安倍晋三と森友学園理事長籠池泰典の国家観、天皇観に親近性・一心同体性を見る

2017-02-28 10:22:07 | 政治

 森友学園は「瑞穂の國記念小學院」のサイトの「教育理念」のページに「教育の要」として次の項目を掲げている。
   
 〈天皇国日本を再認識。皇室を尊ぶ。伊勢神宮・天照大御神外八百万神を通して日本人の原心(神ながらの心)、日本の国柄(神ながらの道)を感じる。

 愛国心の醸成。国家観を確立。

 教育勅語素読・解釈による日本人精神の育成(全教科の要)。道徳心を育て、教養人を育成。

 「大學」素読による人間学の習得。〉等々。

 日本は天皇の国だとし、森友学園経営の塚本幼稚園児に対して日々の朝礼時に「教育勅語」を朗唱させ、尚且つ「君が代」を斉唱させていると言う。

 日本は天皇の国だとしている以上、「教育勅語」の朗唱は自然な成り行きであろう。

 「教育勅語」とは国民の道徳の基本と教育の根本理念を示した明治天皇の言葉であり、その一節に、「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉ジ、以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」(もし危急の事態が生じたら、忠義と勇気を持って国のために奉仕し、それによって永遠に続く皇室の運命を助けるようにしなさい。)と謳い、「億兆心ヲ一ニシテ」と、いわば国民全てに対して一律的に国家と天皇へ奉仕をしなさいと規定している。

 このように国家と天皇に対する国民全ての一律的な奉仕という関係性は戦前見てきたように、例え国家が間違っていても、天皇の名に於いて奉仕が要求可能となるゆえに個人の自律性という人間存在の主たる要素の介在を許さない構造を形成している。

 いわば「教育勅語」という教育観はそこに個人の自律性の排除を隠し味としている。

 森友学園の籠池泰典理事長が日本は天皇の国だとしていることは安倍晋三の天皇観にも通じている歴史認識であろう。

 安倍晋三は2009年2月11日、明治神宮会館で開催の建国記念の日奉祝中央式典で次のようにスピーチしている。  

 安倍晋三「よく『国柄、国柄』と、こういうことを議論することがあるんですが、私たちの国柄は何かと言えば、これはもう、古来からの長い長い歴史の中において、日本人の営みの積み重ねの中に自然に出来上がってきたものが、私は、『日本の国柄』ではないかなと思うところでございます。
  
 日本の歴史というのは、言ってみれば、いわば、つづら織りのようなものでありまして、タペストリーですね。

 この長い歴史をそれぞれの人々が個々の歴史を積み重ねる中で、全体のつづら織ができあがってきたわけでありますが、やはり、真ん中の中心線というのは、わたくしはそれはご皇室であろうと、このように思うわけであります。(大きな拍手)
  
 そしてそれはまさに、一本の線で、ずーーっと古来から今日までつながっている。 ここが諸外国とは大きく違う点であろうと、わたくしは思います。

 日本と外国との違い、たくさんあります。また、外国の王室との違いも私はある、と思います」――

 日本の歴史をタペストリーに譬え、その中心線に長き歴史に亘る皇室を置くこの発言と同様なことは安倍晋三著「美しい国へ」でも述べられているし、テレビ番組でも発言している。

 安倍晋三の日本の歴史の中心線は皇室であり、それが「古来から今日までつながってい」て、それが日本の「国柄」だとする国家観を読み解くとしたら、日本国の歴史の主人公を歴代天皇に置いて、皇室を日本の歴史の主宰者と見做す国家観に他ならない。

 いわば森友学園籠池泰典の「天皇国日本」としている国家観と何一つ変わらない類似性を見ることができる。

 当然、安倍晋三も「教育勅語」を日本の教育の基本に置いているはずだ。

 籠池泰典は「日本会議」大阪支部の幹部(代表委員)であり、安倍晋三は麻生太郎と共に日本会議を支援する超党派の議員によって構成されている議員連盟の国会議員懇談会日本会議の特別顧問をしている。

 日本会議は「教育勅語」の復活を直接的には主張の一つとしていないが、皇室の存在の明治維新から敗戦以前の状態への復活と、これと同一性を持たせた伝統の戦前への回帰を主張としているし、メンバーの中には教育勅語を道徳と教育の基本を成す精神と見做す者もいる。

 いわば教育勅語が示している戦前の日本人の精神への回帰を希(こいねが)っている。

 戦前の天皇の存在形式の肯定は天皇の勅語でもある「教育勅語」の肯定でもあるということである。「教育勅語」を否定した場合、戦前の天皇の存在形式の肯定は整合性を全く失うことになる。

 日本会議メンバーの元文部科学相下村博文も「教育勅語」肯定派の一人である。2014年4月8日「記者会見」 

 下村博文「教育勅語そのものの中身は、至極全うなことが書かれているというふうに思いますし、当時、それを英文、あるいは独文等にして、ほかの国でもそれを参考にしたという事例があるということも聞いておりますが、その教育勅語のその後の活用のされ方ということについて、軍国主義教育の更なる推進の象徴のように使われたということが問題ではないかというふうには思います」

 戦前の天皇の存在形式肯定派の安倍晋三も口には出さなくても、整合性を持たせなければならない点から言っても、「教育勅語」肯定派の一人であろう。

 森友学園の籠池泰典が幼稚園児に日々の朝礼時に「教育勅語」を朗唱させ、運動会の選手宣誓で子どもたちに一斉に「安倍首相、頑張れ」と言わせていたとしても、安倍晋三との国家観や天皇観の類似性から言っても、何の不思議もない。

 この類似性は籠池泰典側から見た場合、親近性・一心同体性にまで至っていることを窺うことができる。至ってなかったら、3歳から6歳の年齢の判断能力が未だ未熟な、未熟だからこそ言いなりに強制させることができるのだが、そのような幼児の口を借りてまでして「安倍首相、頑張れ」などと言わせることはできない。

 同時にこの強制には洗脳の力学が働いている。「安倍首相、頑張れ」という思いを子どもの頭に植え付け、成長した時点でもその思いを持ち続けさせようとする強制的な精神作用の働きかけによる洗脳なくして成し得ない。

 日々の朝礼時の「教育勅語」の繰返しの朗唱も同じ構造を取った洗脳に当たる。洗脳は自ら考え、その考えに従って自らの行動を決める自律性を排除して成り立つ。

 そして自律性の排除は、既に触れたように、「教育勅語」の基本的な構造となっている。

 安倍晋三に関しての自律性の排除を言うと、安倍晋三が2006年に成立させた改正教育基本法は「教育の目標」2条5で、〈伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。〉との文言に紛らわせて国家権力が「国を愛せよ」と一律的に規定しているのは国家の精神作用に従わせようとする強制以外の何ものでもなく、国民それぞれの自律性に任せるべき精神作用に於ける、その自律性の排除を結果的に機能させているところに現れている。

 安倍晋三の側から見ても、安倍晋三と籠池泰典両者の国家観、天皇観は親近性・一心同体性を成し、同時に自ら考え、自ら行動を決める個人の自律性の排除を自ずと機能させていると言うことができる。

 国民が全体的に自律性を機能させなくなったとき、安倍晋三が望む戦前日本国家への回帰が可能となる。安倍晋三が理想の国家像としている明治日本国家の再現である。

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安倍晋三の安倍晋三記念小学校と安倍昭恵名誉校長に関わる国会答弁にはウソ由来の矛盾が埋蔵されている

2017-02-27 11:09:08 | Weblog

 昨日の等ブログで2017年2月17日の衆院予算委員会での福島伸享民進党議員と2017年2月24日の衆院予算委員会での福島伸享民進党議員、さらに同日の今井雅人民進党議員の安倍晋三に対する森友学園が新しく設立する小学校「瑞穂の國記念小學院」に安倍晋三記念小学校と命名を依頼したことと安倍晋三夫人がまだ開校していないその小学校の名誉校長を引き受けていた件についてのそれぞれの追及と、その追及に対する安倍晋三の答弁を動画から文字起こしして掲載した。   

 今日は安倍晋三のその答弁が如何に矛盾だらけか、如何に巧妙にウソを埋蔵させているか、指摘したいと思う。
 
 先ず安倍晋三の各質問者に対する安倍晋三記念小学校の件とその妻安倍昭恵の「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長となっていた件についてのそれぞれの答弁を列挙してみる。文飾は当方。
 
 2017年2月17日衆院予算委員会・福島伸享に対する安倍晋三答弁

  福島伸享が森友学園の籠池泰典理事長が「安倍晋三記念小学校」名で小学校新設の寄付を集め、寄付応募者には安倍晋三記念小学校の寄附者銘板に名前を刻印、顕彰するといったことをしているが、安倍晋三はご存知かと質問。

 安倍晋三「私、あのー、そもそも、今、話を伺ってですね、初めて知ったわけでございますが、これは私が総理を辞めたときにですね、ときに、その、妻が知っておりまして、そしてその中でそういう、いわば私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から小学校をつくりたいので、安倍晋三小学校にしたいという話がございましたが、私はそこでお断りをしているんですね。

 私はまだ現役の国会議員だし、総理大臣は辞めたけれども、この先、もう一回復帰することを諦めたわけではないので、現役の政治家である以上ですね、私の名前を冠にするのはふさわしくないし、そもそも私が死んだ後であれば別だけども、何かそういう冠をしたいのであれば、私の郷土の大先輩である吉田松陰先生の名前とかをつけられたらどうですか?というお話をしたわけでございます」

 安倍晋三が「その、妻が知っておりまして」と言っているところからすると、安倍晋三は森友学園籠池理事長が新設小学校名に「安倍晋三記念小学校」という命名を望んでいることを妻である安倍昭恵を通して知った。

 それを知ったのは第1次安倍内閣で首相を辞任した2007年9月26日以降、第2次安倍内閣成立の2012年12月26日以前ということになる。

 と言うことは、安倍晋三は当時世間的に「元総理大臣」という肩書が通用していて、元総理大臣としての“社会的信用性の価値”をそれなりに備えていた。その妻である安倍昭恵にしても元総理大臣夫人の肩書を以てして処遇され、それなりの“社会的信用性の価値”を有していたことになる。

 だが、安倍晋三はその命名を断った。「私はそこでお断りをしているんですね」

 それまでの文脈からすると、妻を通して断ったように見えるが、「何かそういう冠をしたいのであれば、私の郷土の大先輩である吉田松陰先生の名前とかをつけられたらどうですか?というお話をしたわけでございます」と、断った相手に対して「お」という敬語をつけている点からすると、安倍晋三自身が籠池泰典に直接断ったように受け取ることもできる。

 明確にはどちらか分からないが、追及しなければならなかった点だろう。

 但し常識を押さえるとすると、元総理大臣相手に「安倍晋三記念小学校」という命名を望み、その名前を世間に通用させたいと願っていたなら、籠池泰典は安倍晋三本人に直接会って、直接願い出て、直接承諾を求めなければならない用件であるはずだ。妻を通して片付ける筋の話ではないはずだ。

 この点に矛盾を見い出さなければならなかった。

 2017年2月24日衆院予算委員会・福島伸享

 福島伸享がテレビ東京の番組を参考にして安倍晋三夫人安倍昭恵が瑞穂の國記念小学校の名誉校長を引き受けたのは平成27(2016)年9月の森友学園の幼稚園での安倍昭恵の講演時で、昨日の2月23日に瑞穂の國記念小学校のホームページにあった安倍晋三内閣総理大臣夫人の挨拶が消されているが、名誉校長を辞任したのかと尋ねた。

 対して安倍晋三は安倍昭恵が名誉校長を引き受けた経緯と安倍晋三記念小学校の命名を断った経緯を長々と答弁している。

 ウソつきはウソでないことを信じ込ませようとしてついつい多弁になる。安倍晋三が聞かれてもいないことを長々と答弁したり、関係ない統計を持ち出してさも自身の政策がうまく言っているかのように装うのはウソつきは多弁の傾向を受けたものであろう。

 安倍晋三「この件については私への指摘ではなくて、私の妻、えー、のことであろうと思います。えー、今ご紹介頂いたんですが、私の妻からですね、経緯を聞いたんですが、確かに名誉校長に就いた経緯がご紹介頂いた通りででございます。

 実は講演の前にですね、講演の前の待合室に於いて名誉校長になってくださいと頼まれてですね、実は妻がそこで断ったそうであります。『それは申し訳ないけれども、それはお受けできないとこう申し上げていたわけでありますが、ウチの夫の関係もあるので、それはお引き受けできないと断っていたわけでありますが、しかしその後にですね、突然、その場でですね、えー、この籠池さんかな、籠池さんからそのように紹介されて、拍手をされた。

  そう言うことによってですね、その場でお引き受けできないとはっきりと言うことができなかったわけでございます。勿論、その場でですね、私はお受けできないと、父兄がいるわけですから、そこで、そこではそういう答をしてですね、しかしその後、やはりこれは、あれは急に出されて私も当惑ししましたと、お引き受けできませんよという話をしたんですが、その後何回も遣り取りがあり、この父兄の前でああ仰ったんだから、それは引き受けて貰わないと困りますよということで、まあ、最終的には引き受けることになったということでございます。

 しかしその後ですね、その後先方から(考え、考え話す。慎重に言葉を選んでいる様子)こうした出来事、福島委員が私に質問されて以降も、何ら説明もなかったものですから、家内から何回か連絡を取り、最終的にこの連絡を取った段階に於いてですね、ええー、これはそういうことはしっかりと説明されないということは教育者としては如何なものかということを自分は思うと相手に伝えたところでございます。

 また、私の安倍晋三小学校ということについては再三お断りしているにも関わらず、ああして名前を使われたことは極めて遺憾だということを伝え、そしてその後ですね、その後事務所の方から正式にですね、先方に連絡を致しまして、えー、妻としては自分がこうした経緯があるとは言え、名誉校長を引き受けていることによってですね、そこに通う子どもたちやご両親に却ってご迷惑をかけ続けることになるんで辞任をさせて頂くということを先方に申し入れたそうであります。

 で、改めて事務所の方からですね、安倍晋三小学校ということについては、それはお断りすると。

 実はこれはお断りしたわけでありますが、実はその、何回もですね、何回も事務所の方に、えー、これは依頼が、1回断ったんですが、ずっと来続けて、それは秘書が対応しておりましたが、秘書が連続してお断りし続けて、ですから、秘書の方から何回も何回もお断りし続けてるじゃないですか。

 であるにも関わらず、寄付集めでこうした名前を使われたことはこれは本当に遺憾であり、と言うことで抗議をしたところでございます。先方からもですね、それは一日ふつかしか使っていないと言う、そういう釈明があったんですが、しかしそういう問題ではなくて、これは名前を使わないというお断りをしているわけだということについては、これは大変遺憾であり、大変残念であるという強い抗議をし、先方からは申し訳ないという謝罪があった所でございます。

 ま、そういう経緯もあり、えー、先方のホームページ等々からは、えー、妻がですね、名誉校長ということで載っていたわけでありますが、先方がこちらの申し入れに従って削除したのではないかと思います」

 安倍晋三そもそも私は、私が講演するということが決まったときにですね、お断りしたんですが、お断りする際に電話に代わって話したのがですがね、殆んど唯一に近いと思うわけでありまして、その、個人的にお目にかかったということは。

 何か大きな会で来られていたかもしれませんが、それは余り記憶に無いことでございますが、そういう中でどういった、私自身は、日報のようなものを出されているので、ちょっと見たことがある程度でございますが、家内は会って、非常に、えー、情熱的のある方だということを言っていたということでございますが、今般、あの、『安倍晋三小学校の寄付を集めるために』を見ました。私も非常に驚愕を致しました。 

 安倍晋三が籠池泰典から自身新設の小学校に「安倍晋三記念小学校」と命名を希望されたのは元総理大臣の肩書時であるが、安倍昭恵が名誉校長を引き受けたのは平成27(2016)年9月、再び首相に返り咲いていたときで、安倍晋三は現職総理大臣の肩書、安倍昭恵は総理大臣夫人の肩書にあった。

 安倍昭恵が講演に招かれたのは総理大臣夫人の肩書があったからであり、名誉校長を依頼されたのも同じ理由からだろう。安倍昭恵から元総理大臣夫人の肩書だろうと総理大臣夫人の肩書だろうと、それらを取り去ったら、肩書を纏っていたときと同等の世間一般的な“社会的信用性の価値”、それを利用する側からしたら、“社会的信用性にあやかった宣伝価値”を失う。

 いわば安倍晋三が総理大臣だったからこそ講演に招かれて、名誉校長の依頼を受けた。安倍晋三あってこその安倍昭恵という関係にあり、影の主役はあくまでも安倍晋三でなければならない。

