JICA出身山本一太の言う「納得させる説明能力」

2009-11-25 11:54:47 | Weblog

 予算のムダを洗い出す事業仕分けが昨24日から後半戦に入った。今日朝のTBS「みのもんたの朝ズバッ」をNHKニュースからチャンネルを変えてパソコンを叩きながらの“ながら見”していたら、昨日事業仕分けの対象となったJICA(国際協力機構)について取り上げていた。

 緒方貞子だとは名前を出していなかったようだが、JICA理事長の年間報酬が2216万円で高いだとか、JICA職員の平均給与が公務員の役1.3倍も貰っているとか、その裕福ぶりを伝えてから(記憶力が最悪状態だから、うろ覚えにしか頭の中に残っていない。)、そのような裕福に引き続く出張にビジネスクラスと使っている、JICAビルの賃貸料が高いといった贅沢振り・裕福三昧の角度から査定の状況を伝えていた。

 JICAに関してどんな遣り取りがあったかは、《JICA施設運営費・研修制度は見直し》毎日放送/2009年11月24日(火) 22時12分)を参考にすると――

 JICAは、アジアやアフリカなどの途上国に人材を派遣するほか、資金や技術の面からも支援を行う団体、ODA=政府開発援助の事業を国に代わり行うこともあるとのこと。

 (仕分け人・尾立源幸参院議員)「新JICAの麹町のビルを拝見いたしました。さまざまな公的の機関に参りましたけれども、一番立派でした」

 東京・千代田区にあるJICA本部の賃料が以前借りていたビルに比べて年間およそ7億円高いことを取り上げた質問だという。

 同仕分け人「(一坪)4万5200円、東京でもおそらく一番高い賃料だと思いますけども、なぜ、選定に当たってここを選ばれたのか」

 (JICA担当者)「在京大使館との連絡が非常に多くございます。できれば、その近くでなるべく安いところをということで」

 次にJICAが海外の途上国から募集している研修生の日当が高過ぎると取り上げている。

 (仕分け人)「日当をですね、小遣いとしてためて使わずに持って帰る。私はそれが本当だとしたら、考え直さなければならないのじゃないかなというふうに思うのですけれども」

 (JICA担当者)「手当てにつきましては、生活費4415円。お金をその人たちがためるために来ているということは、まったくないと私は思います」

 (コートジボワールからの研修生)「(家賃や食費を除き)月10万円もらっている。ちょうど足りている感じです」

 (パキスタンからの研修生)「JICAのプログラムはとてもいいので、予算を削らないで欲しい」(以上引用)

 研修生が「(家賃や食費を除き)月10万円もらっている。ちょうど足りている感じです」といった生活状況は月10万円前後の生活保護費で家賃込み、食費込みの生活をしている生活保護受給者から較べたら、遥かに余裕ある生活と言えないだろうか。仕分け人の「日当をですね、小遣いとしてためて使わずに持って帰る」という指摘はあながち的外れではないように思える。

 JICAは研修生に対して十分過ぎる生活の余裕の提供よりも、優れた研修プログラムの提供と研修内容のムダのない時間内のより有効な取得の機会提供をこそ目指すべきで、研修生も研修プログラム内容の有効な取得をより重要な収穫とすべきで、その線に添った研修プログラムの構築と予算づけにエネルギーを注ぐべきである。

 JICAの施設については大阪や兵庫の国内研修施設、JICA地球ひろばなどの施設、宿泊施設等が稼働率が低く、運営費がムダになっていると追及を受けた(日経ビジネス)ということらしい。

 JICAの出張と職員の給与に関しては《仕分け 外交・防衛にも JICA出張 ビジネス利用》東京新聞/2009年11月25日 朝刊)が次のように取り上げている。

 〈「出張はビジネスクラス利用が基本とは、暮らしに苦しむ国民がどう見ていると思うか」。会場に怒号に近い声が上がった。標的となったのは、外務省所管の国際協力機構(JICA)だ。

 JICAには約1500億円の運営費が2010年度予算に概算要求されている。だが、職員の給与水準は独立行政法人トップで、一般国家公務員の約三割増。出張の75%がビジネス利用に「少しでも税金を使わないという考えがない」と非難が集中した。〉――

 仕分け人の追及に担当者は押されっ放しで、査定結果は、外務省が予算づけした独立行政法人JICA=国際協力機構の運営費交付金1509億円に対して、調査・研究のための96億円の費用を30%削減要求、JICA職員の人件費や、青年海外協力隊の派遣費用などについても大幅に見直すべきだと指示。(《仕分け再開 ODAで削減も》NHK/09年11月24日 21時10分)

