電話が鳴った。ディスプレイには見知らぬ電話番号。
「○○社の△△です。先日お話しました広告の版下が
できましたので、FAX送ります」との電話。
「はぁ?」
「●●新聞の3月5日号の企画で、縦3cm×横10cmの枠です」
「それって、いつ申し込んだんですか?」
「2月の上旬です」
「申し込んだ覚えがないんですけど・・・」
「もう、枠がとってあります。3月5日で日にちが迫っているんで、
とりあえず、FAX送ります。これで良いか見てください」
「それって いくらですか?」
「2万5千円です」
(そういえば、そんな電話受けたかな?と記憶に自信がなくなる。
でも了承した覚えがない。事前に契約申し込みなりサンプル紙を
送ってくるべきだが、それも来ていない。
「いいです」という断り文句を「いいです」は了承したことに
なるという、例の強引商法にひっかかったか。2万5千円なら、
今日のギャラで払えぬことはない」と弱気の私。
「とりあえず、FAX送ってください」と FAX番号を教えてしまった。
隣で聞いていたマネージャー鈴花のおっかない顔。
「何?、私に相談せず、勝手に申し込んだの?2万5千円は
払えませんから」と厳しい。
冷静になって考えてみると、○○社?も、●●新聞も聞いたことがない。
考えられるのは、2月29日に毎日新聞に広告を載せたので、
その電話番号を見て、かけてきたのではないか。
鈴花は「これって、振り込め詐欺よ」と するどい。
すぐ、鈴花が 折り返し電話をかけた。先ほどの人が出たので、
社員も多くない会社だ。
「先ほどの話し、いつ電話いただいたのですか?」
「2月の上旬です」
「はっきり日にちを教えてください。着信履歴を調べますので」
「ちょっと、今はわからない」
「一路が 了承したのですか?」
「いえ、その時は『お忙しい』とのことでしたので、『また後で』ということでした」
「では、申し込んでいないんですね」
「はい、それで FAXを送らせていただいて、了解いただこうかと・・・・・」
「キャンセルできるんですか?」
「はい、かまいません」
「じゃ、結構です」
「わかりました」で、先方はガチャンと電話を切った。
ふぅー危なかった。2月29日に広告を出したことで、
「広告の依頼」がもう5件もきた。その新たな手か。
「どうも最近モノ忘れがひどい」なんてボケてる場合じゃない。
しっかりせんと。