 このような関係性からの講演依頼のケースを考えてみる。  

 “社会的信用性にあやかった宣伝価値”は安倍晋三の方が遥かに上ということで安倍晋三自身に講演を依頼したケース。

 だが、安倍晋三が個人的な付き合いで幼稚園に出かけて、経営者の教育理念を肯定的な立場から講演するのは総理大臣という公職にある者としてふさわしくないからマズイと断り、その代理に安倍昭恵を派遣したケース。

 少なくとも安倍昭恵本人のみの承諾を得て依頼した講演は安倍晋三の承認を得た講演よりも“社会的信用性にあやかった宣伝価値”を減じることになることと、安倍昭恵を主役として扱っていることになるために新設小学校に安倍晋三の名前を冠することを望んだ心理と、いわば安倍晋三の精神を小学校の主役にしたいと願っている心理と整合性を異にすることになる。

 このことは福島伸享が平成27(2016)年9月に安倍昭恵が名誉校長を引き受けたときの幼稚園での講演で、「籠池理事長からは安倍晋三記念小学校にしたいと当初は言って頂いたんですが、名前を付けて頂けるのであれば、総理大臣を辞めてからにして下さいというふうに仰ってるんですよ」と紹介していることが証明してくれる。

 「総理大臣を辞めてからにして下さい」「仰ってる」主語は安倍晋三であり、安倍晋三の意向を安倍昭恵が自らの口で紹介したということでなければならない。

 もしそれが安倍昭恵の意向なら、自分の名前をつけることを頼まれたわけではない人間が勝手に断る僭越的態度となる。

 安倍晋三が例え安倍晋三記念小学校という命名を断っていたとしても、籠池泰典の精神の背景には「安倍晋三記念小学校」という命名の小学校があるはずだから、安倍昭恵はあくまでも準主役の位置にある。

 この関係性を考えると、籠池泰典は少なくとも小学校を安倍晋三記念小学校と命名し、名誉校長に安倍晋三の就任を望んでいたと見なければならない。

 だが、安倍晋三が再度総理大臣になったためにその希望が潰えた結果、次善の策として名誉校長に総理大臣夫人安倍昭恵を代理として持ってきた。

 このような観点からも安倍晋三の意向を介さない安倍昭恵の講演はあり得ないと考えると、様々な矛盾が浮かんでくる。

 安倍晋三は籠池泰典に「実は講演の前にですね、講演の前の待合室に於いて名誉校長になってくださいと頼まれてですね」と言っている。

 卑しくも総理大臣夫人が名誉校長に就任するとなると、小学校は一般的には夫人が持つ“社会的信用性の価値”を纏い、その価値に相応しい学校運営を取り続けなければならない。

 だが、小学校がその“社会的信用性の価値”にそぐわない学校運営が発覚した場合、“社会的信用性の価値”を提供した夫人のみならず、その価値の殆どは総理大臣が与えているものだから、総理大臣自身が自らの“社会的信用性の価値”を失う危険性を併せ持つことになる。

 いわば本質的には安倍晋三自身が表現している、当時は元総理大臣としての“社会的信用性の価値”を小学校に与えるためには安倍晋三自体が小学校の教育理念に余程のこと共鳴し、尚且つその運営に信頼を置いていなければ出来ない相談となる。

 当然、安倍昭恵が講演のために幼稚園を訪れて、時間待ちで待機することになった待合室でいきなり頼むといった筋のものではない。小学校経営者となる籠池泰典の教育理念に対する安倍晋三自身の共鳴と学校運営に対する信頼と安倍昭恵が名誉校長に就くことの承認の根回しがあって初めて依頼できる名誉校長ということであろう。

 籠池泰典が待合室で頼んで断られながら、講演会場でいきなり安倍昭恵に再度依頼して、来場者に「拍手して下さーい」と言って、その拍手を以って承認とすることのできる類いの案件であるなら、総理大臣が持つ“社会的信用性の価値”を非常に軽んじていることになる。それ程安っぽくはないはずだ。

 拍手を以って決めたのは皆んなで決めたことにする単なる演出に過ぎないだろう。

 事実そのように決まったなら、安倍昭恵は夫が総理大臣として持つ“社会的信用性の価値”や総理大臣としての立場よりも父兄の手前を優先させ、小学校側が手に入れることになる“社会的信用性にあやかった宣伝価値”に安っぽく身を委ねたことになる。

 要するに安倍晋三自身の釈明が総理大臣として自らが持つ“社会的信用性の価値”を自分から軽んじていることになって、そこに矛盾を見なければならない。

 矛盾は釈明にウソを混じえているから生じることになっているはずだ。

 安倍晋三は森友学園の籠池泰典理事長には一度も会ったことがないと言っている。但し依頼された講演を断るとき電話で一度話したことがある。あるいは自身が出席していた何かの大きい会合に籠池泰典も出席していたかもしれないが、「それは余り記憶に無いこと」だとの表現で会っていないと言っている。

 一度も会ったことのない人物だとすることで利害関係の希薄性を証明しようとしているのだろう。

 第1次安倍内閣の首相を辞任してから再び首相に返り咲く2012年12月26日以前に安倍晋三記念小学校の命名を依頼され。今回の国有地取得問題で様々な疑惑が報道されるようになってから、「改めて事務所の方からですね、安倍晋三小学校ということについては、それはお断りすると」と正式なお断りを入れた。

 この釈明には多くの矛盾が潜んでいる。先ず第一番に籠池泰典は安倍晋三にとって幽霊のような存在となっている。

 当時はそうであった元総理大臣に安倍晋三記念小学校という名前を冠したいと依頼するのに直接安倍晋三と会って、直接丁寧にお願いすることもしなかった。

 今回の森友学園に関わる疑惑が生じてから安倍晋三の事務所側から正式に電話で断った後も、籠池泰典は安倍晋三記念小学校という名前を使って募金していたことの謝罪も電話で済ませたのみで、直接来訪して直に頭を下げる謝罪もなかった。

 命名のお願いも迷惑をかけていることの謝罪も社会的通年としては逆のことをしなければならない。一切そういうことをしない幽霊として存在している。

 このような矛盾はそこにウソを混じえていなければ生じない。

 安倍晋三は籠池泰典が大きな会合に出席していたかもしれないが、そういった場所でも顔を合わせていなかったと話しているが、その会合のホストが安倍晋三でなくても,安倍晋三が出席していれば、元総理大臣という肩書か現職総理大臣という肩書によって、その辺のザコではないのだから、否でも目立つことになる。ときにはホストの存在感を奪って主役の座に躍り出ることもあるはずだ。

 当然、もし籠池泰典が出席していたなら、安倍晋三記念小学校という命名を依頼していた関係からも、安倍昭恵が名誉校長就任後なら、そのお礼なり感謝なりを伝えるために籠池泰典が自身の方から近づいて何らかの挨拶をするはずだし、しなければならない。常識中の常識であろう。

 いわば籠池泰典と面識がないことを以て利害関係の希薄性を証明するための譬えに「何か大きな会で来られていたかもしれませんが、それは余り記憶に無いことでございますが」と大きな会合を持ち出したこと自体が矛盾した釈明以外の何ものでもない。

 ゴマカシやウソに達者でありながら、上手の手から水が漏れたのだろう。尤もらしさを装おうとするあまりにウソが顔を覗かせてしまった。


 2017年2月24日衆院予算委員会・今井雅人

 今井雅人が安倍昭恵が名誉校長を引き受けたとき安倍晋三に相談があったのか二度質問したが、二度共答えていない。森友学園のホームページから安倍昭恵の挨拶のページが2月23日までに削除されたことを今井雅人が「また隠蔽するのかというふうに思いましたが」と発言したことを捉えて、隠蔽したとは妻を侮辱することだとか、私が隠蔽したというのかとか、公共の電波を使ったレッテル貼りだ、イメージ操作だ、だから、国民の信頼を受けることはできないんだと色をなして今井雅人を攻撃すると、今井雅人は腰が引けてしまったのか、安倍晋三に相談があったのかどうかは重要な点だったが、最終的には聞かずじまいにしてしまった。

 既に触れたように安倍晋三が総理大臣としての“社会的信用性の価値”に縛られている以上、世間の常識からすれば、相談ばかりか、安倍晋三の承認なくして就くことのできない名誉校長であろう。

 安倍晋三としたら、相談があったと言った途端に安倍昭恵が籠池泰典理事長に講演の時間待ちで待機することになった待合室でいきなり依頼され、一旦は断ったものの講演会場で再度頼まれて来場の父兄の拍手を求めることで無理やり引受されられたというシナリオがたちまち崩れることになる。

 相談はなかった、安倍昭恵の単独の行動だということにすると、上記シナリオは破綻させずに維持できるが、安倍晋三が纏っている総理大臣としての“社会的信用性の価値”があってこそ、安倍昭恵の総理大臣夫人としての“社会的信用性の価値”が維持できる関係にある以上、その関係の延長線上にある行動として夫の安倍晋三に断りを入れなければならないはずのところを、安倍昭恵の方から断りを入れずにその関係を蔑ろにする勝手な行動と言うことになって、今度は安倍昭恵自身が批判を受けることになり、相談しないということはできないはずだ。

 要するに相談はあったとも、なかったとも答弁することはできなかった。

 この点は見過ごすことはできない大きな矛盾である。何度でも言うことになるが、ウソをついていなければ、このような矛盾は生じない。

 森友学園の様々な疑惑に関わる安倍晋三の国会答弁にウソをついていなければ生じることのない数少なくない矛盾を私自身は見い出すことになった。ここに少しでも妥当性があるなら、その矛盾を以てして安倍晋三を追求することを願う。

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安倍晋三の安倍晋三記念小学校と安倍昭恵名誉校長に関わる国会答弁にあなたはどれ程の矛盾を発見できるか

2017-02-26 11:51:24 | 政治

 2017年2月17日衆院予算委員会の福島伸享民進党議員、同じく福島伸享議員の2017年2月24日衆院予算委員会、同じ日の今井雅人民進党議員の安倍晋三に対する森友学園が新しく設立する小学校に安倍晋三記念小学校と命名依頼されたことと安倍晋三夫人がその小学校の名誉校長を引き受けていた件についての追及と、その追及に対する安倍晋三の答弁のみを以下に掲げてみる。

 皆さんは安倍晋三の答弁にどれ程の矛盾を見つけることができるのだろうか。

 矛盾は提示した事実に実際の事実とは異なる偽りを施し、ウソを紛れ込ませることから生じることになる。

 2017年2月27日、明日のブログで私自身が見つけた矛盾、いわばウソを並べてみることにする。安倍晋三の答弁は殆どウソで成り立たせている。

 2017年2月17日衆院予算委員会・福島伸享

 福島伸享「この小学校の名誉校長とされているのが、安倍昭恵先生という方で、(瑞穂の國記念小学校ののホームページの)右を見ると、『安倍晋三内閣総理大臣夫人』と書いてあります。この理事長の『籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させて頂きました』。この事実、総理はご存知でしょうか?」

 安倍晋三「あの、事実についてはですね、事実は、うちの妻が名誉校長になっていることについては、承知をしておりますし、妻からですね、この、森友学園ですか、の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話は聞いております。
 
 ただ、その、誤解を与えるようなこの質問の構成なんですが、私や妻がですね、この認可、あるいは国有地払い下げに勿論、事務所も含めて、これ一切関わってないということは明確にさせて頂きたいと思います。

 もし関わっていたんであればですね、これはもう、私は総理大臣を辞めるということでありますから、これははっきりと申し上げたいと、このように思います」

 福島伸享「ま、しかしこれ、ホームページのトップにこれが出てくるわけですよ。当然、この学校が開設されればですね、私学助成金も入ることになります。この学校にそれ以外に、文部科学省以外に何か補助金は出ておりますか?」

 由木文彦国土交通省住宅局長「お答えいたします。国土交通省では建物の木造化、木質化を推進するために、先導的な設計、施工技術を導入し、建築物の木造化、木質化を図るプロジェクトに対しまして通常の建築物と比較して、木を用いることで割高となる金額の一部を補助して参っております。

 学校法人、森友学園が行なう小学校の校舎棟の建設については、この補助事業にもとづく補助金を交付しております。補助に当たりましては公募によりプロジェクトを募った上で学識経験者等による評価委員会での審査を経て採択を行っているところでございます。

 森友学園のプロジェクトは平成27年度に応募がございまして、同年に採択した8件のうちの一つとして、適正な審査を経て採択したものでございます。このプロジェクトは27年度から28年度に亘り工事が行われており、二カ年で合計約6200万円出、約6200万円の補助金を交付するものでございます」

 福島伸享「6200万円もの補助金が交付されるもので、重大なものなんです。私は『総理が関わっている』とおっしゃっているわけではありません。あんまりムキになって反論すればする程怪しいから、冷静にご答弁を是非お願いをしたいんですけども、この学校はですね、先程申しましたように、最初賃借でとやったのはですね、学校の用地は、学校の用地はですね、普通は買うんですよ、国有財産。それを特例で、色々議論があって賃借をしたというのは、学校の設置の当初はお金がかかって、この学校は自己資金がないから賃借にしてくれということで、寄付金集めがですね、設置認可の条件になるぐらい苦労されてます。

 そこで、その学校もずっと寄付金集めをやっておりまして、次(ボード)、こういうのがですね、父兄の方、皆さんにですね、渡されて、寄付をお願いしますというものが出されておりました。(保護者に配布された封筒を手にする)

 ここでお手紙が、『記念小学校設立に向けて』という籠池理事長のお手紙がありまして、『さて、かねてより保護者の皆さまからご要望いただいておりました小学校開設の件ですが、ようやく十年来の構想が実現する運びとなりました。しかしながら、小学校の建設には10億円の費用を要し、本日現在2億円の資金不足が生じております。つきましては是非、皆さまのご協力をお願いしたく、ご寄附をお願いする次第です。書面にてあつかましいお願いで恐縮ですが、寄附金は1口1万円とし、2口以上のご寄附を賜われると幸甚に存じます。ご寄附にあたっては同封の振込用紙をご覧いただきますようお願いします』

 平成26年3月ということで、これが同封された振込票ですけども、ここに『大変厚かましいお願いでございますけども、同じふた口を御願い致します。なお、ご寄附を賜りました方には安倍晋三記念小学校の寄附者銘板にお名前を刻印し、顕彰させていただきます』。

 これ、総理が悪いって言っているんじゃないですよ。利用されてるだけじゃないかと思うんですが、こうした名目でお金を集めているということを総理はご存知でしたでしょうか」

 安倍晋三「私、あのー、そもそも、今、話を伺ってですね、初めて知ったわけでございますが、これは私が総理を辞めたときにですね、ときに、その妻が知っておりまして、そしてその中でそういう、いわば私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から小学校をつくりたいので、安倍晋三小学校にしたいという話がございましたが、私はそこでお断りをしているんですね。

 私はまだ現役の国会議員だし、総理大臣は辞めたけれども、この先、もう一回復帰することを諦めたわけではないので、現役の政治家である以上ですね、私の名前を冠にするのはふさわしくないし、そもそも私が死んだ後であれば別だけども、何かそういう冠をしたいのであれば、私の郷土の大先輩である吉田松陰先生の名前とかをつけられたらどうですか?というお話をしたわけでございます。

 事実、『安倍晋三小学校』なんてものは、これ、存在をしていないわけですよね、名前が違うわけですから。ですから、そういう意味においては私はこれは初めて知ったわけでございます。これが本物かどうか、私も確かめようがないわけでございますが、いずれに致しましてもですね…いずれに致しましても、繰返して申しあげますが、私も妻もですね、一切この認可にもですね、あるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、な、なぜ、これは当初の値段より安くなっているかということは、これは理財局に聞いて、もう少し詳細に詰めて頂きたいと思いますし、認可に於いては大阪府ですか、えー、小学校、中学校、ですから大阪…市になるのかな?府ですか? に確かめて頂ければいいことであってですね、私に聞かれても、これは全く分からないわけでありますし。

 (かなり慌てている)繰り返しになりますがですね、私や妻が関係していたということになれば、これはもう、まさにこれはもう、私は総理大臣も、妻も間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは、申し上げておきたいと思いますし(前に突き出した左手を念を押すように一振りして強調)、そもそも、何かそういうことが動いているかのようなことを、その、前提にお話をされるとですね(肘を曲げて前に持ち上げた左手を小刻みに上下に動かす)、この小学校にですね、通う…(議場騒がしくなる)…通う子どもたちもいるんですから、それは、こういうことはですね、やっぱり慎重にちゃんとやっていただきたいと、このように思います」

 福島伸享「これね、籠池理事長がこう言っているんですよ。『安倍総理が野党議員の時の話です。内諾はいただいていましたが、総理になってそれはできないと辞退されました。安倍総理は政治家というより偉人ですよ』

