安倍晋三の「桜を見る会」:内閣官房・内閣府の招待者ノーチェック・フリーパスは「総理のご意向」を忖度した行政・予算の私物化か

2019-11-25 11:20:39 | 政治
 今回の「桜を見る会」騒動で知ることになった向きもあるだろうが、「桜を見る会」の主催者は内閣総理大臣であり、その公的行事である。つまり2013年以降の「桜を見る会」は安倍晋三が主催者である。どのような騒動が起きようとも、その責任は主催者の管理責任となる。安倍晋三は責任感の極めて強い政治家だから、「桜を見る会」に関しては自身が何事に対しても管理責任を負っているとする強い自覚を持った姿勢を貫いているはずである。

 「桜を見る会」の参加資格は「各界の功労・功績者」となっている。招待の仕組みは内閣官房・内閣府が首相官邸や自民党本部・公明党、各省庁等に招待者の推薦依頼を行い、依頼を受けた側が招待にふさわしい人選を行って、各自が推薦者名簿を作成、この名簿を内閣官房・内閣府に送付、内閣官房・内閣府が推薦者名簿の中から毎年、約1万人としている人数に取り纏めて招待者名簿を作成、内閣府が招待者各自に招待状を送付、招待状を受けた「各界の功労・功績者」が晴れて「桜を見る会」に招かれるという段取りとなっている。

 招待者の人数は「『桜を見る会』開催要領」には約1万人と記載されているものの、2019年11月8日参院予算委では共産党議員田村智子が今年の「桜を見る会」の参加者は約1万8千人だと言っていたが、野党各党は招待客が1万人を超えたのは内閣官房・内閣府が受け取った推薦者名簿そのままに招待者名簿を作成し、推薦者名簿と変わらない招待者者名簿から招待状を作成、送付していた、いわばノーチェック・フリーパスの仕組みとしていたことが原因ではないかと国会で追及しているが、内閣官房・内閣府は推薦者名簿と招待者名簿は共には毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えることから、大型シュレッダーにかけて廃棄し、詳細については分からない、また推薦者名簿の控えなどは残っていないのかとの野党の追及に対して安倍事務所や麻生太郎事務所、その他は「記録は残っていない」、「資料は残っていない」でかわしている。

 但し各府省庁などに残っていた推薦者名簿、約4000人分を内閣府が2019年11月22日に国会に提出したが、幹部公務員などを除いた「功労・功績者」の欄が殆ど黒塗りになっていたという。 
 つまり「功労・功績」を判断する材料を隠した。隠す目的・必要性を勘繰ると、「『桜を見る会』開催要領」に則った「功労・功績」に適合していない疑いが浮上する。

 官房長官の菅義偉が11月20日午前の衆議院内閣委員会で今年招待された1万5000人余りの内訳を明らかにしたと「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。
▽各省庁推薦の功労者らが約6000人
▽安倍晋三からの推薦約1000人
▽副総理麻生太郎、菅義偉、官房副長官の合計が約1000人
▽自民党関係者が約6000人
▽国際貢献や芸術文化などの特別招待者や報道関係者、公明党関係者合計約1000人。

 共産党議員田村智子が言っていた約1万8千人と菅義偉が発表した約1万5千人と、どちらがより正確な数字なのだろうか。田村智子が言っていた約1万8千人がより正しい数字だとすると、菅義偉は悪事を少なくして見せたということになるし、菅義偉の約1万5千人がより正しい数字だとすると、田村智子は政府の悪事をより大きく見せたことになる。だが、政府側が黒塗りにする目的と必要性を抱えている点からすると、田村智子の約1万8千人がより正しい人数に見えてくる。

 内閣官房・内閣府が推薦者名簿と招待者名簿共に大型シュレッダーにかけて廃棄し、各省庁保存の推薦者名簿は黒塗りで発表、安倍事務所等与党側には記録・資料のたぐいは残っていないでは全て藪の中ということになる。
 それでも野党は安倍晋三側が国会や記者会見で内閣官房・内閣府が招待者を最終的に取り纏めていて、自分たちはノータッチだとしていることに対して内閣官房・内閣府の最終的な取り纏めは見せかけで、推薦名簿がそのまま招待名簿となっているノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていたこと自体が参加者の人数を膨れ上がらせた原因ではないかと追及、その攻防が続いたままとなっている。

 2019年11月21日午後の参議院内閣委員会でも野党共同会派の小西洋之がノーチェック・フリーパスの観点から官房長官の菅義偉や政府参考人を追及していた。その中で野党共同で内閣官房や内閣府の職員にヒヤリングした事実をぶっつけて、ノーチェック・フリーパスであったことの実態を暴こうとした。

 小西洋之「政府参考人についてお伺いします。安倍事務所の推薦者は招待者になるまでの取り扱いの流れですが、毎年実際の、安倍事務所から推薦者の名簿を頂いてですね、取りまとめる作業、安倍事務所から名簿を頂いた方と取り纏めた方と実は同一人物なんですよ。

 その方は、名刺も頂いておりますが、内閣官房総務館室の参事官補佐の方でございます。その方に二度に亘ってヒヤリングをして頂きました。『本年の安倍事務所推薦者の取り扱いの流れは内閣官房・内閣府より首相官邸に推薦者依頼があり、官邸の内閣総務館室に於いて安倍事務所に推薦依頼を行い、安倍事務所からメールによってデータで推薦名簿を内閣総務館室が受領し、そのデータをメールで内閣府事務次官に提出し、内閣官房・内閣府、官房内閣総務館室で、内閣府の人事課ですけども、取り纏めによる招待者としての確定後に安倍事務所に当該招待者の名簿を提供することはなく、内閣府人事課より招待者各自に招待状が郵送された』

 こうした事実関係でよろしいでしょうか。簡潔によろしくおねがいします)

 大西証史(内閣官房審議官・証史「あかし?まさし?」)「小西先生のところに担当の参事官を参上させて頂きまして、ご説明差し上げましたけれども、おっしゃられるように『桜の見る会』の招待者につきましては内閣総務館室に於きまして総理・副総理・官房長官・官房副長官に対しても事務的に推薦依頼を行いまして、各事務所から推薦を頂いております。この遣り取りはメールで行いまして、内閣官房・内閣府の方(ほう)の取り纏めで、先程先生がおっしゃられましたように内閣府事務次官から招待者に対して招待状を発送するということでございます」

 小西洋之「(最初は聞き取れない。)事実関係はそのとおりだという答弁だというふうに思いますけども、では引き続いて政府参考人に窺わせて頂きます。
 今確認させて頂いた事務の取り扱いとですね、結局安倍事務所からの推薦者についても、この内閣官房と内閣府の取り纏め、最終的な取り纏めとも言っておりますが、その取り纏めというのは誰かを弾いたりするものではなくて、その推薦名
簿をそのまま招待者名簿に、まあ、名義上替えていると、まあ、そうしたものでよろしんでしょうか。
 で、このことについてはですね、まさに政府参考人ご自身だと思いますけれども、大西審議官ご自身だと思いますけれども、我が参議院の予算委員会の理事に対してですね、我が会派の蓮舫理事も含まれますけども、その理事の方々に直接、誰かを弾いているようなことはしていない、まあ、重複があったときにはそれを外すようなことはあるけども、誰かを不適格として外すことはないというふうに仰ったということでございますけども、そうした事務であるということでよろしいですね。簡潔に言ってください」

 大西証史「先程 若干ご説明申し上げましたけども、先程長官(菅義偉)からも申し上げましたけども、いわゆる推薦者の取り纏めの詳細につきましてお答えを、詳細につきましては差し控えますけども、推薦に当たりましては氏名や職業の情報を、招待者の推薦に当たりましては、氏名や職業の情報を頂いておりまして、こうした情報を元に長官が申し上げました取り纏めを行っているところでございます。

 で、さらに申し上げますと、えー・・・・・(言い淀む)どなたからのご推薦であっても、社会的常識に照らして問題があれば、招待しないといったこともあり得るということでございます。で、なお、先程先生が申されました、根拠と申されました、仰られました、えー、別の、恐らく、(内閣官房の)事務方と先生方との遣り取りの場だと思いますが、理事会には私は参加しておりません。私と同室の参事官がですね、参上しまして、色々と遣り取りをさせて頂いているものと思いますけども、私ではございません」

 小西洋之「私が蓮舫理事から伺った話とは違うので、このことについては予算委員会や理事会などで引き続き追及されるんだというふうに思いますが、今、とにかくしませんでしたけど(大西証史が「推薦名簿をそのまま招待者名簿に変えて招待状を出すシステムになっていたという証言はしなかった」との意か)、私担当者に聞きました。内閣官房の参事官補佐。で、仰っていました。『私一人しか、安倍事務所から推薦名簿を頂いて、私一人しか(私一人だからという意か)、安倍事務所の紹介者、人数についての取り纏めはやっておりません』と。こういうふうに『私一人だけです』と。

 で、その方が友人(小西洋之と一緒に理事会に出席していた友人ということか?)に示されておりました。『誰かを弾いたり、そんなことはしていない』と言うことで、はっきりと答弁されたらいいと思うんですけど、取り纏めについてですね、政府の名簿を作成するだけ、取り纏めをすると言っても、名簿を作成するだけだとかいうような答弁をしているわけですよね。まあ、そこの事実確認はさせて頂きます」

 小西洋之は最後に「まあ、そこの事実確認はさせて頂きます」と言ってから、安倍晋三の11月15日のぶら下がり記者会見の安倍晋三自身の発言を根拠に「桜を見る会」で高価な飲食を提供するのは公選法221条の買収罪に当たるのではと追及を変えてしまう。

 「2019年11月15日・安倍晋三ぶら下がり」(産経ニュース/2019.11.15 19:17)

 記者「実際に参加された地元の方々には、自分は安倍首相の選挙を支えてきているから、その経験で選ばれたのだと思っている方がいるが」

 安倍晋三「確かにそう思われている方もおられると思います。そういう観点から。やはり推薦するうえにおいてですね、知っている範囲で推薦することになるんだろうと思います。私たちではなくてですね。党もそうでしょうし、他のえー、あのー、私や副総理や官房長官や副長官もそうなんですが、そういう観点から基準を見直そうということでございます。

 で、もうひとつ付け加えればですね、やっぱりたくさんそれぞれ地域において頑張っておられる方がいるんですね。市井の皆さん、そういう方々と接する機会でもあったのは事実なんだろうと。いわゆる、その、それぞれ、えー、功を成し遂げた方々もたくさんいらっしゃいますが、皆さんの会社の幹部のようにですね。でもそういう方だけではなくて、さまざまな方が、まあ、このご招待をした方がいいんだろうという。まあ、そういう積み重ねだったんだろうと思いますが、まあその中でご指摘のような点もあったことにかんがみ、反省しなければいけないということなんだろうと思います」

 「桜を見る会」に「自分は安倍首相の選挙を支えてきているから、その経験で選ばれたのだと思っている」と主張する安倍晋三後援会員が何人いようと、「思っている」と言うだけで、安倍晋三がそれに応えて招待したという事実を掴まなければ、例えば安倍晋三が「私の方は地域において頑張っておられる方と見て推薦しただけで、招待を決めたのは内閣官房と内閣府だ」と言われれば、公選法221条の買収罪との疑いがあるどころの話ではなくなる。事実、菅義偉から「そういうのには当たりません」といとも簡単に一言で片付けられている。

 小西洋之は安倍晋三後援会員の「桜を見る会」への招待を買収罪相応とするためにも、内閣官房の職員からヒアリングで得た、「安倍事務所から名簿を頂いた方と取り纏めた方と実は同一人物」という証言を、あるいは「誰かを弾いたりするものではなくて、その推薦名簿をそのまま招待者名簿に名義上替えている」という証言を内閣官房審議官の大西証史の口から直接言わせなければならなかった。言わせることができなくても、言わせるよう、最後まで努力しなければならなかった。

 大西証史がノーチェック・フリーパスの仕組みの存在そのものを否定するなら、「そのような事実はありません」と一刀両断に否定すべきだが、ヒアリングを受けたのが自分ではないことを以って否定できる根拠と、同室の参事官の証言との食い違いの理由を問い質すべきだった。

 推薦者名簿がそのまま招待者名簿にすり替わるノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていることは様々な状況証拠から突きつけることができる。その状況証拠として、自民と事務局総務部が平成31年の参議院改選議員に宛てた「桜を見る会」の案内状とあべ事務所が後援会員にだろう、送付した「桜を見る会」の参加申込書の画像を載せておく。

 最初の案内状は「平成31年1月31日」の発信日付となっていて、2019年の「桜を見る会」4月13日にまで約2ヶ月近くも間がある。「平成31年改選議員」〈2019年7月21日執行参議院議員選挙〉に対して「一般の方(友人、知人、後援会等)を4組までご招待いただけます」と記載。この「ご招待」に関して何の断りも条件も付されているわけではないから、この「4組」は後で訂正が効かない、「桜を見る会」への参加が保証付きの「4組」ということになる。

 もしノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていなかったなら、「割当人数は何名様までとなっています」とか、「内閣官房・内閣府の最終的な取りまとめ段階で招待が見送られる場合があります。その点をご承知おきください」ぐらいの断りを入れておかなければならない。

 だが、そうった断りも条件も何も付されていない以上、参加を申し込んだ者=招待者を前提としていなければ、この手の案内状は送ることができない。つまり改選参議院議員1名につき4名までをフリーパス・フリーチェックで招待できることを謳っていることになる。「功労・功績」の程度を内閣官房・内閣府はチェックせず、自民党側の推薦のままにフリーパスで招待客として推薦される仕組みとなっていることを図らずも露呈している。

 「あべ事務所」による「『桜を見る会』参加申込」書の発信日時は記載されていないが、〈※参加される方が、ご家族(同居を含む)、知人、友人の場合は、別途用紙でお申し込み下さい。(コピーして利用して下さい)〉との断りのみで、参加申込書を何枚もコピーできて、後援会員だけではなく、何の制限もかけないままに「ご家族(同居を含む)、知人、友人」まで範囲を広げていることから、何人でも申し込みができる仕様となっている。

 つまり、内閣官房・内閣府が推薦者の中から招待者を最終的に取りまとめる段階を想定していない参加申込書以外の何ものでもない。どこからどう見ても最初の案内状と同様にこの参加申込書も、参加を申し込んだ者=招待者を意味させていて、ノーチェック・フリーパスの仕組みそのものとなっていることを示唆していることになる。

 このことは官房長官菅義偉の記者会見からも見て取ることができる。

 官房長官菅義偉2019年11月21日午前記者会見(動画から)
 
 記者「『桜を見る会』の紹介者名簿の廃棄について伺います。昨日の衆議院内閣委員会の内閣府の答弁では5月の大型連休前に廃棄の準備をしていたが、大型シュレッダーの空きがなくて連休後明け後の5月9日になったと説明していました。一方、その日は野党議員が資料請求をした日です。内閣府は廃棄した当日、議員側から資料請求があったことを知っていたんでしょうか。それとも廃棄の方が先だったんでしょうか」

 菅義偉「それは聞かなかったと聞いている」

 記者「大型シュレッダーが空いていなかったということですけど、この大型シュレッダーは各部署の使用が重なると、使用が何日も先になるものなのでしょうか。また常に混んでいるものなのでしょうか」

 菅義偉「シュレッダーの状況等から、そこの勤務時間等から調整を行って、9日になった。そういうことです」

  ・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・

 記者「16年の『桜を見る会』に於いて政府が検討していた招待客の削減案の実施を見送っていたとの報道がありますけれども、この事実確認をお尋ねします」   

 菅義偉「私は責任者ですけど、承知しておりません」

 記者「昨日の記者会見で菅さんご自身の、あるいは事務所側からの推薦について去年来られた方について『また来たいから』という形で事務方に回していたと仰いました。一方国会ではですね、内閣官房の方が『毎年同じ方が呼ばれるようなことは避けて頂きたい』と要望していたということを仰っていました。

 こうした要望に反する形で菅さん側から推薦が行われた形だと思うんですけど、その点については如何がお考えですか」

 (※2919年11月20日衆院内閣委員会で大西証史内閣審議官が招待者の推薦を巡って、「連続して毎年同じ方が呼ばれることは避けていただきたいとお願いしている」と答弁している。)

 菅義偉「先ずは内閣官房・内閣府から各省庁等に対して推薦を求める際に幅広く色んな方を招待するための前提として同じ人が推薦をされないことも配慮事項の一つであるというお願いを致しております。

 実際に前年の招待者の再度推薦をされることもあるかと思いますけども、まあ、頂いた推薦を基に内閣官房・内閣府が最終的に取り纏めを行っている。いずれにせよ、配慮事項はそういうことになっております」

 記者「その推薦依頼をされた長官側が結果として前年招待された方も含めて推薦していたと。この点については不適切だったとお考えですか」

 菅義偉「前の年か、前の前の年か、よく分からないけど、来た方でまた来たいという方がいたことは事実であります」

 記者「事実関係は分かるんですけど、それが果たして内閣官房が決めている、ある種のルールーのようなものに反していたということについては不適切だったというふうにお考えですか」

 菅義偉「前年呼ばれた方がまた、そういうことは適切なことじゃなかったと思います」

 記者「この点ですね、推薦依頼を受けた側が推薦をする際に、まあ、なかなか基準が曖昧だということもあるだろうけど、内閣官房から一定のルール、そういった同じ人を呼ばないようにであるとか、そういったことは言われている訳で、その点推薦がですね、曖昧な形で行われていたということは認識していましたか」

 菅義偉「一定のルールというのはあくまで配慮事項の一つとしてお願いしているということで、ダメだということではない」

 菅義偉は前日2919年11月20日の記者会見で、「去年来られた方で『また来たい』とか、業界団体の中で『ぜひ何人かで行きたい』とか、要請を受けたら事務方に(推薦依頼を)回していた」と答弁しているとマスコミが伝えていた。

 菅義偉は、いわば「同一人物回避」のルールは適切ではないが、「あくまで配慮事項の一つであって、ダメだということではない」と容認している。自己正当化のために強引にこじつけている。だが、どうこじつけようと、「同一人物回避」のルールの有名無実化は同時に参加を申し込んだ者=招待者となっているノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていることの証明、言い換えると、「内閣官房・内閣府が招待者を最終的に取りまとめる」と言っていることの有名無実化の証明としかならない。
  
 内閣官房・内閣府が招待者を適切に取りまとめていたなら、「同一人物回避」のルールは麻痺することなく十分に機能して、次の年の「桜を見る会」に前の年と同じ人間が招待されるということもなくなる。

 だが、現実には参加を申し込んだ者=招待者のノーチェック・フリーパスの仕組みとなっているから、言い換えると、内閣官房・内閣府が「同一人物回避」のルールに則って招待者を適切に取りまとめいるわけではないから、続けて招待される人間が出てくる。

 果たして内閣官房・内閣府自らが適切な取りまとめの仕組みをなし崩しに形骸化させていって、ノーチェック・フリーパスの仕組みに変質させてしまったのだろうか。

 第2次安倍政権になるまで「桜を見る会」の招待客は毎年、ほぼ1万人が守られていたと言う。なってから、1万人を超えて、年々増えていると言う。そして安倍政権絡み、あるいは安倍晋三絡みの「桜を見る会」の案内状や「桜を見る会」の参加申込書を見る限り、参加を申し込んだ者=招待者となっているノーチェック・フリーパスの仕組みを前提とした文面となっていることを考えに入れると、内閣官房・内閣府の招待者ノーチェック・フリーパスは「総理のご意向」を忖度した行政私物化・予算の私物化に見えてくる。

 このことは否定できない。否定できる唯一の要件は首相官邸、自民党本部、あるいは安倍後援会、その他の閣僚の後援会等々が「桜を見る会」の案内状や「桜を見る会」の参加申込書の類いを送付して、自分たちで勝手に参加を申し込んだ者=招待者と決め込むのではなく、案内状や参加申込書を一切送付せずに、各自が招待にふさわしいと思われる人物を内々で選び出して、推薦者名簿として纏めて内閣官房・内閣府に送付、内閣官房・内閣府はその中から自らの基準で招待者を取り纏めて、招待者各自に招待状を送付するシステムとなっていることである。

 最初の段階が内々の作業だから、撥ねられた、撥ねられなかったといった事態が生じることもなく、人数も膨れ上がることもない。

 安倍晋三は2019年11月20日の参院本会議で立憲民主党の那谷屋正義(なたにや・まさよし)の質問に答えて、「同会(『桜を見る会』)ついては内閣官房及び内閣府が招待客の最終的な取り纏めを行っているところ、長年の慣行の中で行われてきたところではありますが、招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れ上がってしまった実態があると認識しています」と答弁しているが、「招待者の数が膨れ上がってしまった実態」は参加を申し込んだ者=招待者となっている文面の案内状や参加申込書を支持者等に送付した結果であって、内閣官房・内閣府だけの関与でのみ招待者が決められていながら、招待基準が曖昧になったなら、政治側から責められることになるから、役所側からの招待基準の曖昧化は考えられない。あくまでも安倍晋三の「ご意向」がなし崩し的に招待者を増やし、その「ご意向」に内閣官房・内閣府が忖度した結果の自らのチェック機能の麻痺と見ないわけにはいかない。

 最後に内閣官房・内閣府は推薦者名簿も招待者名簿も毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えることから廃棄することにしていて、今年の名簿は5月9日に廃棄したとしているが、廃棄してしまったなら、次の年の「桜を見る会」の招待者選定作業の際の自らがルールとしている「同一人物回避」を頼る手がかりまでも失う矛盾が生じることになり、廃棄は「同一人物回避」を済ませた次の年の「桜を見る会」終了後でなければならないはずだ。

 だが、次の年を待たずに廃棄した。ノーチェック・フリーパスの仕組みになっているなら、どのような矛盾も生じない。「同一人物回避」の手間も生じない。

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2016年「10/21萩生田副長官ご発言概要」が萩生田光一自身の「ご発言」でなければならない理由

2019-11-18 11:13:37 | 政治
 萩生田光一は2019年9月11日に安倍晋三から文科相に任命されてから、安倍晋三が政治的に便宜を図って事を成し遂げたのではないのかと疑われている加計学園獣医学部認可疑惑・安倍晋三政治関与疑惑を国会で追及する矢面に再び立つことになった。

 衆議院予算委員会(2019年11月6日)

 今井雅人(国民民主党)「先程の総理も、閣僚が2名なくなって、まあ、辞任されても、それを替えて前に進めるってことで責任を取ると。受験生を傷つけるような発言をして、それでギリギリまで延期を引っ張って、世の中を混乱させて、それでもこれから何とかしてくいくってことで責任を取ると。

 安倍政権といつもそうなんですね。きちっとやっぱり自分のやったことをしっかりと責任を取っていく。そういうことを是非やって頂きたいと、いうふうに思います。その上であの、10月11日にですね、我が会派の辻本委員が質問したことで、私はちょっと、うっと思いましたので、改めてお伺いしたいと思うんですけども、先程も話題になっていました例の萩生田ペーパー(「10/21萩生田副長官ご発言概要」のこと)ってやつですね、先程から萩生田さんは、萩生田大臣はですね、『極めて不正確なメモ』って仰っていますけど、改めて全部を読むと、時間がありませんので、中身を一つ一つ読みますと、物凄く明快に書いてあります。

 『私の方で整理しよう』と。で、これはとても役人が書くもんだと思いませんけれども、先程もありましたようにこれ文科省で見つかったわけですよね。
これは文科省で見つかったメモということですね。

 であれば、これは文科省の方が書いたと思われますね。それで、よろしいですか」

 萩生田光一「獣医学部の新設に関して私が恰もですね、働きかけをしたかのような個人メモ等が取り上げられましたが、私が総理から指示を受けたり、文科省や内閣府に対して指示を出したりすることはありません。ご指摘の10月21日付けのメモっていうことだと思うんですけれども、当時文科省から個人の備忘録的なメモであり、著しく正確性を欠くと説明をされており、当文書の八つのパラグラムについていずれも私が明確に発言したものではありません。

あの、また、当該文書にあるような総理補佐官と話し合いをする機会もありませんでしたし、畜産やペットの獣医師養成との差別化の具体的な内容を詳細に私、承知しておりませんので、愛媛県の関係者とも会ったことなければ、県の意見を聞いたこともなく、文科省に伝えた事実もありませんので、この文書について私は分かりません」

 今井雅人「文科省で見つかったっていうのは、松野、前の大臣も仰ってますから、この内容からして、誰かが作ってるわけです。誰かが作ってるんです。誰かが、私じゃありませんよ(苦笑気味に笑いながら)。誰かが作ってるわけで、それは文科省に残ってるんですから――。

 『あなたが』って、今、ちょっと失礼ですね。私がこんなもの作れるわけないじゃないですか、総理。何で私がこんなもん作れるんですか。失礼ですよ、今のは。『あなたが作った』とは何ですか、それは」

 着席する。

 委員長「質問お願い致します。今井雅人くん」

 今井雅人「(声を大きくして、手に持ったメモ用紙を動かし)この紙をですね、『あなたが作った』などと総理が指差して、私に仰ったんですよ。謝罪してください」

 (中断)

 委員長「今井雅人くん、再度質問をお願いします」

今井雅人「私が今、この紙は文科省が作ったんじゃないかなと言いましたところ、総理大臣が私を指差して、『あなたが作ったじゃないの』って仰いました。(大きな声をして)大変侮辱です。謝罪してください」

委員長、委員長席に詰め寄った議員の一人に「私に聞こえなかったので・・・・・」(聞こえなかったのなら、安倍晋三に「そんなことを言ったのですか」と聞けばいいのだが、聞くことができない。多分、恐れて)

 委員長「今井委員、今井委員、恐縮です、再度ご質疑があれば、ご質問ください」

 今井雅人「委員長が総理を指名してくださるんでしたら、もう一度質問をします」

 委員長「今の聞こえなかった。もう一回お願いします」

 今井雅人「委員長が答弁者に総理を指名してくださるんでしたら、もう一度質問をします」

 委員長「質問の中身によりますが、どうぞ」

 安倍晋三が手を挙げる。

 委員長「内閣総理大臣安倍晋三君」

 安倍晋三「只今、今井委員がですね、『文科省の中に於いて見つかった。誰が作ったんですか』と、こう聞いたわけですね。文科大臣、文科大臣としては、自分は全く、こうこうこういう理由で中身は全く正確ではないということを明確に示されたと思ってます。そしてそれは、当然、与り知らないのでありすから、答えようがないわけであります。

 しかし今、今井委員はですね。『それでも答えろ』ということであったわけでありますが、それは答えられないということで、私はですね、『それは誰か分からないじゃないか』と申し上げたわけでありまして(激しいヤジ)、で、で、その中に於いてですね、その中に於いて、その中に於いてですね、私は今井委員の方を指を指しまして、じゃあ、それは誰だって可能性があるし、今井委員だって、私だって、それは、そういうことをやったらですね、そういうことになってしまうんじゃないかということを申し上げたわけでありまして、ここで明らかにしなければいけない、明らかにしなければいけないことについてはですね、つまり誰が書いたということについて今委員は明確なですね、明確なものを、事実を示しながら、これ文科省で作られたってことを示さない限り、それは議論にならないわけでありまして、まさに水掛け議論、水掛け論になってしまうということを私は、そういう趣旨で申し上げたがわけでありますが、それを呟いたわけでありますが、いわばまさにこれは正確な発言ではないわけでございます。

 ただ、座席からですね、座席から私が言葉を発したことについては大変申し訳なかったと思います」

 今井雅人「私は萩生田大臣に質問をしております。その横で指を差して、『あなたが作ったんじゃないの』って言うのは本当に失礼ですよ。いや、いや、萩生田さんに言われるならまだ分かりますけど、なぜ総理に言われなくてはいけないんです?取り消してください」

 安倍晋三「これはここで私は答弁したことであればですね、責任を持ってお答えするわけでありますが、私はただ指を指してですね、指を指して、今、ここからも(手を示しながら、野党議員からの)不規則な発言がございました。ああいう形でですね、不規則な発言をすることは控えなければならないことかもしれませんが、そこで今井委員がですね、言われたことはまさにこれは、これはですね。まさに萩生田大臣が証明のしようがないことでありまして、それをですね、いわば文科省に於いて正式に作られたかの如きの印象を与える、いわば質問しておられますから、それは違うんではないかという意味に於いて私は誰が書いたかということは分からないんではないかということを申し上げたわけでございます」

 今井雅人「先ず今の反論する前に委員長にお願いしたいんですけど、暫く私は質問時間を奪われました。ちょっと質問時間を返してください」

 委員長「大変恐縮ですが、今井委員がおっしゃった件について私の方には明確に聞こえませんでした。ですから、今井委員に質問を促したところでございます。今井委員が質問をなさらなかったわけですので、必要とあらば、後刻理事会で協議致します」

 今井雅人「私は明確に申し上げましたし、二度も質問をしました。その委員長の指摘は当たらないと思いますよ。そういうことを仰るんでししたら、本当に公平な運営をしてるのか私はね、疑問に感じますよ。

 ちょっと、これは本当にみなさんね、声を上げて頂きたいと思いますが、ちょっと今日の許せません、私は。委員長も理事会で皆さんと一度協議してください。公平に運営されていたかどうか」

 委員長「後刻理事会で協議致します」

 今井雅人「それでですね、あの、辻元委員のときもありましたけれども、当時の義家副大臣が、これは不正確なメモだったということで謝罪しておられるわけですよ。文科の副大臣が謝罪、これは不正確なメモだったと謝罪しておられるから、『それなら文科省の方が作ったメモですね』って私は質問しているんです。どこかおかしいんですか。

 だって、副大臣がそう仰ってるじゃないですか。それをなんかどこか分からない、『あなたが作ったかもしれない』なんて、そんな失礼なこと言われてね、質疑できないですよ。

 大臣、私は、ね、こういう方がいらっしゃって、本当に、私はこれは大臣が発言していると思うけど、でも、大臣が仰るように誰かが勝手に作ったんなら、これ国家公務員法の99条違反です。ですから、いま、部下なわけですよね。文部科学大臣でしょ。部下がそういうことをやったかやらないか、調べてください。誰がやったか、特定してください」

 萩生田光一「あの、色んなお考えを持たれるのは自由なんですけど、やっぱり公の委員会で私が発言したと断定をして、『私はそう思ってる』と言われるのは私は逆に心外ですけれど。今までも国会を通じて私の立場についてきちんと説明をしてきました。

 因みにあの謝罪をしたのは副大臣ではなくて、松野大臣でございまして、あの、松野大臣から不確定な文書だってこと言われました。副大臣ではございません。で、あの、本件については当時の松野大臣の元で、この文書については正確性を欠く私文書、メモのようなもので、それがたまたまファイルの中にあったということで問題が起きたんですけれども、これについては作成した方もですね、私と会って、その話を直接聞いてるわけじゃなくて、多分高等教育局長からの伝聞を一つのメモにしたんじゃないかということで、調査はそのように終わっていると承知をしております」

 今井雅人「時間が来ちゃったんですけど、私は、『自分はそう思います』って言っただけで、断定なんかしていませんから。『そう思います』と、『私がそう思います』と言ったんですから。『そうです』って断定したわけじゃありませんので、そういうこと言われるのは心外です。

 委員長、あの、是非、時間がありませんから、二つ申し上げます。一つは私、質疑時間終わりましたので、もう一度集中審議やって頂きたいということと萩生田大臣に
このメモを書いた人を断定して、特定して、この委員会に提出していただくことを求めます」

 委員長「後刻理事会で協議致します」

 「10/21萩生田副長官ご発言概要」は誰がどのようなイキサツで書いたのかは当時の文科相松野博一が2017年6月20日の記者会見で既に明らかにしている。野党議員の追及の不味さ加減は相変わらずとなっている。

 今井雅人が萩生田光一に対して萩生田光一自身の名前のついた文書は文科省の「誰かが作ってるんです」と聞いている最中に安倍晋三が自席から今井雅人を指差して、「あなたが作った」と名誉を毀損するようなヤジを入れた。今井雅人はその失礼に些か立腹して、発言の謝罪を求め、ついで取り消しを求めた。

 対して安倍晋三は薄汚い強弁を用いて、自己正当化を謀ろうとした。この怪我の功名でしかない偶然を利用して安倍晋三の恥知らずな薄汚さをこそ追及して、当人を追いつめた方がより効果的だったはずだが、取り消せ、謝罪しろの一点張りで過ごしてしまった。

 そこら辺に転がっているヒラ議員ならいざ知らず、一国の首相であることを顧みずに「あなたが作った」というヤジ自体を「『それは誰か分からないじゃないか』と申し上げた」と言いもしない言葉を用いて、ヌケヌケとすり替える恥知らずは天下一品である。この点をこそ、追及すべきだったろう。

 「私は今井委員の方を指を指しまして、じゃあ、それは誰だって(作成する)可能性があるし、今井委員だって、私だって、それは、そういうことをやったらですね、そういうことになってしまうんじゃないかということを申し上げたわけでありまして」

 無理やり誤魔化して自己正当化を謀ろうとするから、このような論理不明・意味不明な言葉遣いとなる。大体が一国の首相でありながら、無理やり誤魔化そうとすること自体が心得違いそのもので、この心得違いは素直さや謙虚さがないことから起きる。何か問題が起きたり手違いが生じたりすると、安倍晋三は「謙虚に、丁寧に国民に説明していく」といったことを頻繁に口にするが、素直さや謙虚さがない政治家の言葉なのだから、上辺だけの体裁と受け止めなければならない。

 すり替えは一度だけではない。ヤジ自体を「明確な事実を示して文科省で作られたということを示さなければ、議論にならない」とか、「水掛け論になってしまう」といったことを「呟いた」に過ぎないことであるかのようにすり替えている。しかも「正確な発言ではない」ないから、さも許されるとばかりに勝手に自己免罪している点、野党議員の首相に対するヤジはその答弁が質問に直接答えていないことだったり、こじつけであったりした場合に発せられるのに対してそのようなヤジを例に取って、「あいう形でですね、不規則な発言をすることは控えなければならないことかもしれませんが」と、首相のヤジと野党のヤジを同レベル扱いする点はまさにすり替えそのものであって、特に後者は見識の無さそのものがもろに現れている。見識のない一国の首相という人物像は矛盾そのもので、その矛盾を安倍晋三自身が許していることになる。

 ヤジ行為の程度の低さはそのままにして、「座席からですね、座席から私が言葉を発したことについては大変申し訳なかったと思います」と、言葉を発しただけだとすり替えて、そのことだけを謝罪する狡猾さもさすが安倍晋三でなければできない狡猾なすり替えであろう。

 2017年6月19日夜放送の「NHKクローズアップ現代+」が加計疑惑を取り上げ、その中で「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書を入手し、紹介したことを翌日のマスコミが一斉に報じた。対して当文科相だった松野博一が翌日の2017年6月20日に記者会見を開いて、「同一内容の文書が専門教育課の共有フォルダに確認された」と、その文書の存在を認めた。

 一方の萩生田光一は松野博一の記者会見と同じ2017年6月20日に文書内容を全面否定するコメントを公表している。文書の存在そのものを否定した場合、あとでどのようなリークが生じるか分からないから、文書の内容自体を否定する手段に出たのだろう。結果、時間的には松野の記者会見が先で、それを受けて萩生田光一が文書の内容を否定する連携プレーを演じることになったはずだ。

 このことは2017年6月21日付で当「ブログ」に一度取り上げているが、萩生田光一が文科相に就任、文科相の立場で自身の関与を否定する発言を行っていることの状況の変化も踏まえて、2017年6月20日付「NHK NEWS WEB」記事が全文を伝えていた2016年の「10/21萩生田副長官ご発言概要」と2017年6月20日の松野博一の記者会見発言、さらに萩生田光一のコメントを仔細に眺めてみて、加計学園新設・認可に主導的な役割が果たしたと窺うことができる萩生田光一が自身のコメントでの否定どおりに素直にその否定を受け入れることができるかどうかを再び検証してみることにした。

 但し順番を違えて、「10/21萩生田副長官ご発言概要」は松野博一の記者会見発言のあとに提示することになる。

 「松野博一文科相記者会見」(2017年6月20日)  
 
 松野博一「三つ目は、国家戦略特区における獣医学部新設問題に関する『萩生田副長官の発言概要』に関する文書の存在等についての昨日の報道を受けてでございますが、各方面から事実関係について問合せがあり、また、何か指摘があれば真摯に説明責任を果たしていきたいという総理の方針を踏まえ、昨夜、私の判断で、文書の存否等に関する確認を事務方に指示しました。

 確認の結果は、詳細は後ほど事務方から説明をいたしますが、同一内容の文書が専門教育課の共有フォルダに確認されました。萩生田副長官は、文部科学政務官を経験されたこともあり、文科省の事務方も日常的に文教行政の課題について説明し、相談にあがってますけれども、10月21日には高等教育局長が萩生田副長官に対し、給付型奨学金や高大接続の問題等の説明・相談とともに、国家戦略特区における獣医学部の新設問題の課題や調整状況について局長から説明し、相談をしたということでございます。

 特区については、農水省などと獣医師の需給に関して調整する必要があり、萩生田副長官に調整状況を説明し、相談を行った趣旨とのことであります。確認された文書については、萩生田副長官とのやりとりについて、専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモであり、従いまして、高等局長の確認を受けておらず、萩生田副長官の発言でない内容が含まれているとの報告を受けています。事務方より、萩生田副長官にも確認をしたところ、詳細はよく覚えていないが、畜産やペットの獣医師養成との差別化の具体的内容や、総理の具体的改革時期等の発言はしていないと聞いています。

 なお、高等教育局長からも確認しましたが、高等教育局長の方から先ほど述べた案件に関して説明に伺ったということであり、副長官からの指示があったということではないとの報告を受けています。昨日、総理が会見でお話になったように、今後、何か指摘があれば、その都度、真摯に説明責任を果たしていきたい、国民の信頼を得ることができるよう、冷静にそしてわかりやすく、一つ一つ丁寧に説明していきたいと考えています。私からは以上でございます」

 松野博一の記者会見冒頭発言を整理してみる。

 先ず松野博一はNHKが報道したような「10/21萩生田副長官ご発言概要」なる文書が文科省内に存在するのかどうか、自身の「判断で、文書の存否等に関する確認を事務方に指示」した。その結果、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と同一内容の文書が専門教育課の共有フォルダに存在していたことを確認した。

文書の日付となっている10月21日(2016年)に内閣官房副長官萩生田光一と文部科学省高等教育局長が面会、高等教育局長が給付型奨学金や高大接続の問題及び「国家戦略特区における獣医学部の新設問題の課題や調整状況について局長から説明し、相談をした」とする事実関係と、その際の萩生田光一と高等教育局長の遣り取りを高等教育局長が専門教育課の担当官に説明、専門教育課の担当官が萩生田光一の発言の内容と高等教育局長が萩生田光一に対して行った説明内容に「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えて」、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題して「とりまとめた」事実関係が「確認」できた。

 但し「ご発言」を纏めたものの、これこれこのとおりでよいかとの確認を高等教育局長から取っていなくて、「萩生田副長官の発言でない内容が含まれている」ことになった。

 要するに萩生田光一と高等教育局長が2016年10月21日に面談した事実そのものは認めたが、補足情報が加筆されていることを以って「10/21萩生田副長官ご発言概要」は「個人のメモ」であることと、萩生田光一の発言外の記載があることを以って文書内容の信頼性に疑問符を付け、さらに萩生田光一の「詳細はよく覚えていないが、畜産やペットの獣医師養成との差別化の具体的内容や、総理の具体的改革時期等の発言はしていない」と否定していること、高等教育局長が「副長官からの指示があったということではない」としていることを以って、「10/21萩生田副長官ご発言概要」の内容自体を否定するに至っている。

 とは言っても、萩生田光一の否定は加計学園獣医学部新設・認可に関わる安倍晋三の政治関与に萩生田光一が主導的役割を果たしていたとしても、あるいは安倍晋三の政治関与自体がなかったとしても、当然の否定だから、この否定から萩生田光一の役割の有無にしても、安倍晋三の政治関与の有無にしても、判断できないことになるから、脇に置いておかなければならない。

 「Wikipedia」に「高等教育局は大学をはじめとした高等教育機関を所掌する」と書いてあり、その職務の一つとして「高等教育機関の設置認可」を挙げている。当然、獣医学部の設置・認可に関係する部署の局長の位置にあり、だから、「国家戦略特区における獣医学部の新設問題の課題や調整状況について局長から説明し」たということなのだろう。

 同じ「Wikipedia」のページには専門教育課を高等教育局の一部局であると紹介している。文科省の文書、「高等教育局専門教育課 保存期間表」から専門教育課が「法律の制定又は改廃及びその経緯」に関係する「立案の検討」や、「法律案の審査」の過程で生じる「国会審議」での「議員への説明」や「想定問答」、「答弁書」の作成を職務としていることを窺うことができる。

 専門教育課にしても、獣医学部の設置・認可に関係する部署の一つとなっているということである。

 と言うことは、高等教育局長が2016年10月21日に面談した萩生田光一の発言を専門教育課の担当官に説明したのは高等教育局長の職務上の意思と職務上の必要性からであり、その意思と必要性とは高等教育局長から専門教育課の担当官に向けた萩生田光一の発言の伝達がその発言を高等教育局長と専門教育課の担当官とが共有するためであり、共有の目的は専門教育課が「立案の検討」を行ったり、国会審議にまで進んだ場合は「議員への説明」や「想定問答」及び「答弁書」の作成の用に供する必要性からということになる。

 つまり、当然と言えば、当然だが、全て職務に関わることとして行ったことになる。

 簡単に言うと、「10/21萩生田副長官ご発言概要」の内容が事実そのものだとすると、そこに示されている萩生田光一の意思を他の議員や役人にも伝え、共有させて、萩生田光一の意思どおりに事を運ぶため、その必要性と目的を持っていたということになる。

 萩生田光一が主導的役割を担った安倍晋三の政治関与のもとでの加計学園獣医学部設置・認可ための画策だとしたら、その画策を実現するために他の与党国会議員や他の役人に陰で示唆しなければならない必要性から、そのための情報共有を目的としていた高等教育局長から専門教育課の担当官に向けた説明であり、当然、高等教育局長から説明を受けた専門教育課の担当官は専門教育課としての職務上の必要性と職務上の目的から纏めておかなければならなかった「10/21萩生田副長官ご発言概要」であると解釈可能となる。

 この解釈の否定は別の目的を指摘しなければならないが、「10/21萩生田副長官ご発言概要」なる文書の内容自体からは別の目的を窺うことはできないし、あるいは高等教育局長が職務上の必要性も目的もなく、萩生田光一との面談の際の発言を専門教育課の担当官に説明し、専門教育課の担当官にしても、その発言を職務上の必要性も目的もなくメモして、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題する文書を作成して、専門教育課の共有フォルダに職務上の必要性も目的もなく保存しておいたということにしなければ整合性が取れないことになるだけではなく、高等教育局長にしても、専門教育課の担当官にしても、それぞれが職務に関係しない行為をしたことになる。

 であったなら、萩生田光一と高等教育局長の面談自体も職務上の必要性も目的もなく行われたこととしなければ、整合性が取れなくなる。もし職務上の必要性も目的もなかった両者の面談であったなら、高等教育局長は萩生田光一との面談の内容を専門教育課の担当官に説明する必要性も、専門教育課の担当官が説明された発言を文書に纏める必要性も生じなかったはずだ。

 だが、逆の経緯を辿ったということは職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的を以って一連の行為が行われたことになる。当然と言えば、当然、当たり前のことである。

 また、「10/21萩生田副長官ご発言概要」を「個人のメモ」に過ぎないと断定した場合は専門教育課の担当官が他の課員が自身使用のパソコンから誰でも閲覧できる専門教育課の共有フォルダに保存したことと矛盾する。専門教育課の担当官は自身のパソコンの、ほかのパソコンからは覗くことができない個人用フォルダに保存しておかなければならなかったことになるが、そうではなかった。

 要するに職務上の必要性と目的から、他の課員も閲覧可能状態にしておくために共有フォルダに保存しておいたはずで、この点からも「個人のメモ」とすることに無理がある。無理の裏を返すと、文書自体を事実と見なければならなくなる。

 要するに萩生田光一の発言を高等教育局長が職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的から専門教育課の担当官に説明したという点に於いても、専門教育課の担当官がその発言を同じく職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的から「10/21萩生田副長官ご発言概要」として纏めて、その文書を専門教育課の共有フォルダに保存したのは職務上の意思に基づいた職務上の必要性と目的からであり、それらの点に於いても、「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記された萩生田光一の発言は概ね事実と見なければならない。

 概ね事実と看做す正当性は松野博一の記者会見発言「確認された文書については、萩生田副長官とのやりとりについて、専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモであり」云々からも証明することができる。

 松野博一が「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えて」と発言していることの意味は、その「周辺情報等」が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に占めるメインの情報ではなく、サブに位置する情報であって、あくまでもメインの情報は「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載されている萩生田光一の発言の大部分であるということの示唆以外の何ものでもない。

 「10/21萩生田副長官ご発言概要」の中身が萩生田光一の発言とは全然別物の「周辺情報等」で大部分を占めていたなら、”補足して書き加えた”という体裁を取らせることはできない。何らかの悪意のもと、大部分が捏造された発言であるという体裁を取ることになる。だが、「関係者から聴取した周辺情報等」を”補足して書き加えた”という体裁を取らせている。

 当然、萩生田光一自身の発言を情報としている大部分の箇所と、「補足して書き加えて」萩生田光一の発言としたほんの少しの情報とで成り立っている「10/21萩生田副長官ご発言概要」であると見なければならない。

 では、問題の文書自体を見てみる。

 10/21萩生田副長官ご発言概要

◯(11月にも国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制改革事項
 の決定がなされる可能性をお伝えし、)そう聞いている。

◯内閣府や和泉総理補佐官と話した。(和泉補佐官が)農水省とも話し、以
 下3点で、畜産やペットの獣医師養成とは差別化できると判断した。

 ①ライフサイエンスの観点で、ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設
  を備えること。また、国際機関(国際獣疫事務局(OIE)?)が四国に設置
  することを評価している、と聞いたので、その評価していることを示すもの
  を出してもらおうと思っている。
 ②既存大学を上回る教授陣(72名)とカリキュラムの中身を増やすこと、ま
  た、愛媛大学の応用生物学と連携すること。
 ③四国は水産業が盛んであるので、魚病に特化した研究を行うとのこと。

◯一方で、愛媛県は、ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存
 の獣医師も養成してほしい、と言っているので、2層構造にする。

◯和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づ
 いている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官
 邸は絶対やると言っている。

◯総理は「平成30年4月に開学」とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でや
 る。今年11月に方針を決めたいとのことだった。

◯そうなると平成29年3月に設置申請をする必要がある。「ハイレベルな教
 授陣」とはどういう人がいるのか、普通の獣医師しかできませんでし
 た、となると問題。特区でやるべきと納得できるような光るものでないと、で
 きなかったではすまない。ただ、そこは自信ありそうだった。

◯何が問題なのか、書き出してほしい。その上で、渡邉加計学園事務局長を
 浅野課長のところにいかせる。

◯農水省が獣医師会を押さえないとね。

 最初の丸括弧内の「11月にも国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制改革事項の決定がなされる可能性をお伝えし」の発言主体は高等教育局長であって、それ以外はあくまでも萩生田光一の「ご発言」の形式を取っていて、発言主体は全て萩生田光一である。この中から専門教育課の担当官が「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加え」たとする、「萩生田副長官の発言でない内容」があるかどうかを洗い出してみる。

 「◯内閣府や和泉総理補佐官と話した。(和泉補佐官が)農水省とも話し、以下3点で、畜産やペットの獣医師養成とは差別化できると判断した。

 ①ライフサイエンスの観点で、ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設
  を備えること。また、国際機関(国際獣疫事務局(OIE)?)が四国に設置
  することを評価している、と聞いたので、その評価していることを示すもの
  を出してもらおうと思っている。
 ②既存大学を上回る教授陣(72名)とカリキュラムの中身を増やすこと、ま
  た、愛媛大学の応用生物学と連携すること。
 ③四国は水産業が盛んであるので、魚病に特化した研究を行うとのこと」

 今治市が2015年6月4日に国家戦略特区指定に向けて内閣府に獣医学部新設を提案し、国家戦略特区3次指定を受けた2015年12月15日の「第18回国家戦略特別区域諮問会議」で、「ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野における獣医師系の国際教育拠点の整備については、6月の改訂成長戦略に即して行います」とか、「獣医学部等々を含むライフサイエンス系の問題にこの地域(四国)が取り組もうとしているところは、私は高く評価すべきであろうかと思います」といった今治市に於ける獣医系の取組みについて触れてはいるが、この「第18回」から萩生田光一の「ご発言」があった2016年10月21日以前の2016年年10月4日の「第24回国家戦略特別区域諮問会議」までのそれぞれの「議事要旨」から、「ご発言」の最初の①から③までの差別化の要件としている3点、「ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設」、「既存大学を上回る教授陣」、「魚病に特化した研究」といった文言、あるいはそれぞれの単語を検索してみたが、この3点に関連する形では一度もヒットしない。

 獣医学部関連でどのような議論があったか、参考までに示すと、2016年9月9日の「第23回国家戦略特別区域諮問会議」では、「例えば、獣医学部の新設は、人畜共通の病気が問題になっていることから見て極めて重要ですが、岩盤が立ちはだかっています」、2016年10月4日の「第24回国家戦略特別区域諮問会議」では、〈先月21日に、今治市の特区の分科会を開催し、『獣医師養成系大学・学部の新設』などについても議論いたしました」、「今治市は、獣医系の学部の新設を要望しています」、「獣医系学部の新設のために必要な関係告示の改正を直ちに行うべきではないかと考えております」といった獣医系学部の必要性に触れているはいるものの、どういった学部や研究が必要とされるのかといった具体的な中身を議論するまでには至っていない。

 今治市が獣医学部新設の資料を提出して議論した2016年9月21日の「今治市特区分科会」でも、〈医療、創薬、医療機器などのライフサイエンス研究において、医学と獣医学との共同研究や連携教育を行っていくことが重要であると考え、構想の段階ではございますが、地域の教育、研究をリードしている愛媛大学との学術連携について、大橋学長を初め、医学部長や研究センターの先生方とは既に面談しており、四国の特性に通じた迅速な危機管理の知の拠点を目指してまいりたいと考えております。〉といった目指す中身についての発言はあるが、獣医学部新設を「構想」する段階であって、他の獣医系大学との差別化を具体的に示す段階にまで至っていない。

 では、専門教育課の担当官は議事録に現れていない①から③までの情報をどこから手に入れて、萩生田光一の発言としたのだろうか。少なくとも「ご発言」以前の上に上げた資料からは取り出すことができない情報であることを以って、萩生田光一の発言そのものだ、「関係者から聴取した周辺情報」ではないと断定したとしても、これを不当とするなら、萩生田光一は10/21萩生田副長官ご発言概要の中で自身の発言ではない箇所を指摘した上で専門教育課の担当官なりを聴取して、どこから入手した「周辺情報」でこのような発言を作り出したのかを聞き出し、その証言を自身の発言ではないことの証拠として国民の前に提示しなければならない。

 そうすれば、「ご発言」をいくら否定しても、離れずに纏わりついたままでいる疑惑を振りほどいて、身の潔白を証明する何よりの手っ取り早い方法となる。「10/21萩生田副長官ご発言概要」を安倍晋三の政治関与に萩生田光一が主導的役割を果たしていることの有力なネタとして野党の国会の場での追及が現在も続いているが、それを完璧に断ち切ることができる。

 「◯一方で、愛媛県は、ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存の獣医師も養成してほしい、と言っているので、2層構造にする」と、「◯和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている」の発言。

