萩生田光一は2019年9月11日に安倍晋三から文科相に任命されてから、安倍晋三が政治的に便宜を図って事を成し遂げたのではないのかと疑われている加計学園獣医学部認可疑惑・安倍晋三政治関与疑惑を国会で追及する矢面に再び立つことになった。
衆議院予算委員会(2019年11月6日)
今井雅人(国民民主党)「先程の総理も、閣僚が2名なくなって、まあ、辞任されても、それを替えて前に進めるってことで責任を取ると。受験生を傷つけるような発言をして、それでギリギリまで延期を引っ張って、世の中を混乱させて、それでもこれから何とかしてくいくってことで責任を取ると。
安倍政権といつもそうなんですね。きちっとやっぱり自分のやったことをしっかりと責任を取っていく。そういうことを是非やって頂きたいと、いうふうに思います。その上であの、10月11日にですね、我が会派の辻本委員が質問したことで、私はちょっと、うっと思いましたので、改めてお伺いしたいと思うんですけども、先程も話題になっていました例の萩生田ペーパー(「10/21萩生田副長官ご発言概要」のこと)ってやつですね、先程から萩生田さんは、萩生田大臣はですね、『極めて不正確なメモ』って仰っていますけど、改めて全部を読むと、時間がありませんので、中身を一つ一つ読みますと、物凄く明快に書いてあります。
『私の方で整理しよう』と。で、これはとても役人が書くもんだと思いませんけれども、先程もありましたようにこれ文科省で見つかったわけですよね。
これは文科省で見つかったメモということですね。
であれば、これは文科省の方が書いたと思われますね。それで、よろしいですか」
萩生田光一「獣医学部の新設に関して私が恰もですね、働きかけをしたかのような個人メモ等が取り上げられましたが、私が総理から指示を受けたり、文科省や内閣府に対して指示を出したりすることはありません。ご指摘の10月21日付けのメモっていうことだと思うんですけれども、当時文科省から個人の備忘録的なメモであり、著しく正確性を欠くと説明をされており、当文書の八つのパラグラムについていずれも私が明確に発言したものではありません。
あの、また、当該文書にあるような総理補佐官と話し合いをする機会もありませんでしたし、畜産やペットの獣医師養成との差別化の具体的な内容を詳細に私、承知しておりませんので、愛媛県の関係者とも会ったことなければ、県の意見を聞いたこともなく、文科省に伝えた事実もありませんので、この文書について私は分かりません」
今井雅人「文科省で見つかったっていうのは、松野、前の大臣も仰ってますから、この内容からして、誰かが作ってるわけです。誰かが作ってるんです。誰かが、私じゃありませんよ(苦笑気味に笑いながら)。誰かが作ってるわけで、それは文科省に残ってるんですから――。
『あなたが』って、今、ちょっと失礼ですね。私がこんなもの作れるわけないじゃないですか、総理。何で私がこんなもん作れるんですか。失礼ですよ、今のは。『あなたが作った』とは何ですか、それは」
着席する。
委員長「質問お願い致します。今井雅人くん」
今井雅人「(声を大きくして、手に持ったメモ用紙を動かし)この紙をですね、『あなたが作った』などと総理が指差して、私に仰ったんですよ。謝罪してください」
(中断)
委員長「今井雅人くん、再度質問をお願いします」
今井雅人「私が今、この紙は文科省が作ったんじゃないかなと言いましたところ、総理大臣が私を指差して、『あなたが作ったじゃないの』って仰いました。(大きな声をして)大変侮辱です。謝罪してください」
委員長、委員長席に詰め寄った議員の一人に「私に聞こえなかったので・・・・・」(聞こえなかったのなら、安倍晋三に「そんなことを言ったのですか」と聞けばいいのだが、聞くことができない。多分、恐れて)
委員長「今井委員、今井委員、恐縮です、再度ご質疑があれば、ご質問ください」
今井雅人「委員長が総理を指名してくださるんでしたら、もう一度質問をします」
委員長「今の聞こえなかった。もう一回お願いします」
今井雅人「委員長が答弁者に総理を指名してくださるんでしたら、もう一度質問をします」
委員長「質問の中身によりますが、どうぞ」
安倍晋三が手を挙げる。
委員長「内閣総理大臣安倍晋三君」
安倍晋三「只今、今井委員がですね、『文科省の中に於いて見つかった。誰が作ったんですか』と、こう聞いたわけですね。文科大臣、文科大臣としては、自分は全く、こうこうこういう理由で中身は全く正確ではないということを明確に示されたと思ってます。そしてそれは、当然、与り知らないのでありすから、答えようがないわけであります。
しかし今、今井委員はですね。『それでも答えろ』ということであったわけでありますが、それは答えられないということで、私はですね、『それは誰か分からないじゃないか』と申し上げたわけでありまして(激しいヤジ)、で、で、その中に於いてですね、その中に於いて、その中に於いてですね、私は今井委員の方を指を指しまして、じゃあ、それは誰だって可能性があるし、今井委員だって、私だって、それは、そういうことをやったらですね、そういうことになってしまうんじゃないかということを申し上げたわけでありまして、ここで明らかにしなければいけない、明らかにしなければいけないことについてはですね、つまり誰が書いたということについて今委員は明確なですね、明確なものを、事実を示しながら、これ文科省で作られたってことを示さない限り、それは議論にならないわけでありまして、まさに水掛け議論、水掛け論になってしまうということを私は、そういう趣旨で申し上げたがわけでありますが、それを呟いたわけでありますが、いわばまさにこれは正確な発言ではないわけでございます。
ただ、座席からですね、座席から私が言葉を発したことについては大変申し訳なかったと思います」
今井雅人「私は萩生田大臣に質問をしております。その横で指を差して、『あなたが作ったんじゃないの』って言うのは本当に失礼ですよ。いや、いや、萩生田さんに言われるならまだ分かりますけど、なぜ総理に言われなくてはいけないんです?取り消してください」
安倍晋三「これはここで私は答弁したことであればですね、責任を持ってお答えするわけでありますが、私はただ指を指してですね、指を指して、今、ここからも(手を示しながら、野党議員からの)不規則な発言がございました。ああいう形でですね、不規則な発言をすることは控えなければならないことかもしれませんが、そこで今井委員がですね、言われたことはまさにこれは、これはですね。まさに萩生田大臣が証明のしようがないことでありまして、それをですね、いわば文科省に於いて正式に作られたかの如きの印象を与える、いわば質問しておられますから、それは違うんではないかという意味に於いて私は誰が書いたかということは分からないんではないかということを申し上げたわけでございます」
今井雅人「先ず今の反論する前に委員長にお願いしたいんですけど、暫く私は質問時間を奪われました。ちょっと質問時間を返してください」
