韓国の李明博大統領が29日(2010年11月)午前、北朝鮮からの砲撃に対する大統領としての対応姿勢を示す国民向けの特別談話をテレビを通じで発表した。談話の全文を知りたいのだが、調べた限り全文を載せている記事は見当たらなかった。 |
前原誠司なる政治家が如何に自己都合な男か、ご都合主義者であるかを知らしめたいがためにのみこの記事を書いた。 |
我が日本の偉大なる菅首相が27日(2010年11月)、これも偉大な政治家だった鳩山前首相と東京都内の中華料理店で世界に影響を与える約1時間半の会談を持ったという。これは菅首相からの呼びかけで、会談時間1時間半は菅・胡錦涛横浜日中首脳会談の22分と比較して4倍強の長さに亘ったのだから、世界に影響を与えるだけではなく、さぞかし日本国家の今後についての、あるいは緊張状態にある朝鮮半島情勢等々についての重要、且つ貴重な意見交換に費やされたに違いない。 |
いずれの世論調査でも菅内閣の支持率が政権維持の「危険水域」とされる30%遥か下を行く超低空飛行を余儀なくされている。その超低空飛行下での法務大臣の失言が内閣を追い込み、辞任という形式を取らせた更迭、さらに失言や職務責任の不徹底等を問う内閣の要である官房長官と国土交通大臣に対する昨夜(2010年11月26日)の問責決議案提出・可決と菅内閣は2010年6月発足から改造内閣を経て散々の惨状を呈することとなった。 |
昨日(2010年11月25日)のブログ記事で菅首相指示の朝鮮学校無償化プロセスの一旦停止が無償化に強硬反対の自民党と姿勢を同じにすることができることから、無償化についての追及を国会で受けなくて済むメリットがあり、そのことを狙った自民党に対する阿(おもね)りではないかと書いたが、昨日自民党の山本一太議員から、一旦停止の理由を逆に追及され、菅首相は「北朝鮮による砲撃の中で総合的に考えて指示した」としか答えることができず、山本議員から、答えになっていない、ブレている、一貫性がない、定見がないと散々に批判されていた。 |
高校無償化見送りは自民党に対する阿(おもね)りではないのか |
全面戦争へと発展する可能性は殆んどないと思うが発展した場合の推移を、誰もが考えることかもしれないが、自分なりに考えてみた。 |
マスコミは柳田法務大臣の辞任は事実上の更迭、詰め腹を切らされたと解釈しているが、菅首相はあくまでも柳田法務大臣の自発的な辞任だとしている。
22日(2010年11月)午後、大相撲ファンなら、早く終えろとヤキモキしていた時間、自民党の丸川珠代議員が菅首相に対して柳田辞任に関して質問していた。(途中から)
丸川議員「ようやく柳田大臣が辞任しました。しかしこの辞任の経緯は極めて不思議です。昨日の夜まで、やらなきゃいけないことがあると言って、続投宣言をしていた。カメラの前で堂々としていたのが、今朝になったら、コロッとやめるとおっしゃった。
コロコロと簡単に変わるのは民主党のDNAなんでしょうか。鳩山前総理は辞めると言って、辞めるのをやめた。菅総理大臣は消費税10%と言って抱きついたかと思ったら、突然過ぎた(?)。古くは前原さんが代表だったときの、永田メール事件。民主党政権は平気でウソをるくDNAがあるのじゃないかと思いますが、正直申し上げて、菅総理、あなたはこの法務大臣を、辞めてよかったと思いますか。それとも続けて欲しかったと思いますか」
