「桜を見る会」私物化:安倍晋三は自分から首を差し出すような答弁はしない覚悟で野党は追及すべし/全日空ホテルはパーティー運営規則を「一般論」で扱うことはできない

2020-02-24 13:02:38 | 政治
 2020年2月17日衆議院予算委員会での立憲民主党の辻元清美質疑全文を「活動ブログ 辻元清美WEB」(2020.2.17)に自身の手で紹介している。

 辻元清美はそこで「桜を見る会」前夜祭パーティーの領収書と明細書を出して貰いたいと要求した。対して安倍晋三からはいつもどおりの答弁が帰ってきた。

 安倍晋三「夕食会の主催者は安倍晋三後援会であり、同夕食会の各段取りについては、私の事務所の職員が会場であるホテル側と相談を行っております。事務所に確認を行った結果、その過程において、ホテル側から見積書等の発行はなかったとのことであります。

 そして、参加者一人当たり5000円という価格については、800人規模を前提にその大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事実等を踏まえ、ホテル側が設定した価格であり、価格以上のサービスが提供されたというわけでは決してなく、ホテル側において当該価格設定どおりのサービスが提供されたものと承知をしております。

 なお、ホテル側との合意に基づき、夕食会の入り口において、安倍事務所の職員が一人5千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものとしておりまして、安倍事務所には一切収支は発生していないということでございます。

 また、既に御報告をさせていただいておりますが、明細書につきましては、ホテル側が、これは営業秘密にもかかわることであり、お示しをすることはできない、こう述べている、こういうことでございます。

 そして、領収書につきましては、これは一部新聞等にそのときの領収書が写真つきで出されているということを承知をしておりますが、これはまさに、出席者とホテル側との間で現金の支払いとそして領収書の発行がなされたものであり、私の事務所からこれは指図できるものではない、こういうことでございます」

  辻元清貴は手もなく同じ答弁を引き出したわけではなかった。隠し玉を用意していて、その効果を高めるために仕掛けたワナであった。但しその効果の有無は別問題である。文飾は当方。

 辻元清美「私、どうしても納得いかないので、ホテルに問合せをいたしました。ANAインターコンチネンタルホテル東京、全日空ホテルから文書で回答が参りました。ちょっと読ませていただきます。2013年以降の七年間に貴ホテルで開かれたパーティー、宴席についてお伺いします。この7年間の間に、これですけれども(全日空ホテルからの回答用紙を示す)、7年間の間に3回総理は前夜祭を開いております。貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうか、この7年間に。回答、ございません。主催者に対して見積書や請求明細書を発行いたします。

 総理の答弁と違うじゃないですか。いかがですか」

 安倍晋三それは、安倍事務所にということですか

 辻元清美「2013年から7年間に開かれた全日空ホテルでのパーティー、宴席全てについてでございます」

 安倍晋三それは、安倍事務所との間でどうなっていたかということについてお問合せをいただきたい、こう思うわけでございまして、その場においては、事務所から、それはいわば人数が多いものでありますから取りまとめを行ったということでございますが、明細書はいただいていない、こういうことでございます」

 辻元清美「次に、領収書の話です。個人、団体を問わず、貴ホテルの担当者が金額などを手書きし、宛名は空欄のまま領収書を発行したケースはあったでしょうか。回答、ございません。弊ホテルが発行する領収書において宛名を空欄のまま発行することはございません。文書で回答が来ております。

 これも総理の答弁と真っ向から違います。虚偽の答弁だとは断定はいたしません。しかし、全日空ホテルからは宛名が空欄の領収書は発行されていないんじゃないですか」

 安倍晋三それは、私の事務所で開いたものということでおっしゃっているんでしょうか。恐らくそうではないんだろう、こう思うわけでございまして……」(発言する者あり)

 棚橋委員長「御静粛にお願いいたします」

 安倍晋三ニューオータニ側においては、安倍事務所との関係においてはそうした領収書を発行していると述べている、こういうことでございます」(発言する者あり)

 棚橋委員長「お願いですから、御静粛に」

 安倍晋三「ということで、述べているわけでございます。

 そして、ニューオータニ側は、私の事務所においては、今申し上げた形でこれは領収書を出している。つまり、宴会場においては全て手書きで出していて、金額を入れ、担当者の名前を入れ、出しているということでございます。

 また、全日空ホテルについても、我々、全日空ホテル側と事務所が話をしているわけ、いわばこの件についても問合せをしているわけでございますが、その点を事務所の方としては問い合わせて確認をしているということでございました」

 辻元清美「全日空ホテルでは、7回のうちに3回、2013年、14年、16年、行っております。全日空ホテルに問合せをしたら、明細書も発行していない、そして、宛名のない領収書を全日空ホテルが一人一人に手渡しをした、そのように職員が確認をしたということでよろしいですか」

 安倍晋三「全日空側は宛名なしの領収書を発行したということで間違いはございません」(発言する者あり)

 棚橋委員長「御静粛に。辻元君の声が聞こえません」

 辻元清美「これは、私が問い合わせましたのは、もう一度申し上げます、2013年以降の7年間に、貴ホテル、全日空ホテルで開かれたパーティー、宴席全てについて問い合わせておりますので、この中に総理の3回の前夜祭も入っているんです。請求明細書、これは請求書のことですよ、発行している。領収書、宛名のないのなんか出しませんとおっしゃっているわけですよ。

 そしてこれも聞きました。ホテル主催ではない数百人規模のパーティー、宴会で、代金を主催者ではなく参加者個人一人一人から会費形式で貴ホテルが受け取ることはありましたか。回答、ございません。ホテル主催の宴席を除いて、代金は主催者からまとめてお支払いいただきます。

 総理が、一人一人と契約をして、会費を、参加費をホテルが、があっと集めたものをごっそり持っていって、支払いだと。一人一人からということは、ホテル主催の宴席、自分のところがやっている宴席以外は一切やっていないと言っているんですよ。この答弁も、総理の答弁が事実と違うんじゃないですか。いかがですか」

 安倍晋三「今、主催者とおっしゃいましたよね。ですから、私が従来から答弁をさせていただいておりますように、主催者は安倍事務所ではないわけでございます。そして、安倍事務所が……」(発言する者あり)

 安倍晋三「いや、主催者は安倍事務所ではないわけでございます。(発言する者あり)そしていわば契約主体は個々の参加者であるということでございまして、この件におきましても、事務所側は、ニューオータニ側とも、また全日空側とも話をしているところでございまして、繰り返しになりますが、宛名のない領収書で書いている、いわば支払いを行っているということにおいては間違いがないということは申し上げておきたい、このように考えます。

 辻元清美それは、全日空側と職員が打合せをして、そして、普通とは違う特別なやり方を安倍事務所側がお願いしたということでよろしいですか

 安倍晋三「これは繰り返しになるわけでございますが、これは、そうした参加者一人当たり5千円という価格につきましては、8百人規模を前提に、その大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情を踏まえましてホテル側が設定したわけでございまして、そうした形式につきましてもホテル側が了解をしているところでございます。価格分以上のサービスが提供されたというわけでは決してなくて、ホテル側において当該価格設定どおりのサービスが提供されたものと承知をしております。

 そして、ホテル側との合意に基づいて、夕食会場入り口の受付において、安倍事務所の職員が一人五千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされた。これは、ニューオータニにおきましても全日空におきましても同じであるというふうに承知をしております」

 辻元清美「そうしますと、全日空ホテルからの回答、主催者、これは安倍晋三後援会です、この場合は、安倍総理の場合は。見積書や請求明細書を発行いたします、これ、言ってみれば、安倍総理が全日空ホテルを使った期間全部にやっていると言っている。そして、宛名のない領収書は発行いたしませんと言っている。そしてさらに、ホテル主催の宴席を除いて、代金は主催者からまとめて支払う。私は、参加者個人一人一人から会費方式で受け取ることはあるかと。ございませんと回答しているんです。これ、総理の前夜祭も入っていますよ、この7年間に。

 では、一般はこうだけれども、安倍事務所は全日空ホテルと特別に、この間も特別の関係みたいな話がありましたから、一般とは違うやり方でやった、全日空ホテルはこう言っているけれども、安倍事務所は特別に御配慮をいただいたという理解でいいですか

 安倍晋三「それは、辻元さんの事務所と全日空ホテルがどういう前提でどういうやりとりをされたかということを、私、承知をしておりませんから、お答えのしようがないのでございます。

 例えばニューオータニとのやりとりにおきましても……」( 辻元委員「いや、全日空の話だからニューオータニは要らない」と呼ぶ)(発言する者あり)

 棚橋泰文「頼むから、静かにお願いします」

 安倍晋三「いやいや、御党におきまして、5千円で可能か、こういう形で5千円で可能かといえば、可能ではないという回答があったということは承知をしております。でも、そのときにさまざまな前提条件もつけられたと伺っております。

 そういう中においてはそういうことになるわけでございますが、今、しかし、ニューオータニは、その後、いわば条件によってはそういうことも可能だということを述べているところでございまして、いわば辻元委員がこの私の事務所を含めてということを先方に聞いたのかどうかということでございますが、そういうことではないのではないかと思うわけでございまして……」(発言する者あり)

 棚橋泰文「お願いですから、お静かに。傍聴席の方には特に申し上げます」

 安倍晋三「まさにこれは、今、辻元委員から御質問をいただきましたから、全日空側にも我々も確かめさせていただきたい、このように思います。

 辻元清美「私は条件はつけておりません。2013年以降の7年間に、貴ホテルで開かれたパーティー、宴席、全てについてどうだったかということしか聞いておりません。

 そして、もう一問聞きました。主催者が政治家及び政治家関連の団体であることから対応は変えたことはありますかという質問をいたしました、この七年間。回答、ございません。
 総理、ごらんになりますか、これ。どうぞ(全日空ホテルからの回答用紙を差し出す)、ごらんになったらどうですか。どうぞ、いかがですか」

(以下略)

> 上記「(活動ブログ 辻元清美WEB」に、 《ANAインターコンチネンタルホテル東京からの回答文書》が載せてあるから、参考までに。

 辻元清美は最後に全日空ホテルが辻元清美の問い合わせに対してこのような回答を文書で出したのかどうか、「午後の委員会までに確認をして頂きたい」と要求、安倍晋三が「事務所に当たらせる」と約束、質疑は終わる。

 安倍晋三側の確認によって展開は変わる可能性はあるが、この質疑に関しては辻元清美の隠し玉は不発に終わった。安倍晋三の自分の首を差し出すような答弁は、なかなかドッコイ、するはずはなく、口を滑らさない強かさは野党議員の比ではなく、強弁を用いてまで言い抜ける名人となっている。野党議員はこのことを覚悟して質問に立っているのだろうか。

 全日空の回答で重要な点は、「主催者が政治家及び政治家関連の団体であることから、対応を変えたことはありますか、この七年間に」との辻元清美の問いに「ございません」となっていることである。

 辻元清美は質疑終了間際に再度、「もう一度申し上げますけれども、主催者が政治家及び政治家関連の団体であることから、対応を変えたことはありますか、この七年間に。文書で私は問合せをいたしました。ございませんが全日空ホテルの回答でございます」と繰り返している。

 辻元清美のこの問いと全日空側の回答に対して安倍晋三は直接的には何も答えていないが、全日空側回答のそれぞれに対して文飾を施した発言で反応を示しているところが重要になる。ここに並べてみる。

 全日空が、〈この7年間に見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがはございません。発行致します。〉としていることに対して、安倍晋三は「それは、安倍事務所にということですか」と尋ねている。

 この答弁の裏を返すと、安倍事務所に対しては発行しないケースになっていたとの言い立てとなる。

 安倍晋三のこの言い立てに対して辻元清美が「2013年から7年間に開かれた全日空ホテルでのパーティー、宴席全てについての問い合わせで、この中に3回の安倍後援会事務所の前夜祭も入っている」といった趣旨でなお追及すると、「それは、安倍事務所との間でどうなっていたかということについてお問合せをいただきたい」と答弁。

 要するに安倍事務所は特別扱いとなっていた、あるいは特別待遇を受けていたとの意味を取ることになる。

 全日空ホテル側の領収書の宛名を空欄のまま発行することはないとする回答に対しては、「それは、私の事務所で開いたものということでおっしゃっているんでしょうか。恐らくそうではないんだろう、こう思うわけでございまして……

 この答弁も特別扱い、特別待遇の主張、それも正々堂々の主張となっている。

 その上で安倍晋三はホテルニューオータニの例を出して、自己正当性の補強をしている。

 「ニューオータニ側においては、安倍事務所との関係においてはそうした領収書を発行していると述べている、こういうことでございます

 つまり安倍事務所は全日空ホテルからだけではなく、ホテルニューオータニからも特別扱い、特別待遇を受けていた。

 要するに安倍晋三は辻元清美との質疑で全日空ホテル側は一般的なパーティー運営規則を回答で示しただけで、全日空ホテルと安倍事務所との関係を前提とした回答ではないとして、全日空ホテルの回答を安倍晋三後援会事務所「桜を見る会」前夜祭パーティーへの適用無効を言い立て、自身の全ての国会答弁の正当性に替えた。

 辻元清美の折角の隠し玉は不発に終わったが、引っ込めるわけにもいかず、安倍晋三の正当性と線路はどこまでも続く体の平行線を辿ることになった。但し辻元清美は全日空ホテル回答の前夜祭パーティーへの適用無効の安倍晋三の言い立ての如何わしさには気づいていた。

 「それは、全日空側と職員が打合せをして、そして、普通とは違う特別なやり方を安倍事務所側がお願いしたということでよろしいですか

 「一般はこうだけれども、安倍事務所は全日空ホテルと特別に、この間も特別の関係みたいな話がありましたから、一般とは違うやり方でやった、全日空ホテルはこう言っているけれども、安倍事務所は特別に御配慮をいただいたという理解でいいですか」

 辻元清美はこのようにホテル側の安倍後援会事務所への特別扱い、特別待遇に気づきはしたが、深追いはせず、あくまでも全日空側の回答と安倍晋三の答弁との矛盾に拘った。

 辻元清美の前者の追及に対して安倍晋三はいつもの答弁を用いて、パーテイ会費の妥当性、領収書発行と集金方法の経緯を述べ、後者の追及に対しては「辻元さんの事務所と全日空ホテルがどういう前提でどういうやりとりをされたかということを、私、承知をしておりませんから、お答えのしようがない」でかわしている。

 ホテル側の安倍事務所に対する、あるいは安倍晋三という存在にに対する特別扱い、特別待遇とは辻元清美の問い合わせに対する全日空ホテルの回答にある事柄の免除と言うことになる。

 「2013年以降の7年間に貴ホテルで開かれたパーティー、宴席に関して貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうか」の問い合わせに対する「回答、ございません。主催者に対して見積書や請求明細書を発行いたします」としている規則の免除であり、 「個人、団体を問わず、貴ホテルの担当者が金額などを手書きし、宛名は空欄のまま領収書を発行したケースはあったでしょうか」の問い合わせに対する「回答、ございません。弊ホテルが発行する領収書において宛名を空欄のまま発行することはございません」としている規則の免除であり、「ホテル主催ではない数百人規模のパーティー、宴会で、代金を主催者ではなく参加者個人一人一人から会費形式で貴ホテルが受け取ることはありましたか」の問い合わせに対する「回答、ございません。ホテル主催の宴席を除いて、代金は主催者からまとめてお支払いいただきます」としている規則の免除であり、「主催者が政治家及び政治家関連の団体であることから対応は変えたことはありますか」の問い合わせに対する「回答、この7年間、ございません」としている規則の免除ということになる。