委員長「大変恐縮ですが、今井委員がおっしゃった件について私の方には明確に聞こえませんでした。ですから、今井委員に質問を促したところでございます。今井委員が質問をなさらなかったわけですので、必要とあらば、後刻理事会で協議致します」
今井雅人「私は明確に申し上げましたし、二度も質問をしました。その委員長の指摘は当たらないと思いますよ。そういうことを仰るんでししたら、本当に公平な運営をしてるのか私はね、疑問に感じますよ。
ちょっと、これは本当にみなさんね、声を上げて頂きたいと思いますが、ちょっと今日の許せません、私は。委員長も理事会で皆さんと一度協議してください。公平に運営されていたかどうか」
委員長「後刻理事会で協議致します」
今井雅人「それでですね、あの、辻元委員のときもありましたけれども、当時の義家副大臣が、これは不正確なメモだったということで謝罪しておられるわけですよ。文科の副大臣が謝罪、これは不正確なメモだったと謝罪しておられるから、『それなら文科省の方が作ったメモですね』って私は質問しているんです。どこかおかしいんですか。
だって、副大臣がそう仰ってるじゃないですか。それをなんかどこか分からない、『あなたが作ったかもしれない』なんて、そんな失礼なこと言われてね、質疑できないですよ。
大臣、私は、ね、こういう方がいらっしゃって、本当に、私はこれは大臣が発言していると思うけど、でも、大臣が仰るように誰かが勝手に作ったんなら、これ国家公務員法の99条違反です。ですから、いま、部下なわけですよね。文部科学大臣でしょ。部下がそういうことをやったかやらないか、調べてください。誰がやったか、特定してください」
萩生田光一「あの、色んなお考えを持たれるのは自由なんですけど、やっぱり公の委員会で私が発言したと断定をして、『私はそう思ってる』と言われるのは私は逆に心外ですけれど。今までも国会を通じて私の立場についてきちんと説明をしてきました。
因みにあの謝罪をしたのは副大臣ではなくて、松野大臣でございまして、あの、松野大臣から不確定な文書だってこと言われました。副大臣ではございません。で、あの、本件については当時の松野大臣の元で、この文書については正確性を欠く私文書、メモのようなもので、それがたまたまファイルの中にあったということで問題が起きたんですけれども、これについては作成した方もですね、私と会って、その話を直接聞いてるわけじゃなくて、多分高等教育局長からの伝聞を一つのメモにしたんじゃないかということで、調査はそのように終わっていると承知をしております」
今井雅人「時間が来ちゃったんですけど、私は、『自分はそう思います』って言っただけで、断定なんかしていませんから。『そう思います』と、『私がそう思います』と言ったんですから。『そうです』って断定したわけじゃありませんので、そういうこと言われるのは心外です。
委員長、あの、是非、時間がありませんから、二つ申し上げます。一つは私、質疑時間終わりましたので、もう一度集中審議やって頂きたいということと萩生田大臣に
このメモを書いた人を断定して、特定して、この委員会に提出していただくことを求めます」
委員長「後刻理事会で協議致します」
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「10/21萩生田副長官ご発言概要」は誰がどのようなイキサツで書いたのかは当時の文科相松野博一が2017年6月20日の記者会見で既に明らかにしている。野党議員の追及の不味さ加減は相変わらずとなっている。
今井雅人が萩生田光一に対して萩生田光一自身の名前のついた文書は文科省の「誰かが作ってるんです」と聞いている最中に安倍晋三が自席から今井雅人を指差して、「あなたが作った」と名誉を毀損するようなヤジを入れた。今井雅人はその失礼に些か立腹して、発言の謝罪を求め、ついで取り消しを求めた。
対して安倍晋三は薄汚い強弁を用いて、自己正当化を謀ろうとした。この怪我の功名でしかない偶然を利用して安倍晋三の恥知らずな薄汚さをこそ追及して、当人を追いつめた方がより効果的だったはずだが、取り消せ、謝罪しろの一点張りで過ごしてしまった。
そこら辺に転がっているヒラ議員ならいざ知らず、一国の首相であることを顧みずに「あなたが作った」というヤジ自体を「『それは誰か分からないじゃないか』と申し上げた」と言いもしない言葉を用いて、ヌケヌケとすり替える恥知らずは天下一品である。この点をこそ、追及すべきだったろう。
「私は今井委員の方を指を指しまして、じゃあ、それは誰だって(作成する)可能性があるし、今井委員だって、私だって、それは、そういうことをやったらですね、そういうことになってしまうんじゃないかということを申し上げたわけでありまして」
無理やり誤魔化して自己正当化を謀ろうとするから、このような論理不明・意味不明な言葉遣いとなる。大体が一国の首相でありながら、無理やり誤魔化そうとすること自体が心得違いそのもので、この心得違いは素直さや謙虚さがないことから起きる。何か問題が起きたり手違いが生じたりすると、安倍晋三は「謙虚に、丁寧に国民に説明していく」といったことを頻繁に口にするが、素直さや謙虚さがない政治家の言葉なのだから、上辺だけの体裁と受け止めなければならない。
すり替えは一度だけではない。ヤジ自体を「明確な事実を示して文科省で作られたということを示さなければ、議論にならない」とか、「水掛け論になってしまう」といったことを「呟いた」に過ぎないことであるかのようにすり替えている。しかも「正確な発言ではない」ないから、さも許されるとばかりに勝手に自己免罪している点、野党議員の首相に対するヤジはその答弁が質問に直接答えていないことだったり、こじつけであったりした場合に発せられるのに対してそのようなヤジを例に取って、「あいう形でですね、不規則な発言をすることは控えなければならないことかもしれませんが」と、首相のヤジと野党のヤジを同レベル扱いする点はまさにすり替えそのものであって、特に後者は見識の無さそのものがもろに現れている。見識のない一国の首相という人物像は矛盾そのもので、その矛盾を安倍晋三自身が許していることになる。
ヤジ行為の程度の低さはそのままにして、「座席からですね、座席から私が言葉を発したことについては大変申し訳なかったと思います」と、言葉を発しただけだとすり替えて、そのことだけを謝罪する狡猾さもさすが安倍晋三でなければできない狡猾なすり替えであろう。
2017年6月19日夜放送の「NHKクローズアップ現代+」が加計疑惑を取り上げ、その中で「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書を入手し、紹介したことを翌日のマスコミが一斉に報じた。対して当文科相だった松野博一が翌日の2017年6月20日に記者会見を開いて、「同一内容の文書が専門教育課の共有フォルダに確認された」と、その文書の存在を認めた。
