ケイの読書日記

個人が書く書評

泡坂妻夫「亜愛一郎の逃亡」

2011-04-13 14:36:12 | Weblog
 全部で8話収められていて、うーん「球形の楽園」が一番よかったかな。
 完璧な密室状態の丸いカプセルの中で、前頭部に打撲傷、背中に突き傷を負った男の死体が発見され…という密室モノ。

 他は、見掛け倒しの二枚目名探偵・亜愛一郎最後の事件簿という事で、愛一郎の行く先々に必ず現われる「三角形の顔をした小柄な洋装の老婦人」の正体がついに明かされる。ついでに愛一郎の素性も。

 あのバァさん、最後には黒い毛皮のコートを着て、真っ赤なスポーツカーに乗り、ブルドックのタケル君を従えて、華々しく登場するのだ!!
 実はあのバァさんは、亜愛一郎の…。2人の関係が知りたかったら、ぜひ読んでね。

 特に最後の「亜愛一郎の逃亡」は、遊び心にあふれていて回文が満載。
 主人公が亜だから、回文が作りやすいんだろう。それでも作者は苦労したと思うよ。

 「歩いている亜」「歩き飽きる亜」「歩いて寝ている亜」「歩いて舌を出している亜」
 「歩いてじたばたしている亜」「ある結末につまづける亜」
 ね、すごいでしょう?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする