共同通信社が1月10、11両日に行った全国電話世論調査(「中日新聞」)。前回は昨年の12月。
麻生内閣
「支持します」 ――19・2%(-6・3ポイント)
「支持しません」――70・2%(+8・9ポイント)
定額給付金
「評価します」 ――23・7%(-7・7ポイント)
「評価しません」――70・5%(+12・4ポイント)
どちらが首相にふさわしいか
「小沢一郎でーす」――46・4%(+11・9ポイント)
「絶対麻生でーす」――22・1%(-11・4ポイント)
望ましい政権の枠組み
「民主党中心でーす」――51・4%
「絶対自民党中心だ」――30・5%
内閣不支持理由
「経済政策に期待が持てない」――28・8%
「首相に指導力がない」 ――22・6%
「首相が信頼できない」 ――18・2%
「首相は小沢沢一郎でーす」の理由
「政策に期待できるから」――36・9%
「首相は麻生太郎でーす」の理由
「自民党だから」――42・4%(自民支持だから止むを得ない選択ということ。)
「2兆円の財源を優先的に使うべき政策」
「定額給付金」 ――3・3%(最少)
「年金・医療など社会保障」――42・0%
「雇用対策」 ――26・3%
「減税」 ――11・2%
「少子化対策」 ――10・7%
「公共事業」 ――4・5%
朝日新聞社が1月10、11の両日実施した全国世論調査(電話)。前回調査(12月6、7日)
麻生内閣
「支持します」 ――19・0%(-3ポイント)
「支持しません」――67・0%
定額給付金
「やめた方がいい」 ――63%
「政府の方針どおり配った方がよい」――28%
定額給付金・自民支持層
「やめた方がいい」 ――43%
「政府の方針どおり配った方がよい」――48%
定額給付金・民主支持層
「やめた方がいい」 ――79%
「政府の方針どおり配った方がよい」――16%
定額給付金・無党派層
「やめた方がいい」 ――66%
「政府の方針どおり配った方がよい」――23%
「給付金は景気対策として有効か」
「有効だと思う」――18%
「有効ではない」――71%
「かえって雇用が減るという意見もある」との条件付で派遣禁止の是非
「禁止に反対」――46%
「禁止に賛成」――30%
「衆院比例区の投票先」
「自民党」――25%(前回28%)
「民主党」――38%(前回36%)
読売新聞が1月9~11日に実施した全国世論調査(電話方式)。(前回調査12月5~7日)
麻生内閣
「支持します」 ――20・4%(-0・5ポイント)
「支持しません」――72・3%(+5・6ポイント)
どちらが首相にふさわしいか
「小沢一郎でーす」――39%(+3ポイント)
「絶対麻生でーす」――27%(-2ポイント)
内閣支持・不支持の理由
「政策に期待できる」 ――20%(-4ポイント)
「政策に期待できない」――36%(+4ポイント)
定額給付金・「支給を取りやめて、雇用や社会保障など、他の目的に使うべきだ」
「賛成」――63%
「反対」――17%
衆院比例区の投票先
「民主党」――39%(前回40%)
「自民党」――24%(前回24%)
政党支持率
「自民党」――29・3%(前回27.2%)
「民主党」――26・2%(前回28.2%)
選挙後の望ましい政権
「政界再編による新しい枠組み」――38%(前回33%)
「自民と民主による大連立」 ――24%(前回25%)
「民主中心」 ――22%
「自民中心」 ――12%だった。
産経新聞・FNN合同世論調査(1月10、11日)
麻生内閣(前回11月)
「支持します」 ――18・2%(-9・3ポイント)
「支持しません」――71・4%(+13.1ポイント)
麻生政権評価
「首相の人柄」 ――29・4%
「首相の指導力」――10%台
・「評価しない」――85・1%
「景気対策」 ――10%台
・「評価しない」――80・3%