一方の萩生田光一は松野博一の記者会見と同じ2017年6月20日に文書内容を全面否定するコメントを公表している。文書の存在そのものを否定した場合、あとでどのようなリークが生じるか分からないから、文書の内容自体を否定する手段に出たのだろう。結果、時間的には松野の記者会見が先で、それを受けて萩生田光一が文書の内容を否定する連携プレーを演じることになったはずだ。
このことは2017年6月21日付で当「ブログ」に一度取り上げているが、萩生田光一が文科相に就任、文科相の立場で自身の関与を否定する発言を行っていることの状況の変化も踏まえて、2017年6月20日付「NHK NEWS WEB」記事が全文を伝えていた2016年の「10/21萩生田副長官ご発言概要」と2017年6月20日の松野博一の記者会見発言、さらに萩生田光一のコメントを仔細に眺めてみて、加計学園新設・認可に主導的な役割が果たしたと窺うことができる萩生田光一が自身のコメントでの否定どおりに素直にその否定を受け入れることができるかどうかを再び検証してみることにした。
但し順番を違えて、「10/21萩生田副長官ご発言概要」は松野博一の記者会見発言のあとに提示することになる。
「松野博一文科相記者会見」(2017年6月20日)
松野博一「三つ目は、国家戦略特区における獣医学部新設問題に関する『萩生田副長官の発言概要』に関する文書の存在等についての昨日の報道を受けてでございますが、各方面から事実関係について問合せがあり、また、何か指摘があれば真摯に説明責任を果たしていきたいという総理の方針を踏まえ、昨夜、私の判断で、文書の存否等に関する確認を事務方に指示しました。
確認の結果は、詳細は後ほど事務方から説明をいたしますが、同一内容の文書が専門教育課の共有フォルダに確認されました。萩生田副長官は、文部科学政務官を経験されたこともあり、文科省の事務方も日常的に文教行政の課題について説明し、相談にあがってますけれども、10月21日には高等教育局長が萩生田副長官に対し、給付型奨学金や高大接続の問題等の説明・相談とともに、国家戦略特区における獣医学部の新設問題の課題や調整状況について局長から説明し、相談をしたということでございます。
特区については、農水省などと獣医師の需給に関して調整する必要があり、萩生田副長官に調整状況を説明し、相談を行った趣旨とのことであります。確認された文書については、萩生田副長官とのやりとりについて、専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモであり、従いまして、高等局長の確認を受けておらず、萩生田副長官の発言でない内容が含まれているとの報告を受けています。事務方より、萩生田副長官にも確認をしたところ、詳細はよく覚えていないが、畜産やペットの獣医師養成との差別化の具体的内容や、総理の具体的改革時期等の発言はしていないと聞いています。
なお、高等教育局長からも確認しましたが、高等教育局長の方から先ほど述べた案件に関して説明に伺ったということであり、副長官からの指示があったということではないとの報告を受けています。昨日、総理が会見でお話になったように、今後、何か指摘があれば、その都度、真摯に説明責任を果たしていきたい、国民の信頼を得ることができるよう、冷静にそしてわかりやすく、一つ一つ丁寧に説明していきたいと考えています。私からは以上でございます」
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松野博一の記者会見冒頭発言を整理してみる。
先ず松野博一はNHKが報道したような「10/21萩生田副長官ご発言概要」なる文書が文科省内に存在するのかどうか、自身の「判断で、文書の存否等に関する確認を事務方に指示」した。その結果、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と同一内容の文書が専門教育課の共有フォルダに存在していたことを確認した。
文書の日付となっている10月21日(2016年)に内閣官房副長官萩生田光一と文部科学省高等教育局長が面会、高等教育局長が給付型奨学金や高大接続の問題及び「国家戦略特区における獣医学部の新設問題の課題や調整状況について局長から説明し、相談をした」とする事実関係と、その際の萩生田光一と高等教育局長の遣り取りを高等教育局長が専門教育課の担当官に説明、専門教育課の担当官が萩生田光一の発言の内容と高等教育局長が萩生田光一に対して行った説明内容に「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えて」、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題して「とりまとめた」事実関係が「確認」できた。
但し「ご発言」を纏めたものの、これこれこのとおりでよいかとの確認を高等教育局長から取っていなくて、「萩生田副長官の発言でない内容が含まれている」ことになった。
要するに萩生田光一と高等教育局長が2016年10月21日に面談した事実そのものは認めたが、補足情報が加筆されていることを以って「10/21萩生田副長官ご発言概要」は「個人のメモ」であることと、萩生田光一の発言外の記載があることを以って文書内容の信頼性に疑問符を付け、さらに萩生田光一の「詳細はよく覚えていないが、畜産やペットの獣医師養成との差別化の具体的内容や、総理の具体的改革時期等の発言はしていない」と否定していること、高等教育局長が「副長官からの指示があったということではない」としていることを以って、「10/21萩生田副長官ご発言概要」の内容自体を否定するに至っている。
とは言っても、萩生田光一の否定は加計学園獣医学部新設・認可に関わる安倍晋三の政治関与に萩生田光一が主導的役割を果たしていたとしても、あるいは安倍晋三の政治関与自体がなかったとしても、当然の否定だから、この否定から萩生田光一の役割の有無にしても、安倍晋三の政治関与の有無にしても、判断できないことになるから、脇に置いておかなければならない。
「Wikipedia」に「高等教育局は大学をはじめとした高等教育機関を所掌する」と書いてあり、その職務の一つとして「高等教育機関の設置認可」を挙げている。当然、獣医学部の設置・認可に関係する部署の局長の位置にあり、だから、「国家戦略特区における獣医学部の新設問題の課題や調整状況について局長から説明し」たということなのだろう。
同じ「Wikipedia」のページには専門教育課を高等教育局の一部局であると紹介している。文科省の文書、「高等教育局専門教育課 保存期間表」から専門教育課が「法律の制定又は改廃及びその経緯」に関係する「立案の検討」や、「法律案の審査」の過程で生じる「国会審議」での「議員への説明」や「想定問答」、「答弁書」の作成を職務としていることを窺うことができる。
専門教育課にしても、獣医学部の設置・認可に関係する部署の一つとなっているということである。
