安倍晋三の対韓国輸出管理強化と北朝鮮ミサイル発射に関わる韓国発信の日本の情報把握との間に見る信義上の矛盾

2019-07-29 11:12:39 | 政治
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 日本の首相安倍晋三センセイが加計学園獣医学部認可に首相としての権限を私的に行使し、私的に行政上の便宜を図る形で政治的に関与し、私的便宜を与えたとされている疑惑を国会答弁や記者会見から政治関与クロと見る理由を挙げていく。自信を持って一読をお勧め致します。読めば直ちに政治関与クロだなと納得できます。よろしくお願いします。

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 北朝鮮が2019年7月25日、午前6時少し前に20分程時間をずらして2発の飛翔体を発射したと、2019年7月25日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。記事は韓国軍合同参謀本部発表の情報を元にしている。飛行距離は約430キロ。

 〈発射された飛しょう体がミサイルかどうかは今のところ明らかになっていませんが、米韓両軍は飛しょう体の種類や発射の目的について詳しい分析を急ぐとともに、追加の発射に備えて警戒監視を続けています。〉と伝えている。要するに発射飛翔体に関わるデーター分析と可能性としてある次の発射に備えて警戒態勢を米韓両軍で行っているということであろう。ここに自衛隊の存在は記されていない。

 だが、少なくともアメリカ政府からは連絡が入っていた。なぜなら、日本側は北朝鮮がミサイルを発射した際、その熱源を捉えて発射や方向、速度等を捕捉する米軍の早期警戒衛星情報(SEW)と共に米イージス艦が探知する航跡情報に依存していることは周知の事実となっているからだ。

 依存していることは防衛相岩屋毅の午前8時半頃対記者団発言からも窺うことができる。

 岩屋毅「北朝鮮が、何らかの飛しょう体を発射したと承知している。防衛省の関係幹部会議で情報を集約し、分析中だが、この段階で、わが国の領域や排他的経済水域への飛来はないと確認している。北朝鮮の軍事動向について、引き続き、アメリカや韓国などと緊密に連携しながら、情報の収集や分析に努め、警戒監視に万全を期していく。

 数や種類、距離は分析中で、この段階で、確たることは申し上げられない。どういう形の発射であっても、もし、弾道ミサイルであれば、国連決議に違反しているわけで先般からの、飛しょう体の発射事案は、非常に遺憾だ」

 もし自衛隊が韓国軍、あるいは米軍のいずれか一方と、あるいは双方とそれぞれに連携した飛翔体発射の情報把握であるなら、「北朝鮮が、何らかの飛しょう体を発射したと承知している」との言葉遣いは不可能となる。この「承知している」には間接的な伝聞の意味が込められている。自衛隊単独の、あるいは自衛隊が他国軍と共に参加した情報把握の場合は、国の安全保障に関わる国民の安心を得るためにその情報把握を前面に出すことになって、国民は防衛省発表という形で北朝鮮の飛翔体発射を知ることになるはずである。あるいは国民の安心を得る試金石となるゆえにそのような情報把握であることを否応もなしに前面に出すことになる。

 2017年1月26日の衆院予算委員会で防衛相を務めたあとの小野寺五典が敵基地攻撃能力の必要性を訴える中で北朝鮮ミサイル発射の情報を米軍に頼っている発言を行っている。

 小野寺五典委員北朝鮮がもし弾道ミサイルを発射した場合、当然、発射する場所というのは、北朝鮮の領土内にあるミサイル基地とか、あるいはミサイルの発射装置から発射されます。発射された後、当然、日本に飛んでくることをアメリカの早期警戒衛星で察知した場合、日本に通報があります。そして、それに対して、例えば日本のレーダーでこれを捕捉して、そして速やかに日本海にある日本のイージス艦からミサイルを発射して、弾道ミサイルでまず一義的に迎撃をする。万が一これが防げなかったら、今度は日本の国内にあります航空自衛隊が運用しますペトリオット部隊でもう一度迎撃をする。こういう二段構えで私どもは防いでおります」

 日本に飛来するしないに関わらず、アメリカの早期警戒衛星はコース、その他を察知して、日本に通報することになるはずだ。いずれにしても、アメリカの早期警戒衛星やその他からの情報を間に置いた日本側の情報把握という形式を背景にして北朝鮮飛翔体発射に関わる日本側の発言や発表であることを読み取らなければならない。上記記事は政府と安倍晋三の対応を伝えている。

 政府「わが国の領域や排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点で、わが国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていない」

 安倍晋三(静養先の山梨県で午前10時過ぎに)「わが国の安全保障に影響を与える事態でないことは確認している。いずれにしろ、アメリカと緊密に連携していく」

 日本独自の情報に基づいているのではなく、誰かからの間接情報を背景として自らの発言を成り立たせていると見なければならない。

 早期警戒衛星は現在、米国とロシアとフランスが運用しているとネット上で紹介されている。韓国軍合同参謀本部は地の利を利用して、高性能のレーダーのみで北朝鮮のミサイル発射、発射方角、発射角度、到達高度、到達距離等々の情報を得ているのだろう。だが、このようなレーダーを以ってしても、初期段階で全てを把握はできていない。韓国側は当初は2発共に飛行距離は約430キロと発表していたが、2発目は約690キロ到達と訂正している。

 「NHK NEWS WEB」記事の場合は「1発目がおよそ430キロ、2発目が690キロ余り」を韓国軍が「アメリカ軍と共同で分析した結果として、飛行距離は2発ともおよそ600キロだったと修正した」としている。

 約690キロは日本に届く飛行距離だそうだから、「排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されていない」とか、「わが国の安全保障に影響を与える事態でないことは確認している」と事実の表面のみを受け止めてばかりはいられない。韓国政府は新型の短距離弾道ミサイルだと分析しているというから、ミサイルの潜在的性能の脅威は増していることになる。

 2発目の到達距離訂正について防衛相の岩屋毅の反応。「産経ニュース」(2019.7.26 11:09)

 岩屋毅(2発目の飛翔体の飛距離が日本にも届く約690キロだったとの韓国側の見方について)「そもそも北朝鮮は日本全体を射程に含むミサイルを実戦配備してきた。現在もその状況は変わっていない。ミサイル防衛態勢を整え、抑止を効かせることが大事だ」

 自衛隊側が直接的に把握した発射のデータを分析して、訂正した距離ではないから、分析と訂正について直接的には答えることができない。そこで一般的状況を説明することに代えた。このことはそのまま情報の他者依存の状況を示すことになる。

 実際の発射に即して得たデータの分析が韓国軍と米軍によって行われて、そこに自衛隊が首を突っ込むことができなくて、情報だけを受け取る。アメリカ側と緊密な関係を維持しさえすれば、分析した情報は的確に受け取ることができるが、その分析には実際は韓国側も関わっている以上、韓国側の分析の恩恵を受けていることにもなる。そしてその恩恵が日本の安全保障に全然役に立っていないとすることも、今後の安全保障の役には立たないとすることもできないし、今後とも役立つ情報となり得る可能性は否定できない。

 つまり日本の安全保障維持の必要不可欠な一事項となっているにも関わらず、安全保障に関わるそのような日韓関係を他処に日本の韓国に対する輸出規制は国際的に認められている安全保障上の必要な見直しだと、別の理由による安全保障維持の措置に出た。

 このことが北朝鮮ミサイル発射の際の韓国側の日本向けの情報発信に悪影響が出ないとしても、日本側の韓国側に対する態度としては信義上の矛盾が生じることになる。矛盾を生じさせないためには話し合って、改めて貰うところは改めて貰うという態度に出るべきところをいきなり輸出管理の厳格化に出た。さらに日本の安全保障を理由に韓国向け輸出規制の強化を巡って輸出貿易管理上の優遇措置が適用される「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を8月2日に閣議決定する方針だと言うから、もしこの方針が決定されたなら、安倍晋三は韓国に対する信義上の矛盾を更に大きくするだけではなく、北朝鮮のミサイル発射に関わる韓国側情報の日本向けの発信に不確実性をもたらさない保証はない。

 勿論、日本は北朝鮮のミサイル発射に関しての情報獲得は米軍単独依存でもやっていける。だが、その情報の把握と分析に韓国も関わっている以上、信義上の矛盾はゼロにはならない。安倍晋三にとって、そんなことはカエルの面に小便程度にも感じないだろうが、何らかのしっぺ返しを喰らわない保証はない。

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徴用工問題:非は安倍政権にあり、韓国にはない 西松建設最高裁判決は適用不可能 無礼は河野太郎

2019-07-22 12:39:51 | 政治
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 日本の首相安倍晋三センセイが加計学園獣医学部認可に首相としての権限を私的に行使し、私的に行政上の便宜を図る形で政治的に関与し、私的便宜を与えたとされている疑惑を国会答弁や記者会見から政治関与クロと見る理由を挙げていく。自信を持って一読をお勧め致します。読めば直ちに政治関与クロだなと納得できます。よろしくお願いします。

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 様々なネット記事を道案内させて貰って、記事を進めていく。

 2018年10月30日、太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、韓国大法院(最高裁判所)は「個人請求権は消滅していない」として、賠償を命じる判決を言い渡した。対して安倍政権は1965年の日韓請求権協定により元徴用工の個人請求権は「完全かつ最終的に解決済み」との立場を取り、この立場から安倍晋三は「国際法に照らしてあり得ない判断だ。毅然と対応する」と述べ(息巻き?)、河野太郎は「日韓請求権協定に明らかに反し、日本企業に対し不当な不利益を負わせるものであるばかりか、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」と批判した(息巻いた?)。そして韓国政府に対して問題の解決を求めた。

 対して文在寅(ムンジェイン)韓国大統領は「個人請求権は消滅していないという観点から解決していくべきだ」という点と、「三権分立の中で行政府が司法府の判断に関与できず、尊重しなければならない」という点で政府としては動かない姿勢を示した。

 文大統領が「個人請求権は消滅していない」と発言していることは1991年8月27日の参議院予算委員会での当時外務省条約局長で、政府委員(現在の政府参考人)として出席した柳井俊二の答弁を根拠にしているのだろう。

 柳井俊二「日韓請求権協定におきましては両国間の請求権の問題は最終且つ完全に解決したわけでございます。その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国は国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。

 従いまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます」(文飾当方)

 「外交保護権」とは、外国によって自国民の身体・財産が侵害された場合、その侵害を自国に対する侵害として、国家自らが、いわば自国民に代わって相手国の国際法上の責任を追及することだという。その「外交保護権」を相互に放棄した。

 このことを裏返すと、国家の関わりのないところで個人が個人として自らの侵害に対して訴える分に関しては、いわば国家による外交保護権の行使という形式を採用しない訴えであるなら、そのような訴えを日韓請求権協定は可能としているという意味を取る。このことが柳井俊二の「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません」という答弁となって現れた。

 だが、安倍晋三にしても、河野太郎にしても、官房長官の菅義偉にしても、この国会答弁などなんのその、1965年の日韓請求権協定を根拠に元徴用工の個人請求権は「完全かつ最終的に解決済み」との立場を取り続けて、韓国政府に対して1965年日韓請求権協定第3条の紛争解決の規定に基づいた対応を求めたが、応じなかったために「国際裁判も含め、あらゆる選択肢を視野に入れ、毅然ととした対応を講ずる」との強い姿勢を示したが、韓国側の静観の構えは変わらなかった。

