安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
自民党幹事長二階俊博が6月26日の東京都内での講演後の質疑発言が問題視されている。「The Huffington Post」(2018年06月27日 15時36分)
TBSラジオに依拠した発言の紹介となっている。
講演参加者「自民党と政府が一体になって、早く結婚して早く子どもを産むように促進してもらいたい」
二階俊博「大変、素晴らしいご提案だと思います。
そのことに尽きると思うんですよね。しかし、戦前の、みんな食うや食わずで、戦中、戦後ね、そういう時代に、『子どもを産んだら大変だから、子どもを産まないようにしよう』といった人はないんだよ。この頃はね、『子どもを産まない方が幸せに送れるんじゃないか』と勝手なことを自分で考えてね。国全体が、この国の一員として、この船に乗っているんだからお互いに。
だから、みんなが幸せになるためには、これは、やっぱり、子どもをたくさんを産んで、そして、国も栄えていくと、発展していくという方向にみんながしようじゃないかと。その方向付けですね。みんなで頑張ろうじゃないですか。
食べるのに困るような家はないんですよ。実際は。一応はいろんなこと言いますけどね。今『今晩、飯を炊くのにお米が用意できない』という家は日本中にはないんですよ。だから、こんな素晴らしいというか、幸せな国はないんだから。自信持ってねという風にしたいもんですね」
二階俊博の「食べるのに困るような家はないんですよ」と発言していることに関して記事は、〈「ひとり親世帯」の貧困率が50.8%となるなど経済協力開発機構(OECD)の調査でも、主要国で最悪レベル。
途上国のような衣食住のままならない「絶対的貧困」の状態ではないが、最低限の衣食住環境で教育や余暇などにお金をかけられない「相対的貧困」は、日本の社会問題となっている。〉と批判を加えている。
世界第3位の経済大国日本の現在の地位からすると、「食べるのに困るような家はない」、「『今晩、飯を炊くのにお米が用意できない』 という家は日本中にはない」状況を基準に「こんな素晴らしいというか、幸せな国はない」と価値づけるのは余りにも単細胞過ぎて情けない。日本国憲法第25条が保障している「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を満足に行使し得ていない国民が少なからず存在するということは経済大国の名に反するだけではなく、貧富の格差が厳然として存在していることの証明以外の何ものでもない。
6月27日に党首討論が行われた。立憲民主党代表の枝野幸男が二階俊博の「子どもを産まない方が幸せに送れるは勝手な考え」なる発言を把えて、安倍晋三に質問した。「産経ニュース」(2018.6.27 17:24)記事から発言を参考にした。
枝野幸男「昨日、自民党の二階(俊博)幹事長、『この頃、子供を産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える』『食べるに困るような家は今はない』。こうした発言をされています。言うまでもありませんが、子供を産むか産まないかは、最も基本的な自己決定権の範疇(はんちゅう)です。これについてどう考えようと第三者が口を出すべきことではありません。また、子育て支援の不足や、多額の教育資金が必要であることなど、政治が十分な対応ができていないために子供を産み育てることを希望しながら、断念している方が少なからずいらっしゃるということについての自覚が欠如しているというふうに考えます。
また、貧困の問題についても、『子ども食堂』の存在や低年金高齢者などに象徴される貧困家庭の実態を理解していないのではないかと言わざるを得ません。二階さんは総理とは別人格ですからこれについてのコメントは求めません。
総理として、子供産まない方が幸せだというようなことを考えてる人は勝手な人だという認識を持ちでしょうか。そしてもう一つ、今の日本で食べるに困るような家庭はないというような認識をされているでしょうか。お答えください」