と言うことは、高等教育局長が2016年10月21日に面談した萩生田光一の発言を専門教育課の担当官に説明したのは高等教育局長の職務上の意思と職務上の必要性からであり、その意思と必要性とは高等教育局長から専門教育課の担当官に向けた萩生田光一の発言の伝達がその発言を高等教育局長と専門教育課の担当官とが共有するためであり、共有の目的は専門教育課が「立案の検討」を行ったり、国会審議にまで進んだ場合は「議員への説明」や「想定問答」及び「答弁書」の作成の用に供する必要性からということになる。
つまり、当然と言えば、当然だが、全て職務に関わることとして行ったことになる。
簡単に言うと、「10/21萩生田副長官ご発言概要」の内容が事実そのものだとすると、そこに示されている萩生田光一の意思を他の議員や役人にも伝え、共有させて、萩生田光一の意思どおりに事を運ぶため、その必要性と目的を持っていたということになる。
萩生田光一が主導的役割を担った安倍晋三の政治関与のもとでの加計学園獣医学部設置・認可ための画策だとしたら、その画策を実現するために他の与党国会議員や他の役人に陰で示唆しなければならない必要性から、そのための情報共有を目的としていた高等教育局長から専門教育課の担当官に向けた説明であり、当然、高等教育局長から説明を受けた専門教育課の担当官は専門教育課としての職務上の必要性と職務上の目的から纏めておかなければならなかった「10/21萩生田副長官ご発言概要」であると解釈可能となる。
この解釈の否定は別の目的を指摘しなければならないが、「10/21萩生田副長官ご発言概要」なる文書の内容自体からは別の目的を窺うことはできないし、あるいは高等教育局長が職務上の必要性も目的もなく、萩生田光一との面談の際の発言を専門教育課の担当官に説明し、専門教育課の担当官にしても、その発言を職務上の必要性も目的もなくメモして、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題する文書を作成して、専門教育課の共有フォルダに職務上の必要性も目的もなく保存しておいたということにしなければ整合性が取れないことになるだけではなく、高等教育局長にしても、専門教育課の担当官にしても、それぞれが職務に関係しない行為をしたことになる。
であったなら、萩生田光一と高等教育局長の面談自体も職務上の必要性も目的もなく行われたこととしなければ、整合性が取れなくなる。もし職務上の必要性も目的もなかった両者の面談であったなら、高等教育局長は萩生田光一との面談の内容を専門教育課の担当官に説明する必要性も、専門教育課の担当官が説明された発言を文書に纏める必要性も生じなかったはずだ。
だが、逆の経緯を辿ったということは職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的を以って一連の行為が行われたことになる。当然と言えば、当然、当たり前のことである。
また、「10/21萩生田副長官ご発言概要」を「個人のメモ」に過ぎないと断定した場合は専門教育課の担当官が他の課員が自身使用のパソコンから誰でも閲覧できる専門教育課の共有フォルダに保存したことと矛盾する。専門教育課の担当官は自身のパソコンの、ほかのパソコンからは覗くことができない個人用フォルダに保存しておかなければならなかったことになるが、そうではなかった。
要するに職務上の必要性と目的から、他の課員も閲覧可能状態にしておくために共有フォルダに保存しておいたはずで、この点からも「個人のメモ」とすることに無理がある。無理の裏を返すと、文書自体を事実と見なければならなくなる。
要するに萩生田光一の発言を高等教育局長が職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的から専門教育課の担当官に説明したという点に於いても、専門教育課の担当官がその発言を同じく職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的から「10/21萩生田副長官ご発言概要」として纏めて、その文書を専門教育課の共有フォルダに保存したのは職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的からであり、それらの点に於いても、「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記された萩生田光一の発言は概ね事実と見なければならない。
概ね事実と看做す正当性は松野博一の記者会見発言「確認された文書については、萩生田副長官とのやりとりについて、専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモであり」云々からも証明することができる。
松野博一が「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えて」と発言していることの意味は、その「周辺情報等」が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に占めるメインの情報ではなく、サブに位置する情報であって、あくまでもメインの情報は「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載されている萩生田光一の発言の大部分であるということの示唆以外の何ものでもない。
「10/21萩生田副長官ご発言概要」の中身が萩生田光一の発言とは全然別物の「周辺情報等」で大部分を占めていたなら、”補足して書き加えた”という体裁を取らせることはできない。何らかの悪意のもと、大部分が捏造された発言であるという体裁を取ることになる。だが、「関係者から聴取した周辺情報等」を”補足して書き加えた”という体裁を取らせている。
当然、萩生田光一自身の発言を情報としている大部分の箇所と、「補足して書き加えて」萩生田光一の発言としたほんの少しの情報とで成り立っている「10/21萩生田副長官ご発言概要」であると見なければならない。
では、問題の文書自体を見てみる。
10/21萩生田副長官ご発言概要
◯(11月にも国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制改革事項
の決定がなされる可能性をお伝えし、)そう聞いている。
◯内閣府や和泉総理補佐官と話した。(和泉補佐官が)農水省とも話し、以
下3点で、畜産やペットの獣医師養成とは差別化できると判断した。
①ライフサイエンスの観点で、ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設
を備えること。また、国際機関(国際獣疫事務局(OIE)?)が四国に設置
することを評価している、と聞いたので、その評価していることを示すもの
を出してもらおうと思っている。
②既存大学を上回る教授陣(72名)とカリキュラムの中身を増やすこと、ま
た、愛媛大学の応用生物学と連携すること。
