高校無償化の朝鮮学校排除で終わらない日本社会への影響

2010-02-28 08:17:00 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 4月から実施予定の高校無償化で朝鮮学校排除の動きが問題化している。排除推進の中心人物は中井洽国家公安委員長。26日の閣議後の記者会見で次のように排除理由を述べている。《高校無償化、朝鮮学校の除外「拉致は無関係」 首相》NIKKEI NET/10.2.26 14:01)

 中井「拉致問題に絡んで制裁措置をしている国の国民だからこれはどうなんだろうと、昨年12月に川端達夫文部科学相に強く申し上げた」

 要するに拉致問題で北朝鮮に制裁措置を行っている最中だから、その国の国民が通う朝鮮学校に対しても高校無償化の対象から排除する制裁を施すべきだと主張したと言うことである。

 親が殺人犯だからと言って、大人たちが自分の子どもに殺人犯の子どもとは付き合うなと殺人犯に対する制裁をその子どもへの制裁にまで広げる、あるいは殺人犯に対する制裁をその子どもへの制裁で代償させることと似ている。国家公安委員長を務めるだけのことはある。

 中井洽国家公安委員長の高校無償化朝鮮学校排除主張に対する鳩山首相の姿勢。2月25日夕方の国会内のぶらさがり(?)記者会見での発言を《天皇の政治利用「あってはならない」25日の鳩山首相》asahi.com/2010年2月25日21時21分)(「高校無償化」に関してのみ抜粋引用)が伝えている。

 〈――中井洽・国家公安委員長が朝鮮学校は支給対象外とするように要請しているが、総理の見解はどうか。

 「これはいま調整、最後の調整しているところと承っていますが、これはやはり、朝鮮学校の方々のどういう、いわゆる指導内容とかね、どういうことを教えておられるのかというようなことが必ずしも見えない中で、私はやはり中井大臣の考え方というのは一つ案だと考えております」

 ――具体的な対象についての総理の考えは。

 「方向性として、そのような方向性になりそうだというふうには伺っていますが、最後の調整だと思います」 〉――

 この首相発言は“拉致制裁”からの無償化排除だとは直接的には言及していないが、指導内容の不明を理由に挙げて、「中井大臣の考え方というのは一つ案だと考えております」と中井大臣の“拉致制裁”に賛意を示している。

 翌26日午前には「拉致」という言葉を使って次のように述べていることを上記「NIKKEI NET」記事が伝えている。

 「国交がないわけだから中身はこちらから見えない。拉致とかかわりがある話ではない」――

 「拉致とかかわりがある話ではない」と言うことなら、「私はやはり中井大臣の考え方というのは一つ案だと考えております」は矛盾した発言となる。軌道修正を図ったということなのだろうか。

 具体的には拉致制裁がらみの朝鮮学校排除から朝鮮学校の授業内容が見えないことからの朝鮮学校排除への軌道修正ということになる。

 鳩山首相が言っていた朝鮮学校の授業内容が「どういうことを教えておられるのか」、あるいは「中身はこちらから見えない」とは、政府筋の指摘として《鳩山首相、「制裁」絡みの否定に躍起=朝鮮学校を無償化から除外》時事ドットコム/2010/02/26-21:34)が次のように伝えている。

 〈朝鮮学校が反日教育を行っている可能性を念頭に「どういう教育をしているか分からないのに、国民の税金を使っていいのか」〉――

 同記事は上記26日の鳩山首相の発言を次のように書いている。

 「国交がないから、教科内容を調べようがない。国交のある国を優先するのは無理のない話だ」――

 明らかに“拉致制裁”から離れて、「教科内容」、あるいは「指導内容」に軸足を移した無償化排除理由となっている。

 「時事ドットコム」記事は朝鮮学校無償化排除が、〈閣内に除外への異論もあることなどから、あくまでも教育制度上の理由とするのが得策との判断もありそうだ。〉と、“拉致制裁”を理由づけとすることへの矛盾を払拭する変更ではないかと解説している。

 そしてこの「得策」とする“変更”をさらに次のように具体的に解説している。

 〈民主党が衆院選で掲げた高校無償化は、「家庭の状況にかかわらず、安心して勉学に打ち込める社会をつくる」との考え方に基づく制度。拉致を理由に除外すれば「政治の教育への介入」(政府高官)と受け取られ、制度の目的があいまいになりかねない。結局、教育内容を把握できないことを理由に排除するのが、無難であるのは間違いない。

 もっとも、「友愛」を掲げる首相の政治理念になじまないとの見方もある。首相は26日夜、こうも強調した。「友愛は、体制が違うからといってけんかをするというのはふさわしくない。そういう思いはある」〉――

 首相が言う「体制が違う」は北朝鮮を指しているはずで、当然、「けんかをする」しないの対象も北朝鮮となるはすだが、どういう理由であれ、排除という名の、ある意味“けんか”を仕掛けているのは実質的には朝鮮学校に対してである。体制が違う北朝鮮に、「体制が違うからといってけんかをするというのはふさわしくない。そういう思いはある」と言いつつ、朝鮮学校に“けんか”を仕掛けるのは最初に譬えた、親が殺人犯だからと言って、大人たちが自分の子どもに殺人犯の子どもとは付き合うなと殺人犯に対する制裁をその子どもへの制裁にまで広げる、あるいは殺人犯に対する制裁をその子どもへの制裁で代償させるのと同じことをすることにならないだろうか。

 国連人種差別撤廃委員会(事務局・ジュネーブ)が9年ぶりに行った対日審査会合の2月24日の各国の専門家による質疑で「教育担当相と別の閣僚(中井洽拉致問題担当相)が、北朝鮮との外交関係を理由に対象外とするよう主張しているようだが、そういう差別的措置が取られるのか」といった質問や指摘が出たと、《高校無償化:朝鮮学校問題 国連委で議論》毎日jp/2010年2月26日)が報道している。

 このような疑義に対して25日、〈文部科学省の担当者は無償化法案について「(朝鮮学校など)各種学校については、高校に類する課程を定めた学校を対象とするとしているが、今後の国会審議を踏まえて対処する」と述べるにとどまった。〉と伝えている。

 鳩山首相の「中井大臣の考え方というのは一つ案だと考えております」と言いつつ、“拉致制裁”否定発言は国連人種差別撤廃委員会の高校無償化からの朝鮮学校排除への疑義が理由となっているのかもしれない。

 朝鮮学校は北朝鮮の影響が強い在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と関係が深いという。朝鮮学校の講堂に金正日総書記の肖像画を掲げている(msn産経)、あるいは、〈朝鮮学校は以前、万景峰号での修学旅行(祖国訪問)を通じ、金総書記への忠誠心などを植えつける教育を行っていた。今も、そのような思想教育を行っているのか。北の国家犯罪で、日本の主権と日本人の人権を侵害した拉致事件をどう教えているのか。〉(同msn産経)と報道するマスコミも存在する。これを事実と受け止めて、独裁者金正日の強固な指示を受けて、反日教育を施しているとしよう。

 だとしても、朝鮮学校卒業生を日本社会は順次受け入れていく。中にいるかもしれないが、すべてが卒業後北朝鮮に渡るわけではない。生活の基盤が日本にあるだろうから。彼らが朝鮮学校で植えつけられた反日意識が日本社会の中で凝り固まらせたまま推移するのか、あるいは善悪いずれかの方向へ変化を見せるのかは日本社会の受け入れようにかかっているはずである。

 彼らに生き方を教える教師が朝鮮学校の金正日の意を体していたかもしれないた教師から日本社会の構成員たる日本人に変わるからだ。

 このことは「留美的親美、留日的反日」(アメリカに留学した者は親米派になり、日本に留学した者は反日派になる)と言う中国の言葉が如実に証明している。このことに関する分析を行っているHP中国人留学生の日本観》(孫 長虹)が詳しい分析を紹介している。

 日本語学校で語学を学ぶ中国人の〈就学生の多くは言葉を習得していないため、学費を稼ぐためのアルバイトは、体力を使う仕事につくことが多い。今までの研究によると、日本人とかかわりの多いのは、バイト先の日本人であって、中国人就学生の異文化接触における不満の決定因は、アルバイト先に由来するという結果が出ている。また、中国人就学生の日本観もアルバイト先の体験が彼らの日本に対するイメージの決定因となり、「極端な否定的なイメージ」と位置付けられている。

 日本人とのバイト先でのトラブルは、就学生は大学生の3倍近く(大学生は13.6%、就学生は36.4%)であって、日本社会に対する不満度が、大学中国人留学生の日本観の2倍になる。すなわち、日本社会及び日本人に対する態度に関しては、大学生に比べて、就学生はよりネガティブである。日本での生活に、孤独・苦痛・つまらないといった否定的な感情を抱く者は、大学生では42%であるのに対し、日本語学校生では75%にも達している。

 また、大学生は約4割が奨学金をもらっているのに対し、日本語学校生は98%の人が奨学金をもらっていないのが現状である。また大学に在学する留学生は、大学の授業料の免除を受けることもできるが、就学生の日本語学校の授業料は割高である上に、免除されない。さらに来日する時に、借金を背負うケースも少なくない。このように、留学生に比べれば、就学生は厳しい状況下に置かれているのが明らかである。

 中国人就学生の80%以上が、ブルーカラーの職種についていて、そしてアルバイト先での処遇や日本人の態度が差別的であるという不満が最も多いと指摘されている。中国人就学生がアルバイト先で感じた不満や被差別感は日本人に対する不信感を深め、日本人との接触を回避させ、敵意を助長させることも予想できる。したがって、「留日反日」(日本へ留学して、反日感情を抱く)という傾向が、中国人就学生の中に存在するのは否定できない。〉――

 一方殆んどアルバイトをせずに留学生活を維持できる〈国費留学生が普段付き合っているのは、大学の先生、日本人学生に限定されがちである。彼らは私費留学生と違って、アルバイト先での辛い体験を持っておらず、周りの親切にしてくれた日本人によって、彼らの日本・日本人に対する肯定的なイメージが形成されるわけである。このように、経済的な圧迫が無く、研究に専念できる国費留学生は、日本人との付き合いに満足し、その日本観はおおむね肯定的である。〉と同じ日本社会でも、経済的余裕の有無が決定要因となる受入れ態様の違いによって対日観の違いが生じることを紹介している。

 いわば受入れ態様の違いが住む社会の評価を決定する。評価がその社会の性格を色づけることは断るまでもない。

 このことは在日韓国人、在日朝鮮人についても当てはまる構図であろう。

 国交がないことを理由としようと、授業内容が反日教育となっていることを理由としようと、高校無償化の朝鮮学校排除は朝鮮学校生や彼らの親や近親者をして、なお一層反日化させ、そういった反日化した者を日本社会は受入れ、抱えることになる。そういった状況に立たされたとき、日本社会が反日化した者たちの反日感情を「留美的親美」の構図を取って和らげるに力となるか、あるいは「留日的反日」の構造のままに悪化の一途を辿らせるか、そこに住む日本人が総体的な教師となって立ち向かう姿勢が決定要因となるが、いわば彼らをどう受け入れるかに影響を受けることになるが、鳩山政府の高校無償化朝鮮学校排除自体が日本社会全体とそこに住む日本人全体に支配的な影響を与えることになるだろうから、在日朝鮮人の高校無償化排除を機会になお悪化させた場合の対日観を良い方向に持っていくことは困難なものにならないだろうか。

 勿論、同じ社会に住んで、彼らの反日感情は日本人にも何らかの形で撥ね返ってくることになる。

 いわば高校無償化の対象から排除した、ハイ、それで終わりですだけでは済まない日本社会への影響が生じるだろうということである。

 最後に拉致問題を扱った少し前のブログで第十八富士山丸事件を取り上げたが、「Wikipedia―第十八富士山丸事件」が富士山まるで密航を謀った朝鮮人民軍兵士閔洪九の、本人の性格からくる態度・姿勢、あるいは努力も影響しているだろうが、日本社会の受入れ態様も影響したに違いないその後を紹介している。

 〈閔洪九は密入国容疑で収容され、福岡入国管理局から退去強制令書が発せられ、それに対する執行停止申立も東京地方裁判所で却下された。しかし「人道上の配慮」から朝鮮民主主義人民共和国へは送還されず、のちに放免された。韓国籍を取得したが、1988年に法務省から異例の在留特別許可を受けて日本で生活していた。だが傷害事件などで度々逮捕され、2003年4月には栃木県宇都宮市のデパートで女子高校生の体を触るなどのわいせつ行為をした疑いで逮捕・起訴された。実刑になれば出入国管理及び難民認定法第24条各号所定の退去強制事由に該当するため、日本国内から強制退去になる可能性があった。しかし2004年3月には留置場の金網を素手で破って一時逃亡を図るも、すぐ収監され、同年4月1日午後9時すぎごろに収容されていた栃木県警察宇都宮中央警察署の留置場で首つり自殺をした。享年40。〉――

 密航があった1983年は金日成(1912年4月15日~1994年7月8日)が生存していた時期で、オリンピック韓国単独開催阻止を謀ってビルマのラングーンを訪れた韓国の全斗煥大統領一行を狙い北朝鮮工作員が爆弾を仕掛けたが、大統領は難を逃れたラングーン事件が1983年10月9日に起きている。

 4年後の1987年11月29日には日本の偽造パスポートを持った北朝鮮工作員金賢姫ともう一人の工作員による乗客・乗員115人全員死亡の大韓航空機爆破事件が起きている。

 当然在日韓国側の民団は敵国の兵士と看做して受け入れようとしなかったろうし、在日北朝鮮側の朝鮮総連にしても密接な関係を保っている北朝鮮から逃げてきた朝鮮人民軍兵士ということで受け入れなかったのは目に見えている。残るは最大多数を占める日本人がどう受け入れたかであるが、密入国の代償に富士山丸乗組員5人が拘留され、その後船長と機関長の2人が密航の幇助とスパイ容疑で収監、残る3人は解放されたが、日本人の対北朝鮮感情は良好であるはずはなく、嫌悪感情に支配されていただろうことを考えると、日本社会で彼を受け入れる土壌はどこにもなかったのではないだろうか。