菅首相「先程、オ、経緯を申し上げましたが、最終的にはご本人の判断で、エー、辞表を提出されました。私は、アー、この席でも申し上げましたように、エー、柳田、ア、さんには、十分、アー、法務大臣を務める、ウ、能力があるというふうに思って、エー、任命をいたしました、アー、が、今回はご本人が、ア、予算、補正予算に対してですね、エー…、迷惑をかけることは、ア、思うところではないということで、エー、自らの判断として、辞表を出されましたので、ア、私もそれを受け止め、受け取りました」
丸川議員「もう一度伺いますが、柳田さんに法務大臣を続けて欲しかったと思っているのか、それとも辞めて貰いたかったと思っているのか、どちらですか」
菅首相「この間、アー、私は、柳田、アー、法務大臣、前法務大臣に、エ-、これからも頑張りたいと、言われておりましたし、エー、その中で、ま、色々と野党のみなさんからの、激しい、ま、色んな、アー、議論や、色んな主張もありまして、予算案についてですね、色々影響が、アー、出てきそうだという状況の中で、エー、ご本人が最終的に、判断をされて、エー、辞表を出されましたので、エー、それを受け止めたと言うことであります」
丸川議員「じゃあ、何で柳田法務大臣、官邸にお呼びになったんですか」
菅首相「(委員長に向かって)ちょっと静かにしてもらいたい。ちょっと静かにしてもらいたい。先日来、あるいはもっと前からですね、色々と、この場でも、野党のみなさんからも色々と厳しい意見もいただいておりました。シ、しかし、それに対しては私は先程来申し上げておりますように、ご本人が反省してですね、エー、これからも頑張るという姿勢で、エ、望まれ、私も、オー、そうして貰いたいということを申し上げてきました。
ま、しかし、イー…、色々状況は、アー、なかなか、アー、厳しさが増している中で、エー、今日、オー、朝、私の方から、アー、柳田大臣に、一度、オー、官邸にお出ましをいただきたいということで、お出でをいただいて、話をする中で、エー、最終的にはご本人が、アー、そうした、形で、エー、辞表を提出されたということであります」
こういった調子で辞任は柳田法相による自発的辞任だと押し通し続けるが、この間の答弁を見ただけで、ただ回りくどいだけのことで、如何に合理的判断能力に欠けた会話術であるかが分かろうというものである。
「あくまでも自発的辞任です」のみで片付ける、あるいは、「本人の判断による辞表提出です」、このあと、丸川議員がなぜ慰留しなかったのか追及したが、「慰留はしなかったのは本人の意志が固く、却って慰留したのでは本人の意志を無駄にすると思って慰留しなかった」程度で簡潔に片付ければいいものを、アー、ウー、エーを入れて、回りくどく長々と答弁する。
このことの典型箇所が、「柳田、アー、法務大臣、前法務大臣に」と、正確を期しても始まらないことにわざわざ「前法務大臣」と言い直しているところに特に現れている。野党の追及を簡潔にふてぶてしくかわすだけの力量を持ち合わせていないから、必要でもないことをバカ丁寧で替えることになる。
大体が言葉を整える目的からではなく、次の言葉を探す目的でアー、ウー、エーが無闇入る途切れ途切れの苦し紛れな答弁はスムーズに次の言葉が出てこないということなのだから、事実どおりのことを話していない疑いが濃い。
菅首相が法相辞任は自発的辞任だとしているのに対して柳田法相の辞任記者会見はそうとはなっていない。(動画から冒頭部分を参考引用。)
《柳田法相が辞任を表明 ノーカット動画》(日テレNEWS24/2010年11月22日 20:26)
柳田法相「(記者に)よろしいですか。いい?