 「朝ズバッ」はJICAに対する仕分け場面を取り上げてから、JICA出身だという自民党の山本一太参議院議員にご登場を願った。

 山本「納得させる説明能力を欠いている、説明能力が必要ですね」(とか何とか言っていた。)

 で、ブログに何か書いているだろうと思って《山本一太の「気分はいつも直滑降」》にアクセスしてみた。題名は「気分はいつも直滑降」かも知れないが、「直滑降」な気分が顔のどこにも見えない。発言も一見キレがよさそうに見えるが、牽強付会が多過ぎる。
 
 2009年11月25日のエントリー 「ボコボコにされたJICA」

 《午前零時30分。 ダメだ...眠い! 3時間寝てから勉強を再開する!! JICA事業の仕分けは「悲惨な結果」となった。(ため息) 「仕分け人」を説得するだけの準備をして行ったのかなあ?!  この件については改めて。 おやすみなさい!〉――

 今朝は「気分はいつも直滑降」とはいかなかったようだ。「いつも」でないとすると、誇大広告となる。気づいているのかな。

 仕分け人の査定追及にJICAは「ボコボコにされた」――。何ら満足に説明できなかった。立て板に水を流す如くに流暢に受け答えして、如何に要求しただけの予算が必要なのか、事業自体が有効且つ必要な内容を構成していて、どこにも不必要な贅肉部分はないと訴えることができず、守勢一方、結局大鉈を振るわれてしまったということだろう。

 このようなJICA側の体たらくを以って、「納得させる説明能力を欠いていた」といった批評を下した。

 ここで問われているのは、〈「仕分け人」を説得するだけの準備をして行ったのかなあ?!〉といった準備をした上で相手を十分に納得させることができる“説明能力”を身につけるかどうかではなく、多くの国民が納得できる内容を持った事業計画であり、計画が必要とするムダのない有効且つ効率的な予算づけであるかどうかであろう。

 そのような洩れ一つない予算を備えた磐石でムダのない事業計画そのものが雄弁な説明となるのであって、その前提条件を欠いた杜撰でムダだらけの事業計画と予算であるなら、それを相手に納得させることができる説明能力はどのような英知を備えたなら、獲得し得るというのだろうか。

 ムダのない事業計画と予算の先に同じ実質性を備えた事業の具体化と予算執行が存在するはずである。

 事業計画・事業内容が不完全であるなら、その不完全さに倣って予算づけも当然不完全となり、そのような事業と予算に関して完全な説明能力など存在しようがない。

 もし存在させたなら、いわば不必要・ムダな事業を納得させる説明能力を発揮して、必要な事業だと相手に思い込ませたなら、その説明能力はマヤカシに満ちた詭弁能力でしかない。

 日本の官僚は山本一太が言うように「納得させる説明能力を欠いている」のではなく、元々事業計画能力(=事業構築能力)自体を欠いているに過ぎない。事業計画能力(=事業構築能力)を欠いているから、ムダな予算を垂れ流すこととなり、国の財政を危うくしてしまった。

 「朝ズバッ」でコメンテーターとして出演していた片山善博前鳥取県知事が言っていた。

 「説明できないことをやっている」

 そう、事業自体が説明できる言葉を持っていないと言うことである。当然のことで、そのような事業は相手を納得させるどのような説明能力もどう逆立ちしても与えてはくれない。



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援助の見返りとしての特別待遇ボランティア (山田 健介)
2012-04-15 10:26:35

SVの派遣が「援助の見返りの強要」と見做されることがある。


モンゴル国ウランバートル市の第4火力発電所には1991年以降2005年まで無償・有償の援助
を続けてきた。そしてその間 20年間 3名から7名の SVの派遣を継続してきた。
日本側の自画自賛的な評価とは別に地元では この SVの派遣をどのように受け止めているのか
報告する。

1. モンゴル国の変化
昨今のモンゴルはかつての金欠状態の国から一変し、石炭、銅の大規模鉱山の操業が始まりウランやレアーメタルなどの鉱物資源の開発も急である。人々の関心も かつてのように 「どこから援助を受けられるか」ということから 鉄道、地下鉄などの都市インフラ構築や国内に豊富にある地下資源に係るビジネスにどの国を関与せしめるか、ということに移ってきている。

