株価と為替相場と原油安以外カラッポだった安倍晋三のアベノミクス

2016-11-16 08:20:00 | 政治


 ※お断り

 2016年11月12日土曜日に投稿したはずの記事が自身のPC内に保存されているものの、ネット上に配信されていませんでした。自身の手違いか、goo側の手違いか、問い合わせ中ですが、ネット上に載せておくために改めて本日、私自身からしたら再投稿することにしました。

 「NHK NEWS WEB」が、《上場企業の中間決算 4年ぶりに減益の見通し》と題した記事を昨日(2016年11月11日)ネット上に載せていた。  

 これまでに発表し終えた東京証券取引所1部に上場している3月期決算の企業(170社余り)の今年4月から9月までの経常利益の中間決算の合計は円高等の影響で去年を13%下回り、、全ての企業では4年振りの減益となる見通しだと伝えている。

 一方、証券大手のSMBC日興証券が11月9日までに発表を終えた全体の76%にあたる1097社の業績を纏めたところ、経常利益の合計は16兆2490億円で、去年の同じ時期を13.2%下回っているという。

 業種別に見ると、海外事業の割合が大きく、円高の影響を受けた「電気機器」が28.4%の減益。

 自動車などの「輸送用機器」が21.3%の減益。

 中国の過剰生産の影響で輸出の低迷が続く「鉄鋼」が63.3%の大幅な減益。

 「小売」が外国人旅行者による高額品の購入が落ち込み、4%の減益。

 さらに来年3月までの1年間の業績も、経常利益の合計は4.7%の減益になると予想している。

 記事は伊藤桂一SMBC日興証券チーフアナリストの声を伝えている。

 「アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利したことで、当面は円高の傾向が続くのではないかという懸念は根強い。厳しい経営環境を乗り切るための、再編や事業統合などの動きが加速するのではないか」――

 為替相場が円安から円高に振れる前までは大企業は軒並み過去最高益を上げていた。特に輸出企業は輸出量・輸出高そのものは殆んど伸びなかったものの円安を受けた為替差益でそれぞれの利益を押し上げた。

 このような円安構造が株価上昇を誘う要因となって企業の利益を積み増し、更に2015年8月以降続いていた原油安が企業経費を押し下げてることになって、軒並み過去最高益という現象を生み出したはずだ。

 原油安は円安を受けた輸入生活物資の値上げや輸入原材料の値上げによる製品価格への転化を一定程度吸収する役目をも果たした。

 要するに円安と株高と原油安が安倍晋三のアベノミクスの経済政策を維持する援護射撃となって、一見成功しているかのような外観を見せていた。

 第2次安倍政権になってからのこの4年間で少しずつ賃金が上がっていったのも、春闘のたびに安倍晋三が先頭に立って経団連に賃上げを陳情したからだが、各企業が応じることができたのは円安と株高と原油安を要因とした利益に余裕があったからに他ならない。

 アベノミクスによって実体経済が活発に動き、企業が売上を伸ばして、いわば本業で利益を積みましていったからではなかった。

 こういったことの指摘はネット上で多く見受けることができるが、改めて1年前の記事だが、2015年5月28日付の「ロイター」記事、《日本企業「最高益」の裏側、四半世紀伸びない売上高》を挙げてみる。

 題名を読んだだけで、言っていることの内容が理解できる。

 あらましを見てみる。

 みずほ証券リサーチ&コンサルティングが集計した東証1部上場企業の純利益は1989年度10.1兆円から2014年度30.5兆円に3倍化し、過去最高益を更新した

 但し利益の源泉である東証1部企業全体の売上高は1989年度の419.8兆円から2014年度702.2兆円と67%の増加で、純利益の3倍に程遠い。

 この売上高67%の増加は1160社から1882社へと増えている上場企業数の増加率62%とさして変わりはないから、一社当たりの売上高はそれ程変化はないことになる。

 具体的には1社当たりの売上高は3615億円から3731億円へと25年間で3.1%の増加に過ぎないと指摘している。

 しかし最高益を記録しているということは、記事も書いているが、ネット上で多くが指摘しているように円安と株高、更に原油安の影響以外にないことになる。

 記事は末尾で次のように解説している。

 〈個別企業はともかく、マクロ的にみて、日本の製品がどんどん売れたり、内需が拡大することによって、利益が伸びているという構図とは異なる。すべてをひっくるめて「稼ぐ力」がついたと評価することもできるが、楽観は禁物だ。〉・・・・・

 〈「稼ぐ力」がついた〉と言っても、全面的に評価しているのではなく、国内外の事業への投資にしても国内外の企業の買収にしても、会社全体をひっくるめた経常利益にしても、株高と円安で労せずして得た利益を主たる源泉としていることから、「も」という助詞をつけて、〈評価することもできる〉と、その部分的評価を言っているに過ぎない。


 記事が伝えているニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏の発言も紹介しておく。

 「企業業績が今、伸びているのは円安による効果が大きい。円安が止まってしまっては増益ペースが鈍るおそれもある」――

 要するに安倍晋三のアベノミクスは実体経済を動かす程の“実体”を備えていなかった。中身はカラッポで、日銀の異次元の金融緩和がもたらした株高と円安、さらに幸運にも海外要因である原油安がアベノミクスの人工心臓の役目を果たしていた。

 結果、円安とは逆の円高の力が働いただけで世界のトヨタですら、その中間決算は5年ぶりの減収減益、日産の中間決算は7年ぶりの減収減益、その他の企業も右へ倣えで、最初の「NHK NEWS WEB」記事が紹介している有様となっている。

 円安になれば、株価も上がり、再び企業は好調な決算を弾き出すことになるだろう。だが、そこにはアベノミクスはプラスの力として何ら介在していないことになる。アベノミクスとは名ばかりで、実体を持たず、カラッポだからということになる。

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