 「2層構造にする」と言っていることは愛媛県から「ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存の獣医師も養成してほしい」との要望があり、その要望をクリアするために獣医学部の新設・認可を画策している側が構想した” ハイレベルな獣医師養成”と” 既存獣医師の養成”の「2層構造」ということであるはずだから、もし文部省自身が獣医学部の新設・認可を画策しているなら、「周辺情報」として補足し書き加えて、さも萩生田光一の発言であるかのように見せかけることもあり得るが、文科省内からほかに確認された加計学園関係の文書を併せ見ても、新設・認可の画策主体は首相官邸となっていて、文科省ではない。

 例えば内閣府から文科省行革室に宛てた2016年11月1日のメールには獣医学部新設に関わる文科省の修正案を、〈「添付PDFの文案(手書き部分)で直すように指示がありました。指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。」の文言が記されていて、添付PDFには獣医学部の地域的新設要件を、〈現在広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域において獣医学部の新設を可能とする(「ことを」が抜けているのか)認めるため、関係制度の改正を直ちに行う〉とあった文科省の修正案を〈現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするため、関係制度の改正を直ちに行う。〉と、改めた箇所のみを手書きで記載しているが、これを見ても、萩生田光一が加計学園獣医学部新設・認可に主導的役割を果たしていて、新設・認可の画策主体は首相官邸であって、決しても文科省ではない。

 つまり「2層構造」云々を文科省が「周辺情報」として補足し書き加えて、さも萩生田光一の発言であるように見せかける必要性は皆無で、この箇所は萩生田光一自身の発言と見なければならない。

 そしてこのメール発信の18日後の2016年11月19日の「第25回国家戦略特別区域諮問会議」で、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度を直ちに行う」ことを決定している。

 大体が当時の文科省は獣医学部の新設や定員増は日本獣医師会の反対もあり、抑制措置を講じていた。〈大学、短期大学、高等専門学校等の設置の際の入学定員の取扱い等に係る基準〉(文部科学省告示第45号/2003年3月31日)

 〈2 医師、歯科医師、獣医師、教員及び船舶職員の養成に係る大学等の設置又は収容定員増でないこと。〉

 つまりここに挙げている大学の設置と収容定員増を禁じている。文科省自体は「告示第45号」の手前、「2層構造」であろうと、何層構造であろうと、獣医系の新設・認可そのものは考慮外の姿勢を取っていたはずで、だから、文科省内や国会議員等を納得させるために書き加えて萩生田光一の発言に見せかけたとすることもできるが、
萩生田光一の口を通した和泉補佐官の「文科省だけが怖じ気づいている」との発言と関連づけると、異なる様相となる。

 文科省側が獣医学部の新設や定員増に対して抑制措置を講じていたのに対してこの抑制の扉を安倍晋三と萩生田光一側は強引にこじ開けようとしていたのだから、”怖じ気づく”ところまで行かなくても、慎重な態度を示していたことは窺うことができる。それを「怖じ気づいている」とまで貶めることができるのは「『平成30年4月に開学』とおしりを切ってい」る側であろう。急ぐあまり、なかなか動かない文科省に対して詰る気持ちが働き、「怖じ気づいている」と強い批判的な思いを抱き、そのようは批判を投げつけることで相手を動かそうとするのは人間がよく使う手である。

 このようなよく使う手が成功するのは、成功するから、よく使う手となるのだが、「怖じ気づいている」という批判が何だだらしがないという思いと抱き合わせになっていることを批判する側も批判される側も承知していて、批判する側は相手を発奮させるためために使い、批判される側は批判に反発して発奮せざるを得ない気持ちになるからであろう。

 批判を受けている側が文科省でありながら、その文科省が「怖じ気づいている」等の文科省向けの批判を「周辺情報」から補足し、書き加えて萩生田光一の発言と見せかけたとしたら、滑稽そのものである。漫才で言うと、自虐漫才ということになる。

 要するに文科省の「怖じ気づいている」気持を払拭させるための獣医学部の新設・認可を画策している側からの「ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設を備えること」等の既存獣医師系との差別化の3点に亘る提示であり、愛媛県の要望を受け入れるための「2層構造」という説明、つまり萩生田光一自身の発言であって、「周辺情報」から萩生田光一の発言に見せかけるために「周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた」と見ることはできない。

 「◯そうなると平成29年3月に設置申請をする必要がある。『ハイレベルな教授陣』とはどういう人がいるのか、普通の獣医師しかできませんでした、となると問題。特区でやるべきと納得できるような光るものでないと、できなかったではすまない。ただ、そこは自信ありそうだった」は獣医学部の新設・認可を画策している側と画策をお願いしている側(加計学園と愛媛県や今治市)しか知り得ない、本来なら秘密にしておかなければならない情報であり、当然、いつでも利用できるような「周辺情報」の状態で転がっているとは考えられないことになる。

秘密にしておかなければならない情報をなぜ明かしたかと言うと、文科省を協力者に仕立てるために納得させる目的の情報発信とその共有であり、そうである以上、萩生田光一自身の発言と見ないと、整合性が取れなくなる。

 「◯何が問題なのか、書き出してほしい。その上で、渡邉加計学園事務局長を浅野課長のところにいかせる」は発言者のその場での直接的な情報発信であって、「周辺情報」とすることはできない。言っていることの意味は協力を渋っている文科省を動かすための獣医学部新設・認可にどのような問題点があるのかの条件聴取であって、文科省が書き出した条件(=問題点)に加計学園側から答を出させた上で文科省に足を運ばせて、答を説明させ、文科省を納得させて、否応でも動かとそうする腹づもりを示している。萩生田光一の発言そのものでなければならない。

 いずれにしても文科相松野博一が記者会見で、「専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモ」とはしているが、「個人のメモ」であろうがなかろうが、”書き加えた”という手続きを経ていることが示しているように「10/21萩生田副長官ご発言概要」には萩生田光一自身の発言が含まれていることになり、その発言は全体のメインを構成しいて、「周辺情報等」は「補足して書き加え」たサブを構成しているに過ぎない関係にあることを心得ておかなければならない。

 繰返し言うことになるが、萩生田光一はどれが全体の大部分を占めることになる自身の発言なのか、どれが「周辺情報等」を「補足して書き加えて」萩生田光一の発言に見せかけたほんの僅かな箇所なのかを仕分けた上で、自身の発言が安倍晋三の政治関与指示を受けた加計学園獣医学部新設・認可を画策したものではないことを証明しなければならない。もし萩生田光一が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載されている発言全てが自身の発言ではないと全面否定した場合、松野博一の記者会見発言自体を否定することになる。

 つまりこれらの否定は高等教育局長が萩生田光一と面談し、その面談で発した萩生田光一の発言を専門教育課の担当官が「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加え」る前に萩生田光一が発したのとは異なる発言に作り変えて、専門教育課の担当官に説明したことになる。高等教育局長によって作り変えられた萩生田光一の発言に専門教育課の担当官が他の情報を補足して、気づかないままに、あるいは気づいてした意図的行為なのか、萩生田光一の発言に見せかける作り変えをさらに行ったことになる。

 このような経緯を取ったのかどうか、萩生田光一の否定コメントを見てみる。

 平成29年6月20日

 1.今回の文書については、文科省の一担当者が内閣府など関係省庁や省内の様々な人から聞いた伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモであり、直属の上司である高等教育局長のチェックを受けていないなど、著しく正確性を欠いたものであるとの説明とお詫びが文部科学省から私に対してありました。このような不正確なものが作成され、加えて、意図的に外部に流されたことについて非常に理解に苦しむとともに、強い憤りを感じております。

 2.いわゆる加計学園に関連して、私は総理からいかなる指示も受けたことはありません。

 3.開学時期については、内閣府から「『国家戦略特区(全般)についてスピード感をもって実施すべき』という内閣全体の方針を踏まえ、速やかに実施したい」、という説明を受けていましたが、具体的に総理から開学時期及び工期などについて指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません。

 4.官房副長官という立場上、当然のことながら、この時期に開催されていた国家戦略特区諮問会議の関連で文科省を含む各省から様々な説明を受け、その都度、気づきの点をコメントすることはありますが、私は基本的に報告を受ける立場であり、私の方から具体的な指示や調整を行うことはありません。いずれにせよ、私は、政府全体の見地から、職務に当たっており、加計学園の便宜を図るために和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ません。

 また、私は、愛媛県の関係者と会ったこともなければ、このような県の意向を聞いたこともなく文科省に伝えた事実もありません。

 5.千葉科学大学とは年に数回、私の秘書との間で、学校行事の案内等、事務的な連絡を取り合うことはありますが、私も秘書も渡邊事務局長という方と本件や他の件でもやり取りしたことはございませんし、お名前も存じ上げておりません。従って、私から文科省へ行かせると発言した事実はありません。

 6.いったい誰が何のために作った文章なのか?本当に必要な内容ならば、なぜ文科省内で大臣や副大臣に伝える作業がなかったのか?まったく心当たりのない発言を、私の発言とする文書やメールが、文科省の職員により作成されている意図は分かりませんが、仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です。

 内閣官房副長官 萩生田光一

 萩生田光一は「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」としている。決して「不確かな情報に基づいて作った個人メモ」とは言っていない。と言うことは、「確かな情報」も「混在させて」いることになる。いわば萩生田光一の発言を発言どおりに正確に伝えている箇所と発言とは趣旨を違えて伝えている箇所が混じっていることになる。

 この” 確か・不確か”の関係は松野博一の記者会見発言、「専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモ」としている事実関係と対応している。

 ここで「確かな情報」がメインで、「不確かな情報」はサブの関係にあるかどうかは問わない。どちらがメインで、どちらがサブであろうと、さらに「直属の上司である高等教育局長のチェックを受けていない」ことから、「著しく正確性を欠いた」内容だとしていたとしても、萩生田光一が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に目を通した際の評価が高等教育局長と面談の際に発した発言どおりに正確に伝えている箇所もあるという事実を認めているという点のみで十分である。そのように認めていることによって、「不確かな情報を混在させて」いると言っていることが正当性を纏うことができるし、松野博一の記者会見発言との整合性を保つことができる。

 当然、萩生田光一はたった一つでもいいから「これが私の発言だ」と指し示さなければならない。もし一つの発言の中で「不確かな情報」と「確かな情報」が「混在」していると言うなら、「この箇所は私の発言で、この箇所は私の発言ではない」と、” 確か・不確か”を峻別しなければならない。そうしないと、「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」と説明した自身の発言と矛盾するし、「10/21萩生田副長官ご発言概要」一つで安倍晋三が自らの政治関与によって加計学園獣医学部設置・認可を画策し、その画策に萩生田光一が主導的役割を果たしたとする疑惑は永遠に残ることになるし、いくら身の潔白を言い立てようとも、信じない人間は大勢残ることなって、”疑惑の人”との不名誉な評価を残すことになるだろう。

 「2」から「5」までのコメントは、最初の「1」で「確かな情報」と「不確かな情報」の「混在」が見られるとしていながら、「10/21萩生田副長官ご発言概要」に現れている発言の全面否定となっている。

 「加計学園に関連して、私は総理からいかなる指示も受けたことはありません」、「具体的に総理から開学時期及び工期などについて指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません」、「加計学園の便宜を図るために和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ません」、「私も秘書も渡邊事務局長という方と本件や他の件でもやり取りしたことはございませんし、お名前も存じ上げておりません。従って、私から文科省へ行かせると発言した事実はありません」等々、「10/21萩生田副長官ご発言概要」全てを自分の発言ではない「不確かな情報」に基づいて成り立っているとしていて、「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」とした自身の言葉が意味させている、「確かな情報をも混在させている個人メモ」としていた要素を頭から無視する矛盾を平気で侵している。

 つまり「2」から「5」までのコメントは「不確かな情報に基づいて作った個人のメモ」という主張に基づいていて、自身が口にした「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」と主張したこととは異なっている。「10/21萩生田副長官ご発言概要」の中に「2」から「5」までのコメントどおりに自身が発言した言葉がなければ、最初から「不確かな情報に基づいて作った個人のメモ」という主張になったはずだが、そうならなかったのはどこかに誤魔化しがあるからだろう。

 誤魔化しがあるかどうかは「6」を見れば、明らかになる。文飾は当方。

 萩生田光一は「10/21萩生田副長官ご発言概要」にあるような発言は何一つ発言していないという思いを伝えた上で、「6.いったい誰が何のために作った文章なのか?本当に必要な内容ならば、なぜ文科省内で大臣や副大臣に伝える作業がなかったのか?まったく心当たりのない発言を、私の発言とする文書やメールが、文科省の職員により作成されている意図は分かりませんが、仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です

 今更ながらにコメントの文飾した箇所が意味することに気づいて、自分の鈍感さに呆れたが、気づいて、瞬間的に思ったことは萩生田光一は質の悪い冗談を言っているのではないのかということであった。

萩生田光一の名前が文科省内で「難しい政策課題の調整を進めるために使われていたのではないのか」

 既に前のところで、〈文科省内からほかに確認された加計学園関係の文書を併せ見ても、新設・認可の画策主体は首相官邸となっていて、文科省ではない。〉と書いたが、「10/21萩生田副長官ご発言概要」にモロに現れているように、文科省のどの文書に於いてもそうであるように、愛媛県の加計学園関係の文書でも同じ構図を取っているのだが、問題となっているのは不正な行政手続き・独断的な政治関与で加計学園の獣医学部新設・認可を画策した主体が官邸、つまり安倍晋三自身であり、実働部隊の面から画策の主導的役割を果たしたのは萩生田光一ではないかと目されていたが、そのこととは無関係に文科省が「難しい政策課題」、つまり加計学園の獣医学部新設・認可を実現するためにそれなりの威光を持ち、人を動かす力を持つ萩生田光一の名前を利用したとの趣旨の発言となる。

 と言うことは、画策主体を安倍晋三や萩生田光一から切り離して、文科省に移したことになる。我々は何も関係がない。名前を利用されただけだと。

 萩生田光一が「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載の自身の発言を全面否定し、そこに「官邸は絶対やると言っている」、「総理は『平成30年4月に開学』とおしりを切っていた」との発言が記載されていることから正式な行政手続きを経ない加計学園の獣医学部新設・認可の画策主体が首相官邸・安倍晋三であることを示しているにも関わらず、その画策主体を首相官邸・安倍晋三から切り離して文科省に移したこと、少なくとも加計学園の獣医学部新設・認可の陰謀を巡らせていたのは文科省ということにして、萩生田光一が言うとおりに自身の名前が「省内の調整」(=加計学園の獣医学部新設・認可)を「進めるために使われ」たが事実とするなら、「10/21萩生田副長官ご発言概要」は文科省の手によって作成された全面的な創作・ストーリーということにしなければならないし、加計学園の獣医学部新設・認可の画策主体が首相官邸・安倍晋三であることを窺わせる加計学園関係の他の文書、そして上に挙げた内閣府から文科省行革室宛てのメールを含めて、同じく加計学園の獣医学部新設・認可の画策主体が首相官邸・安倍晋三であることを窺わせる全てのメールも、文科省だけではなく、内閣府も加わって自分たちの手を煩わせて作成した全面的な創作・ストーリーということにしなけれが、辻褄が合わなくなってくる。

 つまり官邸に対する壮大な謀反である。安倍晋三やその腰巾着である腹心萩生田光一の与り知らないところで加計学園の獣医学部新設・認可が進められていた。だが、加計学園の獣医学部新設・認可は正式な手続きとしては安倍晋三を議長とする国家戦略特区諮問会議の場で進められてきたという経緯がある上に文科省が「怖気づく」ことなく、官邸に積極的に協力すれば、自ずと実現することなのだから、その実現が文科省や内閣府、その他の謀反からとするのは妄想と片付ける以外にない。

 実際には萩生田光一がコメントの、「6.」で「仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です」と言っていることとは逆に萩生田光一自身が「省内の調整を進め」ていた。

 そうしなければ、加計学園関係の他の文書やメールとの整合性、松野博一が記者会見で「確認された文書については、萩生田副長官とのやりとりについて、専門教育課の担当官が局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容、及び、局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えてとりまとめた個人のメモ」としていることによって、「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記載されている萩生田光一の発言がメインとなっていることを示していることとの整合性、萩生田光一がコメントの最初で「今回の文書については、文科省の一担当者が内閣府など関係省庁や省内の様々な人から聞いた伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモ」であるとしたことによって”正確な情報も混在している”ことになることとの整合性が一切取れないことになる。

 つまり萩生田光一は「10/21萩生田副長官ご発言概要」に記されている自身の発言を全面否定してはならなかったし、全面否定することはできなかった。全面肯定こそ、一切の整合性が整う。にも関わらず、全面否定した。「10/21萩生田副長官ご発言概要」が萩生田光一自身の「ご発言」としなければならない理由がここにこそある。


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安倍晋三の「桜を見る会」への有名芸能人・スポーツ選手招待は政権と自民党の基盤固め私物化のカモフラージュ

2019-11-11 10:43:23 | 教育
                             
「首相官邸」
(2019年4月13日)から

 日本共産党議員田村智子が2019年11月8日の参議院予算委員会で安倍晋三の「桜を見る会」の招待客に関わる不明朗(隠し事や誤魔化しがあり、はっきりとしないこと。また、そのさま「goo国語辞書」)な選別の様子を追及した。

 先ず田村智子が質疑でパネルにして用いた「『桜を見る会』開催要領」を「内閣府」のページから画像にして取り出し、左に掲げておく。その中にどのような地位・職業の人物を招待客とするのかを規定した「招待範囲」が記されている。