③四国は水産業が盛んであるので、魚病に特化した研究を行うとのこと。
◯一方で、愛媛県は、ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存
の獣医師も養成してほしい、と言っているので、2層構造にする。
◯和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づ
いている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官
邸は絶対やると言っている。
◯総理は「平成30年4月に開学」とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でや
る。今年11月に方針を決めたいとのことだった。
◯そうなると平成29年3月に設置申請をする必要がある。「ハイレベルな教
授陣」とはどういう人がいるのか、普通の獣医師しかできませんでし
た、となると問題。特区でやるべきと納得できるような光るものでないと、で
きなかったではすまない。ただ、そこは自信ありそうだった。
◯何が問題なのか、書き出してほしい。その上で、渡邉加計学園事務局長を
浅野課長のところにいかせる。
◯農水省が獣医師会を押さえないとね。
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最初の丸括弧内の「11月にも国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制改革事項の決定がなされる可能性をお伝えし」の発言主体は高等教育局長であって、それ以外はあくまでも萩生田光一の「ご発言」の形式を取っていて、発言主体は全て萩生田光一である。この中から専門教育課の担当官が「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加え」たとする、「萩生田副長官の発言でない内容」があるかどうかを洗い出してみる。
「◯内閣府や和泉総理補佐官と話した。(和泉補佐官が)農水省とも話し、以下3点で、畜産やペットの獣医師養成とは差別化できると判断した。
①ライフサイエンスの観点で、ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設
を備えること。また、国際機関(国際獣疫事務局(OIE)?)が四国に設置
することを評価している、と聞いたので、その評価していることを示すもの
を出してもらおうと思っている。
②既存大学を上回る教授陣(72名)とカリキュラムの中身を増やすこと、ま
た、愛媛大学の応用生物学と連携すること。
③四国は水産業が盛んであるので、魚病に特化した研究を行うとのこと」
今治市が2015年6月4日に国家戦略特区指定に向けて内閣府に獣医学部新設を提案し、国家戦略特区3次指定を受けた2015年12月15日の「第18回国家戦略特別区域諮問会議」で、「ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野における獣医師系の国際教育拠点の整備については、6月の改訂成長戦略に即して行います」とか、「獣医学部等々を含むライフサイエンス系の問題にこの地域(四国)が取り組もうとしているところは、私は高く評価すべきであろうかと思います」といった今治市に於ける獣医系の取組みについて触れてはいるが、この「第18回」から萩生田光一の「ご発言」があった2016年10月21日以前の2016年年10月4日の「第24回国家戦略特別区域諮問会議」までのそれぞれの「議事要旨」から、「ご発言」の最初の①から③までの差別化の要件としている3点、「ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設」、「既存大学を上回る教授陣」、「魚病に特化した研究」といった文言、あるいはそれぞれの単語を検索してみたが、この3点に関連する形では一度もヒットしない。
獣医学部関連でどのような議論があったか、参考までに示すと、2016年9月9日の「第23回国家戦略特別区域諮問会議」では、「例えば、獣医学部の新設は、人畜共通の病気が問題になっていることから見て極めて重要ですが、岩盤が立ちはだかっています」、2016年10月4日の「第24回国家戦略特別区域諮問会議」では、〈先月21日に、今治市の特区の分科会を開催し、『獣医師養成系大学・学部の新設』などについても議論いたしました」、「今治市は、獣医系の学部の新設を要望しています」、「獣医系学部の新設のために必要な関係告示の改正を直ちに行うべきではないかと考えております」といった獣医系学部の必要性に触れているはいるものの、どういった学部や研究が必要とされるのかといった具体的な中身を議論するまでには至っていない。
今治市が獣医学部新設の資料を提出して議論した2016年9月21日の「今治市特区分科会」でも、〈医療、創薬、医療機器などのライフサイエンス研究において、医学と獣医学との共同研究や連携教育を行っていくことが重要であると考え、構想の段階ではございますが、地域の教育、研究をリードしている愛媛大学との学術連携について、大橋学長を初め、医学部長や研究センターの先生方とは既に面談しており、四国の特性に通じた迅速な危機管理の知の拠点を目指してまいりたいと考えております。〉といった目指す中身についての発言はあるが、獣医学部新設を「構想」する段階であって、他の獣医系大学との差別化を具体的に示す段階にまで至っていない。
では、専門教育課の担当官は議事録に現れていない①から③までの情報をどこから手に入れて、萩生田光一の発言としたのだろうか。少なくとも「ご発言」以前の上に上げた資料からは取り出すことができない情報であることを以って、萩生田光一の発言そのものだ、「関係者から聴取した周辺情報」ではないと断定したとしても、これを不当とするなら、萩生田光一は10/21萩生田副長官ご発言概要の中で自身の発言ではない箇所を指摘した上で専門教育課の担当官なりを聴取して、どこから入手した「周辺情報」でこのような発言を作り出したのかを聞き出し、その証言を自身の発言ではないことの証拠として国民の前に提示しなければならない。
そうすれば、「ご発言」をいくら否定しても、離れずに纏わりついたままでいる疑惑を振りほどいて、身の潔白を証明する何よりの手っ取り早い方法となる。「10/21萩生田副長官ご発言概要」を安倍晋三の政治関与に萩生田光一が主導的役割を果たしていることの有力なネタとして野党の国会の場での追及が現在も続いているが、それを完璧に断ち切ることができる。
「◯一方で、愛媛県は、ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存の獣医師も養成してほしい、と言っているので、2層構造にする」と、「◯和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている」の発言。