 もう総理にメロメロなんですけど。ただ、これ(振込票)が出ているのは平成26年ですから、総理になっているときなんですよ、実は。総理に断られたかもしれないけども、総理が総理にもう一度復帰された後にも、この振込票が流れているわけですから、厳重にね、抗議をした方がいいと思いますし、『李下に冠を正さず』という言葉がありますけども、奥様も含めてですね、広告塔のようにホームページに出るのは、私はね、控えられた方がいいと思いますよ。

 あの、学校の趣旨に総理が非常に賛同されているというのは分かりますけども、総理というのは大きな権力があるわけです。先程の天下りの話も、国家権力を使ってですね、役人が天下って、そこに不当に国民の税金が流されているんじゃないかということなんです。

 この問題も不当にですね、国有地、国民の財産ですよ。それが安く売られてですね、学校設置にも便宜が図られ、寄付金集めにも総理の名前が出され、生徒集めのホームページが奥様が出るというのは、私は、多くの国民はそこで疑問を感じちゃうんです。私は初めから、総理が悪いなんて決めつけてませんよ。決めつけていないけれども、総理の立場にある身であるとするならば、そういうものはもっと、慎重にするべきだと私は思います。

 そしてこの問題の本質は、8億1900万円もの国民の財産が、この森友学園に譲り渡されているのが本質なんですよ。それはまさに来年度の予算にも関わる話でございますので、採決を、中央公聴会の後に採決に向けた、出口に向けた日程にすることなく、この問題についても、天下り問題と並んで、しっかりと今後も審議する時間を設けていただくことを委員長に最後にお願いを申し上げまして、質問といたします。ありがとうございました」



 2017年2月24日衆院予算委員会・福島伸享

 福島伸享「ちょうど先週(2月17日)、森友学園の国有地の売却問題につきましてこの場で質問させて頂きまして、その後我々も現地に行ったり、役所から様々な資料を集めて調査をして参りましたが、次から次へとですね、数限りない怪しげな論点が出て参りますので、今日はその一つについて明らかにして参りたいと思っております。

 テレビ東京の番組が、私自身もですね、幼稚園の保護者の方から聞いた話でありますが、平成27年9月に森友学園の幼稚園で安倍昭恵、安倍総理の夫人が講演致しまして、籠池理事長からその場で瑞穂の國記念小学校の名誉校長の就任を依頼されて、理事長が拍手して下さーい、と促されて、保護者の皆さんが拍手をして、その場で受諾したというか、そうした光景がですね、テレビに映されております。

 ところがですね、昨日(きのう)午後、瑞穂の國記念小学校のホームページにあった、このですね、名誉校長安倍昭恵先生、安倍晋三内閣総理大臣夫人の挨拶が消されております。

 先週私が質疑で『李下に冠を正さず』という言葉がありますけども、奥様が広告塔のようにホームページに出るのは控えられた方がいいですよと言ったんでけども、この間、こういう指摘を受けてですね、安倍昭恵夫人はこの学校の名誉校長をお辞めになったということでしょうか」

 安倍晋三「この件については私への指摘ではなくて、私の妻、えー、のことであろうと思います。えー、今ご紹介頂いたんですが、私の妻からですね、敬意を聞いたんですが、確かに名誉校長に就いた経緯がご紹介頂いた通りででございます。

 実は講演の前にですね、講演の前の待合室に於いて名誉校長になってくださいと頼まれてですね、実は妻がそこで断ったそうであります。『それは申し訳ないけれども、それはお受けできないとこう申し上げていたわけでありますが、ウチの夫の関係もあるので、それはお引き受けできないと断っていたわけでありますが、しかしその後にですね、突然、その場でですね、えー、この籠池さんかな、籠池さんからそのように紹介されて、拍手をされた。

 そう言うことによってですね、その場でお引き受けできないとはっきりと言うことができなかったわけでございます。勿論、その場でですね、私はお受けできないと、父兄がいるわけですから、そこで、そこではそういう答をしてですね、しかしその後、やはりこれは、あれは急に出されて私も当惑ししましたと、お引き受けできませんよという話をしたんですが、その後何回も遣り取りがあり、この父兄の前でああ仰ったんだから、それは引き受けて貰わないと困りますよということで、まあ、最終的には引き受けることになったということでございます。

 しかしその後ですね、その後先方から(考え、考え話す。慎重に言葉を選んでいる様子)こうした出来事、福島委員が私に質問されて以降も、何ら説明もなかったものですから、家内から何回か連絡を取り、最終的にこの連絡を取った段階に於いてですね、ええー、これはそういうことはしっかりと説明されないということは教育者としては如何なものかということを自分は思うと相手に伝えたところでございます。

 また、私の安倍晋三小学校ということについては再三お断りしているにも関わらず、ああして名前を使われたことは極めて遺憾だということを伝え、そしてその後ですね、その後事務所の方から正式にですね、先方に連絡を致しまして、えー、妻としては自分がこうした経緯があるとは言え、名誉校長を引き受けていることによってですね、そこに通う子どもたちやご両親に却ってご迷惑をかけ続けることになるんで辞任をさせて頂くということを先方に申し入れたそうであります。

 実はこれはお断りしたわけでありますが、実はその、何回もですね、何回も事務所の方に、えー、これは依頼が、1回断ったんですが、ずっと来続けて、それは秘書が対応しておりましたが、秘書が連続してお断りし続けて、ですから、秘書の方から何回も何回もお断りし続けてるじゃないですか。

 であるにも関わらず、寄付集めでこうした名前を使われたことはこれは本当に遺憾であり、と言うことで抗議をしたところでございます。先方からもですね、それは一日ふつかしか使っていないと言う、そういう釈明があったんですが、しかしそういう問題ではなくて、これは名前を使わないというお断りをしているわけだということについては、これは大変遺憾であり、大変残念であるという強い抗議をし、先方からは申し訳ないという謝罪があった所でございます。

 ま、そういう経緯もあり、えー、先方のホームページ等々からは、えー、妻がですね、名誉校長ということで載っていたわけでありますが、先方がこちらの申し入れに従って削除したのではないかと思います」

 福島伸享「安倍昭恵夫人が名誉校長を辞任されたということは今確認を致しました。それは総理としても、その件が出てきてですね、何かおかしな点がある、怪しい点がある、しっかりと事実解明しなければならない点がある。そうしたことに自らが関わられているかのように思われるのは非常に心外であると、そういう観点からそうされたということでよろしいでしょうか」

 安倍晋三「そもそも私は、私が講演するということが決まったときにですね、お断りしたんですが、お断りする際に電話に代わって話したのがですがね、殆んど唯一に近いと思うわけでありまして、その、個人的にお目にかかったということは。

 何か大きな会で来られていたかもしれませんが、それは余り記憶に無いことでございますが、そういう中でどういった、私自身は、日報のようなものを出されているので、ちょっと見たことがある程度でございますが、家内は会って、非常に、えー、情熱的のある方だということを言っていたということでございますが、今般、あの、『安倍晋三小学校の寄付を集めるために』を見ました。私も非常に驚愕を致しました。

 えー、ですから、実は私の事務所にはですね、それまでこういうものがある、どうなのという問い合わせは一回もなかったのでありますから、全く存じ上げなかったのでございますが、当然大きな不信を持ちまして、ま、しかし4月から学校法人からスタートしましてそして通う子どもがいるということもございまして、どうすれば、どう対応すればいいかということも考えていたところでございますが、しかし基本的にですね、また先程申し上げましたように事務所に対する等の遣り取りがどうだったのかということを調べたところですね、えー、これは何回も何回も断ったということは明らかになりましたので、また今回のですね、様々な出来事がございましたので、明確に妻とも話し、そして今回名誉校長の件を退くということになったということでございます」

 福島伸享「もう一件、学校の内容について若干確認しておきたいことがあります。我々は大阪府教育庁の方に先日ヒヤリングに行ってきまして、この学校の許可申請について様々な相談に乗ってきた課長さんや部長さんからお話を伺って参りました。

 平成25年9月にですね、森友学園が初めて学校設立の相談にきたときに安倍晋三記念小学校という名をつけたい、どうだろうかという話をして、流石にこれは大阪府の職員さんの方はびっくりしたということで、さすがにその名前はマズイんじゃないかと言ったということなんですね。

 募金名簿が出回ったのはですね、平成26年3月であります。先程テレビに出た記念講演での奥様の発言でもですね、先生からは、籠池理事長ですね、からは安倍晋三記念小学校にしたいと当初は言って頂いたんですが、名前を付けて頂けるのであれば、総理大臣を辞めてからにして下さいというふうに仰ってるんですよ。

 総理、お辞めになって、そしてあの学校が安倍晋三記念小学校になるってことは、今の答弁でまさかないと思いますが、学校に来てですね(?)、ミ・ズ・ホ・ノ・ク・ニって上に4文字書いてあって、さらに4文字空けて、記念小学校とあって、安倍晋三と入れるスペースが空いてるんですよ。
 
 穿った見方でありますけどもね、もうこれは一切、安倍晋三記念小学校なることもなければ、奥様仰ったかもしれないけど、この問題が明らかになるまでは内心将来安倍晋三記念小学校、できてもいいよなと、総理ご在任中は一度もないということでよろしいでしょうか」 

 安倍晋三「あの、そもそもですね、安倍晋三記念小学校という名前をつけたいという依頼は私が総理大臣になる前の話であります。えー、一議員のときでありましたが、その前の段階で既にお断りを、妻を通じてでございますが、妻に依頼がございまして、妻は『主人はそんなことは受けないと思いますよ』と答えたんですが、この方は非常に拘ると言うか、人の考え方に従わない方でございまして、ま、それはウチの事務所との何回も遣り取りがあったということをですね、で、これでご理解を頂けると思うんですが、ウチの妻にも何回も言ってきたわけでもありすが、私はそういう気持がない。

 それぞれですね、例え私が自費でですか、学校を作ったとしても、安倍晋三記念小学校何ていう名前はしないですよ、常識で考えて当たり前じゃないですか。そんな私はタイプの人間じゃないですよ。もしそういう名前をつけるんであるなら、地元の偉人である吉田松陰小学校とかでね、いいんじゃないですかと、私は完全な人間じゃないんでね,私の身に何があるか分かりませんから、それは絶対にやめて貰いたいということをこれは実は再三申し上げているわけです。

 で、その中で非常にしつこい中に於いてですね、しつこいと言ったら、非常に何回も何回も熱心に言ってこられる中にあってですね、ウチの家内がですね、えー、その、ある種の苦し紛れの状態の、もしかしたら辞めたら気が変わるかもしれませんねということを講演等の中の遣り取りで言ったことがありますが、私自身は全く最初からですね、そんなことは微塵もですね、考えてはいないわけでありまして、自らの人生を省みてですね、私の名前を小学校に冠すると言うことは極めて不適切だと、このように考えております」

 福島伸享「何か先週(安倍晋三の答弁)から大分変わっちゃったなあと思いますけど、先週ですね、総理はいわば『私の考え方に非常に共鳴している方』と同志愛を示されておりますし、同じ安倍昭恵さんも講演で、『こちらの教育方針は大変主人も素晴らしいと思っていて』と仰っていて、何か相思相愛のような感じだったんだけど、この1週間で随分変わってしまったんだなあというふうに思っております。

 この学校の色んな理念を見ますと、戦後日本の教育カラーを打ち破ろうとしたりですね、日本の国柄を感じる教育をしよう、文武両道の達成を目指したりしよう、仰ってることは非常に尤もらしい、素晴らしいことを言っているところも多いんです。

 しかし先程からしつこい方、しつこい方と仰っりますけども、人の名前を利用して仕事をする人というのは、パッと眉に唾をつけて見るというのは多くの人に精通している政治家なら、そうすると思うのですけど、どうもこの学校を運営している幼稚園というのは学校の理念とかですね、掲げている教育内容と違ったもんで、色んな問題があるんですね。

 昨日もお話させて頂きましたけども、この幼稚園に通っていたお母さんから聞いた話で、子どもがですね、いつも家に帰ってきて水筒の水が、お茶が減っていなんですね。どうしたのと聞いたら、幼稚園でお手洗いの回数が増えるからって、給食のときにお茶を飲んだら怒られるそうです。

 海軍式の教育って言ってですね、トイレの時間が決まっていて、それ以外に行ってはいけません。まだ子どもですから、我慢できなくてお漏らしをしてしまうときもあります。でも、学校にですね、オムツ替えやパンツを持っていくのは禁止されていて、お漏らしをしちゃうと職員室で、『ボクはお漏らしをしちゃいました。まだ赤ちゃんです。すみません』と言わないと(右手を何か宣誓するときのように高く上げてから、手と一緒に一度頭を下げて子どもの仕草を表現する。)、替えのパンツを貸して貰えないそうです。

 また理事長はですね、公立小学校なんか行っちゃあいけない、何度も言っててですね、受験を落ちるとですね、○○さんは受験に落ちたと言われてですね、朝礼のときに名指しして立たされる。で、お子さんはですね、家に帰ると、目はパチパチさせながらですね、お母さんが怒ると、(今度は上げた手と共に頭を何回も下げて)『ハイ、ごめんなさい、ごめんなさい』と頭を下げるらしんですね。ウチではそんな躾はしていないのに幼稚園に行ったら、そんなになっちゃったと言うような話を聞いて、非常にですね、衝撃を受けました。

 トイレに行かせないというのは文科省の見解でも体罰だと、そもそも幼稚園は体罰、懲戒は認められていないということであります。で、総理はですね、『こちらの教育方針は大変主人も素晴らしいと思っている』、安倍夫人は言ってるわけですけれども、この学校のどういう教育方針に共鳴されたのか、そして今の話を聞いて、やあ、自分の思っていることと違うなあ。どういう風にお感じになりますか」

 安倍晋三「あの、いわば私が存じ上げているのは学校の理念として掲げられたもの、パンフレットのようなものをちらっと見せられたわけであります。ええ、つまり安倍小学校なるものは存在しないわけでありまして、私はしっかりとお断りしたということは明確に申し上げたとおりでございます。

 ですから、私はこの学校がやっていることについてはこれは詳細については全く承知していないわけでございます。まさにこの学校がですね、学校の考え方として、ええ、これから色んな育て方をやっていこうということなんだろうと思います。

 幼稚園もそうなんだろうと思います。幼稚園も既に認可されている。幼稚園だと、認可相当?つまり私は、幼稚園はないんですか。私はそこのところは詳らかには実は知らないんですよ。

 実際にその人と個人的に会ったということは一回もないわけですから。ですから、個人的に会ったことがないですし、お断りをし、何回もお断りをした中に於いて、ま、こういうことが怒ってしまったということは残念でありますが、そこでどういう教育が行われているかと言うことについてはですね、これは当然、文部科学省がですね、文部科学省が責任ある官庁としてですね、判断すべきことであり、また県なのかな、大阪府が認可すべきかどうかということについては大阪府が判断すべきだろうと思います。

 今私が国政の長である私がですね、コメントすることは適切ではないと思います」 

 

 2017年2月24日衆院予算委員会・今井雅人

 今井雅人「先程福島さんの質疑のところで、えー、色々と仰っていましたが、そのことに関して私は申し上げたいんですけど、昨日はですね、この予算委員会で、一般質問で、この問題を取り上げさせて頂きました。この質問を前にホームページにこれ(安倍昭恵の瑞穂の國記念小學院時の挨拶)が載っているのは確認してきています。

 それで私が昨日申し上げたのは安倍昭恵さんという個人で名誉校長になられているなら、まあ、それでも疑義がありますけれども、まだいいですけど、ここに安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いてあるわけです。

 これ役職、ある意味肩書になるわけですね。これが載っているということは内閣総理大臣の夫人ですから、あの、ご夫婦ですから、一緒にやっぱりやっているように見られるので、色んなこういうものが色んな所で使われますから、これではマズイんじゃないですかという話をしたんですね。

 そしたら、戻ってみたら、ホームページ見たら、削除されていまして、早いなと(軽く苦笑交じりの笑みを見せる)思いましたけど、また隠蔽するのかというふうに思いましたが、いや、(ヤジに対して)そんときはそう思ったんです。いやいや、そのときはそう思ったんです。

 まあ、先程既に校長を辞められたということでありましたけども、見た瞬間削除されていたんだから、どうしてと思うのは当たり前ですよ。質問したら、そうなったんで、で、そこでチョットお伺いしたいんですけど、先程ですね、何度も何度も断ったんだと、何度も断ったことを仰ってますが、問題なのは最後受けたことなんです。

 途中で何回断ったなんて、別にそんなことはプロセスじゃないですか。いつも総理は結果が大事だと、引き受けたというのが結果なんです。引き受けたんですよ。途中で断ろうが何しようが。で、お伺いしたいんですけど、この校長をお引き受けになったときに総理に相談はありましたか」