「外交政策」 ――10%台
どちらが首相にふさわしいか
「小沢一郎でーす」――41・0%(+3ポイント)
「絶対麻生でーす」――25・2%(-2ポイント)
(「信頼できるのは」「政策がよいのは」「『選挙の顔』として魅力的なのは」といった質問でも、すべて小沢氏が首相を上回り、「今、首相に一番ふさわしい人」でも麻生首相は離党の意向を固めた渡辺喜美元行革担当相を下回ったという。)
政党支持率
「自民党」――23・4%
「民主党」――26・6%
衆院比例区の投票先
「民主党」――41・5%
「自民党」――29.0%
定額給付金
「ばらまき」 ――75・1%
「他の政策に回すべき」 ――79・6%
「給付されたら受取る」 ――84・4%
「給付されても受取らない」――11・4%
麻生政権評価
「首相の指導力」――10%台
・「評価しない」――85・1%
「景気対策」 ――10%台
・「評価しない」――80・3%(以上)
麻生首相は「選挙よりは景気対策だ、政局よりも経済対策だ」を民主党の解散・総選挙要求を拒否する正当口実とし続け、今年1月1日の年頭所感記者会見でも、「急ぐべきは景気対策、はっきりしています」と宣言して解散・総選挙を先延ばしにした。「世界の中で、最も早くこの不況から脱するのは日本です」と自らの景気政策遂行能力、景気回復実現能力に太鼓判を押してもいる。「景気の麻生」と言われる所以である。
尤も「急ぐべきは景気対策」なのは麻生ではなくても年金問題や医療問題等をも含めて特に経済的に生活の不安に曝されることとなった国民の殆どが分かっていることであり、「はっきりしてい」ることだが、「急ぐべきは景気対策」だと優先すべき政策意識を共有しているはずのその頼みの国民が麻生の「選挙よりは景気対策だ、政局よりも経済対策だ」の掛け声に乗ってこない。
その重要且つ象徴的な一例が金持でありながら受取るのは「さもしい」、「矜持の問題だ」と一旦は受取るべきではないと線引きした高額所得者ばかりではなく、「生活給付金のイメージと加えて、消費刺激の必要性と、二つ出てきておる」(麻生)からと景気対策なのだから国会議員までも定額給付金を受取って使うべきだとすったもんだの大騒ぎを演じたものの、その大騒ぎに反して有効な政策だと認めない国民がどの世論調査でも60%~80%近くまで占めている不人気・定額給付否定であろう。
しかも「次の首相に誰がふさわしいか」で倍以上もリードを保っていた民主党の小沢一郎に前回調査で逆転を許すと、今回調査で最も大きな差で逆に倍以上の20ポイントもつけられることとなったし、「総選挙の投票先」でも「政権の枠組み」でも民主党に差をつけられる調査結果が出ている。
このことは国民が麻生太郎にはもはや何も期待できないという答を出したということではないのか。「景気の麻生」を看板とし、選挙などやっている暇はないはずだ、景気回復の手を打たなければならないと言いながら、「定額給付金」が景気対策とならないことを見通し、政権は自民党から民主党に代わってくれ、首相は麻生から小沢一郎に首をすげ替えるべきだと、麻生太郎そのものを見放してしまっているとことを示している。
麻生太郎の「景気対策」を見放しながら、国民が期待する主要な政策に「景気対策」を挙げなければならない矛盾を解くとしたら、やはり1日も早い政権交代、首相交代で次の政権、次の首相に期待するということでなければ、答は見い出し得ない。
ところが麻生首相の「選挙よりは景気対策だ、政局よりも経済対策だ」に対する国民の答・拒絶反応を小沢民主党代表が民放番組で「話し合い解散」を持ち出したことに絡めて「この段階では考えられない。景気対策がいちばんで、解散が景気対策に効果があるかと言えば、政治は2か月くらい止まるわけだから、わたしの感覚とはまったく違う。日本は議院内閣制であり、解散をしなくても形として瑕疵(かし)はない。途中で政権を投げ出すようなことはしない」(「NHK」インターネット記事)と無視、なお「選挙よりは景気対策だ、政局よりも経済対策だ」に拘っている。選挙からは逃げているが、一旦掲げた「選挙よりは景気対策だ、政局よりも経済対策だ」からは必死にしがみついて逃げようとしない。