おはようございます。エー、急にお集まりをいただきまして、ありがとうございます。エー、今朝8時に、官邸に参りまして、エー、総理、そして、エー、官房長官、エー、そして私、エー、お話をさせていただきました。エー、総理の方から、エー、この補正予算、国民生活を考えると、エー、何と言っても、速やかに通さなければならないと、エー、お話がありました。
エー、私の、広島での、不用意な、発言が、色んなところで、エー、影響をして、参りまして、エー、補正についても、みなさんにもご存知のように障害になりつつ、なってきたと、エー、いうことを考えて、エー、補正を速やかに通すべく、エー、私の方から、エー、身を引かせていただきますと、エー、いうことで、辞意を総理にお伝えさせていただきました。
エー、総理の方からは、エー、この辞意を受け取っていただきました。エー、書類については、その場で、エー、書かせていただきました。以上です」(以下の記者からの質問と回答は省略)
柳田法相の「エー」は言葉を選ぼうとする意志からの「エー」であろう。
柳田法相は発言の最後の方で、「私の方から身を引かせていただきますということで、辞意を総理にお伝えさせていただきました」と、自発的辞任であるかのように言っているが、最初のところで、「総理の方からこの補正予算、国民生活を考えると、何と言っても速やかに通さなければならないとお話がありました」と言っていることからすると、首相側が第一番に補正予算案通過を最優先利害としていたことが分かる。
その最優先利害の実現条件が、実現のための交換条件と表現してもいいが、法相辞任であったということであろう。それが、「補正を速やかに通すべく私の方から身を引かせていただきますということで、辞意を総理にお伝えさせていただきました」と言っている言葉に表れている。
このことは辞任が不適切発言から問われることになった法相としての資質・適格性そのこと自体を理由としたものではなく、そのことが影響を及ぼすこととなった補正予算案の国会通過問題となっている経緯からも窺うことができる。
辞任が本人の自発的意思だと全面的に持っていって吹きすさぶ暴風雨から雨粒一つ濡れずに事勿れに凌ぎたい菅首相からしたら、「総理の方からこの補正予算、国民生活を考えると、何と言っても速やかに通さなければならないとお話がありました」は言って欲しくない内幕暴露に相当するはずである。
だが、柳田法相は婉曲的な言いまわしで敢えて言った。
翻って、那覇地検の中国人船長釈放記者会見を改めて見てみる。
鈴木亨次席検事「衝突された巡視船の損傷の程度が航行ができなくなるほどではなく、けが人も出ていない。船長は一船員であり、衝突に計画性が認められない」
鈴木亨次席検事「わが国の国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上、船長の身柄の拘束を継続して捜査を継続することは相当でないと判断した」(以上asahi.com)
他にも政治介入を疑わせる要因はあったとしても、政治介入疑惑の最大の根拠は「わが国の国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上、船長の身柄の拘束を継続して捜査を継続することは相当でないと判断した」の次席検事の発言であり、この発言に基づいた野党の追及が国会で続き、国民もこの発言から政治介入を疑って、結果として菅内閣の支持率を下げせしめたことからすると、菅首相側からしたら、決して言って欲しくない発言であったはずである。
だが、次席検事は言った。こちらは検察にふさわしくない政治判断となっている。
上の立場にある者が言って欲しくないことを下の立場の者が敢えて言うこの構図から誰もが考えることは、上に対して何らかの不満があり、その不満の仕返しを上に対する抗議の意思に替えて報いるということであろう。
あるいは上の立場にある者が下の立場の者に言って欲しくない事柄を抱えているということはそれが秘密にしておきたい事柄であって、下の者にとってはその秘密の存在を間接的に示唆することで抗議の代わりとするということであるはずである。
柳田法務大臣の方は自発的な辞任の意思はなかったが、補正予算と国民生活を楯に因果を吹き込まれ、自発的辞任の形にされたことへの不満であり、那覇地検の方は、多分内閣の方から逮捕せよとの指示があり、逮捕した中国人船長を国内法に従って粛々と起訴に持ち込み、裁判所の判断を仰ぐ予定でいたが、今度は釈放せよとの指示があって、検察側に一切の決定とその責任を押し付ける形で処分保留のままでの釈放に持っていかざるを得なかったことの不満があった。