安倍晋三「これはまさに子供を持つか持たないか、あるいは結婚するか結婚しないか、これはそれぞれが人生において、選択をすべきことでありですね、私たちがそれに対していちいち意見を言うべきではないと、こう思っているわけでございますし、事実、私の家庭もですね、残念ながら子宝には恵まれていないわけでございます。そういう中において、それぞれがさまざまな選択をとっていくということではないか。
その中で私たちは希望出生率と実際の出生率の差を、があるのは事実でありですね、産みたいという思いを持っておられる方が産むことができるような社会を作っていくためにさまざまな政策を行い、先ほど議論となりました。来年の消費税の引き上げの際にはですね、まさに子供たち、そして、子育て世帯に思い切って支援を投入していくという判断をしたところでございます。そしてですね、また二階さんの発言でございますが、いちいち私がコメントすることは適当ではないのかと思うところでございますが、基本的にはですね、今申し上げたようにですね、この産むか産まないかの選択は本人の選択に委ねられているということでございます。また委ねられるべきだとこう考えております」
枝野幸男「子供を産む、産まないという自己決定の話についての総理のご事情というのは実は我が家も長年、不妊治療に取り組まざるを得ない中で、わが家の場合、幸い10年弱で子宝に恵まれました。総理の今の子育てに対するご発言については総理の真摯(しんし)な思いだろうと受け止めたいというふうに思います」(以上)
枝野幸男「子供を産む、産まないという自己決定の話についての総理のご事情というのは実は我が家も長年、不妊治療に取り組まざるを得ない中で、わが家の場合、幸い10年弱で子宝に恵まれました。総理の今の子育てに対するご発言については総理の真摯(しんし)な思いだろうと受け止めたいというふうに思います」
枝野幸男は「子供を産むか産まないかは、最も基本的な自己決定権の範疇で、第三者が口を出すべきことではない」等々と言い、「二階俊博と安倍晋三は総理とは別人格だから、二階発言についてのコメントは求めない」が、「総理として、子供産まない方が幸せだというようなことを考えてる人は勝手な人だという認識を持っているか」と尋ねている。
安倍晋三の認識を聞いてどうするのだろう。尤もらしい答弁に終止するのは分かりきったことで、分かりきっていることを前以って承知していなければならない。
案の定、安倍晋三は子供云々、結婚云々は「それぞれが人生において、選択をすべきことであって、第三者があれこれ言うべきではない」といった当たり障りのない趣旨の答弁で済ましている。そして自身が「子宝には恵まれていない」ことを打ち明けて、その結果についての選択はそれぞれに任せるべきだといった発言をしている。
枝野幸男が「子供を産むか産まないかは、最も基本的な自己決定権の範疇で、第三者が口を出すべきことではない」その他を批判している以上、口出しした二階俊博の与党自民党幹事長としての知性(物事を知り、考え、判断する能力)や資質(その人特有の行動や反応を決定する感情的、知的特質の複合体―「weblio類語辞典」)の程度を問題にしたことになる。
自民党幹事長でありながら、そのような問題人物である二階俊博をその職務に任命したのは自民党総裁安倍晋三である。「二階さんは総理とは別人格ですからこれについてのコメントは求めません」などと言っている場合ではない。知性と資質を欠いた人物が自民党幹事長であること、それを任命したのが安倍晋三であることをなぜ追及しなかったのだろか。
安倍晋三は「私は今、自民党総裁としてではなく、内閣総理大臣としてここに立っている。コメントは差し控えたい」と逃げるかもしれないが、「総理大臣として二階俊博はその発言から公党の幹事長を務めるに相応しい知性や資質をお持ちだと考えているか」ぐらいは尋ねるべきだったろう。
問題とすべきは二階俊博の自民党幹事長としての知性と資質の程度が疑わしいことでありながら、本質的な問題について枝野幸男は何も理解していなかった。
だから、安倍晋三が「私の家庭もですね、残念ながら子宝には恵まれていない」と打ち明けられると、枝野幸男は「実は我が家も長年、不妊治療に取り組まざるを得ない中で、わが家の場合、幸い10年弱で子宝に恵まれました」などと自身の不妊治療話に引き込むことになった。
引き込んでどうするというのだろうか。僅かな時間も貴重な党首討論でありながら、ただそれだけの世間話程度で時間を費やすことになった。