 「皇族、元皇族」、「各国大公使等」、「国務大臣」、「国会議員」等々の順位付けの最下位に「その他各界の代表者等」が鎮座していて、田村智子が最も問題視したのはこの「その他各界の代表者等」がどのような理由で白羽の矢を立てられ、安倍晋三の「桜を見る会」に招待されるに至ったか、その経緯であった。質疑の中から、この箇所に関連する質問と質問に対する答弁を抽出して、その過程で大したこともない解説を加えてみて、最後に質疑全文を土曜日(2019年11月9日)のブログに載せたが、改めて掲載することにする。

 問題の質問と答弁に入る前に田村智子が質問冒頭、安倍晋三下の新宿御苑で開催の「桜を見る会」の参加者数と支出額が年々増加している様子を数字で示して、増加の理由を尋ねたのに対して答弁に立った政府参考人内閣府大臣官房長大塚幸寛がその理由を述べている件(くだり)を最初に取り上げてみる。

 2014年参加者1万3700人、支出額3千5万円(予算の1.7倍)
 2019年参加者1万8200人、支出額5千520万円(予算の3倍超)
 2020年度概算要求額 5千730万円

 田村智子は2020年度要求額が5千730万円にもなったのは2019年の支出額が予算の3倍を超え、国会で追及を受けたことを避ける意味からの前以っての増額ではないかといった質問をぶっつけている。

 大塚幸寛「あの、お答えを致します。先ず要求額でございますが、この『桜を見る会』の概算要求に当たりましては、例えばテロ対策の強化や混雑緩和のための措置など、近年に講じた改善点を反映させるなど致しましては、実態に合わせた積算をさせて頂きましたが、その結果として、今ただ今ご紹介がございました来年度要求は、5千728万8千円を要求をさせて頂いてるとこでございます。

 それから招待客が増えている理由でございますが、ま、こちらにつきましては『桜を見る会』には例えば外交団、国会議員、都道府県知事、議長初め、各界に於いて功績・功労のあった方々を、これは各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をしております。

 そしてその上で内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めているところでございますが、そうした結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」

 大塚幸寛は来年度概算要求額の増加は「近年に講じた改善点を反映」させた「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」を理由として挙げているが、2020年度概算要求額5千730万円は2019年支出額5千520万円(予算の3倍超)に対して210万円の増加となっていて、この210万円が「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」にかかる経費だとすると、「近年に講じた改善点」としている「近年」としている年数幅に矛盾することになる。

 つまり2019年の予算に関しても、その中に「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」費用は計上されていたはずであり、このことはテロ対策の強化が「近年」という言葉通りに今に始まったことではないことも証明することになる。2014年にイスラム国に2人の日本人が拘束されて安倍政権は2億ドル(約230億円)の身代金の要求を受け、「日本政府はおろかな同盟国や、邪悪な有志連合と同じように『イスラム国』の力と権威を理解できなかった。我々の軍はお前たちの血に飢えている。安倍総理大臣よ、勝てない戦争に参加した向こう見ずな決断によってこのナイフは後藤健二を殺すだけでなく今後もあなたの国民はどこにいても殺されることになる。日本の悪夢が始まる」と日本人に対するテロの脅しを受けたが、それでも身代金を支払わず、結果的に2人共殺害されたのは「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと戦う周辺各国に総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と演説した安倍晋三の2015年1月17日の中東スピーチに端を発した一つの結末であって、それ以来の外国に暮らす日本人に限らない、国内を含めたテロ対策強化となっている。

 要するに「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」費用は2019年度の概算要求のときも必要経費の一つとして計上していたはずだから、2019年の支出額が予算の3倍を超える5千520万円となったということの理由とすることはできないし、2020年度の概算要求額増加の主たる理由とすることもできないだけではなく、満足に予算の計算ができなかったという点で概算要求自体が意味を失う。

 この意味喪失は招待客数が予定よりオーバーしているところにも現れている。招待客の増加に関しては「各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をして」いて、「内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めている」、要するに各省庁等が「各界に於いて功績・功労」のあった、招待するにふさわしい人物をピックアップして、その人物を内閣官房と内閣府に提示、両機関がその中から最終的に招待を決定するという手続きを取っていて、その「結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」と説明しているが、この発言だけでは2019年の招待客数を約1万人と予定していながら、実際の招待客が予定の8200人もオーバーの1万8200人、約2倍近くにまでなぜ膨らんだのかの説明を満たしているとは決して言えないし、何のための概算要求だったのかということになる。

 100人前後増えてしまったということならどうにか理解できるが、予定を8200人も増えたのである。支出額も予算の3倍を超える5千520万円にもなっている。こうなったたことの明快に納得させることのできる具体的な説明は一切省いている。要するに政府参考人内閣府大臣官房長大塚幸寛は初っ端から誤魔化し答弁で質疑に臨んでいる。

 では、田村智子が一番に問題視した「その他各界の代表者等」に関わる質問を順次取り上げてみる。

 田村智子「『桜を見る会の開催要領』。これ毎年閣議に配布がされているということなんですけれども、この中の『招待範囲』、今色々言いましたね、確かに皇族とか、各国大使、また議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りはですね、年々増えるってあり得ないんですよ。

 内閣府に聞きましたら、推定だが、まあ2千人くらいで、ほぼ固定的だって言うんですね。そうすると、一番下ですね。『その他各界の代表者等』、これが増えたっていうことだと思うんですが、じゃあ、これ内閣府でいいですよ。『等』も含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」

 大塚幸寛「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。

 まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているとこでございます」

 要するに「招待範囲」のうちの「その他各界の代表者等」を除いた皇族以下の招待客は「2千人くらいで、ほぼ固定的」で、1万人を守るとしたら、約8千人前後が「その他各界の代表者等」の中から招待を受けるということになるが、安倍晋三のもとでの2019年の招待客が予定の1万人を8200人もオーバーして1万8200人にもなったということは「その他各界の代表者等」の中から例年の約8千人の2倍の1万6千人前後が招待を受けたという計算になる。

 安倍晋三の側から言うと、「その他各界の代表者等」の中から例年の約8千人の2倍の1万6千人前後も招待したことになる。招待人数もオーバーし、支出額も予算を大幅にオーバーしているのだから、「その他各界の代表者等」の中からどのような基準に則ってどのような人物を招待客としたのか、政府側は国民に対する説明責任を負うことになる。

 だが、その説明責任を負っている側に所属の政府参考人内閣府大臣官房長大塚幸寛は「各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけている」だとか、「各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めている」と、招待に関わる手続きを説明するのみで、「功績」の性格や程度といった肝心の点については触れていない。

 功績の性格と程度を明らかにすることによって招待の基準が自ずと決まってくる。つまり前者と後者は相対応していなければならない。

 功績の性格と程度を明らかにできるなら、進んで明らかにするだろうから、明らかにできない事情を嗅ぎつけないわけにはいかない。田村智子の次の質問が明らかにできない事情を浮かび上がらせる。

 田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約1万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。

 なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。

 『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』。これ当時規制改革担当大臣。

 『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。

 2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』

 その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』

 もう一人ご紹介します。『萩生田光一の永田町見聞録』、2014年4月18日、総理主催の『桜を見る会』が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様を
(ご夫婦で)お招きしました』

 萩生田大臣、当時は自民党総裁特別補佐ですけれども、常任幹事会の皆様というのはどういう方で、どの部署が推薦してくださったんですよね(くださったんですか)」

 萩生田光一「『桜を見る会』については各界に於いて功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待しているものと承知をしており、最終的な取り纏めは内閣官房及び内閣府に於いて行われていると承知しております。実際に参加された方は手続きに則り、招待さた方であると承知をしております」

 答弁不服で、中断。

 萩生田光一「自分の知り合いの方をのべつまくなしに入れるという仕組みにはなっておりません。その方たちが例えば各種業界団体の東京都単位の役員になってる、そういう方について、(田村智子が自席から何か言ったのか)それ何年のでしょうか。(ふっと一笑いしながら)常任幹事会の中にそういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方達がお招きをされたと承知をしております。まあ、あの、私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」

 萩生田光一のこの「私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」は図々しいまでに開き直りが甚だしい。

 萩生田光一にしても、「各界に於いて功績・功労のある方々」と言うのみで、「功績・功労」の性格と程度には一言も触れていない。何を以って功績とするのか、何を以って功労とするのか、その基準を不明のままにして、招待客は「各界に於いて功績・功労のある方々」とのみ言い募って、招待の正当性を打ち立てている。 

 但し実際に招待されている面々を見ると、稲田朋美の地元福井の後援会関係者、世耕弘成の地元女性支援グループの会員、衆院議員松本潤の選挙のウグイス嬢の皆様、萩生田光一の夫婦同伴の常任幹事会メンバーなどの政権及び自民党組織を末端から支える面々が「招待範囲」の一つである「その他各界の代表者等」に入る「功績・功労のある方々」と言うことになる。

 安倍晋三も萩生田光一同様に「各界に於いて功績・功労のあった方々」を招待の基準にしているが、「功績・功労」の性格と程度についてはやはり何も触れていない。

 田村智子「総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」

 安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。

 私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」

 「功績・功労」の性格と程度について触れていないだけではなく、「個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いている」との物言いで、「個人に関する情報」であることを理由に誰が招待されたのか明らかにできないとすることを以て「功績・功労」の性格と程度を明らかにすることに代えている。

 問題はどこの誰が招待されたかではない。どこの誰であろうと、どのような性格と程度の「功績・功労」によって招待されたのかの基準である。その基準がないと、招待は天井知らずになる。

 事実、稲田朋美の地元福井の後援会関係者、世耕弘成の地元女性支援グループの会員、衆院議員松本潤の選挙のウグイス嬢の皆様、萩生田光一の常任幹事会メンバー等々、既に天井知らずの状況を呈している。だから、1万人の予定のところ、約2倍に近い1万8千人に膨らんだのだろう。国民の税金を使って、基準を設けずに天井知らずに招待客を増やす。その結果、予算の3倍も大きくオーバーする。

 「各界に於いて功績・功労のあった方々」の「功績・功労」とは天下の総理大臣が「桜を見る会」に招待するのだから、「各界」という地位や職業、あるいは専門分野によって分けた、それぞれの集団、あるいはそれぞれの世界を超えて、広く社会に影響を与える性格と程度の「功績・功労」を基準としなければならないはずである。このことは一般的にも言えることである。

 一政治家の一後援会で多くの後援会員を獲得した、あるいは支持者を増やしたといった、狭いエリアに限った性格と程度の「功績・功労」を基準としていたなら、その招待は、既にそうなっているように際限もないことになる。いわば天井知らずの状況に否応もなしに到達することになる。

 それとも、一政治家の一後援会で多くの後援会員を獲得した、あるいは支持者を増やしたといったことが広く社会に影響を与える性格と程度を備えた「功績・功労」だとでも考えているのだろうか。

 広く社会に影響を与える性格と程度を備えて初めて、その「功績・功労」は社会的・一般的な認知を受ける。そのような認知を受けたとき、その「功績・功労」は招待の資格に入ることになるはずである。一政治家の一後援会で多くの後援会員を獲得した、あるいは支持者を増やしたといったことが果たして社会的・一般的な認知を受けることができる「功績・功労」のうちに入るとでも思っているのだろうか。

 田村智子はなおもネットから安倍晋三関連の招待客を探し出して、その人物が招待にふさわしいのかを問い質しているが、どのような性格と程度の「功績・功労」が招待の基準になっているのかについては問い質していない。

 田村智子「安倍総理のことでお聞きしますよ。友田たもつ下関市選出の山口県議会議員のブログ、2014年5月1日号、『4月12日、安倍首相が主催する「桜を見る会」に行ってまいりました。今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会。安倍首相には長く政権を続けて貰い、今後もずっと「桜を見る会」に下関の皆さんを招いて頂きたい』とあるんですね。『ホテルから貸切バスで移動する』と。総理ね、そういうご自身も、地元後援会の皆様さんを多数招待されてるんじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように『桜を見る会』についてはですね、これは昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため、などのため開催しているものと承知をしておりますが、萩生田大臣からも答弁させて頂いたとおりですね、えー、様々な、例えば地元に於いて自治会等々ですね、あるいはPTA等で役員をされている方々もおられるわけでございますから、当然、そういう方々とですね、これはあの後援会に入ってる方々が、これは重複することも、当然、あるわけでございます。

 そういう中で招待されてるものと承知をしておりますよ」

 安倍晋三が言っているその「労苦」にしても、当然、広く社会に影響を与えて、社会的・一般的な認知を受ける性格と程度を備えていなければならない。個々の限られた集団や世界で完結させている性格や程度の「労苦」を首相主催の「桜を見る会」に招待して「慰労する」など、結論に於いて滑稽な逆説を描くことにしかならない。

 下関市選出の山口県議会議員の友田たもつの後援会女性部の7名が招待された。その女性メンバーのいずれかが自治会の役員を兼ねていようと、PTAの役員を兼ねていようと、その「功績・功労」が後援会や自治会やPTAという集団、あるいは世界を超えて広く社会に影響を与える性格と程度を備えていて、社会的・一般的な認知を受けているなら、招待客としての資格を持つが、単に「各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをしている」と言うだけでは、友田たもつとその後援会女性部の7名が招待を受ける資格が実際にあるのかどうかの判断は誰もできない。

 大体が誰もが判断できる答弁を心がけるべきところを何ら心がけもせずに判断できない文言で判断させようとしているのだから、やはり招待のいきさつに不明朗な手続きや如何わしい遣り取りを否応もなしに嗅がないわけにはいかない。

 田村智子が「友田県議員の後援会の女性部はどういう功労・功績が認められたのか調べてほしい」と求めると、大塚幸寛は「推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えることから、保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとなっている」と答弁、田村智子をして「ほんとにね、検証ができない状態なんですよね」と言わさせているが、広く社会に影響を与える性格と程度を備えて、かつ社会的・一般的な認知を受けた「功績・功労」を招待の基準としているのか、そういったことはお構いなしに推薦がありさえすれば、適宜ピックアップして招待する基準としているのか、そういった基準自体は存在するはずである。

 でなければ、誰を招待するのかを決めることはできない。但し田村智子が招待を受けた人物のブログやインタビューから描き出している招待の状況から自ずと見えてくる基準はなあなあの馴れ合いで選別している様子のみである。そのような基準は文書に記しておいたのでは問題が生じるから、暗黙の基準(暗黙のルール)としているのだろう。

 なあなあの馴れ合いだからこそ、ウグイス嬢とか後援会メンバーと言うだけで招待されることになる。

 なあなあの馴れ合いが基準となっていることは田村智子の以下の質問からも窺うことができる。

 田村智子「下関市の後援会員の男性は今年の『桜を見る会』についてこう話ししてるんです。『2月頃、下関市の安倍事務所から「桜を見る会」に行きませんかと案内が来た。名前や住所などの必要事項を紙に書いて、安倍事務所に送り返すと、内閣府から「桜を見る会」の招待状が届いた。安倍政権になってから毎年参加している。下関からは毎年数百人が上京する』」

 田村智子「もうちょっとブログ見てみたいんですよ。藤井律子山口県周南市長のブログ、2018年5月4日、当時山口の県議なんですけどね。『「桜を見る会」に行ってきました。片山さつき先生と久しぶりの再会を果たしました。今日は山口県からたくさんの人が来て下さっているわねえ。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよといつものように元気よくお声をかけて頂きました』

 こういうのはね、もう、いっぱーいあるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私はね、税金を使った公的行事っていう自覚もなく、安倍総理が地元からの招待者をどんどん増やしたんじゃないかと。

 さらにはね、地元後援会の恒例行事にしてきたんじゃないかっていうことも指摘したいんです」

 「下関からは毎年数百人が上京する」光景と片山さつきが「桜を見る会」で出会った山口県周南市長の藤井律子に皮肉交じりにだろう、話した「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の光景は相対応している。それ程にも大勢の山口県人、あるいは下関市の人間が招待されている。このことは安倍晋三が下関市と長門市を構成地域とした山口四区を選挙区としていることと無関係ではないはずである。

 長門市の人口が3万2千人ちょっと。下関市が長門市の約8倍の25万7千人前後。当然、下関市が主たる選挙区ということになる。勢い下関の人間が大勢招待を受けたとしても無理はない状況、「桜を見る会」に「下関からは毎年数百人が上京する」状況が生じることになる。あるいは「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況となる。

 逆に「下関からは毎年数百人が上京する」ことと「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況を遡っていくと、否応もなしに安倍晋三の選挙区山口4区、特に下関市に辿りつくことになるとしたとしても、勘繰りとして排除することはできない。

 もしこれを勘繰りで片付けるなら、招待の基準を単に「各界に於いて功績・功労のあった方々」とするのではなく、その「功績・功労」が広く社会に影響を与えうる性格と程度を備えていて、その上、社会的・一般的な認知を受けていなければならないという具体的な姿を取らせなければならない。

 後者を明確な招待の基準とした場合、「功績・功労」が広く社会に影響を与える性格と程度を備えているということと社会的・一般的な認知を受けていることという制限を受けることになって、「下関からは毎年数百人が上京する」状況も、「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況も安倍晋三の「桜を見る会」の現場に出現することはない。既に触れたようになあなあの馴れ合いで決めている招待基準だからこそ、二つの状況が簡単に出現することになる。

 田村智子「これね、『開催要領」の逸脱が疑われているんですよ。各界を代表する功労・功績のあった方を府省が取り纏めて、招待するんですよ。これ以外ないんですよ。じゃあ、萩生田さんの後援会の常任幹事、これなんの功労・功績があったと思います?」

