて、日本は新しいスタートを切るべきでした」――

 「日本はどのように改造されたのか、日本人の精神にどのような影響を及ぼしたのか」と占領時代と占領時代につくられた様々な制度によって「日本人の精神」が育まれた戦後の時代を否定している。

 否定は肯定を比較対象とすることで成り立つ。肯定を比較対象としない否定は存在しないし、否定を比較対象としない肯定は存在しない。

 安倍晋三が占領時代とその後の時代を否定した比較対象に定めている肯定の時代は戦前に他ならない。“日本の建国”を歴史上、二つの時代に置いている一方の明治維新とそれ以後の敗戦までの時代以外を、否定している占領時代の肯定対象と想定することは不可能である。

 このことは何度でもブログに取り上げた安倍晋三の靖国神社参拝からも指摘できる。第2次安倍政権発足1年を期して2013年12月26日に靖国神社参拝を行って、「恒久平和への誓い」と題した談話を発表している。 

 〈「本日、靖国神社に参拝し、国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。〉――

 「国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊」が命を捧げ、犠牲にする対象は戦前日本国家を措いて他にない。

 このような国家を対象とした国民の命の奉仕は戦前の日本国家という空間で演じられた国家と国民との間の関係性として存在した。いわば戦前日本国家と国民の関係性を肯定し、理想としているからこそ、命を捧げた場合、「哀悼の誠を捧げる」価値が生じ、「尊崇の念を表す」価値が生じる。

 当然、靖国神社参拝とは靖国神社を舞台として戦死兵に対する鎮魂の姿を借りた戦前日本国家と国民の関係性を理想とする戦前日本国家称揚の儀式でしかなく、このような儀式を政治の次元で重要としているのは戦前日本国を理想の国家像とし、そのような国家像を戦後日本国家に連続させたいと欲しているからに他ならない。

 この連続の意思が「日本人の精神」を悪しき方向に変えたとしている占領時代の否定となって現れている。

 安倍晋三が“日本の建国”を神武天皇即位と同時に明治維新に置いて、明治維新から敗戦までの戦前の時代を理想の国家像とする歴史認識を自らの精神としている以上、上記2月9日の「建国記念の日」に当たって発言している言葉も意味が自ずと違ってくる。

 「建国をしのび、国を愛する心を養う」と言っている「国を愛する心」にしても、安倍晋三が占領軍がつくった憲法だと批判している日本国憲法が日本人の精神の形成に陰に陽に幾ばくかの影響を与える戦後の日本を対象としているのではなく、自らが理想の国家像としている戦前の日本国家を対象として発揮するような“愛国心”と解釈しなければならない。

 「自由と民主主義を守り、人権を尊重し、法を貴ぶ国柄」にしても、聞こえはいいが、実質的には戦後の日本よりも戦前の日本に重心を置いたそれらの傾倒と見なければならない。

 育んできたとしている「長い歴史を経て、諸外国に誇れる日本固有の文化や伝統」にしても、戦前型の内容をより重視していることになる。

 歴史認識によって報道の自由や思想・信教の自由等々の基本的人権にしても、愛国心にしても、考えている内容は違ってくる。安倍晋三の国民の生存に深く関わるこれらの価値観は安倍晋三の歴史認識を通して読み解かなければならない。

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河野太郎の「私が米国の新たな核戦略作成に関与しているわけではない」に見る薄汚い責任回避と自己正当化

2018-02-12 10:35:00 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき


 2018年2月9日付「NHK NEWS WEB」記事が2018年2月2日米国防総省発表、トランプの「核態勢の見直し(NPR)」についての外相河野太郎の8日衆院予算委での発言とその発言に対するロシアの反応、その反応に対する河野太郎の反応を伝えている。  