無為無策の麻生太郎が首相の座に居座っていること自体が「景気対策に効果が」あるとは言えないのであって、当然のこととして麻生政権、麻生内閣、麻生首相といった国政上の絵柄が「瑕疵」そのものとなっていることに気づかない。解散が麻生太郎という無能な総理大臣を政治の舞台から引きずり降ろす唯一の方法であり、結果として「解散が景気対策に効果がある」ことになる、己が持っている逆説性にも気づかない。麻生が辞任するだけで株は値上がりするだろう。
昨08年12月5日の衆議院予算委員会で民主党の笹木竜三議員が定額給付金は世論調査では7~8割の国民が反対していると質問したことに対して麻生首相は次のように答えている。
「ただ今、世論調査を使われましたけども、じゃあ、来たら貰いますかというと、88%の人が貰うと言っておられた。いらないって言っておられる方と、貰うって方が明らかに重なっているのは、これはちょっとおかしいなあという感じが、正直実感ですが、私はこういったときは、自分は、貧しくても、もしくは自分はそこそこカネがあるから、いいよと、言うのが、ボクは姿勢としては正しいのではないかと思っておりますけども、麻生さん、そんなことはないよ、今の人は、と色々なご意見があります。私もやってみなきゃ分からんと思っておりますが、いずれにしても今の状態というものを考えますと、(給付対象の決定が)ブレておると、いうご意見で、色々とブレたように取られているのかもしれませんが、言っていることはずうっと同じことを申し上げております」
定額給付金に反対の意思表示を示しながら、給付されたなら、「88%の人が貰う」と言っている国民の姿勢を答弁の最中に麻生首相はからかうように笑い、反対しながら貰う姿勢の重なりに言及するときもそれとない笑いを浮かべて、それはおかしいじゃないかとばかりに得意気に首をかしげてみせた。
それは明らかに国民を冷笑する態度であった。麻生太郎は7~8割の国民が反対しているのは見せ掛けで、「88%の人が貰う」がホンネだと勘違いしたのだろう。だから、冷笑できた。
どちらもホンネであることに気づかなかったのだ。但し反対のホンネの方がより強い色合いを帯びていることに鈍感にも気づかなかった。
2兆円を医療や雇用、あるいは教育といった別の政策で有効に使い、成果をみせるべきだと思っている。それができずに給付するなら、個人個人で医療や雇用(給与や生活の足し)、あるいは教育にまわして使う。医療や雇用、あるいは教育にかかるカネで余裕を持って生活できている国民はそうはいないからだ。
このことは「中日新聞」が伝えている共同通信社の世論調査の調査項目「2兆円の財源を優先的に使うべき政策」の調査結果と「読売新聞」の世論調査の調査項目「定額給付金・『支給を取りやめて、雇用や社会保障など、他の目的に使うべきだ』」の調査結果がそれぞれに証明している。
先ずは「中日新聞」「2兆円の財源を優先的に使うべき政策」を再度掲載すると、
「定額給付金」――3・3%(最少)
「年金・医療など社会保障」――42・0%
「雇用対策」――26・3%
「減税」 ――11・2%
「少子化対策」――10・7%
「公共事業」――4・5%
定額給付金に代えて年金・医療などの社会保障や雇用対策、減税、少子化対策といった生活対策に使うべきだとしている。
次に「読売新聞」の世論調査。
定額給付金・「支給を取りやめて、雇用や社会保障など、他の目的に使うべきだ」
「賛成」――63%
「反対」――17%
63%もの国民が「支給を取りやめて、雇用や社会保障など、他の目的に使うべきだ」と他の生活関連の政策に振替えることを希望している。