 大塚幸寛「先程総理からもご説明しましたが、その個々の方についてその功労・功績は何か。その以前にその招待されたかどうかということは、これは個人に関する情報でございまして、お答えを従来から差し控えさせて頂いているところでございます」

 招待の基準とする「功労・功績」がどのような性格と程度を備えたものであることが必要であるといったことは「個人に関する情報」を口実にして、決して説明しようとしない。招待の基準は「個人に関する情報」のうちには入らない。

 田村智子「もう一つ吉田真次下関市市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、『前日12日に飛行機で東京へ。夜は『桜を見る会』の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きました』。で、前夜祭の宴会会場の写真・続けて翌日の新宿御苑の写真なんですね。

 総理ね、これね、総理しか答えられないんです。『桜を見る会』、安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭とセットで総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める、そういう行事になっているんじゃないですか」

 安倍晋三「『桜を見る会』については政府委員から答弁しているとおりでございまして、個々の個人名等々についてはお答えを差し控えさせて頂きたいということでございます」

 以下、最後の最後まで招待の基準を「各界に於いて功績・功労のあった方々」だとし、誰が招待を受けるかは「個人情報であるため、回答を控えさせて頂いてる」の回答拒否で最後まで押し通しているが、なあなあの馴れ合いを招待の基準としていなければ、後援会メンバーだとかウグイス嬢だとか、安倍政権及び自民党組織を末端から支える面々の多くを招待客の中に紛れ込まることに成功することはないし、こういうことでなければ、予定1万人が1万8200人となることもないだろう。

 ただ単に後援会活動に熱心であるといった理由で毎年恒例の新宿御苑で開催される安倍首相主催の「桜を見る会」に招待したなら、招待を受けた側は晴れの舞台に立つことができたことを誉れとし、生涯に於ける望外の勲章とするだろから、虚栄心を擽って、政権や党への忠誠心をより強くすることになる。一人ひとりの心境に対してはそれぞれが小さな影響に見えても、全体という形を取ると、安倍政権と自民党の基盤固めに自ずと作用する。

 招待基準の恣意的運用がなければ、「桜を見る会」を使った基盤固めなどはできないだろう。招待基準の恣意的運用を可能とする要件は「桜を見る会」の私物化以外にない。

 最初に首相官邸サイトからコピーした今年の「桜を見る会」の写真を載せたが、そのページには、〈安倍総理は、文化・芸能、スポーツなど各界からの招待客を前に、次のように挨拶しました。〉の説明文のあとに、「本日、桜を見る会、開催させていただきましたところ、友党公明党の山口代表を始め御来賓の皆様、そしてお忙しい中こんなにたくさんの皆様、足を運んでいただきました。お陰様で、本年も賑やかに盛大に開催することができました。皆さん本当にありがとうございます」云々の挨拶が続いているが、写真自体は彩り華やかな「文化・芸能、スポーツ」の関係者が安倍晋三を間に挟んで前面に陣取っていて、マスコミも絵になることから同じような写真や映像を流すことになって、国民の目には彼らが主たる招待客に映り、安倍政権及び自民党組織を末端で支えている面々の誇らかな様子はどこからも見えてこない。「下関からは毎年数百人が上京する」状況も、「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況も窺うことはできない。

 要するに少なくとも結果としては安倍晋三の「桜を見る会」への有名芸能人やスポーツ選手の招待は政権と自民党の基盤固めの私物化をカモフラージュする道具立てに利用されている側面を抱えていることになる。

 そろそろこのカモフラージュは破られなければならない。

 2019年11月8日参議院予算委員会:共産党田村智子「安倍晋三『桜を見る会』私物化問題視質問全文

 田村智子「共産党の田村智子です。安倍内閣のモラルハザードが問われていますが、私は総理自身の問題を質問致します。毎年4月、総理大臣主催の『桜を見る会』が新宿御苑で行われていますが、安倍総理のもとで参加者数、支出額が年々増えています。これ2013年以前の資料がないということなのですで、2014年を見ると、参加者1万3700人、支出額3千5万円。予算の1.7倍です。

 ここから伸び続けて、今年は参加者1万8200人、支出額5千520万円、予算の3倍は超えました。驚くのは来年度の要求額ですね。先の国会で予算とかけ離れていると批判されたからなのか、今年度の支出額を超えて、5千730万円を要求しているわけなんです。

 総理、なぜこんなに参加者と支出額を増やしてきたんですか」

 委員長「内閣府大臣官房長大塚幸寛くん」

 大塚幸寛「あの、お答えを致します。先ず要求額でございますが、この『桜を見る会』の概算要求に当たりましては、例えばテロ対策の強化や混雑緩和のための措置など、近年に講じた改善点を反映させるなど致しましては、実態に合わせた積算をさせて頂きましたが、その結果として、今ただ今ご紹介ございました来年度要求は、5千728万8千円を要求をさせて頂いてるとこでございます。

 それから招待客が増えている理由でございますが、ま、こちらにつきましては『桜を見る会』には例えば外交団、国会議員、都道府県知事、議長初め、各界に於いて功績・功労のあった方々を、これは各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をしております。

 そしてその上で内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めているところでございますが、そうした結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」

 田村智子「総理主催ですから、総理に答えて頂きたいんですがね。次の資料で、今、テロ対策等々と言いましたが、支出数値だけを見てくださいよ。一番経費がかかっているのは飲食物提供ですね(パネルから22,615千円)。

 案内状も実は2.5倍に増えてるんですよ。案内状というのは封筒の裏面が総理のお名前です。表面に招待者の名前を記して、必ず一人ひとりに送付を致します。招待者が本当に増えたってことが分かるわけですよ。

 招待者が増えれば、参加者も増える。混雑緩和のための会場設営費もどんどん増えると。そういうことですね。もう一つ見たいんです。『桜を見る会の開催要領』。これ毎年閣議に配布がされているということなんですけれども、この中の招待範囲、今色々言いましたね、確かに皇族とか、各国大使、また議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りはですね、年々増えるってあり得ないんですよ。

 内閣府に聞きましたら、推定だが、まあ2千人くらいで、ほぼ固定的だって言うんですね。そうすると、一番下ですね。『その他各界の代表者等』、これが増えたっていうことだと思うんですが、じゃあ、これ内閣府でいいですよ。『等』も含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」

 大塚幸寛「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。

 まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているとこでございます」

 田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約一万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。

 なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。

 『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』

 これ当時規制改革担当大臣。『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。

 2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』

 その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』

 もう一人ご紹介します。『萩生田光一の永田町見聞録』、2014年4月18日、総理主催の『桜を見る会』が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様を
(ご夫婦で)お招きしました」

 萩生田大臣、当時は自民党総裁特別補佐ですけれども、常任幹事会の皆様というのはどういう方で、どの部署が推薦してくださったんですよね(くださったんですか)」

 萩生田光一「『桜を見る会』については各界に於いて功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待しているものと承知をしており、最終的な取り纏めは内閣官房及び内閣府に於いて行われていると承知しております。実際に参加された方は手続きに則り、招待さた方であると承知をしております」

 中断。

 萩生田光一「自分の知り合いの方をのべつまくなしに入れるという仕組みにはなっておりません。その方たちが例えば各種業界団体の東京都単位の役員になってる、そういう方について、(田村智子が自席から何か言ったのか)それ何年のでしょうか。(ふっと一笑いしながら)常任幹事会の中にそういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方達がお招きをされたと承知をしております。まあ、あの、私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」

 田村智子「常任幹事会って何ですか。常任幹事会って、何の団体の常任幹事なんですか」

 萩生田光一「2014年の常任幹事会って言うのは後援会の中の常任幹事の方だということだと思います」

 田村智子「後援会なんですよ。総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」

 安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。

 私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」

 田村智子「安倍総理のことでお聞きしますよ。友田たもつ下関市選出の山口県議会議員のブログ、2014年5月1日号、『4月12日、安倍首相が主催する「桜を見る会」に行ってまいりました。今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会。安倍首相には長く政権を続けて貰い、今後もずっと「桜を見る会」に下関の皆さんを招いて頂きたい』とあるんですね。『ホテルから貸切バスで移動する』と。総理ね、そういうご自身も、地元後援会の皆様さんを多数招待されてるんじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように『桜を見る会』についてはですね、これは昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため、などのため開催しているものと承知をしておりますが、萩生田大臣からも答弁させて頂いたとおりですね、えー、様々な、例えば地元に於いて自治会等々ですね、あるいはPTA等で役員をされている方々もおられるわけでございますから、当然、そういう方々とですね、これはあの後援会に入ってる方々が、これは重複することも、当然、あるわけでございます。

そういう中で招待されてるものと承知をしておりますよ」

 田村智子「これね、ちゃんと調べてくださいよ。例えば友田県議員。後援会の女性部。『どういう功労・功績が認められたのか』と(調べてほしい)。で、『どの府省が』というのは内閣府とその他色々省ってことですよね。

 どの府省の推薦で招待されたのか、ちゃんと調べてくださいよ、総理」

 大塚幸寛(内閣府大臣官房長)「あの、具体的な、その招待者の、その推薦、例えば推薦名簿ですが、推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えるということもございますし、それからその個人情報を含んだ膨大な量の文書を期日(?)に管理すると、支障が生じることもございまして、これは従前からその一連の書類につきましては保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとするところでございます」

 田村智子「ほんとにね、検証ができない状態なんですよね。私もね、友田県議とか、下関の後援会ですが、何で招待されるんだろうかと。内閣府が発送しているので、我が党の『しんぶん赤旗』、現地取材をしました。

 下関市の後援会員の男性は今年の『桜を見る会』についてこう話ししてるんです。『2月頃、下関市の安倍事務所から「桜を見る会」に行きませんかと案内が来た。名前や住所などの必要事項を紙に書いて、安倍事務所に送り返すと、内閣府から「桜を見る会」の招待状が届いた。安倍政権になってから毎年参加している。下関からは毎年数百人が上京する』

 案内状というのは発送は内閣府が一括して行い、必ず招待者一人ひとりに宛てて送付をする。これ以外の発送ルートはありません。総理、安倍事務所が取り纏めをしなければ、下関市の後援会員の名前や住所がどうして分かるんでしょうか。

 これもしね、内閣府が独自に知っていたってことになると、これさらに大問題だと思うんですけれども、総理、如何ですか」

 大塚幸寛「あの、お尋ねの招待状につきましては各府省等を通じて元々互推(?)されておりますし、各府省等を通じて発送を頂くなど、最も効率的と考える方法で招待者のお手元に届くように毎回してるところでございます」

 田村智子「そんなこと聞いてるんじゃないんです。その下関市の後援会の人たちの名前を。内閣府、それじゃあ、もうお答え頂くってことですね。どうやって確認したんですか。どうして分かったんですか。各府省の取り纏めなんでしょ。どの府省が下関の安倍さん関係の後援会の人の名前と住所を押さえることができるってことなんですか」

 大塚幸寛「あのー、その具体的な各推薦者の最終的取り纏めの検討過程にかかる情報につきましては、これを明らかにすることは内閣官房、内閣府に於きます円滑な取り纏めに支障を及ぼす恐れがあると書いてございまして、只今の答弁につきましてはお答えを差し控えさせて頂きたいと考えております」

 田村智子「これね、私達は、総理お答えくださいよ。安倍事務所に申し込んだら、内閣府から招待状が来たという証言を複数の方から得ているんですよ。得ているんですよ。それ以外に発送する術はないんですよ。そうじゃないって言うんだったら、ちゃんと安倍事務所に確認してくださいよ。地元事務所に。総理」

 安倍晋三「あのー、先程、赤旗の取材に私の後援者が答えたっていうことは私も寡聞にして存じないんですが、そこでですね、今も既に申し上げておりますように個別の方については招待されたかを含め、個人に関する情報であるため回答を差し控えさせているというのが従来からの政府の立場でございます」

 田村智子「これね、『開催要領」の逸脱が疑われているんですよ。各界を代表する功労・功績のあった方を府省が取り纏めて、招待するんですよ。これ以外ないんですよ。じゃあ、萩生田さんの後援会の常任幹事、これなんの功労・功績があったと思います?」

 大塚幸寛「先程総理からもご説明しましたが、その個々の方についてその功労・功績は何か。その以前にその招待されたかどうかということは、これは個人に関する情報でございまして、お答えを従来から差し控えさせて頂いているところでございます」

 田村智子「これね、今、後ろからもありました。税金を使った公的行事なんですよ。誰でも参加できるわけじゃないんですよ。だから、招待範囲も人数も、『開催要領』を閣議に配って、それで府省の推薦で功労・功績が認められ方を招待するんですよ。そしたらね、当然、それぞれの方にどのような功労・功績があるのか、これ説明できなきゃおかしいですよ。それが桜を見る会なんじゃないんですか。総理。総理、お答えくださいよ。

 そういうことでしょ。公的行事。(大塚幸寛が委員用に名前を言われて答弁のために立ち上がりかけると、手で払いながら)あなたはもういい、あなたはいい、もう要らないから。総理」

 安倍晋三「先程来、答弁させていただいているようようにですね、『桜を見る会』については昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため開催をしているものでございます。

 先程来、申し上げておりますようにですね、個々の方々につきましてはですね、個人情報であるため、回答を控えさせて頂いてるということでございます」

 答弁に不服、中断。

 田村智子「それではね、委員長、私、全然お答え頂いていないので、先程の萩生田幹事長の常任幹事会、後援会常任幹事会、どの府省からなのか。下関の安倍事務所。これね、安倍事務所にどっかの府省が連絡取ったのか。こういうことを是非ね、お調べになって委員会にご報告頂きたいというふうに思いますね。お願いします」

 委員長「後刻理事会に於いて協議致します」

 田村智子「もうちょっとブログ見てみたいんですよ。藤井律子山口県周南市長のブログ、2018年5月4日、当時山口の県議なんですけどね。『「桜を見る会」に行ってきました。片山さつき先生と久しぶりの再会を果たしました。今日は山口県からたくさんの人が来て下さっているわねえ。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよといつものように元気よくお声をかけて頂きました』

 こういうのはね、もう、いっぱーいあるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私はね、税金を使った公的行事っていう自覚もなく、安倍総理が地元からの招待者をどんどん増やしたんじゃないかと。

 さらにはね、地元後援会の恒例行事にしてきたんじゃないかっていうことも指摘したいんです。先程の友田県議のブログです。『桜を見る会』の記述は前日の行動から始まります。『前日の早朝に飛行機で上京。夜にはANAのインターコンチネンタルホテルの大広間に於いて下関市、長門市そして、山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティ。次の早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑へ』と続いていくんですね。

 もう一つ吉田真次下関市市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、『前日12日に飛行機で東京へ。夜は『桜を見る会』の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きました』。で、前夜祭の宴会会場の写真・続けて翌日の新宿御苑の写真なんですね。

 総理ね、これね、総理しか答えられないんです。『桜を見る会』安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭とセットで総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める、そういう行事になっているんじゃないですか」

 安倍晋三「『桜を見る会』については政府委員から答弁しているとおりでございまして、個々の個人名等々についてはお答えを差し控えさせて頂きたいということでございます」

 田村智子「前夜祭と一体でしょ。もう少し示しますよ。首相動静。この3年間、『桜を見る会』の前日、『ホテルニューオータニの宴会場で安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭に出席」と。3年間、ずっとあるんですよ、総理。それ以前も、ホテルや名称は異なりますが、必ず前日夜は後援会の方々と懇親会、宴会にご夫婦でご出席されてるんですよ、総理。

 よくご存知でしょう、ご自身が。今年の前夜祭の参加者は約850人。翌朝、貸切バス17台で新宿御苑に移動。これはね、あの甲府市ライオンズクラブの会報に載せられた寄稿、載せられた文章から分かりました。

 また私たちの取材でも、複数の参加者からですね、貸切バス17台だと。自分は何台目、何番目に乗るんだということが全部確認できたわけなんですよ。まさに安倍総理の演会の一大行事になってるんじゃないかと。

 違いますか。セットでしょ、総理も。総理にとっても『桜を見る会』前夜祭と翌日の『桜を見る会』がセットになって、山口県の皆さんと親しく懇親をする。そういうふうになっているんじゃないですか』

 安倍晋三「その懇親会にですね、私が出席をして、写真等を撮っているのは事実でございます。勿論、それは各個人がですね、それぞれの費用によってこの上京をし、そしてこのホテルとの関係に於いてもそれはホテルに調節、まあ、払込をしているというふうに承知をしているところでございます。

 なお、この招待客については先程来から答弁をしているとおりでございます」

 田村智子「セットなんですよ。じゃねえ、『桜を見る会』当日の首相動静、これも指摘します。今年は『午前7時48分、総理は夫妻で新宿御苑に到着、そして7時49分、昭恵夫人と共に地元の後援会関係者らと写真撮影』とあります。遡れば、毎年午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されてるんですね。『桜を見る会』の開門及び受付時間は午前8時30分です。開門もしていないのに会場で地元後援会の皆さんと記念撮影を毎年されておられます。

 まさに後援会活動そのものじゃないですか」

 安倍晋三、委員長に顔を向けて、大塚幸寛を指差す。中断。

 大塚幸寛「『桜を見る会』の開園時間につきましては開催要領で定められていますとおりに午前8時半から午前10時30分の間の随時入園参観となっておりま
す。これが『桜を見る会』でございます」

 安倍晋三「あの、これは招待者のですね、えー、それぞれの受付時間の対応に関するこの情報につきましてはこれはセキュリティに関するため回答を差し替えさせて頂きたいと、このように思います」