 感情過多の解釈に思われるかもしれないが、留置場は閔洪九にとって日本社会そのものではなかったのではないだろうか。そこから逃れようとして果たせず、逃れるための最後の手段を取った。

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Twitter(つぶやき)を纏めてみました

2010-02-27 05:25:19 | Weblog

   

 2月19日から始めたTwitter記事を纏めてみた。140文字以内に制限されている。

 (5:46 PM Feb 19th )――

 〈手代木恕之です。報告を受けました。『ニッポン情報解読』by手代木恕之もよろしく。〉

 (自己紹介欄に〈元衆議院議員・元自治大臣・元国家公安委員長 弁護士「白川勝彦」の法律事務所 第一東京弁護士会所属 登録番号:13439〉と書いてある白川氏から「Twitterを始めた」というメールが来て返事をしたのが始まりのTwitterだったが、多分秘書に書かせたメールか何からしく、白川氏のTwitter記事が自動的に紹介される「フォロー」に指名したものの、特段の挨拶もな意図頃を見ると、私の存在は彼の中にはないらしい。)

 (8:36 AM Feb 20th)――

 〈鎌倉署刑事課の警部補60歳が取調室で男にたばこやせんべい、炭酸飲料を与えた。 同じ鎌倉署警務課の警部補57歳が同じ取調べ中の男が手術前日に病院から戻る途中、 男の自宅で母親と面会させた。テレビに影響を受けて、人情刑事を演じたのだろうか。〉

 (1:59 PM Feb 20th)――

 〈川柳――  「離婚届に判を押してから、妻にあなたはいつまでも私の金メダルだと言われ」 こういった離婚も世の中にあるかもしれないと思って書いた。〉

 (これはバンクーバーオリンピックに引っ掛けた記事)

 (5:48 PM Feb 20th)――

 〈2月20日江戸川区で72歳の母親と二人暮らしの都立病院職員男性48歳、介護に疲れたと首を絞めた母親が病院で死亡。本人は鬱病で休職して自宅療養中。母親を抱えていたために結婚できなかったのか、独身としたら性欲に悩まされ、母親の介護に疲れ、いいことは一つもなかったのかもしれない。〉

 (11:53 PM Feb 20th)――

 〈名古屋市の話。軽トラで暴走族と共同暴走して逮捕の57歳のオッチャン。 「昔、暴走族に入っていた。たまたま暴走族を見かけたので、つい一緒になって走ってしまった」かつての腕前がよみがえって血が騒いだ?まだまだ腕は衰えていないと青春の思い出ならぬ壮年の一ページを刻んだに違いない。〉

 (12:08 AM Feb 21st)――

 〈鳩山首相「この世界から足を洗ったら、農業をやりたい」中山義活首相補佐官は「官邸に菜園を造ったらどうか」オバマ大統領夫人のマネと取られるからやめた方がいい。幸夫人がオバマ大統領夫人のマネですと初めて、夫の首相が時折手伝う。その方がいいように思う。〉

 (「フォロー」している鳩山首相が「この世界から足を洗ったら、農業をやりたい」と書いていたから、首相への「返信」として書いた。本人は自分宛の「返信」を〈首相執務室の専用モニターに届きます。今後、政策についてのご意見をハッシュタグでいただくことも考えております。いただいたご意見は会議などに活用させていただく予定です。〉と書いているが、補佐官が適当に取捨選択するだろうから、目にすることのない「返信」に違いない。

 (4:32 PM Feb 21s)――

 〈朝日世論調査、鳩山内閣支持率前回41%から37%へ下降。不支持率ほぼ横ばいの46% 「政治とカネ」が響いているが、唯一の救いは民主32%(前回34%)、自民18%(同18%)の政党支持率。同じ穴のムジナだとしても、「政治とカネ」旧体制の自民党に後戻りしたくない気持からか。〉

 (この記事は鳩山首相と白川氏の共に何の関係もない記事の「返信」として載せてみた。勿論、両者から共に何らのへ反応もなし。両者とも当方のTwitterを「フォロー」していないのだから当然のことだが。)

 (4:47 PM Feb 21st )――

 〈成田空港で去年1年間に摘発された覚せい剤の密輸事件は68件、開港以来最多とのこと。例え覚醒剤摘発に限った国際ハブ化であっても、結構毛だらけ、猫灰だらけ。〉

 ( 9:58 PM Feb 21st)――

 〈財源確保は増税の前に財政再建とムダ排除を両立させる各予算一律1割カットの過激な荒療治の冒険主義が可能としないか。〉  http://blog.goo.ne.jp/goo21ht/」

 (ブログ記事『財源不足を理由に子ども手当満額支給がカット可能なら、他予算も同じ理由でそれ相応のカットは可能のはず』を書いた宣伝に載せてみた。ついでに鳩山首相の何の関係もない記事の「返信」としてみたが、勿論何の反応もなし。)

 (10:15 PM Feb 21st)――

 〈長崎県知事選敗北。鳩山首相「政治とカネの問題が影響を受けたと思う。このことに関しては、私どもは真摯に受け止める必要がある」民主党の「政治とカネ」が自民党のそれと同じ穴のムジナであることが少なからず民主党を救っている。国民が日本の政治にうんざりしていることも事実。〉

 (11:27 PM Feb 21st)――

 〈大阪府柏原市JR大和路線で2月14日鉄道ファンがカメラを手に線路内に侵入、退去を拒む者もあり、列車のダイヤを乱す。これって公共に於けるマナーの点で信号無視、道路幅一杯の共同危険走行の暴走族と変わらないのではないのか。静かなる暴走といったところか〉  

 (11:41 PM Feb 21st)――

 〈大島自民幹事長の政策秘書の親族と知人が役職に就いて大成建設と設立したNPO法人が農水省に働きかけ。大島幹事長「事業は大変喜ばれているが、利益は出ていない。政策秘書は当然だが、役員の方々は一切報酬を受け取っていない」 だとしても、裏で不正利益を上げていない証明とはならない。〉  

  (11:43 PM Feb 21st)――

 〈トヨタ内部文書「リコール問題で(米当局との)交渉の末、1億ドル(約92億円)以上を節約できた」トヨタ「我々は顧客の安全を最優先に考えており、一つの内部文書だけで(安全よりコスト重視などと)結論づけるのは適切ではない」 「一つの内部文書」が全体の体質を象徴している場合もある。〉

 (11:47 PM Feb 21st)

 〈自民党、「政治とカネ」証人喚問を要求して国会審議拒否。欠席戦術は日本の野党の専売特許。自民党が野党となって、欠席戦術の専売特許を手に入れた。日本の野党は頭数が足りないと政策で勝負できなくて、それしか手がないということなのか。となると日本の政治では政策は頭数次第の決定事項となる。〉

 (1:22 AM Feb 22nd)――

 〈2月20日午後9時半頃福岡市博多区で119番通報があり、3歳女児を病院に搬送。1時間後に死亡。頭部、腹部、背中等全身にあざ、継続的虐待が疑われるという。3歳で死ぬためにこの世に生を受けたのだろうか。たった3年間生きるために。それも辛いたった3年間の人生を生き、そして死ぬために。〉

 (1:06 AM Feb 23rd)――

 〈「首相夫人が麻生前首相が入った風呂は厭だと官房機密費から1千万円支出、風呂場の改修工事をしたというが事実か」の高市早苗自民議員の質問主意書に、「公邸の風呂場改修工事の事実はない」の答弁書を閣議決定。麻生太郎が使った風呂に入って麻生政権と同様に沈没してしまわないか心配したのかな。〉

 (2:51 AM Feb 23rd)――

 〈民主党石井一選対委員長「鳥取とか島根は日本のチベットみたいなところで、人が住んでいるのか牛が多いのか、人口が少ない」と侮蔑発言。石井一を“民主党の麻生太郎”と名づけよう。政治感覚の古いところも似ている。前世では兄弟だったのかな?〉

 (2:57 AM Feb 23rd)――

 〈「子ども手当法案」が「社会全体で子どもを育てる」ことと内需拡大策を趣旨としているなら、国会審議が開始したことで株価が経済界の期待を反映させて上昇したはずだが、どうなのかな?〉

 (鳩山首相の「つぶやき」〈子ども手当法案の国会審議がいよいよ始まりました。マニフェストでのお約束を実行に移すための法案です。しっかり審議していただき成立をめざします。10:52 PM Feb 22nd〉への返信。)

 (1:06 PM Feb 23rd)――

 〈父親が米人、母親が日本人のキャシーとクリスのリード姉弟が冬季五輪日本チームスケート選手としてリンクに立ち自己最高得点獲得。こういった風景が当り前となって日本人は日本人のみに拘らない国際化へ少しずつ近づいていく。韓国人も北朝鮮人も在日、韓国系などと名乗るのを当り前とすべき。〉

 (4:35 PM Feb 23rd)――

 〈橋下知事主催の府と大阪市再編等が目的の「大阪維新の会」が23日初準備会。出席17人全員が賛同者ではなく、中には偵察隊も。民主党から2人。賛同者の首長や地方議員と連携、来春の統一地方選出馬候補者公募で仲間を広げると言うが、橋下人気に便乗、自分を売出す者も出てくるのではないのか。〉

 (4:36 PM Feb 23rd)――

 〈ワシントンを襲った88年ぶりの大雪で日米友好の象徴、ポトマック河畔の桜に被害。基地移設問題で日米関係に亀裂発生の折、「もしかしたら日米関係の将来を暗示しているのかも」との声もと新聞が伝えている。桜の被害はオバマ政権に影響を与えないが、基地問題の不首尾は鳩山政権に打撃を与える。〉

 (4:39 PM Feb 23rd)――

 〈指定暴力団稲川会(本部東京)の角田吉男会長77歳が23日午後、都内の病院で死亡。死因は病死らしい。葬式となると下っ端でも1万、2万の香典では済むまい。10万から20万、幹部となると100万から200万も出さなければならないのではないかと貧乏人にありがちな余計な心配をしてしまった。〉

 (5:20 PM Feb 23rd)――

 〈アメリカで起きているトヨタ問題はアメリカによるトヨタ叩きかもしれない。だが、それをどう処理するか、トヨタの危機管理の問題、その才能にかかっている。前原国交相が「トヨタ側が国に情報をしっかり伝えていなかった可能性が高いと思っている」と言っている情報の非開示も問題。〉

 (5:24 PM Feb 23rd)――

 〈アメリカのトヨタ販売会社100社余の代表がワシントンで記者会見。「一連の報道でリコールが自動車業界にとって新しい出来事のようなイメージを与えているが、アメリカのビッグスリーも、この12か月の間に合わせて141件のリコールをしている」リコール以上に顧客にどう対応したかが問われる。〉

 (12:15 AM Feb 24th)――

 〈ダライ・ラマがタイガー・ウッズの不倫を「すべての宗教に同じ考えがある。結末を認識し、自制することが重要だ」と説教。結末を認識する自制心が常に働くなら、犯罪は存在しない。犯罪映画も犯罪小説も存在しなくなる。取調警部の取調室での詐欺被害女性に対するワイセツ行為も。殺人も然り。〉

 (1:05 AM Feb 24th)――

 〈テレビで日本語を話せるチベット女性が舌を出して相手に見せるのがチベットの挨拶だと説明していた。敬意を込める意味があるそうだ。悲しみを表すときも舌を出すと言う。日本の場合は人を騙すとき、特に政治家が腹の中で舌を出しながら、「国民のみな様にお約束します」などとやらかす。〉

 (6:31 PM Feb 24th)――

 〈24日の全国的な気温上昇、長崎市で2月対応で120年ぶりの22.6度、西日本や東海北陸の70以上の地点で過去最高を観測。気象庁は積雪地域の雪崩や雪解けの川の増水に注意を呼びかけたというが、ほぼ毎年恒例となってる春夏の集中豪雨の急な増水への危機管理も今から備えるべきだろう。〉

 (6:35 PM Feb 24th)――

 〈月給から時間外手当などを除いた労働者1人当たりの「賃金」が前年より1.5%減の月額平均29万円余りで、過去最大の落ち込みだとNHKニュースが伝えていた。政治・企業が戦後最長景気の恩恵を賃金に反映しなかったことが災いしている現在の過去最大の落ち込みとしてある賃金低迷でもあろう。〉

 (6:44 PM Feb 24th)――

 (鳩山首相の「つぶやき」〈若い方々にはわからないかもしれませんが、60歳を越えると筋肉痛は数日後にゆっくりやってきます。土曜日に写真のようなことをしたのですが、いまごろ腹筋が痛いです。もっと普段から運動もしないといけませんね。http://bit.ly/dAWou7 5:42 AM Feb 24th〉に対する“厭味な”?「返信」)

 〈月給から時間外手当などを除いた労働者1人当たりの「賃金」が前年より1.5%減の月額平均29万円余りで、過去最大の落ち込みだそうだが、首相の筋肉の痛みよりも国民の収入減の“痛み”にこそ目を向けるべきだろう。〉 

 (1:44 AM Feb 25th)――

 〈女子スケートフィギュアSPでキム・ヨナ世界歴代最高78・50点1位、浅田真央73・78点2位。河村名古屋市長「わしには真央ちゃんの方が上に見えた」キムの余裕を持った自己表現と真央の精一杯との差が4.72の点差となったのでは?浅田、安藤両選手が地元出身だと身贔屓から目が眩むのか。〉

 (1:47 AM Feb 25th)―― 

 (上記「つぶやき」の続編。)

 〈平成13年夏場所千秋楽、貴乃花が武蔵丸を下して優勝。武蔵丸が膝故障の貴乃花に力が入らなかったラッキーな勝利だが、小泉首相の表彰式での「痛みに耐えてよく頑張った。感動した。おめでとう」の大感激と同じ河村市長の目の眩み。「フリーで自信と余裕を持って逆転して欲しい」と言うべきだった。〉

