ケイの読書日記

個人が書く書評

角田光代「人生ベストテン」

2009-06-18 11:01:54 | 角田光代
 私の中の『角田光代ブーム』が終わらない。ついつい読んでしまう。

 中短篇6作品が収められている。みな良いが、その中で表題作の「人生ベストテン」が一番印象に残った。

 もうすぐ40歳という仕事熱心な独身女性が主人公。同窓会の幹事に初恋の人の名前を見つけ、気合を入れて(服も靴もかばんもみな新調)出かけるが…そこからが、よくある不倫ものにならないのが角田光代らしい。

 私が興味を持ったのはそんなストーリーではなく、彼女のちょっとした習慣。彼女は寝付けない夜はベッドの中で薄い水割りを飲みながら、自分の人生のイベントベストテンを考えるのだ。
 この場合、ベストだけでなくワーストも入っているから、自分史の重大事件10という事だろう。
 彼女のそれらは、すべて18歳までに集約されているのだ。という事は残りの22年は何やってた?

 主人公本人は「まったく驚きを通り越して恐怖すら感じてしまう」と言っているが、そんなもんだろうか?
 現在の彼女の職場は大変居心地がよく、仲の良い同僚4人とランチやアフターファイブに食べ歩き、女子高生のノリなのだ。

 私も彼女にならって自分の中の人生ベストテンを考えてみる。でも…これからも生きるつもりなので、なかなか真剣にならない。しかし第1位は今後も不動だと思う。えっ?何かって?それは『出産』です。
コメント
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