いやー、皆さん、申し訳ない。おとといまで、仕事がすごく忙しく、顔を洗う暇もないくらいだったのだ。昨日あたりから、だいぶ落ち着いてきた。という事で、読書も、あまりはかどってないけど、7日間も間隔があいてしまったので、読んだ所までの感想を書きます。
牛首島のダイダロス館に集まった男女10人。到着日のディナーの後、客の1人が墜落死する。酔っていたので、事故死とも考えられるが、他殺かもしれないと、他の客たちが不安にかられている最中、館の使用人がいなくなる。
そして、何者かがクルーザーで、島を脱出しようとするが、嵐で大荒れの海で、クルーザーが大破し、客たちは孤島に閉じ込められる。
典型的なクローズド・サークルの中で、第2、第3、第4の殺人が、たてつづけに起こり…
タイトルになっている『オイディプス症候群』という病気は、エイズがモデルになってるんだ。どうしてギリシャ悲劇の主人公の名前が付いているのかといえば…笠井潔が、ギリシャ文化のうんちくを語りたいので、強引に名づけた…という事だろう。
しかし、自分たちの中に殺人犯がいるというのに、こんなに長々と登場人物たちが、ギリシャ悲劇や神話やホメロスやオディッセイアや社会主義や弁証法的権力などを語り合うというのは、不思議です。
それに、この招待客たちは、実に人権を尊重して紳士的な人たちなんだ。カケル以外はすべて白人なのだが、こういった惨事の犯人捜しをする時、何の根拠もないのに、異質の人間を(この場合は、東洋人のカケル)犯人にでっち上げることが、よくあると思う。
特にカケルは無表情で、何を考えているか、分からないしね。
だから、いつ攻撃の矛先がカケルに向かうんじゃないかと、ひやひやしながら読んでいるが、そういった心配はないみたい。
筆者の笠井潔は、若い頃2年ほどフランスに留学していたそうだが、人種差別的な不愉快な目にあったことがないんだろうか?