 但しこのような規則の免除が全日空側が承知して許可していることなのか、安倍晋三側が全日空側の承知していないところで勝手につくり上げ、実行している規則の免除のどちらかなのかが問題となる。

 辻元清美が質疑の最後に全日空ホテルが辻元清美の問い合わせに対してこのような回答を文書で出したのかどうか、「午後の委員会までに確認をして頂きたい」と要求したのに対して安倍晋三が「事務所に当たらせる」と約束したことから、この件に関して立憲民主党の小川淳也が午後の質疑で取り上げた。安倍蘇晋三がどう答弁するか、その箇所のみを取り上げてみる。

 2020年2月17日午後 衆院予算委員会 小川淳也

 小川淳也「今日は公文書等についてお尋ねするつもりでございましたが、午前中の辻本議員の指摘、そして総理はがこのお昼の休憩時間ないで事実関係を確認して貰えるということでございましたので、先ずその点からお聞きをしていきたいと思います。ちょっと確認ですが、総理、午前中のご答弁の中でいわゆる前夜祭、主催は安倍事務所でないというご発言をなさいました。これ恐らく事実誤認だと思いますので、主催は安倍後援会だったということを確認させてください。

 安倍晋三「安倍事務所ではないとうことであります。安倍後援会であるということは今までも答弁している通りであります」

 小川淳也「それではお昼の時間、急遽総理にはご確認を頂いたと思いますので、一つ一つお尋ねしたいと思います。今日は委員長のお許しを頂いて、辻本議員が午前中をお示しになられたANAインターコンチネンタルホテル東京とのメールの遣り取りを資料配布させて頂きました。まず一つ目の質問です。通りです。ご確認頂きたいんですが、2013年以降の7年間、貴ホテル、ANAホテルですね、で開かれたパーティー等についてお伺いをしますということで、例外のある書き方はしておりません。

 これについて貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうかという問いです。ホテル側の回答は『ございません。主催者に対して見積書や請求明細書を発行いたします』。例外はないという答弁であります。

 事務所にご確認頂いた結果として如何だったでしょうか」

 安倍晋三「私の事務所の方からANAホテルに連絡を致しまして確認を致しました。それをお答えさせて、纏めてお答えをさせて頂きたいと思います。

 私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻本議員にはあくまで一般論でお答えしてものであり、個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていないとのことであります。桜を見る会前日の夕食会は、平成25年、26年及び、28年の3回は全日空ホテルで実施。私の事務所の職員がホテル側と事前に段取りの調整を行ったのみであり、明細書等の発行は受けてないとのことでした。

 また、領収書については一般的に宛名は上様として発行する場合があり、夕食会では上様としていた可能性があるとのことであります。

 いずれにしてもこれまで私が繰り返し答弁してきたとおり、夕食会の費用についてはホテル側との合意に基づき、私の事務所の職員が会費を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたとのことであります」

 小川淳也「個別に安倍今回の案件についてどうだったかということは聞いてもいませんし、答えてないことはそのとおりなんです(?)。しかし辻本議員のこの問いの立て方、そしてその答え方に例外がないということがこの際重要なんです。従ってもし総理が、これ、ホテル側がメディアに聞かれようと、野党に聞かれようと、全く同じことを答えてるんですね。

 それなりにホテル側の信用にかけて、覚悟を持って答えてるんですよ、ホテル側は。従って、総理、先ずホテル側はこうした文書で辻元議員に対して回答してきたということは先ず重く受け止めて頂きたい。

 原則だ、例外だ、安倍案件はどうかってという議論はあるでしょう。しかし少なくともここでは例外のある書き方にはなっていないわけです。だが、総理はこれに対してですよ、きちんと立証して、説明する責任が生じてます。今口頭で色々と仰った。

 総理の(に)先ず求めたいのは、これ、先だって来、指摘してますが、総理がホテル側に対して見積書や請求の明細書を要求をして、そしてそれを開示すれば済むことなんですよ。先ずそれお願いしたいと思います」

 安倍晋三「私が今述べているとおり事務所側から全日空ホテルに問い合わせをし、そしてホテル側から回答を得たわけでございます。私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻本議員にはあくまで一般論でお答えしてものであり、個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていないとのことであります。

 それを私がここでこのように答弁するということについては全日空側が当然了解をしていることでございます。私、『桜を見る会』前日の夕食会は平成25年、26年及び28年の3回は全日空ホテルで実施をし、私の事務所の職員はホテル側と事前に段取りの調整を行ったのみであり、明細書等の発行は受けてないとのことであります。また領収書については一般的に宛名は『上様』として発行する場合があり、夕食会でも『上様』としていた可能性はあるとのことであります。

 いずれにしてもこれまで私が繰り返し答弁していたとおり、夕食会の費用についてはホテル側との合意に基づき、私の事務所の職員が会費を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたとのことであります」

 小川淳也「それは事務所の方がホテルの方と電話でやり取りをしたということでよろしいですか」

 安倍晋三「これは電話での遣り取りでございますが、相手方の氏名等も確認をしておりますし、当然、この、今申し上げた中身についてですね、その中身で申し上げるということについて了解を取っているわけでございます。この了解の取り方についてはどのような形で取ったかということついては私は定かではございませんが、この今申し上げた形でですね、これで答弁させて頂くということを了解を取った上、こうやって、今私が述べているということでございます」

 小川淳也「これ辻本議員も、それなりに決意を持って問い合わせをしています。そしてホテル側も、それこそホテル側もプライドにかけて、信用にかけてきちんと、総理ご覧の通り書面で回答してきてます。

 では、今の遣り取り、きちんとホテル側に対して総理の事務所から書面で照会をし、そして書面で返答を受けるという形でその説得力をさらに増して頂きたいと思いますが、お願いできますか」

 安倍晋三「これはですね、既に私の答弁を信用しないということかもしれませんが、私は、ホテル側に既にここで答弁をするということでですね。全日空側に申し挙げ、今答弁をしているということでございます」

 小川淳也「総理が様々な状況説明なりに弁が立つことはよく分かってますから。人を介して、人を介してでしょ。事務所を介して、ホテル側とも、間接話法はじゃないですか。

 端的にお尋ねすればいいんじゃないですか。一般論として辻本議員にこう回答してるのは了解してる。では、個別に私の行事はかくかくしかじかで一人参加方式だし、支払いは個別にホテルに直接して貰ったし、後援会としては明細書は受け取っていないし、後援会として領収書を受け取ってもいない、支払いもしていない、ということでいいですねと、いうことを書面で聞いて、書面で回答を受け取るようにに要請したいと思います」

 安倍晋三「午前中にですね、え、私は要請されたのはですね、まさに全日空側に確認せよということでございました。そこで全日空側に確認をした。かくこの確認の上に於いて私がこの予算委員会に於いてその確認をここで答弁をさせて頂くということでいいですね、ということを言った。全日空側に確認をしたしたわけでございます。

 その中で私は今お答えをさせて頂いているわけでございまして、申し上げましたように辻元議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていないとのことであります。

 この遣り取りにつきまして事務所側がですね、え、全日空側とどのような形で電話で行ったのか、メールで行ったのか私は承知をしておりませんが、その上に於いて私はこうやってお答えをさせて頂いているところでございます。これ以上、私からですね、ホテル側に要望するということは今の時点では考えてはおりません」

 小川淳也「総理の疑念を晴らすためにケアしてます。一般論ですが、例えばもう一軒のホテル、敢えてちょっと名前は出しませんけれども、もう一軒のホテルに我々野党側が情報提供依頼した場合、例えば基本的にと、稀ではあるがと、例えば一概には言えないだと、全て留保がついているのですよ。

 それを私たちは私たちなりに受け止めていたんです。しかし今回、このANAインターコンチネンタルホテル東京さんですね、一切留保をつけていない、ご覧頂ければ分かると。ここには私は、これは聞き取ったものではありませんから、ホテル側の然るべき担当者が然るべき責任を持って書いた文章ですよ。毅然と書いてるでしょ?

 『ございません』と。これはね、ホテルとしては、きちんとやってるんですよ。そんな中途半端に誰がお客さんだか分からない、誰からお金を貰えばいいか分からない。領収書を誰に発行していいかわからない。そんな遣り方は私達はやっておりませんという、プライドがある回答なんですよ。

 それに対して総理の答弁は全く以ってこの信憑性に欠ける。そもそもね、そもそも総理の答弁、敢えて私は珍答弁と申し上げましたが、契約形態にせよ、参加者の参加方式にせよ、支払い方式せよ、みんなおかしいとそもそも思ってるんですよ。そんなの聞いたことがない。

 何だか不都合なことを言い逃れするため、隠すための隠蔽工作なんじゃないかとみんな思ってるわけですよ。ここへきてホテルの毅然たる回答ですよ。だから改めて求めます。では、午前中は午後の答弁で確認を求めたとしましょう。それの要請について今お答えになったとします。

 では、改めて要請します。ホテルに対して一般論で私たちは例外なく答えて頂いたと思っています。それを覆すために、いやいや個別に安倍後援会の案件では明細書を発行せず、そして参加者一人ひとりが一契約者として参加をし、そして領収書は上様なのか、空欄なのか。一人一人に、参加者一人ひとりに渡しましたね、いうことをホテル側に改めて要請します。確認をして、書面で答えてください」

 安倍晋三「今、小川委員の言い振りではですね、まるで全日空ホテルが誇りを持って、プライドを持って答えていて、他のホテルはそうではないかの(ヤジで聞こえない)、これはですね、それはそういうことではなくて、まさに今、私が申し上げたとおり、これはですね、先程答弁したとおりでございます。

 これは全日空ホテル側に私の事務所が問い合わせをし、そしてこの予算委員会で私が答弁する旨のことをですね、先方に伝え、その上に於いて確認したことを答弁をしているところでございます。当然ですね。みな様が今私との遣り取りについて本当か、ということを全日空側にですね、これは質して頂ければそれは宜しいのではないか、そういうことでございます。

 私はここで話していることがまさに全日空側との真実でございます。それを信じて頂けないということになればですね、そもそもこの予算委員会が成立をしないことになってしまう、一々ですね、それに答えていたのでは成立をしないことになってしまうのですから、それは、今一々という言葉使いについてどうかということがございましたので、一つ一つですね、答えていたら、まさにこの予算委員会の質疑は成立しなくなってしまうわけですから、私は総理大臣として全日空側と事務所を通じてお答えを、お問い合わせをさせて頂き、そしてここで私がそうお答えをさせて頂くということを確認して、今、お答えをさせて頂いてるということでございますので、私の言ってることが間違っているのかと言うことについてはそれは、お問い合わせ頂きたいと思います」

 安倍晋三が「私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻本議員にはあくまで一般論でお答えしてものであり、個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていないとのことであります」と答弁した以上、最後の最後までこの論理で押し通すつもりなんだなということを理解しなければならない。当然、この論理自体を破る努力をしなければならない。

 にも関わらず、小川淳也は「辻本議員のこの問いの立て方、そしてその答え方に例外がないということがこの際重要なんです」とか、全日空ホテルは「それなりにホテル側の信用にかけて、覚悟を持って答えてるんですよ」、「ホテル側はこうした文書で辻元議員に対して回答してきたということは先ず重く受け止めて頂きたい」、「総理はこれに対してですよ、きちんと立証して、説明する責任が生じてます」とか、安倍晋三にとって痛くも痒くもないことを尤もらしく言い立てている。

 痛くも痒くもない理由は野党側は全日空の回答に正義を置いているが、安倍晋三の方はその正義を簡単に認めて自分の首を差し出すようなことは決してできないことと、首を差し出さないためには野党側の正義を従来から、そして今後共徹底的に無視する態度を貫くつもりでいるだろうからである。

 安倍晋三が文書での回答を拒否する理由は二つ考えられる。一つは全日空側の事実と安倍晋三側の事実が異なる場合であり、二つ目は全日空側が安倍晋三側の事実に合わせたとしても、それが真正な事実に反する場合は言葉の証言よりも言い逃れを難しくする物的証拠となり得る万が一の危険性を孕むことになるからである。警察が事件で物的証拠を動かない事実として最重要視するのはこの理由からであろう。

 にも関わらず、小川淳也は文書での回答に最後まで拘った。対して安倍晋三は、「私の口をついて総理大臣としてこういうことを聞いたということを述べるわけでございます。まさにそうやって努力を重ねて、今ここで述べているにも関わらずですね、それが信用できないということであればですね、そもそも予算委員会は成立しないわけでけでございます。いわばまさにこれに疑問があるのであれば、お問い合わせを頂ければとこう思うところでございます」と、却って野党の方から全日空に問い合わせろとばかりに開き直られている。

 あるいは、「それは私共事務所がですね、皆様から要望があったから、それを全日空側にお尋ねして、お答えを頂いて、ここで私が責任を持って述べているわけではございます。それをですね、それを信用できないと言って、さらにまた全日空側にですね、書面で出せということまで、私はやるというのはですね、些か欲求が強すぎると私は思うわけでございます」云々と、「些か欲求が強すぎる」とまで逆非難までされる始末で、小川淳也の文書での回答の要求と対する安倍晋三の応じまいとする答弁とが最後まで平行線を辿ることになった。

 小川淳也次の次に登場した、国民民主党から無所属となった山井和則も策もなく文書提出に拘リ続けた。

 山井和則「今朝からの辻本議員のこの全日空ホテルの回答が重要かと言いますと、安倍総理は今までこの『前夜祭』で政治資金収支報告書に記載しなくてもいいという理由については『明細書も貰っていない。一人ひとりに領収書を出した。宛名も空欄』。そういう安倍方式だから、記載しなくていいんだということをこの3ヶ月間、言い続けてこられたんです。

 それがもし全日空の回答のように安倍総理の今までから3ヶ月間仰ってこられたことがもし虚偽であったなら、政治資金収支報告書に記載しなければならない。そういうことは今不記載であることは政治資金規正法違反ですから、私これ大問題になるわけです。ですから私達は法を作る者、法を犯すべからず。最も法律を守るべき総理大臣が違法行為をしてるんではないかということで、これは看過できないと考えてるんです」――

 虚偽であることを突き止めたわけでもないのに、「もし虚偽であったなら」と言い、政治資金規正法不記載の証拠を握ったわけでもないのに「不記載であることは政治資金規正法違反ですから、私これ大問題になるわけです」と、仮定の追及を益もなく進めている。

 そして全日空ホテルに回答を求めた辻元清美の質問に関係する追及に入ると、安倍晋三は待ち構えていたかのように答弁を原稿を読みながら、小川淳也に対するのと同じ内容で済ませたのみである。要するに同じ答弁を引き出したに過ぎない。

 だが、この答弁は前以って予測していなければならない。これまでも繰り返しそうされてきたように同じ論理でかわすこだろうぐらいのことは頭に置いていただろうからである。頭に置いていなかったとしたら、散々許してきた同じ繰り返しの答弁から何も学ばなかったことになるだけではなく、またもや許すことになる。

 「私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻本議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については営業の秘密にかかわるため、回答には含まれていない。分かりますか」――