 安倍晋三「先ず何度何度も断ったというのはですね、安倍晋三小学校についてついて申し上げたわけであります。

 それと隠蔽というのはですね、これは失礼ですよ。あなた達はすぐにレッテル貼ろうとしている。この問題についてもですね、まるで私が関与しているが如くの、ずっとそういうですね(手を広げたり、片手を伸ばしたりのジェスチャーたっぷりに)、テレビ中継のイメージ操作をこの予算委員会のこの時間を使ってですね、延々と繰返していますが、皆さん、それが得意だし、それしかないのかもしれない。

 それしかないのかもしれませんが、隠蔽するのはですね、隠蔽するのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか。私がですね(ヤジで騒然となる)、ホームページがですね、私が森友学園のホームページに対して私が隠蔽しようがないじゃないですか。

 そういうイメージ操作をね、やめるべきですよ。そういうことをしているからですね、国民の信頼を受けることはできないんですが、そういうですね、そういう、(左方向の左手を差し出して)すみません、ちょっとヤジをやめて頂けますか。大切なところなんですから。

 こういう大切な議論をしているときに正確な議論をすべきなんです。

 その中でですね、その、この先方がですね、家内の、あの名誉校長というホームページをですね、隠蔽したと言う方はですね、これは消して、先ず取り消して、隠蔽というものを私に質問する前に先ず取り消して下さい」 

 今井雅人「あのですね、総理はここにおられませんでした。ですから、総理が隠蔽したなんて私が言うわけないじゃないですか。いらしゃらなかったじゃないですか。そんなこと言ってません。私は主語は何も言ってません。誰か隠蔽したとも言ってません。言ってないですよ。

 (ヤジに対して)言ってません。隠蔽かと思っただけで、誰が隠蔽したとも言ってませんし、(安倍晋三が何かヤジを飛ばしたのか)総理、それはおかしいですよ。そんなことは言ってないですから。

 それでさっきの質問に答えて下さい、もう一度。ご相談はあったんですか」

 安倍晋三「じゃあ、今申し上げます。では、私がウチの家内が隠蔽したとはあなたは言ったんではないんですね。それを先ず確認させて頂きたい。それはそう言っていない。隠蔽していないということをですね、(今井がだろうか席に座ったまま何か言ったことに対して)質問権はそっちに言うことはないんです。

 ですから、私を侮辱したんですから、この公共の電波の前でね、侮辱した以上ですね、それはちゃんとやって頂きたいと思います。綸言汗の如くと言ってですね、離れた言葉はそう簡単に、テレビの前で離れた言葉は戻ってこないんですよ。

 ですから、そういうイメージ操作は厳に慎むべきなんですよ。ですから、そういう隠蔽という、隠蔽というのはどういうことかと言うと、ね、隠蔽というのはどういうことかと言えば、まさに出来事がなかったかのように隠そうとしていることであります。

 ま、そのことをですね、そのことをはっきりと理事の皆さんにも申し上げておきたいと私は思います。都合の悪いことを私が答弁し始めると、理事の皆さんが出るんですか。先ずそのことについてはですね、そのことについては反省して頂きたい。

 その上に於いてですね、その上に於いてですね、名誉校長については先程申し上げましたが、経緯を申し上げましたように、経緯を、辻本さん、いい加減にして下さい、もうヤジで。

 (委員長のヤジに対する注意が入る。)

 そこでですね、先程申し上げましたように名誉校長の件については、いわば講演会に行ったときにですね、そこで講演会の際にですね、理事長に対してお断りさせて頂いたところですね、その後、講演をし、そこでですね、そこで是非名誉校長をお引き受け頂きたいと話し、どうですかと言って聴衆、来て頂いた方々がおられたんですね、ま、そこでですね、宜しくお願いしますと、こう頼まれたわけでございます。

 で、妻の記憶では、そこでは明確に、えー、答えずに笑っていたということでございますが、その後、遣り取りがあった中に於いてですね、最終的には確かにそういう形になったわけでございます。

 で、私もですね、その段階では森友学園というのはよく承知をしていなかったんでございますが、ま、この理念等々について(パンフレットを)見せられたわけでございます。基本的にはですね。

 基本的にはなるべくですね、私の地元は(安倍晋三記念小学校の設置場所とは)別なんですけども、地元に於いても名誉校長等、名誉理事長等々の多いわけですから、基本的にはお断りしていることもあります。

 お引き受けしていることもありますが、地元でも断っていることもございますから、それ以外に於いては基本的に両方共受けない方がいいんだろうということでございますが、大変熱心に依頼された結果ですね、ま、そうしたことになったわけでございます。

 ま、しかしこれはまさに名誉ということで受け入れたわけでございますが、同時にですね、同時に、ま、こうした出来事が起こり、先方が詳細な説明がない中に於いて、ま、妻からも、妻からも先方に抗議をしですね、そして何よりも安倍晋三小学校ということについては実はお断りを明確にし、その後事務所にも何回も依頼がある中に於いて事務所の方で何回もそれはお断りしたわけでございます。

 それに対してはですね、先方の方から謝罪があったところでございますが、えー、そういう形で安倍晋三小学校ということについてはまさに存在していないということでございます」

 今井雅人「いや、総理のことは聞いておりません。奥様が名誉校長になられたときに総理にご相談があったかということを聞いているだけですから、イエスかノーだけなんですよ。

 長々と喋って頂いても困るだけですけども、私が申し上げたのは、この間も申し上げましたけど、内閣総理大臣夫人という立場に、としてですね、ある意味学園の広告塔になってしまいかねないので、こういうところやはりできるだけ受けないようにと仰っていましたけど、受けちゃあダメですよ。

 で、実際ですね、安倍夫人はこの間ですね、総理と25回も外遊されて、ずうっと参っておられるファーストレデイです。(日付順に外遊先の国を書いたボードを見せる。)言ってみれば、まあ、日本の顔なんですよね。公人です。

 そういう方がやはり私立学校の名誉校長を内閣総理大臣という夫人という名前でやっておられるのは私は適切じゃないということを申し上げたんです。だから、そこは考慮されたら如何ですかと言うことを申し上げたかっただけですから、ね、そのことを申し上げたかったと言うことをここでお話をしておきたいと思います。

 先程ですね、理事長にお会いになったとことがないと仰ってるけど、そうですか」

 安倍晋三「その方とはですね、えーま、政治家でございますから、色んな会がございます。そうした会でお目にかかったかもしれませんが、例えば一対一というような形でですね、お目にかかったという記憶はない。

 (誰かが言っていることが違うとでもヤジを飛ばしたのか)いや、先程もそう申し上げていますよ。えー、電話では、電話では私が講演を依頼されていて、講演をお断りする、講演をお断りする際には私が申し上げた方がいいだろうということでお断りをさせて頂いたところでございます。

 因みにですね、え、私の妻がですね、名誉校長を最終的に受けることになったのはですね、それは、えー、それは私が総理に就任する前だったかな、その辺は定かではないわけでございますが、いずれにせよですね、これは総理大臣夫人という肩書を付けられたということについては、それは我々も必ずしも想定はしていなかったところでございます。

 先方の言い方もそうではなかったものですがからね。そういうことです」

 今井雅人「それではこの森友学園の塚本幼稚園という、ご夫人が行かれた塚本幼稚園ですね、こちらもお伺いしたことないんですか」

 安倍晋三「塚本幼稚園にもですね、お邪魔したことはないわけです。要請はあったんですが、たまたま様々な用事でですね、私はお邪魔していないと思います」

 今井雅人「だとすると、この理事長は大変問題児ですね。あのー、この方ですね、山口県の防府市の市長さんと雑誌の対談をしておられまして、こう仰ってます。『安倍総理には当園に足を運んで頂いたこともあり、本当に応援させて頂いております』

 こう仰ってるんです。この方ウソをついていらっしゃるということですよね」

 安倍晋三「あまり、この人がウソをついているいるかどうかと言うことは申し上げたくないんですが、私にはですね、そのー、再三要請があったものですから、何回かお断りする結果になったということですね、記憶に残っておりますから、訪問はしていないとこのように思います」


 今井雅人「明確に言ったことはないと仰ってますから、と言うことであれば、この方は勘違いしているか、ウソをついているかとということでありますので、ま、そういう方が理事長をやっておられるところの名誉校長をやっておられたということも大変問題であると言うことを申し上げたいと思います」

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森友学園「瑞穂の國記念小學院」国有地取得疑惑:安倍晋三も麻生太郎も「疑惑を解明します」となぜ言わない

2017-02-24 11:12:30 | Weblog
 
 副総理兼財務相の麻生太郎が昨日、2017年2月23日の衆議院予算委員会の第3分科会で森友学園によって瑞穂の國記念小學院建設用地として取得した国有地が不動産鑑定評価額約9億5600万円に対して約1割の約1億3400万円の価格で売却された、その値引き理由がゴミの撤去・処分費用として見積もられた約8億1900万円近くとした算定方法について問われ、土地の売買をめぐる手続きは適正だったという認識を示した上で、「政治家が不当な介入をしたことはない」と述べたと、2017年2月23日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。  

 全ての国有地売買のケースについて「政治家が不当な介入をしたことはない」という言葉を使ったのか、この件に関してのみ政治家の不当介入を否定したのか、どちらの文脈で発言したのか調べるためにネットから動画をダウンロードして、麻生の答弁に関する一部分の発言を文字起こししてみた。質問者は民進党の福島伸享。

 福島伸享「麻生財務大臣にお伺いしたいと思います。財務大臣、聞いておりますか。財務大臣は適正な手続きによって処分を行っていると承知しているから、私共としてはこれ以上お答えのしようがないということをおっしゃっております。

 この土地は資料2というのがありますけども(資料2を右手に持ちながら)、最初の不動産鑑定士が鑑定したやつは9億3200万円ですよ。これに基づいて貸付の契約がありました。

 そのときは表面にヒ素や鉛というものがあったので、これを取り払いました。(資料2の)一番下の欄ですけども、それを取り払ったら、9億8千万円の価値になったんですね。これも不動産鑑定士の額です。

 これが新たに何か木屑が発見されたからと言って、国土交通省が見積もったとされる額に従って8億1900万円値引きされ、1億3400万円になっちゃったっていうのは、これはね、国民誰が見たって納得できない話ですよ。

 よくある話じゃないですか。ちょっとタチの悪い人が色々商品に難癖をつけてもっと安くしろと。そう言ったら、そうじゃないよって言って交渉するのが常だと思いますよ。特に財務大臣はそうした国民の国有財産を守るというのが財務大臣の仕事じゃないですか。

 手続きを適正にやるのが役所の仕事です。しかしそこに大臣がいるというのはその手続きに従って行われたことが本当に国民の利益になるかどうかという中身を判断するのが大臣であって、手続が適正であるかどうか答えるのが大臣の仕事じゃないです。

 よく大臣は『私は民間企業の経営出身です』ということをおっしゃいますけども、経営者としてこんな取引をするのはおかしいと思いませんか。こんな取引をもし部下がやってきたら、それでポンと判を押して喜んで安い値段で土地を売りますか。

 やあ、私はそんなことはしないと思いますよ。麻生さんの企業の土地であれば、如何に高く売るかという交渉をさせるはずですよ。こういう国有地の売却の本当に国民にとって利益になるもの、民間企業の経営豊富な大臣のご見解を伺いたいと思います」

 麻生太郎「度々申し上げてますんで、大きな声を出して言わなかったんですが、国有財産と言うものについてはいずれの場合に於いても適正に価格が定められておりますんで、時価で保護する、ということで――」

 福島伸享(座ったまま)「聞いてませんでしたね」

 麻生太郎「聞いてますよ」

 福島伸享(座ったまま)「眠ってたんですね」

 麻生太郎「デカイ声だから、否でも聞こえます。従いまして本件については土地の所有者である大阪航空局、近畿(財務局)・・・、委任を受けたわけですから、大阪航空局、協力して適正な手続きによって処分を行われたもんだと私共はそう考えております。

 従いまして何となく聞いた、我々が聞いた、不当な介入があったかのように、話を持っていったかのように聞こえますが、そういったことはありません」

 福島伸享「(笑いながら)全然聞いていないじゃないですか。時価じゃないって言ってるんですよ。価格決定が不動産鑑定士(急に左横を向いたために声がマイクに入らない。)・・・・、時価でしょうか、そうじゃないということを申し上げているのでありまして、午後の一般質疑もありますので、またそこで議論させて頂きたいと思います。ありがとうございます」

 不動産鑑定評価額約9億5600万円の国有地を大阪航空局や近畿財務局の役所側が撤去・処分を確認していないのだから、コンクリートガラやその他の地中廃棄物が存在していたのかどうかも分からない上にその見積額約約8億1900万円を差し引いて約1億3400万円で売却したという事実関係に取引上の不正や政治家の関与、つまり圧力があったかどうの解明中の問題を商品に難癖をつけてもっと安くしろとすることや麻生が企業経営者なら、部下がこういった取引をしてきた場合、ポンと判を押すかといった情の問題にすり替えている。もう少し鋭く質問できないものだろうか。

 上記「NHK NEWS WEB」記事が麻生の発言として伝えている「政治家が不当な介入をしたことはない」という言葉はこの件に関しての否定ということになる。

 実際には「従いまして何となく聞いた、我々が聞いた、不当な介入があったかのように、話を持っていったかのように聞こえますが、そういったことはありません」という言葉を使った。

 言い回しが的確ではないから、最初は意味がすんなりと頭に入ってこなかった。要するに「何となく聞いた、(あるいは我々が聞いた)あなた方が言っていることは不当な介入があったかのように聞こえますが」と続けるべきところを途中で切ってしまって、「我々の方が安くしろと話を持っていったかのように聞こえますが」と言い替えたのである。

 いずれにしても政治家の不当介入を否定した。

 麻生太郎の姿勢には野党が8億円分の地中廃棄物の撤去・処分の工事をいくら探っても見えてこない、森友学園側も明らかにしない国有地の最安値の売却は疑わしいとして国会でこれだけ取り上げ、マスコミも連日報道している疑惑を、国有地である以上国民の財産であって国政に関係する問題でありながら、政治側が自ら進んで解明する役割を担うことによって国民への説明責任を果たそうという意欲は全然見えてこない。

 安倍晋三も2月17日の衆院予算委員会で、「(国有地売却に)私や妻が関係しているということなれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。全く関係ない」(NHK NEWS WEB/2017年2月17日 18時38分)と自身の不当介入を強く否定しているが、麻生太郎と同じく政治側が自ら進んで解明する役割を担うことによって国民への説明責任を果たそうという姿勢とはなっていない。

 小・中学校の校長等学校責任者は小中学生が自殺したとき、前例に不自由はしないはずだから、先ず第一番にイジメを疑って、調査してみますという姿勢を示さなければならないはずだが、「イジメがあったとは聞いていない」と調べもしないうちから否定してしまい、後の調査によってイジメを認めるという事態を頻繁に見受けるが、児童・生徒や保護者に対して事実関係を明らかにするという公平な姿勢を元々欠いているからだろう。

 要するにイジメが原因だった場合の自分たちに不利な状況を恐れて自分たちにだけ有利を図る不公平な態度を平気で取る。

 安倍晋三にしても麻生太郎にしても事実解明が政府に不利となる事態を恐れているからこそ、口だけの取引上の不正や政治家の関与の否定に走ることになっているはずだ。

 特に安倍晋三は渦中の人である。当初は「安倍晋三記念小学校」という名前を予定し、「安倍晋三記念小学校」という名前で寄付集めを行っていた。安倍晋三自身はその名前を後で断ったと言っているが、「瑞穂の國記念小學院」という名前に落ち着いた。

 8億円分の地中廃棄物の撤去・処分の工事が見えてこないばかりか、森友学園側も書類や写真を見せるなりして工事の実態を明らかにしないのだから、不動産鑑定評価額約9億5600万円の国有地が約1億3400万円で売却されたイキサツに政治家の介入を疑ったとしても無理はない。

 安倍晋三が渦中の人であることは以上の理由だけではない。安倍晋三も森友学園の籠池泰典理事長も共に右翼思想団体日本会議の幹部であり、安倍晋三は麻生太郎と共に日本会議を支援する超党派の議員によって構成されている議員連盟の国会議員懇談会日本会議の特別顧問をしていて、安倍晋三と籠池泰典森友学園理事長とは思想的に非常に近い関係にある。

 いわば両者は思想的にツーカーの関係にあった。少なくとも便宜供与を図っても不思議ではない間柄にあった。

 勿論、だからと言って便宜供与を図ったと言っているわけではない。だが、国有地が不当に安価に売却されているように国民の目に見える以上、不当ではないことを証明して、その証明を以って国民に対する説明責任に代える責任が安倍晋三側にあるはずである。