 日本政府は2019年7月1日になって徴用工問題をめぐる対抗措置であることを否定しつつ、韓国向けの半導体素材の輸出管理強化措置、いわば輸出規制の強化を発表。対して韓国側は「経済的な報復措置だ」と反発、WTO提訴も辞さない姿勢を示した。

 安倍晋三が2019年7月7日のフジテレビ番組で、韓国向け半導体材料の輸出管理強化措置の理由について「不適切な事案があった」と発言、この「不適切な事案」とは韓国が日本からの輸入品を北朝鮮に横流ししているというものだが、これは事実として日本政府が明言していることではく、横流ししているという見方があるという程度の事実であって、官僚の誰かからのリークがマスコミに流れて、そういった見方が浮上した見方なのか、官邸側が輸出規制の理由をデッチ上げるために官僚の誰かを使ってマスコミにリークさせて浮上した見方なのか、いずれかが考えられる。

 勿論、韓国側は北朝鮮への横流しを否定、輸出管理を厳格に履行していると主張している。

 また、韓国向け半導体材料の輸出管理強化措置が徴用工問題に於ける韓国側対応の日本側が望む内容となっていないことに対する対抗措置との見方があることに関しても日本側は否定している。

 「世耕弘成記者会見」(経産省/2019年7月16日)

 記者「韓国の文大統領は、昨日、改めて今回の措置について、重大な挑戦であるとか、国際機関の場で検証すべきということを改めて言っていますけれども、これに関してはいかがでしょうか」

 世耕弘成「日本としては当初から、今回の見直しは、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から、運用を見直すものであるということを明確に申し上げています。対抗措置ではないということも、最初から一貫して説明をしてきているわけでありまして、昨日の文大統領の御発言にあるような指摘は、まず全く当たらないということを申し上げておきたいというふうに思います」

 だが、世耕弘成はこの「対抗措置ではない」治する発言とは異なる発言を自身のツイッターで述べている。

 「世耕弘成ツイッター」(2019年7月3日)

韓国への輸出管理上の措置について、なぜこの時期に?等の疑問がまだ寄せられているし、マスコミもまだ完全に理解できていないようなので、今回の措置に至る経緯を改めて説明します。

経緯①
従来から韓国側の輸出管理(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していたが、日韓の意見交換を通して韓国が制度の改善に取り組み制度を適切に運用していくとの信頼があったが、近年は日本からの申し入れにもかかわらず、十分な意見交換の機会がなくなっていた。

経緯②
また近時、今回輸出許可を求めることにした製品分野で韓国に関連する輸出管理を巡り不適切な事案が発生している。

経緯③
さらに今年に入ってこれまで両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次ぎ、その上で、旧朝鮮半島出身労働者問題については、G20までに満足する解決策が示されず、関係省庁で相談した結果、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない。

経緯④
輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されているものであり、経緯①〜③を勘案した結果、韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていると判断し、厳格な制度の運用を行い、万全を期すこととた。(文飾当方)

 かくこのように徴用工問題で日韓の「信頼関係が著しく損なわれた」ことを輸出規制の動機の一つに加えている。

 このツイター発言で特に問題な点は輸出規制のメインの理由として「従来から韓国側の輸出管理(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していた」ことと、その是正に関わる「十分な意見交換の機会がなくなっていた」ことを挙げているが、だとしたら、「韓国側の輸出管理の不十分な点」と「不適切な事案」を具体的かつ明確に明示しなければならないにも関わらず、明示しないままに徴用工問題で韓国側から満足な解決策を示されないことを輸出規制の理由の一つに上げていることである。

 メインの理由を具体的に明示できずに対抗措置ではないとしている、当然、理由の一つに挙げる必要のない徴用工問題を輸出規制の理由の一つとして明示できる。この明示できるか否かによって、どちらがメインの理由か、自ずと姿を現すことになる。

 1991年8月27日の参議院予算委員会で日韓請求権協定によって個人の請求権は消滅していないとしていながら、それを無視していることも不明朗(隠し事や誤魔化しがあり、はっきりとしないこと・goo辞書)なら、輸出規制は徴用工問題に対する対抗措置ではないとしていながら、輸出規制の一つの理由としていることも不明朗そのものである。

 色々とネット上の情報を探っていくと、この不明朗はこじつけに行き当たる。2018年11月14日の衆議院外務委員会で共産党の穀田恵二が質問に立ち、「元徴用工の請求権については政府は日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している、判決は国際法違反だとの姿勢」だがと切り出して、上記1991年8月27日の参議院予算委員会の質疑に於ける外務省条約局長柳井俊二の答弁を取り上げて、個人の請求権は消滅していないとしていると追及している。

 対する河野太郎の答弁。

 河野太郎「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございませんが、個人の請求権を含め、日韓間の財産請求権の問題は日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決済みでございます。

 具体的には、日韓両国は、同協定第2条1で、請求権の問題は完全かつ最終的に解決されたものであることを明示的に確認し、第2条3で、一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対する全ての請求権に対していかなる主張もすることができないとしていることから、このような個人の請求権は法的に救済されません。

 日韓請求権協定において、請求権の問題は完全かつ最終的に解決され、個人の請求権は法的に救済されないというのが日本政府の立場でございます」

 要するに「個人の請求権が消滅していないが、日韓請求権協定第2条3によって全ての請求権に対していかなる主張もすることができないとされているから、このような個人の請求権は法的に救済されない」との意味を取らせている。だが、言っていることがよく分からない。この答を政府参考人として出席した外務省国際法局長三上正裕が理解させてくれる。

 三上正裕「先程申し上げたように、(日韓)請求権協定の中には財産、権利及び利益並びに請求権ということで入ってきているわけでございます。柳井局長が実体的権利と申し上げたのは、その四つのうちの財産、権利及び利益、確定的に実体的に存在しているものということだと理解しております。それを日本国内法の措置法で消滅させたということを言っていると思うんですが、請求権、慰謝料の請求権はその消滅させた実体的権利の中に入っていない、ただ、請求権は請求権協定の中には入っているので、この請求権協定で全てが解決されているということでございます」

 実体的権利に関して、「Yahoo!知恵袋」で次のように解説されている。

 〈実体的権利とは、具体的権利と同義と考えてよいと思います。すなわち、法律上ないし確立した判例上認められた権利で、かつその権利に基づいて裁判所に出訴し、救済を受けることができるものです。〉
 
 要するに確定的に実体的に存在している財産、権利及び利益に関しては日本国内法の措置法で消滅させてはいるが、「請求権、慰謝料の請求権はその消滅させた実体的権利の中に入っていない」、いわば「実体的権利」から除外されているゆえに日本国内法の措置法で消滅されてはいない、請求権は日韓請求権協定内の扱いとなっているから、その協定が個人の請求権は全て解決済みとしているとおりになるということになる。

 さらに三上正裕は次のように答弁している。

 三上正裕「最初に申し上げたように、権利自体は消滅していない。しかし、裁判に行ったときには、それは救済されない、実現しませんよということを両国が約したということだと思います」

 個人の請求権が“実体的権利外”、いわば “法律上ないし確立した判例上認められた権利外”のものであるなら、当然、裁判で救済されないことになる。

 但し1991年8月27日の参議院予算委員会での柳井俊二の答弁と矛盾することになる。
 
 柳井俊二「いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます」

 柳井俊二が「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させてはいない」、ただ、「外交保護権の行使として取り上げることはできない」、いわば外交保護権行使外であるなら、取り上げることができるといった趣旨の答弁をしているのに対して三上正裕は実体的に存在している「財産、権利及び利益を日本国内法の措置法で消滅させた」が、「実体的権利の中に入っていない」「請求権、慰謝料の請求権」は消滅させていないと答弁している。要するに柳井俊二が言っている「個人の請求権そのもの」を「実体的権利外の請求権、慰謝料の請求権」にすり替えている。

 三上正裕が言っているように「権利自体は消滅していない」、いわば「個人の請求権は消滅していない」が、このことに反して裁判での救済は実現しないとしている根拠が、上記2018年11月14日の衆議院外務委員会で共産党の穀田恵二も取り上げているが、第2次大戦中に強制連行され、広島県内の水力発電所の建設現場で過酷な労働をさせられたとして中国人の元労働者ら5人が西松建設を相手に約2700万円の損害賠償を求めた訴訟に対する最高裁判決であることを置いているということを2019年4月29日付「ハーバーピジネスオンライン」が伝えている。その「最高裁判決」をダウンロードしてみた。

 1972年の日中共同声明で中国側が戦争賠償に対する請求権を放棄したことを前提に、〈日中戦争の遂行中に生じた中華人民共和国の国民の日本国又はその国民若しくは法人に対する請求権は、日中共同声明5項によって、裁判上訴求する権能を失ったというべきであり、そのような請求権に基づく裁判上の請求に対し、同項に基づく請求権放棄の抗弁が主張されたときは、当該請求は棄却を免れないこととなる。〉として日中共同声明5項に基づく請求権放棄の対象と看做して、控訴をいずれも棄却している。

 但し中国側が日中共同声明で戦争賠償の請求権を放棄したことを控訴の棄却理由としている最高裁判決を日韓請求権協定に当てはめて、「裁判に行ったときには、それは救済されない、実現しませんよということを両国が約した」(三上正裕)とするのこじつけそのものであろう。大体が韓国側は「個人請求権は消滅していない」という態度を一貫して取り続けている。日本側だけの言い分を主張して、それを押し通そうとしている点についても、こじつけ以外の何ものでもない。

 河野太郎は日本政府が日韓請求権協定に基づいて第三国を交えた仲裁委員会の開催を韓国政府に求めていたが、韓国政府側が7月18日の最終期限までに応じなかったために翌7月19日午前、駐日韓国大使を外務省に呼び、強く抗議している。「NHK NEWS WEB」(2019年7月19日 12時27分)記事から河野太郎と駐日韓国大使の発言を拾って、纏めてみる。

 河野太郎「今回の対応は非常に残念だ。国際法に違反している状況を放置しているのは極めて問題で、韓国政府が今行っていることは第2次世界大戦後の国際秩序を根底から覆しているに等しいものだ」

 駐日韓国大使(輸出規制を念頭に)「日本側の一方的な措置で両国民と企業が困難な状況に陥り、被害が発生している。韓日関係の根幹を損なわせ、両国の基本的な関係に損傷を与える状況は、一刻も早く解消されるべきだ」

 河野太郎(駐日大使が「徴用」の問題の解決に向け、先月、韓国政府が提案した案を説明しようとすると、発言を遮り)「その提案は以前、国際法違反の状況を是正するものではないと伝えている。それを知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼だ」

 「知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼だ」としても、政府参考人が一度は「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません」云々と、消滅否定の答弁したことを、と言うことは徴用工問題で非があるのは安倍政権であり、韓国にはないことになるが、「(個人的請求権の)権利自体は消滅していない。しかし、裁判に行ったときには、それは救済されない、実現しませんよということを両国が約したということだと思います」と、結果的に消滅させているこじつけの無礼から比べたら、駐日韓国大使の無礼はたいしたことはない。にも関わらず、無礼としたことは、河野太郎の方が無礼な態度を取ったことになる。