 以下も小川淳也に対する答弁と同文である。原稿を読み上げるのだから、同文となるのは当然である。

 山井和則が辻元清美は「安倍総理のことに限って聞いているんじゃないんですよ」との物言いで、安倍事務所のパーティーを含めた全日空ホテルで開催され全てのパーティーについての辻元清美の問いであり、全日空の例外はないとする趣旨の回答だとしている言葉を掴まえて、「今いみじくもですね、委員がこれは安倍事務所のパーティーのことではありませんよ、と仰ったよね。ですから、一般論ですよ。安倍事務所の方ですよねって言って聞いたら、これは一般論ではない。しかしそうではないと仰った」と、全日空の回答が例外のない趣旨となっていることを無視して、安倍事務所のパーティーを勝手に例外だとして、例外のない方を「一般論」、例外がある方を「一般論ではない」とする捻じ曲げを行っている。

 この捻じ曲げは辻元清美に対する答弁と同様に安倍事務所は特別扱いであり、特別待遇だとしたい気持が仕向けているものであろう。自分の中で特別扱い、あるいは特別待遇を許しているとしたら、不遜な気持に相当に侵されていることになる。

 山井和則は全日空の書面の回答は重い、安倍晋三の全日空に対する確認は口頭で行ったもので、説得力がない、書面で出せの一点張りで議論を進めた。勿論、安倍晋三は理屈にならない理屈で追及をかわしている。それもこれも簡単には首を差し出すような答弁はできないからなのは断るまでもない。理屈になろうとならなかろうと、その場を凌ぐことだけを考えた答弁だから、理屈を捻じ曲げた答弁となる。

 安倍晋三「今まさに山井委員が言われたようにですね、今後色んなことで書面が出てこないんだったら、審議に応じない、こういう、これはまさに前例になるわけですか。今後、様々な議論がなされますよね。そこですぐに書面を出すと言っても、それはすぐに出せませんよ。

 当たり前じゃありませんか。すぐに書面を出せない。書面を出さなければ、議論ができないということでですね、一々、これはまさに一々ですね、一々審議が止まっていたのであればですね、これはまさに委員会としてこれは議論がなかなか進んでいかないということになりかねない、わけでもあります。

 つまりこれはまさに先程申し上げましたように、今、だって、山井委員がそこへ(自席へ)座ってしまってですね、委員が委員会のこの進行をどうするかということだったんだろうとこう思いますが、そうであればですね、今後もですね、そういうわけにはいきません。まさに最初午前中言われたのはですね、全日空ホテルに確かめてくれということでありましたから、短い時間でありましたが、確かめて、全日空側からこのように回答を得て、その回答に於いて私もですね、私が総理大臣が総理大臣として委員会でお答えをする、と言っているということを先方に伝えですね、先方はその上に於いて答えているわけでございます。

 そしてそれが全く価値がないということであればですね、なぜ、じゃあそれを最初からですね、私にそれを要求しなかったのかということでもあるわけでありまして、全く価値がないと看做されるのであればですね、我々の努力、あるいは全日空がしっかりと検討した上での答が何だったのかと言うことにもなるわけでもあります。

 それは誠実に全日空側も対応しておりますし、私も勿論、私の事務所もですね、誠実に対応して頂いているところでございます。その努力を全く認めていないと、認めないと、要望しておいて、そう答えているにも関わらず、努力を全く認めないと言うことであればですね、さらにこれから全日空側にそういう要求を出していくということはこれは如何なものかと。それはむしろみなさんが全日空側に確認されれば、されたらよろしいのではないかと、こういうことでございます」

 「すぐに書面を出すと言っても、それはすぐに出せない」ということなら、実行する意志を前提に「早急に出します」と約束すれば済むことを、理路整然とは程遠い、クドクドとした意味もない自己正当化に替えた言い立てに終始している。

 山井和則は安倍晋三の理屈にならない言い逃れに業を煮やしたのか、「説明責任は安倍総理、あなたにあるんです。あまりにも不誠実です。これ以上質問はできません」と言って席を立ち、山井和則に従って野党議員の多くが退席することになったが、退席野党と自民党が話し合って、予算委員会終了後に理事会で対応を協議することになり、約30分後に審議に戻ったという。

 安倍晋三は山井和則が全日空からの書面での回答をそんなに求めるなら、「それはむしろみなさんが全日空側に確認されれば、されたらよろしいのではないかと、こういうことでございます」と答弁した手前、早速動いた。

 但しマスコミのほうが一歩先んじていた。2020年2月17日 23時18分の発信で、2月17日の夜、朝日新聞の質問に対して「asahi.com」記事が、〈「桜を見る会」の前日に開かれた夕食会をめぐる安倍晋三首相の答弁に関して、「ANAインターコンチネンタルホテル東京」の広報担当者が17日夜、朝日新聞の質問に回答した。野党が示したANAホテルの見解について、首相は同日の衆院予算委員会でホテルへの照会結果として「個別の案件については営業の秘密にかかわるため、回答に含まれない」と答弁し、夕食会が見解の対象外とする見方を示したが、ANAホテルはこの部分を「申し上げた事実はございません」と否定した。〉という内容で配信している。

 このような記事が首を差し出すことになる事実となることを恐れて、逆に首を差し出さないで済む事実を作り上げる執念に駆られたのかもしれない、全日空ホテルは一旦は安倍晋三答弁を否定していながら、「asahi.com」報道の翌日の2月18日に自民党党関係者と全日空ホテル側が会談、〈その後、ホテル側は首相答弁について報道機関が質問しても説明しなくなった。〉と、2020年2月19日 19時59分発信の「毎日新聞」が伝えている。

 そこで思い出した。2014年11月18日、安倍晋三がTBSテレビ「NEWS23」に出演した際、番組が「アベノミクスに実感は感じない」趣旨の街の声を紹介したところ、テレビ局がさも情報操作紛いのことをしているような発言をしただけではなく、2日後の11月20日に「自由民主党 筆頭副幹事長 萩生田光一/報道局長 福井照」の差出し人名で在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉と題して、「報道の公平中立ならびに公正の確保について」の体裁を取っている文書ではあるが、要するにアベノミクス批判の意見・主張を集中をさせるなの報道圧力が趣旨となっている文書を配布した。

 今回は萩生田光一は文科相となっているから、顔を出すことはできないが、萩生田光一辺りが忠実な自民党関係者に命じて全日空ホテルに圧力をかけた可能性は否定できない。

 忠義面の面々が安倍晋三に首を差し出さなければならない事態に追い込ませないの一点で団結したとしても不思議はない。

 翌2月20日付け20時36分発信の「産経ニュース」が産経新聞の取材に応じたANAインターコンチネンタルホテル東京の発言を伝えている。記事が載せている画像を転載する。

 --夕食会に関する明細書、領収書、会費の支払い方の公表の是非について、それぞれ首相発言とホテルの見解が違うと指摘されている
 
「われわれはすべての問い合わせに対し、あくまで一般論としてお答えしている。宴席にはさまざまなケースがあり、一概にこうです、とは申し上げられない」

 --主催者に明細書を発行しないのか。首相発言と異なるが

 「明細書に関してもあくまで一般論だ。個別の案件に関しては回答できない」

 --領収書を空欄で出すことは

 「空欄のまま発行することはない。お客さまに教えていただいた宛名を記入することが基本だ。主催者さまとの打ち合わせで要望に応じて用意する。宛名を『上様で』と言われれば『上様』で発行することはこれまでにあった」

 --会費の支払い方法は

 「一般論として、主催者さまとホテルの間でやりとりさせていただいている」

 --首相側に「営業の秘密に関わる」と回答したのか

 「お客さまの情報に関しては個人情報であり、われわれには守秘義務がある。ホテルとして誰に対しても一切開示することはないとお伝えしている」

 --野党は首相に書面で回答するよう求めている

 「お客さまの情報はあくまでそのお客さまとだけ共有するものだ。外部に出すことは一切ない」(以上転載終わり)

 ANAホテルの産経新聞の取材に対する回答は概ね安倍晋三の「一般論」に合わせている。いわば安倍晋三の「一般論」に加担した。だが、どのように巧妙に下端しようとも、全日空ホテルの辻元清美の問い合わせに対する回答にある領収書や請求明細書等の発行方法は基本的原則であり、原則論の括りで扱うべき事柄であって、「一般論」の括りとして扱うことはできない。

 もし「一般論」の括りで扱うとしたら、基本的原則から外した例外を設けている場合のみである。但しあくまでも主体は基本的原則であり、例外は従に位置する。例外が主体であった場合、「例外」という言葉の意味自体に反することになる。

 と言うことは、全日空ホテルが安倍後援会事務所に請求明細書を発行しなかったこと、領収書を主催者である安倍後援会事務所が参加者一人一人に発行するのではなく、ホテル側が参加者一人一人宛に書いたということはあくまでも例外中の例外だったことになる。

 いわば既に触れたように安倍後援会は特別扱い、あるいは特別待遇を受けていた。「桜を見る会」前夜祭パーティーの主催者である安倍後援事務所が参加者一人ひとり宛に領収書の必要事項を書き、発行するのではなく、主催者でもないホテル側がこれらの領収書の扱いをする、さらに基本的原則となっている請求明細書の発行を行わなかった特別扱い、特別待遇とはどのような理由のどのような必要性があってのことなのだろうか。

 世間に顔向けができる理由と必要性であったなら、ごくごく常識的に考えて、このような例外――特別扱い、あるいは特別待遇は必要としない。基本的原則のみの扱いで事足りる。安倍後援会事務所がホテルから受けた請求明細書に従った金額を設定した領収書を参加費と引き換えに参加者一人一人宛に発行し、集金したカネを纏めてホテルに支払い、纏めた金額の領収書をホテルから受け取る、世間一般の基本的原則とおりで全てが片付く。

 基本的原則とおりではなく、例外としたのはパーティで飲み食いさせることで選挙や支持集めの便宜供与を謀った以外に理由を考えることはできない。

 それにしても産経ニュースに載っている領収書の但し書きは「夕食懇談会として」と8文字、「懇談会の「懇」の字も「談」の字も画数が多くて、2019年の参加者は約800人、全日空の3回が各500人ずつと少なく見積もったとしても、但し書きだけの字数が4千文字、金額と「上」様を加えると、3千文字増えて、7千文字となる。手書きだと相当な労力となる。ゴム判を作れば簡単に済むのに大のホテルが手書きとはとても信じられない。

 (当該記事投稿後、2020年2月24日 12:58の時点で上記産経ニュース記事を覗いたところ、領収書の画像が消去されている。なぜなのだろう。)

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安倍政権のクルーズ船内集団隔離によるヒトからヒトへの感染の危機意識なき新型コロナウイルス感染者培養の無残な危機管理

2020-02-17 09:35:45 | Weblog
 中国湖北省武漢市の海鮮市場を感染源とされている2019年12月に始まった新型コロナウイルスによる感染症が武漢市を超えて、中国国内に広がりを見せていた。

 湖北省武漢市から2020年1月6日帰国の神奈川県在住30代男性が帰国前の1月3日から発熱があり、帰国当日の1月6日に医療機関を受診、1月10日から入院、1月15日に新型コロナウイルス陽性が判明し、国内初感染が判明したが、症状は軽く、その日に退院している。〈新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)〉(厚労省/2020年1月16日)

 国内感染の2例目は湖北省武漢市在住40代男性。1月19日来日前の1月15、17日に武漢市の医療機関を受診したが、肺炎の診断がなく、そのまま来日。その翌日の1月20日に日本の医療機関を受診、やはり肺炎の診断はなかったが、2日後の1月22日に医療機関受診、新型コロナウイルスに関連した肺炎と診断された。

 厚労省は新型コロナウイルス陽性と診断された訪日中国人に対しても、武漢滞在帰国日本人に対しても感染源とされていていた武漢市の海鮮市場に立ち寄ったかどうかを聞き取っているが、いずれも立ち寄っていないと返答している。

 海産物等の食材からの感染いがある一方、市場には海産物だけでなく、野生動物を販売している区画もあり,この市場で売られていた、生きた哺乳動物由来であるとする説も浮上していた。

 〈2020年1月20日、病原体を調査している中国・国家衛生健康委員会(NHC)専門家グループ長の鍾南山が、広東省でヒトからヒトへの感染が確認されたと発表した。〉(「Wikipedia」

 武漢市の海鮮市場に立ち寄っていないにも関わらず感染していたということはヒトからヒトへの感染を疑わなければならない事例となるが、中国でヒトからヒトへの感染が確認されたこの2020年1月20日は記憶にとどめておかなければならない。それまではヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はないとされていた。

 厚労省はその後も日本国内で感染が確認された中国人訪日客に対しては、感染源を知るためにだろう、武漢市の海鮮市場への立ち寄りの有無を聞き取っているが、国内感染6例目の60代奈良県在住の日本人男性が武漢市への滞在歴はなく、1月8日~1月11日に武漢からのツアー客を運転手としてバスに乗せ、さらに別の武漢からのツアー客を1月12日~1月16日に載せてバスを運転、体調を崩し、医療機関への入院を経て、検体を送付、1月28日に国立感染症研究所より新型コロナウイルスに関連した感染症発症の報告を受けている。

 要するに1月8日から1月11日の間か、1月12日~1月16日の間に明らかにヒトからヒトへの感染によって新型肺炎を発症、このことが日本国内で初めて確認されたことになる。但し確認された事例であって、確認されていない、潜伏した密かな状況でヒトからヒトへの感染が発生している可能性を危機管理としなければならないことは言わずもがのことであろう。

 《医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド》(一般社団法人 日本環境感染学会/ 2020年2月13日)には次のような下りがある。

 〈発生状況

 国内の感染者数は増加していますが、軽症例や無症候病原体保有者が多くを占めています。〉

 〈臨床的特徴(病態、症状)

 新型コロナウイルスは呼吸器系の感染が主体です。 ウイルスの主な感染部位によって上気道炎、気管支炎、および肺炎を発症すると考えられます。本ウイルスに感染した方全員が発症するわけではなく、無症状で経過してウイルスが排除される例も存在すると考えられます。〉(一部抜粋)

 本人が知らないままにウイルスを抱え込んだとしても、発症しないままに過ごして、知らないままにウイルスが消滅してしまう例があると言うことは、本人は無事であったとしても、ウイルスを抱え込んでいる間、そのウイルスに第三者が感染、発症する例もあることを意味することになる。

 特に体力が低下している高齢者や、高齢者ではなくても、何かの病気治療中で体力が万全ではない中高年層がコロナウイルス感染の症状が出ていない、いわば野放し状態となっている無症候病原体保有者と何らかの接触をした場合、ヒトからヒトへの感染が起こり得る可能性は否定できないばかりか、一人の発症から感染経路を辿る作業にしても、感染元が無症候病原体保有者で、既にウイルスを消滅させていた場合は事前の感染者が特定不可能となって、感染元を一人ひとり探し当てて、入院隔離するなりして感染拡大を阻止するローラー作戦にしても、全てがうまくいかないことになって、感染経路を辿る作業が往々にして迷路に迷い込むことになりかねない。

 だが、こういった始末の悪さも感染拡大防止対策の危機管理としなければならない。

 2020年1月15日に国内初の新型コロナウイルス感染例が報告されてから、国内での感染例が徐々に増えていき、2020年1月20日にヒトからヒトへの感染が確認されたにも関わらず、安倍政権は対策本部をすぐには立ち上げなかった。立ち上げたのはヒトからヒトへの感染が確認された2020年1月20日から10日後の2020年1月30日になってからのことだった。