 安倍晋三、質問者に対して後ろ向きで首相席に座る際、薄く笑う。

 田村智子「だから、何で開門前に山口の後援会の皆さんとあなた、写真撮ってるんですかってことなんですよ。答えてくださいよ」

 安倍晋三「これについてはですね、どういう形で私が動くかということにもかかってまいりますので、そのセキュリティに関わることでございますので、回答を控えさせて頂きたいと思います」

 田村智子「しんぶん赤旗の取材でね、下関市の後援会の男性、『到着すると安倍事務所の秘書らがバスの席を回って、入場のための受付表を回収する。その秘書が受付を済ませ、参加者用のリボンを配る。纏めての受付(?時間が来ていて、早口になっていて、聞き取れない)で、荷物検査はなかった』

 何がテロ対策のためだ、ですか。これ調べてください。調べてください、総理」

 委員長が大塚幸寛の名前を読んだために中断。

 大塚幸寛「受付に関する質問(?)だというふうに受け止めました。受付時の対応に関する情報はこれはまさしくセキュリティに関することであるためおこ答は差し控えさせて頂きたいと考えております」

 安倍晋三「あの、今、政府参考人からお答えをさせて頂きましたように受付の仕方等々につきましてもですね、これはまさにこれは、例えばその後の私との関係に於いてもですね、これセキュリティにかかることがございますから、これはお答えを差し控えさせて頂きたいとこのように思います」

 田村智子「開演前に手荷物検査もしないで会場に入ったら、それこそセキュリティ上の問題じゃないですか。『桜を見る会』は参加費無料なんですよ。会場内で無料で食べ酒、その他のアルコール、オードブルやお土産は無料なんですよ。これは政治家が自分のおカネでやったら、明らかに公職選挙法違反。そういうことはあなたは公的行事で税金を利用して行なっているんですよ。これは重大問題だと、まさにモラルハザードは安倍総理が起こしていると、こういうことを指摘して、質問を終えます」

 

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2019年11月8日参議院予算委員会:共産党田村智子「安倍晋三『桜を見る会』私物化問題視質問全文

2019-11-09 19:55:39 | Weblog
 田村智子「共産党の田村智子です。安倍内閣のモラルハザードが問われていますが、私は総理自身の問題を質問致します。毎年4月、総理大臣主催の『桜を見る会』が新宿御苑で行われていますが、安倍総理のもとで参加者数、支出額が年々増えています。これ2013年以前の資料がないということなのですで、2014年を見ると、参加者1万3700人、支出額3千5万円。予算の1.7倍です。

 ここから伸び続けて、今年は参加者1万8200人、支出額5千520万円、予算の3倍は超えました。驚くのは来年度の要求額ですね。先の国会で予算とかけ離れていると批判されたからなのか、今年度の支出額を超えて、5千730万円を要求しているわけなんです。

 総理、なぜこんなに参加者と支出額を増やしてきたんですか」

 委員長「内閣府大臣官房長大塚幸寛くん」

 大塚幸寛「あの、お答えを致します。先ず要求額でございますが、この『桜を見る会』の概算要求に当たりましては、例えばテロ対策の強化や混雑緩和のための措置など、近年に講じた改善点を反映させるなど致しましては、実態に合わせた積算をさせて頂きましたが、その結果として、今ただ今ご紹介ございました来年度要求は、5千728万8千円を要求をさせて頂いてるとこでございます。

 それから招待客が増えている理由でございますが、ま、こちらにつきましては『桜を見る会』には例えば外交団、国会議員、都道府県知事、議長初め、各界に於いて功績・功労のあった方々を、これは各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をしております。

 そしてその上で内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めているところでございますが、そうした結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」

 田村智子「総理主催ですから、総理に答えて頂きたいんですがね。次の資料で、今、テロ対策等々と言いましたが、支出数値だけを見てくださいよ。一番経費がかかっているのは飲食物提供ですね(パネルから22,615千円)。

 案内状も実は2.5倍に増えてるんですよ。案内状というのは封筒の裏面が総理のお名前です。表面に招待者の名前を記して、必ず一人ひとりに送付を致します。招待者が本当に増えたってことが分かるわけですよ。

 招待者が増えれば、参加者も増える。混雑緩和のための会場設営費もどんどん増えると。そういうことですね。もう一つ見たいんです。『桜を見る会の開催要領』。これ毎年閣議に配布がされているということなんですけれども、この中の招待範囲、今色々言いましたね、確かに皇族とか、各国大使、また議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りはですね、年々増えるってあり得ないんですよ。

 内閣府に聞きましたら、推定だが、まあ2千人くらいで、ほぼ固定的だって言うんですね。そうすると、一番下ですね。『その他各界の代表者等』、これが増えたっていうことだと思うんですが、じゃあ、これ内閣府でいいですよ。『等』も含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」

 大塚幸寛「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。

 まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているとこでございます」

 田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約一万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。

 なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。

 『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』

 これ当時規制改革担当大臣。『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。

 2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』

 その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』

 もう一人ご紹介します。『萩生田光一の永田町見聞録』、2014年4月18日、総理主催の『桜を見る会』が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様を
(ご夫婦で)お招きしました」

 萩生田大臣、当時は自民党総裁特別補佐ですけれども、常任幹事会の皆様というのはどういう方で、どの部署が推薦してくださったんですよね(くださったんですか)」

 萩生田光一「『桜を見る会』については各界に於いて功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待しているものと承知をしており、最終的な取り纏めは内閣官房及び内閣府に於いて行われていると承知しております。実際に参加された方は手続きに則り、招待さた方であると承知をしております」

 中断。

 萩生田光一「自分の知り合いの方をのべつまくなしに入れるという仕組みにはなっておりません。その方たちが例えば各種業界団体の東京都単位の役員になってる、そういう方について、(田村智子が自席から何か言ったのか)それ何年のでしょうか。(ふっと一笑いしながら)常任幹事会の中にそういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方達がお招きをされたと承知をしております。まあ、あの、私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」

 田村智子「常任幹事会って何ですか。常任幹事会って、何の団体の常任幹事なんですか」

 萩生田光一「2014年の常任幹事会って言うのは後援会の中の常任幹事の方だということだと思います」

 田村智子「後援会なんですよ。総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」

 安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。

 私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」

 田村智子「安倍総理のことでお聞きしますよ。友田たもつ下関市選出の山口県議会議員のブログ、2014年5月1日号、『4月12日、安倍首相が主催する「桜を見る会」に行ってまいりました。今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会。安倍首相には長く政権を続けて貰い、今後もずっと「桜を見る会」に下関の皆さんを招いて頂きたい』とあるんですね。『ホテルから貸切バスで移動する』と。総理ね、そういうご自身も、地元後援会の皆様さんを多数招待されてるんじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように『桜を見る会』についてはですね、これは昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため、などのため開催しているものと承知をしておりますが、萩生田大臣からも答弁させて頂いたとおりですね、えー、様々な、例えば地元に於いて自治会等々ですね、あるいはPTA等で役員をされている方々もおられるわけでございますから、当然、そういう方々とですね、これはあの後援会に入ってる方々が、これは重複することも、当然、あるわけでございます。

 そういう中で招待されてるものと承知をしておりますよ」

 田村智子「これね、ちゃんと調べてくださいよ。例えば友田県議員。後援会の女性部。『どういう功労・功績が認められたのか』と(調べてほしい)。で、『どの府省が』というのは内閣府とその他色々省ってことですよね。

 どの府省の推薦で招待されたのか、ちゃんと調べてくださいよ、総理」

 大塚幸寛(内閣府大臣官房長)「あの、具体的な、その招待者の、その推薦、例えば推薦名簿ですが、推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えるということもございますし、それからその個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理すると、支障が生じることもございまして、これは従前からその一連の書類につきましては保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとするところでございます」

 田村智子「ほんとにね、検証ができない状態なんですよね。私もね、友田県議とか、下関の後援会ですが、何で招待されるんだろうかと。内閣府が発送しているので、我が党の『しんぶん赤旗』、現地取材をしました。

 下関市の後援会員の男性は今年の『桜を見る会』についてこう話ししてるんです。『2月頃、下関市の安倍事務所から「桜を見る会」に行きませんかと案内が来た。名前や住所などの必要事項を紙に書いて、安倍事務所に送り返すと、内閣府から「桜を見る会」の招待状が届いた。安倍政権になってから毎年参加している。下関からは毎年数百人が上京する』

 案内状というのは発送は内閣府が一括して行い、必ず招待者一人ひとりに宛てて送付をする。これ以外の発送ルートはありません。総理、安倍事務所が取り纏めをしなければ、下関市の後援会員の名前や住所がどうして分かるんでしょうか。

 これもしね、内閣府が独自に知っていたってことになると、これさらに大問題だと思うんですけれども、総理、如何ですか」

 大塚幸寛「あの、お尋ねの招待状につきましては各府省等を通じて元々元々ご推薦を頂いておりますし、各府省等を通じて発送を頂くなど、最も効率的と考える方法で招待者のお手元に届くように毎回してるところでございます」

 田村智子「そんなこと聞いてるんじゃないんです。その下関市の後援会の人たちの名前を。内閣府、それじゃあ、もうお答え頂くってことですね。どうやって確認したんですか。どうして分かったんですか。各府省の取り纏めなんでしょ。どの府省が下関の安倍さん関係の後援会の人の名前と住所を押さえることができるってことなんですか」

 大塚幸寛「あのー、その具体的な各推薦者の最終的取り纏めの検討過程にかかる情報につきましては、これを明らかにすることは内閣官房、内閣府に於きます円滑な取り纏めに支障を及ぼす恐れがあると書いてございまして、只今の答弁につきましてはお答えを差し控えさせて頂きたいと考えております」

 田村智子「これね、私達は、総理お答えくださいよ。安倍事務所に申し込んだら、内閣府から招待状が来たという証言を複数の方から得ているんですよ。得ているんですよ。それ以外に発送する術はないんですよ。そうじゃないって言うんだったら、ちゃんと安倍事務所に確認してくださいよ。地元事務所に。総理」

 安倍晋三「あのー、先程、赤旗の取材に私の後援者が答えたっていうことは私も寡聞にして存じないんですが、そこでですね、今も既に申し上げておりますように個別の方については招待されたかを含め、個人に関する情報であるため回答を差し控えさせているというのが従来からの政府の立場でございます」

 田村智子「これね、『開催要領」の逸脱が疑われているんですよ。各界を代表する功労・功績のあった方を府省が取り纏めて、招待するんですよ。これ以外ないんですよ。じゃあ、萩生田さんの後援会の常任幹事、これなんの功労・功績があったと思います?」

 大塚幸寛「先程総理からもご説明しましたが、その個々の方についてその功労・功績は何か。その以前にその招待されたかどうかということは、これは個人に関する情報でございまして、お答えを従来から差し控えさせて頂いているところでございます」

 田村智子「これね、今、後ろからもありました。税金を使った公的行事なんですよ。誰でも参加できるわけじゃないんですよ。だから、招待範囲も人数も、『開催要領』を閣議に配って、それで府省の推薦で功労・功績が認められ方を招待するんですよ。そしたらね、当然、それぞれの方にどのような功労・功績があるのか、これ説明できなきゃおかしいですよ。それが桜を見る会なんじゃないんですか。総理。総理、お答えくださいよ。

 そういうことでしょ。公的行事。(大塚幸寛が委員用に名前を言われて答弁のために立ち上がりかけると、手で払いながら)あなたはもういい、あなたはいい、もう要らないから。総理」

 安倍晋三「先程来、答弁させていただいているようようにですね、『桜を見る会』については昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため開催をしているものでございます。

 先程来、申し上げておりますようにですね、個々の方々につきましてはですね、個人情報であるため、回答を控えさせて頂いてるということでございます」

 答弁に不服、中断。

 田村智子「それではね、委員長、私、全然お答え頂いていないので、先程の萩生田幹事長の常任幹事会、後援会常任幹事会、どの府省からなのか。下関の安倍事務所。これね、安倍事務所にどっかの府省が連絡取ったのか。こういうことを是非ね、お調べになって委員会にご報告頂きたいというふうに思いますね。お願いします」

 委員長「後刻理事会に於いて協議致します」

 田村智子「もうちょっとブログ見てみたいんですよ。藤井律子山口県周南市長のブログ、2018年5月4日、当時山口の県議なんですけどね。『「桜を見る会」に行ってきました。片山さつき先生と久しぶりの再会を果たしました。今日は山口県からたくさんの人が来て下さっているわねえ。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよといつものように元気よくお声をかけて頂きました』

 こういうのはね、もう、いっぱーいあるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私はね、税金を使った公的行事っていう自覚もなく、安倍総理が地元からの招待者をどんどん増やしたんじゃないかと。

 さらにはね、地元後援会の恒例行事にしてきたんじゃないかっていうことも指摘したいんです。先程の友田県議のブログです。『桜を見る会』の記述は前日の行動から始まります。『前日の早朝に飛行機で上京。夜にはANAのインターコンチネンタルホテルの大広間に於いて下関市、長門市そして、山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティ。次の早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑へ』と続いていくんですね。

 もう一つ吉田真次下関市市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、『前日12日に飛行機で東京へ。夜は『桜を見る会』の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きました』。で、前夜祭の宴会会場の写真・続けて翌日の新宿御苑の写真なんですね。

 総理ね、これね、総理しか答えられないんです。『桜を見る会』安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭とセットで総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める、そういう行事になっているんじゃないですか」

 安倍晋三「『桜を見る会』については政府委員から答弁しているとおりでございまして、個々の個人名等々についてはお答えを差し控えさせて頂きたいということでございます」

 田村智子「前夜祭と一体でしょ。もう少し示しますよ。首相動静。この3年間、『桜を見る会』の前日、『ホテルニューオータニの宴会場で安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭に出席」と。3年間、ずっとあるんですよ、総理。それ以前も、ホテルや名称は異なりますが、必ず前日夜は後援会の方々と懇親会、宴会にご夫婦でご出席されてるんですよ、総理。

 よくご存知でしょう、ご自身が。今年の前夜祭の参加者は約850人。翌朝、貸切バス17台で新宿御苑に移動。これはね、あの甲府市ライオンズクラブの会報に載せられた寄稿、載せられた文章から分かりました。

 また私たちの取材でも、複数の参加者からですね、貸切バス17台だと。自分は何台目、何番目に乗るんだということが全部確認できたわけなんですよ。まさに安倍総理の演会の一大行事になってるんじゃないかと。

 違いますか。セットでしょ、総理も。総理にとっても『桜を見る会』前夜祭と翌日の『桜を見る会』がセットになって、山口県の皆さんと親しく懇親をする。そういうふうになっているんじゃないですか』

 安倍晋三「その懇親会にですね、私が出席をして、写真等を撮っているのは事実でございます。勿論、それは各個人がですね、それぞれの費用によってこの上京をし、そしてこのホテルとの関係に於いてもそれはホテルに調節、まあ、払込をしているというふうに承知をしているところでございます。

 なお、この招待客については先程来から答弁をしているとおりでございます」

 田村智子「セットなんですよ。じゃねえ、『桜を見る会』当日の首相動静、これも指摘します。今年は『午前7時48分、総理は夫妻で新宿御苑に到着、そして7時49分、昭恵夫人と共に地元の後援会関係者らと写真撮影』とあります。遡れば、毎年午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されてるんですね。『桜を見る会』の開門及び受付時間は午前8時30分です。開門もしていないのに会場で地元後援会の皆さんと記念撮影を毎年されておられます。

 まさに後援会活動そのものじゃないですか」

 安倍晋三、委員長に顔を向けて、大塚幸寛を指差す。中断。

 大塚幸寛「『桜を見る会』の開園時間につきましては開催要領で定められていますとおりに午前8時半から午前10時30分の間の随時入園参観となっておりま
す。これが『桜を見る会』でございます」

 安倍晋三「あの、これは招待者のですね、えー、それぞれの受付時間の対応に関するこの情報につきましてはこれはセキュリティに関するため回答を差し替えさせて頂きたいと、このように思います」

 安倍晋三、質問者に対して後ろ向きで首相席に座る際、薄く笑う。

 田村智子「だから、何で開門前に山口の後援会の皆さんとあなた、写真撮ってるんですかってことなんですよ。答えてくださいよ」

 安倍晋三「これについてはですね、どういう形で私が動くかということにもかかってまいりますので、そのセキュリティに関わることでございますので、回答を控えさせて頂きたいと思います」

 田村智子「しんぶん赤旗の取材でね、下関市の後援会の男性、『到着すると安倍事務所の秘書らがバスの席を回って、入場のための受付表を回収する。その秘書が受付を済ませ、参加者用のリボンを配る。纏めてのチェックインで手荷物検査はなかった』

 何がテロ対策のためだ、ですか。これ調べてください。調べてください、総理」

 委員長が大塚幸寛の名前を読んだために中断。

 大塚幸寛「受付に関する質問(?)だというふうに受け止めました。受付時の対応に関する情報はこれはまさしくセキュリティに関することであるためおこ答は差し控えさせて頂きたいと考えております」

 安倍晋三「あの、今、政府参考人からお答えをさせて頂きましたように受付の仕方等々につきましてもですね、これはまさにこれは、例えばその後の私との関係に於いてもですね、これセキュリティにかかることがございますから、これはお答えを差し控えさせて頂きたいとこのように思います」