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安倍晋三の政府としての主体性放棄のハンセン病家族訴訟控訴断念は明らかに参院選目当て 家族補償は別立てで行うべきだった

2019-07-15 09:56:21 | 政治
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 全国に住むハンセン病の元患者が国の誤った隔離政策によって患者の家族として差別される立場に置かれ、家族関係が壊れるなど深刻な被害を受けたとして国に賠償を求めたハンセン病家族国家賠償請求訴訟に対する熊本地方裁判所の西暦2019年6月28日の判決は原告側の訴えをほぼ認めて、国に対して総額3億7000万円余りを支払うよう命じた。

 判決は過去の隔離政策の過ちを指摘、「結婚や就職の機会が失われるなどの差別被害は、個人の尊厳に関わる『人生被害』であり、生涯にわたって継続する。家族が受けてきた不利益は重大で、憲法で保障された権利を侵害された」(「NHK NEWS WEB」)といった内容だということだが、要するに国の責任を厳しく問い質したということなのだろう。記事は、家族が受けた損害についても国の責任を認める判断は初めてだと解説している。

 対して安倍晋三は2019年7月9日午前、判決を受け入れ、控訴断念を表明した。6月28日から10日経過している。10日間、控訴するか、控訴断念とするか、協議を必要としたことになる。

 政府は3日後の2019年7月12日に熊本地裁判決に対する法律上の問題点を指摘する閣議決定の声明を出している。

 「政府声明」(首相官邸サイト/2019年7月12日)

  政府は、令和元年6月28日の熊本地方裁判所におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決(以下「本判決」という。)に対しては、控訴しないという異例の判断をしましたが、この際、本判決には、次のような国家賠償法、民法の解釈の根幹に関わる法律上の問題点があることを当事者である政府の立場として明らかにするものです。

1 厚生大臣(厚生労働大臣)、法務大臣及び文部大臣(文部科学大臣)の責任について

(1) 熊本地方裁判所平成13年5月11日判決は、厚生大臣の偏見差別を除去する措置を講じる等の義務違反の違法は、平成8年のらい予防法廃止時をもって終了すると判示しており、本判決の各大臣に偏見差別を除去する措置を講じる義務があるとした時期は、これと齟齬しているため、受け入れることができません。

(2) 偏見差別除去のためにいかなる方策を採るかについては、患者・元患者やその家族の実情に応じて柔軟に対応すべきものであることから、行政庁に政策的裁量が認められていますが、それを極端に狭く捉えており、適切な行政の執行に支障を来すことになります。また、人権啓発及び教育については、公益上の見地に立って行われるものであり、個々人との関係で国家賠償法の法的義務を負うものではありません。

2 国会議員の責任について

 国会議員の立法不作為が国家賠償法上違法となるのは、法律の規定又は立法不作為が、憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制限するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などに限られます(最高裁判所平成27年12月16日大法廷判決等)。本判決は、前記判例に該当するとまではいえないにもかかわらず、らい予防法の隔離規定を廃止しなかった国会議員の立法不作為を違法としております。このような判断は、前記判例に反し、司法が法令の違憲審査権を超えて国会議員の活動を過度に制約することとなり、国家賠償法の解釈として認めることができません。

3 消滅時効について

 民法第724条前段は、損害賠償請求権の消滅時効の起算点を、被害者が損害及び加害者を知った時としていますが、本判決では、特定の判決があった後に弁護士から指摘を受けて初めて、消滅時効の進行が開始するとしております。かかる解釈は、民法の消滅時効制度の趣旨及び判例(最高裁判所昭和57年10月15日第二小法廷判決等)に反するものであり、国民の権利・義務関係への影響が余りに大きく、法律論としてはこれをゆるがせにすることができません。

 かくこのように熊本地裁判決に対して政府として法律論上認め難いとする問題点を列挙している。特に如何なる訴訟であっても、「時効」は判決の要点となる。2004年に25年に延長された殺人罪の公訴時効は2010年に廃止されたが、2010年以降の刑事裁判で時効を25年と計算して、殺人罪成立の要件とすることはあり得ないことをあり得るとするような無視できないはずの事柄と同様、政府が考える消滅時効の起算点と熊本地裁が考えたそれとの違いは無視できない大きな問題点となる。

 だが、政府は控訴を断念した。いわば熊本地裁判決を受け入れた。

 「政府声明」発出と同じ7月12日に安倍晋三は判決に関する首相としての談話を出している。

 「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟の判決受入れに当たっての安倍晋三談話」(首相官邸サイト/2019年7月12日)

 閣議決定

 本年6月28日の熊本地方裁判所におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決について、私は、ハンセン病対策の歴史と筆舌に尽くしがたい経験をされた患者・元患者の家族の皆様の御労苦に思いを致し、極めて異例の判断ではありますが、敢えて控訴を行わない旨の決定をいたしました。

 この問題について、私は、内閣総理大臣として、どのように責任を果たしていくべきか、どのような対応をとっていくべきか、真剣に検討を進めてまいりました。ハンセン病対策については、かつて採られた施設入所政策の下で、患者・元患者の皆様のみならず、家族の方々に対しても、社会において極めて厳しい偏見、差別が存在したことは厳然たる事実であります。この事実を深刻に受け止め、患者・元患者とその家族の方々が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として改めて深く反省し、心からお詫び申し上げます。私も、家族の皆様と直接お会いしてこの気持ちをお伝えしたいと考えています。

 今回の判決では、いくつかの重大な法律上の問題点がありますが、これまで幾多の苦痛と苦難を経験された家族の方々の御労苦をこれ以上長引かせるわけにはいきません。できる限り早期に解決を図るため、政府としては、本判決の法律上の問題点について政府の立場を明らかにする政府声明を発表し、本判決についての控訴は行わないこととしました。その上で、確定判決に基づく賠償を速やかに履行するとともに、訴訟への参加・不参加を問わず、家族を対象とした新たな補償の措置を講ずることとし、このための検討を早急に開始します。さらに、関係省庁が連携・協力し、患者・元患者やその家族がおかれていた境遇を踏まえた人権啓発、人権教育などの普及啓発活動の強化に取り組みます。

 家族の皆様の声に耳を傾けながら、寄り添った支援を進め、この問題の解決に全力で取り組んでまいります。そして、家族の方々が地域で安心して暮らすことができる社会を実現してまいります。

 要するに判決には「いくつかの重大な法律上の問題点」が存在するものの、「ハンセン病対策の歴史と筆舌に尽くしがたい経験をされた患者・元患者の家族の皆様の御労苦」への心情と「確定判決に基づく賠償」の履行を優先させるために控訴断念を決定したと述べている。

 この心情と「賠償」優先の措置に対して参院選さ中であることから、野党から「選挙目当て」ではないかと批判が上がった。勿論、政府側は否定する。「時事ドットコム」

 自民党幹事長代行萩生田光一(記者団から参院選が首相の判断に影響したのかと問われて)「選挙に合わせて裁判の結果が出たわけではない。そこは直接の影響はない」

 アホだね、こいつ。忖度が流行っているのは政治の世界だけであるはずだから、判決は選挙に合わせはしないだろう。記者団が問い質したのは控訴断念は参院選を照準とした決定なのか、どうかなのだから、それに対するイエスかノーを言わなければならないのに方向違いなことを口にして、参院選の影響を否定している。

 公明党代表山口那津男「(控訴断念を)高く評価したい。選挙と故意に結び付けることはすべきではない」 

 山口那津男の見解が正しいかどうかが問題となる。

 政府は「政府声明」で判決に対して重大な法律上の問題点を指摘した。国会議員の責任に関しては判決は「司法が法令の違憲審査権を超えて国会議員の活動を過度に制約することとなり、国家賠償法の解釈として認めることはできない」と断じ、消滅時効に関する判決に対しては「国民の権利・義務関係への影響が余りに大きく、法律論としてはこれをゆるがせにすることができない」と激しく拒絶反応を示している。

 このように判決の問題点を承服し難い重大なことだと指摘していながら、控訴断念の理由として元患者家族の労苦と損害賠償の優先をいくら掲げようとも、地裁判決を受け入れたということは法律論上認め難いと政府が考えている重大な問題点を放置し、看過することを意味するだけではなく、放置と看過は政府としての主体性放棄を自ら率先して行うことをも意味することになる。

 勿論、この放置と看過を回避し、政府としての主体性を維持する唯一の方法はあくまでも裁判で戦う控訴以外にないはずである。そして例え控訴したとしても、元患者家族の労苦に報いる損害賠償は控訴とは別に議員立法による法律制定でも、あるいは内閣立法による法律制定でも可能なのだから、別立てで行うことにして、そのような法律の制定時か施行時に国家代表としての安倍晋三の謝罪を添えることによって家族の労苦を曲がりなりにも慰謝する方法とし得るはずである。

 だが、そういう方法は採用しなかったし、大体が家族訴訟は2016年2月15日に九州・関西在住の59名が国に対して損害賠償と全国紙への謝罪広告を求めて熊本地裁に起こしたものだという。それから3年と5カ月、「ハンセン病対策の歴史と筆舌に尽くしがたい経験をされた患者・元患者の家族の皆様の御労苦」を言い、それが心の底からの心情であるなら、裁判所の判決や控訴有無の判断を経ずとも実現させることができた家族側の要求であるはずである。

 そのような要求に応えないままに国は裁判で争う姿勢を示して、3年と5ヶ月を経た。いや、1931年(昭和6年)に「癩予防法」を成立させ、強制隔離を手段としたハンセン病絶滅政策を行い、1950年代には感染力が弱い上に有効な治療薬が開発されて完治する病気とされ、在宅治療が主流となりつつあった世界標準に反して1996年4月1日施行の「らい予防法廃止に関する法律」の成立まで65年も、在宅治療が世界標準となってからは40年近くも強制隔離を続けてきて、家族にまで背負わせることになった偏見と差別の精神的苦痛を今日にまで無視しておきながら、政府としての主体性を放棄してまで法律論上認め難いと政府が考えている重大な問題点を放置し、看過する理由に「元患者家族の労苦」に報いることと「補償」の優先を掲げる。

 この矛盾は安倍晋三の「ハンセン病対策の歴史と筆舌に尽くしがたい経験をされた患者・元患者の家族の皆様の御労苦」云々が心の底からの心情ではないことを如実に物語っている。

 心の底からの心情であるなら、地裁判決を待たずに、判決は判決として政府として救済に動くことができたはずであるし、心の底からの心情ではないことは判決を受けたあとの2019年7月9日の安倍晋三の記者会見で謝罪の一言を入っていなかったことに反映されている。

 「安倍晋三記者会見」(首相官邸サイト/2019年7月9日)

 安倍晋三「今回の判決内容については、一部には受け入れ難い点があることも事実であります。しかし、筆舌に尽くし難い経験をされた御家族の皆様の御苦労を、これ以上長引かせるわけにはいきません。その思いのもと、異例のことではありますが、控訴しないことといたしました。この方針に沿って検討を進めるよう関係大臣に先ほど指示いたしました」