あくまでも状況証拠に過ぎないが、上の立場にある者が言って欲しくないことを下の立場の者が敢えて言うことの抗議は下の者の上の者に対する可能な限りのささやかな抵抗に相当することを考えると、抵抗の形とした発言から否定し難い事実が浮かんでくるはずである。
1976年に発覚した田中角栄のロッキード事件でロッキード社からの5億円の金銭授受の橋渡し役を務めた田中角栄の秘書官の榎本敏夫は裁判で全面否認したが、1981年に離婚した妻の榎本三恵子が検察側証人として出廷、二人の発言の中でカネを受け取っていたことを認めていたと証言、有罪の決定的要因となったが、後に記者団に彼女が話した「ハチは1度刺したら死ぬ。私もその覚悟」は女の恨みを晴らす象徴的言葉として「ハチの一刺し」という流行語となった。そのイキサツは多くが知るところであろうが、柳田法相と那覇地検が上の立場にある者が下の立場の者に言って欲しくないことを敢えて言った抗議、あるいは抵抗には共通した心理としてあった、「ハチの一刺し」ではなかったろうか。
柳田法相が今月11月14日(2010年)、地元広島市で開催の大臣就任任祝賀会で、多分上々機嫌の気分全開状態にあったのかも知れない、そこでの発言が国会軽視に当たると辞任要求、本人は拒否、菅首相も辞任必要なしと擁護の姿勢。自民党は今日22日(2010年11月)、参議院に法相に対する問責決議案を提出する姿勢でいる。
但し柳田法相は問責決議案が可決されても辞任しないと言明。
(この記事を校正しているとき、テレビで柳田法相が辞任を決意、これから記者会見を開く予定と伝えていた。)
問題となった発言箇所。
《法相の14日の広島市発言要旨》(47NEWS/2010/11/17 16:36 【共同通信】)
柳田法相「法相はいいですね。(国会答弁では)二つ覚えておけばいいんですから。『個別の事案についてはお答えを差し控えます』。これはいい文句ですよ。これがいいんです。分からなかったらこれを言う。だいぶ(この答弁で)切り抜けてまいりましたけど、実際の話、しゃべれない。あとは『法と証拠に基づいて適切にやっております』。まあ何回使ったことか。使うたびに野党からは攻められる。「政治家としての答えじゃないじゃないか」とさんざん怒られている。ただ法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です。『法を守って私は答弁しています』と言ったら『そんな答弁はけしからん。政治家だからもっとしゃべれ』と言われる。そうは言ってもしゃべれないものはしゃべれない」
「これはいい文句ですよ。これがいいんです。分からなかったらこれを言う」、「まあ何回使ったことか」とは大分ふざけた話だ。
野党から攻められても、「そうは言ってもしゃべれないものはしゃべれない」は野党を小馬鹿にした上での開き直りであろう。
言ってよい冗談と言って悪い冗談がある。もし職務に真摯に取り組んでいたなら、こういった発言は飛び出さなかったに違いない。
但し柳田法相は、「ただ法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」、「しゃべれないものはしゃべれない」と自己の答弁態度を堂々と自己擁護している。
だが、この「ただ法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」は、「個別の事案についてはお答えを差し控えます」と「法と証拠に基づいて適切にやっております」のふざけた、不謹慎極まりない発言をしたあとの、そのような発言を受け継ぎ、発した「ただ法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」である。
いわば不謹慎でふざけた意識を連続させていた中での発言――茶化した発言と看做さざるを得ず、「二つ覚えておけばいいんです」としたふざけた発言を法に従った正当な答弁だと茶化して正当化する魂胆からの「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」だとしなければ、前後の脈絡に整合性を与えることはできないはずである。
逆説するなら、茶化しの正当化を楯とした「個別の事案についてはお答えを差し控えます」と「法と証拠に基づいて適切にやっております」の茶化しであり、その点で、当然のこととして一体性を備えていた一連の発言ということであろう。
次のようにも言える。 「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」だとからかいながら偽った。
柳田法相の国会答弁で問題となっていたのは尖閣事件の中国人船長処分保留のままの釈放への政治介入の有無に関する答弁であった。勿論、政治介入なしが菅内閣一致の姿勢であり、一致した答弁であった。