 だが、そういった姿勢は一切見せずに口でだけ不当介入を否定しているのみである。

 要するに説明責任を果たしていない。

 この質疑で一つのことが明らかになった。当初当該国有地を不動産鑑定士は9億3200万円と鑑定し、この金額に基づいて森友学園側と貸付けの契約があったが、表土にヒ素や鉛等の有害物質である重金属が付着していたが、それを取り除いた後、不動産鑑定士による土地評価額が9億8千万円へと5千万近く跳ね上がった。

 校舎が建つ場所を中心に敷地の約6割にあたる5190平方メートルを対象として杭を打つ場所は深さ9・9メートルまで、その他は深さ3・8メートルまでにあるごみを1万9500トンと推計、すべて撤去・処理する費用を8億1900万円としたとしているマスコミ報道に基づくなら、それぞれの深さにまで掘削して地中廃棄物を撤去しなければならないことになるため、昨日の当ブログに民進党の福島伸享議員が2017年2月17日の衆院予算委員会で追及した質問に関わる配布資料にあった、〈平成21年~平成24年 土壌汚染(鉛・ヒ素)、廃材・コンクリートガラ等の地下埋設物が発覚。※大阪航空局において、地下構造物状況調査、土壌汚染状況調査を実施。〉との文言から、地中廃棄物に混じって鉛・ヒ素が全面に亘って混入していると仮定、豊島新市場の例に習って表土4メートルを新しい土に変える場合の大型ダンプの往路台数を5千台超と計算したが、地中には鉛・ヒ素等の重金属は存在しなかったことになるから、1万9500トンの地中廃棄物は現場で選別できるために新しい土の搬入はコンクリートガラ等の地中廃棄物を取り除いた量分だけとなって、金額的に8億1900万円もかかる計算にはならないし、大型ダンプも台数的には左程のことはないことになる。  

 1万9500トンと見積もりされた地中廃棄物の撤去・処分の工事の実態も見えてこない。明らかにされもしない。国有地の売却に関わる疑惑でありながら、しかも安倍晋三が渦中の人物となっていながら、安倍晋三も財務相の麻生太郎も自ら進んで疑惑解明の役割を担って国民への説明責任に代える責任を果たそうという姿勢も見せない。

 政府の側がいたずらに疑惑を膨らます役目を演じている。

 安倍政権が自らの責任遂行に怠慢を見せている中で会計検査院が2月23日の衆院予算委員会で「一連の事実関係を確認し、国会の議論も踏まえて正確性、経済性等の多角的な観点から検査を実施したい」と述べたと、2017年2月23日付「日経電子版」が伝えている。

 イジメが結局は学校は第三者委員会を設置して、その調査に頼らなければならないように安倍政権自身も自ら責任を果たすことができずに会計検査院の検査に頼ることになりそうだ。情けない話ではないか。

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森友学園への国有地評価額約9.5億の約1.4億売却理由、地下埋設物は果たして存在したのか検証

2017-02-23 11:21:45 | 政治

 民進党の福島伸享議員が2017年2月17日の衆院予算委員会で追及した質問に関わる配布資料によると、森友学園「瑞穂の國記念小學院」建設に関わる不動産鑑定評価額約9億5600万円の国有地がコンクリガラやその他の地下埋設物が存在していたことにより、その撤去・処分費用見積もり額約8億1900万円を差し引いた約1億3400万円で2016年6月20日に売却された。  

 このことが正当な売却かどうか、現在国会で取り上げられている。

 売却価格も問題だが、「瑞穂の國記念小學院」は2017年4月開校予定だが、名誉校長に安倍晋三と似た者夫婦安倍昭恵が就任していて、当初、「安倍晋三記念小学校」と命名される予定で、「安倍晋三記念小学校」と印刷された振込用紙で寄付集めを集めを行っていた。

 この「安倍晋三記念小学校」という命名は安倍晋三自身が断ったと国会で答弁しているが、夫婦揃って関係していたとなると、自身は「私や妻が関係しているということなれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。全く関係ない」と否定しているが、本人が言っていることである、安倍晋三が便宜を図ったのではないかという疑いも考えなければならない。

 先ず不動産鑑定評価額約9億5600万円の国有地が約1億3400万円の価格で売却されたことが正当性を持つためには誰でもが考えることだが、実際に地下埋設物が存在していて、撤去・処分の工事が実際に行われ、その費用が約8億1900万円近く要して、その金額が実際に支払われたかどうか、あるいは支払われることになっているのかどうかを証明しなければならない。

 この証明は疑惑追及側の野党、森友学園側、地下埋設物撤去・処分の費用見積もり算出とその見積もりに従った国有地売却に関わった近畿財務局、大阪航空局がそれぞれの役割と役割に付随することになる責任範囲に応じて行われなければならない。

 国会での追及側の民進党が2月21日に現地視察していて、そのことを「東京新聞」が報道している。     

 現地視察者は民進党の国会議員による「追及チーム」の民進党幹事長代理の玉木雄一郎民進党幹事長代理はや辻元清美、2月17日の衆院予算委員会で安倍晋三を追及した福島伸享等だそうだ。

 福島伸享「8億円分の作業はダンプカー4千台が行き交うような状況だ。地元の方にも聞き、それに相当する工事はやっていないと感じた」

 視察後か、売却に関わった近畿財務局と大阪航空局の担当者から大阪市内で聴き取りをしたという。

 玉木雄一郎「基本的な質問にも十分な答えがなかった」

 記事が伝えている発言はこれだけである。民進党のサイトにアクセスして、現地視察と聞き取りについて詳しく伝えているかどうかを探してみたが、見つからなかった。大きな疑惑を抱えていながら、ときには簡略化した内容のみしか伝えないマスコミに頼らずに自分たちで詳しく伝える努力をして、国民から意見や情報提供を求めるといったことをしない。こういったところが抜けている。

 福島伸享が8億円分の地下埋設物の撤去・処分工事はダンプカー4千台が行き交うはずだが、そういった状況を目撃した地元民は存在しないといったことを発言しているが、少々勘違いしている。

 2017年2月17日付「asahi.com」記事に地下埋設物の撤去・処分のためにどのくらいの深さで掘削するか書いてある。  

 〈両省によると、ごみ撤去費の見積もりは、国交省が2009年度に地下3メートルまで調査した結果や森友学園による小学校建設の設計図を参考に、国交省大阪航空局が算定。

 校舎が建つ場所を中心に敷地の約6割にあたる5190平方メートルを対象とし、杭を打つ場所は深さ9・9メートルまで、その他は深さ3・8メートルまでにあるごみを1万9500トンと推計。すべて撤去・処理する費用を8億1900万円とした。〉――

 福島伸享の「配布資料」内にある校舎建物平図面を見ると、5190平方メートルの内校舎が殆どを占めているから、5190平方メートル✕10メートル=51900立法メートルの地下埋設混じりの土(ど)が出て、それを搬出すると仮定してみる。

 10トンダンプに土はどれ程積むことができるか探したところ、「Yahoo!知恵袋」に専門家の話として、〈10t車も結構タイプが色々あるので一概に言えませんが、私の所でよく使っている10t車は荷台部分が幅2.2m、長さ6.5m、アオリの高さが0.6mなので アオリ内の容積は8.5立方メートル程度になります。〉と書いてある。  

 他の「Yahoo!知恵袋」には6.5立方メートル程度という記述もあり、10トンダンプが色々とタイプがあるにしても、深さ3メトール掘削するところを10メートル掘削と計算する都合上、実際は少なめに見なければならないから、8立方メートルで計算してみる。

 51900立法メートル÷8立方メートル、四捨五入すると、6488台。福島伸享が「ダンプカー4千台」という数字はそれ程見当違いではないが、この台数は地下埋設混じりの土(ど)を全て搬出した場合で、ほぼ同じ台数の土を搬入して埋め戻さなければならない。

 搬出した土をコンクリガラやその他の地下埋設物を取り除いて、それらが混じっていない土に戻す処理場に運搬して処理し、その処理土を再び運び込むにしても、別の場所から新しい土を搬入するにしても、倍の延べダンプ数13000台近くが往復させなければならない。

 しかし現実にはこういった工事方法は取らない。森友学園が取得した国有地は元々は8800平方メートルの敷地となっているから、異物混じりの土をわざわざ処理場に運ばずに現場で処理できるだけの場所が確保可能の場合は逆に処理機を現場に運び入れて、その場で処理する工事方法が取られている。

 参考のために画像を載せておいたが、この大型重機は自走式で、処理ヤードが確保可能の現場には重機運搬専用のトレーラーで運び込んで、現場で処理するのが通例となっている。処理しなければならない土をダンプに積んで「フィンガースクリーン」備え付けの処理場にまで往復の運搬をする経費を省くためでもある。

 敷地内で必要個所を油圧ショベルで掘削した異物混じりの土をダンプで「フィンガースクリーン」を据え付けた現場内の場所に運搬して、そこに土(ど)をダンプして(空けて)、別の油圧ショベルが「フィンガースクリーン」の土を受け入れるシュート部分に投入して、順次幅が狭くなっていく振動付きの鉄格子上の篩(ふるい)の上を移動させて、最後に異物を取り除いた土(ど)だけを集めて、その土を掘削場所の埋め戻しに使う循環形式の処理作業となる。

 当然、取り除いた異物の搬出に必要なダンプの行き交いで一般路を4千台もダンプが行き交う場面は生じない。ダンプの運転手も、可能なら、仕事終了後もダンプを現場内に駐車させておいて、燃料代節約のために自家用車で現場に通うこともする。

 現場外への搬出は処理後の地下埋設物だけとなる。もし地下埋設物の中に重金属等が混入していたなら、10メートル掘った底から6メートル程度はそのまま埋め戻して、杭打ちが終わったあと、その上に重金属漏出の遮蔽シートを間に挟んで20~30センチかそこらのコンクリートを打ち、尚且つその上にも遮蔽しシートを敷いて、新しい土を4メートル程度覆土とすれば、十分に漏出を防ぐことができる。

 築地市場の移転先である東京都江東区豊洲六丁目の豊洲市場はベンゼンやヒ素等の有害物質によって土壌や地下水が汚染されていたが、敷地全体の表土を約2メートルの深さで掘削して汚染土を除去、その深さ2メートルの掘削個所に新しい土を搬入して埋土し、更にその上に高さ2.5メートルの土を盛る設計を施していたが、生鮮食品を扱う豊洲市場ですら4.5メートルの覆土なのだから、4メートルの覆土は十分過ぎる厚さであろう。

 いわば5190平方メートル✕4メートル=20760立方メートルの汚染度を搬出、新しい土をほぼ同じ量の土を搬入することになるが、大型ダンプ1台8立法メートルが積載可能と計算すると、5190台のダンプの往復と地下埋設物が出た量を搬出する台数が必要となる。

 この計算にしても福島伸享が「ダンプカー4千台」と言っている数字はそれ程見当違いとはならないが、福島伸享の上記配布資料二、〈平成21年~平成24年 土壌汚染(鉛・ヒ素)、廃材・コンクリートガラ等の地下埋設物が発覚。〉と書いてあるものの、敷地の地下全体が重金属で汚染されていることが前提となる。

 だが、そういったことを報道している記事は存在しない。

 果たしてこれだけのダンプが往復したのだろうか。

 搬入土を10トンダンプで5000台と見て、ネットで調べた「単価表」の価格で掛けてみる。

 大型ダンプで1立方メートル3000円から3500円。5000台✕3500円=1750万円。5000円と見ても、2500万円。

 フィンガースクリーンを使った場合の処理代金をネットで調べてみた。

 《廃棄物混合土リサイクル工法 - 埼玉県》

施工単価
分別費    : 2,830円/立方メートル

*1.分別によって除去したゴミ等の処分費は含みません。
*2.直接工事費のみでの単価で、運搬、組立費等間接工事費および経費は含まれておりません。

 立米3000円と計算してみる。

 51900立法メートル✕3000円=約1億6千万円となる。運搬、組立費等間接工事費を加え、さらに搬入土の代金を加えたとしても、2億円近辺しかしないはずである。

 近隣住民のダンプ走行の目撃情報は確かな確認方法となるが、より確かな確認方法は元は国有地であったとしても、売却されて民有地となったのだから、大阪府豊中市に対してどのような安全管理の元、どのような施工方法を用いて、どのような施工手順で地下埋設物の撤去・処分に関わる工事を行うかの「施工計画書」が提出されているはずである。

 そして「施工計画書」通りに工事が進められているか、豊中市の職員は何度か立会検査を行い、その証明に写真を撮り、工事会社からも定められている工事の進捗度に応じて撮った写真の提供を受けているはずである。

 工事会社の中には一部分のみを10メートル掘削して、そこに外から持ち込んだコンクリートガラ等をさも掘削時に出てきたかのように山積みにして写真を撮ってから、コンクリートガラの位置を変えて撮った写真を別の場所の写真であるかのように見せかけるゴマカシを行う場合がある。

 だが、鑑定の専門家に見せれば、それがゴマカシである以上、同じ形状のコンクリートガラが混じっているはずだし、同じ場所を使いまわしたとしても、写真に写っている掘削断面を仔細に鑑定すれば、土の層が同じだったりするはずだ。

 領収書は当てにならない。売買の実態がない土地転しの領収書のように領収書だけで架空の実態を作り上げることは朝飯前だろう。

 ネットで調べた情報からの計算だが、どう計算しても処理・撤去に8億円必要な地下埋設物が存在していたようには見えない。

 既に後付けで「施工計画書」を作成、豊中市に届出ているかもしれないが、いくら仲間内で口裏を合わせようとしていたとしても、それがウソであるなら、追及次第でウソを見破ることができるはずだ。

 近畿財務局、大阪航空局の役人だけではなく、豊中市の役人を国会に証人喚問して一つ一つを追及すべきだろう。

 実態のない地下埋設物の撤去・処分であり、その見積もり金額約8億1900万円であるなら、不動産鑑定評価額の約1割としかならない約1億3400万円での売却は何か大きな力が働いたと見るしかない。

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安倍晋三・稲田等の皇位継承男系絶対主義は皇太子徳仁の価値を下に、秋篠宮文仁の価値を上に置いている

2017-02-21 09:57:19 | 政治

 2016年8月27日のブログに次のように書いた。

 《安倍晋三、菅義偉、稲田朋美、高市早苗たちの男系天皇尊重は本質的には男性上位・女性下位の価値観に基づく - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》  

 2005年(平成17年)1月26日、当時の小泉首相が私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」を設置、同2005年10月25日、有識者会議は全会一致で皇位継承資格を「皇族女子」と「女系皇族」へ拡大することを決めたが、後任の安倍晋三は女系天皇反対の立場から、有識者会議が結論づけた「直系長子優先継承、女系継承容認」の報告を白紙に戻している。

 「直系長子優先継承、女系継承容認」の「長子」とは第一子を指す。例え直系長子(=第一子)が女性であっても、優先的に皇位を継ぎ、その男系の女性天皇が一般男性と結婚して子どもを設けて、それが男性であれ、女性であれ、皇位を継げば女系天皇となるが、それを容認するとした。

 また男系とは例え女性天皇であっても、父方(父の血統に属している側)の血を遡って行くと、皇祖神武天皇の血に繋がる系統を言う。

 つまり皇祖神武天皇の血を父方を通して受け継いでいないと、例え男性天皇であっても、男系天皇とはなり得ず、皇位(=天皇)を受け継ぐ資格はないことになる。

 このことが旧皇室典範と同様、現皇室典範に於いてもその「第1章 皇位継承 第1条」で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」との規定となって現れている。

 有識者会議の報告に基づいて男系か女系かを現在の皇太子と雅子妃の子供である愛子内親王を例に取って説明すると、愛子内親王は直系長子(=第一子)として天皇の位を継ぐことができ、父は皇太子、祖父は今上天皇であって、父方の祖先を辿っていけば初代神武天皇につながる血統を有しているために女性天皇であっても男系の天皇ということになるから、問題はないことになる。

 但し愛子内親王が結婚して子を設けた場合、その父が男系の皇族でない限り、いわば一般男性であったとき、その父方の祖先をどのように辿っても初代神武天皇に辿り着くことができない非男系となることになって、愛子内親王の子は例え第一子男性であっても現在の皇室典範では天皇を継ぐことができず、継ぐには当時の有識者会議の報告通りの改正を待たなければならない。

 つまり皇祖神武天皇の血を父方を通して受け継いでいないことになるからである。

 それ程にも皇祖神武天皇の血に最大・絶対の価値を置き、なおかつその最大・絶対の血は父方の血を通して受け継いでいることが皇位継承の絶対要件となっている。

 安倍晋三が「皇室典範に関する有識者会議」の「直系長子優先継承、女系継承容認」の報告を白紙に戻した事実を取り上げるだけで、次の代で男系から外れる確率が高い女性天皇と男系とは無縁の女系天皇に猛反対、男系に拘っていることが理解できる。