2. 第4火力の変化
2年前からの段階的な電力料金値上げのおかげで 経済的に余裕がでてきた。昨年は冷却塔(1億円) 、送水ポンプ(0.3億円)、特別高圧遮断器(0.2億円) などの設備更新工事も相次いだ。製品は全て中国製かABB社のようにヨーロッパ企業の中国工場製であり 日本製は皆無である。
そういう設備更新工事に際して掲げられる表示には 「 by our own fund 」と強調されることが多い。1990年代の日本からの無償・有償援助は 今では感謝の対象としてよりも「貧しかった頃の過去の屈辱」であり 恥として理解されている。

3. 第4火力は発電事業の技術において日本をどう見ているか
モンゴル国は元はCOMECON加盟国であり この発電所もロシアが作って操業してきたものである。社会主義時代のロシアは対中国政策の一環として中国の南北に存在するベトナムとモンゴルの人的資源開発には大変熱心で多くの留学生を受け入れていた。今でも ここでは45才以上の年齢層の技術者はロシアやドイツ(東ドイツ) の大学で修士以上の学位を得た人が多い。1990年代の一時期は日本からの援助が多かったが それは その当時(1980年代)日本の経済は好調で 1991年に民主化したモンゴルを安定した自由主義陣営の国として ロシアと中国の間に存在せしめることの国際政治上の重要性を認識していたアメリカの主導により その金満的な時代の日本にモンゴル援助の役割が割り当てられたものであるとの理解が一般的である。
西側世界の対中国、対ロシア政策の一環として 日本のモンゴルへの援助が行われた、との理解
であり 日本による援助に対しても むしろ それを主導した アメリカに感謝する傾向がある。
そもそも発電事業における日本の技術優位を信じているのではなく 従来のロシアや東欧の技術で充分やっていけるとの自信がある。日本の援助が遠のいた2005年以降は 社会主義時代のCOMECON協調体制に戻ったが如くにドイツ(東ドイツの頃からのよしみがある) やチェコからの技術導入や融資事業が多く 社内ではドイツ人やチェコ人を多くみかける。こういう環境であるので 日本から 技術指導に来るのなら 世界的に名の通った大学で修士以上の学位を得て
東京電力や関西電力などの電力会社の発電所にいた人か タービンなどの発電所の主要機器の
メーカー出身者でなければ ここでは誰にも信用されない。翻って 今期 の SVは 学位の点
でも見劣りするし 出身は 家電メーカー、空港、ゴミ焼却炉などの中小ボイラーメーカーであり そういう SV を ドイツやロシアの大学で修士をとって モンゴル最大の火力発電所を運営
してきた ここの発電所技術者が 信用するわけがない。 ニーズがあるとかないとか の以前の問題である。

4. SVの要請とは何か
20年も 3名から 7名の SVを継続して派遣しているが その要請はSVが自分で書くのである。
それを形式的に発電所を通じて「発電所の要請」という形で提出する。そういうことが慣例化しているので発電所としては 有難迷惑に感じているようだ。元来がロシア技術であり ドイツやチェコとのCOMECON時代からの技術交流の伝統があるので 発電事業について日本から学ぶことなど あまりない、と考えられているのであるから当然のことである。