 (2:06 AM Feb 25th)――

 〈千葉市川市の英国人女性殺害事件犯人が顔を整形し逃亡していたことを教訓に警察庁は日本美容医療協会等に指名手配中の重要容疑者18人の顔写真等の資料提供を決定。同僚ホステス殺人事件で顔を整形して逃亡、時効寸前に福田和子を逮捕できた1997年に既に行うべき措置のはず。遅すぎる危機管理。〉

 ( 9:55 AM Feb 25th)――

 〈高校無償化法大賛成。高校の学歴獲得のための高校進学も国がサポートすることになる側面も認識すべき。だとしても、このことを以って無償化に反対することはできない。真に勉強する、真にスポーツに打ち込む高校生との取捨選択は差別となるから。〉
 
 (鳩山首相の〈高校無償化法案の審議が始まりました。経済的理由で高校進学を諦める生徒がなくなるよう、国がサポートしていくための法案です。6:30 AM Feb 25th〉に対する反応のない「返信」。〉

 (2月26日約17時間前)――

 〈石原慎太郎「国家という重いものを背負わない人間が速く走れるわけがない、高く跳べるわけない。いい成績を出せるわけがない」東京オリンピックマラソン3位の円谷幸吉は自衛隊員として背負っていた国家が救いとならずに自殺した。国家に恃まず素の自身のみを背負って勝負に挑む者こそ、真の強者。〉

 (2月26日約10時間前)――

 〈自民党提出の松本議院運営委員長に対する解任決議案&横路衆議院議長に対する不信任決議案、審議拒否で勇ましく振り上げた拳をこれ以上持って行き場がなくなって、そっと降ろして審議復帰するための否決前提のセレモニー。自分から除け者になっていて、これ以上除け者は厭だと情けないギブアップ。〉

 (2月26日約10時間前)――

 〈フランス政府がバグダッドにフランス企業進出支援の事務所を開所。アメリカのイラク攻撃にドイツと供に反対、軍を派遣せず、イラク攻撃のアメリカの正当性にケチをつけたが、復興ビジネスとなると話は別。犠牲を払わずして経済的利益のみを得る。外交はこうあるべき。〉

 (2月26日約7時間前)――

 〈高校無償化、2月25日は朝鮮学校除外の方向だった首相、翌26日午前には結論は未定と表明。ジュネーブ25日開催の国連人種差別撤廃委員会で朝鮮学校除外に懸念の声が上がったことを受けた方向転換だとしたら、信念がない。除外は朝鮮人高校生を日本社会で一層敵意ある存在にまわすことになる。〉

 (こうして見てくると、かなりの数呟いている。最後に“おまけ”として鳩山首相の「つぶやき」)

 (2月27日?約5時間前)――

 〈女子フィギュア、感動しました。各選手すばらしい演技だったと思います。男子フィギュアと合わせて日本代表6人すべて入賞の快挙です。おめでとう! そして、ありがとう!〉

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分権の受け皿能力検定と子どもの思考能力

2010-02-26 08:46:45 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 2010年2月24日の「asahi.com」記事――《分権の受け皿へ能力判定 「自治体検定」に注目集まる》

 地方自治体職員を対象に初の全国検定となる自治体法務検定が6月から始まるそうで、それをなぜ記念するのか分からないが、2月24日に都内で記念シンポジウムが開かれたという。

 どのような検定かと言うと、記事は次のように解説している。

 〈検定は、地方分権の受け皿になる職員の育成を目指す。法律の基礎知識や行政手続き、市民参加、公共政策などについて70問出題し、千点満点で採点して3段階の級を認定する。研究者らで自治体法務検定委員会を組織し、法律書籍出版会社の第一法規が事務局を務める。〉――

 地方自治体の職員、あるいは職員を目指す学生等それぞれが自分では学ぶ力がないと看做していることになる。

 〈法律の基礎知識や行政手続き〉は学校という場では教師から知識を受けて自ら学ぶか、職場なら、先輩や仲間からアドバイスを受けつつ自ら学ぶ事柄であって、〈市民参加、公共政策〉等は市民や自分が所属する部署のチームと検討し合って相互に学びつつ発展させていくべき事柄であろう。特に後者の〈市民参加、公共政策〉等は地域に応じてケースバイケースが存在するだろうから、それを一律的に設問を設定した検定試験でその能力を測るのはケースバイケースに矛盾する能力検定とならないだろうか。

 全員が同じ知識を暗記したなら、日本全国一律の金太郎飴のような地方分権となりかねない。一斉に右へ倣えが日本人の体質ではあるが。

 「自治体法務検定」をより詳しく知ろうとしてインターネットを調べると、《自治体法務検定とは》なるHPに出会った。

 

 自治体職員の「法務」能力を向上させるための検定です。

 2000年の第一次地方分権改革に代表される現在の分権化の流れは、明治維新、戦後改革に次ぐ時代の劇的な変化を、私たちの生活にもたらしつつあります。

 国民国家としての従来の社会統合が崩れつつある現在、各地域に根ざした声が浮上しつつあり、新しい社会的連帯が模索されています。

 それは、市町村合併による広域行政の現状、公共サービスの民間化、NPOなどの市民団体による行政への積極的な関わりが示している通りです。

 分権改革以降、現行の法体系・法整備では、あまりにも急速に変化している現場の状況に十分な形で対応ができていない側面があります。

 機関委任事務が廃止され、自治事務・法定受託事務に再構成され、地域的な裁量を認める法整備が行われつつあるとはいえ、自治体の現場では、それまでの画一的な行政運営の思考方法から脱却できないまま、地域固有の諸課題に対応した自治との整合性が求められています。そこでは、いうまでもなく基礎となる法務能力を持ちながら、高度な政策の実現を遂行できる人材が強く求められています。

 また、財政の逼迫を常に抱える多くの自治体にとって、効率的な行政サービスを行うことを前提とした自治体内の人的資源の管理が喫緊の課題となっています。

 こういった状況の中で、自治体職員の「法務」能力を向上させるために「自治体法務検定」は生まれました。

 個人でも職域でも、多くの人々が検定に参加され、自治体の法務能力が向上し、地域の活力を取り戻すことに役立てればと心から願っています。
 
  自治体法務検定委員会〉


 「法務」とは、元々は「法律に関する種々の事務」(『大辞林』三省堂)を意味するらしい。それを政策づくりやその運用まで広げた能力をここでは言っている。

 文中の「各地域に根ざした声」、「地域的な裁量」、「地域固有の諸課題」は先に触れた地域的なケースバイケースを指す言葉であって、それを各地域性を無視した統一的な検定で以て「高度な政策の実現を遂行できる人材」かどうかを探る。

 地域のことは地域に学べという格言にも反する一律化ではないだろうか。

 受験の対象者は違えても、検定主催者側に関して言うと、上記「asahi.com」記事は、〈研究者らで自治体法務検定委員会を組織し、法律書籍出版会社の第一法規が事務局を務める。〉と書いているが、「自治体法務検定委員会」が総務省とか法務省とかの天下り官僚OBによって占められ、一般男女や学生を受験対象とした漢字検定のように検定試験を通して受験料の形で得る濡れ手に粟の利益構造がそこに形成されるだけのように思えないことはない。

 記事は記念シンポジウムでの北川正恭・早稲田大学教授の基調講演の発言を伝えている。

 「分権には地方政府の確立が不可欠。地方公務員は国の下請けを脱し、自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造していかなければならない」

 要するにこれまでは「地方公務員は国の下請け」であった、下請であったから、指示されたこと、命令されたことを単に忠実に消化すれば済んだ、「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造」する手間を労する必要もなかった。だが地方分権の今後に於いては「国の下請けを脱し」て、「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造していかなければならない」と自律(自立)のススメを説いているのである。

 このような国と地方の関係、地方の非自律性(非自立性)はかねがねブログやHPで書いているが、国を上位に置いて地方を下に置く上下関係にあって、上の国が下の地方を従わせる権威主義の構造に縛られていたことを意味する。このような力関係から国を元請としていることに対して地方が下請の地位にあったということであろう。

 だからこそ、明治以来の(実際は封建時代以来の)中央集権体制と言われる。

 このことを裏返すと、封建時代以来、殆んど進歩を見ない、少なくとも基本のところでは何ら変わらない権威主義的な国と地方の関係を続けてきたことになる。

 また知識や情報の活用といった思考面でも上下の地位的な力関係に倣って国が与える知識や情報に従う権威主義的な“下請”関係にあったから、「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造」する能力を欠くこととなっていた。

 思考面での国と地方の権威主義的な上下関係を破っていたなら、地位的な上下の権威主義的な関係は成り立たなかったろう。

 この「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造していかなければならない」は、現在の文部科学省が文部省であった時代に2000年から段階的に導入した学習指導要領の、いわゆる総合学習で言っていた言葉と重なる。

 総合学習が求めていた能力は「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育て、それを以て生きる力とする」能力であった。

 文部省やのちの文科省が子どもに求めていた能力を高卒・大卒の人間に今更ながらのように検定試験で問わなければならない。

 このことは子どもから大人までを通して、「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造してい」く思考能力・判断能力、大きく言うと創造性を一般的に欠いていることを示している。

 以前2009年11月25日放送のNHK「クローズアップ現代」“言語力”が危ない~衰える 話す書く力~をブログで取り上げて、小・中・高生の言語力の欠如は大人の欠如の反映としてある現象であるといったことを書いたが、このことを証明する上記思考能力・判断能力、あるいは創造性の欠如であろう。

 キャスターの国谷裕子女史が番組の中で、「言語力とは外からの情報を整理し、それを基に自分の考えを組み立て、そしてきちんと根拠を示しながら話したり書いたりする力のことを言う」と解説していたが、北川正恭・早稲田大学教授が言う「創意工夫で新しい価値を創造してい」く能力と国谷女史が言う他人の考えではなく、「自分の考えを組み立て」る能力は基本的には重なる同じ能力を指し、大人と子どもがそれぞれに欠如していると把えていることになるからだ。

 また「言語力」の欠如や「「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造」する能力の欠如は大人の欠如の反映としてある子どもの欠如という相互的な欠如性としてあると同時により優位にある、あるいはより強力な他者の知識や情報に自己の考えや判断を下に置いて従わせる権威主義性の知識や情報の受容を基本構造として成り立つ。

 思考面に於けるこのような両者関係には当然のこととして、自分の考えや判断を挟んでより発展させるプロセスを含まない。北川正恭・早稲田大学教授の言葉を使って説明すると、「下請」に徹することによって、そのような権威主義性を貫くことができる。

 いわばこのような地位面、思考面の権威主義性が国と地方の関係に現れているということであり、また学校教育に暗記教育の形で現れているものであろう。

 暗記教育は教師の知識・情報に丸ごとなぞる形で従い、そこに生徒の考えや判断を介在させないことによって成り立つ。その結果として存在した総合学習に於ける「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育て、それを以て生きる力とする」能力の育成要求であり、地方分権、地方政府の確立に不可欠な「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造」する能力の要求となって現れているということであろう。

 09年1月25日の『朝日』社説――《大学生の学力―まず入試から考える力を》に次のようなことが書いてある。

 題名自体が大学生の「考える力」の欠如の指摘となっているが、〈日本の子どもたちについて、OECDがこんな警告を発したことを思い起こしたい。「知識を再現する学習ばかり続けていると、労働市場に出た時に必要とされる力が身につかない」〉――

 「知識を再現する学習」とは北川正恭氏が言う「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造」する思考プロセスを介在させずに、暗記した知識を暗記したままに再現・活用する知識伝達の権威主義性を言うはずである。

 社説はまたOECD学習到達度調査によって、〈知識はあるが応用力に乏しいという問題点が浮き彫りになった。〉とも書いている。

 この応用力の欠如も、「自ら考え、自ら決定し、創意工夫で新しい価値を創造」する能力の欠如と響き合ったものとしてある。いわば子どもから大人まで貫いて存在する“欠如”であるということであろう。

 社説は最後に、〈生きるための知力をどう育てるのか。大学が知恵を絞る時である。 〉と書いているが、権威主義性を構造とした暗記教育に象徴的に現れている知識伝達・情報伝達から発生した弊害としてある能力欠如なのだから、保育園・幼稚園の時代から、教師から子どもへの知識伝達・情報伝達に権威主義性を排除して、そこに考えるプロセスを取り入れることを第一番の肝要な課題としなければならないように思えるが、どうだろうか。

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舛添要一の哲学なき自民執行部批判の悪循環

2010-02-25 09:21:57 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 次の首相に誰がふさわしいかで国民的人気の高い自民党の舛添要一参議院議員が2月17日に研究会を立ち上げたと《舛添新党の足場に? 新勉強会に中堅・若手約30人出席》asahi.com/2010年2月18日1時5分)が伝えている。

 研究会の正式名は「経済戦略研究会」。郵政民営化推進など小泉構造改革路線を旗印にしているというが、舛添が自らの人気に重ねて小泉人気にもあやかろうということなのだろうか。

会合には自民党の中堅・若手約30人の議員が出席。名前の通った主な顔ぶれは副会長に就いた塩崎恭久元官房長官と菅義偉元総務相、その他中川秀直元幹事長や茂木敏充元金融相、河野太郎元法務副大臣、山本一太元外務副大臣といったところらしい。勿論会長は日本政界唯一最大のホープ、舛添要一。その挨拶。

 「自民党が(総選挙で)負けたのは改革が不十分だったから」

 「富を増やすことなく再配分だけやれば、国家はつぶれる。政府の間違いを正し、私たちが日本をリードする」

 誰も言うことは勇ましい。

 そして研究会のスローガン。七つの基本事項を確認したそうだが、記事はその二つしか書いていない。

 「経済成長こそ、社会保障充実、格差縮小への基本」

 「官から民への流れを推進」

 記事は次のことも伝えている。

 〈会合には舛添氏との連携を模索する鳩山邦夫元総務相も出席したが、「確認事項の『真の郵政民営化』とは何か。結局、官がやらないと(郵政のサービスが)隅々まで行き渡らない」と反論。郵政民営化路線とは相いれないとして途中退席した。〉――