 その日の「新型コロナウイルス感染症対策本部幹事会」での安倍晋三の発言。

 安倍晋三「新型コロナウイルスによる感染状況については、我が国でも昨日までに武漢滞在歴がない患者が2名報告されており、その方を含め8名の患者が確認されています。加えて、昨日(1月29日)、帰国された方のうち、3名の方がウイルス検査の結果、陽性であったことが確認されました。現在、専門の医療機関において、入院・治療に当たっています。今回、このうちお二人の方は、無症状でありました。無症状であるにもかかわらず陽性反応が出たということを踏まえれば、これまで実施してきた水際対策などのフェーズを、もう一段引き上げていく必要があります。

 感染拡大防止のため、これまでのサーベイランス(調査監視)の考え方に捉われることなく、あらゆる措置を構じてまいります。武漢市などに滞在歴がある全ての入国者を対象として、症状の有無に関係なく、日本固内での連絡先等を確認し、健康状態をフォローアップする仕組みを導入します。
 今後も、今回のウイルスの特性をしっかりと踏まえながら、感染拡大の防止を何よりも第一に、事態の推移を十分に注視しながら、これまでの発想に捉われることなく、柔軟かつ機動的な対策を構じてまいります」

 以下は2月5日当日の210名の日本人の武漢から帰国に関しての発言だが、最後に次のように述べている。

 安倍晋三「各閣僚におかれては本対策本部の下、これらの取組を連携して速やかに実施してください。今後とも、情勢変化を踏まえなから政府一丸となって、何よりも国民の命と健康を守ることを最侵先にやるべき対策を躊躇なく決断し実行してください」――

 「我が国でも昨日までに武漢滞在歴がない患者が2名報告されており」と言っているが、武漢滞在歴がなくても、武漢在住訪日中国人との何らかの接触によってヒトからヒトへの感染が国内日本人に既に発生していることから、日本人から日本人へのヒトからヒトへの感染へと場面が変わる状況をも予測内に収め、さらに1月29日に政府のチャーター便で中国から帰国した日本人の中に3名がウイルス検査の結果、陽性であったものの、この内の2名が無症状(無症候病原体保有者)であったことから、検査前に、あるいは検査を経ないままにウイルスが消滅する、あり得る事例が感染経路を辿る作業を困難にすることをも予測する危機管理意識を持った、「これまで実施してきた水際対策などのフェーズを、もう一段引き上げていく必要があります」の発言だったはずである。

 特に危機管理意識を働かせなければならない点は中国人から日本人へのヒトからヒトへの感染に代わる日本人から日本人へのヒトからヒトへの感染でなければならない。なぜなら、中国人訪日客が大挙押し寄せていたときであっても、中国人と日本人の接触よりも、日本人と日本人の接触の方が圧倒的に多いから、感染の機会が増えると考えなければならないからである。

 香港在住の80歳の男性が1月17日に飛行機で来日、1月20日に横浜港から乗客・乗員合わせて約3700人のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船、横浜港出港1月20日から香港入港1月25日までの6日間のクルーズの旅を楽しみ、香港で下船後、乗船前からの風邪の症状が悪化したことから検査を受けたところ、新型コロナウイルスへの感染が確認されたという。

 「ダイヤモンド プリンセス」は2月3日夜に横浜港に戻り、沖合に停泊、厚労省は検疫法に基づく臨船検疫を開始し、翌々日の2月5日にマスコミが乗船者10人から新型コロナウイルスの陽性反応が出たと報道。

 2020年2月5日6時14分から同29分までの《新型コロナウイルス感染症対策本部第5回会議》(首相官邸サイト)

 安倍晋三「2月3日に横浜港に到着したクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』については、先月末に香港で当該クルーズ船から下船した方が新型コロナウイルスの感染が確認されたことを踏まえ、検疫法に基づく臨船検疫を実施しております。現在も継続中ですが、船内において発熱等の症状のある方、濃厚接触者の方などの検体採取をし、分析を進めています。

 そのうち、現在までに10名の方から陽性反応が出たことから、検疫官付き添いの下、これらの方々には下船いただき、神奈川県内の医療機関にて措置入院をしています。残る乗員・乗客には、最大14日間の潜伏期間を想定することが必要であることを踏まえ、当面上陸を認めないこととし、必要な期間船内に留まっていただき、感染を予防する行動を徹底しつつ、各自の客室で待機していただいています。

 大型客船内での集団感染という新たな事態の発生に直面しましたが、乗員・乗客の方々の健康状態に十分配慮しつつ、感染の拡大防止に向けて万全の対策を講じなくてはなりません。船内で必要となるマスク等の衛生用品や医薬品、生活物資の支給に加え、今後、医師や看護師等を派遣し、乗客・乗員の健康の確保に万全を期してください。関係省庁は引き続き緊密に連携し、冷静に対応を進めていってください。

 また、水際対策の強化はもとより、国内の検査体制や相談体制の充実・拡大といった蔓延防止対策の強化も喫緊の課題です。現在、国立感染症研究所や地方衛生研究所で行っている検査について、民間の検査機関においてもできる体制の構築に向け取り組んでいるほか、全国の自治体や関係団体において相談体制を充実しているところでありますが、引き続き体制の整備に向けて取り組み、国民の不安や声をしっかりと受け止めてください。

 引き続き、対策本部を中心に何よりも国民の健康と命を守ることを最優先に、やるべき対策を躊躇なく決断し、実行してまいりますので、各位にあっても引き続きよろしくお願いいたします」――

 「残る乗員・乗客には、最大14日間の潜伏期間を想定することが必要であることを踏まえ、当面上陸を認めないこととし、必要な期間船内に留まっていただき、感染を予防する行動を徹底しつつ、各自の客室で待機していただいています」と、「ダイヤモンド・プリンセス」の船内に集団隔離する中で検疫を進める対策を取った。

 この14日間、なるべく個室から出ないように通達されたと言うが、乗客が個室を出なくても、乗員が各個室を訪れなければ、買い置きの食材を保存しているわけはないだろうから、生命維持を図ることはできない。特に高齢者は、何らかの持病を抱えているなら、なおさら、体力の維持に極力務めなければならない。不安や食事制限、あるいは食事時間の不規則化等々を受けた体力低下、気持の不安定化はヒトからヒトへの感染に対する予防を体力的にも精神的にも強化するどころか、逆に脆弱化することになるからだ。

 当然、乗員は食事に限って手抜きなく調理した料理を時間を厳格に守り、各客室を訪れてルームサービスを行い、決めた時間に食器類を下げなければならない。食事が来る時間や食器類を下げる時間が遅くなった場合、客室という密閉空間に閉じ込められた乗客が、高齢者や持病を抱えた乗客程、何か不穏なことが起きているのではないかと気持の不安に駆られた場合、ヒトからヒトへの感染の隙きを与えない保証はない。

 乗客を客室に閉じ込めておいたとしても、乗員が食事やその他の用事で各客室を次々に回って異なる乗客と複数回接触し、その過程で他の乗員と接触していく中で乗客から乗員への、あるいは逆に乗員から乗客への、さらに乗員から乗員へのヒトからヒトへの感染が決して発生しないと断言はできるのだろうか。

 当然、このことを予防するためには乗員全てが防護服でしっかりと身を固めて、各客室を訪れる体制を取らなければならない。安倍晋三はこういった危機管理意識に立った指示を出した上で、「感染拡大防止のため、これまでのサーベイランス(調査監視)の考え方に捉われることなく、あらゆる措置を構じてまいります」と広言したのだろうか。

 あるいは「今後も、今回のウイルスの特性をしっかりと踏まえながら、感染拡大の防止を何よりも第一に、事態の推移を十分に注視しながら、これまでの発想に捉われることなく、柔軟かつ機動的な対策を構じてまいります」と請け合ったのだろうか。

 さらに「今後とも、情勢変化を踏まえなから政府一丸となって、何よりも国民の命と健康を守ることを最侵先にやるべき対策を躊躇なく決断し実行してください」と指示、その指示の先頭に立つ気構えを示したのだろうか。

 大体が「最大14日間の潜伏期間を想定」して上陸を認めないという措置にしても、集団隔離である以上、潜伏期間最終日の14日目にヒトからヒトへの感染を受ける可能性は否定できないのだから、「14日」という日数は合理的根拠を失う。合理的根拠を保つためには乗客・乗員合わせて約3700人を厳格に個別隔離するか、先に挙げたように乗員全てが防護服に身を固めて、乗客は各客室にとどめる以外に方法はないはずである。

 安倍晋三は検疫法に基づく臨船検疫の結果、「現在までに10名の方から陽性反応が出た」と発言しているが、乗客・乗員合わせて約3700人のうちの何人を検査したのかは2020年2月5日付「日経電子版」が詳しく伝えている。

 乗客が提供したという記事添付の写真には男性検疫官は完全な防護服を身に纏っているようには見えない。検疫官の周りにいるのは乗員なのだろう、マスクに手袋といった軽装となっている。この点からもヒトからヒトへの感染に対する危機意識を強く感じることはできない。

 「ダイヤモンド・プリンセス」に対する検疫法に基づく臨船検疫の最初の検査対象は乗客・乗員合わせて約3700人のうちの273人で、結果判明者が31人、そのうちの10人から陽性反応が出たと記事は解説している。特に自覚症状がひどい乗客を選んで優先的に検疫したのだろうが、それにしても約3対1という感染率は高い。この時点で当然、ヒトからヒトへの感染に対する危機意識を強めなければならなかった。

 2020年2月12日午前のマスコミ報道の時点で「ダイヤモンド・プリンセス」で新たに乗客29人と乗員10人の合計39人と、ご丁寧にも検疫官1人の感染が確認され、乗客・乗員を合わせた感染者は締めて174人となった。その多くが軽症者だそうだが、軽症者から次のヒトからヒトへの感染が軽症を保証するわけではない。それが高齢者や病身であった場合は軽症の保証率は低くなる。当然、軽症者が多いからと言って、ヒトからヒトへの感染防止対策の手を緩めることはできない。

 検疫官は2月3日から4日まで船内で乗客の体温の測定や質問票の回収業務を行っていたが、医療用マスクや手袋を着用し、作業ごとに消毒をしていたというが、防護服は着用していなかった。この点からもヒトからヒトへの感染に対する危機意識が相当に低い。

 この危機意識の低さは安倍政権の危機意識の低さの反映であろう。

 2020年2月16日付「NHK NEWS WEB」記事が、「ダイヤモンド・プリンセス」で新たに70人の感染が確認され、乗員・乗客で感染が確認されたのは合わせて355人となったと伝えている。

 新たな70人の感染者のうち、症状がない無症候病原体保有者は38人で、重症者は感染確認の全355人のうちの18人で、ほかに感染が確認されていない1人が重症だそうだ。残りは程度の差はあるものの、軽症者ということになるが、乗客・乗員合わせて約3700人のうち、検査が行われたのは1219人で、まだ約2481人を残している。

 例え軽症者が多数を占めていても、「ダイヤモンド・プリンセス」内外で既にかなりの人数の重症者を出していて、神奈川在住の80代女性を国内初の死者としている以上、今後とも重症者も死者も出ない保証は何一つない。「ダイヤモンド・プリンセス」に限って言うと、検査残りの2481人のうち、アメリカ政府がアメリカ人乗客380人のうちの希望者を昨晩2月16日夜にチャーター機でアメリカに帰国させ、カナダ政府も255人のカナダ人乗客のうち複数の感染者を残してカナダに帰国させると言うから、差し引いた1500人程度の検査を進めるうちに、新たなヒトからヒトへの感染が潜行する形でさらに広がることになるのか、既に終わっているヒトからヒトへの感染が検査結果として出てくることになるのか、前者・後者、どちらのケースであっても、終わらない状況として提示されることになるはずだ。

 こういったことは何もかも、多くの病院や国の宿泊施設に分離隔離することでヒトからヒトへの感染を防止しながら、多くの手で検疫を行い、陽性なら、さらに重症者・軽症者に分けて効率的に治療に当たるのではなく、クルーズ船という巨大な密室に防護服を身に着けさせることもなく、3700人もの乗客・乗員を閉じ込める形で集団隔離したために新型コロナウイルスの感染者を培養するような結果を招くことになった、ヒトからヒトへの感染に関わる無残な危機管理となったはずである。

 安倍晋三は「何よりも国民の命と健康を守ることを最侵先にやるべき対策を躊躇なく決断し実行してください」と指示を出しているが、「ダイヤモンド・プリンセス」に於けるヒトからヒトへの感染に関わる無残な危機管理からは人命を、当然その健康を尊ぶ意識は何ら見えてこない。
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安晋三2019年「桜を見る会」前夜祭パーティ:安い金額で飲食させた利益供与か、タダで飲み食いさせた利益供与か

2020-02-10 11:59:22 | 政治
  政治家が支持者に対してポケットマネーで飲食をさせる。あるいは政治資金を使って飲食させる。あるいは支持者
 が支払うべき飲食代の一部分をポケットマネー、あるいは政治資金で補填する。これらの行為は公職選挙法で当選を
 得、もしくは得しめ、または得しめない目的をもって選挙人(選挙権を有する者)または選挙運動者に対し金銭、物
 品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み、もしくは約束をし、または供応接待、その
 申込み、もしくは約束することを禁じる「買収及び利害誘導罪」に当たるだけではなく、政治資金を使った場合、当
 然、そこに収支の実態が生じるものの、公職選挙法に抵触することから、政治資金規正法によって作成・提出の義務
 付けがある政治資金収支報告書に載せるわけにはいかず、政治資金規正法自体に抵触することになる。

  第2次安倍政権成立翌年の2013年から2019年までの7年間の毎年4月、総理大臣主催の公的行事「桜を見る
 会」が新 宿御苑で開かれている。この毎年の「桜を見る会」に合わせて、その前日夜に安倍晋三後援会主催の支持
 者を集めた 懇親パーティが前夜祭として大手一流ホテルで開催する慣わしになっていた。パーティの会費としての
 飲食代はいずれも5000円となっていて、一流ホテルとしては相場よりも低いと見られていることから、相場との差
 額はホテル側から後援会側への財産上の利益の供与か、その差額が安倍晋三がポケットマネーで埋めるはずはないか
 ら、自らの政治資金の中から補填した場合は買収及び利害誘導罪に当たる疑いが浮上、野党が国会で追及することに
 なった。

  安倍晋三は様々な国会質疑で前夜祭が公職選挙法の点でも、政治資金規正法の点でも何ら疚しいことはないと、そ
 の正当性を主張しているが、その前夜祭がどのような仕組みで開催されているのか、飲食代5000円の領収書をとのように発行したのかを安倍晋三が立憲民主党の大串博志を相手に答弁している次の国会質疑から、その正当性を探ってみることにする。大串博志は東大法学部卒の54歳。文飾は当方。

 2020年2月5日衆議院予算委員会 

 大串博志「次に『桜を見る会』の今までの審議に関してですけども、昨日、『桜を見る会』に関する質問がありました。総理、かなりヒートアップ(同じ立憲民主党の黒岩宇洋―東京大学文科一類、法学部進学後中退。53歳―に対する答弁を指す)されていらっしゃいましたですね。やや焦っていらっしゃるような印象すら、私は受けました。焦っていらっしゃっとは言えですね、ように見えましたけども、人をこう、間違った事実に基づいて嘘つき呼ばわりすることはあってはならないと私は思いますが。