 「筆舌に尽くし難い経験をされた御家族の皆様の御苦労」を言うなら、それが政府の政策が原因している以上、国家を代表し、継承している地位にある者として謝罪を最初に持ってこなければならなかったはずだが、持ってこなかった。

 謝罪がなかったことにも現れている、「患者・元患者の家族の皆様の御労苦」云々が心の底からの心情ではない以上、法律論上認め難いと政府が考えている重大な問題点の放置と看過を侵してまでした政府としての主体性を放棄する理由は控訴断念で内閣支持率を上げて、参院選で利する考えの選挙目当て以外に残されていない。

 言葉の巧みさで人気を取ろうとすることに長けている安倍晋三である。選挙目当てであっても、驚くに当たらない。

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第2次安倍政権での政治の安定が生んだ格差 参院選論戦の野党代表の無能&大阪城エレベーター発言に見る無知・卑怯

2019-07-08 11:27:04 | 政治


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 日本の首相安倍晋三センセイが加計学園獣医学部認可に首相としての権限を私的に行使し、私的に行政上の便宜を図る形で政治的に関与し、私的便宜を与えたとされている疑惑を国会答弁や記者会見から政治関与クロと見る理由を挙げていく。自信を持って一読をお勧め致します。読めば直ちに政治関与クロだなと納得できます。よろしくお願いします。

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 現在ブログは1週間に1度、月曜日に投稿と決めていることから、書きたいことがいくつか溜まってきたため、今回は二つのテーマを一度に取り上げることにした。最初のテーマは参院選に関わる安倍晋三と各野党代表の論戦。

 NHK日曜討論「参院選特集7党に問う」(2019年7月7日)(冒頭発言のみ)

 NHK小郷知子キャスター「選挙戦で各党は何を重点に訴えていくのか、30秒ずつでお願いしたいと思います。」

 安倍晋三「この選挙で問われているのは政治の安定か、あるいは混迷か、であります。参議院選挙は政権選択の選挙ではありませんが、政治を安定させるか、あるいは不安定化させるか、を決める選挙でもあります。

 10年前、自民党は選挙に惨敗し、政治は不安定になり、その後、経済は低迷し、総理大臣はゴロゴロ変わった。あの時代に逆戻りする訳にはいかない。強く訴えていきたいと思います」

 枝野幸男「この選挙で暮らしの安心を取り戻す第一歩を踏み出したいと思っています。残念ながら、この6年で非正規雇用は300万人増えて、働く方の5人に2人に達しています。年収200万円以下のワーキングプアと呼ばれるような皆さんも、1100万人に達しています。

 こうした中で消費を冷えこませる、消費増税はできない。年金だけで暮らせていけない、そうした老後に対してしっかりと手当をしていく、生活を応援するための選挙にしていかなければならない。そこに向けて頑張って参ります」

 玉木雄一郎「国民民主党として初めて迎える国政選挙ですから、我々にとってはデビュー戦です。我々の考え方、提案する改革する中道政党だということをしっかり訴えたいと思います。

 その上で政権の安定ではなくて、国民の生活の安定をしっかり確保することが大事で、そのための政策として家計第1の経済政策、これを打ち出しております。アベノミクスの最大の弱点は消費が伸びないこと。その好循環の起点を企業ではなくて、家計、消費を軸とした好循環をまわしていく。この政策をしっかりと訴えていきたいと思っております」

 山口那津男「先ず政治の安定がなければ、国益も、また国民の生活も守れません。それと並んで重要なことは、国民の声を聞くということであります。国民から見て、声が届いていないということでは、政治に信頼は得られません。

 公明党は小さな声を聞く力、を訴えたいと思います。公明党は国会議員、また都道府県の議員、市町村の議員、いつも連携をして、政策を実現する。この小さな声を受け止めて、政策実現ができる力がある。これを訴えたいと思います」

 志位和夫「『暮らし向きに希望を』と訴えて選挙を戦います。消費税10%をストップさせ、そして富裕層と大企業に応分の負担を求めてまいります。それから7兆円もの年金削減をやめさせて、低年金の底上げを図っています。最低賃金1500円。あと8時間働けば、普通に暮らせる社会を創ります。それから高過ぎる国民健康料を下げまして、暮らしを支える社会保障にしていきます。

 学費については直ちに半分、ゼロを目指します。そしてジェンダー平等社会を目指す選挙にしてきたいと思います」

 松井一郎「我々は地方の政治家が、集団で集まり、国政政党を作りました。そして、大阪に於いては増税することなく、教育無償化は8年前から実行してきております。今、この消費税増税が10月に迫ってますが、増税しなくても教育無償化は実現できる。実行してきたからこそ言えると思います。先ずは永田町で先ず国会議員が身を切る改革を実現をすることが増税の前にやるべきことは、これを徹底的に訴えていきたいと思っています」

 吉川元「争点、二つあると思います。一つは企業がどれだけ儲かっても、国民の皆さんは生活が良くなったと実感できない。あるいは生活が苦しいと感じる今の経済財政政策、これを根本的に変えていかなければならないというふうに考えております。

 年金の問題、そして消費税の問題、しっかりと伝えていきたいと思いますし、また併せて憲法を、我々は老舗の護憲政党として憲法をしっかり守って行くことを訴えていきたいと思います。憲法を生かす。そして支え合う社会の実現に向けて、選挙戦を戦い抜きます」

 安倍晋三は「政治の安定」を常々訴えてきた。通常国会閉会を受けた2019年6月26日の「記者会見」(首相官邸サイト)では次のように述べている。

 安倍晋三「決められない政治、不安定な政治の下で、総理大臣は、毎年のようにころころと代わりました。そのきっかけをつくったのは、私の責任であります。12年前、夏の参院選で、自民党は歴史的な惨敗を喫した。国会ではねじれが生じ、混乱が続く中、あの民主党政権が誕生しました。悔やんでも、悔やみ切れない。12年前の深い反省が、今の私の政権運営の基盤になっています。新しい令和の時代を迎え、あの混迷の政治には二度と逆戻りをさせてはならない。来るべき参議院選挙、最大の争点は、安定した政治の下で新しい時代への改革を前に進めるのか、それとも、再びあの混迷の時代へと逆戻りするのかであります

 2019年7月3日の日本記者クラブでの「参院選7党党首討論会」でも、同じようなことを発言している。

 安倍晋三「(「政治の安定」と書いたボードをテーブルに立てて)我が党の主張は『政治の安定』を訴えていきたい」

 「政治の安定」こそ、自らの政治遂行の必須の土台だと主張している。だが、安倍晋三は2012年12月の政権奪還以来、6年半もの間、今日まで一貫して「安倍一強」と言われる強固な「政治の安定」をつくり出し、その「政治の安定」に守られて、内政・外交に亘って強力な政治を推し進めてきた。そして内政面に於ける最大の成果は「格差拡大」である。

 日銀の異次元の金融緩和によって株高・円安の経済環境をつくり出して、過去最大のGDP560兆円、企業純利益60兆円といった国家の果実・企業の果実を生み出した一方で
景気回復や所得向上の実感がない国民が7、80%も占めているという格差である。残りの2、30%は、その多くは大企業や株利益に依存している国民であろう。

 いわば「安倍政権6年半の政治の安定」は国家や企業、特に大企業に役立ったが、一般国民には役立たなかった。一般国民に果実をもたらしたかどうかの点で言うと、不作そのもので、回されるべき果実は見る程のことはなかった。

 いくら有効求人倍率が上がろうと、高卒・大卒の就職内定率が上がろうと、雇用が増えようと、終局のところ、自分たちの利益は国家や企業の餌食となり、吸い取られて、得るべき果実を極小化されていく。だからこその、アベノミクス景気の実感のなさでなくてはならない。

 「政治の安定」が特に大企業・富裕層以外に役立たなかったにも関わらず、参院選で「政治の安定」を訴え、「あの混迷の政治には二度と逆戻りをさせてはならない」と言い募る。この無知・鈍感さは如何ともし難い。

 山口那津男にしても、「先ず政治の安定がなければ、国益も、また国民の生活も守れません」と言っているが、安倍政権の政治の安定は一般国民の生活を守ってこなかった。

 「政治の安定」がより平等な国民の幸福に役立たなければ、このことをいくら訴えても意味はないことになる。安倍晋三は意味もないことを訴えていることになる。

 「日曜討論」で立憲民主党枝野幸男が「この選挙で暮らしの安心を取り戻す第一歩を踏み出したいと思っています」と訴えていることも、国民民主党の玉木雄一郎が「政権の安定ではなくて、国民の生活の安定をしっかり確保することが大事」、あるいは「家計第1の経済政策」と訴えていることも、共産党の志位和夫が「『暮らし向きに希望を』と訴えて選挙を戦います」と強調していることも、社民党の吉川元が、「企業がどれだけ儲かっても、国民の皆さんは生活が良くなったと実感できない。あるいは生活が苦しいと感じる今の経済財政政策、これを根本的に変えていかなければならないというふうに考えております」と訴えていることも、この6年半の安倍政権がアベノミクスの成果としている一般国民の生活の現状を指摘しているそれぞれの言葉であり、そうである以上、「安倍政権6年半の政治の安定」が一般国民の生活にもたらし、自らが成果としていることに対する言い替え・同義語であろう。

 なぜ言い替え・同義語を用いずに「安倍政権6年半の政治の安定は一般国民の生活、幸福に役立たなかった」と直接的に批判し、「だから、暮らしの安心を取り戻すとか、国民の生活の安定をしっかり確保することとか、暮らし向きに希望をとか訴えなければならない」と言わなかったのだろう。ただ自分たちの政治スローガンを訴えるよりも、安倍晋三掲げる政治スローガンを否定した上でそうした方が、自分たちの政治スローガンはより生きてくるはずだ。

 そうしないから、安倍晋三に一般国民には役に立ってもいない「安倍政権6年半の政治の安定」を棚に上げさせて、「政治の安定か、混迷か」、あるいは「あの混迷の政治には二度と逆戻りをさせてはならない」などといつまでも好き放題に口にさせることになる。要するに野党代表たちが無能だから、その結果として好き放題に言わせていることになる。その好き放題が公示早々の各マスコミの世論調査で、与党過半数・改憲勢力維持といった安倍晋三有利の選挙情勢を招いているはずだ。

 一般国民の幸福に役立たない「政治の安定」とは格差への貢献を内実としていることからの一般国民の生活の現状に過ぎないことを安倍晋三の眼前に突きつけてこそ、選挙を白熱させることができる。それができていないから、NHKが2019年6月28日から3日間行った世論調査で、参院選挙に「必ず行く」が49%、「行くつもりでいる」が30%という結果が出てくる。

 野党に投票しようという熱気が全体的な投票行動となっていたなら、「必ず行く」は80%前後となっていなければならない。実際の投票率が下がるとしても、民主党が政権交代を果たした2009年の総選挙では小選挙区、比例区共に投票率は69.3%と、70%近くあった。その熱気がないからこそ、既に書いたように公示早々の各マスコミの世論調査で、与党過半数・改憲勢力維持といった結果が示されることになる。