 いつでも話題を提供してくれる鳩山邦夫といったところか。

 リーマンショックによる大不況で失ったものの、戦後最長景気(2002年2月~2007年10月)は戦後最高益の「富」を軒並み大企業にもたらした。その「富」は一般国民には「再配分」されなかったために賃金の上昇が抑えられた個人消費低迷の「実感なき景気」と言われた。

 このことは当然、所得格差を生じせしめることとなった。企業は製品コスト削減と企業利益増のために人件費抑制を図って非正規雇用を大量に採用、正規社員と非正規社員との間の所得格差をつくり出した。こういったことの最大集約が戦後最長景気と言うゴールだった。

 こういった一連の功罪は小泉内閣の“2001年4月26日~ 2006年9月26日”の在任期間が戦後最長景気期間(2002年2月~2007年10月)とほぼ重なることによって証明することができる。

 すべては「官から民への流れを推進」した小泉改革の成果だった。小泉内閣はまた「歳出改革」を掲げ、社会保障費の自然増を年2200億円に抑制する方針を打ち出した結果、真に必要な者に対しても“生活保護剥がし”を謀り、自殺に追い込んだり、餓死に追い込んだり、あるいは障害者を社会的に自立させる法律だと称して「障害者自立支援法」を2005年10月に成立させ、障害者に福祉サービスにかかる費用の原則1割負担を課し、多くの障害者の生活を圧迫して、ただでさえ存在していた健常者と障害者の生活格差、所得格差を一層拡大せしめた。

 要するに小泉改革とは与党や官僚、大企業等を主たる構成員とした国家が栄え、国家の実質的中身、実質的構成世要素たる一般国民が栄えない、利害を明確に二分した改革であった。「官から民」と言いつつ、国民の「民」ではなく、民間企業、それも主として民間大企業の「民」を利益獲得のターゲットとした、両者間で利害を正反対とする、それが正体の「官から民」であった。

 舛添は小泉構造改革を利害の概念で検証する哲学も持たず、小泉構造改革路線の継承を掲げている。その一方で他の政治家の哲学を悪しざまに俎上に上げている。

 《舛添要一氏:「首相」宣言 新党結成は否定》毎日jp/2010年2月5日2時30分)

 記事は2月10日に出版する予定の舛添の、古典や歴史を引き合いに首相の資質を論じているという著書「内閣総理大臣」(角川書店)を取り上げ、舛添の動向を伝えている。

 02年の著書にその後の政治情勢や閣僚経験を加えた増補版だそうだが、「時期が来たら私自身がリーダーシップを取ることを拒否はしない。首相に必要な能力を持つよう努力している」と書いてあるという。

 日本の首相はカネ集めとその力を借りたヒト集めと巧みな見せ掛けの弁舌を資質とすることで実現可能とすることもできる。政治哲学の資質を欠いていたとしても、日本の首相になり得るということである。このことは安倍晋三や麻生太郎が証明している。

 上記三要素のうち、舛添に欠ける資質はカネ集めとその力を借りたヒト集めであろう。巧みな見せ掛けの弁舌だけは有り余る程に所有している。

 著書はさらに次のようなことに触れているという。 

 新党結成の可能性について、「(自民党)内部で喧嘩しながらやっていくつもりだ」と否定。

 首相に必要な資質。

 「国民の琴線に触れる言葉、ビジョンを政策として提示する能力」

 カネ集めとその力を借りたヒト集めと巧みな見せ掛けの弁舌を挙げるはずはない。

 鳩山由首相について――

 「圧倒的に欠けているのがビジョンの提示力」

 小泉元首相――

 「国民に夢と希望を与えられなかった」

 安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の3首相――

 「哲学の素養は欠落していた」
 
 舛添自身には「哲学の素養」があると自ら認めたということである。

 自民党について――

 「幹部に危機感がない。歴史的使命は終わった」

 党の再生を訴えているという。

 但し記事は最後に、〈自分を棚に上げるかのような批判的な言動には「注目を集めたいだけ」との批判も党内には根強い。〉とお返しの一太刀を浴びせている。

 首相に必要な資質である「国民の琴線に触れる言葉、ビジョンを政策として提示する能力」は哲学の必要性の指摘であり、鳩山首相の「圧倒的に欠けているのがビジョンの提示力」も哲学欠如の指摘、小泉元首相の「国民に夢と希望を与えられなかった」も哲学の欠如を原因とした結末の指摘となっている。

 いわば首相となる人物は何よりも政治的哲学を必要とすると言っている。

 では、「国民に夢と希望を与え」る哲学を持たなかった小泉首相の構造改革路線の踏襲を訴えているのはなぜなのだろうか。リーマンショックが打ち砕いてしまったものの、小泉改革は与党や官僚や大企業には「夢と希望」を与える哲学を有していた。

 舛添に言わせたなら、小泉改革の負の面を改め、正の面の改革を徹底的に進めていくと言うだろうが、その徹底化が小泉構造改革を利害の概念で検証する哲学を持たないまま進めて、「富を増やすことなく再配分だけやれば、国家はつぶれる」、あるいは「経済成長こそ、社会保障充実、格差縮小への基本」だと「富を増やすこと」=「経済成長」を最優先課題に掲げた場合、小泉改革と同様に、その路線の踏襲を言っているのだから当然のことだが、官僚、大企業等を主たる構成員とした国家の栄えを第一利害とするだろうから、国民の利害を疎かにした小泉改革の二の舞を演じる危険性を抱えることになる。

 小泉改革が「国民に夢と希望を与えられなかった」と言うなら、現在必要とされているのは企業の利益を圧迫することになるものの、従業員の目に見える賃上げとそのことによる個人消費の増加が結果的に企業の利益増につなげる企業の利害と国民の利害のバランスをつくり出す政治哲学の創造であって、それを欠いた「経済成長こそ、社会保障充実、格差縮小への基本」といったスローガンのみでは小泉改革のように「経済成長」はあったが、逆に「社会保障充実、格差縮小」を否定要素とした結末を招かない保証はないということである。

 企業の利害と国民の利害の異なりは小泉改革を引き継いで現在でも、輸出関連の企業を中心に中国やその他のアジアの新興国向けの外需の伸びで企業業績が増益へと向かって景気が少しずつ回復しているが、依然として個人消費は伸び悩んでいる状況に現れている。

 あるいは景気回復に向かっている企業の動向に反して将来の生活に依然として不安を抱えている国民の姿に現れている。

 そもそもからして舛添は自民党執行部を過激に批判、悪者にすることで国民の自民党批判とマッチして自身の人気を上げてきたに過ぎない。政治哲学豊富な政策の提言で名を馳せたわけではない。

 だが、その過激な自民党悪者視が国民の自民党批判を煽って昨年の総選挙での自民議席減に手を貸した面があることに気づいていない。自身が参議院に籍を置いていることも総選挙期間中も気楽に自民党を批判、悪者視できたといったこともあるだろう。

 野党に転落した現在も自民党執行部を過激に批判、悪者視することをやめようとしない。

 《審議拒否で執行部批判=舛添氏》時事ドットコム/2010/02/22-21:29)

 自民党が党が衆議院で2010年度予算案の審議を欠席したことについて――

 「基本的にはやっぱり審議の場で相手を追及することが必要だ。政治とカネについて、もっと前の(攻撃の)タイミングがあった。戦略の組み立てが戦を戦っている執行部とは思えない」

 執行部が夏の参院選比例代表候補に前衆院議員を公認したことについて――

 「衆院の小選挙区で10万票取った人は、10分の1の票が出れば御の字だ。それぐらいに全国区は厳しい。人材発掘をもっとやるべきだ」――

 話し合いの中で進言するのではなく、声高に批判することで自身の人気を高めることはあっても、その批判が自民党執行部悪者視のため、民主党鳩山政権が「政治とカネ」の問題で支持率を下げているにも関わらず自民党自身の政党支持率が低迷している状況に却って打撃を与え、支持率が一向に上がらない悪循環を招いている。

 このことは舛添と自民党の人気が逆比例していること自体が証明している。

 上記「毎日jp」記事は舛添の新党結成の可能性について、「(自民党)内部で喧嘩しながらやっていくつもりだ」と否定したとしているが、自民党の悪口を言うことで自己を善なる存在に見せかける、そういった反作用を利用して自己を成り立たせている関係上、自民党そのものを常に必要存在としているのだから、状況が余程変わらなければ、自民党を出て新党を立ち上げるといったことはないに違いない。

 両者の関係を譬えるなら、美人が自分を目立たさせるために不美人をそばに置くような関係であろう。

 離党したなら、野党同士の批判合戦、お互いが食い合う関係となるから、野党である自民党批判は効果を失う。与党民主党批判に転ずることになるだろうが、会合に出席した30人が30人とも共同行動を取るとは限らないから、新党という少数集団の立場で民主党を参議院選挙で議席減に追い込んだとしても、自分が出た自民党が相対的に議席を伸ばした場合、そことの協力は出たことの国民の理解を失うし、少数集団の中にいたのでは首相のチャンスはなかなか訪れない。

 舛添に哲学があるとしたら、既に触れたように身近な他者の悪口を言い募って、自身を善なる存在に見せかけることぐらいが見るべき哲学といったところだろう。

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中国の北朝鮮の権力世襲反対に対して日本が為すべきこと

2010-02-24 07:42:42 | Weblog

   

《世襲反対・核放棄…核実験後、中国が北朝鮮に圧力》asahi.com/2010年2月23日3時1分)

 記事が伝えていることは第一に、北朝鮮は昨2009年5月上旬、ジョンウン氏後継指名説明のため、金総書記の義弟張成沢(チャン・ソンテク)・国防委員を中国に派遣。5月25日になって北朝鮮は2006年10月に続いて2回目の地下核実験を実施、世界から批判が集まる中、核実験直後の5月末、その事情説明のため張成沢国防委員が再度訪中したということ。

 対して中国は政府首脳ではなく、共産党対外連絡部の王家瑞部長が対応、「改革開放の推進、世襲反対、核放棄」の3項目を要請。

 記事はこのことを、〈友好関係にある北朝鮮に対し、内政干渉につながる要求をするのは異例で、北朝鮮の核保有や、悪化する経済への中国側の強い危機感を示したものとみられる。〉と解説している。

 と同時に中国は3項目の要請が口先だけではないことを示すためだろう、政府高官や代表団の北朝鮮派遣を中止、企業や大学が受け入れていた北朝鮮の研究者や職員の一部を退去させる措置に出たという。

 さらに中国メディアに「これ以上危険な火遊びをするな」(人民日報系の環球時報)などといった北朝鮮批判の記事が現れた。中国メディアは政府の意思の代弁機関となっている。北京の北朝鮮関係者は「これまでにない中国側の強い反発だった」と明かしたという。

 第二に、中国のこのような動きに6月10日、北朝鮮は金正日総書記の三男ジョンウン氏を張氏を中心とした軍訪問団に同行させた。動向の目的を、「ジョンウン氏自身が訪中することで、世襲に反対する中国側に後継者として認知してもらい、核実験にも理解を求めたかったのだろう」とみる中国共産党関係者の声を記事は伝えている。

 軍訪問団は北朝鮮の核問題をめぐる6者協議への復帰を示唆、外資誘致に積極姿勢をみせるなどの態度軟化の姿勢を見せたということで、記事はこの態度軟化を、〈最大の貿易相手国、援助国である中国の圧力だった可能性がある。〉と解説しているが、「ジョンウン氏自身が訪中することで、世襲に反対する中国側に後継者として認知してもらい、核実験にも理解を求めたかったのだろう」と見る共産党関係者の声を伝えている。

 いわば世襲は北朝鮮にとっては譲れない項目なのは誰の目にも明らかで、世襲を認めさせる交換条件としての態度軟化、6者協議復帰の示唆、外資誘致積極姿勢だと見ているというわけである。

 最後に記事は中国の圧力の効果とその効果の今後の推移に言及している。

 〈その後、高官の往来が復活する。中国側は戴秉国(タイ・ピンクオ)・国務委員や温家宝(ウェン・チアパオ)首相らが相次いで訪朝して金総書記と会談。戴氏の訪朝の際は、中国から北朝鮮への石油パイプラインを止めて圧力をかけた結果、「6者協議を含む多国間協議を行う用意がある」との言葉を引き出した。

 改革開放政策に対する北朝鮮の姿勢にも、否定的だった従来と比べ変化がみられるようになった。昨年12月、経済特区がある中ロ国境に近い羅先市を視察した金総書記が対外貿易の積極拡大を指示。今年1月20日には外資誘致のため国家開発銀行の設立を発表した。

 中国が要請している金総書記の訪中が実現した場合、核放棄や改革開放政策にどう言及するかが注目される。〉――

 但し中国が最終的に「世襲」に関してどのようなイエス・ノーの態度を示したかは記事からは窺うことはできない。権力の世襲が北朝鮮にとっては絶対的に譲れない項目だと百も承知の上で6者協議への復帰を認めさせる交換条件とした「世襲反対」だった可能性も疑うことができる。

 また、中国は「世襲反対」を一度は示すことで、中国としては反対だという姿勢を世界に向けてアピールすることができる。何しろ北朝鮮に関しては権力の世襲継承が体制の考え得る最も安定した移行措置となるだろうから。そこに破綻が生じた場合の混乱は予想を超えた障害とならない保証はない。

 いわば「世襲反対」は取引材料としての表向きの態度でしかなかった疑いである。

 では、日本としてはどういう態度を取るべきだろうか。

 中国が北朝鮮に対して「改革開放の推進、世襲反対、核放棄」の3項目を要請したことは新聞が報道する前に日本の外務省は既に把握していたろうし、把握していなければならないから、把握した時点で公表して、中国がこれまで「内政干渉」の口実を武器に自国やミャンマー等の内政や人権問題への介入に反対してきたタテマエからすると記事が指摘していたように北朝鮮に対する「世襲反対」はそのタテマエに反する内政干渉に相当する介入となるから、逆にそれを正当化して国民を飢餓や餓死に陥れる、あるいは国民の人権や自由を抑圧する如何なる国の“内政”に対しても国際社会はその是正を求める干渉をし得ることのルール化に利用すべきではないだろうか。