 きのうの黒岩委員が総理が『桜を見る会』の前夜祭に関して安倍事務所が契約したのじゃなくて、参加者個人が契約したんだということの論点に関して黒岩委員がキャンセルとか、あるいは人数が変わるとか、こういったリスクがある、リスク負担をホテルニューオータニの規約に基づいて、どういうふうにしてるのか、こういうことを問うたときに安倍総理は、『今根拠のないことを仰ったということが明らかになりましたね。別にこれはニューオータニの規約にあるわけではないですよ。そんなことを言ったところで。だから、それは根拠がないことをおっしゃってる。嘘をついてるということと同じですよ、はっきりと申し上げて』というふうなところまで。

 しかし規約を黒岩委員が手に持ちながら、規約にはちゃんと人数が減じたとき、キャンセルしたときには、こうこうしますよということが書かれてる規約があるわけですよ。あるにも関わらず、総理がどう認識したのか分かりませんが、規約があるわけじゃないですよと勝手に決めつけて、で、『嘘をついたことと同じことですよ。はっきり申し上げて』。こういうふうに申し上げてた。、これに関して私たち理事会で総理の(発言の)撤回と謝罪を求めております。しかもテレビ中継が入ってる場で、国民の皆さんが見てらっしゃる場での発言でありますので、なお一層看過できません。

 ですから、同じ環境下、テレビの中継が入ってる審議の場に於いてこの件に関して嘘ではなかったわけですから、安倍総理にちゃんと撤回と謝罪を求めるということを理事会に求めております。改めて委員長にこの件に関して総理の謝罪と撤回求める理事会協議をお願いします」

 委員長「後刻、理事会で協議を致します」

 大串博志「なぜこういった議論で切り出したかと言うと、前夜祭に関してなぜそれを政治資金収支報告書に上げて出さなかったのかということが一点。安倍総理の説明の道具は只一つこれは個々人の参加者の方々が契約をニューオータニと直接されたからだと、この一点に拠っているんですね。

 このほそーい1点に拠っているということです。誰も800人の皆さんがニューオータニと5000円の直接的な契約を一人一人、結べるとはちょっと考えづらいですね。考えてづらい。だもんだから、これはおかしいなーと、やはり安倍事務所主催であり、実質的に安倍事務所の事業なんだから、収支報告書に収支を載せるべきなんじゃないかという声が上がるわけですよ。

 この契約は直接、安倍事務所がじゃなくて、個々人がやったということは、これまでの答弁を見ても、合点がいかないことなんですね。先週月曜日(1月27日)、黒岩委員が質問されたことに対して安倍総理こうも仰っていますね。この前夜祭に関して。

 『多少のキャンセルが出てもよいということとして契約をした』、それから『子供さん方に関しては料金を取らないという了解のもとに行った』

 先週月曜日の黒岩委員の質疑に対する安倍総理が使った『契約』とか『了解』とか、これは誰がホテル側と結んだんですか。安倍総理の事務所の皆さんでは、なかったんですか」

 安倍晋三「ちょっとですね、誤解をされておられるんだろうと、こう思うわけでございますが、先ずですね、契約主体は参加者であるということ。それとですね、収支が一切発生していないということ。収支は一切発生していないわけでありますから、当然、それは政治資金収支報告書には載せないということでございます。

 そして参加者一人当たり5000円という価格については800人規模を前提にその大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、ホテル側が設定した価格であり、価格分以上のサービスが提供されたと言うわけではありません。ホテル側に於いて問い合わせると、価格設定通りのサービスが提供されたものと承知をしております。ホテル側とのですね、合意に基づきまして、夕食会場入り口の受付に於いて安倍事務所の職員が一人5000円を集金をし、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものと承知をしているわけでありまして、安倍事務所には一切収支はないというわけであります」

 大串博志「聞いたことだけに答えてください。先週月曜日、黒岩委員に対して総理が答弁した、多少のキャンセル出てもよいということで契約した、子供の料金は取らないという了解のもとだった。この契約や了解をしたのは安倍総理の事務所の皆さんじゃないですかってことなんです。その一点だけを答えてください」

 安倍晋三「契約について先ず説明させていただきます。契約の主体はですね、これは参加者である。これは今でもずっとも申し上げていることでありまして、そん中の遣り取りを一つ一つ取り上げてですね、そのような指摘をされたのでございますが、それは契約の主体はですね、参加者であるということが一点。それとですね、子供から取らない。18歳以下は取らないということは、いわばホテル側がそれを言い渡しをされたということで、それを事務所側がですね、参加者に伝えたということでございます」

 大串博志「多少のキャンセル出てもよいということで契約したということ、この契約は『契約』という言葉はなかったと。何だったんですか」

 安倍晋三「それは合意をしていると、事務所側と合意をし、それを事務所側は仲介をしておりますから、この参加者側との関係に於いてもですね、それは我々の事務所として仲介をしている以上ですね、それを合意して、それをしっかりと把握していなければならないということでございます」

 大串博志「安倍事務所の皆さんが多少のキャンセルが出てもいいということで合意をしたと。その合意って、一体何ですか」

 安倍晋三「何回もこれはお答えをさせて頂いておりますが、夕食会の費用についてはですね、ホテル側との合意に基づき私の事務所の職員が一人5000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者側からホテル側への支払いがなされたものであるということでありまして、ホテルとの契約主体は参加者個人になるものと認識をしているところでございます」

 大串博志「もう一点聞きます。法律的な性格は何なんですか」

 安倍晋三「これまさに合意でございまして、夕食会のホテル費用についてですね、ホテル側との合意、契約主体は参加者でございますが、ホテル側との合意につきですね、いわば、例えばですね、例えば20人、30人に於いてですね、この集会、この会をやろうというときにですね、『一人5000円ですか』、「5000円で結構ですよ』、『あ、そうですか』ということで参加者に伝え、参加者がですね、個々の費用を払った場合は当然、これは後援会の親睦会であったとしても、この収支報告書には載せないというのは当然のことであろうと。

 そしてそこで合意がなければですね、合意がなければ、参加者に5000円であるというところを伝えることができないのではないでしょうか。まさにそういう意味で合意ということを申し上げているわけでございます」

 大串博志「国会の中で答弁されていることは非常に重要な言葉があるんで、答えられる言葉がコロコロ変わるんでね、言葉の定義がしっかりしなきゃいけないんですね。

 そして安倍総理、個々の参加者が契約をしたと仰いましたが、この契約というのは民法上の契約ですか」

 安倍晋三「これは契約主体が参加者ということでございます。ですから、ですから、ホテル側はですね、領収書を、ニューオータニの領収書を出して、そしてそれをですね、参加者にお渡しをしているということでございまして、手書きでですね、金額をニューオータニ側が書き、そして摘要を書き、日付を書き、担当者の名前も手書きで書き、そしてそれをいわば参加者に、宛には出した。いわば後援会宛に出したわけではないというわけでございます」

 大串博志「質問だけに答えてください。参加者が個々に契約したというのは民法上の契約ですか。総理に聞いてます。総理が言ったことですから、総理に聞きます」

 安倍晋三「今、法律上はどうなのかということでございましたから、その法律上について確認を致しました。そういう確認ぐらいさせてくださいよ。何か私が、つい何かですね、正確性を欠く言葉を言ってですね、揚げ足取りをしようという意図があるのではないかと言う人もいるわけですが、私はそう考えているわけではありませんから。大串さんはそういう方ではございませんから。そういう方がおられないから、(ヤジで聞こえない)私も許してるところでございます(揚げ足取りをされても、許しているということか)。

 いわばこれはですね、ホテル側が対価に見合うサービスを行ったということに於いてですね、みなさんに領収書を、その対価に見合うサービスを行い、そしてそのサービスを受けた側がですね、対価を、対価、サービス対する対価をお支払いをしたということであります。であるからこそ、ホテル側は領収書を発行し、そしてそれをですね、参加者が受け取ったということであります。

 これはまさに対価を払う相手はですね、参加者であり、その、いや、対価、サービスを提供する相手は参加者であり、その対価に対して支払った参加者であると、そういうことであります」

 大串博志「委員長、私の質疑時間は限られています。3回目の質問になります。これで答えて頂かなかったら、質疑を続行することは到底できません。民法上の契約ですか。それだけをお答えください」

 安倍晋三「民法上でかということであればですね、予めご質問を頂かなければですね、この六法全書を見て、確認をしなければいけないわけでございます(笑いながら)。まさに総理大臣として答弁をしておりますから、今この答弁をしなければいけないわけでございますが、それはですね、いちいち質問通告をしないいものをどんどん出せばですね、そのたびごとに国会が止まるということになってしまうということでございます。

 ですから、先程、私が申し上げたのはまさにそのとおりでありまして、契約者ということに於いてはまさにサービスが提供された側、対価を払った側ということに於いてですね、対価を払った側は参加者であると。(ヤジで聞こえない。「サービスを」と言うことか)提供した側はホテル側であると言うことは、これは明確でございます」 

 大串博志「契約という言葉が合意という言葉に今日いきなり訂正されたりね、言葉の定義がコロコロ変わるもんですから、しっかりしなきゃいかんなというふうに思って、確認しているわけです。

 しかも、安倍総理自身が契約という言葉は何度とこの国会の中でも自ら使われている言葉ですよ。ほかの人がそうじゃないんじゃないですかと言いながらも、安倍総理がわざわざ自分で、『いやいや、これはここの人たちが契約してるんです』と。

 繰り返し、繰り返し、強調に強調を重ねて答えられてる言葉ですよ。使われている言葉ですよ。だから、当然、その意味するところは、十分熟知した上で答えられていらっしゃるんだなと思うもんだから聞いているわけです。それを昨日の流れて聞いてるわけであって、質問通告している、してないという問題では私はまったくないと思いますよ。

 あの、それでは同僚議員からも確認させて頂きたいと思いますので、きちんと民法上の契約かどうか確認してください。午後の質疑で聞く議員がいるかもしれなませんから。午後の質疑でいつでも答えられるような形で準備をしておいて頂きたいというふうに思います」

 (以下は「前夜祭」に関係しない質疑だが、参考のために記載することにする。)

 大串博志「次に参ります。あの参加者ですね、ちょっと聞いてください。質問しますからね。参加者ですね、『桜見る会』の参加者。夫人からの推薦がどうだったかっていう問題がありました。これに関して総理は夫人からの推薦を『私自身』、総理が参考にして、それを事務所に伝えたと。こういうふうに答えております。

 ご夫人の推薦でこの『桜見る会』に出られたという方、一杯いらっしゃるということがこの委員会でも取り上げられましたね。百何十人、あるいは20人のグループ、何年も続けて、名刺だけ交換したら何回も、招待状が来たみたいな話が続きました。ところが安倍総理の答弁を聞くと、夫人が安倍総理に推薦をしたものを安倍総理が参考にされて、事務所に伝えられたっていうことを言われたので、これ確認したいのですけど、夫人がこの人呼びたいなというふうに推薦されてきた方々を安倍総理がちょっとこの人やめた方がいいということではねられたケースあるんですか」

 安倍晋三「従来から答弁をさせて頂いておりますが、私の事務所に於いてですね、幅広く希望、参加希望者を募る過程で、何度も答弁させて頂いていることですが、私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者について私の意見も言うことがありましたが、その際、各界で活躍されている人を幅広く把握する観点から、妻の意見を聞くこともありました。妻の意見を参考として事務所の担当者に私の意見を伝えたところでございまして、私は妻から、こういった方を呼んだ方がいいですねって言われたら、そうだなって言うときもあれば、それはどうなんだろうと言うことも当然あるわけでございます。

 その上で私から事務所の担当者に伝えて、事務所から内閣府に伝えているということでございます」

 大串博志「ご夫人からも推薦があって、総理自身が聞かれて、参考にして、『うん、これはいいな。この方はいいな。この方は避けた方がいいな』って。どういう方々を避けられてんですか」

 安倍晋三「あの、これはまさに個人のプライバシーに関わることでありますから、答弁はですね、差し替えさせて頂きたい。そこまで答弁することは差し替えさせて頂きたい、ま、このように思います」

 大串博志「個人のことは聞いてないです。個人のこと聞いてなくて、どういう観点からこの人はふさわしくないなという方はよけられたんですか」

 安倍晋三「例えばですね、私自身が既にこれは招待をしていたことがあるということの記憶がある人物もいるわけでございます。そういう方々等もあるわけでございますが、それ以外についてですね。こういう人ということについてはですね、非常に個人的なことにもなるので、答弁は差し控えさせて頂きたいと思います」

 大串博志「そうすると個人的な理由でこの人はよくないなーっていうことで跳ねられた方がいらっしゃるということですか」

 安倍晋三「これはそもそも私がですね、それはふさわしいかどうかという取り纏めを行うのは内閣府に於いてこれは行うわけでございまして、私の基準というのはですね、まさにこの私はこの事務所にこういう人はどうかということを伝えた方がいいかどうかということでございます。そん中でこの伝えさせて頂いている、こういうことでございます」

 大串博志「ちょっと不思議なんですけど、この人がいいな、この人よくないなという基準は各界で功績のある人かどうかっていう基準じゃないですか」

 安倍晋三「あの、これはそうですね、地域で様々な活躍をしておられる方がおられます。その、ですから、一定の基準が曖昧であったことからですね、今回は中止させて頂いたところでございます。それも今でも申し上げていた通りでございます。

 その中に於いてこの、私が事務所に伝える上に於いてですね。あの、私の観点からまさに私から伝えるわけでございすから、ここは私が伝えた方がいいかという中に於いてですね、伝えていたと、こういうことございます。これが全てでございます」

 大串博志「前から(?)聞いたときにですね、どういう人が呼ばれたかっていうことは国民の関心事でもあるし、まず隠すべきことはないと私は思うですね。にも変わらずリストがないということで、全部今検証できない状況になってるわけですよ。中止したこと自体が適切かどうかということを確認する術すらなくなっているわけですね。リストはない、消去した、ログもない。こういう状況になってるもんだから、あまりにおかしいことでお尋ねしてるわけですよ。何かね、ログは確認すらしない。確認する必要すらない。切って捨てたように言っている。

 これも本当によく分からないことなんですけども、何か私、この状況を見てるとね、10年ほど前に中国で高速鉄道の事故があったときにですね。高速鉄道が橋梁から下に落ちました。その直後に政府はそれを埋めた。その場で埋めた。その後の事故の検証も何もできないようになっちゃうという批判があるにも関わらず全部埋めちゃった。何とかのものには蓋をするように全部埋めちゃった。そんな雰囲気すら感じるんですよ。ヤバいから蓋をしたみたいな感じに思える。

 当時ね、10年前、中国で起こった高速鉄道の事故、そして落下した車体をその場で即時に埋めた。当時ね、現代の焚書坑儒って言われたんですよ。現代の焚書坑儒。即ち思想と考えがヤバいなと思ったことに対しては蓋をするという意味で歴史的なね、現代の焚書坑儒って言われた。大変中国政府、非難されたんですよ。私は似たような雰囲気すら覚えますよ。そういう意味から聞かせて頂いてるわけです。いずれにしても、先程の前夜祭に関する総理の契約という言葉、この一点だけで今総理は、これが政治資金収支報告書に載るかどうかというところで(説明を?)拒否してらっしゃる。

 それが民法上の契約かどうかも、明らかに、これだけ答弁されて、今できない。、ここにきちんと確認させて頂きたい。その上でその性格に応じてさらに議論を深めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。さらに問題に関して、明日行きます」