 安倍晋三は番組の最後に「我々は大変に厳しい、きのう選挙情勢分析したんですが、非常に厳しいんです。大変厳しい中で全力を尽くしていきたいたいと思います」と発言している。与党優勢の早々の世論調査に安心して、与党支持の有権者が人任せにして棄権する可能性の芽を前以って摘む必要性からの発言だろう。なかなか抜目がないが、この抜け目のなさの10分の1でも、野党代表たちは安倍晋三の爪の垢を煎じて飲み、学んだ方がいい。

 次のテーマは大阪城エレベータ発言。「G20大阪サミット 夕食会挨拶」(首相官邸サイト/2019年6月28日)

 安倍晋三「皆様、改めてようこそ大阪にいらっしゃいました。ここ大阪は、4世紀頃に仁徳(にんとく)天皇により都に定められ、その後商業の町として発展してきました。大阪のシンボルである大阪城は、最初に16世紀に築城されました。石垣全体や、車列が通った大手門は、17世紀始めのものです。150年前の明治維新の混乱で、大阪城の大半は焼失しましたが、天守閣は今から約90年前に16世紀のものが忠実に復元されました。しかし、一つだけ大きなミスを犯してしまいました。エレベーターまで付けてしまいました」

 大阪城に関する発言はこれのみとなっている。最初に築城されたの16世紀。石垣全体や車列が通った大手門は17世紀の築造当事の姿を残している。150年前の明治維新の混乱で大阪城の大半は焼失。天守閣は約90年前の1928年(昭和3年)に16世紀の姿が忠実に復元された。エレベーターまで付けたのは大きなミスだった。いわば16世紀のままの姿で復元すべきだった。

 つまり、築城当事の姿に近づけて「復元」という形を取る以上、近代の産物であるエレベーターなる動力は必要なかった、が誰だどう見ようと、あるいはどう読もうと、結論となる。

 この発言が野党が障害者や高齢者への配慮を欠く発言だと批判、ネット上でも同じ趣旨の批判が渦巻いた。

 安倍晋三はこの発言について釈明している。但し自身の口からではなく、自民党幹事長代行萩生田光一の口を通してである。萩生田光一は2019年7月2日、自民党本部で安倍晋三と会談、その際、釈明を伝え聞いたのだろう。「NHK NEWS WEB」(2019年7月2日 13時34分)記事からオーム役の萩生田光一の発言を見てみる。

 萩生田光一「日本は文化財などの復元にも大きな力を持っており、限りなく同じものをつくったが、当時はエレベーターはなかったということを言いたかった。決して、エレベーターが必要ないとか、バリアフリーの社会に異論を唱えるとか、そうした発言ではない。

 取りようによっては、障害者やお年寄りに不自由があってもしかたがないと聞こえるような発言をしたことは遺憾だ」

 確かに「バリアフリーの社会に異論を唱えるとか」の発言では決してない。但し「限りなく同じものをつくったが、当時はエレベーターはなかった」との意味を持たせた発言でも決してない。そのような発言なら、「エレベーターまで付けたのは大きなミスだった」と、失敗そのものを指摘する「ミス」という言葉は使わない。「エレベーターが必要ないとかの発言ではないが、エレベーターまで付けたのは大きなミスだった」とした場合、果たして前後の脈絡は繋がるだろうか。「大きなミス」とする以上、「必要ない」の意味を取る。

 要するに萩生田光一の口を通して言わせた安倍晋三の釈明は自身の発言を誤魔化すマヤカシ以外の何ものでもない。

 また、安倍晋三は「取りようによっては、障害者やお年寄りに不自由があってもしかたがないと聞こえるような発言をしたことは遺憾だ」と萩生田光一の口を使って言わせているが、あるいは萩生田光一は恐山のイタコのように安倍晋三の口寄せを行っているが、「取りようによって」という言葉の意味は「解釈次第」の意味であって、その解釈の責任は解釈の主体に帰せられる。

 つまり安倍晋三自身は「障害者やお年寄りに不自由があってもしかたがないと聞こえるような発言をしたわけではないが、そのように聞いた者がいたとしたら、遺憾だ」と、そのように解釈した側に責任を置いて、自身に責任は置いていない釈明を行っている。だから、「遺憾だ」と言うことができる。

 だが、実際には「聞こえるような発言」では決してなく、そのままに聞こえる発言なのだから、マヤカシそのものを働く誤魔化しに過ぎない。

 伝統とは昔のままではなく、人間の生活の変化に応じて生じた伝統と生活の間の不都合を修正して、生活の都合に合わせていく側面を持っている。いわば生活の都合の変化に伝統を合わせざるを得ない場合がある。そのことまで考えることができずに、伝統一辺倒に拘る無知な視野狭窄が言わせた大坂城エレベーター発言でなくて、何であろう。

 無知なだけではない。表に出て自身の口で釈明するのではなく、忠実な飼い犬のポチである萩生田光一を使って釈明したことは卑怯そのものの振る舞いで、自身の真意を隠して、別の真意に作り変える卑怯を併せると、二重、三重の意味で卑怯な人間に仕上がっているとしか言いようがない。

 このような信用が置けない安倍晋三なる政治家が首相を務める与党を参院選で投票の対象にする。

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相互に気づかずに自民二之湯武史はアベノミクスは格差ミクスだと議論を仕掛け、安倍晋三もそれを承認の2019/6/10参院決算委

2019-07-01 08:52:33 | 政治

 西暦2019年6月10日、参議院議員自民党岸田派の二之湯武史(にのゆ たけし)が決算委員会で質問に立った。京都大学経済学部卒で、42歳、滋賀県選挙区選出の岸田派だそうだ。なかなか歯切れのいい質問をする。

 質問の最初に大津市の幼稚園児の事故を取り上げ、大津市長が自民党本部を訪問、子供の安全対策について強い要望をされたとか、子ども安全対策に関する現時点での政府の検討状況等を聞いてから、アベノミクスの現状と将来的なあるべき姿をアベノミクス生みの親である安倍晋三に求めていく。先ずその冒頭部分の遣り取りを取り上げてみる。

 二之湯武史「新しい令和の時代が開けてひと月余りが経ちました。この時代はですね、私は大転換の時代だと確信をしております。例えば明治維新で近代国家が平成まで一貫して増え続けた人口が減少していく時代に入っております。また、AIといった技術革新、また地球規模の気候変動、こうしたものが我々の人間のあり方そのものを変えてしまうような、そんな時代に入ってきたとに思います。

 要するにこれまでの成長一辺倒の社会ではですね、成長とまた心の豊かさといったものが調和していく成熟社会に私は入っていくべきであり、またそのために大きく発想転換しなければならない。まさに令和、ビューティフルハーモニーでありまして、そうした非常に象徴的なこの元号の名前も含めてですね、総理はですね、この令和という時代は先ずどのように、大きく、すみません、通告はしてないんですけども、この大きな捉え方、どのようにお感じていらっしゃるのか、お聞かせ頂きますか」

 安倍晋三「当然の質問ではありますが、令和の時代っていうのは、人それぞれの良さを花開かせることができるという時代にしていきたいという思いを込めているところでございますが、そこで今、委員がご指摘なされたように生産年齢人口、既にこの6年間で5、6万人、減少しております。しかしそれでもなお、私たちは成長できるという思いの中で経済政策を進めてきましたが、10%以上、実質GDPは成長しました。これがなぜ可能になったかということはですね、新たに多くの女性の方々が働き始めて頂いた。そして高齢者の方々もですね、仕事を続けようという選択肢を取れる状況が作り出すことができたことによってですね、経済成長するとはできたのではないか、こう思っているわけであります。

 希望すれば、それぞれの皆さんがですね、様々な目標に向かって進んでいくことできる社会を作ることによってまさに我々は経済を成長させることができた。と同時に人口減少していますが、今委員がご指摘になったように第4次産業革命が起こる、AI、IoT、ロボット、こうしたものはむしろ雇用にはマイナスではないかという指摘があるわけでありますが、日本の場合は生産年齢人口が減少していきますから、その中で思い切って導入が可能となっていくわけであります。

 まさにSociety5. 0を実践していくことによって経済を成長させ、そしてそれぞれがその目標に向かって女性、高齢者、勿論、だけではなくて、障害がある方やまたは難病を抱える方々も、それぞれ自分の人生の目標に向かってですね、進んでいく。そういう社会を創り出すことによって日本は豊かに成長していく、そして世界のまさに目標とでも言うべき、誇るべき日本を創り上げていくことができるんではないか、令和の時代はそういう時代にしてきたいと、このように考えております」

 さすが安倍晋三、アベノミクス自慢となると歯切れのいい弁舌の披露となる。「人それぞれの良さを花開かせることができるという時代にしていきたい」という言葉にしても、「希望すれば、それぞれの皆さんがですね、様々な目標に向かって進んでいくことできる社会」という言葉にしても、「女性、高齢者、勿論、だけではなくて、障害がある方やまたは難病を抱える方々も、それぞれ自分の人生の目標に向かってですね、進んでいく。そういう社会を創り出す」という言葉にしても、平等社会=反格差社会への意思志向を自らの政治のバックボーンとしていることを現していることになる。

 と言うことは、アベノミクスは平等社会=反格差社会へと向かって走る強力なエンジンだと宣言したことになる。つまり安倍晋三自身は、そう信じている。

 二之湯武史の続けて行った質問が素晴らしい。

 二之湯武史「まさにこの6年半でアベノミクスによって大きな成果は上がっております。私が言うまでもなく、過去最大のGDP、560兆円、そして企業の純利益も60兆円を超えてます。これはバブル期を大きく上回る、2倍以上上回るような水準。また今年度の税収見込みはですね、バブル期を大きく上回る62.5兆円と。そして労働支援の方はほぼ完全雇用が達せられたという話もありますし、例えば政権前には830万人に過ぎなかった外国人観光客、これが3100万人を超えた。またインフラ輸出、農産物輸出、こうしたこれまで余り手をつけられなかった政策も、非常にいい結果を出している。

 これは素晴らしいことだと思います。今アベノミクス、また安倍政権が一番超えなければならない課題、これ私率直に申し上げて、やはり多くの国民の皆さんの実感だというふに思っています。今、磯崎委員の方からもお話がございましたが、例えばこの5月のJNNの世論調査もですね、安倍内閣の支持率は57%で非常に高いんですが、一方でこの景気回復や所得向上の実感がないとおっしゃる方が実に87%もおられると。

 我々も毎週末、地元に帰りまして、各界各層、色んな皆さんと意見交換をし、交流をしております。そんな中でもですね、やはりそうした実感はないんだけども、地元に回ってこなければダメじゃないか、こういうお話をずっと頂いているわけです。例えば農業者の皆さん、小規模事業者の皆さん、保育園や介護施設の皆さん、年金生活者の皆さん、本当にそうした方々からそうした期待を頂く。その期待に応えなきゃいけないというふうに私も思っておりますが、総理にお伺いしたのは多くの方々が実感が持てないということについての課題意識についてどのようにお考えでしょうか」

 「過去最大のGDP、560兆円、そして企業の純利益も60兆円を超えてます」、その一方で、JNNの世論調査で、「景気回復や所得向上の実感がないとおっしゃる方が実に87%」。その実感のなさは地元でも聞く。