「2層構造にする」と言っていることは愛媛県から「ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存の獣医師も養成してほしい」との要望があり、その要望をクリアするために獣医学部の新設・認可を画策している側が構想した” ハイレベルな獣医師養成”と” 既存獣医師の養成”の「2層構造」ということであるはずだから、もし文部省自身が獣医学部の新設・認可を画策しているなら、「周辺情報」として補足し書き加えて、さも萩生田光一の発言であるかのように見せかけることもあり得るが、文科省内からほかに確認された加計学園関係の文書を併せ見ても、新設・認可の画策主体は首相官邸となっていて、文科省ではない。
例えば内閣府から文科省行革室に宛てた2016年11月1日のメールには獣医学部新設に関わる文科省の修正案を、〈「添付PDFの文案(手書き部分)で直すように指示がありました。指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。」の文言が記されていて、添付PDFには獣医学部の地域的新設要件を、〈現在広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域において獣医学部の新設を可能とする(「ことを」が抜けているのか)認めるため、関係制度の改正を直ちに行う〉とあった文科省の修正案を〈現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするため、関係制度の改正を直ちに行う。〉と、改めた箇所のみを手書きで記載しているが、これを見ても、萩生田光一が加計学園獣医学部新設・認可に主導的役割を果たしていて、新設・認可の画策主体は首相官邸であって、決しても文科省ではない。
つまり「2層構造」云々を文科省が「周辺情報」として補足し書き加えて、さも萩生田光一の発言であるように見せかける必要性は皆無で、この箇所は萩生田光一自身の発言と見なければならない。
そしてこのメール発信の18日後の2016年11月19日の「第25回国家戦略特別区域諮問会議」で、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度を直ちに行う」ことを決定している。
大体が当時の文科省は獣医学部の新設や定員増は日本獣医師会の反対もあり、抑制措置を講じていた。〈大学、短期大学、高等専門学校等の設置の際の入学定員の取扱い等に係る基準〉(文部科学省告示第45号/2003年3月31日)
〈2 医師、歯科医師、獣医師、教員及び船舶職員の養成に係る大学等の設置又は収容定員増でないこと。〉
つまりここに挙げている大学の設置と収容定員増を禁じている。文科省自体は「告示第45号」の手前、「2層構造」であろうと、何層構造であろうと、獣医系の新設・認可そのものは考慮外の姿勢を取っていたはずで、だから、文科省内や国会議員等を納得させるために書き加えて萩生田光一の発言に見せかけたとすることもできるが、
萩生田光一の口を通した和泉補佐官の「文科省だけが怖じ気づいている」との発言と関連づけると、異なる様相となる。
文科省側が獣医学部の新設や定員増に対して抑制措置を講じていたのに対してこの抑制の扉を安倍晋三と萩生田光一側は強引にこじ開けようとしていたのだから、”怖じ気づく”ところまで行かなくても、慎重な態度を示していたことは窺うことができる。それを「怖じ気づいている」とまで貶めることができるのは「『平成30年4月に開学』とおしりを切ってい」る側であろう。急ぐあまり、なかなか動かない文科省に対して詰る気持ちが働き、「怖じ気づいている」と強い批判的な思いを抱き、そのようは批判を投げつけることで相手を動かそうとするのは人間がよく使う手である。
このようなよく使う手が成功するのは、成功するから、よく使う手となるのだが、「怖じ気づいている」という批判が何だだらしがないという思いと抱き合わせになっていることを批判する側も批判される側も承知していて、批判する側は相手を発奮させるためために使い、批判される側は批判に反発して発奮せざるを得ない気持ちになるからであろう。
批判を受けている側が文科省でありながら、その文科省が「怖じ気づいている」等の文科省向けの批判を「周辺情報」から補足し、書き加えて萩生田光一の発言と見せかけたとしたら、滑稽そのものである。漫才で言うと、自虐漫才ということになる。
要するに文科省の「怖じ気づいている」気持を払拭させるための獣医学部の新設・認可を画策している側からの「ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設を備えること」等の既存獣医師系との差別化の3点に亘る提示であり、愛媛県の要望を受け入れるための「2層構造」という説明、つまり萩生田光一自身の発言であって、「周辺情報」から萩生田光一の発言に見せかけるために「周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた」と見ることはできない。
「◯そうなると平成29年3月に設置申請をする必要がある。『ハイレベルな教授陣』とはどういう人がいるのか、普通の獣医師しかできませんでした、となると問題。特区でやるべきと納得できるような光るものでないと、できなかったではすまない。ただ、そこは自信ありそうだった」は獣医学部の新設・認可を画策している側と画策をお願いしている側(加計学園と愛媛県や今治市)しか知り得ない、本来なら秘密にしておかなければならない情報であり、当然、いつでも利用できるような「周辺情報」の状態で転がっているとは考えられないことになる。
秘密にしておかなければならない情報をなぜ明かしたかと言うと、文科省を協力者に仕立てるために納得させる目的の情報発信とその共有であり、そうである以上、萩生田光一自身の発言と見ないと、整合性が取れなくなる。
「◯何が問題なのか、書き出してほしい。その上で、渡邉加計学園事務局長を浅野課長のところにいかせる」は発言者のその場での直接的な情報発信であって、「周辺情報」とすることはできない。言っていることの意味は協力を渋っている文科省を動かすための獣医学部新設・認可にどのような問題点があるのかの条件聴取であって、文科省が書き出した条件(=問題点)に加計学園側から答を出させた上で文科省に足を運ばせて、答を説明させ、文科省を納得させて、否応でも動かとそうする腹づもりを示している。萩生田光一の発言そのものでなければならない。
いずれにしても文科相松野博一が記者会見で、「専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモ」とはしているが、「個人のメモ」であろうがなかろうが、”書き加えた”という手続きを経ていることが示しているように「10/21萩生田副長官ご発言概要」には萩生田光一自身の発言が含まれていることになり、その発言は全体のメインを構成しいて、「周辺情報等」は「補足して書き加え」たサブを構成しているに過ぎない関係にあることを心得ておかなければならない。