 カジノ問題に移る。

 一般的には、常識的にも、この手のパーティはホテル側と後援会事務所側が会費、集金方法等の契約を結んで行うものだが、一般的を離れて、あるいは常識的を離れて、ホテル側と参加者一人ひとりと契約を結んだパーテイだとするのは、事務所との契約とした場合、何らかの不都合が生じることになり、その不都合が露見することを避ける必要性が立ちはだかっているからであろう。

 何の不都合もなければ、公職選挙法にも、政治資金規正法にも違反していないことを前提とすることになり、ホテル側と契約を結んだのは安倍事務所だとしても、その一般的であることと常識的であることから、野党に疑惑を嗅ぎ取る隙きを与えることはなかったはずだ。

 つまり普通に構えていれば、普通に事は進む。

 ところが逆で、結果的に野党は国会質疑で疑惑追及の時間を多大にかけることになった。安倍晋三は自分に関係している事柄なのだから、疑惑追及の時間を最小限に留める責任を首相として負っていながら、それができないでいる。その理由は、当然、一般的であることと常識的であることから離れて、前夜祭パーティをホテル側と参加者個人個人の契約としている点にあるはずである。

 安倍晋三は「参加者一人当たり5000円という価格については800人規模を前提にその大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、ホテル側が設定した価格であり、価格分以上のサービスが提供されたと言うわけではない」ゆえに「収支が一切発生していない」」、だから、「政治資金収支報告書には載せなくてもいい」と答弁している。

 「価格分以上のサービスが提供」されていない以上、いわばホテル側が設定した5000円という価格が実際に出した飲食物の価値相当であり、掛け値なしということなら、公職選挙法で禁じている利益の供与にも、買収にも、利害誘導にも抵触しないことになるが、であるなら、なぜホテル側と参加者一人ひとりの契約とする理由がどこにあったのだろう。

 安倍晋三は1月27日(2020年)の月曜日に立憲民主党の黒磐宇洋に対して「多少のキャンセルが出てもよいということとして契約をした」と答弁しているが、当然、その契約はホテル側と前夜祭パーティに出席した参加者個人個人の間の契約ということになり、出席の予定が欠席したとしても、参加者はキャンセル料を支払わない、ホテル側もキャンセル料を取らないという契約となっていることを示すが、その金銭的便宜は安倍後援会事務所主催の前夜祭パーティへの出席者であることを前提とした便宜であるはずだから、それが僅かな金額であっても、間接的には安倍後援会事務所への便宜ということにならないのだろうか。

 いわばキャンセル料分、公職選挙法が禁じている「財産上の利益の収受(受け取って収めること)」に当たることになって、安倍後援会事務所はホテル側から利益の供与を受けたことにならないのだろうか。

 安倍晋三は領収書の発行について二通りの答弁をしている。

 最初は「ホテル側とのですね、合意に基づきまして、夕食会場入り口の受付に於いて安倍事務所の職員が一人5000円を集金をし、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものと承知をしている」と答弁、安倍事務所の職員が集金して、領収書を参加者に「手交」、「受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡」したとしている。

 現金の管理と領収書の「手交」だけを受け持ち、領収書は安倍事務所の職員が書いたのか、ホテル従業員が書いたのかはこの答弁から窺うことはできないが、安倍事務所の職員を受付の主役に置いた口振りとなっている。

 もう一つは「これは契約主体が参加者ということでございます。ですから、ホテル側はですね、領収書を、ニューオータニの領収書を出して、そしてそれをですね、参加者にお渡しをしているということでございまして、手書きでですね、金額をニューオータニ側が書き、そして摘要を書き、日付を書き、担当者の名前も手書きで書き、そしてそれをいわば参加者に、宛には出した。いわば後援会宛に出したわけではないというわけでございます」と答弁、受付の主役をホテル従業員に置いた口振りとなっている。

 ホテル従業員が領収書の全ての記入を行い、その領収書を「参加者にお渡しをしている」、あるいは「参加者に、宛には出した」と、領収書の「手交」は最初の答弁のように安倍事務所の職員ではなく、ホテル従業員が行ったことにしていて、最初の答弁と矛盾している。

 「参加者に、宛には出した」が、宛名書きの欄にホテル従業員が宛名を書いただけだと主張することもできるが、となると、「手交」はあくまでも安倍事務所の職員だとすることができるが、この方法だと、安倍事務所の職員でもいいが、参加者から5000円を受け取ってから、ホテル従業員が手書きで領収書に金額を書き、摘要を書き、日付を書き、担当者の名前を書き、そのようにして仕上がった領収書を、領収書が手渡されるのを待っている目の前の参加者に直接渡すのではなく、一旦安倍事務所の職員に手渡してから、安倍事務所の職員が参加者に「手交」したことになる。

 僅かな時間差ではあるが、こういった不自然なことをするだろうか。この不自然さを解消するとしたら、ホテル従業員が金額も、摘要も、日付も、担当者の名前も同じだからと前以って領収書を量産する形で順次記入して仕上げていき、安倍事務所の職員が参加者が受付に現れ次第、仕上がった領収書の一枚を5000円と引き換えに「手交」していく流れ作業を行ったとしなければならない。

 このような方法を用いたとするなら、安倍晋三の答弁の矛盾は一切解消する。但しホテル従業員は受付に現れる参加者をなるべく待たさない時間内に約800枚の領収書を順次、せっせと量産していかなければならない。

 だとしたら、金額も、摘要も、日付も、担当者の名前も同じなのだから、受付開始よりも早い時間にホテル側は、例え手書きであっても、領収書を約800枚+アルファ枚分を前以って、なぜ用意しておかなかったのだろうか。あるいは大手ホテルの領収書なのだから、それなりの体裁を見せるために手書きではなく、約800枚+アルファ枚の手書きという煩わしい手間を省くためにも、今ではパソコンで、形式を整えるのに少し時間はかかるが、形式さえ整えれば、何枚でも量産できるソフトも存在するし、電子タイムスタンプを使えば、複写で控えまで取ることができて、一流ホテルらしい見栄えのいい領収書を簡単に効率よく作成できる。

 しかも毎年のことだから、一度の準備で効率よく片付けることができる。

 だが、こういった簡便で見栄えのいい、効率もよい作成方法を採用せずに手書きで、しかもパーティが始まる前に用意しておくのではなく、パーテイ会場が開いてから、約800枚の領収書を受付で来客に合わせるようにして手書きで仕上げていった。果たして一流ホテルがすることだろうか。このような場面を自然と目に浮かべることができるだろうか。

 ネット上に2015年と2018年と2019年の領収書が流布している。画像にして載せておいたが、2015年は毎日新聞、2018年は「asahi.com」が記事で紹介していて、2015年は金額が手書きで「5000-」と入っているのみで、宛名の欄には「上様」の文字すらなくて空白、摘要も空白となっていて、2018年は5000円の金額と摘要が「お食事代」と入っているものの、宛名は2015年と同様、「上様」の文字すらない空白で、一流ホテルが発行する領収書には見えない。

 誰かが提供したものであったとしても、単に領収書が発行されたことを証拠立てて、安倍晋三が政治資金規正法にも公職選挙法にも抵触していないことを合わせて証拠立てる意図からの提供ではない証拠は画像からは窺うことはできない。

 2019年の領収書は「KSL-Live!」なる団体がネット記事の中で、〈2019年のものは宛名が入っている。〉と紹介しているが、その宛名は黒塗りにされている上に記事は親安倍で彩られていることから、この領収書が2019年4月12日の前夜祭パーティの際に実際に発行されたものかどうかを窺うことはできない。

 このような疑いを払拭するためにも、プライバシーだ何だと言わずに本人に断って名前を出すべきだったろう。パーティに出席したことが何の不名誉でもないのだから。

 このほかに7年もの間前夜祭パーテイを開いていながら、この3枚の以外の年の領収書がネットに流布していないことも、実際に領収書が発行されたのか、疑わしい点となっている。

 上記「KSL-Live!」が別記事で「領収書を誰も見ていない」と証言している下関市議について書き、その下関市議が反安倍勢力であることを一つの理由としてその証言の信憑性に疑義を呈しているが、このことをそのまま裏返すと、親安倍勢力の証言の信憑性にしても疑義を呈さなければならなくなる。

 もし5000円以上の飲食物が提供されていたなら、その差額をホテル側が補填していたとしても、安倍事務所側の要求に従ったことになるし、安倍事務所側が政治資金から補填していたならなおさら、買収及び利害誘導相応の罪に相当する。

 もし会費を徴収せず、領収書の発行は事実でなく、タダで飲食をさせていたとしたなら、とんでもなく公職選挙法のみならず、政治資金規正法にも違反することになる。

 一流のホテルでありながら、なぜ約800枚もの領収書をパーティ会場の受付の場で手書きで記入し、発行することになったのかが鍵を握っている。

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安倍晋三「桜を見る会」権力及び予算私物化検察送致相当 内閣府大臣官房長大塚幸寛が決定的証言を提供

2020-02-03 08:50:02 | Weblog

 2020年1月27日午後の衆議院予算委員会での無所属の江田憲司と同委員会、無所属の今井雅人、1月29日参議院予算委員会での立憲民主の蓮舫の「桜を見る会」関係の安倍晋三に対する疑惑追及を順次取り上げることにする。既に百も承知なことのはずだが、安倍晋三が自身主催の公的行事「桜を見る会」を総裁選や参院選に利用したのではないのかとの権力の私物化・予算の私物化等の限りなく黒に近い疑惑を掛けられているが、にも関わらず、その疑惑の解明を困難にしているのは内閣府・内閣官房が安倍晋三に手を貸しているからこそである点に留意しなければならない。

 手を貸しているから、安倍晋三は疑惑が解明されないままにその地位が守られている。安倍晋三からすると、内閣府・内閣官房の手を借りて、自身の地位を辛うじて守っている。であるなら、内閣府・内閣官房が展開している疑惑否定の論理を先ずは打ち破らなければならない。重点的に攻めるべきは内閣府・内閣官房であって、重点性という点で、一番手の内閣府・内閣官房に対して安倍晋三は二番手に置かなければならないはずだ。

 
 〈2020年1月27日午後衆議院予算委員会〉

 江田憲司「今度またまた、公文書の廃棄でしょ。森友問題にもありましたよね。これね、私、信じられないですよ。招待者名簿を廃棄しました。去年分廃棄しました。

 官僚というのは古今東西、前例踏襲主義ですよね。人事異動も頻繁にある。後任の者はですね、前例を見て仕事を始める。会計検査院や色んなとこから後刻、検証が入る。そうしたときに書類、公文書を以って説明しなきゃいかん。それをね、この『桜を見る会』の招待者名簿を全部廃棄しましたって。

 到底ね、私もね、官僚やってましたし、官邸にもおりましたし、(内閣)総務官室にもおりまけど、信じられないんですよね。で、ちょっと通達をご覧頂きたいんですかどね。(掲載画像のパネルを出す)

 これ内閣府の官房の人事課が事務的に出している通達ですが、小さくて申し訳ないですが、この線を引っ張っているところ(下線箇所)、ご覧になってください。〈人選に当たっては、まあ、云々(「OBは避けて民間人を優先し」は省略)、原則として同一人が連続して招待を受けることがないよう配慮願います。〉

 こういう通達を毎年出してるんですよね。そしたら、前年分の招待者名簿、廃棄したっていうんだったらね、どうやって連続して招待しないっていうことをチェックするんですか

 大塚幸寛(政府参考人内閣府大臣官房長)「お答えいたします。あの、先ずその、昨年、一昨年のこの『桜を見る会』の名簿につきましては、会の終了を以って使用目的を終えるほか、個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理すると、そういった必要が生じるため、これは公文書の管理ルールに基づきまして、保存期間を1年未満文書として会の終了後、遅滞なく廃棄をすることとしたものでございます。

 そうした中で毎回各省から推薦を頂き、私ども内閣府・内閣官房として取り纏めを行ってきたところでございます」
 
 江田憲司「(席に座ったまま)どうやってチェックしたのか。(挙手して立ち上がってから)全く答えていない。僕が聞いているのは、どうやって重複を排除、チェックするんですかっていうことなんです。何という答えなんです」

 大塚幸寛「あの、お答え致します。各省からそういった方をお願いした上で、その上で各省から推薦されてきた者に対しまして私共、内閣官房・内閣官房として(ママ)、それを踏まえて取り纏めたものがございます」

 江田憲司「国民の皆さん、常識で考えてほしいんですね。これ(「通達」のパネルを指差して)出している張本人ですよ、通達を(大塚を指差す)。

 重複を排除、連続して招待するのを。その元締めの張本人がチェックできないように廃棄しているんですね。これはもう、官僚の常識では考えられません。官邸から指示があったんでしょ」

 大塚幸寛「お答えを致します。内閣官房等から推薦を依頼する際に、同一人が連続して招待を受けることがないようにするといった点も、そうお願いしたのも事実でございますし、それを一つの要素として配慮をしてございます。

 ただ、その上で基本的に招待者の推薦に当たりましては、氏名や役職等の情報を頂いておりまして、こういう情報をもとに私どもとしては取り纏めを行っているとこでございます。

 個々の推薦者、招待者等は違いますが、過去に招待した方はお呼びしないというのは難しい場面もあったのではないかと考えております。また、いずれにしましても、こうした運用を反省致しまして、今後、招待基準の明確化、招待プロセスの透明化等を検討して、全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら、行う必要があると考えてるところでございます」

 江田憲司「役人にこれ以上求めても、可哀想なんです。非常識な事やってるんだっていうことはよくお分かり頂けたと思いますよ。総理ね、あると思いますよ。身に覚えがないと、指示したことなんかないと仰るんなら、厳正に調査を命じられたら、どうなんですか」

 江田憲司は大塚幸寛への追及を打ち切る。

 以下、安倍晋三が「桜を見る会」権力及び予算私物化疑惑払拭の常套句を江田憲司に対しても使っていたから、このことを裏返すと、追及野党議員は安倍晋三に対してこの常套句の活用をいつまでも許していることになるのだが、ここに挙げておく。

 安倍晋三「『桜を見る会』についてはですね、昭和27年以来、内閣総理大臣から各省庁等からの意見を踏まえ、功績・功労のあった方々などを幅広く招待し、日頃のご労苦を慰労すると共に親しく懇談する内閣の公式行事として開催しているものであります。同会については長年の慣行の中で行われてきたところではありますが、様々な分野や地域で頑張っている方々を幅広く招待してきたことの積み重ねで、結果的に招待数が膨れ上がってしまった実態があり、そのことは反省しなければならないと考えております」

 安倍晋三「招待基準が曖昧であったためにですね、歴代内閣に於いても、地元の方々の出席はあったわけでございます。それは先般、様々な質疑の中でですね、我々も見てきたところでございますし、私も経験から、それは知っているわけでございますが、私の事務所に於いてはですね、内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く、参加者を、希望者を募り、推薦を行っていたところでございます。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、事務所を通じた推薦以外は行っていないということでございます。

 他方ですね、繰り返しになりますが、『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者について最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところでありまして、ということであります」

 江田憲司「政府の公式行事、税金で賄われている行事に総理の後援会の地元のみな様をご招待しようと、そう思われたのは私には信じられないんですね。小泉純一郎元総理、地元の人を呼ぼうなんて考えもしなかった。

