ケイの読書日記

個人が書く書評

村上春樹「遠い太鼓」

2006-07-09 17:16:38 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 遠い太鼓に誘われて
 私は長い旅に出た
 古い外套に身を包み
 すべてを後に残して    (トルコの古い唄)


 1986年秋から3年間、村上春樹は日本を離れヨーロッパ各地を旅していた。その時綴った旅行スケッチ(もちろん文章の)

 もともと売れている作家だったが、長い間日本を離れるので、行く前には経済的な不安もあったようだが、ヨーロッパ滞在中に書いた「ノルウェイの森」が爆発的に売れ、帰国したときは大ベストセラー作家になっていて、本人もすごく驚いたらしい。


 「遠い太鼓」は旅行記というほどのものではなくて旅に関する雑文。

 「ローマは泥棒がすごく多い」「ギリシャの島々にすんでいる猫は島ごとにキャラクターが違う」「シーズンオフの観光地のもの哀しさ」「ロンドンではアメリカ英語が通じず本当に困った」「ヘルシンキは人々も親切で清潔な町だが食事がまずく寒いので住みたくない」「イタリアの郵便事情は最悪」などなど、ヨーロッパに行ったことのない私にはすごく楽しく読めた。


 また、春樹先生の所は夫婦仲が良くてうらやましい。村上春樹だったら女の子が群がって来そうだが、奥さんに「カミュの異邦人が原書で読めるのに、なぜフランス語で道が訊けないのよ!」と怒られても、じっと我慢の春樹先生に拍手!!
コメント
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