繰返し言うことになるが、萩生田光一はどれが全体の大部分を占めることになる自身の発言なのか、どれが「周辺情報等」を「補足して書き加えて」萩生田光一の発言に見せかけたほんの僅かな箇所なのかを仕分けた上で、自身の発言が安倍晋三の政治関与指示を受けた加計学園獣医学部新設・認可を画策したものではないことを証明しなければならない。もし萩生田光一が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載されている発言全てが自身の発言ではないと全面否定した場合、松野博一の記者会見発言自体を否定することになる。
つまりこれらの否定は高等教育局長が萩生田光一と面談し、その面談で発した萩生田光一の発言を専門教育課の担当官が「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加え」る前に萩生田光一が発したのとは異なる発言に作り変えて、専門教育課の担当官に説明したことになる。高等教育局長によって作り変えられた萩生田光一の発言に専門教育課の担当官が他の情報を補足して、気づかないままに、あるいは気づいてした意図的行為なのか、萩生田光一の発言に見せかける作り変えをさらに行ったことになる。
このような経緯を取ったのかどうか、萩生田光一の否定コメントを見てみる。
平成29年6月20日
1.今回の文書については、文科省の一担当者が内閣府など関係省庁や省内の様々な人から聞いた伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモであり、直属の上司である高等教育局長のチェックを受けていないなど、著しく正確性を欠いたものであるとの説明とお詫びが文部科学省から私に対してありました。このような不正確なものが作成され、加えて、意図的に外部に流されたことについて非常に理解に苦しむとともに、強い憤りを感じております。
2.いわゆる加計学園に関連して、私は総理からいかなる指示も受けたことはありません。
3.開学時期については、内閣府から「『国家戦略特区(全般)についてスピード感をもって実施すべき』という内閣全体の方針を踏まえ、速やかに実施したい」、という説明を受けていましたが、具体的に総理から開学時期及び工期などについて指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません。
4.官房副長官という立場上、当然のことながら、この時期に開催されていた国家戦略特区諮問会議の関連で文科省を含む各省から様々な説明を受け、その都度、気づきの点をコメントすることはありますが、私は基本的に報告を受ける立場であり、私の方から具体的な指示や調整を行うことはありません。いずれにせよ、私は、政府全体の見地から、職務に当たっており、加計学園の便宜を図るために和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ません。
また、私は、愛媛県の関係者と会ったこともなければ、このような県の意向を聞いたこともなく文科省に伝えた事実もありません。
5.千葉科学大学とは年に数回、私の秘書との間で、学校行事の案内等、事務的な連絡を取り合うことはありますが、私も秘書も渡邊事務局長という方と本件や他の件でもやり取りしたことはございませんし、お名前も存じ上げておりません。従って、私から文科省へ行かせると発言した事実はありません。
6.いったい誰が何のために作った文章なのか?本当に必要な内容ならば、なぜ文科省内で大臣や副大臣に伝える作業がなかったのか?まったく心当たりのない発言を、私の発言とする文書やメールが、文科省の職員により作成されている意図は分かりませんが、仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です。
内閣官房副長官 萩生田光一
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萩生田光一は「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」としている。決して「不確かな情報に基づいて作った個人メモ」とは言っていない。と言うことは、「確かな情報」も「混在させて」いることになる。いわば萩生田光一の発言を発言どおりに正確に伝えている箇所と発言とは趣旨を違えて伝えている箇所が混じっていることになる。
この” 確か・不確か”の関係は松野博一の記者会見発言、「専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモ」としている事実関係と対応している。
ここで「確かな情報」がメインで、「不確かな情報」はサブの関係にあるかどうかは問わない。どちらがメインで、どちらがサブであろうと、さらに「直属の上司である高等教育局長のチェックを受けていない」ことから、「著しく正確性を欠いた」内容だとしていたとしても、萩生田光一が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に目を通した際の評価が高等教育局長と面談の際に発した発言どおりに正確に伝えている箇所もあるという事実を認めているという点のみで十分である。そのように認めていることによって、「不確かな情報を混在させて」いると言っていることが正当性を纏うことができるし、松野博一の記者会見発言との整合性を保つことができる。
当然、萩生田光一はたった一つでもいいから「これが私の発言だ」と指し示さなければならない。もし一つの発言の中で「不確かな情報」と「確かな情報」が「混在」していると言うなら、「この箇所は私の発言で、この箇所は私の発言ではない」と、” 確か・不確か”を峻別しなければならない。そうしないと、「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」と説明した自身の発言と矛盾するし、「10/21萩生田副長官ご発言概要」一つで安倍晋三が自らの政治関与によって加計学園獣医学部設置・認可を画策し、その画策に萩生田光一が主導的役割を果たしたとする疑惑は永遠に残ることになるし、いくら身の潔白を言い立てようとも、信じない人間は大勢残ることなって、”疑惑の人”との不名誉な評価を残すことになるだろう。
「2」から「5」までのコメントは、最初の「1」で「確かな情報」と「不確かな情報」の「混在」が見られるとしていながら、「10/21萩生田副長官ご発言概要」に現れている発言の全面否定となっている。