 2月8日衆院予算委。

 河野太郎「現在、核の世界を不安定にしているのは、アメリカではなく、小型の核兵器の開発を進めるなどしているロシアだ」

 この発言に対するロシアの反応。

 ロシア外務省は「平和条約交渉に否定的な影響を及ぼす」

 ロシアの反応に対する河野太郎の反応(2月9日記者会見)。

 河野太郎「アメリカの新たな核戦略で述べていることを紹介したものであり、私に対してではなく、アメリカに対して言ってもらいたい。私が新たな核戦略の作成に関与しているわけではない」

 記事は2月8日衆院予算委での対河野質問者が誰か書いてはいないが、他の記事によると、立憲民主党議員末松義規と出ていたから、質疑の動画から、その箇所の発言を拾ってみた。

 末松義規「河野大臣にお伺いしたいんですけども、NPR(トランプの核態勢の見直し)の話になると思うんですけど、日本というのは唯一の被爆国で、ずっと世界に対して核兵器の廃絶、それを本当に伝え、そして主張してきました。

 この観点から言ってですね、日本の核兵器に対する考え方、これはどうあるべきかと思っていますか」

 河野太郎「計画的な核廃絶を目指している我が国の方針はありませんが、現在の北朝鮮の核並びにミサイルの脅威は現実的な脅威でございます。

 これに対して国民の生命、あるいは平和な暮らしを守る日本としては非核三原則を堅持する以上、米国の核抑止に頼らざるを得ないというのが現実でございます。

 そういう意味で今回の米国のNPRを高く評価したいと思います」

 河野太郎のNPRに対する安倍晋三共々の“高い評価”は2月2日の河野太郎談話で既に述べている。安倍晋三に関しては2月7日に米副大統領ペンスと首相官邸で会談した際、NPRについて「高く評価する」と伝えている。

 この両者のNPRに対する“高い評価”はロシアをして国防上、北方四島の軍事的価値を改めて確認させることになり、安倍晋三は北方四島の帰属問題と平和条約締結に向けた交渉を手繰り寄せるのとは逆の、プーチンにロシア領として維持する必要性を改めて確信的に与える距離にまでなお遠ざける行動を取ったことになるのだから、日露平和条約無締結状況に「私とプーチンが終止符を打つ」の発言はハッタリに過ぎないといったことを2月9日の当「ブログ」に書いた。    

 では、上記ブログでも紹介したが、改めて「河野太郎談話」から関係箇所を紹介してみる。

 1.2月2日(米国東部時間,日本時間3日未明),米国防省は,「核態勢の見直し(NPR: Nuclear Posture Review)」を公表しました。
 2.今回のNPRは,前回のNPRが公表された2010年以降,北朝鮮による核・ミサイル開発の進展等,安全保障環境が急速に悪化していることを受け,米国による抑止力の実効性の確保と我が国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にしています。我が国は,このような厳しい安全保障認識を共有するとともに,米国のこのような方針を示した今回のNPRを高く評価します。

 河野太郎が「2月9日記者会見」でロシアの対河野発言への反応に対してどのような発言をしているのか、その箇所を外務省サイトから引用してみる。

 記者「昨日の予算委員会での発言に関してなんですが,NPRをめぐる発言で,大臣,核が世界の不安定化をもたらしているのはアメリカではなくロシアだと発言したことに関して,ロシアの外務省が反発していると,要するに平和条約交渉に否定的な動きじゃないかというふうな見解を示していますが,その発言の真意と,その受け止めについてどういうふうに・・・」
 河野太郎「NPRがそのように述べていることを紹介したのであって,それはアメリカに対してロシアが言っていただきたいと思います。私(大臣)に言われても私(大臣)がNPRの作成に関与しているわけではありません」

 この発言に対して記者の誰もが再度聞き返すこともせず、この問題はこの発言で終わっている。

 河野太郎はトランプが新たに発表した核戦略――「核態勢の見直し(NPR)」に関しては「アメリカに対してロシアが言っていただきたいと思います」と発言しているが、ロシアは2月3日の声明で既に物申している。
 ロシアのこの声明も上記当「ブログ」で紹介しているが、既にリンク切れとなっている2018年2月4日付「NHK NEWS WEB」記事から改めてここに記載してみる。