 またHPやブログに何度でも書いてきたことだが、北朝鮮の権力の父子世襲継承は日本にとって拉致問題をより解決困難とさせる。世襲継承の正統性を失わないために継承者は権力を与えた者を常に絶対的存在、英雄と扱うことを絶対義務としなければならないため、拉致解決は絶対的存在、英雄としていた者の化けの皮を剥ぐ危険性を孕み、それが自己権力の正統性を失わせる危険性につながる恐れから、永遠の国家機密とするだろうからである。

 日本は中国の北朝鮮に対する「世襲反対」に同調及び便乗して、「中国と供に世襲に反対」と北朝鮮に圧力をかけると同時に、それを取引材料として、前のブログで書いたように真相を問わない、首謀者を誰か問わないを条件に拉致被害者の全員帰国を求めることが日本の為すべきことではないだろうか。

 権力の世襲が北朝鮮にとって絶対的に譲れないは誰の目にも明らかだと書いたが、それが軍部のクーデターといった内部からの波乱による世襲の消滅といった事態は予想できたとしても、少なくとも外部からは防ぐことができない問題であるなら、世襲を単に傍観するのでは余りにも策がなさ過ぎる。

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上杉隆が言っている「歴代首相が鳩山総理を“脱税王”と追及できない理由」

2010-02-23 09:05:12 | Weblog

   
 
 ジャーナリストの上杉隆氏が次のような面白い記事を配信していた。
 
 《歴代首相が鳩山総理を“脱税王”と追及できない理由》Daiamond Online/2010年02月18日) (一抜粋)

 自民党の歴代総理も多くは「脱税王」

 3年前、筆者は週刊文春の連載をまとめた「世襲議員のからくり」(文春新書)を出版し、信じがたい世襲議員たちの無税相続の実態を世に問うた。

 政治資金管理団体や政治団体は非課税で相続できるため、多くの世襲議員がその制度を悪用し、贈与税や相続税の支払いを逃れているという事例を追及したのだ。

 11年前、党首討論で鳩山首相と対決した小渕首相の政治資金管理団体は、小渕氏の死後、その後、衆議院議員に当選した次女の小渕優子氏に無税で引き継がれている。筆者が調べただけで政治団体を迂回させる方法で、約1億2千万円もの資金が無税で相続されたのだ。

 その後の森元首相も同様だ。石川県議の長男に対して、自民党石川県連を通じて、特別扱いともいえる資金提供を行っている。

 小泉純一郎元首相も例外ではない。次男の進次郎衆議院議員に自らの政治資金管理団体を名義を変更するだけで、実質上はそのまま受け渡している。

 安倍晋三元首相はもっと悪質だ。父・晋太郎外務大臣が死去した際に残した約6億円の遺産について、相続税・贈与税を払った形跡はない。派閥に残ったカネのすべてとは言わないが、現在に至るまでそのほとんどの使途と存在について沈黙を続けている。

 福田元首相も同様だ。父・福田赳夫首相が選挙区を譲るとき、不動産も含めた資産を政治団体経由で長男である康夫氏に渡している。

 例外は麻生太郎元首相くらいのものであろう。資産家として、また企業家としての立場から、そうした政治的な無税相続は行っていない。

 つまり、日本で党首討論が始まってからの首相はみな、多かれ少なかれ「脱税王」なのである。

 見える「脱税」を追及することはもちろん大切だ。だが、それ以上に、見えない「完全脱税」を追及する視点もまた欠かしてはいけないのではないだろうか。


 記事は「政治的な無税相続」の「例外は麻生太郎元首相くらいのものであろう」と言っているが、麻生太郎の政界入りは父親が政治家を引退してから24年後で、父親が亡くなる前年のことだというから、政治資金管理団体を維持しているわけはなく、また政党支部長だの県連会長だのとは関係ない場所に父親がいただろうから、そこから「政治的な無税相続」を受ける機会がなかっただけのことではないのか。

 また「政治的な無税相続」を受ける機会がなくても、政界入りする前は麻生財閥の中核企業である麻生セメントの経営を受け継ぐ中で、父親や祖父が戦前から戦後にかけて経営した石炭採掘の麻生鉱業の利益は、自前の石油資源のなかった日本で石炭は戦争中だけではなく、戦後も長い間重要な動力資源だったろうから、石炭産業が衰退するまで計り知れないものがあり、特に戦争中は1万人余も強制連行した朝鮮人を石炭採掘に安価な賃金で強制使役する一方、石油を補う動力資源として儲けに儲けていた利益を受け継いでいたろうから、だからこそ帝国ホテルの高級バーで高級ブランデーを毎晩飲めるリッチな身分でいられるのだろうから、「政治的な無税相続」を必要機会としていなかったということもあったに違いない。

 麻生鉱業は強制連行朝鮮人を使役していただけではなく、第二次世界大戦の連合軍捕虜を強制的に労働させている。その事実を書いた記事を2006年11月にニューヨークタイムズが載せると、当時外務大臣だった日本の麻生太郎の差し金だったのだろう、外務省は在米総領事館のホームページに抗議文を掲載している。

 「日本政府は当時の一私企業である麻生鉱業の雇用形態や労働条件などをコメントする立場にはない。しかしながら、日本政府は、これまでに麻生鉱業が強制労働に関与したというどんな情報も得たことがない。ニューヨーク・タイム ズ紙が何の証拠もなしにこのような偏向した報道を行うとは、はなはだ遺憾である。」 (《麻生鉱業についてニューヨーク・タイムズに抗議して赤っ恥をかいた外務省》カナダde日本語/2008.12.22 (Mon))

 このブログによると、このことの事実を示す文書が厚生労働省が保管、発見されると、在米総領事館のホームの抗議文は削除されたと書いている。またブログは「AFP」記事を引用する形で、08年当時の中曽根弘文外相が野党側からの質問を受けて、在ニューヨーク総領事館のホームページに掲載の捕虜強制使役否定の記事を、「厚労省の文書で新たな事実が明らかになったことを受け、削除を決定した」と答えと書いている。

 参考までに引用――
 
 《「旧麻生鉱業で外国人捕虜300人が労働」》中央日報/2008.12.19 08:04:42)

時事通信は18日、「麻生首相の親族が日本植民地時代に経営していた旧麻生鉱業が外国人捕虜300人を鉱夫として使用していたという日本政府の文書が確認された」と報じた。日本政府がこのような事実を認めたのは今回が初めてとなる。麻生首相は外相時代に「第2次世界大戦の当時、旧麻生鉱業に外国人捕虜がいた」という主張に対し、一貫して否認してきた。

厚生労働省はこの日、民主党の藤田幸久参議院議員の要請で公開した公文書は戦後、旧陸軍省の資料を引き継いだ政府機関で作成された。公文書には福岡県にある旧麻生鉱業吉隈炭坑の捕虜収容所「第26分所」で英国人(101人)、オランダ人(2人)、オーストラリア人(197人)が1945年5月から終戦の8月15日まで強制労働をさせられた事実が明示されている。

藤田議員は18日の記者会見で「麻生首相は捕虜の労働条件と死亡の因果関係について検証する責任がある」と主張した。

厚生労働省の社会・援護局側は「捕虜を労働力として使用することは当時の状況では一般的のこと」とし「虐待があったのであれば別問題だが、この資料ではこのような内容は確認されてない」と話している。

麻生首相の親族が経営していた麻生鉱業は日本植民地時代に1万人以上にのぼる韓国人を徴用したことが伝えられている。韓国政府は11月28日、「戦時、動員された韓国人犠牲者の遺骨の実態を調査するため、政府間協議会(韓日遺骨調査協議会)で旧麻生鉱業に関連する資料の提出を求めた。麻生首相は、旧麻生鉱業が後に名前を変えた麻生セメントの社長を務め、政界入りしている。

 谷垣自民党総裁は2月17日の党首討論で鳩山首相の「政治とカネ」について次のように首相を追及している。

 「1年間に、これは1億8000万円ですか。1カ月にすると1500万。これは1日に換算すると50万円ですよ。それを7年間、さかのぼって、贈与税を払われたということは、私も報道で聞いております。しかし、私、総理のご説明に納得できませんのはね。要するに、これは贈与であるかどうか全く知らな…、そんなことがあるのは知らなかったと――」 (《【党首討論詳報】(2)》msn産経/2010.2.17 16:48 )

 こういう状況を以ってして、「総理、総理にはたいへん申し上げにくいですが、『平成の脱税王』という言い方もあるんです」(《【党首討論詳報】(1)》msn産経/2010.2.17 16:48 )と首相を追及、金額の大きさを問題にして、与謝野馨を倣って「平成の脱税王」と貶している。

 確かに金額は大きな問題点となるが、その金額にしても「政治的な無税相続」と同様、“受領機会”が決定する。麻生太郎は父親からの「政治的な無税相続」機会はなかったが、祖父や父親が麻生財閥として築き上げた財産を受け継ぎ、自らが麻生財閥系企業の経営者として稼いだ財産と併せた“受領機会”に恵まれ、その一部を政治活動費として利用することができた。

 いわば父親が有力政治家でカネ集めに長けていて政治資金管理団体に多額の資金を遺しておいてくれたか、あるいは鳩山首相のように親が莫大な財産を所有しているか、麻生太郎のように親の財産と併せて自らもたんまりと稼いだか、そういったカネに対する“受領機会”が決定する金額だと言うことである。

 このことを証明する格好の例がある。私が住む街の老人会や近隣の老人会が、私自身は入会していないが、幽霊会員や入会していない老人の名義借りして会員数を市から補助金を受けることができる人数にまで水増しして軒並み「単位老人クラブ補助金」なるカネを不正に受け取っているということを何年か前に知った。

 このことに老人会の肩を持って、「誤魔化しているたって、かわいいもんだ」と、その金額のたいしたことがないことを言う者がいた。

 「いや、誤魔化す金額は誤魔化すことができる金額の程度で決まるのだから、それが1000円なら、1000円誤魔化すし、1万円なら、1万円誤魔化す。金額りよりも、誤魔化すこと自体が問題だ」と反論した。

 日本全国のほぼ全部の自治体が国からの補助金のうち予算の余ったものを「預け」といった方法で目的外使用したり、私的流用したりする誤魔化しも、言ってみれば、“受領機会”が決定する金額であって、金額が少ないから許される、多ければ許されないと言うことではないはずだ。

 2009年3月29日の千葉県知事選で無党派、完全無所属を宣伝して当選した森田健作は自民党東京都衆議院選挙区第2支部(東京都中央区)長の地位に就いたままであることが分かり、無党派、完全無所属は選挙戦術上の便宜的な策略だったことを暴露したが、その支部の政治資金から1億6000万円余を支部と所在を同じくする森田健作代表の政治資金管理団体「森田健作政経懇話会」に寄付しているという。

 これも上杉隆氏が言う「政治的な無税相続」に相当する資金の移動であって、本人は「知事選には使っていない」と言っているが、“受領機会”が仕向けた1億6000万円余であろう。

 鳩山首相の母親が莫大な財産家であることからの「1年間に1億8000万円。1カ月にすると1500万。1日に換算すると50万円」の“受領機会”にしても、金額はさして問題ではないとは言わないが、金額の多寡を除いたなら、上杉隆氏が指摘しているように他と似たり寄ったりの同じ穴のムジナの資金操作と言えないだろうか。

 谷垣自民党総裁にしても、与謝野馨にしても、自身が長として務めているとしたら、自民党都道府県連会長のいずれか、あるいは自らが設立している政治資金管理団体のカネを例え金額は少なくても、それぞれに与えられている“受領機会”を利用して、巧みな操作による資金移動を一切行っていないと果して胸を張って言えるのだろうか。

 再び言う。金額は人それぞれに与えられている“受領機会”が決定する。もしそれが不正流用であるなら、金額の多寡と不正を働く精神の強弱は必ずしも比例しない。

 いわば誤魔化した金額が少ないからと言って、ゴマカシ心はたいしたことはないとは決して言えない。

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財源不足を理由に子ども手当満額支給がカット可能なら、他予算も同じ理由でそれ相応のカットは可能のはず

2010-02-22 07:57:32 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 《鳩山首相「満額をやる。全然ぶれてません」 子ども手当》asahi.com/2010年2月15日11時51分)

 鳩山首相が2月14日、子育て中の10人の若い父母とお茶会を首相官邸で開き、そこでの子ども手当に関する発言。

 「財源は極力、無駄を削減する中で余裕ができた分だけでやろう、という仕組みを作ろうと思う」

 記事の解説は、〈財源次第では満額支給にこだわらないとも受け取れる発言をしていた。〉としているが、まさしく「余裕ができた分だけ」とは、その範囲内に限定するということなのだから、満額支給以内の変数にとどまると言ったことになる。

 但し、この発言を翌15日に記者団から問われて、記事の題名どおりに訂正している。

 首相「当然、予定通り、満額(支給)をやる。そのための財源は歳出削減を徹底的にやって見いだしていくということを申し上げた。それは変わらない」

 記者「発言がぶれているとも思える」

 首相「全然ぶれてません。・・・・国債を発行して子ども手当の財源にしたいとは思わない。あくまでも歳出削減でやっていく」――

 「あくまでも歳出削減でやっていく」と断言した。

 首相が「歳出削減」(=ムダの削減)と言うとき、昨年暮れの最初の事業仕分けで目標金額を3兆円に置いたのに対して、結果的な削減成果が6900億円程度であったことを頭に入れていたはずであるし、また頭に入れておかなければならないはずだから、お茶会の「財源は極力、無駄を削減する中で余裕ができた分だけでやろう、という仕組みを作ろうと思う」という発言は頭の思いに対する正直な反応として出てきたはずだ。

 何しろ子ども手当を2011年度以降満額の月額2万6,000円支給した場合の必要とする財源は地方負担分などを含めて年間5兆円を超えるとされているのだから、最初の事業仕分けで学習させられた、歳出削減のみでは賄いきれないという結論でもあろう。