 つまり実感のなさは日本中に蔓延している。二之湯武史は自身では気づかずに安倍晋三がアベノミクスをエンジンとして平等社会=反格差社会へと意志思考しているにも関わらず、アベノミクスは格差社会=不平等社会を成果としていると批判した。言ってみれば、アベノミクス否定となっている。

 だが、二之湯武史本人は批判したとも、否定したとも、気づいていない。 

 この批判・否定に対する安倍晋三の答弁は矛盾に満ちているが、本人もそのことに気づいていない。

 安倍晋三「あの、先程磯崎委員の質問にお答えをさせて頂いたときにですね、我々の使命としては働きたい人は働く状況をつくっていくという意味に於いては今年の春高校、大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高水準を維持することができました。そして完全雇用を事実上、達成されているわけでございますから、それは達成できている。そしてまた賃上げに於いてもですね、今世紀に入って最も高い水準の賃上げも続いているわけでございますし、地方に於いてでですね、やはりまだ実感がないという方もたくさんいらっしゃる。今、委員が仰ったように全ての世論調査でそうなっているのは事実てございます」

 全ての世論調査でアベノミクス景気の実感なしが上回るのが「事実」であるなら、地方だけではないことになって、「地方に於いてでですね、やはりまだ実感がないという方もたくさんいらっしゃる」との物言いで不平等=格差のアベノミクス成果は地方に限ってのことだとするのは矛盾そのもので、薄汚い誤魔化しに過ぎないことになる。
 
 当然、アベノミクス景気に実感なしが上回る以上、「就職率は過去最高水準」にしても、「完全雇用の事実上の達成」にしても、国民に等しく景気の実感を与えて、平等社会=反格差社会構築のそれぞれのエンジンとはなっていないことを示すことになる。逆に不平等社会=格差社会に向けた流れをつくり出している様相を答弁は描き出していることになる。

 続く発言は正当化できるはずもないアベノミクス正当化という逆説を踏むだけの弁明に過ぎない。

 安倍晋三「ただ、一方ですね、、地方に於いて例えば過去の景気回復期、小泉政権のときスタートした、第1次安倍政権、福田政権まで続いた先般の6年間の戦後最長の回復期に於いては日本銀行の地域別状況判断に於いてはですね、この回復期を通じてずうっと北海道と四国は、地区は実はマイナスで、プラス、マイナス、マイナスの方が多いというマイナスで推移していたんですが、今回はですね、全ての地域に於いて、まあ、プラスで推移しています。

 前回、プラス、全ての地域、あの、プラスで続く、5年間、6年中、5年間、この5年間だけ、プラスで推移したのは、前回は、えー、これは東海地区とですね、関東地区だけだったんですが、今回9地区全部でプラスで推移しているということは、先程委員が上げられたように観光と農業がですね、大きく寄与している地域に寄与していることによってそうなっていると。
 
 また、殆どの県でですね、法人関係税収は4割、5割、この6年間の税収は増えているんですが、そういう状況が、ただ実感としてはそういう実感であるというのは事実、えー、おー、えー、であろうと、感じていらっしゃる方が多いと、いう方がいらっしゃることは承知をしておりますが、国民一人ひとりの方々に景気回復の波が広がっていくようにですね、我々も、そういうことを感じておられない方々に光を当てていくこともですね、私たちの使命であろうと、こう思っております。

 最大の課題である少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度への転換を図ると共に、また東京一極集中を是正し、地方への新たな人の流れをつくり出すと共に、また、就職氷河期世代の方々への支援などにも取り組み、誰でも、いくつになっても活躍することができる一億総活躍社会の実現を図っていきたいと、こう考えております」

 日本銀行の地域別状況判断が「今回は全ての地域プラスで推移」していながら、景気の実感が感じられないということはプラスは大企業や高額所得層への恩恵・利益により偏っている格差の提示以外の何ものでもない。そして素晴らしいばかりのどのような経済指標を持ち出そうとも、それが国民の景気実感に役に立っていなければ、格差=不平等の印としかならない。

 安倍晋三はアベノミクスを駆使して格差社会=不平等社会をつくり出しておきながら、「誰でも、いくつになっても活躍することができる一億総活躍社会の実現を図っていきたい」と平等社会=反格差社会を謳う、胡散臭いまでのペテンを見事発揮している。

 二之湯武史は自身では気づかないままにアベノミクスは格差社会=不平等社会を成果としていると批判し、アベノミクスを否定した手前、アベノミクスを反格差社会=平等社会に向けるべく、いくつかの提案をする。

 二之湯武史「そこで私はいくつか提言といいますか、いくつかお示ししていきたいと思っております。再分配という機能がございます。これは政府の再分配、社会保障でありますとか、また、税を色んな形で、事業で所得移転をしていく。これによって国民の不平等化をなくしていく。

 こういう機能は実は私は民間企業にもあるんだと思っております。政府に於いてですね、この10月の消費税率10%に引き上げ、財源を幼児教育、また高等教育の支援へと向ける。つまり高齢者中心の社会保障を全世代型の社会保障に改革をしていく。

 また経済状況によらずに高等教育を受けられる。そうした低所得者への支援を充実させていく。まさにこれは再分配機能だと思います。一方でですね、民間における再分配ってのが私はもう少し改善の余地があるのではないかと常々思っておりす。

 昨年、日本企業は、先程申し上げました、純利益60兆円。営業利益83兆円。そして内部留保で446兆円と。いずれも過去最高を記録しているわけです。企業の再分配と言えば、先ずは従業員への給料のアップ。そして取引先、下請けの単価の向上、また株主の配当、地域への様々な数の寄付。こうしたものがあると思いますが、この企業の配分政策ですね、やや偏りがあるんじゃないかなあと。

 つまり2017年の労働分配率は、これだけ企業が最高益を上げているにも関わらず、43年ぶりの低水準でありました。そもそも労働分配率は景気がいいときは低く、悪いときには高く出る傾向がありますけれども、やり手持ち資金の豊富さから考えればですね、これはやはり賃上げに回す余力は十分にあるというふうに様々な評論家は仰っていますし、総理も政府として経済界に賃上げ要請をされておられます。

 やはり賃上げをするということが企業にとっては社員が消費者ですから、消費者が潤えば、自分たちが商売をしているマーケットも良くなりますし、当然、人的な投資をしなければですね、企業がイノベーションや生産性を上げる源というのは人材ですから、そうしたことにをもっとお金を回していくという、やはり、私は、企業経営の形にしていかなきゃいけないと思います。

 株主配当が実は物凄く増えてるんですけど、この5年間で実に倍。18年度には15兆円が使われています。これ株主配当と自社株買いの合計であります。そしてですね、時代全体の空気をですね、そうしたものを後押しをするわけです。例えば減益でも、つまり企業は利益減ってても、増配をするということについてこの経済誌ではそういう企業が出てきているということは評価できるとかですね、企業が稼いだ利益を株主に還元するのは社会的な要請との考え方が浸透してきたとかですね、内部留保というよりも、配当とか自社株買いで還元した方が株主に評価されるとの考えが広まりつつあるとかですね、まだ日本の企業の配当性向は30%前半で、アメリカ50%に比べると見劣りがする。

 こうした全体的な、社会全体的なそうした雰囲気が当然、企業の株主配当、株主還元を後押しする要素になってる一方でなかなか労働分配率は上がっていかない。こうした民間企業のですね、配当政策について、分配政策について何かお考えがあれば、是非お聞かせいただきたいなと思います」

 「純利益60兆円。営業利益83兆円。内部留保で446兆円。過去最高を記録」していながら、「2017年の労働分配率は43年ぶりの低水準」にしても、「株主配当が実は物凄く増えてるんですけど、この5年間で実に倍。18年度には15兆円」という状況に対する「なかなか労働分配率は上がっていかない」もう一方の状況にしても、アベノミクスが格差社会=不平等社会を成果としていることの物語以外の何ものでもない。

 かくこのようにアベノミクスが格差社会=不平等社会構築のエンジン以外の何ものでもないから、政府の再分配機能だけではなく、企業の配分政策を強化して「国民の不平等化をなくしていく」という提言を行った。

 「国民の不平等化をなくしていく」という言葉自体、既にアベノミクスが格差社会=不平等社会を結果としていることの物語りとなっている。
 
 安倍晋三「確かに労働分配率が低いではないか、43年ぶりじゃないかということでございますが、しかし今委員がご指摘になったように、じゃあ、43年前はですね、景気が悪かったじゃないかと言うと、そうではなくて、高度経済成長、この終りの方でございまして、まさに非常にいいときでありますから、結局ですね、え、この伸びに、企業業績の伸びにですね、賃金がついていかなかったということだろうと思います。

 今回も景気回復期が続いている中で企業の収益に対して賃金が十分についていっていないわけでございますが、経済の好循環を回していくという意味に於いてはまさに委員が仰る通りであります。

 この、先ず企業の利益を確保する。ここまで来たわけですよね。そして企業がしっかりと給料を上げ、さらには人件費も上げていく。えー、税収も増えていきますから、増えた税収で社会保障制度を拡充していく。安心感を持ち、そして一歩前に踏み出していくことができればですね、経済は成長し、設備投資によって生産性も上がっていく。

 そういう中でさらに税収も上がっていく。これは全くの経済の好循環が回っていく。消費もよくなっていくということでございますが、まあ、持続的な成長軌道をつくり上げていくことが安倍内閣の経済政策でありまして、これまでの取り組みの結果、好循環は確かに今まで申し上げましたように賃金は確実に上がっておりますから、回り始めてはいるんですが、委員が仰ったようにまだまだ不十分ではないかというご指摘もあるのは承知をしております」

 43年前は「企業業績の伸びにですね、賃金がついていかなかった」ことから、労働分配率は低い数字となった。「今回も景気回復期が続いている中で企業の収益に対して賃金が十分についていっていないわけ」だから、労働分配率が43年ぶりの低水準を招いた。

 何のことはない、アベノミクスは格差社会=不平等社会であることの自らの口からの告白そのものとなっている。このことを気づかずに言うことのできる鈍感力はさすがである。

 「経済の好循環が回っていく」と言おうと、「賃金は確実に上がっております」と言おうと、景気の実感状況に大きく乖離しているなら、意味を失い、弁解のレベルにとどまる。

 二之湯武史は最後までアベノミクスは格差社会=不平等社会であることを主張し続ける。企業は利益の配分を株主に偏らせるのではなく、「公益」を目的として従業員や地域社会への貢献をより優先させていくべきといった趣旨の発言でアベノミクスの格差社会=不平等社会の是正に言及したり、「新自由主義という考え方」が「国内に於ける格差の拡大」に繋がって、「弱肉強食、強い者勝ち組が強くなってしまっている」、いわばアベノミクスは格差社会=不平等社会の状況を作り出している結果、「政府の政策によって非常に大きな結果を出せているにも関わらずですね、そして多くの国民に均霑(きんてん)をされていかない」と、いわば平等に恩恵や利益を受けるところにまでいっていないと、二重、三重にも現在の日本がアベノミクスは格差社会=不平等社会となっていることを訴えている。

 対して安倍晋三はアベノミクスが格差社会=不平等社会をつくり出しているそもそもの原因であることを気づかないままに告白したことを棚に上げて、その責任を自らの政策にではなく、経済のグローバル化に転嫁する。