5. SVに対する発電所側の対応の変化
2005年で途絶えた無償・有償援助以降も 継続された SV派遣であるが この2年くらいで
発電所側の対応は大きく変わった。まず、 SV用の事務所は 移動させられ 暖房のない床面積が従来の半分の部屋に変わった。(暖房がなくとも暖房用配管からの余熱である程度暖かい)
従来傍聴が許可されていた 社内幹部による会議への出席が拒否されるようになった。そのため
SVには社内の事業動向は ほとんど伝わらなくなった。発電所では SV用に 事務所の提供の他 無償・有償援助時代の名残で 通訳2名と送迎用車と運転手を提供しているが その発電所による SVに対する無償サービスについて苦情を言われることが多くなった。現在技術交流の盛んなドイツやチェコからの技術者に対しては そのような無償サービスの提供を行っていないのに 頼んで来てもらっているのではなく「来たくて来ている」( つまり要請は SVが自分で次のSVの要請を書くので発電所から見ると そう見える) 日本人に対してのみ そのような無償サービスを続けることの理由が付かなくなってきているのである。SVの所属部署は従来の お客さん扱いの総務部より 鬼と呼ばれ社内で恐れられている部長の管理する調査開発部に変わった。SVの社内での行動がモンゴル社会の倫理規律上問題視されることが多くなった。具体的には 若い女性に媚びる傾向のある日本の高齢者社会から やってきた SVにとって 妙齢の女性通訳2名は大変魅力的に見えるようだ。そして取り立てて仕事の無い通訳は暇だから SVの部屋は 他の部署の女性達が暇つぶしに おしゃべりしにくる場ともなっている。それで SV事務所からは 一日中 SVと女性達の嬌声や談笑の声が通路に漏れ聞こえ しばしば 他の部署より 「うるさい」との注意を受ける。この発電所では 男と女の談笑の大声が鳴り響く事務所は
他にない。また、昼食の休憩は 11時より13時まで 2時間とっているが( 他の社員はこの間1時間であるが SVは通しで 2時間休む ) 食堂では 幹部用特別室を利用しているが そこには
社内で美人の誉れ高い既婚女性による給仕サービスを受ける。その女性給仕に対して「今日もきれいだ」 とか「あなたを本当に好きだ」とか 「キスしてほしい」とか言って ひやかす SVがいて 他の社員の顰蹙を買っている。モンゴル人社会は男女関係においては厳しい倫理があって 既婚女性に 性的ニュアンスのある言動をとることはご法度なのである。特に 1990年代の貧しかった頃のモンゴルでは金で女性を買う韓国人が多く 韓国からの売春ツアーも盛んであった。社内で女性と戯れたがる SV は当時の 韓国人と同じように モンゴル人には映る。特に3年前 既婚の女性通訳と内密の関係になった SV が その夫に 殺害される事件があり SVの
非道徳的行動は つとに有名なことであるので なおさら慎重な行動が求められているのである。
さらに 日本人 SV には 送迎用の専用車と運転手がつき 他の幹部は 8時からミーティングを
しているが SV は 通訳と共に 9時頃出勤し 他の従業員は 17:30 までの勤務であるが SVは
16:30 に 通訳と共に 運転手付専用車で悠然と帰宅する。そのとき 本社ビル正面玄関前に専用車を横付け 女性通訳 2名と 車に乗り込む SV を見て 「 日本人 SV は こんな早くに 女性同伴で どこへ行くのだろうか 」と訝しがる モンゴル人従業員が多い。

6. モンゴル事務所のすべきこと
今後鉱山ビジネス、原子力、風力、新設石炭火力発電所、地下鉄、空港、鉄道などの都市インフラ工事などの案件の豊富なモンゴルにおいて日本および日本人に対するマイナスの評価となっている 第4火力 SVであるが そのSVに対する 事務所提供( この場合の事務所とは本社ビル内の部屋のことである。本社ビルは狭隘で部屋が不足している。別棟の建物には「Japan project 」という部屋があるので そこへ移ることを度かさね要請されているが無視している )
2名の通訳提供 ( 他の SV派遣事業場にSV専属の通訳はいない。社員の多くは英語を解するので英語による意思疎通も可能である。真に通訳の必要な場合はモンゴル事務所が別途自前で通訳を手配すればよい ) 送迎用専用車提供 ( ここでは 社長ですら 自分で自分の車を運転して通勤している。技術交流の盛んなドイツやチェコからの多くの技術者は自力通勤している。
SV は発電所の通勤用バスで通勤も出来るし 通勤に便利なアパートへ引っ越してもよい。また
必要なら モンゴル事務所が通勤手段を手配すればよい ) これら 3つの発電所による経費負担を伴う サービス提供は かねて 発電所側から再三苦情が寄せられていた件でもあり 一旦は
日本側からそれらのサービス提供を受けることを辞退してみてはどうだろうか。さらに 既にSVは 美人給仕目当てで幹部用特別室で昼食をとることが知れ渡っているので幹部用特別室の利用は自粛し 一般従業員用食堂を利用させよう。中国人、ドイツ人、チェコ人技術者達も幹部用特別室を当然の権利の如く利用する人など誰もいない。SVの派遣が 今では 過去の援助の見返りサービスの強要の如く見做されているのであるから モンゴル事務所は いつまでも漫然と既得権の行使として それら 発電所からのSVに対する 無償サービスを享受するのではなく 発電所側の事情の変化( かつての日本援助時代から 今では自前で設備を買うか ドイツ、チェコとの交流が中心となっている ) に適切に対応するほうが賢明であり 他のモンゴル国内の鉱山ビジネスやインフラ整備事業に対する悪影響をさけるためにも必要なことである。

以 上

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