「加計学園に関連して、私は総理からいかなる指示も受けたことはありません」、「具体的に総理から開学時期及び工期などについて指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません」、「加計学園の便宜を図るために和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ません」、「私も秘書も渡邊事務局長という方と本件や他の件でもやり取りしたことはございませんし、お名前も存じ上げておりません。従って、私から文科省へ行かせると発言した事実はありません」等々、「10/21萩生田副長官ご発言概要」全てを自分の発言ではない「不確かな情報」に基づいて成り立っているとしていて、「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」とした自身の言葉が意味させている、「確かな情報をも混在させている個人メモ」としていた要素を頭から無視する矛盾を平気で侵している。
つまり「2」から「5」までのコメントは「不確かな情報に基づいて作った個人のメモ」という主張に基づいていて、自身が口にした「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」と主張したこととは異なっている。「10/21萩生田副長官ご発言概要」の中に「2」から「5」までのコメントどおりに自身が発言した言葉がなければ、最初から「不確かな情報に基づいて作った個人のメモ」という主張になったはずだが、そうならなかったのはどこかに誤魔化しがあるからだろう。
誤魔化しがあるかどうかは「6」を見れば、明らかになる。文飾は当方。
萩生田光一は「10/21萩生田副長官ご発言概要」にあるような発言は何一つ発言していないという思いを伝えた上で、「6.いったい誰が何のために作った文章なのか?本当に必要な内容ならば、なぜ文科省内で大臣や副大臣に伝える作業がなかったのか?まったく心当たりのない発言を、私の発言とする文書やメールが、文科省の職員により作成されている意図は分かりませんが、仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です」
今更ながらにコメントの文飾した箇所が意味することに気づいて、自分の鈍感さに呆れたが、気づいて、瞬間的に思ったことは萩生田光一は質の悪い冗談を言っているのではないのかということであった。
萩生田光一の名前が文科省内で「難しい政策課題の調整を進めるために使われていたのではないのか」
既に前のところで、〈文科省内からほかに確認された加計学園関係の文書を併せ見ても、新設・認可の画策主体は首相官邸となっていて、文科省ではない。〉と書いたが、「10/21萩生田副長官ご発言概要」にモロに現れているように、文科省のどの文書に於いてもそうであるように、愛媛県の加計学園関係の文書でも同じ構図を取っているのだが、問題となっているのは不正な行政手続き・独断的な政治関与で加計学園の獣医学部新設・認可を画策した主体が官邸、つまり安倍晋三自身であり、実働部隊の面から画策の主導的役割を果たしたのは萩生田光一ではないかと目されていたが、そのこととは無関係に文科省が「難しい政策課題」、つまり加計学園の獣医学部新設・認可を実現するためにそれなりの威光を持ち、人を動かす力を持つ萩生田光一の名前を利用したとの趣旨の発言となる。
と言うことは、画策主体を安倍晋三や萩生田光一から切り離して、文科省に移したことになる。我々は何も関係がない。名前を利用されただけだと。
萩生田光一が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載の自身の発言を全面否定し、そこに「官邸は絶対やると言っている」、「総理は『平成30年4月に開学』とおしりを切っていた」との発言が記載されていることから正式な行政手続きを経ない加計学園の獣医学部新設・認可の画策主体が首相官邸・安倍晋三であることを示しているにも関わらず、その画策主体を首相官邸・安倍晋三から切り離して文科省に移したこと、少なくとも加計学園の獣医学部新設・認可の陰謀を巡らせていたのは文科省ということにして、萩生田光一が言うとおりに自身の名前が「省内の調整」(=加計学園の獣医学部新設・認可)を「進めるために使われ」たが事実とするなら、「10/21萩生田副長官ご発言概要」は文科省の手によって作成された全面的な創作・ストーリーということにしなければならないし、加計学園の獣医学部新設・認可の画策主体が首相官邸・安倍晋三であることを窺わせる加計学園関係の他の文書、そして上に挙げた内閣府から文科省行革室宛てのメールを含めて、同じく加計学園の獣医学部新設・認可の画策主体が首相官邸・安倍晋三であることを窺わせる全てのメールも、文科省だけではなく、内閣府も加わって自分たちの手を煩わせて作成した全面的な創作・ストーリーということにしなけれが、辻褄が合わなくなってくる。
つまり官邸に対する壮大な謀反である。安倍晋三やその腰巾着である腹心萩生田光一の与り知らないところで加計学園の獣医学部新設・認可が進められていた。だが、加計学園の獣医学部新設・認可は正式な手続きとしては安倍晋三を議長とする国家戦略特区諮問会議の場で進められてきたという経緯がある上に文科省が「怖気づく」ことなく、官邸に積極的に協力すれば、自ずと実現することなのだから、その実現が文科省や内閣府、その他の謀反からとするのは妄想と片付ける以外にない。
実際には萩生田光一がコメントの、「6.」で「仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です」と言っていることとは逆に萩生田光一自身が「省内の調整を進め」ていた。
そうしなければ、加計学園関係の他の文書やメールとの整合性、松野博一が記者会見で「確認された文書については、萩生田副長官とのやりとりについて、専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモ」としていることによって、「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載されている萩生田光一の発言がメインとなっていることを示していることとの整合性、萩生田光一がコメントの最初で「今回の文書については、文科省の一担当者が内閣府など関係省庁や省内の様々な人から聞いた伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモ」であるとしたことによって”正確な情報も混在している”ことになることとの整合性が一切取れないことになる。
つまり萩生田光一は「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記されている自身の発言を全面否定してはならなかったし、全面否定することはできなかった。全面肯定こそ、一切の整合性が整う。にも関わらず、全面否定した。「10/21萩生田副長官ご発言概要」が萩生田光一自身の「ご発言」としなければならない理由がここにこそある。
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