 安倍晋三「この十年間でですね、経済のグローバル化、特に顕著に進んだと思っています。

 (略)

 それはグローバル化によってですね、一部の企業や特定の人物に富が集中するのではないか。このグローバル化は私たちは置いていかれて、全く自分たちにはですね、未来がない、明かるい未来に繋がらないのではないのかと思っている人たちが増えていくのではないか、そういう人たちにしっかりと光を当てていく、その上に於いては各国それぞれが再分配の努力をしていくということにですね、そういう方々がですね、自分たちにもチャンスがあるんだということを理解されなければ、この政策は、いわばグローバル化を進めていく中に於いて各国がですね、富を得ていくということに繋がっていかないのではないかということを話しをさせて頂いたところでございます。

 日本に於いてはですね、各国程ではですね、そうした分断、あるいは富の一極集中によりですね、いわばポピュリズムの発生や保護主義の台頭ということは起こっていないわけでございます。(ここから原稿読み)その点我が国は懸命に生きる人同士が苦楽を共にする仲間だからこそ、何かでは達し合う、一致点を見い出す。古来、そのような協議の精神、まさに瑞穂の国の資本主義を、これは進めてきたことが大切は点だったのかなあと」

 「経済のグローバル化」が世界各国程には日本に於いて上層・下層の「分断」や「富の一極集中」をもたらしていない、いわば軽傷の状況にあるがと、先ず格差社会=不平等社会形成のそもそもの責任を「経済のグローバル化」に転嫁してから、日本が軽傷の現状でいられるのは「古来」からの「瑞穂の国の資本主義」を進めてきたからだと、現在のアベノミクスは格差社会=不平等社会を平気で無視する面の皮の厚いペテンをやってのけている。

 アベノミクスが「瑞穂の国の資本主義」に則っていようがいまいが、格差社会=不平等社会を答としていることに変わりはないし、二之湯武史は自らは気づかないままにアベノミクスは格差ミクスだと議論を仕掛け、対して安倍晋三にしても、責任転嫁や弁解を混じえているものの、自身は気づかないままに格差ミクスであることを承認する答弁となっている事実は変えようがない。

 安倍晋三が各種経済指標を取り上げてアベノミクスの成果を誇っているのに対して景気の実感を持てない国民が多数派を形成しているということはこういうことであろう。

 最後にアベノミクスは不平等社会=格差社会の遣り取りとなっている箇所の全文を記載しておきたいと思う。

 2019年6月10日参議院決算委員会

 二之湯武史「新しい令和の時代が開けてひと月余りが経ちました。この時代はですね、私は大転換の時代だと確信をしております。例えば明治維新で近代国家が平成まで一貫して増え続けた人口が減少していく時代に入っております。また、AIといった技術革新、また地球規模の気候変動、こうしたものが我々の人間のあり方そのものを変えてしまうような、そんな時代に入ってきたと思います。

 要するにこれまでの成長一辺倒の社会ではですね、成長とまた心の豊かさといったものが調和していく成熟社会に私は入っていくべきであり、またそのために大きく発想転換しなければならない。まさに令和、ビューティフルでありまして、そうした非常に象徴的なこの元号の名前も含めてですね、総理はですね、この令和という時代は先ずどのように、大きく、すみません、通告はしてないんですけども、この大きな捉え方、どのようにお感じていらっしゃるのか、お聞かせ頂きますか」

 安倍晋三「当然の質問ではありますが、令和の時代っていうのは、人それぞれの良さを花開かせることができるという時代にしていきたいという思いを込めているところでございますが、そこで今、委員がご指摘なされたように生産年齢人口既にこの6年間で5、6万人、減少しております。しかしそれでもなお、私たちは成長できるという思いの中で経済政策を進めてきましたが、10%以上、実質GDPは成長しました。これがなぜ可能になったかということはですね、新たに多くの女性の方々が働き始めて頂いた。そして高齢者の方々もですね、仕事を続けようという選択肢を取れる状況が作り出すことができたことによってですね、経済成長するとはできたのではないか、こう思っているわけであります。

 希望すれば、それぞれの皆さんがですね、様々な目標に向かって進んでいくことできる社会を作ることによってまさに我々は経済を成長させることができた。と同時に人口減少していますが、今委員がご指摘になったよに第4次産業革命が起こる、AI、IoT、ロボット、こうしたものはむしろ雇用にはマイナスではないかという指摘があるわけでありますが、日本の場合は生産年齢人口が減少していきますから、その中で思い切って導入が可能となっていくわけであります。

 まさにSociety5. 0を実践していくことによって経済を成長させ、そしてそれぞれがその目標に向かって女性、高齢者、勿論、だけではなくて、障害がある方やまたは難病を抱える方々も、それぞれ自分の人生の目標に向かってですね、進んでいく。そういう社会を創り出すことによって日本は豊かに成長していく、そして世界のまさに目標とでも言うべき、誇るべき日本を創り上げていくことができるんではないか、令和の時代はそういう時代にしてきたいと、このように考えております」

 二之湯武史「その素晴らしい時代を創っていく一翼を担っていきたいなと思っております。そんな中ですね、確実に分かっていることは、今、総理仰ったように、急激な高齢化社会に於いてもですね、様々なシステムを持続可能にしていくためにやはり持続的に安定的な経済成長を続けていかなければいけないということだと思います。今生産年齢人口が減っても、成長ができたというお話がございました。

 まさにこの6年半でアベノミクスによって大きな成果は上がっております。私が言うまでもなく、過去最大のGDP、560兆円、そして企業の純利益も60兆円を超えてます。これはバブル期を大きく上回る、2倍以上上回るような水準。また今年度の税収見込みはですね、バブル期を大きく上回る62.5兆円と。そして労働支援の方はほぼ完全雇用が達せられたという話もありますし、例えば政権前には830万人に過ぎなかった外国人観光客、これが3100万人を超えた。またインフラ輸出、農産物輸出、こうしたこれまで余り手をつけられなかった政策も、非常にいい結果を出している。

 これは素晴らしいことだと思います。今アベノミクス、また安倍政権が一番超えなければならない課題、これ私率直に申し上げて、やはり多くの国民の皆さんの実感だというふに思っています。今磯崎委員の方からもお話がございましたが、例えばこの5月のJNNの世論調査もですね、安倍内閣の支持率は57%で非常に高いんですが、一方でこの景気回復や所得向上の実感がないとおっしゃる方が実に87%もおられると。

 我々も毎週末、地元に帰りまして、各界各層、色んな皆さんと意見交換をし、交流をしております。そんな中でもですね、やはりそうした実感はないんだけども、地元に回ってこなければダメじゃないか、こういうお話をずっと頂いているわけです。例えば農業者の皆さん、小規模事業者の皆さん、保育園や介護施設の皆さん、年金生活者の皆さん、本当にそうした方々からそうした期待を頂く。その期待に応えなきゃいけないというふうに私も思っておりますが、総理にお伺いしたのは多くの方々が実感が持てないということについての課題意識についてどのようにお考えでしょうか」

 安倍晋三「あの、先程磯崎委員の質問にお答えをさせて頂いたときにですね、我々の使命としては働きたい人は働く状況をつくっていくという意味に於いては今年の春高校、大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高水準を維持することができました。そして完全雇用を事実上、達成されているわけでございますから、それは達成できている。そしてまた賃上げに於いてもですね、今世紀に入って最も高い水準の賃上げも続いているわけでございますし、地方に於いてでですね、やはりまで実感がないという方もたくさんいらっしゃる。

 今、委員が仰ったように全ての世論調査でそうなっているのは事実てございます。ただ、一方ですね、、地方に於いて例えば過去の景気回復期、小泉政権のときスタートした、第1次安倍政権、福田政権まで続いた先般の6年間の戦後最長の回復期に於いては日本銀行の地域別状況判断に於いてはですね、この回復期を通じてずうっと北海道と四国は、地区は実はマイナスで、プラス、マイナス、マイナスの方が多いというマイナスで推移していたんですが、今回はですね、全ての地域に於いて、まあ、プラスで推移しています。

 前回、プラス、全ての地域、あの、プラスで続く、5年間、6年中、5年間、この5年間だけ、プラスで推移したのは、前回は、えー、これは東海地区とですね、関東地区だけだったんですが、今回9地区全部でプラスで推移しているということは、先程委員が上げられたように観光と農業がですね、大きく寄与している地域に寄与していることによってそうなっていると。
 
 また、殆どの県でですね、法人関係税収は4割、5割、この6年間の税収は増えているんですが、そういう状況が、ただ実感としてはそういう実感であるというのは事実、えー、おー、えー、であろうと、感じていらっしゃる方が多いと、いう方がいらっしゃることは承知をしておりますが、国民一人ひとりの方々に景気回復の波が広がっていくようにですね、我々も、そういうことを感じておられない方々に光を当てていくこともですね、私たちの使命であろうと、こう思っております。

 最大の課題である少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度への転換を図ると共に、また東京一極集中を是正し、地方への新たな人の流れをつくり出すと共に、また、就職氷河期世代の方々への支援などにも取り組み、誰でも、いくつになっても活躍することができる一億総活躍社会の実現を図っていきたいと、こう考えております」

 二之湯武史「そこで私はいくつか提言といいますか、いくつかお示ししていきたいと思っております。再分配という機能がございます。これは政府の再分配、社会保障でありますとか、また、税を色んな形で、事業で所得移転をしていく。これによって国民の不平等化をなくしていく。

 こういう機能は実は私は民間企業にもあるんだと思っております。政府に於いてですね、この10月の消費税率10%に引き上げ財源を幼児教育、また高等教育の支援へと向ける。つまり高齢者中心の社会保障を全世代型の社会保障に改革をしていく。

 また経済状況によらずに高等教育を受けられる。そうした低所得者への支援を充実させていく。まさにこれは再分配機能だと思います。一方でですね、民間における再分配ってのが私はもう少し改善の余地があるのではないかと常々思っております。

 昨年、日本企業は、先程申し上げました、純利益60兆円。営業利益83兆円。そして内部留保で446兆円と。いずれも過去最高を記録しているわけです。企業の再分配と言えば、先ずは従業員への給料のアップ。そして取引先、下請けの単価の向上、また株主の配当、地域への様々な数の寄付。こうしたものがあると思いますが、この企業の配分政策ですね、やや偏りがあるんじゃないかなあと。

 つまり2017年の労働分配率は、これだけ企業が最高益を上げているにも関わらず、43年ぶりの低水準でありました。そもそも労働分配率は景気がいいときは低く、悪いときには高く出る傾向がありますけれども、やり手持ち資金の豊富さから考えればですね、これはやはり賃上げに回す余力は十分にあるというふうに様々な評論家は仰っていますし、総理も政府として経済界に賃上げ要請をされておられます。

 やはり賃上げをするということが企業にとっては社員が消費者ですから、消費者が潤えば、自分たちが商売をしているマーケットも良くなりますし、当然、人的な投資をしなければですね、企業がイノベーションや生産性を上げる源というのは人材ですから、そうしたことにをもっとお金を回していくという、やはり、私は、企業経営の形にしていかなきゃいけないと思います。