 男系に拘るということは皇祖神武天皇の血と、父方を通して連綿として受け継いでいるその代々の血に拘っていることを意味する。

 だからこそ、日本民族の優越性を、あるいは天皇の絶対性を“万世一系”に置く。

 安倍晋三のこのような姿勢は、私自身は読むのはカネと時間の問題となるから読んでいないが、2012年1月10日発売「文藝春秋」2月号に 『民主党に皇室典範改正は任せられない 「女性宮家」創設は皇統断絶の“アリの一穴”』と題する寄稿した一文に現れている。

 当時民主党野田政権が議論していた「女性宮家創設」に反対する意向を示した文脈の中で述べている発言だという。

 安倍晋三「私は、皇室の歴史と断絶した『女系天皇』には、明確に反対である」――

 「皇室の歴史と断絶」とは、勿論のこと、父方を通した皇祖神武天皇の血の断絶を指す。

 かくまでも天皇家が皇祖神武天皇に始まって代々受け継いている血に価値を起き、恭しいまでに尊んでいる。

 安倍晋三と国家主義的歴史認識の点で近親相姦性にある、当時自民党政調会長だった高市早苗も、2013年4月27日に読売テレビに出演、女性宮家の創設に関して「皇位継承の話なら明らかに反対だ。男系の皇統は堅持すべきだ」と述べたとマスコミが伝えていた。

 最後に安倍晋三一派と歴史認識に於いて同じ穴のムジナである稲田朋美の男系への拘り・女系への拒絶意識を2006年1月7日付で産経新聞に「正論」として寄稿した一文から見てみる。

 「『男系維持の伝統』は圧倒的に美しい」  

 稲田朋美「日本国の憲法である以上、国民統合の象徴としての天皇の存在(二千六百五十年以上も続くこの国の形である)は、成文憲法以前の不文の憲法として確立しており、これを改正することは革命でも起こさない限りできないのである」――

 天皇を現人神とし、帝国憲法で「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とした戦前ならいざ知らず、民主化した戦後日本で天皇の存在を「二千六百五十年以上も続くこの国の形」だとし、この「国の形」は憲法に優先する「不文の憲法」だから、永遠不変のものだとしている。

 この考え方は国民は天皇あっての国民という存在形式を取ることになる。

 安倍晋三の「皇室の存在は日本の伝統と文化そのもので、日本は天皇を縦糸にして歴史という長大なタペストリーが織られてきた」とする認識、日本国の歴史の主人公を天皇に置いている考え方とそっくり同じである。

 稲田朋美は上記「正論」で、「皇位の継承の本質が何かは男女の平等や、今はやりの『ジェンダー』論争とは何の関係もない。皇位の継承は、現行憲法や旧皇室典範が制定される二千五百年以上も前から厳然として存在した。これを伝統といわずして何を伝統というのか。そしてその伝統の中心は男系の維持にあった」と書き、「皇位の継承における最初のAは、二千六百五十年以上も厳然と続いてきた男系維持の伝統(父をたどれば神武天皇になる)である。私はこの理屈を越えた系譜を圧倒的に美しいと感じている一人であり、日本人とはこれを美しいと感じる民族なのである」と書いている。

 稲田朋美が「皇位の継承の本質は男女の平等や、今はやりの『ジェンダー』論争とは何の関係もない」と言おうと、どう言おうと、「父をたどれば神武天皇になる」と書き、そのことを以て美しい「男系維持の伝統」だとしている以上、皇祖神武天皇の血と、それを父方を通して延々として受け継いでいる代々の天皇の血(=男系の血)に最大・絶対の価値観を置いていることの告白としかならない。

 この男系の血の最大尊重は、それが天皇家に限定した価値観だとしても、遠い過去に於いて天皇家とその周囲の世俗権力者たちが女性の血よりも男の血に絶対的且つ優越的な権威を置いていたからこそ成り立たせることができた男系であり、その繰返しとしての伝統であって、男の血と女の血に同等の権威を置いていたなら、決して歴史に現れることはなかった男系の維持であったはずである。

 いわば安倍晋三や菅義偉、あるいは稲田朋美や高市早苗等々の現代の天皇主義者であると同時に復古主義者たちは遠い過去の世俗権力者たちと同様に今以て男性上位・女性下位の価値観で天皇家を律しようとしている。

 その点に天皇家の価値を最大限置こうとしている。

 だからこそ復古主義者なのである。その復古主義は天皇主義をベースに置いている。

 小泉純一郎の設置私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」2005年10月25日報告の「直系長子優先継承、女系継承容認」を阻止した張本人・元凶は安倍晋三と言うことになる。

 尤も安倍シンパたちは阻止の最大功労者と見ているはずだ。

 但し小泉純一郎にしても2006年9月6日に秋篠宮が男系となる男子を設けると、皇位継承者が近い将来不在となる可能性が遠のいたと見て、「女系・女性天皇」誕生の歴史転換への意欲を喪失、2006年2月10日皇室典範改正法案の提出を先送りすることを発表、2007年の通常国会でも法案の提出を行わない意向を示しているから、天皇主義者の安倍晋三は待ってましたとばかりに欣喜雀躍したはずで、秋篠宮の男子誕生と小泉純一郎の意欲喪失が「直系長子優先継承、女系継承容認」阻止の伏線となったはずだ。

 それにしても右翼天皇主義者稲田朋美が「国民統合の象徴としての天皇の存在は二千六百五十年以上も続くこの国の形であり、成文憲法以前の不文の憲法として確立している」との物言いは上記ブログを書いているときには気づかなかったが、矛盾そのものである。

 「二千六百五十年以上も続くこの国の形」である「天皇の存在」は「成文憲法以前の不文の憲法として確立している」とする論理は天皇の存在を日本国憲法の外に置く考え方によって成り立たせていながら、天皇は「国民統合の象徴」だと現日本国憲法の規定内に置いている、この矛盾である。

 そしてこの矛盾は不文の憲法の下に日本国憲法を置いている。これを言い直すと、天皇を絶対的存在とし、その存在の下に国民を置いている。

 稲田朋美のお友達安倍晋三も野党時代の2012年2月号の「文藝春秋」の中で同じ考えを披露している。

 安倍晋三(野田政権による女性宮家創設議論および皇室典範改正に反対して)「二千年以上の歴史を持つ皇室と、たかだか六十年あまりの歴史しかもたない憲法や、移ろいやすい世論を、同断に論じることはナンセンスでしかない」(LITERA/2016.11.23)   

 安倍晋三も稲田朋美と同様に皇室を絶対的存在としている。

 「たかだか六十年あまりの歴史しかもたない憲法」と言っているが、憲法は歴史によって論ずるべき対象ではない。理念に於いて論ずるべき対象である。人権の保障の仕組みや国の基本的な統治機構を如何に成り立たせて、恣意的な国家権力を如何に制約するか、その仕組みの合理性によって論じられるべき対象としなければならない。

 だが、安倍晋三は歴史の違いで論じているだけではなく、日本国憲法を軽んじている。皇室の歴史から比べたら、日本国憲法など取るに足らないではないかと。

 天皇の存在を絶対とし、天皇の歴史を絶対とすることは日本民族を絶対とすることに他ならない。だからこそ、戦前の日本の歴史の過ちを認めない姿勢となって現れることになる。

 このような天皇絶対主義を支えている礎が“万世一系”であり、“万世一系”を絶対的に価値づける要素としての“男系”である。

 安倍晋三は常々、女系ではいけませんよと言っていることになる。天皇の存在やその歴史を損なうことがあってはなりませんよと言っていることになる。

 安倍晋三や稲田たちの男系を上の価値に置き、女系の価値を男系の下に置くこの男系上位絶対主義は同時に男系男子を設けた皇族を上の価値に置き、女系に変わる確率の高い男系女子しか設けることができなかった皇族を下の価値に置く価値観と表裏一体を成している。

 後者の価値観なくして前者の価値観は存在し得ないし、この表裏一体性を失ったら、彼らが後生大事に崇め奉っている皇室の歴史そのものに瑕疵を与えることになって、我慢できないはずだ。

 この価値体系を現在の皇族に当てはめると、男系女子しか設けることができなかった皇太子徳仁の価値を男系男子を設けた皇太子の弟秋篠宮文仁の下に置いていることになる。

 そして安倍晋三にしても稲田朋美にしても、その他同類は、そういった目で二人を見ているはずだ。

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安倍シンパ森友学園「瑞穂の國記念小學院」建設地国有地評価額9億円余を1億円余で売却は便宜供与の手品か

2017-02-20 12:52:25 | Weblog

 現在国会で安倍昭恵が名誉校長となっていて、安倍晋三シンパの森友学園が建設中の「瑞穂の國記念小學院」の国有地であった敷地は不動産鑑定評価額が9億3200万円であるにも関わらず、土壌汚染と地下埋設物が明らかとなり、その土壌改良と埋設物撤去工事の見積額約8億1900万円を差引いて1億3400万円で売却されたことが安倍晋三による便宜供与ではないかと問題となっている。

 国会で追及された安倍晋三は次のようにミエを切っている。

 安倍晋三「妻の昭恵が小学校の名誉校長になっていることは承知している。私や妻が、この認可あるいは国有地払い下げに、事務所も含めて、一切関わっていないということは明確にさせていただきたい」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「私や妻が関係しているということなれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。全く関係ない」(NHK NEWS WEB/2017年2月17日 18時38分)  

 この問題を2017年2月17日の衆院予算委員会で追及した民進党の福島伸享議員は質問に関わる配布資料をネット上に載せている。以下纏めてみる。

 《2017年2月17日衆院予算委員会福島伸享議員配布資料》  

昭和49年3月 伊丹空港周辺に係る騒音対策区域の指定。
        ※この間、住民の求めに応じて土地の買い入れを実施し、購入後は大阪航空局所有の行政財産として管理。

平成元年3月 豊中市野田市周辺の騒音対策区域の解除。

平成5年 行政財産から普通財産化。

平成21年~平成24年 土壌汚染(鉛・ヒ素)、廃材・コンクリートガラ等の地下埋設物が発覚。
           ※大阪航空局において、地下構造物状況調査、土壌汚染状況調査を実施。
平成22年3月 豊中市が東隣土地9,442 ㎡の国有地を14億2300万円で購入。

平成23年7月頃 別の学校法人が7 億円前後で土地購入したい旨を財務局に提示。交渉が折り合わず断念。

平成25年6月3日 近畿財務局による公用・公共用の取得要望の受付。
     9月2日 学校法人森友学園が近畿財務局に取得等要望書を提出。

平成26年8月20日  設置計画書の提出
     10月31日 認可申請書の提出
     12月18日 大阪府私立学校審議会12月定例会。
          設置認可について審議。答申を保留し、継続審議。

平成27年2月10日 第123回国有財産近畿地方審議会。(様々な異論があるも私学審議会で附帯条件が付いているので、それが満たされる前提として、この審議会として了  
             承。)
      1 月27日 大阪府私立学校審議会臨時会。条件を附し認可適当と認めるとの答申。

      5月29日 近畿財務局において、買受け特約を付した有償貸付契約を締結。
           (不動産鑑定評価額9億3200万円)
      7月29日
        |  森友学園による土壌改良、埋設物撤去工事等の実施。
      12月15日
      8月27日 近畿財務局、大阪航空局及び現地関係者と現地確認を実施。
      12月19日 小学校建設工事着工。
平成28年3月11日 森友学園から近畿財務局に対して、杭打ち工事を行う過程において、新たな地下埋設物が発見されたとの連絡。
      3月14日 近畿財務局、大阪航空局及び現地関係者と現地確認を実施。
      3月24日 森友学園から近畿財務局に対して、本地を購入したい旨連絡。
      3月30日 近畿財務局から大阪航空局に対して地下埋設物の撤去・処分費用について見積もりを依頼。
      4月6日  森友学園より実施した土壌改良、埋設物撤去工事等に係る有益費を返還。(1億3176万円)
      4月14日 大阪航空局から近畿財務局に地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり(約8億1900万円)を報告。
      4月22日 本地の鑑定評価を鑑定士事務所に依頼。
      5月31日 不動産鑑定評価書を提出。(不動産鑑定評価額9億5600万円)
      6月20日 近畿財務局において、学校法人森友学園と売買契約締結。価格:1億3400万円(不動産鑑定評価額から地下埋設物撤去・処理費用等を控除)
平成29年4月   小学校開校予定。

 (豊中市野田町の国有地(8,770 ㎡)売却をめぐる経緯:平成29 年2 月17 日(金)衆議院予算委員会 /議員名 福島伸享 /出典 財務省・国土交通省・文科省資料、朝日新聞2017.2.9 記事をもとに福島事務所作成 パネル1の写し)

●売却価額決定にあたっての地下埋設物の撤去・処分費用の見積り方法(平面での対象範囲の絞込み(5190・:赤字枠内))

○対象面積は、H22調査等を踏まえ埋設物を確認した全体の60%に。

 国会で現在問題となっているのは地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり金額約8億1900万円が果たして正しい見積もりかどうかであろう。

 平成27年7月29日に森友学園は土壌改良、埋設物撤去工事等を実施した。その工事にかかった経費に対して平成28年4月6日に近畿財務局がだろう、1億3176万円の有益費を返還している。

 有益費について「Wikipedia」で調べてみた。 

 〈有益費とは、民法上の費用の概念の一つで、目的物の価値の増加のために支出された費用。〉

 〈占有者による有益費の償還請求

 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる(民法196条2項)。 〉――

 ところが、平成27年7月29日から12月15日までの約4カ月半の土壌改良、埋設物撤去の工事終了から約3カ月後、その工事に対する有益費が平成28年4月6日に返還される1カ月余前の平成28年3月11日に〈森友学園から近畿財務局に対して、杭打ち工事を行う過程において、新たな地下埋設物が発見されたとの連絡。〉があった。

 と言うことは、有益費として1億3176万円ものカネと4カ月半の工事期間を必要とした土壌改良と埋設物撤去の工事をしていながら、いわばハンパではなく土壌を汚染され、ハンパではない量の地下埋設物を確認していながら、そのようなな工事に掛かる前に5190平方メートルという建設に関わる全体の面積に対する調査を徹底的に行っていなかったのだろう。

 地中に穴を穿つ間隔を狭くしたボーリングを使った地質調査や試し掘りで簡単に確認できることである。

 一般的な人間の情として、万が一のことを考えて敷地全体を調査するものだが、そのような一般性に不自然なまでに反して調査しなかった。

 この不自然な振る舞いを解くとしたら、実際には極く極く自然な人情に則った方法で敷地全体を調査してから、1億3176万円の土壌改良と埋設物撤去の工事を行ったものの有益費返還という方式に旨味を感じて地下埋設物を新たに発見したことにして報告、安倍晋三の名前を利用したのか、あるいは役人の方から森友学園のバックに控えている安倍晋三の威光を忖度してのことか分からないが、その報告に対する対処方法を前以て土壌改良・埋設物撤去の工事を行ってから、その工事後に既に試している有益費という形式で返還するのではなく、地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり額約8億1900万円を土地価格から前以て差引きするという手品を使ったとしか考えることができない。

 不動産鑑定評価額が9億3200万円の国有地を1億3400万円で安く売却するためと有益費返還方式に従った場合のデメリットを避けるためであり、その理由は二つあるはずである。

 一つは地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり額約8億1900万円に土地売買額1億3400万円をプラスした9億5300万円に収入印紙代や売買手数料等を前以て用意しておくための10億円相当を金融機関から借り入れた場合、現在普通預金の利子は0.02%だそうだが、2千万円も支払わなければならなくなって、10億円近くを支払うことになった場合の余分にかかる2千万円は大金に相当するデメリットであって、2千万円の利子支払いを避けることができる。

 もう一つは地下埋設物の撤去・処分の工事代金領収書をその見積もり額約8億1900万円に僅かに少なくしても多くしても、その金額の近辺に置いた場合、怪しまれることになるデメリットを抱えることになる。

 何しろ地中の見えない地下埋設物を推定したに過ぎない量と、当然、工事代金も推定額ということになって、そのような推定の見積額にあまりに近過ぎることになると不自然さは一段と増すことになる。

 2017年2月17日付「asahi.com」記事には、土地売買契約書にはさらにごみが見つかっても国が責任を負わないという特約を付けてあると書いてあるが、これも不自然な特約である。 

 この不自然な特約を利用したなら、地下埋設物の撤去・処分の見積もり額約8億1900万円に対して実際の工事金額を10億とする領収書を工事会社に切らすこともできる。

 実際には払っていない2億近いカネを損金として計上すれば、かなりの税控除を受けることができるはずである。

 だが、工事後の有益費の返還ではこういった手品はできない。

 また、さらにゴミが見つかっても国が責任を負わないという特約は例え新たにゴミが見つかっても、土地代金から差引くことになる約8億1900万円は十分過ぎる補償であり、これ以上のことはできませんよという意味を含んでいなければならない。