 私がお仕えした橋本総理のときもね、『桜を見る会』ありましたが、改めて当時の担当者に確認を致しましたけれども、地元の後援会の人は一切呼んではいません。

 これが常識なんじゃないでですか。これが総理大臣たるモラルなんじゃないでしょうか。最低限の。

 だから、私には率直にお伺いしたいんです。どういう発想で地元の後援会の、しかも800人から、1000人ですか、呼ぼうと思われたんですか」

 安倍晋三「一人も呼んでいないというのはですね、事実ではないと、だからいいということを申し上げているのではなくて、ほかのときに一人も呼んでいなくて、私のときに増えたということではないわけでございまして、小泉政権のときは1年分だけ、国立公文書館に残っているわけでございます。

 ですから、申し上げているわけでございますが、今申し上げましたようにですね、私の事務所に於いて内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加がふさわしいと思われる方を始め、幅広く、参加者を(ヤジ)、これは同じ質問されておりますので、同じ答えしかできないということでございまして、お答えをさせて頂いているわけであります。

 私の事務所に於いてはですね、内閣官房からの依頼に基づき後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加者を募り、推薦を行ってきたところでございます」

 先ず江田憲司は内閣府内では事務次官、審議官に次いでナンバースリーの地位にある大臣官房長である大塚幸寛に「前年分の招待者名簿、廃棄したっていうんだったらね、どうやって連続して招待しないっていうことをチェックするんですか」と尋ねた。

 対して大塚幸寛は3度目に立った答弁、「内閣官房等から推薦を依頼する際に」云々と言ったあとで、「基本的に招待者の推薦に当たりましては、氏名や役職等の情報を頂いておりまして」と発言、要するに内閣官房等から官邸、各省庁、自民党等々に「桜を見る会」の参加者の推薦を依頼し、その後届く推薦者名簿に記載の「氏名や役職等の情報」に基づいて招待者の取り纏めを行ったとの趣旨となる。

 と言うことは、招待者の取り纏めに際して前年の招待者名簿を使用するわけではないから、公文書管理法の改正に基づいて1年未満廃棄に処したしても、何の差支えもないのだと答弁したことになる。

 では、なぜこのことを最初の答弁で直接的に触れなかったのだろう。触れていたなら、答弁は一度で済んだ。一度で済まさずに3度目の答弁で初めて明かした。この手際の悪さはどのような意味があるのだろう。

 江田憲司がパネルで示した、2019年1月25日に内閣府大臣官房人事課記録・調査課が内閣府各部局庶務担当者宛に出した(「桜を見る会」招待者の推薦について〉の通達に記した「招待者の人選方法」〈人選に当たっては、OBは避けて民間人を優先し、原則として同一人が連続して招待を受けることがないよう配慮願います。〉の順守事項を推薦者名簿を使用して守るためには、江田憲司が言っている"同一人物重複排除チェック"を推薦者名簿上で行うためには推薦者名簿が「氏名や役職等の情報」のみの提供では不可能で、「招待履歴」の「有・無」を問う欄が設けられていて、その情報をも提供されていなければならない。

 そのようになっていたなら、「招待履歴」の「有・無」の欄に過去に招待されていながら、「無」の方にチェックを入れた場合は少数の例外として「同一人が連続して招待を受ける」ケースが生じるが、その他大勢の重複は簡単な事務作業で避けることが可能となる。

 だが、大塚幸寛は推薦者名簿に「招待履歴」の「有・無」の情報を問う欄が設けれれていて、その情報に基づいて、"同一人物重複排除チェック"を行っていたとは言っていない。
 事実、ネット上から探した、〈2019年11月22日に参院予算委理事懇談会へ提出した推薦者名簿〉なる画像には「招待履歴」の「有・無」を問う欄は設けてはいない。サイズが小さくしてあって、字が満足に読み取れなかったから、「氏名や役職等の情報」の「等」の部分が記されている名簿の右端だけを拡大して字を読み取り、エクセルで書き直して、それを画像に直したものをここに載せておく。

 もし「招待履歴」の「有・無」を知ろうとするなら、「備考」欄で問うことができるが、問うための断りの文字は記入されていないし、大塚幸寛にしても、「備考欄に招待履歴の有無を記入するようにお願いしていて、その有無で重複を避けるチェックをしていた」とは言っていないし、そのような要請を出していたなら、5年連続で「桜を見る会」に招待された福岡市長のような例は出てこない。

 内閣府の役人は推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみから、できようはずもないにも関わらず、重複回避のチェックを行っていたことになる。大塚幸寛はそうすることができる可能性を問われないうちに前以って「同一人が連続して招待を受けることがないようにするといった点も、そうお願いしたのも事実でございます」が、「過去に招待した方はお呼びしないというのは難しい場面もあったのではないかと考えております」と、さも推薦者名簿から曲がりなりにもチェックを行うことができたかのように装わせて、できるかできないかの可能性を問われることを巧妙に避けたのだろう。

 このことの裏をかいて、当然、推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみから"同一人物重複排除チェック"を具体的にどう行うことができたのかを問わなければならない。

 もう一つ、招待者の取り纏めに当った内閣府の役人は招待基準としている「功労・功績のあった方」を推薦者名簿記載の「特技大学」を含めた
「氏名や役職等の情報」のみから、どのように判断したのだろうか。 

 もし判断できたとするなら、次の三つの方法に限られるはずである

① 推薦者名簿に載る前に「功労・功績」のチェックを受けていて、合格した人物のみが名簿に記載されている。
② 推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のうちの「特技大学」を含めた「役職等の情報」をそのまま「功労・功績のあった方」の情報だとスライドさせて、
 ノーチェック・フリーパスとした。
③ 内閣府の役人が千里眼を持ち合わせていて、推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」だけから「功労・功績のあった方」を見抜くことができた。

 ③の場合は面識のない人物から受け取った名刺の氏名と肩書から、その人物の「功労・功績」の有無までを直ちに見抜くことができるような千里眼相当を持ち合わせていなければできないが、内閣府の役人だろうが、誰だろうがそのような千里眼を持ち合わせているはずはないから、より現実的な方法として、①か②のケースでなければならない。

 2020年1月29日午前、参議院予算委員会質疑

 安倍晋三が常々「私の事務所では後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っている」と発言していることに対しての質問。

 蓮舫「総理、幅広く募った参加希望者にふさわしいかどうかの条件はつけましたか」

 安倍晋三「当然、ふさわしいと思われる方をですね、幅広く募ったということです」

 蓮舫「条件をつけましたかって聞いているんです」

 安倍晋三「ふさわしいものと思われる方ということは、当然、その前提ではございます」

 蓮舫「資料で安倍事務所が作った『桜を見る会』の参加申し込み、このどこに『ふさわしい』という項目がありますか」

 安倍晋三「これはですね、事務所が、いわば幅広く参加者を募り、推薦を行っているところであります。それが実際にふさわしいかどうかということについてはですね、官邸・内閣府(?「内閣官房・内閣府」ということか)で取り纏めているということでございます」

 蓮舫「安倍事務所が『ふさわしいと思われる方を幅広く募った』。今の答弁では官邸事務所、内閣・内閣官房がふさわしいかを決める。安倍事務所ではふさわしいかを調べてないじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように安倍事務所としてふさわしいかどうかを考えているわけでありますが、それをさらに内閣府に於いてですね、取り纏めをおこ(蓮舫が何か異議を述べたのか)、同じことを言っていると思いますが、それを内閣府に於いてですね、それをチェックをして、チェックをして、取り纏めを行っているということでございます」

 蓮舫「安倍事務所としてふさわしいと考えている人を募った。でも、この資料を見ると、『ご家族、知人、友人はコピーをご利用してお申し込み下さい』  
 コピーを使って、『桜を見る会』に行きたいと申し込んだ人はどうやってふさわしいと安倍事務所では判断したのですか」

 安倍晋三「その上でですね、事務所として内閣府に推薦しているということであります」

 安倍晋三(答弁のやり直し)「先程既に申し上げているんですが、事務所でふさわしいと考えているものが果たして基準に合っているかどうかということについては内閣府で最終的にですね、取り纏めを行う際に、この、いわばチェックをしているということでございます」

 蓮舫「コピーで申し込んだ人を安倍事務所はどうやってふさわしいと判断して、内閣官房に提出したんですか」

 安倍晋三「安倍事務所としてですね、いわば申し込んで頂いた方々等について、推薦を頂いているのを、それぞれ、その前にですね、後援者の推薦を頂いているので、その段階でふさわしいものと考えているということでございます」

 蓮舫「ご家族、知人、友人、コピー利用した人はどうやってふさわしいかと分かるかって、凄くシンプルなことを聞いているんですよ」

 安倍晋三「それはですね、安倍事務所が推薦をする、ふさわしいと思って。その段階では推薦をしているわけでございますが、内閣官房が確認した結果ですね、私の事務所から推薦を行った者で招待されなかった例もあったものと承知をしております」

 安倍晋三(答弁のやり直し)「もう既に何回も答弁させて頂いているのですが、これは事務所の方でですね、事務所の方で色々な方々に推薦を頂いたことも含めてですね、地方でありますから、これは大体、どう(いう)人かってことは分かっているわけでありますから、それを推薦してですね、それを先程申し上げましたようにふさわしいかどうかは内閣府に於いてチェックをするということでございます」

 蓮舫「確認ですけど、出席希望者の推薦を受けた安倍事務所はふさわしい確認などの作業をした上で内閣官房に名簿を提出するんですか」

 安倍晋三「基本的にですね、事務所に於いてですね、チェックするという形はそれぞれ限界があるわけでありますから、誰かの推薦があれば、これはふさわしいだろうと、そういう認識の基に。最終的な責任を負うのは内閣府に於いてですね、内閣府に於いてそれを取り纏めを行っている中に於いてふさわしいかどうかということを含めて、取り纏めを行っているということでございます」

 蓮舫「何もやっていないとしか受け取れないんですけど――」

 官房長官の菅義偉に質問を振り向けて、招待者名簿の再調査はしないのかの確認を求める。

 蓮舫がすべきことは安倍後援会事務所が内閣官房・内閣府が決めた招待基準である「功労・功績のあった方」であるか否かを調べた上で、「桜を見る会」に招待されるにふさわしいと見て、推薦者名簿に名前を連ねたのかどうかであって、それ以外の追及は時間の無駄でしかない。

 調べた上で推薦者名簿に名前を連ねたとすると、内閣官房・内閣府側は推薦者名簿に記載されている被推薦者が「桜を見る会」の招待基準に合致するか否かを検証する必要はなく、そのまま招待基準に合致する人物と見て、単に割り当てた人数に絞り込むだけの作業で済ますことができる。割当人数を超えていた場合は削って、2019年1月25日に内閣府大臣官房総務課が各所に通達した2019年4月13日の〈「桜を見る会」開催要領〉が招待人数を「計約1万人」としていた範囲内に収めなければならない。

 ところが、実質的な招待者は1万5千420人に膨れ上がっていた。報道によると夫婦同伴の夫人側の人数700人を計算に入れていなかったということだから、1万5千420人という人数にしても、少なく見せかける仕掛けが施された1万5千420人である可能性は否定できず、信用できない。

 安倍晋三はここで取り上げた最後の答弁で蓮舫に対して「基本的にですね、事務所に於いてですね、チェックするという形はそれぞれ限界があるわけでありますから、誰かの推薦があれば、これはふさわしいだろうと、そういう認識の基に。最終的な責任を負うのは内閣府に於いてですね、内閣府に於いてそれを取り纏めを行っている中に於いてふさわしいかどうかということを含めて、取り纏めを行っているということでございます」と、最初から繰り返し言っていたことを纏めている。

 つまり安倍事務所は「桜を見る会」への参加希望者を募る際、その参加希望者に対して内閣官房・内閣府が「功労・功績のあった方」としている招待基準に合致しているか否かのチェックは行わずに、自分たちの基準でふさわしいと見た人選を行い、それを纏めた推薦者名簿を内閣官房・内閣府に送った。

 しかも安倍晋三は参加希望者に対して「招待履歴」の「有・無」を問うことをしたか否かに関する発言は何もしていないのだから、内閣官房・内閣府は推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみから、同一人物の重複を排除するチェックを、どういう方法で行うことができたのか不明だが、少数の洩れはあったとしても、行うことができたことになり、なおかつその情報のみから招待基準としている「功労・功績のあった方」を抽出・取り纏めを、これもどういう方法で行うことができたのか不明だが、行ったことになる。

 抽出・取り纏めを可能とする三つの方法を江田憲司の質疑に続けて挙げて、現実的な方法を二つに絞ったが、①の〈推薦者名簿に載る前に「功労・功績」のチェックを受て、合格した人物のみが名簿に記載されている。〉は、実際はしていなかったのだから、早々に外さなければならない。

 となると、残る②の〈推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のうちの「特技大学」を含めた「役職等の情報」をそのまま「功労・功績のあった方」の情報だとスライドさせて、ノーチェック・フリーパスとした。〉が有力な取り纏めの方法ということになる。

 2019年の「桜を見る会」には安倍晋三の地元から850人も招待されたというが、それが安倍晋三が言っている「後援会の関係者を含め、地域で活躍されている」人物だとしても、取り纏めた結果、850人だとするなら、それ以上の参加希望者の「功労・功績」を推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のみからでは、いくら内閣官房・内閣府の役人が優秀であっても、見て取ることはで土台無理な話であるし、招待履歴の情報を欠いていたなら、誰が前年の招待と重複しているかどうかのチェックも不可能そのものであるはずだ。

 大塚幸寛は江田憲司から、「前年分の招待者名簿、廃棄したっていうんだったらね、どうやって連続して招待しないっていうことをチェックするんですか」と追及され、答弁に窮して、推薦者名簿を持ち出し、そこに記載の「特技大学」を含めた「氏名や役職等の情報をもとに私どもとしては取り纏めを行っている」と事実でないことを口にして、さも事実そのとおりに推薦者名簿から全ての事務を行ったかのように装ったに過ぎない。

 そのように装えば、招待者名簿を廃棄したとしても取り纏めを可能とすることができたとすることができるし、招待者名簿の廃棄自体も正当化し得る。共産党衆院議員の宮本徹が招待者名簿の資料請求をした当日に名簿をシュレッダーに掛けたことも、情報隠蔽ではないことの証明とし得る。

 それが装いではなく、事実そのものであるなら、最初に答弁に立ったときにこのことを告げていたはずである。事実でないからこそ、3回目の答弁で口にすることになったはずだ。廃棄した前年の招待者名簿に代えて、重複チェックできる文書を挙げなければならなかった。そして挙げるまでに時間を要した。

 招待基準に合致しているか否かのチェックは行わずに、安倍事務所や官邸側が自分たちの基準でふさわしいと見た人選を行い、それを纏めて内閣官房・内閣府に送った推薦者名簿なのだから、その推薦者名簿の「特技大学」を含めた「氏名や役職等の情報」からどう逆立ちしても、重複チェックも、招待基準の「功労・功績」に合致しているか否かのチェックも、できようはずはないのだから、②の〈推薦者名簿の「氏名や役職等の情報」のうちの「役職等の情報」をそのまま「功労・功績のあった方」の情報だとスライドさせて、ノーチェック・フリーパスとした。〉としか看做すことはできない。

 このように内閣官房・内閣府が事務に関わる事実ではないことを事実であるかのように装うこと自体が、安倍晋三の「桜を見る会」の権力の柄私物化・予算の私物化は単なる疑惑ではなく、事実そのものの証明となる。内閣府・内閣官房は国会答弁や理事懇談会答弁等を使って、安倍晋三に事実隠蔽の手を貸して、その地位の保全を謀っている。 