 株主配当が実は物凄く増えてるんですけど、この5年間で実に倍。18年度には15兆円が使われています。これ株主配当と自社株買いの合計であります。そしてですね、時代全体の空気をですね、そうしたものを後押しをするわけです。例えば減益でも、つまり企業は利益減ってても、増配をするということについてこの経済誌ではそういう企業が出てきているということは評価できるとかですね、企業が稼いだ利益を株主に還元するのは社会的な要請との考え方が浸透してきたとかですね、内部留保というよりも、配当とか自社株買いで還元した方が株主に評価されるとの考えが広まりつつあるとかですね、まだ日本の企業の配当性向(純利益に対する割合)は30%前半だ、アメリカ50%に比べると見劣りがする。

 こうした全体的な、社会全体的なそうした雰囲気が当然、企業の株主配当、株主還元を後押しする要素になってる一方でなかなか労働分配率は上がっていかない。こうした民間企業のですね、配当政策について、分配政策について何かお考えがあれば、是非お聞かせいただきたいなと思います」

 安倍晋三「確かに労働分配率が低いではないか、43年ぶりじゃないかということでございますが、しかし今委員がご指摘になったように、じゃあ、43年前はですね、景気、悪かったじゃないかと言うと、そうではなくて、高度経済成長、この終りの方でございまして、まさに非常にいいときでありますから、結局ですね、え、この伸びに、企業業績の伸びにですね、賃金がついていかなかったということだろうと思います。

 今回も景気回復期が続いている中で企業の収益に対して賃金が十分についていっていないわけでございますが、経済の好循環を回していくという意味に於いてはまさに委員が仰る通りであります。

 この、先ず企業の利益を確保する。ここまで来たわけですよね。そして企業がしっかりと給料を上げ、さらには人件費も上げていく。えー、税収も増えていきますから、増えた税収で社会保障制度を拡充していく。安心感を持ち、そして一歩前に踏み出していくことができればですね、経済は成長し、設備投資によって生産性も上がっていく。

 そういう中でさらに税収も上がっていく。これは全くの経済の好循環が回っていく。消費もよくなっていくということでございますが、まあ、持続的な成長軌道をつくり上げていくことが安倍内閣の経済政策でありまして、これまでの取り組みの結果、好循環は確かに今まで申し上げましたように賃金は確実に上がっておりますから、回り始めてはいるんですが、委員が仰ったようにまだまだ不十分ではないかというご指摘もあるのは承知をしております。

 委員ご指摘の(ここから早口に原稿読み)、いわば公益資本主義の達成水準のところでありますが、持続可能な開発目標、sdgsやesg投資への世界的な関心の高まりに象徴されるように地域社会や環境といった公益にしっかりと投資することが中長期的には利益を生み出す企業の持続的な成長に繋がっていくわけあります。安倍内閣としては現在、このような中長期的な企業価値の向上を目指す観点からコーポレートガバナンス改革に取り組んでいます。

 株主のみならず、顧客、従業員、地域社会との様々なステークホルダーの立場を踏まえた経営が行われる姿勢を重視した改革を今後とも努めていきたい、考えています」

 二之湯武史「ところでですね、ちょっとこのパネルをご覧頂きたいんですけれども、今の総理が仰ったコーポレートガバナンスコード(上場企業が守るべき行動規範を示した企業統治の指針)、そしてスチュワードシップ・コード(コーポレートガバナンスの向上を目的とした機関投資家の行動規範)、資料2ですね。こうしたものを通じて、実はこの二つのコードにはですね、企業の持続的な成長を促す観点から、公益のためにですね、企業の持続的成長、中長期的な価値向上に資するためとかですね、会社が株主顧客、従業員、地域社会の立場を踏まえ、透明・公正、迅速かつ誤らない意思決定を行うための基本原則とかですね、こうしたことが確かに入ってるんです。しかしこの運用がですね、私はやや問題なのかなと、つまりこの解釈がどちらかと言うと、その株主をしっかりとサポートする、株主への配分を進めるような形に実際は運用されてるんじゃないだろうかと。

 特にこの5年間の過去を見ますと、そうした傾向があることは否めないと思っております。で、政策というよりも上のラインで、今世界をある種、世界の指導者の考え方を規定している考え方も、つまり新自由主義的な考え方というのは、今、各国の指導者層にしっかりと浸透してですね、経済政策と言えば、もう、そういう政策に私はなってしまってるんじゃないかというふうに思うんです。

 で、例えば今世界的に、昨日もG20、麻生大臣、河野大臣、世耕大臣、それぞれの会合に参加をされておられましたが、世界的に、例えば中南米でありますとか、もしくはヨーロッパでありますとか、そうしたところでポピュリズムと言いますか、そうした傾向を持つ政党が非常に勢力を伸ばしている。

 そしてそれはまあ識者によりますと、やはりかつて中間層であった方々が今のその新自由主義的な政策、20年、30年の経過によってその中間層であるという自覚がどんどんなくなってですね、今の政府や、また今の大企業というものに対する、いわゆる既存エリートに対するですね、不信感というものが高まり、その不信感を上手く突いた、大衆をうまく、何と言いますかね、扇動できる政治家がそうした支持を獲得していると、大きな世界的な構造があるのではないか、まあ、こういうことを私は非常に危惧をしておりまして、今の米中の摩擦にしてもですね、今、大きな話をしてるように聞こえかもしれませんが、アメリカと中国が貿易摩擦になれば、日本の実体経済に物凄く大きな影響があるわけであります。

 要するに世界的な流れと言うのは、我々生活者一人ひとりの生活者の生活や視点に物凄く私は関わっている人に重要な問題だというふうに思っておりますし、本来であればですね、そうしたポピュリズム的な政策、例えば中南米のお国などでは、一人、10万円、バーンと配るとかですね、すべての医療費をタダにするとか、こうしたことは非常に耳触りがいいわけですけど、良識ある国民が多ければ、そのための財源はどうなっているのかとか、それが本当に何年も続くのかという良識ある判断によってですね、そうした政治家なかなか選ばれないということがあるわけですけども、今必ずしもそうじゃなくなっている。

 ま、こういう世界的なポピュリズムと言いますか。そうした政権が国内の保護主義に向かい、ある種、経済圏がブロック化していくような、そういう大きな傾向に私はあるのではないかという危惧も持っています。

 ちょうどこのG20という世界の大国が集まる、世界の共通の課題を議論する、非常にいい機会がある中で私が問題意識として申し上げた世界的な保護主義と言いますか、もしくは国内に於ける格差の拡大と言いますか、それが元を辿ればですね、新自由主義という考え方、それに弱肉強食、強い者勝ち組が強くなってしまっている。そういう側面があるのではないかと私は問題意識を持っておりまして、そういう考え方が例えば企業の利益の分配政策でありますとかですね、そういうところにやはり目に見えない影響を与えていて、そして折角このアベノミクスによってですね、政府の政策によって非常に大きな結果を出せているにも関わらずですね、そして多くの国民に均霑(きんてん・平等に恩恵や利益を受けること)をされていかない。

 こういう構造的な問題についてどのような問題意識をお持ちかということをお聞きしたいと思います」

 安倍晋三「この十年間でですね、経済のグローバル化、特に顕著に進んだと思っています。日本に於いても、例えばTPPイレブンやEUのEPAを締結し、今実際に行われています。ちょうど伊勢志摩サミットG7、日本議長、私、議長だったんですが、そのときも各国の首脳に確かに申し上げたんですが、急速なグローバル化に対して各国激しい反対運動が起こっているという話をしました。なぜかと言えばですね、それはグローバル化によってですね、一部の企業や特定の人物に富が集中するのではないか。このグローバル化は私たちは置いていかれて、全く自分たちにはですね、未来がない、明かるい未来に繋がらないのではないのかと思っている人たちが増えていくのではないか、そういう人たちにしっかりと光を当てていく、その上に於いては各国それぞれが再分配の努力をしていくということにですね、そういう方々がですね、自分たちにもチャンスがあるんだということを理解されなければ、この政策は、いわばグローバル化を進めていく中に於いて各国がですね、富を得ていくということに繋がっていかないのではないかということを話しをさせて頂いたところでございます。

 日本に於いてはですね、各国程ではですね、そうした分断、あるいは富の一極集中によりですね、いわばポピュリズムの発生や保護主義の台頭ということは起こっていないわけでございます。(ここから原稿読み)その点我が国は懸命に生きる人同士が苦楽を共にする仲間だからこそ、何かでは達し合う、一致点を見い出す。古来、そのような協議の精神、まさに瑞穂の国の資本主義を、これは進めてきたことが大切は点だったのかなあと。

 こうした日本が大切にしてきた価値がですね、今必要とされており、重要な役割を果たすことができるのではないか。まさにビューティフルハーモニーではないかと考えているわけでありますが、我が国が初めて議長国として臨む今月中のG20大阪サミットでは様々な論点について各国の対立を強調するのではなくて、各国が団結できる共通点を見い出していきたいと、こう考えております」

 二之湯武史「有難うございます。この資料1にですね、まさにビューティフルハーモニーの企業評価の在り方というものを提案させて頂いております。これまではともすればですね、この括弧してある『利益』というところが企業の評価の中核、まさに今そうだと思います。

 しかし、今、総理仰ったようにやはり一部の人に富が集中してはならない。また、民間企業という、その企業というフィルターを通してですね、様々な形でその利益を配分していくことによって社会が持続可能なものになる。また一人ひとりが豊かで幸せになっていく。こういう企業評価の在り方を通じて、例えば、そうしたようなG20の場を通じてですね、是非とも私はG20の最ベテランの総理でありますから、各国の首脳の信頼も大きいと思いますが、発言力も大きいと思います。今世界が共通に抱えてる問題について是非ともリーダーシップを取って頂きたいと思いますし、麻生大臣、今回連帯課税のお話をしようと思っておったんですが、時間が少し足りません。あのアマゾンやグーグルといった大きな巨大企業がですね、その事業にふさわしいだけの税額を払っていない。

 今あるEU委員会の調査では全産業が23%に比べてですね、巨大IT企業は9.5%しか払っていないんじゃないかと、こういう世界全体が共通の課題とするものについても、我が国がリーダーシップを取って、そして在り方を世界各国に示していく。もし麻生大臣、よろしければ、一言だけお願いできるでしょうか、すみません」

 麻生太郎「あの、頂いた質問と違って、纏めてきましたんで、確かに在るべき、支払うべき税金を払っていない企業がある。まあ普通なら脱税ですとかですが、それが合法的にそういったことがやれるという今の国際社会の中の在り方、加えてデジタライゼーションという名前の、いわゆる金融技術の進歩によって容易にしかも極めて巧妙にこれがやれる状況というのを放置しているというのは、少なくとも先進国、いわゆる財務大臣・大蔵大臣の責任ではないかと、6年前のG7の財務大臣、中央銀行総裁で、私の方から提案して、それからあれこれ6年かかったんだと思いますが、3年目で賛成する国は60カ国集めて、今回130までいったんだと思いますが、それによって払う税金によって潤う国、潤わない国があった、差額が全体出ますが、どうやって纏めるか、最大の問題です」

 二之湯武史「すみません、終わります。ありがとうございました」

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