ところが、「ニコニコして受取り、地元でうまいものを食べる。ニコニコ給付金だ」(鳩山邦夫)とか、「地元で飛騨牛を食べる」(野田聖子)とか、環境相だからと取ってつけた格好づけのように「電球蛍光灯などの省エネ製品を地元で買う」(公明党斉藤)とか麻生内閣の面々はそれぞれの消費方法がさも大層な役立て方であるかのように言っているが、一般国民が受取る1人頭12000円と違って閣僚の報酬からしたら高々一人頭12000円の支給に過ぎないからこそできる“贅沢”なのだろう。
要するに必要不可欠・最低限の生活費にまわす必要もなくパーッと散財できる国民がどれ程いるか、そういった国民のことなど頭になかったからこそ言えた贅沢な役立て方なのだ。一旦受取るべきではないと制限を設け、その舌の根も乾かないうちにその制限を外した高額所得者のうちに自分たちも入れて、個人消費にさも大貢献するかのような気分となっている。
例え65歳以上だからと8000円プラスされたとしても、将来的な健康や医療費の高騰、年金の目減り、来るべき消費税増税を考えると、余程の高額所得者でない限り、「うまいものを食べる」とか「飛騨牛を食べる」とか、切れないうちから「電球蛍光灯などの省エネ製品を地元で買う」などといったことはできないはずである。先ずは貯蓄に回して、どうしても使わなければならなくなったときにケチケチ出し惜しみをしながら使う国民が多いのではないのか。
そういった国民風景をも含んだ「88%の人が貰う」であって、それを「いらないって言っておられる方と、貰うって方が明らかに重なっているのは、これはちょっとおかしい」と反対しながら貰う態度を冷笑する。
国民の姿が麻生太郎には届いていない。帝国ホテルといった高級ホテルの高級なレストランやバーを日常普段の愉快な飲み食いの場所としていて、そのような環境、そのような世界に守られて世の中の喧騒がテレビや新聞を通して、あるいは人の話から目や耳に届いても、皮膚に感じるまでには届かないからではないのか。
すべての点に於いて度し難いばかりに裸の王様に成り下がっているからこそできる麻生太郎の冷笑なのだろう。親玉の麻生が裸の王様なら、子分の鳩山邦夫にしても野田聖子にしても斉藤にしても、その他閣僚も同じ穴のムジナとばかりに裸の王様の姿を引きずっていると言わざるを得ない。
参考までに引用。
≪首相“話し合い解散 応じず”≫(NHK/09年01月12日19時10分 )
麻生総理大臣は、12日に放送された民放の番組で、衆議院の解散を条件に、予算案の成立に野党側の協力を得る「話し合い解散」について、「解散すれば政治は2か月くらい止まり、景気対策に効果があるとはいえない」として、応じられないという考えをあらためて示しました。
この中で、麻生総理大臣は、各種の世論調査で、内閣支持率が低迷していることについて、「きちんとしんしに受け止めなければいけない。不況対策が最大の課題なので、国民に対してもきちんと説明しなければならないが、なかなか難しい」と述べました。
また、麻生総理大臣は、「話し合い解散」について、「この段階では考えられない。景気対策がいちばんで、解散が景気対策に効果があるかと言えば、政治は2か月くらい止まるわけだから、わたしの感覚とはまったく違う。日本は議院内閣制であり、解散をしなくても形として瑕疵(かし)はない。途中で政権を投げ出すようなことはしない」と述べ、応じられないという考えをあらためて示しました。
また、麻生総理大臣は、消費税率の引き上げについて、経済状況が好転しない場合には、3年後の引き上げは行われないとしたうえで、「わたしのあとに誰が総理大臣になるかわからないが、その人が責任を持って経済状況をよくしたうえで、消費税をきちんとやらなければ、今の『中福祉』を小負担では補えない。責任ある立場として、中負担をお願いしなければならず、消費税で広く薄くという以外に方法はない」と述べました。