 次の国会質疑でも、内閣府のおエライさん、内閣府大臣官房長の大塚幸寛は事実でないことを事実であるかのように装わせている。

 2020年1月27日午後衆議院予算委員会

 今井雅人「(『桜を見る会』)総理は答弁の中で年を経るごとに人数が多くなったことは反省しなければならないというふうに謝罪をしておられます。それでですね、役所の方から毎年の招待者数っていうのが平成25年からずっとこう頂いておるんですけども、平成17年の分も、これ国立公文書館から出てきておりますが、これを見る限りですね、いわゆる省庁からの、大体みな同じ形式はなんですけど、省庁を見ると、(省庁)からの推薦ですが、それ以外のところは、殆ど何も数字が変動がなくて、変動しているのは、読みますかね、各界功績者、カッコ総理大臣カッコ、ここの部分だけが急増しているということなんですけども、つまり(安倍晋三が)人数が多かった(増えた)ことは反省しなければならないっていうのはこの各界功労者カッコ総理大臣等カッコっていうところが増えてしまったことを反省してる ということでよろしいですね」

 安倍晋三「全体としてこの数が増えてしまったということを申し上げているわけでございますが、今井委員が今分析して仰ったわけでございまして、いわばそれも含めてですね、反省をしてるということでございます」

 今井雅人「質問通告もしていますし、これ頂いたものをちゃんと見るんですけれども、大体各省庁の各界功績者ってのは大体2千2百か、2千4百ぐらいなんですね。ところが、総理等の功績者のとこは7千5、6百ぐらいから9千台、伸びていて、ほかのところは殆ど変動がありません。

 増えているのはここというのは数字上、明白なんですけれど、その確認です。それでよろしいですか」

 安倍晋三「それは増えていることだと思います」

 今井雅人「その上でですね、その先程総理がどういう方を呼んだんですかってことを話されましたけれども、正確に聞き取れなかったんですが、後援会の方も含め、功績があった人たちを推薦しているということでありますので、このここの増えてる分というのは、そういう方だけを推薦してきたってことなんですか。それで増えたんですか。

 それとも、広く一般の方に呼びかけをして、ちゃんとした、この人はどういう功績があってということをチェックをしないまま広く集めたのか、どちらですか」

 安倍晋三「これは党も含めてですね、広く呼びかけた結果であるということでございますが、最終的には内閣官房・内閣府に於いて取り纏めを行ったということでございます」

 今井雅人「これ、あの安倍事務から作られたっていうことを確認されている『桜を見る会』の案内なんですけれども、まあ、これを見ると、安倍事務所の方で広く色んな方にこの『桜を見る会』に参加しませんかということをお声かけをしていますよね。このときに、それぞれお声かけをするときにこの方はこういう功績がある方、この方はこういうことで呼ぶ。そういうことをちゃんと決めて、(案内状を)送っておられるのですか」

 安倍晋三「事務所を、私の事務所に於いて内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っているところでございますが、その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともありましたが、実際の事務所に於ける推薦作業の詳細は私は承知はしておりません」

 今井雅人「ちょっと表現(?)が分かりにくいんですが、功績のあった方とそれから後援会の方と、それぞれ別々ってことですね。今の表現は」

 安倍晋三「私も詳細については承知していないのでございますが、後援会の方とですね、功績のあった方。あるいはその功績、主な方はですね、後援会活動をやっている方は様々な地域活動をやっておられる方が実際ですね、多いということではないかと、こういうふうに思います」

 今井雅人「恐らくですね、そういうのをお声かけをするときには、まあ皆さん、それぞれ後援会があるでしょうから、後援会名簿があって、それに従って、皆さん(案内状を)送ってらっしゃると思うんですね。それで参加をされました。で、取り纏めをします。

 この取り纏めをどこがやっているかといったら、安倍事務所ですね。ま、ちょっと確認します。この『桜を見る会』のツアーと言うと、この会の主催は安倍晋三後援会ということでよろしいですね。

 いやいや、『桜を見る会』のツアーとそれから前夜祭も含めて、一連のものの主催は安倍晋三後援会ってことでよろしいですね」
 
 安倍晋三「前日の夕食会はですね、これは後援会でありますが、ツアーそのものは、これは旅行代理店ということであります」

 今井雅人「それはおかしいですよ。それは安倍事務所が皆さんにお声かけをしてですね、参加されますかということまでツアーの全部をご案内もして、往復飛行機の手配については安倍事務所で手配するか、自分で手配するかですね。

 宿泊ホテルについては安倍事務所で手配か、自分で手配かって、こういう項目まであるんですよ。これは主催は安倍晋三後援会で、旅行代理店とは代理店ですから、エージェントですから、後援会の代理店として事務を扱ってると、そう考えるのが普通だと思いますが、如何ですか」

 安倍晋三「厳密に言えばですね、そうではなくて、私の事務所が支援をしたという立場でですね、いや、これは、いわば主催というのはですね、これは厳格に言えば、主催はですね、旅行代理店になるということあります」

 今井雅人「いや、ちょっと、それは僕もびっくりいたしました、その答弁は。安倍事務所の後援会が皆さんにお声かけをして、ツアーを組むんでしょ。なぜ主催が旅行代理店なんですかね。

 それはちょっとおかしい、ま、もう一回お願いします」

 安倍晋三「それは少し誤解をされているんだと思いますが、いわばこれはですね、旅行を企画して、実行する主たるそれを事務代理を行った者としてはですね、当然、旅行代理店でありまして、いわば安倍事務所、あるいは後援会はですね、この旅行自体をですね、運営するものではない。当然、旅行自体を運営するものではないわけでございますから、それを主催者ということは言えないと、それを主催者とは言えないと、正確性を期してそう申し上げているわけであります」
 今井雅人「安倍事務所に返信のように全部コースも作って、返事を全部安倍事務所が取り纏めるっていうのを旅行代理店が主体で、私達は手伝っているというのはちょっと、私は納得がいきませんが、すいません、時間がありませんので、次に行きます。

 あのー、これですね、平成17年の『桜を見る会』、これあの、共産党の宮本議員が入手されたものをちょっと使わせて頂いてるんですけど、ここを見ますとですね、『分野別招待者数』ってのがありますが、そこの横(「招待者内訳』項目欄の左横)に分別してる番号があります。

 この『60』番というのを見ると、『総理大臣』て書いてあります。『総理大臣』。それでですね、(各大臣に)資料にもお渡ししていますが、これと同じものが出てきているものの中に招待者数、ちょっと写真なんで見づらいんですけど、『招待者数』っていうのを皆さんにつけているんですが(『招待者数』なる資料を皆さんにお渡ししているという意味か)、実はこの『招待者数』っていうこの形式、平成31年、30年ずっと続いて来ているものの形式と全く同じなんですね。

 先程まさに菅官房長官おっしゃってましたけど、その役所は前例主義、前例踏襲主義いうふうに仰ってましが、そのまさに典型なんですよ。ずっとこの招待者数のカテゴリー、皇族から各国大使館って順番に順番に並んでいるんです。

 この分野別の招待者数も、それと同じふうに並んでいます。恐らくこれも前例主義ですから、踏襲されてるはずです。と言うことは、今も『60』というのは総理大臣なわけだったんです。こういうことになると思うんですけども、如何でしょうか」

 大塚幸寛(政府参考人内閣府大臣官房長)「委員指摘のこの番号につきましては、招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付与してるものでございまして、会の終了を以って使用目的を終え、またその招待者名簿については破棄するため、個別の番組については定かではないということでございますから、その上でその関係者から過去の取り扱いも含めて、聞き取りを行いました。

 その公文書館のものはもう既に10年以上の前ということで、正直、確認することはできませんが、聞き取りを行ったところによれば、その区分番号の『60』番台はこれが從來から官邸や与党の関係だったと思うと、ことだったという、その報告を受けたところでございます」

 今井雅人「そういう答弁をしているから、誰も信用できなくなるんです。聞いている方、皆おかしいと思いますよ。だって僅か数ヶ月前に実務やってらっしゃるんでしょ。それぞれの番号をつけて、封入して、送付する。そういう作業をやっておられるわけじゃないですか。それがもうないから分からないで。本当ですか?」

 大塚幸寛「お答え致します。まさしくその封入、招待状の発送、効率的に行うために便宜的に付与しているということでございまして、その会の終了を以って目的を終えることから、あの、担当者の記憶と致しましても、定かのものがないということでございます」

 今井雅人「ちょっと、ボク、あの、承服できません。実務を行うために便宜的に番号振っているわけですけども、それは便宜的に番号を振るんですから、番号それぞれにはちゃんと分類があるはずですよね。誰でも分かります。

 何を隠してるんですか。何を庇ってるんですか。僅か数カ月後、しかもですよ、これ毎年作ってらっしゃるんでしょ。毎年全部廃棄している、今年、また新しいもの作るんですか。当然、昨年のものを見ながら、また作るんじゃないですか。これ残ってますよ。

 残ってなかったら、どうやって実務やっていくんですか。皆さんは都合のあまり、悪くはない、こういうものは出してこられるけれども(手に持った用紙を示しながら)『60』番は総理大臣だと特定されて困るようなものは出してこないんですよ。今説明聞いて、確かになって、内閣府の言うとおりだなっていうふうに思える方いらっしゃると思いますか。

 もう一回説明して下さい。ちゃんと本当のことを」

 大塚幸寛「お答えを致します。あのご指摘の番号、これは招待状を発送を効率的に行うために便宜的に付与しているものでございまして、その会の終了を以って目的を終え、また招待者名簿をついても廃棄しているため、個別の番号については定かではないということでございます。繰り返しで恐縮でざいます」

 今井雅人「こんな答弁を繰り返してるようでは、とてもこの問題を終えることはできません。もう一つですね、資料の4ページ目にですね、この招待区分のあとに整理番号が4桁があって、これ、封入の業者にこの4桁の整理番号ですっていうことを説明している文章ですが、この整理番号ってのは、当然通し番号でしょうから、この招待区分の下に何人くっついてるかっていうのはこの整理番号を見れば分かりますね」

 大塚幸寛「お答え致します。あの、こちらの番号につきましても、その性格としては、先程来申し上げたとおり、招待状の発送をあくまでも効率的に行うために便宜的に付与するものでございまして、会の終了を以って使用目的を終えるということでございます。

 で、この件につきましても、その個別の分については定かではないとこでございますが、あくまでもこれは各区分に属する招待者をあくまでも便宜上整理するために付したものであるということでございます」

 今井雅人「実務を行うための整理番号がどういうふうに使ったか分からない。あり得ないですね。一つだけ教えてください。これ通し番号ですか。一番から順番に付いてるわけですか」

 大塚幸寛「お答え致します。あの繰り返しで恐縮でございますが、その個別の意味の番号については定かではないということでございます」

 今井雅人「壊れたレコードのようですね、これ本当に。いくら聞いても、そう答えるんでしょうけど、こんな答弁はすればするほど隠蔽してるなということが印象付けられるだけですから、ちゃんと説明した方がみなさんのためだと思いますよ」

 今井雅人の質疑の前半は2日後の参院予算委の蓮舫の質問とほぼ重なる。今井雅人の「桜を見る会」は功績をチェックして参加希望者を募っているのかといった質問に対して安倍晋三は功績のあった方として、「後援会活動をやっている方は様々な地域活動をやっておられる方が実際ですね、多い」と答弁、「様々な地域活動」を以って「功績」と看做しているから、明らかに内閣官房・内閣府が招待基準として挙げている「功績・功労」とは必ずしも一致はしない。

 今井雅人は平成17年の「桜を見る会」「分野別招待者数」のパネルを見せて、「今も『60』というのは総理大臣なわけだったんです。こういうことになると思うんですけども、如何でしょうか」と質問すると、大塚幸寛は「招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付与してるもので、個別の番組については定かではない」と、「60」が総理大臣宛の番号であるとの断言を避けている。

 対して今井雅人は「実務を行うために便宜的に番号振っているわけですけども、それは便宜的に番号を振るんですから、番号それぞれにはちゃんと分類があるはずですよね」と反論している。

 そもそもからしてこの手の一定期間を置いて繰り返し使う文書は、多くの人が知っていることだが、事務手続きの簡略化を図るために一定の書式に基づいた雛型を、例えばパソコンを使う場合はWordやEXCELなどを使って作成しておいて、パソコンに保存、新たに作成する必要が生じた場合は保存文書をWord上やEXCEL上に開いて、必要箇所のみを入力し直して、再利用するのが一般的となっている。

 特に最後に作成した内容はそのまま保存するのが慣例となっていて、その内容を次の作成の参考にすることが当たり前の事実となっている。

 このような事実を前提とすると、「分野別招待者数」も次の利用のために前年の内容のままにパソコンに保存してあるはずだが、安倍晋三の「桜を見る会」の権力の私物化・予算の私物化を隠蔽するために早々に消去してしまったとしても、毎年繰り返し使っていたこととパソコンを使って事務を取る者は常識としている事実であることから、大塚幸寛が言うように職員たちが「個別の番組については定かではない」とするのは事実でないことを事実であるかのように装わせる、実際の事実の隠蔽そのものである。

 また、「60」が便宜的に付与した番号だとしても、今井雅人が「実務を行うために便宜的に番号振っているわけですけども、それは便宜的に番号を振るんですから、番号それぞれにはちゃんと分類があるはず」と反論しているように一定期間を置いて繰り返し使う文書の形式を取っていなければならないから、その「便宜」は便宜上のものであっても、一定の意味と役割を持たせた「便宜」ということになる。当然、安倍晋三が首相である間の「60」は安倍晋三を特定する番号ということにしなければならない。

 そういった雛型の形式にはなっていない、会が終われば、パソコンに保存してあるファイルも消去することになっていて、消去したということなら、効率性や生産性、合理性を一切考慮しない事務作業を続けてきたことになって、無能・税金のムダ遣いと非難を受けることになる。

 大体が表の作成自体に時間・手間がかかって、表の中への文字入力はさして時間も手間もかからない。雛型にして再利用することこそが、効率性や生産性、合理性を確保する肝要な事務作業となる。要するに一定期間を置いて繰り返し使う雛型となっている文書であることを隠して「60」が便宜的に付与した番号だ、「個別の番組については定かではない」とすることも、事実ではないことを事実であるかのように装っただけのことで、このように装わなければならない事実こそが、安倍晋三の「桜を見る会」を利用した権力の私物化・予算の私物化が疑惑のままでとどまらずに検察送致相当の事実そのものであることを物語ることになる。

 いわば大塚幸寛は国会答弁を通して、検察装置相当のの決定的証言を提供した。 

 大塚幸寛は今井雅人との遣り取りで、他の場合も似たり寄ったりだが、最後の最後まで、「60」番を「便宜的に付与しているもの」、「個別の番号については定かではない」を貫き通した。

 その信念は敬服に値するが、その信念によって、いわば内閣府そうぐるみで事実ではないことを事実であるかのように装うこと自体も、最後の最後まで安倍晋三の「桜を見る会」を利用した権力の私物化・予算の私物化の隠蔽に手を貸し続けていることを意味することになり、これからも手を貸し続けるのは明白であり、安倍晋三の方も内閣官房・内閣府の手を借りることによってこれらの私物化を疑惑のままにとどめておくことが可能となっている。

 だが、このような手の貸し借りからも、検察送致相当の私物化としなければならない。私物化が根も葉もない疑惑で、潔白そのものであるなら、手の貸し借りは何ら必要としない。

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