 田村智子「開演前に手荷物検査もしないで会場に入ったら、それこそセキュリティ上の問題じゃないですか。『桜を見る会』は参加費無料なんですよ。会場内で無料で食べ酒、その他のアルコール、オードブルやお土産は無料なんですよ。これは政治家が自分のおカネでやったら、明らかに公職選挙法違反。そういうことはあなたは公的行事で税金を利用して行なっているんですよ。これは重大問題だと、まさにモラルハザードは安倍総理が起こしていると、こういうことを指摘して、質問を終えます」

 委員長が盛んに時間が来たことを伝えている中で、早口で言いたいことをいい終えようとしているために、聞きづらくなる。
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安倍晋三の「受験生の都合」に合わせたのではない「政治の都合」に合わせた公平性欠如云々の英語民間試験中止

2019-11-04 12:32:09 | 政治
 現行の大学入試センター試験の後継、2020年度からの大学入学共通テストでの導入が決まっていた英語民間試験について安倍晋三の子分中の子分、教育行政を与る、当然、教育問題に精通しているはずの、いわば教育について一家言を有しているはずの文科相萩生田光一センセイが一躍脚光を浴びた。2019年10月24日民放BS番組での発言が原因で、翌日のマスコミが一斉に取り上げた。

 その発言を詳しく伝えている2019年10月25日付「J-CASニュース」から纏めてみる。

 キャスター反町理(そりまちさとし)「『お金や場所、地理的な条件などで恵まれている人が受ける回数が増えるのか、それによる不公平、公平性ってどうなんだ』との声があるが、どのような見解をお持ちか」(解説文を会話体に直す)

 萩生田光一センセイ「そういう議論もね、正直あります。(でも、)それ言ったら、『あいつ予備校通っていてズルいよな』と言うのと同じだと思うんですよね。だから、裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば。

 人生のうち、自分の志で1回や2回は、故郷から出てね、試験を受ける、そういう緊張感も大事かなと思う。
できるだけ近くに会場を作れるように今、業者や団体の皆さんにはお願いしています。できるだけ負担がないように、色々知恵出していきたい。実施団体に受験料軽減もお願いしている」――

 英語民間試験は2020年度から開始予定の大学入学共通テストで活用することを決めていた。萩生田光一センセイの発言は全て2020年度開始に間に合う内容となっている。

 英語民間試験について「コトバンク」が次のように解説している。〈2020年度の受験生から対象となる大学入学共通テストでは「読む・聞く・話す・書く」という英語の4技能を測る。グローバル化を意識した取り組みだが、特に「話す」のテストを一斉に実施することは困難なため、文部科学省は民間試験の活用を決めた。初年度は英検やGTEC、TOEICなど8種類が利用され、原則として高校3年の4~12月に受けた最大2回の成績が出願先の大学に提供される。大きな転換に配慮し、23年度までは入試センターが「読む・聞く」の2技能を測る試験を続ける予定だ。〉

 要するに英語の入試に関しては2020年度から2023年度までは「読む・聞く」は入試センターが担当、「話す・書く」を民間が担当、2024年度からは「読む・聞く・話す・書く」全ての試験に民間試験を導入する予定を立てていた。
受験生は共通IDを取得した上で、そのIDを使ってケンブリッジ大学英語検定機構や日本英語検定協会、ベネッセコーポレーション、その他の民間団体が実施する希望する英語試験を最大2回受験が可能で、その2回分のスコアを大学入試センターを通じて受験する大学に提供、各大学の判断で出願資格や合否判定に使われる仕組みだという。

 例え3回受験したとしても、自動的に試験日程が早かった順に2回分の成績のみが採用される仕掛けになっていると言う。

 となると、萩生田光一センセイが「裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど」と言っていることは、英語の成績を上げる有利な状況を手に入れるために入学目標の大学に成績が提供される共通IDを使った2回の英語試験のあとに何回受けても意味はないから、2回受験する前に共通IDを使わずに何回か受けて、問題の傾向を探り、対策を練った上で共通ID使用の正式な試験を2度受けるという手を使うことも可能となる。

 各事業者の受験料は低所得世帯の受験生は2割引といったところもあるようだが、マスコミ報道を見ると、5800円から2万5000円までの差があり、2割引を前程とすると、5800円の2割引は4640円。2回で9280円。、2万5000円の2割引は2万円。2回で4万円の受験料の計算になるだけではなく、英語以外の大学入試センター試験の1次の受験料が、ネットで調べてみると、3教科以上が1万8000円、2教科以下が1万2000円で、成績通知を希望する場合はプラス800円。国公立大の2次試験が1校につき平均で1万7000円、私立大が1校につき平均で約3万5000円、4万円から6万円もかかる場合もあると言うから、英語民間試験に限ったとしても、正規の2回の試験で手一杯という低所得世帯の受験生も出てくることになり、萩生田光一センセイが宣っているように「裕福な家庭の子」だけが回数受けることができるメリットを独占できる可能性は否定できない。
この状況は日本国憲法第3条が「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」と保障している「教育の機会均等」を弱める役割を政府自らが果たしていることになる。

 そしてその先頭に教育行政を与る文科相として萩生田光一センセイ自身が立って、「自分の身の丈に合わせて」云々と「教育の機会均等」何のそのの旗振り役を担った。

 萩生田光一はこの発言の批判を受けると、10月28日のぶら下がり会見で、「どのような環境下にいる受験生も自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会をとらえて、2回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものだった」と釈明。翌10月29日の記者会見でも、「昨日、ぶら下がりの会見の中でも説明させて頂きましたけれども、私はどのような環境下にいる受験生においても、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて、適切な機会を捉えて、英語試験ですけれども、2回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言をしたものです。しかしながら、結果として国民の皆様、特に受験生の皆さんに対して不安や不快感を与えることになってしまったと考えており、改めてお詫びを申し上げるところでございます」と釈明している。

 さらに10月30日の衆院文教委員会冒頭に発言を求めて、同じような釈明と謝罪のコメントを発している。

 委員長「この際、萩生田文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田文部科学大臣」

 萩生田光一「委員会の冒頭発言の機会を頂き、御礼を申し上げます。

 先週10月24日の私のテレビ番組に於ける大学入試英語成績提供システムに関する発言について、その発言の真意はどのような環境下にいる受験生に於いても自分
の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会を捉えて、次回の試験を全力で頑張ってもらいたいという思いで発言をしたものです。

 しかしながら、結果として国民の皆様、特に受験生の皆様に対して不安や誤解を与えることになってしまったと考えており、一昨日発言を撤回しました。改めて。この場をお借りして、国民の皆様に、特に受験生の皆様にお詫びを申し上げる次第であります。
私としては英語試験実施団体に対して需要に応じた実施会場の確保などを求めると共に離島に居住する高校生等が離島外で検定試験を受験する際の費用の補助経費を概算要求するなど、今後とも受験生や高校関係者の不安の解消に向けて全力で取り組んで参りたいと思います。

 引き続き委員長、理事、または議員各位のご指導、ご鞭撻を賜りますようによろしくお願い申し上げます」

 かくかように「自分の身の丈に合わせて」を「自分の都合に合わせて」に言い換えている。

 「自分の身の丈に合わせて」が萩生田光一という政府の人間が受験生に対して口にした要望である以上、上からの指示に対する従属性を要求するニュアンスを自ずと持つことになる。当然、「自分の都合に合わせて」に言い換えたとしても、従属性の要求であることに変わりはない。

 自分の将来を決める重大な進路をただでさえ経済的に「自分の身の丈」に合わせなければならない、あるいは「自分の都合」に合わせなければならない境遇は悲しい。政
治がそれを救済するのではなく、「合わせて」と要望して、憲法が保障している「教育の機会均等」を弱める役割を気づかないままに果たしている。

 「自分の身の丈に合わせて」を「自分の都合に合わせて」に言い換えたとしても、萩生田光一の責任は大きい。

 この10月30日の文教委員会で国民民主党の城井崇(きいたかし)が、「新聞報道によると英語民間試験延期論が政府内あると言うが」と質問している。

 城井崇「国民民主党の城井崇(きいたかし)です。共同会派『立国社』。本日1番バッターとして質問の機会頂きました。ありがとうございます。

 誰もが望めば、学ぶチャンスを掴める。スタートラインに立てる日本にしていくべく、今日も質問をさせて頂きたいと思います。今日は文部科学大臣、そして文部科学副大臣、そしてオリパラ担当大臣とそれぞれ政務三役に質問を申し上げますので、宜しくお願い致したいと思います。

 先ず冒頭、本日の報道で確認をすべき内容が出てまいりましたので、この段階(?)での通告を申し上げて、お答え頂くようにお願いを致しました。

 大臣にお伺い致します。本日2019年10月30日読売新聞朝刊一面に『英語民間試験延期論、政府内』、こうした内容の記事が出ました。事実でしょうか、フェイクニュースでしょうか。事実関係について大臣、お答えください」

 萩生田光一「お答えします。文部科学省としてはご指摘の議論については承知はしておりません。いずれにせよ、文科省としては英語成績提供システムについては高等学校、大学関係者の合意に基づいた方針によるものであり、受験生がこの実習を念頭に既に準備を進めていきてることから受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、2020年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えております」

 城井崇「承知をしていないとお答えでしたが、政府内での議論との報道でした。事実確認を頂けますでしょうか」

 萩生田光一「あの、文科省としては全く、その議論には組みしていないのですが、まあ、総理のどっかでそういう話があるとすれば、確認をきちっとしたいと思います」

 城井崇「当委員会に報告を頂きたいと思いますが、委員長、如何でしょうか」

 委員長「後刻理事会で協議致します」

 城井崇の質問に対して萩生田光一は「(延期の)議論には組みしていないのですが、まあ、総理のどっかでそういう話があるとすれば、確認をきちっとしたいと思います」と答弁している。「組みしていない」という発言ははっきりと聞き取れなくて、何回も聞き直したが、あとの「総理のどっかでそういう話があるとすれば」と言っていることから、その延期の議論に文科省は加わってはいないという意味で「組みしていない」と答弁したはずである。

要するに総理周辺で延期論があるとしても、文科省にしても萩生田光一自身にしても与り知らない(関与していない)という意味を取る。

 ところが、2日後の11月1日の記者会見で萩生田光一は英語民間試験の延期を告げることになった。

 萩生田光一「お早うございます。続いて私から大学入試英語成績提供システムにかかる今後の方針について報告をさせて頂きます。

 私は就任以来、試験を受ける高校生のことを一番に思いながら、英語民間試験活用のための大学入試英語成績提供システムのあり方について、これまでの進捗状況を冷静に分析しつつ、多くの方々の意見を聞きながら慎重に検討を行ってまいりました。

 そうした中、先日私の不用意な発言で高校生をはじめとする皆様に大変なご迷惑をおかけしたが、この間もさらに多くの方々からご意見を頂くこととなり、より一層現状の課題を浮き彫りにすることができましたた。

 文部科学省としては大学入試センターを通じてということもあり、民間試験団体との連携・調整が十分でなく、各大学の活用内容、民間試験の詳細事項等の情報提供不足等、準備の遅れに繋がることとなりました。ここまで準備を進めて頂いた試験団体の皆様にもご迷惑をおかけをすることになりした。

 大学入試英語成績提供システムは現時点に於いて経済的な状況や居住している地域に関わらず等しく安心して試験を受けられる配慮など、文部科学大臣として自信を持って受験生の皆さんにお勧めできるシステムにはなっていないと判断せざるを得ません。

 これ以上、決断の時期を遅らせることは混乱を一層大きくしかねないため、ここに来年度からの導入を見送り、延期することを決断を致しました。私の耳にはこれまで頑張って英語の勉強をしてきた高校生の声も届いていますし、皆様にはご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ない気持です。

 最後に私から言わなければならないことがあります。それは今後の話です。子どもたちに英語の4技能を身につけさせることはこれからのグローバル社会に必ず必要です。それを入試でどのようにして評価していくのか。できるだけ公平で、アクセスしやすい仕組みはどのようなものなのか。新しい学習指導要領で初めて実施をする、令和6年度に実施される大学入試に向けて私のもとに検討会議をつくって、今後1年を目途に検討をし、結論を出したいと思います。

 また、多面的・総合的に学力を評価しようとする高大接続改革を引き続き着実に進めてまいります。

 令和2年度から開始する大学入学共通テストの記述式問題の導入など大学入試改革については円滑な実施に向けて万全を期してまいりたいと思います。

 今回の件について受験生を始めとした高校生、多くの皆様に対する私の気持ちをメッセージとしてお伝えをしたいと思いますので、協力をお許しください。

 『文部科学大臣の萩生田光一です。皆様の令和4年度(令和3年度実施)の大学入試に於ける民間英語試験活用のため、大学入試英語成績提供システムは導入を見送ることをお伝えします。

 大学入試に於ける英語民間試験に向けて今日まで熱心に取り組んでいる高校生も多いと思います。今回の決定でそうした皆様との約束を果たせなくなってしまったことを大変申し訳なく思っております。

 英語民間試験を予定通り実施するかどうかに関しては高校生を始め、多くの皆様から賛成、反対、様々な意見を頂いてきました。私としては目標の大学に向けて英語試験の勉強を重ねている高校生の姿を思い浮かべながら、当初の予定通りのスケジュールで試験を実施するために連日取り組んでまいりました。

 しかし大変残念ですが、英語教育充実のために導入を予定してきた英語民間試験を経済的な状況や居住している地域に関わらず等しく安心して受けられるようにするためにはさらなる時間が必要だと判断するに至りました。

 大学試験における新たな英語試験については新学習指導要領が適用される令和6年度に実施する試験から導入することとし、今後1年を目途に検討し、結論を出すこととします。皆様が安心して受験に臨むことができる仕組みを構築していくことを改めてお約束を申し上げます。

 今回文部科学省としてシステムの導入の見送りを決めましたが、高校生にとって『読む・聞く・話す・書く』といった英語4技能をバランスよく身につけ、目指すことは大切なことは変わりはありません。

 グローバル化が進展する中で英語によるコミュニケーション能力を身につけることは大変重要なことです。皆様にもこれからの日々の授業を大切にすることにそれぞれの目標に向かって努力を積み重ねて頂きたいと思います』。私からは以上です」

 萩生田光一の以上の発言を纏めると、「大学入試英語成績提供システムは現時点に於いて経済的な状況や居住している地域に関わらず等しく安心して試験を受けられる配慮など、文部科学大臣として自信を持って受験生の皆さんにお勧めできるシステムにはなっていないと判断せざるを得ない」から、延期を決めたとなる。

 要するに経済的な状況や居住している地域に関係しない公平性を獲得する点に於いて準備不足だった。

 だが、萩生田光一はこの公平性欠如を一旦は「自分の身の丈に合わせて」と、そう要望することでたいした問題ではないとした。だから、城井崇の「政府内に延期論があると報道にあるが」の問に対して「文科省としては英語成績提供システムについては高等学校、大学関係者の合意に基づいた方針によるものであり、受験生がこの実習を念頭に既に準備を進めていきてることから受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、2020年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えております」、あるいは「文科省としては全く、その議論(延期論)には組みしていない」と答弁することができた。

 萩生田光一は、自身では気づかないままに憲法が保障している教育の機会均等に触れることになる受験料が高額となることの経済的な状況から受ける公平性の欠如や試験会場の遠近によって生じる居住している地域から受ける公平性の欠如を重点的に挙げているが、一番大事な公平性の欠如は異なる事業者の英語民間試験を受けることによって一つの大学で英語の試験問題が違ってくることにあるはずだ。

 同じ大学を受験するのに英語の試験に限って違う問題を解かなければならない。そしてそれぞれの民間団体が採点したスコアの提供を受けて、異なる試験問題を解いた回答に対するスコアであるにも関わらず、全てのスコアを同じ水平上に置いて大学は合否を決定する公平性の欠如である。

 公平性の確保を言うなら、少なくとも1つの大学につき1つの同じ英語の問題となる同一大学・同一英語試験問題でなければならないはずだ。いくらでも受験料を出す余裕のある親の経済状況に恵まれている受験生は全ての英語民間試験を試しに受験してみて、難しいか易しいか、あるいは自分の英語知識にマッチしているいないかを見極めることができて、当然、そこに公平性の欠如、あるいは公平性の格差が生じる。

 同一大学・同一英語試験問題でないことの公平性の欠如を問題にする国会質問も、記者会見での記者の質問も、ないように見える。そのような質問があったなら、萩生田光一は延期の理由の一つとしてこの問題を公平性の欠如の一つに加えていただろう。

 もし純粋に「受験生の都合」に合わせた民間英語試験の延期であるなら、同一大学・同一英語試験問題とはなっていないことをこそを解決しなければならない公平性の問題であるはずでありながら、それを抜きにしていること、10月30日の文教委員会では「2020年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでいきたい」と答弁していながら、2日後の11月1日の記者会見で突如として延期を公表したということは、その記者会見が閣議後のことであることから、閣議で延期するよう、安倍晋三から直々に因果を含ませられた、いわば「政治の都合」に合わせた英語民間試験中止であって、公平性欠如云々は口実に過ぎないだろう。

 「身の丈」発言が実際には抱えている悪質さを暴かれた場合の内閣への打撃を早々に回避する思惑を理由とした延期と見ることもできる。

 「話す・書く」の英語の技能を測る方法としてテレビ会議形式の方法を採用すれば、同一大学・同一英語試験問題の採用が可能となり、県庁や市役所、あるいは都道府県に散在する公立大学の講堂、あるいは教室を試験会場とすることができて、試験会場が遠過ぎるという問題は解決できるだろうし、試験会場の費用も抑えることができるのではないだろうか。

 テレビ会議の機器を既に設置している大学や公共施設も存在しているはずだ。

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