ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「名探偵の掟」

2011-08-09 10:19:34 | Weblog
 天下一大五郎という、ふざけた名前の名探偵が、密室・時刻表トリック・バラバラ死体・童謡見立て殺人・フーダニット・ハウダニット…といった本格推理の12のトリックをサクサク解いていく。

 それだけではなく、本格推理の様々なお約束に対して「内心うんざり」「別にやりたいわけじゃないですよ」「で、それがどうしたんですか?」「ご都合主義なんて、トリック小説にはつきものでしょう」などという禁句を言ったり言われたりして、笑いのめしている。

 ちょっと毛色の変わった本格推理小説なので、最初のうちは喜んでクスクス笑っていたが、そのうち段々腹が立ってきた。

 そりゃ、本格推理小説っていうのは、現実的に考えれば、ずいぶんおかしなものだ。
 トリックを使おうと、いっぱいお金をかけて屋敷を改装する余裕があるなら、殺し屋をやとえ、とか、アリバイなんか工夫して作るから、ばれた時言い逃れできなくなる、証拠が無ければ逮捕できないんだから、アリバイを作るのはおかしい、とか…。
 私も、そう思うよ。

 でも、本格推理小説ってのは、一種の様式美なんだと思う。
 一風変わった名探偵がいて、ぼーっとしたワトソン役がいて、ボンクラな警察がいて、どう考えても不可能な犯罪が起こり、怪しげな容疑者が3~5人ほど。
 捜査は行き詰るが、ワトソン役の何気ない一言が名探偵にひらめきを与え、事件は解決へ向かう。
 名探偵は、関係者を一堂に集め、謎解きし、最も怪しくない人物が真犯人として捕まる、あるいは真犯人は自殺する。

 それが読みたくて、私は本格推理小説を手にするのだから、ワンパターンとか、よく飽きないね、とか言われたくないです。
コメント
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