だが、このことに関した自身の一連の国会答弁から得た教訓を柳田法相は、「法相はいいですね。(国会答弁では)二つ覚えておけばいいんですから」云々と、その程度だとした。
いわばその程度の答弁で野党の質問を片付けてきた。植木等の「サラリーマンは気楽なもんだよ」の『スーダラ節』ではないが、「法務大臣は気楽なもんだよ」といわば歌った。その正当化に「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」を持ってきたということであろう。
もし真摯な気持で「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」という姿勢を持ち、その姿勢を前提として答弁に臨んでいたなら、決して「二つ覚えておけばいい」といった軽々しい態度を示すことできなかったろう。
例え茶化しであっても、ではなぜ、「個別の事案についてはお答えを差し控えます」と「法と証拠に基づいて適切にやっております」の正当化の口実に「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」を持ち出したのだろうか。
この「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」を唯一正当性ある発言とすることができるのは、中国人船長処分保留のままの釈放関わる野党質問への答弁についてのみである。
それを茶化しに使ったということは正当性と正当化の狭間で何らかの事実を隠しているからであろう。政治介入があったのではないかとする野党の疑いの上に立った執拗な追及に対して疑いと事実の危ういバランスを保ちつつ事実を隠しおおす答弁を果たし得ていて、「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」とつい茶化す気になった。
真摯な態度で常に答弁に当たっていたなら、「二つ覚えておけばいい」といった軽々しい態度を取ることできなかったの同じく、中国人船長処分保留のままの釈放に何ら事実を隠していなかったなら、「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」と茶化しに使うことはできなかっただろう。
いわば国会答弁で事実を隠してきた成功体験が大臣就任祝賀会の席で、アルコールを嗜んでいたなら、酔いも手伝った気分全開の気の緩みから、「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」と茶化すこととなった。
この証拠の一つを国会答弁から見ることができる。既に新聞記事となっているが、10月14日(2010年)の参議院予算委員会。質問者は自民党の山本一太議員。
山本一太「検察が、この中国人船長の釈放を、決めた理由、その判断の基準は何なんでしょうか」
柳田「エー、少々お時間を貰いまして、詳しくお話をさせてもらいたいと思います。エー、私が釈放を決める前に(議場内からどよめきが起きる)、あー、すみません、すみません(と手を振る)。エー、(笑いながら)刑事、検事当局が(委員長「ご静粛にお願いします」)検事当局が釈放を決める前にも、折々に色んな報道を、エー、聞いておりました。その上で釈放に当たって、エー、釈放に当たって、そのときにも刑事局長から説明を受けました。・・・・」
中国人船長の釈放に関して政治介入は一切なかったが事実なら、あるいはそこに政治介入があったとする事実を一切隠していなかったなら、柳田法相にとっては自身が釈放を決めるという事実にしても存在しなかったことになるのだから、存在しなかった事実に忠実に即した発言が出て然るべきであるが、事実とは正反対の言葉を口にした。
このことを単なる言い間違いで片付けていいものだろうか。この1ヵ月後の大臣就任祝賀会でのふざけた、軽率極まりない茶化し発言である。前者の事実を反映させた後者の事実であるべきであり、例え後者が冗談であっても、冗談の中に前者の事実は事実として反射するはずだから、後者の茶化しの事実と相互反映した前者の「私が釈放を決める前に」の発言であり、急いで取り消すことで事実を隠しおおすことができた成功体験の大いなる一つと見るべきだろう。
「法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です」を正当化理由の楯として、いくらでも事実を隠すことができるということである。
平成20年度に年金、医療、福祉等で支払われた社会保障給付費が過去最高を更新したと11月12日(2010年)の報道が伝えていた。《社会保障給付費 過去最高を更新》(NHK/10年11月12日 16時49分)