 だとしたら、子ども手当を「あくまでも歳出削減でやっていく」は矛盾することになる。

 《4月の事業仕分け「大きな金額想定せず」 枝野刷新相》asahi.com/2010年2月16日16時28分)

 枝野幸男行政刷新相が2月16日の閣議後の記者会見で4月実施予定の「事業仕分け」第2弾について次のように述べたという。

 「仕分け自体で大きな金額を(削減することは)想定をしていない。問題が明確なものを取り上げ、実態を明らかにするのが事業仕分けだ」

 これは、〈独立行政法人や公益法人の問題点を洗い出す第2弾は、歳出削減が最優先課題ではないとの考えを示した発言だ。〉と記事は解説している。

 「問題が明確なものを取り上げ、実態を明らかにするのが事業仕分けだ」と言っているものの、そのことの重要さはあったとしても、全体としては最初の事業仕分けから「大きな金額」が出ないことを学習していて、「大きな金額」が出ないことへの批判や期待の裏切りに予防線を張った、目的を「大きな金額」を出すことから「問題が明確なものを取り上げ、実態を明らかにする」ことへの巧妙なすり替えであろう。

 なぜなら、内閣統括者としての鳩山首相が言っている「財源は歳出削減を徹底的にやって見いだしていく」という統括者の趣旨にそぐわない「仕分け自体で大きな金額を(削減することは)想定をしていない」となるからだ。

 記事は〈枝野氏は、事業仕分けに加えて、▽類似の事業、予算の無駄の削減▽優先順位の低い事業の抑制――の3段階でマニフェスト実現のための財源確保に取り組む、と説明した。〉と解説しているが、「類似の事業、予算の無駄の削減」にしても、「優先順位の低い事業の抑制」にしても、事業仕分け作業そのものに含まれる項目のはずで、このことを通して「マニフェスト実現のための財源確保に取り組む」ということなら、財源確保が歳出削減をプロセスとした設定値となっている以上、「仕分け自体で大きな金額を(削減することは)想定をしていない」と自ら枠をはめたことは矛盾する設定となる。

 「仕分け自体で大きな金額を(削減することは)想定をしていない」が正しいのか、「事業仕分けに加えて、▽類似の事業、予算の無駄の削減▽優先順位の低い事業の抑制――の3段階でマニフェスト実現のための財源確保に取り組む」が正しいのか、少なくとも菅直人副総理兼財務相から見た場合、「仕分け自体で大きな金額を(削減することは)想定をしていない」が正しい枝野発言となる。

 《「子ども手当の財源は増税で」菅財務相が発言》msn産経/2010.2.20 22:23)

 東京都町田市で演説したときの発言だそうだ。

 「たくさん収入のある方に少し率として多めに税を払っていただき、そういうお金を子ども手当で応援に回していく」

 「(所得税の)累進制が緩和されてある意味、お金持ちには減税になっている。・・・・今年から税制の本格的な議論を始めたい」

 記事は、〈所得税率の見直しで子ども手当の財源を確保する方針を明らかにした。〉と解説しているが、一方で、〈歳出削減で子ども手当の財源を捻出(ねんしゅつ)する意向を示していた鳩山由紀夫首相との食い違いが、浮き彫りになった。〉と言っている。

 但し、〈所得税の最高税率の引き上げについては、鳩山首相も検討する意向を表明。菅財務相は、政府の税制調査会で検討する考えを示していた。〉と記事は最後に書いている。

 菅直人発言はある意味歳出削減の放棄であり、鳩山首相の「財源は歳出削減を徹底的にやって見いだしていく」の否定でもある。

 また鳩山首相が「消費税は4年間は上げない。それを変えるつもりは毛頭ない」という姿勢を示しているのに対して、首相が「消費税の議論、早過ぎる」と軌道修正を図ったものの、菅直人財務相が「所得税、法人税、消費税など税全体の議論を3月から本格的に始めたい」(msn産経)と議論を先行させる構えを見せている。

 こういった増税への衝動の芽生えと最初の事業仕分けで3兆円の歳出削減を目指しながら6900億円程度の削減しか見い出せなかった前例や枝野行政刷新相の「仕分け自体で大きな金額を(削減することは)想定をしていない」を参考とするなら、消費税その他の税の増税か、首相は「国債を発行して子ども手当の財源にしたいとは思わない。あくまでも歳出削減でやっていく」と言っているものの、国の借金をさらに増やし財政を尚のこと悪化させることになる一層の国債発行か、予算編成は多分その二本立ての道を取ることになるに違いない。

 新規高速道建設で予測通行量を過大に計算して過大な建設事業とするような事業自体の規模を必要以上に大きくしたムダとそのムダに応じた予算のムダ、費用(予算)が要求していた効果に結びつかない作業効率のムダ、必要ではないのに必要と見せかけた事業とその予算のムダ等々、かねがね必ずどこかにムダがあるから、各事業の各予算を一律的に1割カットし、その範囲内で金銭的な遣り繰り算段を強いる、あるいは作業効率を工夫させて生産性を上げさせる、10年度予算案が92兆3000億円なら、全体で9兆2300億円歳出削減できると主張してきたが、財源不足を理由に子ども手当満額支給がカット可能なら、他予算も同じ理由でそれ相応のカットは可能のはずである。

 それでどうしても不足するなら、事業の達成時期の延期を図り、カット分の予算を補正予算を組んで予算付けをする。その場合も1割カットして、順次達成時期を延期していく中で事業を完成させる。

 〈11年度予算編成では、社会保障分野だけでも新たに約6兆円の財源が必要だ。子ども手当に加え、基礎年金の国庫負担引き上げ(約2・5兆円)や医療費などの自然増(約1兆円)と歳出圧力には事欠かない。〉(毎日jp)ということだが、年々増加していくそういった予算にしても、必ずムダがどこかに存在するはずだと看做して少ない予算で遣り繰り算段させてムダを炙り出し、それを知らしめる形式の、出る「歳出圧力」に対して出さない「歳出圧力」をかけることも求められているはずである。

 事業仕分けの削減期待値3兆円に対する削減効果値6900億円の非効率的価値の学習、その学習から見い出した答としてある枝野行政刷新相の「仕分け自体で大きな金額を(削減することは)想定をしていない」といった仕分けに歳出削減の価値を置かない考え方が逆に菅直人財務相やその他民主党内の増税に価値を置く増税頼みを加速させた現在ある状況であると思うが、例え増税によって歳入をある程度保障できたとしても、結果的に歳出削減によるムダ排除の価値観を少なからず失わせることになって各種ムダを各事業の中に、あるいは各予算の中に温存した、あるいは巣食わせた増税頼みの歳入保障になるのではないだろうか。

 増税は最後手段として、一律1割カットといった荒療治もムダをつくり出す政治と官僚の体質の改良やムダな予算編成構造の改善を出発点として成し得る財政の健全化には必要ではないだろうか。

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平野官房長官が言う「ベスト」から「ベター」へ後退した場合の責任

2010-02-21 04:38:50 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――


 平野官房長官が沖縄を訪問、仲井真沖縄県知事と普天埋移設問題について会談したと、昨20日付「NHK」記事――《“ベスト求めるが ベターも”》(10年2月20日 11時35分)が伝えている。

 昨夜7時のNHKニュースでは平野官房長官と仲井真知事がテーブルに向き合い椅子に座っていて、仲井真知事が用紙を両手に持っていて、「すみません、お着き早々で恐縮ですが、慣例のご挨拶を兼ねて(ここで平野が短く笑うと、仲井真も笑いながら)お願い申し上げたいと思いますので」と言って、用紙を読み上げる。ここから上記NHK記事の動画から。

 仲井真知事「普天間飛行場の危険性の除去は喫緊の課題となっています――」(読み上げシーンはここまで)

 仲井真知事「県外移設に対する、その、声というのは、むしろ、ますます高まって、実は、い、おりますし、私も県外移設はベストだと――」

 平野「沖縄県民のみなさん方の、やっぱり負担を、どう軽減するかっていう話は、このことに私は基地の問題は、オー、担当する原点だと。我が国の、オー、安全保障のあり方も、国家としての基本にあるわけですから、その辺との、しっかりしたバランスを、オー、見据えながら、物事を進めなきゃならんと。ベストを求めていきますが、やっぱり、イー、ベターになるかもしれません」

 仲井真「辺野古上陸案というのは、えー、おおよそ決まりかけていて、アメリカともすり合わせ中だと、こういうような話が流れてきているんですが、どういう状況なんです?」

 平野「アメリカと内々にやっているとか、そういうことは全くございません。(以下NHKテレビから)これを明言しておきます」

 例の「斟酌」発言について、

 平野「これは全く誤解でございまして。当然選挙の結果という民意は、えー、当然尊重しなければならない。このことは前提ですから――」
 
  上記記事の両者の発言は次のようになっている。

 仲井真知事「普天間基地の危険性の除去は喫緊の課題だ。県外への移設が最も望ましいという声が高まっており、県外移設がベストだと思う。その方向で検討するよう配慮してほしい」

 平野官房長官「沖縄県民の負担軽減は、この問題の原点だ。一方で、わが国の安全保障のあり方も考えなければならず、バランスを見据えながら物事を進めないといけない。常にベストを求めていくが、ベターになるかもしれない」

 仲井真知事の「キャンプシュワブ陸上案」についての問い質しに――

 平野「「アメリカ側と内々にそういう話をしているということはない」

 「斟酌」発言について、

 平野「誤解があった。選挙の結果という民意は尊重しなければならないのは前提だ」(以上)――

 会談後の記者会見での仲井真知事の発言――

 「移設先の検討の途中でその都度、政府と意見交換したい。・・・ゼロベースと言うからには県内、県外、国外すべてを検討していると思うが、最終的にどういう案をまとめるのかは、きょうの時点では方向性が出ていないという気がした」(記事から)――

 平野長官の一連の発言を、「時事ドットコム」記事――《普天間、県内移設に傾く=沖縄は不信感、決着見通せず-平野官房長官》(2010/02/20-17:12)は、〈沖縄の反応を探る「観測気球」との見方がある。また、県外移設は極めて困難とみて、早めに沖縄に県内移設の「落としどころ」をちらつかせ、「県外移設の期待感がこれ以上高まらないよう、事前にクギを刺した」とみる向きもある。〉と解説している。

 平野官房長官は「斟酌」発言を「全くの誤解」と言っているが、1月24日の名護市長選挙で普天間の辺野古移設反対派の稲嶺進氏が初当選したことに対して、「民意の1つであることは事実であり、それを否定はしないが、今後の検討では、そのことを斟酌して行わなければいけない理由はないと思う。名護市辺野古への移設という選択肢をすべて削除するということにはならない」NHK)と、基地移設反対派の当選を「民意の一つ」であって、すべてではないと看做した上で、「今後の検討では、そのことを斟酌して行わなければいけない理由はないと思う」と言い、「名護市辺野古への移設という選択肢をすべて削除するということにはならない」という言い回しで、「名護市辺野古への移設」「選択肢」を民意に反する形で残したのである。

 民意を「斟酌」していたなら、「名護市辺野古への移設」「選択肢」を民意に反してまで残すことはしなかったはずだ。

 それを「斟酌」は「全くの誤解」だと誤魔化す薄汚い詭弁を弄する。ここで既に信用できない人間になり下がっている。何を言おうと、その信用のなさは平野長官のすべての発言についてまわる。

 大体が沖縄の負担軽減を基地問題の原点だと言わずに、基地問題を「担当する原点」だと、「原点」を基地問題に置かずに、そこから担当者(=民主党政権)へと巧妙にずらしている。いわば政権が「国家としての基本にある」「安全保障のあり方」をどう把えるか、「原点」を担当者の把え方一つでどうとでも変わる変数に仕立てている。

 だからこそ、「ベストを求めていきますが、ベターになるかもしれません」という発言が必然の答として飛び出したのだろう。

 だが、例え沖縄が望む県外・国外移設が現時点で既に不可能と看做されていて、名護市の「キャンプ・シュワブ陸上案」が不可避の選択肢だと予測していたとしても、「ベストを求めていきますが」と、“ベスト探求”を自らの公約としたのである。

 決して「ベターになるかもしれません」が公約ではない。「ベターになるかもしれません」は公約の結果でしかない。

 このことは上記「NHK」記事の昨日の鳩山首相の記者会見発言が証明している。(記事と動画の混合)

 「平野官房長官は、途中の段階で、いろいろな人に会う中で、自分の考え方を述べていると思う。選択肢をしっかり考えていきながら、沖縄やアメリカ、当然、政府として与党3党が協力していく中で、それぞれが『わかった』と言えるような案を作ることであり、ベストとかベターとか、そういう発想ではなくて、それぞれが理解するものがベストだと、私はそのように思います。今そういうものを、私としては、まあ、官房長官が中心ではありますが、選択肢、を、検討している段階で、ベターではなくて、私共はやはりベストを探すべきです」

 鳩山首相は勿論のこと、平野官房長官にしても、「キャンプ・シュワブ陸上案」を最終的なゴール地点だと頭に描いていたとしても、“ベスト探求”を政権の公約としたのである。

 だが、「ベスト」の公約を提供できずに、政府が描く「ベター」に公約が後退した場合、国家基本の安全保障とのバランスで止むを得ないと弁解するだろうが、公約は公約である、後退したことの責任はどうつけるのだろう。

 平野長官はそこまで考えて、「ベストを求めていきますが、ベターになるかもしれません」と発言したのだろうか。責任についての考えは何もなしに県や名護市が反対している名護市「キャンプ・シュワブ陸上案」を有力な可能性の一つに入れて「ベター」を想定していたとしたら、無責任極まりない。

 公約が「ベスト」から「ベター」に後退した場合は、その時点でその責任を取って、平野官房長官ばかりか、鳩山首相も辞任すべきだろう。

 特に平野官房長官に関しては、何ら責任を取らずに薄汚い詭弁を弄して「ベスト」から「ベター」への後退に任すのは目に見えている。

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中国の反撥を懸念した北朝鮮拉致日本外交力とオバマのアメリカ外交力との大違い