 もし額面通りに裏付けのある調査でありながら十分過ぎる補償ではない場合は、万が一にでも新たな土壌汚染と地下埋設物が発見される可能性は否定できないことになって、逆に森友学園がリスクを抱えることになるからだ。

 いわば森友学園にして工事前であるにも関わらず十分過ぎる補償であり、何らリスクを抱えることはないと承知していたから、特約に応じることができたはずだ。

 いずれにしても平成27年7月29日から12月15日までの約4カ月半の工期と1億3176万円の土壌改良と埋設物撤去の費用を掛けて工事を行う前に調査しなければならない5190平方メートル全体の調査を徹底的に行わずに新たに地下埋設物を発見したというのは余りにも不自然であり、この不自然過ぎる一事を以てしても、不動産鑑定評価額9億5600万円の国有地に対して地下埋設物の撤去・処分費用見積もり額約8億1900万円という金額を出したことも、その金額を差し引いてたったの1億3400万円で売却したということも奇々怪々な出来事と言わざるを得ない。

 ここで築地市場の移転先である、同じ土壌汚染問題を抱えた東京都江東区豊洲六丁目の豊洲市場の予定していた汚染対策費と工期と、「瑞穂の國記念小學院」が土壌改良、埋設物撤去の工事を平成27年7月29日から12月15日までの約4カ月半かけて行った工期と有益費として支払われた1億3176万円の金額との比較から、後者の汚染対策費の妥当性をネット情報を利用して見てみる。

 豊洲市場はベンゼンやヒ素等の有害物質による土壌や地下水が汚染されていて、深さ2メートルの土を掘削・除去し、その分の土を入れ替えて、その上に2.5メートルの盛土を施している。

 「豊洲新市場整備の経緯について」    

 豊洲新市場整備方針(平成21年2月)
 
 生鮮食料品として扱う市場としての安全・安心を高いレベルで確保し、50年先まで見据えた新たな首都圈の基幹市場として豊洲新市場を整備する。

 1土壌汚染対策

  「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の提言をもって都の士壌汚染対策とする。

 ○経費586億円、工期20カ月

 ○対策の具体的内容

  遮水壁の設置から、盛土の掘削、地下水の揚水・浄化、土壌の掘削・運搬、汚染物質処瑠、液状化対策、砕石層設置、地下水の管理までの一貫した対策。

 施設の概要

 敷地面積 40.7ヘクタール(以上引用)

 40.7ヘクタール=407000 平方メートル

 ここでは豊洲市場の盛土していなかった面積は省く。方針自体は全面的な盛土計算となっているからである。

 豊洲市場は586億円の工期20カ月割りで、1カ月29億3千万円の工事費となり、「瑞穂の國記念小學院」は1億3176万円の4.5カ月割り1カ月で2928万円の計算となって、対策の程度に雲泥の差が出る。

 では、「瑞穂の國記念小學院」敷地の実際の地下埋設物の撤去・処分費用見積もり額約8億1900万円をこの程度だろうと考える1カ月2928万円の工事費で割ると、28カ月の工事期間となって、平成29年4月の小学校開校予定に間に合わない。

 倍の6000万円使うと仮定して、その金額で割ったとしても、14カ月工事期間が必要となる。

 新たな地下埋設物が発見されたとの連絡が森友学園から近畿財務局に対して報告があった平成28年3月11日から起算しても、小学校開校予定の平成29年4月までは13カ月しかないことになって、1カ月を超えるということだけではなく、地下埋設物の撤去・処分後に杭打ちを行い、それから建物の建設に取り掛かるから、とてものこと間に合わないことになる。

 例え撤去に応じて杭打ちを順次済ませていたとしても、全ての杭打ちが終わってからではないと、建物の建設に取り掛かることができないから、開校に間に合わせることはやはり不可能となる。

 だが、開校予定を平成29年4月に変えていない。

 但し地下埋設物の撤去・処分費用の見積もりが書類上だけの事実で、実際の事実でなかったなら、開校は十分に間に合うことになる。

 そしてこういった手品を行うことができるとしたら、やはり森友学園が安倍晋三シンパであることと無関係ではあるまい。

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韓国慰安婦少女像設置は歴史の事実証明 安倍晋三の日韓合意10億円拠出,日本の誠実な義務実行はマヤカシ

2017-02-18 09:07:32 | 政治

 韓国ソウルの日本大使館前だけではなく、昨年暮れ、2016年12月30日、韓国南東部の釜山にある日本総領事館前に地元の学生などで作る団体が慰安婦少女像を設置した。日本政府は2015年12月の日韓合意の精神に反するものだとして2017年1月9日に駐韓大使と釜山総領事を一時帰国、現在も帰国したままの状態になっている。

 帰国前日の2017年1月8日のNHK「日曜討論」に安倍晋三が出演、釜山の総領事館前の慰安婦少女像設置について次のように発言している。

 安倍晋三「慰安婦問題の日韓合意は最終的かつ不可逆的な合意だとお互いに確認している。日本は誠実に義務を実行し10億円を既に拠出している。次は韓国がしっかりと誠意を示して頂かなければならない。それは例え政権が代わろうとも実行するのが国の信用の問題だ」

 一旦国と国との間で合意した問題は「例え政権が代わろうとも実行するのが国の信用の問題だ」と言っているが、オバマ政権時代の日米等12カ国環太平洋パートナーシップ協定(TPP)合意を次期トランプ政権は破棄している。安倍晋三は「例え政権が代わろうとも実行するのが国の信用の問題だ」とトランプにこそ言うべきだったろう。

 安倍晋三は10億円拠出を日本の誠実な義務実行行為だと臆面もなく言い、「次は韓国がしっかりと誠意を示して頂かなければならない」と要求しているが、「日本の誠実」の内容が言葉通りなのか、言葉通りなら問題はないが、そうでなければ、日本政府が言っている日韓合意の精神にしても、胡散臭さを臭わせることになる。

 2015年12月28日、日本の外相岸田文雄とユン韓国外相が韓国ソウルで会談、両国間に横たわっていた従軍慰安婦問題で合意を見た。

 そのときの合意事項が外務省サイト(2015年12月28日)に記載されている。日韓間で対立した問題点の一つとなっていた女性を従軍慰安婦に強制的に仕立てたことに日本軍の関与があったかどうかについて言及した個所のみを抜粋する。 

〈1 岸田外務大臣

 (1)慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。

安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。〉――

 一見すると、今回初めて日本軍の強制連行と強制売春を事実認定し、この点について同じく初めて公式的に日本政府の責任を受容したように見える。

 2016年1月18日の参議院予算委員会

 中山恭子「今回の共同記者発表は極めて偏ったものであり、大きな問題を起こしたと考えております。共同記者発表では『慰安婦問題が当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本の責任を痛感している』。

 すべての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復の代替として日本のために戦った日本の軍人たちの名誉と尊厳が救いのない程に傷つけられています。さらに日本人全体がケダモノのように把えられ、日本の名誉が繰返しがつかない程、傷つけられています。

 外務大臣にお伺い致します。今回の共同発表が著しく国益を損なうものであることに思いを致さなかったのでしょうか」

 対して岸田文雄は、この合意は「従来から表明してきた歴代の内閣の立場を踏まえたものであります」と答えている。

 この「歴代の内閣の立場」とは、歴代内閣が従来から引き継ぎ、安倍内閣も内閣としてその立場を踏まえると表明してきた「河野談話」の従軍慰安婦に関わる歴史認識に基づいた「日本軍の関与」であり、日韓合意によって何も変わっていないという趣旨となる。

 安倍晋三自身が一見すると日本軍関与の従軍慰安婦の強制連行と強制売春を認めているように見えるが、この趣旨に反する発言を国会その他で発言している。

 安倍晋三「河野洋平官房長官談話によって強制的に軍が家に入り込み女性を人攫いのように連れていって慰安婦にしたという不名誉を日本は背負っている。安倍政権のときに強制性はなかったという閣議決定をしたが、多くの人たちは知らない。河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がある。孫の代までこの不名誉を背負わせるわけにはいかない」

 安倍晋三「河野談話は基本的に継承している。狭義の意味で強制性を裏付ける証言はなかった。いわば官憲が家に押し入って連れて行くという強制性はなかったということだ。そもそもこの問題の発端は朝日新聞だったと思うが、吉田清治という人が慰安婦狩りをしたという証言をしたが、まったくのデッチ上げだったことが後(のち)に分かった。慰安婦狩りのようなことがあったことを証明する証言はない。裏付けのある証言はないということだ」

 要するに外交問題となるから、安倍内閣の立場として「河野談話」を引き継ぐが、河野談話に書いてあるような日本軍関与の強制性は歴史の事実に反するとの立場を取っている。

 安倍晋三のこの強制性否定はこの日の「日本のこころ」代表の右翼中山恭子の続いての質問に対する安倍晋三の答弁にも現れている。

 安倍晋三「海外のプレスを含め正しくない事実による誹謗中傷があるのは事実でございます。性奴隷 あるいは 20万人 といった事実ではないこの批判を浴びせているのは事実でありまして、それに対しましては政府としては、それは事実ではないということはしっかりと示していきたいと思いますが、政府としてはこれまでに政府が発見した資料の中には、軍や官憲による所謂強制連行を直接示すような記述は見当たらなかったという立場を辻本清美議員の質問主意書に対する答弁書として平成19年、これは第一次安倍内閣の時でありましたが、閣議決定をしておりまして、その立場には全く変わりがないということでございまして、改めて申し上げておきたいと思います。

 また 当時の軍の関与の下にというのは、慰安所は当時の軍当局の要請により設営されたものであること、慰安婦所の設置、管理及び慰安婦の移送について旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与したこと、慰安婦の募集については軍の要請を受けた業者が主にこれにあたったこと、であると従来から述べてきている通りであります。

 いずれにいたしましても重要なことは今回の合意が、今までの慰安婦問題についての取り組みと決定的に異なっておりまして、史上初めて日韓両政府が一緒になって慰安婦問題が最終的且つ不可逆的に解決されたことを確認した点にあるわけでありまして、私は私たちの子や孫そしてその先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかないと考えておりまして、今回の合意はその決意を実行に移すために決断したものであります」――

 要するに旧日本軍の関与は慰安婦所の設置、管理及び慰安婦の移送のみであって、日韓合意で認めた日本軍関与はその線に添ったものであり、強制連行や強制売春を認めているわけではないという趣旨となる。

 そしてその根拠として前の発言で、「吉田清治という人が慰安婦狩りをしたという証言をしたが、まったくのデッチ上げだったことが後(のち)に分かった。慰安婦狩りのようなことがあったことを証明する証言はない。裏付けのある証言はないということだ」

 確かにいわゆる「吉田証言」は全てデッチ上げであったことが判明したが、この発言にはそのデッチ上げの「吉田証言」を前面にクローズアップさせて、他の証言も全てデッチ上げだと右へ倣えさせて言いくるめようとする詭弁を見ることができる。

 なぜなら、台湾でも、フィリピンでも、インドネシアでも20歳前の少女を含む若い女性が日本兵自身の手による従軍慰安婦狩りによって強制連行され、強制的に売春に従事させられた証言が数多存在する。

 戦前のインドネシアで当時宗主国であったオランダの捕虜民間人収容所から未成年を含む少女を日本軍のトラックで強制的に連れ去り、売春に従事させた事実は広く知られている。

 その一人は性病検査の日本人軍医にまで姦されたことを証言している。

 安倍晋三はこういった証言の事実を「吉田証言」のデッチ上げを以てして全てデッチ上げだとするペテンを臆面もなく披露している。

 要するに2017年1月8日のNHK「日曜討論」で安倍晋三が言っている日韓合意を受けた10億円拠出の“日本の誠実”とは従軍慰安婦に関わる強制連行と強制売春の歴史の事実を一切認めないが正体であり、裏に偽りやゴマカシを隠した“日韓合意の精神”に過ぎない。

 認めていなからこそ、歴史の事実の一つの証明である従軍慰安婦少女像の設置に偽りやゴマカシでしかない“日韓合意の精神”を持ち出して撤去を求めることになる。

 日本政府の少女像撤去要請に応じたなら、韓国は歴史の事実を自ら葬り去ることになって、安倍晋三と共に歴史改竄の共犯者となる。 

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天皇退位は安倍晋三等の天皇を日本国家の中心に据えたい国家主義者による自らに対する神格化を恐れたからか

2017-02-17 11:45:42 | Weblog

 82歳となっている現天皇が2016年8月8日、生前退位の意向をビデオメッセージで表明した。退位の意向は5、6年前から周囲に漏らしていたという。5、6年前と言うと、2010年か2011年頃と言うことになる。

 理由については、「象徴としての務めを果たすことが困難になった場合、象徴の務めについてどのように考えればいいのか」と述べていたとマスコミは伝えている。

 一見すると、自身の体力と向き合った存意のように見える。

 天皇はメッセージの中で次の一節を述べている。

 「天皇の終焉に当たっては,重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀に関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります」――

 最初に挙げた高齢による象徴としての務めを果たすことの困難と次に挙げている問題の影響は現天皇に限らない。次の天皇にも降り掛かってくる。いわば天皇は安倍政権が考えている現天皇の退位のみを認める一代限りの特例法ではなく、民進党が提案している皇室典範改正による恒久的な制度を視野に入れたメッセージと見ることができる。

 安倍晋三みたいな天皇を絶対的な存在と意義付け、日本国家の中心に据えたいと執着している右翼国家主義者たちは自分たちが考えているその天皇の絶対性に一致させたい観点から、明治時代の旧皇室典範大10条の「天皇崩スルトキハ皇嗣即チ践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク」の、死んだらという規定をそのまま受け継いだ昭和22年の現皇室典範第4条「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」の規定に則って生涯天皇を望み、その生涯性に天皇の絶対性を反映させようとしている。

 何歳まで生きた、息を引き取るまで、天皇であらせられた、日本国の天皇として息を引き取ったと。 

 長く生きれば生きる程、国民の天皇への思いの強さと敬虔さを証明することになる国民の自粛ムードが昭和天皇が重態に陥ってから全国的に広がり、死去するとさらに高まったように逆に天皇の存在自体の価値を上げることになるからだ。

 それが生前退位で死去した場合の国民の自粛ムードは生涯天皇で高齢の末に死去した自粛ムードと比較した場合、その高まりは後者程には期待できない危険性は天皇の存在価値自体に影響しないとも限らない。

 また、長く生きれば生きる程、盛大な葬儀自体に込めることになる厳粛さに違いが出てくる。あるいは盛大な葬儀に国民が込める厳粛さ・惜別の思いは強まり、高まる。

 安倍晋三みたいな戦前日本国家を理想の国家像としている天皇中心の右翼国家主義者にしたら、天皇が重病の状態で長らくベッドに伏せていることを願っているのではないだろうか。国民の病気回復の祈願が長く続き、それが深まって、国民の意識の中に天皇の存在とその存在に対する敬虔な思いが吸着していくことを願って。

 そして死去してからの葬儀に対する国民の思いと自粛ムード。それが大掛かりであることによって、天皇の存在価値が高まる。

 要するに内心は生前退位を認めたくないが、天皇のその意向まで無視することができないために安倍晋三以下は一代限りに退位を認める特例法にすることにした。

 天皇が生前退位の理由に上げている高齢になった場合の「象徴としての務めを果たすことが困難」は皇太子が代行することで省くことができる。

 省くことができないのは生前退位の理由としてもう一つ挙げた生涯天皇で死去した場合の葬儀の盛大さと自粛ムードの広がりであろう。そして自粛ムードは天皇という存在に対する国民の敬虔な思いや厳粛な思いを背景としているが、生涯天皇とその死と葬儀と国民の自粛ムードを利用して天皇の存在価値自体を高めようとする安倍晋三一派の魂胆に危惧を抱いているからこそ、それを少しでも阻止するための生前退位の意向ではないだろうか。

 少なくと国民の天皇に対する意識は生涯天皇でいるよりも次期天皇に移っていくだろうから、いわば直接的に天皇という存在ではなくなって、前天皇に対するのと現天皇に対するのとその意識に強弱の違いはあっても、ある程度二分されることになるだろうから、安倍晋三一派の魂胆もある程度は制御できる。

 安倍晋三等の国家主義者たちの天皇を日本国家の中心に据えたい衝動は色々な場面に現れている。その典型的な例を一つ挙げてみる。

 2012年9月16日の当ブログに一度書いたことだが、再度ここに記載してみる。文飾は当方。 

 2012年9月2日日テレ放送の「たかじんのそこまで言って委員会」で、〈「名場面」スペシャル!未公開映像も蔵出し…〉なるコーナーが設けてあって、2012年5月20日放送の安倍晋三登場の場面を再放送していた。