前年の平成19年度も過去最高で、2兆6500億円余りの増加、率にして+3%近く、94兆848億円と記録を伸ばしている。この約2兆6500億円の増加は消費税1%分の税収が約2兆円だそうだから、1%税収以上の負担となる。
尤もこの過去最高の更新は毎年過去最高の更新を繰返していて、その流れを受け継いだ過去最高だというから、今後とも過去最高の更新が年々繰返されていく傾向を示すことになる。
世代別では当然と言うべきか、平成20年度分94兆848億円のうち、高齢者への支払いが全体の7割近くを占める65兆3597億円と圧倒的金額となっている。
当然このことは部門別統計を見ても、高齢者がより関与する年金、医療、介護の分野の社会保障給付費にも現れることにる。
▽年金――49兆5443億円(全体の半分以上)
▽医療――29兆6117億円
▽介護や失業給付などを含む「福祉その他」――14兆9289億円
国立社会保障・人口問題研究所「今回の社会保障給付費の伸びは高齢化の進展に加え、雇用情勢の悪化によって、失業給付を受ける人が増えたことも要因だ」
菅首相は消費税を増税して社会保障関連の予算にまわして介護や医療分野に集中的に予算を投じてそこに雇用を生み、雇用が生れれば、働いて税金を払うことになって税収が増え、財政再建にもつながり、景気が回復していくと言っていたが、消費税発言が災いした参院選大敗以降、余程懲りたのか消費税に関しては殆んど発言しなくなった。だが、景気対策を述べる段になると、何を財源とするのか触れぬままに介護・医療分野に予算を投じて雇用を増やし、そこに税源が生れるといったことは機会あるごとに滔々と喋りまくっている。
2008年1月15日にブログ《医療給付費・医療費の差別化を》に、自身の健康を自己管理させて、先天性・後天性に関わらず体質や遺伝からの難病を除いて、本人の不注意や不摂生が原因の病院治療の場合の自己負担額を増やし、自己管理できた者の負担を軽くする方向に持っていく。そのためにはすべての健康診断と病院治療歴を一生を通して記録し、管理できていたかいなかったかを審査して、治療費支払いの参考とするといったことを書いた。
健康の「自己管理」とは自己責任制をいう。自己の責任に任せる。
今後の少子高齢化の進行、無闇発行できなくなった国債、先進国中最悪の財政赤字と緊急を要する財政再建化等を考えると、消費税を増税するだけではなく、年々過去最高を更新していく天井知らずの社会保障給付費を本人負担に頼るだけではない抑制策を講じる必要があるはずで、再度この記事で健康の自己管理に応じた治療費の自己負担制によって社会保障関連の経費を削減する方法としてどうだろうか書いてみることにした。
先ず暴飲暴食等の不摂生から発症した病気の治療、不注意から負った怪我の治療等に対しては個人負担を増やすとする法律による取り決めのもと、1歳未満の乳幼児健康診査に始まって、幼稚園・保育園の定期健康診断(実施していないなら、実施する)、小中高大学の定期診断(大学は実施していなけば、実施すべきであろう)、そして会社に於ける定期健康診断、さらに個人的にかかった病院の治療の際も、例え指の治療であっても、血液検査と飲酒量、喫煙量、現在心がけている健康法等の問診を行い、それらを記録して、国民一人ひとりの健康履歴をつくり上げていき、そこから逆に不摂生や不注意による病気かどうか判断して、治療費に差別化を図っていく。
飲酒量や喫煙量、あるいは何ら健康維持を図っていないといった生活習慣に加えて健康診断や血液検査から不摂生な生活を送っていると判断できる患者に対しては、その患者が大きな病気を起す前に、もし大きな病気を起した場合は自己負担がかなりの額になると医者が注意することも生活習慣病の抑制につながるはずである。
生活習慣病の抑制は医療給付費や介護給付費の抑制にもつながっていく。国民の健康増進にも勿論のことつながっていくはずである。
不摂生や不注意による治療は自己負担額が増えるとする取り決めだけで、国民はそのことを意識することになり、生活習慣病の抑制や自動車事故等の抑制につながり、その反動として健康の増進に向かうはずである。
健康履歴を管理するためには国民総背番号制の導入が必要となる。
勿論、健康履歴制度の導入によって役所の仕事が増え、その経費が必要となるが、生活習慣病等の自己責任に関わる病気に対する自己負担額増額による社会保障給付費の抑制と健康を自己管理するための個々の投資による経済効果も期待でき、差引きプラスが見込めると思うがどうだろうか。
また健康自己管理(=生活習慣病抑制)のススメは年間3万人を超える自殺者の抑制効果ともなるはずである。