2010-02-20 08:04:55 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
 
 「asahi.com」記事――《民間人登用案2カ月近く放置 拉致問題対策本部》(2010年2月17日1時15分)はどういうことかというと、北朝鮮による拉致問題の情報収集強化を目的に政府の拉致問題対策本部に民間の専門家を登用する人事案が提出されたが、2カ月近く決裁されずに放置されたままだということが政府関係者の話で分かったという内容である。

 何事も理由がある。中井洽拉致問題担当相の人事案に脱北者支援の活動家が含まれていて、政府内に中国政府の反発を懸念する声があるためだという。

 中国政府の反撥を懸念するとは、中国政府の反撥に対して抱く恐れの感情であるはずである。

 人事案は中井拉致問題担当相の指示を受けて対策本部事務局が作業。昨年12月中旬、「北朝鮮難民救援基金」の加藤博理事長ら3人を大臣直属の参与とする案を固めた。加藤氏は北朝鮮の難民支援に取り組んでおり、北朝鮮内の情勢に精通。事務局の情報室と連携し、情報収集を行う予定だった。

 だが、例の平野博文官房長官が決裁を保留。加藤氏は2002年に中国で「北朝鮮住民の不法入国を助けた」として公安当局に一時身柄を拘束されており、政府内に中国側の反発への懸念が出たためだからという。

 以上、殆んど100%近く記事の言葉どおりに解説。

 加藤氏は2002年に中国に入り、北朝鮮住民の脱北を手助け、中国公安当局に身柄を一時拘束される程の行動力を併せ持っている。そういった人物の拉致に関わる情報収集は少なからざる利益をもたらすに違いない。

 要するに中国政府の反撥を恐れて、北朝鮮事情通であるばかりか、行動力のある加藤氏の参与登用に待ったをかけた。さらに要するに北朝鮮事情通であるばかりか、行動力のある加藤氏を通して北朝鮮内部の情報収集活動を行い、拉致問題解決進展に役立てようという構想よりも中国政府の反撥を優先させた。

 だからこその平野博文官房長官の決裁保留ということなのだろう。

 それとも既に中国側がこの動きを前以て内偵していて、内々に懸念を伝えていたということなのだろうか。

 そうでないとするなら、中国が反撥するかどうかも分からない動きに前以て懸念を示したことになる。あるいはあるかどうかも分からない中国政府の反撥を予め恭しくへりくだって忖度したことになる。

 まさか小沢幹事長なら中国の無理を何でも聞いてくれるからと小沢幹事長を通して伝えた懸念に鳩山政府が応じて平野官房長官が決裁保留に出たということなのだろうか。

 だとしたら、尚のこと大問題となる。

 いずれにしても拉致問題解決進展に向けた利益よりも、中国公安当局に一時身柄拘束された人物の人事案への中国の反撥を回避して友好を選択する利益を現在のところ取っていることになる。

 なかなかの日本の外交力ではないか。政治大国と世界から尊敬を受けているだけのことはある。

 記事の後段は、鳩山政権の自民党政権と比較した拉致問題の動きを伝えている。

 先ず政府が昨年10月に安倍晋三内閣の下で設置された拉致問題対策本部を廃止し、新たな対策本部(本部長・鳩山由紀夫首相)を設置したこと。

 そこで拉致問題担当相の中井氏が「自民政権では、情報収集の面で機能していなかった」と批判して、致被害者や北朝鮮国内に向けた情拉報招集機能の強化を打ち出した。その具体案が事務局の人員増と民間専門家の登用というわけである。

 組織運営には予算付けが必要となる。2010年度予算案は費用を前年度比4倍の8億6400万円に増額。いわば4倍の意気込みを見せたわけであるが、記事は、〈ただ、具体的な方策は固まっていない。〉と書いている。

 具体策が固まっていないばかりか、中国政府の反撥を恭しくへりくだって忖度し、適材適所まで欠いていたなら、予算4倍の意気込みがまるきり薄まってしまう。事業仕分けの対象にすべきだったのではないのか。

 次に北朝鮮への対応方針をめぐって国会で野党から批判を浴び続けていると記事は書いている。

 〈自民党政権下では「拉致被害者の安全確保と帰国」「事件の真相究明」「実行犯の引き渡し」の3項目を、絶対的な要件と位置づけていた。これに対し、鳩山政権は昨年10月の閣議決定文書で、3要件のうち「実行犯の引き渡し」を削除。北朝鮮は、欧州での日本人拉致事件にも関与したとされる「よど号」ハイジャック事件の実行犯と妻らの帰国に前向きとされ、中井氏は「帰国により拉致問題が幕引きにされては困る」と説明。しかし、納得のいかない野党側は同じ質問を繰り返す。

 こうした状況に、被害者家族たちは不安を募らせる。1月下旬の集会で、家族会の飯塚繁雄代表は「政府に具体的な動きがみられず、心配している」。増元照明事務局長も「鳩山総理が言う『命を大切にする社会』の命に、拉致被害者は入っているのか。熱意が感じられない」と訴えた。 〉――

 自民党政権が拉致問題解決の絶対要件としていた3項目を改めて取り上げてみる。

 1.「拉致被害者の安全確保と帰国」
 2.「事件の真相究明」
 3.「実行犯の引き渡し」

 民主党政権が3.の「実行犯の引き渡し」を引っ込めた。

 このことへの野党自民党などの批判に対して、中井拉致問題担当相が「よど号」ハイジャック事件の実行犯と妻らの帰国によって拉致問題が幕引きされかねないと受け止める理由が分からない。自民党政権下で既に北朝鮮側はよど号とは関係なしに拉致問題は解決済みだと幕引きしている。

 前々からHPやブログで書いてきたことだが、北朝鮮による日本人拉致の首謀者は金正日であろう。少なくとも私自身はそう信じている。恒常的に崩壊状態にある北朝鮮経済の建て直しに日本政府の戦争賠償と経済援助は大いなる力となるはずだが、それを手に入れるためには拉致問題の全面的解決とそのことを受けた国交正常化が条件となるが、“拉致解決”と“戦争賠償+経済援助”を天秤に掛けた場合、誰だって“戦争賠償+経済援助”を取るはずだが、“拉致解決”にそのことによって露見するかもしれない首謀者の“黒幕金正日”が最初から加わっていて“拉致解決+黒幕金正日”と“戦争賠償+経済援助”の天秤だとしたら、金正日からしたら、“拉致解決+黒幕金正日”を引っ込めざるを得ないだろう。それが「拉致は解決済み」という北朝鮮側のサインとなって現れているということであろう。

 日本側からすると、金正日が拉致問題を喉から手が出る程に欲している戦争賠償と経済援助獲得の障壁とし続けているからこそ、解決の長期化であろう。

 帰国させた5人は拉致の首謀者が金正日と露見しない許容範囲内の存在だった。死亡していないにも関わらず死亡したとしている拉致被害者は首謀者が露見する危険を抱えた人物と見なければならない。露見させないために表面上、死人に口なしとしたと疑うこともできる。

 拉致首謀者が金正日なら、自民党政権が拉致問題解決の絶対要件として掲げたとする

 1.「拉致被害者の安全確保と帰国」
 2.「事件の真相究明」
 3.「実行犯の引き渡し」

 の3項目のうち、民主党政権は「拉致被害者の安全確保と帰国」以外、「実行犯の引き渡し」だけではなく、「事件の真相究明」にしても削除しなければ、全員帰国につながらないだろう。

 もしも北朝鮮労働党幹部が関与していた場合、体制内に何らかの問題が生じる恐れが出るかもしれないという口実のもと、一種の司法取引を持ち出して、事件そのものを問わない、実行犯が誰かも、またその罪も問わない、拉致被害者の全員帰国のみを求める。但し、帰国者から知り得ている一切の情報を日本政府は聞き出すことをしない、帰国者本人にも何も喋らせることはしないとする。

 真相を闇に葬ることによって帰国を得る。独裁者金正日を助けることになるが、拉致被害者を助けることの方を優先利益とする。

 勿論この方法が成功するとは限らないが、“拉致解決+黒幕金正日”から金正日を除くことができて“拉致解決”のみとした場合、それと“戦争賠償+経済援助”との天秤は“戦争賠償+経済援助”に傾く可能性が生じない保証はない。

 1983年11月に北朝鮮兵士が北朝鮮の港に入港していた 第十八富士山丸で密航して門司海上保安部に逮捕されたことに対する報復として、同年暮れに再び北朝鮮に入港した富士山丸の船長と機関長の2人を密航幇助とスパイ容疑で逮捕、のちに労働教化刑15年を科し、逮捕から約7年を経た90年9月に訪朝した自民党・社会党訪朝団(金丸・田辺両団長)の釈放交渉が成功して訪朝団と供に帰国することができたが、多分釈放条件としての密約があったのだろう、帰国した2人はマスコミの取材に対しても、北朝鮮側の待遇、そこでの生活の内容、その他一切を語ることをしなかった。

 「Wikipedia」――「第十八富士山丸事件」は、〈『北朝鮮抑留 - 第十八富士山丸事件の真相』(西村秀樹著・岩波書店)によれば、2名は「日朝の友好を乱さぬように」とする政治的事由から朝鮮民主主義人民共和国における体験については公言せず沈黙を守るように宣誓させられたという。〉と、真相沈黙の理由を書いている。

 同じ「Wikipedia」記事は2人は5年後の阪神・淡路大震災の被害を受けたことをキッカケに北朝鮮でどのような待遇をされたか、どのような拷問を受けて身に覚えのないスパイ容疑を認めるに至ったを話したということだが、話したとしても、5人の拉致と同じように情報機関の責任にとどめることができる。

 だが、新たな帰国は情報機関よりも上、金正日の責任を暴露する可能性を考慮、拉致帰国者は帰国できた場合は、帰国の代償に生涯口を閉じる重荷を背負わなければならない。真相よりも、生きて日本に帰ることができた喜びを優先させるしかない。

 拉致問題解決進展に向けた利益志向よりも中国の反撥を恭しくへりくだって忖度して中国公安当局に一時身柄拘束された人物の人事案の回避を図ろうとする日本政府の外交力に対して、アメリカのオバマ大統領は中国の猛反対に関わらず、台湾に武器売却を決定、対して中国は報復措置として米中間の相互訪問など軍事交流の一時停止を決定(asahi.com)、しかもオバマ大統領は2月18日にチベットのダライ・ラマとアメリカで会談することを発表、中国の強い反撥をさらに受けた。

 だが、中国の軍事交流の一時停止決定に反して、2月17日に米海軍の原子力空母ニミッツと護衛艦4隻が香港に寄港。これは決定的な対立を避けたい中国側が米軍の要請を受け入れたことによる寄港で、香港島沖合に4日間停泊すると《米空母が香港寄港 米中関係冷え込みの中、友好の演出も》(asahi.com/2010年2月18日0時53分)が伝えている。

 記事は〈香港メディアは「この時期の寄港は驚きだ」などと報じた。〉と書いているが、アメリカが中国側の直接的な反撥さえも忖度しなかったのは両国関係の決定的な決裂、決定的な冷却はどちらも不可能な相互性に立っていることをカードに、相手を牽制しつつ自己の国益がどこにあるか知らしめる必要性を絶対としたからで、これがアメリカの外交力であろう。

 そして中国が「米国の指導者がダライと接触することに断固として反対する我々の立場は一貫しており、明確だ」(《中国、オバマ米大統領とダライ・ラマの会談に反対表明》NIKKEI NET/10.2.12)と強い反撥で牽制したが、オバマは公表したとおりに18日にダライ・ラマと会談、〈ホワイトハウスが発表した声明によると、大統領はチベットの宗教や文化、言語、人権を守ることに「強い支持」を表明した。〉(《米大統領、ダライ・ラマと初会談 人権尊重鮮明に、中国反発》47NEWS/2010/02/19 09:34 【共同通信】)と中国が最も嫌うことを公表している。

 但し、〈ホワイトハウスで行われた会談は歴代大統領とダライ・ラマとの接触の際と同様、各国首脳との会談で通常使用する大統領執務室(オーバルオフィス)ではなく、今回は居住棟の「地図の間」で実施。チベット亡命政府の事実上の指導者としてではなく「ノーベル平和賞も受賞した、国際的に尊敬されている宗教・文化指導者」(国務省)として処遇することで、中国側に一定の配慮を示した。〉(同47NEWS)と米中関係の決定的決裂を避ける外交力を発揮している。

 アメリカも中国も大枠としてはどちらにとっても大きな打撃となる両国関係の決裂は避けざるを得ない。それを承知していて、敢えて中国の反撥を前提に自国のあるべき姿・あるべき国益を主張する。

 このことは同時に中国の反撥を計算済みの上、人権と台湾への武器売却を今後とも対中カードとすることの提示でもあろう。

 対して再び拉致問題に見せている日本の外交力――

 《キム元死刑囚 日本に招へいへ》NHK/10年2月18日 14時57分)

 一昨日の18日の記者会見で拉致問題担当の中井国家公安委員長が拉致被害者の田口八重子さんと北朝鮮で一時暮らしていたキム・ヒョンヒ元死刑囚に関して、「去年、日本政府がキム・ヒョンヒさんから聞き取り調査をした際に『横田めぐみさんに実は会ったことがある』と証言したという報告を受けた」と述べた上で、キム元死刑囚の日本への招へいに向け調整に入ったことを明らかにしたと伝えている。

 招聘の目的はめぐみさんの両親が面会を希望していることにも応える意味もあるらしいが、「横田めぐみさんに実は会ったことがある」の証言は既に多くが知らされている事実である上に、さらに去年韓国で八重子さんの家族と面会していて、家族は彼女が知り得る情報を彼女から聞き出しているだろうから、日本政府が再度聞き取り調査をしたとしても、どこで誰と会ったか、こんなことがあったぐらい以外は北朝鮮側に拉致解決に向けた動きを促すような特別に新たな事実が見つかる可能性は低く、単なるセレモニーで終わるに違いない。