 ロシア外務省声明「深く失望した。敵対的で反ロシア的な態度が明白だ。アメリカはロシアが核戦力を近代化させていることに関連づけることで、大幅に核兵器を増強することを正当化している。

 ロシアが核兵器を使用できるのは、ロシアと同盟国に対して核兵器や大量破壊兵器が用いられた場合などに限られている。

 我々の自衛のための権利に対して疑問を投げかける試みだ。我々も必要な措置を取らざるを得ないだろう」

 ロシアの「我々も必要な措置を取らざるを得ないだろう」との発言を捉えて、上記ブログに〈トランプはロシアに向けて核軍拡競争の引き金をあからさまに引いた。〉と書いた。

 「私(大臣)に言われても私(大臣)がNPRの作成に関与しているわけではありません」は確かにそのとおりである。一分の間違いもないし、ほんの僅かなウソ偽りもない。正直そのものの発言である。

 その一方で、「米国のこのような方針を示した今回のNPRを高く評価します」と新たな核戦略に賛意を示し、歓迎している。そして「米国の核抑止に頼らざるを得ない」(2月8日衆院予算委発言)との表現が示しているように日本が自国安全保障を米国の核の傘に依存している以上、「NPRを高く評価」という言葉に現れているNPRへの賛意・歓迎はNPRの傘に入りますという意思表示でもあり、そうである以上、日本のNPRへの一体性を表明したことになる。

 アメリカの交代した政権によって見直された核戦略に対して日本がその見直しに何らかの異も唱えずに逆に賛意を示し、歓迎すれば、見直された核戦略・NPRのその核の傘に従来どおりに依存することを意味することになるからだ。

 当然、「米国のこのような方針を示した今回のNPRを高く評価します」と談話を発表した時点で河野太郎は日本が米国と緊密な軍事的同盟国にある関係からも、あるいは日本が地理的に近接している関係からも、日本に対するロシアや中国、北朝鮮の反発は極く当然のことと想定内に収めておかなければならなかったし、そうしてこそ、自らが持つ合理的判断能力が機能していることの証明とすることができたはずだ。

 ところが、河野太郎は首相と共に一国の外交を預かる外務大臣を務めていながら、安倍晋三共々日本のNPRへの一体性を表明したことに気づきもせずにロシアの反発を想定内としていなかった。想定内とするだけの合理的判断能力を機能させることができずにいた。

 「高く評価します」とNPRへの賛意・歓迎を表明した以上、日本の問題にリンクしてくることになるはずだが、そうなるという判断もできずに「それはアメリカに対してロシアが言っていただきたいと思います」とNPRの日本へのリンクを外してアメリカだけの問題とすることができた。

 想定しなければならない日本へのリンクは、当然、「私(大臣)がNPRの作成に関与している」か否かは無関係な事柄とする。「作成に関与」していなくても米国の核の傘への依存に変わりはないのだから、日本のNPRへの関与は否応もなしに発生する。

 となると、 ロシアの対日批判を「私(大臣)に言われても私(大臣)がNPRの作成に関与しているわけではありません」云々は正直そのものの発言ではなく、関係諸国間の外交の経緯、あるいは相互的な影響を満足に予測し、計算するだけの合理的判断能力を全く欠いていることの証明ということだけではなく、「NPRを高く評価します」と言っておきながら、自身をそのNPRとは無関係の場所に置こうとしたのだから、薄汚い責任回避と間違った自己正当化を謀った発言に紛れもなく相当することになる

 薄汚い責任回避も間違った自己正当化も当人の性格に起因する。その性格が一国の外務大臣でありながらのこの悪しき逆説性を生み出すことになっているに違いない。

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