 安倍晋三「そもそも田島(陽子)さんもですね、編集長(加藤清隆時事通信社解説委員長のこと)も、いわば天皇という仕組み、天皇、皇室、当然、認めていないんだと思いますね」

 田嶋陽子「そう」

 安倍晋三「経緯もね。そうでしょ?そういう人がですね、どうあるべきかっていう議論をするのはあまり・・・・」

 田嶋陽子「そんなことはない」

 安倍晋三「(手を振って)いや、いや、いや。最後まで聞いてください。これは理性万能でもないし、合理でもないんですよ。・・・・(聞き取れない)でもないんですよ。

 これは私達は軽薄だと思ってるんですよ、そういう考えっていうのは。

 ですから、むしろ皇室の存在は日本の伝統と文化、そのものなんですよ。まあ、これは壮大な、ま、つづれ織、タペストリーだとするとですね、真ん中の糸は皇室だと思うんですね。

 この糸が抜かれてしまったら、日本という国はバラバラになるのであって、天皇・皇后が何回も被災地に足を運ばれ、瓦礫の山に向かって腰を折られて、深く頭を下げられた。あの姿をみて、多くの被災地の方々は癒された思いだと語っておられたでしょ。あれを総理大臣とかね、私たちがやったって、それは真似はできないんですよ。2000年以上経って、ひたすら国民の幸せと安寧を祈ってきた、皇室の圧倒的な伝統の力なんですよ

 三宅久之「あのね、田島さん、安倍さんのこれだけ条理を尽くした話を、まだ分からない。これを分からないというのは日本人ではない」

 田嶋陽子「話はわかるけど、正しいかどうかですよ」(以上)

 「天皇・皇后が何回も被災地に足を運ばれ、瓦礫の山に向かって腰を折られて、深く頭を下げられた。あの姿をみて、多くの被災地の方々は癒された思いだと語っておられたでしょ。あれを総理大臣とかね、私たちがやったって、それは真似はできないんですよ。2000年以上経って、ひたすら国民の幸せと安寧を祈ってきた、皇室の圧倒的な伝統の力なんですよ」

 この発言には天皇を国民の上に置いた特別な存在だとする思想が脈々と生きづいている。特別な存在とし、国民の上に置いている以上、国家の中心に据えたい願望を併せ持っていることになる。

 安倍晋三が戦前日本国家を理想の国家像としていることは上記で触れた。戦前日本国家は天皇を現人神としていた。いわば神格化していた。当然、安倍晋三の意識の中には天皇を神格化したい思いも持っていなければならない。

 神格化していなければ、「むしろ皇室の存在は日本の伝統と文化、そのものなんですよ。まあ、これは壮大な、ま、つづれ織、タペストリーだとするとですね、真ん中の糸は皇室だと思うんですね」といった発言は出てこない。

 文化は様々な層を成し、各層が上下様々に入り混じって、渾然一体となって全体を彩っている。神格化のメガネを通さない限り、すべての文化が天皇という上から発して下にまで達していると見ることはできない。

 単なる特別な存在ではない、神性を持たせた天皇の存在の実現を夢見ている。

 2013年4月28日、天皇・皇后出席のもと開催された政府主催の「主権回復の日」式典で天皇・皇后の退席時、誰かが壇上の天皇に向かって「天皇陛下バンザイ」と唱えると、壇上の安倍晋三その他も見習い、2回目の「バンザイ」から加わって両手を上げ下ろしして三唱を行った。

 改めて言うまでもなく、「バンザイ」は漢字で書くと「万歳」であって、万年という長い年月を意味する。そこに天皇という言葉をつけて、戦前日本に於いて万年も生きよ・栄えよと天皇を歓呼した。

 いわば「天皇陛下バンザイ」は戦前日本国家で神格化した天皇の永遠性を願う言葉である。

 そのような言葉が戦後の民主化された日本の政府主催の「主権回復の日」式典の場で三唱された。しかも安倍晋三たちは「主権回復の日」を日本国家と社会を民主化した占領軍から解放された日と価値づけている。

 当然、その解放は、少なくとも安倍晋三たちの精神性に於いては戦前日本国家と戦後日本国家が占領軍によって断ち切られていた連続性を回復する意味合いを持たせていることになる。

 天皇を戦前の日本国家での在り様と同じように特別な存在とし、神格化させたい願望は同時に日本人を特別な民族だとする優越性を背景としている。日本人は特別な存在である神格的な天皇を頭に戴いている特別な民族なのだと。

 天皇はこのような安倍晋三たち国家主義者の精神の在り方が天皇自身が生涯天皇を長く続けることによって助長することにならないか危惧したのではないだろうか。 

 この危惧は2001年12月23日の昭和天皇誕生日に際しての12月18日の記者会見での発言に現れている。翌年2002年5月31日から6月30日にかけて日韓共催のFIFAワールドカップを間近に控えていた。文飾は当方。

 記者「世界的なイベントであるサッカーのワールドカップが来年、日本と韓国の共同開催で行われます。開催が近づくにつれ,両国の市民レベルの交流も活発化していますが、歴史的、地理的にも近い国である韓国に対し、陛下が持っておられる関心、思いなどをお聞かせください」

 昭和天皇「日本と韓国との人々の間には、古くから深い交流があったことは日本書紀などに詳しく記されています。韓国から移住した人々や招へいされた人々によって、様々な文化や技術が伝えられました。宮内庁楽部の楽師の中には、当時の移住者の子孫で、代々楽師を務め、今も折々に雅楽を演奏している人があります。

 こうした文化や技術が日本の人々の熱意と韓国の人々の友好的態度によって日本にもたらされたことは幸いなことだったと思います。日本のその後の発展に大きく寄与したことと思っています。私自身としては桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに韓国とのゆかりを感じています。武寧王は日本との関係が深く、この時以来、日本に五経博士が代々招へいされるようになりました。また、武寧王の子、聖明王は、日本に仏教を伝えたことで知られております」

 日韓関係は日本の歴史教科書の問題や首相となった小泉純一郎が2001年4月の自民党総裁選で「私が首相になったら毎年8月15日に靖国神社をいかなる批判があろうと必ず参拝します」と公約したことと、2001年から2005年までは国内外からの批判に配慮して8月15日以外の日に靖国参拝をしていたが韓国や中国を刺激して、悪化状態にあった。

 要するに天皇が言っていることは日本人は純粋民族ではない。多くの渡来人の血が混じって日本人としての歴史を歩んできた。天皇自身も朝鮮半島の血が混じっている。神武天皇以来の特別な存在でもないということであろう。

 当然、天皇を特別な存在とし、神格性を持たせて日本国家の中心に据えたいと希(こいねが)っている安倍晋三のような国家主義者に対する戒めの言葉と位置づけることができる。

 このような安倍晋三が日本の国家指導者となり、戦後レジームからの脱却を唱え始めた。戦後レジームとは占領政策によって形作られた日本の民主的な政治・社会体制を言う。

 安倍晋三が天皇主義者である以上、脱却は戦前日本国家を理想の国家像としているからこそ、目指すことが可能となる。

 生前退位は神格化されない内に象徴の舞台から降りた方が無難だ、安倍晋三を利することはないとの思いが働いた意向としか見えない。

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金正恩による金正男暗殺は陰で中国も一役買っているトランプに対する威しか?

2017-02-16 12:08:43 | 政治

 2017年2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で金正男が若い女二人に襲われ、毒物を掛けられて病院へ搬送される途中で死亡した。毒物を使った暗殺事件と疑いが出ている。

 2017年2月16日付「産経ニュース」記事は、2000年頃から中国当局の庇護下に入って北京とマカオ等、東南アジアを行き来する生活を送っていたと伝えている。

 庇護の理由を、〈中国にとって、正男氏は対北朝鮮外交の重要な切り札だった。父親の金正日氏が健在だった時代には“人質”的な側面があり、正恩氏の時代になってからは朝鮮半島での有事や中朝対立に備えるため、「いつでも首をすげ替えられるトップ候補」といった存在となった。しかし、正男氏を庇護していることは正恩氏の対中不信を募らせ、中朝関係悪化の一因ともなった。〉と解説している。

 記事は金正男が中国から海外に出る際は、〈中国は護衛チームを送り、万全の態勢を敷いてきたといわれる。〉と伝聞形式で庇護の様子を伝えているが、中国は関係悪化よりも身代わりとしての価値を優先させていたことになる。

 ところが、〈マレーシアメディアが掲載した殺害当時の空港内の写真には、警護要員らしき人物は見当たらなかった。〉

 確かに中国当局の護衛チームが金正男の身辺警護に当たっていたら、女たちは正男に近づくことさえできなかったはずだ。この理由を記事は推測している。

 〈中国当局にとって正男氏を守る意味が小さくなり、警備が手薄になったのか。暗殺情報を知りながら、中国が北朝鮮との関係修復のため正男氏を見捨てた可能性さえ否定できない。〉――

 この推測を補強する事実を挙げている。〈北京で取材した中国の北朝鮮問題専門家に「金正恩氏の訪中実現には2つの障害物を取り除かなければならない」といわれたことがある。一つは北朝鮮が核実験をしばらく実施しないこと、もう一つは正男氏に消えてもらうことだった。〉

 この二条件は共に中国による北朝鮮に対する要求であるはずだ。

 と言うことは、中国は身代わりとしての価値よりも中朝関係改善を優先させる方向転換を図ったことになる。

 この方向転換を記事は解説している。〈米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国への配備決定で、昨年から中韓関係が悪化し、中国共産党内で北朝鮮との関係修復を求める声が高まっている。このタイミングで起きた正男氏暗殺は偶然なのか。年内に正恩氏の訪中が実現するか注目したい。〉――

 もし中国の方針転換によって正男に消えてもらうことを意図して中国当局の護衛チームが離れていったとしたら、正男はあまりにも無防備だったことになる。

 韓国の情報機関「国家情報院」の情報に基づいた2017年2月15日付「時事ドットコム」記事によると、金正男は金正恩の暗殺指令を知っていたことになっている。   

 「国家情報院」は2017年2月15日、「金正恩政権発足後(暗殺の)継続的な指示があった。5年前から暗殺を試みていた」と国会情報委員会に報告したと記事は伝えている。

 そのために金正男は2012年4月に「私と家族を助けてほしい」と暗殺指令の撤回を求める助命嘆願書を金正恩に送っていたと、同じ「国家情報院」の情報として伝えている。

 と言うことは、金正男は金正恩の暗殺指令を知っていた。にも関わらず、今回はその暗殺指令が実際の効力を持ち、暗殺に成功したことになる。

 この成功はやはり中国当局の護衛チームが金正恩の身辺警護から抜けたことが要因と言うことになる。

 だとすると、同じ疑問に立ち返らなければならない。金正男はなぜこれ程までに無防備だったのだろう。

 2017年2月15日付「NHK NEWS WEB」記事は暗殺の背景を推測する三人の人間の発言を伝えている。
  
 鄭成長(チョン・ソンジャン)世宗(セジョン)研究所統一戦略研究室長(NHKとのインタビュー)「金正男氏は北のほかの幹部とは違う。暗殺は金正恩朝鮮労働委員長の指示や黙認がない限り行うことはできない。

 (生金正男の北朝鮮の世襲に反対していた過去の発言を挙げて)「北の人間で公に国家を批判できるのはキム・ジョンナム氏しかおらず、キム委員長としては邪魔な存在だった。北から亡命した人々の間で、金正男氏を中心とした亡命政府を作るべきだとする話が出ていた」

 記事は後段の発言を、金正恩にとって無視できない存在になったため、殺害を指示したのではないかという見方を示したものだと解説している。

 西岡力東京基督教大学教授「後継者に選ばれず、北朝鮮内部で力を持っていなかったジョンナム氏を、テロのような形をとってでも殺害し除去しなければならない事情があったと考えられる。

 キム委員長は改革開放派のジョンナム氏が中国と組み、いずれ新しい政権を樹立しようとするのではないかと疑惑を持ち続けていたと考えられ、それが事件の背景にあると見られる。

 (北朝鮮内部への影響について)キム委員長が権力を掌握しており、権力構造に変化が生じることは考えにくいが、儒教的な倫理観が強い北朝鮮社会の中では、兄を殺害した指導者への求心力は低下するのではないか」

 楊希雨政府系のシンクタンク中国国際問題研究院研究員「ジョンナム氏は長い間、単なる一般人であり、北朝鮮内外での影響力はほとんどなかった。そのため、今回の暗殺は北朝鮮の政治に基本的に影響を与えないだろう。

 (キム・ジョンナム氏が中国政府に保護されてきたとされることについて)政治的な影響力はほとんどなかったと思うが、北朝鮮のトップリーダーの息子であったため、中国当局が彼を安全に保護してきたと推測される。

 キム・ジョンナム氏は体制内にはおらず、他国との外交交渉で権限を与えられてきた人物でもなかったため、中国は彼を利用しようとはしていなかった。今回の事件は中国と北朝鮮の関係にほとんど影響しないだろう」

 楊希雨研究員は中国の保護がなぜ解かれたのか、何も話していない。もし解かれていないとしたら、中国の保護下にありながら、なぜ暗殺されたのか、何も話していないことになる。

 なぜ金正男は金正恩の自身に対する暗殺指令が出ていると知っていて、なぜこうまでも無防備だったのだろうかという最初の疑問に立ち戻らなければならない。

 あくまでも推測に過ぎないが、金正男は中国当局の身辺警護のメンバーが秘密裏に自身を守っていると思っていたから、無防備でいられたのではないだろうか。

 だが、そのときは身辺警護役としてではなく、暗殺の確認役として金正男を見守っていたとしたら。

 中国も陰で一役買っていた暗殺ではなかったかという推測である。

 では、何のために。

 金正恩の手による政権内の幹部や朝鮮人民軍幹部に対する粛清が止まらないのは粛清対象の幹部の動きが信頼できず、疑いを持つからで、その疑いを粛清という強権で晴らすことで自らの支配力を満足させていた。

 だが、その支配力は部下との間の信頼関係に基づいていないことに変わりはなく、粛清を恐れて金正恩の権力に萎縮することになる周囲の人間の日々の緊張感、刻々の緊張感が積もり積もって生じることになる抑圧状態が臨界点に達しない保証はなく、達したとき、その反動としての暴発という形を取ることはままある。

 しかも世界各国からの経済制裁・金融制裁によって北朝鮮は経済不況下にあり、国民は食糧難に喘いでいる。暴発が国民の不満や怒りを煽って、糾合しないとも限らない。

 いわば、強権で抑えつけている支配や統治は逆に脆さを内部に孕んでいることになる。

 もし金正恩体勢が内部からの暴発によって瓦解するようなことになったら、替え玉としての金正男は必要な玉となる。

 中国がその役目を捨ててまで金正男暗殺に一役買い、北朝鮮が暗殺を実施したとしたら、単に中長関係改善が目的だろうか。

 北朝鮮は2017年2月12日午前8時近くミサイルを発射した。対してトランプは翌日、2月13日のカナダのトルドー諸将との会談後の共同記者会見で「極めて重要な問題で、より強力に対処していく」と発言したとマスコミは伝えている。

 トランプの言う「より強力に」がどの程度の対応なのか分からないが、強権主義の金正恩から見たら、トランプの強気な性格も考えて、同じ強権を考えるはずである。少なくとも最悪の事態を考えなければならない。

 最悪の事態とはアメリカの北朝鮮に対する先制攻撃であろう。

 中国にしてもトランプは大統領選では「一つの中国」政策を見直す考えを示し、中国を為替操作国に認定すると主張してきた。但し習近平中国国家主席と2017年2月10日(中国時間)に電話協議した際、「一つの中国」政策を尊重していくと表明している。

 だが、米国と中国は中国の南シナ海領有権問題で鋭く対立している。状況次第でトランプは「一つの中国」政策を外交カードとして持ち出さない保証はない。

 また、中国の一部の製品に対して中国政府の補助金を受けた不当廉売であり、アメリカの企業が損害を受けていると認定、高率の反ダンピング税や相殺関税を掛けて中国への経済的な敵視政策を取ろうとしている。

 要するに中国や北朝鮮に対してトランプは歓迎せざる人物として立ちはだかる危険性を抱えている。

 もしこの点で中国と北朝鮮が利害の一致を見たなら、大統領になったばかりであるゆえに強め牽制に打って出たとしても不思議はない。

 それが金正男の身辺警護に当たっていた中国当局の護衛チームが護衛の役目を密かに放棄して、その隙に金正恩の暗殺指令を受けたチームが暗殺を実行、成功させたと考えると、金正男の無防備も説明がつく。

 要するに金正恩を相手が半分血を分けた腹違いの兄であろうと国のためには暗殺でも何でもする危険人物と思わせることで、トランプ暗殺の可能性も仄めかした威しと見るのは推測に過ぎるだろうか。

 少なくともトランプはシークレットサービスの身辺警護の万全を期す必要性を自覚したはずだ。

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