 いわばこれといって打つべき決定打がないから、めぐみさんの両親との面会という目先の変化を加えて打てる手を打っておこうといった見事なまでの日本の外交力ということではないのか。

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夢見たいな話/普天間移設は逆転の発想で住民を移転させてはどうか

2010-02-19 08:16:27 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 平野官房長官が09年12月28日午前に記者会見を開いて沖縄基地問題検討委員会の設置を報告している。

 「私の方から一点ございます。沖縄基地問題検討委員会の設置でございます。沖縄基地問題に関しましては、本日、基本政策閣僚委員会の下に沖縄基地問題検討委員会を設置し、13時30分より第1回目の会合を開催をいたすことにいたしました。同委員会の委員長としては私が務めます。委員長代行には松野官房副長官、委員としては外務・武正副大臣、防衛・榛葉副大臣、社民党からは阿部知子衆議院議員、服部良一衆議院議員、国民新党からは下地衆議院議員がメンバーとして参加をいたします。事務局は内閣官房が務めることといたしました」(首相官邸HPより)

 このことばかりは起きているときでも眠っているように見える平野官房長官が満足に委員長として意見集約の指導力を発揮し得えていなかったからだというわけではないだろう。委員会発足2カ月になんなんとするのに具体的な移転先さえ決まらないのは国民新党が沖縄県内移転となる現行案と似たりよったりの案に対して社民党はあくまでも国外移転に一歩も退かない姿勢に拘っているため、妥協点を見い出すことが困難な袋小路に立ち至っているからだろう。

 それに主導的立場にいる民主党が未だ候補地を挙げていない。5月末までにはまだ3カ月あると言えば、あると言える。但し、時間的余裕が決定の余裕とは限らない。「NHK」記事――《国民新党の陸上案説明に異論》(10年2月18日 5時3分)によると、国民新党が掲げた嘉手納基地への統合案+名護市のキャンプシュワブ陸上に海兵隊の部隊を移設し、新たにヘリコプター使用可能な滑走路を建設する「キャンプシュワブ陸上案」は同党下地政務調査会長が、「将来的には、県外や国外移設を目指しており、今回の案は、あくまで10年くらいをメドにした暫定的な案だ」としつつその説明を行った17日夜の会合に出席していた沖縄県に関係する民主党、社民党、無所属の国会議員、名護市の稲嶺市長から、「沖縄県民の負担軽減につながらず、とうてい納得できない」とか、「さきの名護市長選挙での稲嶺市長の勝利は、名護に新たな基地を作らせないという世論だ」などといった反対意見が相次ぎ、賛同する意見はなかったと伝えている。
 
 そもそもからして普天間基地の名護市への移設に反対を掲げて今回当選した名護市の稲嶺市長が17日夜の下地議員等の会合に先立って同じ17日に亀井静香と会談、既に国民新党の「キャンプシュワブ陸上案」に反対の意思表示を示している。

 「わたしは先月の市長選挙で、海にも陸上にも新しい基地はつくらせないと約束して当選した。名護市民や沖縄県民の声をくんでほしい」(《名護市長“陸上案容認せず”》NHK/10年2月17日 15時8分)

 対して亀井静香は次のように述べている。

 「沖縄県民の気持ちを生かして解決策を探るのが基本的な立場だ。ただ、ベストがダメなら、次善の策として稲嶺市長が理解してくれるかどうかだ」

 どこにも決まらなかったなら、そこしかないじゃないかと、名護の「キャンプシュワブ陸上」を前以ての予定調和としている発言とも取れる。

 稲嶺名護市長は翌18日午前に鳩山首相とも会談している。(《鳩山首相 名護市長と初の会談》NHK/10年2月18日 12時30分)

 稲嶺市長「さきの市長選挙では、海上、陸上にかかわらず『名護市に新しい基地は造らない』ということを訴えて当選した。民意の負託を受けており、市民が納得できる答えを出してほしい。県外か国外への移設をお願いしたい」

 鳩山首相「市長選挙の結果は、1つの民意として重く受け止めている。しっかりと沖縄の民意を受け止め、県民の負担軽減のため、鋭意検討委員会で検討しているところだ」

 稲嶺市長(会談後の記者会見で)「私は名護市民に対して『陸上も含めて基地は造らせない』と言ってきた。鳩山総理大臣には、市長選挙の結果を民意としてしっかりくみ取っていただきたい」

 記事は稲嶺市長が民主党の小沢幹事長とも会談し、国民新党案は受け入れられないと伝えたのに対して、小沢幹事長は「選挙で勝利したのはよかった」と述べたと伝えている。

 何だか禅問答のような気がするが、県内移設反対の民意を打ち立てることができて「よかった」という意味なのか、特に自民党議員を代表として政治家は口と腹とが違うことが間々あるから、何とも判断しようがない。

 社民党が掲げるグアム移転案にしても、17日に米太平洋海兵隊(司令部・ハワイ州)のスタルダー司令官(中将)が東京都内で講演し、〈沖縄駐留の海兵隊について「ヘリコプター部隊は地上部隊の近くに置く必要がある」〉、また、社民党の〈すべての海兵隊員を米領グアムに移す案について「グアムは沖縄の代替地ではない」と語り〉、米軍普天間飛行場の県外移設に否定的な見解だったという。(《普天間移設:「グアム、代替地でない」米海兵隊司令官》毎日jp/2010年2月17日 21時03分)

 この司令官は日本に駐留する海兵隊を指揮下に置いていると言うことだから、指揮官の立場からの戦略的な指揮作戦上の必要性に則った発言として無視し難いものがあるということなのだろうが、社民党が国外移転先としているグアムの知事自体が困難視していると政府・与党の沖縄基地問題検討委員会の視察で訪れた松野頼久官房副長官や社民党の阿部知子議員、国民新党の下地議員らに対して既に2月12日の時点で伝えている。(《グアム知事、普天間飛行場移設困難視》「沖縄新報」//2010年2月12日 10時05分)が伝えている。

 「住民の半数は移転計画を支持するが、計画を超える数字は受け入れがたい。経済的な問題もあり、土地にも限界がある」 

 これはインフラ整備の対応の難しさを訴えた発言だそうだ。

 グアム知事の一連の発言に対して社民党の阿部議員と国民新党の下地議員は正反対の対応を示している。

 阿部議員「インフラ整備に注意を払えば、計画以上の受け入れはあり得るのではないか」

 つまり、これからの交渉次第、交渉の中身次第だとグアム移転への期待を失わなかったわけである。日本が移転費用をすべて賄えば可能かもしれないが、そこまでカネを使わなければならないのかと反米感情が勃発しない保証はないし、日本の財政の問題も生じる。

 下地議員「知事の話やグアム議会の話を聞く限り、計画以上の数を移転するのは不可能ということがはっきりしたのではないか」

 ところが社民党の期待に反して、《海兵隊グアム移転、期間延長を=「普天間」に影響も-地元下院議員》時事ドットコム/2010/02/17-17:08)が題名どおりの内容を伝えていて、社民党の期待に冷水(れいすい)を浴びせている。

 米領グアム選出のボルダーロ下院議員(民主)が2月16日に地元の議会で演説し、在沖縄海兵隊のグアム移転について2014年の完了期限の延期を求める考えを表明し、そのことを同議員のホームページ上で明らかにしたという。

 〈ボルダーロ氏は、移転に伴うインフラ整備には8~10年かかるとし、現実的な期限を再設定すべきだと主張。14年の期限を「誰も支持しない」と批判、関連法案に反対の意向を示した。

 現行の在日米軍再編計画はグアム移転について、沖縄県の普天間飛行場移設とのパッケージと明記。普天間代替施設の完成も14年を目標としている。〉――

 記事はグアム知事も期限延期を求めていると伝えている。

 ますます狭まる社民党のグアム移転への期待だが、こういった閉塞的な状況を受けてのことなのか、最初に挙げた沖縄基地問題検討委員会の第7回会合が2月17日に首相官邸で開かれものの、社民、国民新両党の移設候補地案の提示は延期され、各委員から11日に実施したグアム視察内容が報告されただけで終了したと、2月18日付「琉球新報」記事――《普天間移設候補地 提示は延期、時期未定》が報道している。

 しかも次回開催日は未定で、正式な提示時期などは平野氏に一任されたと、決着の不透明さを暗示している。

 阿部知子議員「一刻も早く実施しなければいけないのが普天間飛行場の負担軽減、危険の除去。その一方で(グアムなど)移転先の整備というものは(時間を要するため)二つの間に時間のずれがある。その間を埋めるものが必要だと考えている」

 記事はこの発言を、〈暫定的な移設先として沖縄以外の国内移設を検討する考えを重ねて示した。〉ものだとしているが、社民党は国外移設先候補としてグアム以外に北マリアナ諸島のサイパン島やテニアン島も挙げ、現地からは歓迎の意を得ているが、北澤防衛大臣が既に2月12日の閣議後の記者会見で難色を示している。《防衛相 サイパンへの移設困難》NHK/10年2月12日 11時42分)

 「アメリカ軍がどう考えるかだが、サイパン島などにまで、すべての部隊が後方に移動することになったら、ほんとうに抑止力が維持できるのかという議論がどうしても出てくる。・・・・この問題を5月中に解決するという、鳩山総理大臣の強い意向があるなかで、その議論が長引けば、5月までに決めるのはなかなか難しい」――

 米軍首脳もアメリカ政府首脳も現行案を最善とし、社民党が期待している国外移設のグアムは現地知事も下院議員も反対、国民新党の嘉手納基地統合を含めた「キャンプシュワブ陸上案」は地元の名護市長が猛反対、沖縄県知事は国民新党案を、「一体どこをどうすれば、できるのか。まだ、政府から聞いていない」(《普天間移設:知事困惑「聞いていない」 シュワブ陸上案》琉球新報/2010年2月16日)と拒絶反応。

 仲里全輝副知事「名護市長や周辺住民が猛反対し、地域の理解は得られない。従来案に比べると生活環境への影響が大きい。・・・・(民主党は)衆院選で県外と言って県民をあおり立てて期待させておいて、なぜ県外ができないのか。他府県が反対してできないのなら、沖縄県民も反対だ。・・・・県民の総体は県内移設に反対だ。県政の立場では、県外移設に具体的なめど付けを強く期待したい」(同琉球新報

 ケンモホロホロ。県外移設先として打診されている九州の各自治体の首長も反対。連立政権側も最大公約数的に納得させる移設先を未だ提案できないでいる。アメリカ政府首脳も極東関係の米軍首脳も現行案を最善としている八方塞がりの状況にあり、早くも5月決着危ぶむ声が出始めている。

 民主党と国民新党は5月決着未確定を以って、アメリカ側が最善としている現行案に国民新党が提案している「キャンプシュワブ陸上案」をプラスさせる形で終着点と予定しているのかもしれない。

 田村耕太郎参院議員が自民党を離党して民主党に入党、国民新党を加えて社民党抜きでも法案可決可能な過半数を維持するに至っている。

 だが問題は、地元名護市長の猛反対と仲里全輝沖縄副知事が代弁している、「(民主党は)衆院選で県外と言って県民をあおり立てて期待させておいて、なぜ県外ができないのか。他府県が反対してできないのなら、沖縄県民も反対だ」を如何にクリアするかだが、沖縄県民の意向を汲むとして現行案に反対、回り道を取ってほぼ元の場所に戻ったということなら、その時間の無駄と無策が非難されて7月の参議院選挙を間近に控えて支持率を尚のこと下げることになるに違いない。

 アメリカ側からも非難を受けるはずだ。鳩山首相がオバマ大統領に会談で言ったとする、「私を信頼してもらいたい」とは大騒ぎした末にこのことかと。

 こういったデメリットと恥を曝す覚悟で堂々巡りの末にキャンプシュワブ沖からキャンプシュワブ陸上の違いしかない場所に立つとしたら、その勇気と厚顔は称賛に値する。

 普天間基地の県外・国外移設が実現不可能ということなら、同じ実現不可能な提案かもしれないが、県外・国外移設の提案同様、提案だけは許されるはずだ。

 題名で断ったように「夢見たいな話」である。逆転の発想で普天間がある宜野湾市の基地周辺の住民を別の場所に大量に移転させるか、名護市の移転予定地のキャンプシュワブ周辺の住民を大量移転させるか、その上で移住して無人となった場所に飛行ルートを限定して、そうするとことで基地周辺に住居を構えることによる危険除去を図る方法である。

 現状の生活拠点からの移転は既にダム建設等で行っている。移転住民の数に大きな違いが生じるが、沖縄振興と併行させた移住ならどうだろうか。

 但し、住民や自治体の許可を取らなければならないのは断るまでもない。中国で三峡ダム建設のために住民を100万人以上も強制的に移住させたが、共産党一党独裁だからできることで、日本は独裁国家ではない。住民の意思が優先されなければならない。

 移転地に工場建設用地取得費及建設費を低利で融資、税制上の優遇措置を最大限講じて法人税を年数を限ってゼロとするなどの恩恵を与えて従業員1000人~2000人規模の大きな工場を誘致する。

 工場建設が実現したら、その周囲に生活圏や商業圏が付帯し、人口は工場従業員の1000~2000人以上の需要を見込むことになる。

 建設地は海岸に近い場所に建設、港湾を設ければ、輸送に関わるインフラが整備可能となる。

 あるいは関西圏や九州、四国からは勿論、台湾や韓国、タイ、ベトナム、カンボジア等のアジアからの観光客を対象に同じ税制上の優遇措置、その他の有利な条件でディズニーランドを建てるといった手もある。

 現在、ディズニーランドはアメリカに2カ所、日本に1カ所、フランスのパリに1カ所、そしてアメリカにクルーザーに仕立てたディズニーランドの4箇所しかないということだが、沖縄に建設した場合、需要が見込めないだろうか。

 沖縄振興を何によって図ろうとも、移転住民の現況以上の生活の発展、維持の保障を絶対条件としなければならないのは断るまでもなくい。

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