ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「探偵ガリレオ」

2014-03-26 13:26:28 | Weblog
 「聖女の救済」が面白かったので、いまさらながら読んでみました。天才物理学者・湯川シリーズの第1弾。

 当然ながら、内海刑事は登場せず、むさい草薙刑事がワトソン役で、楽しく読めるかなと心配したが、これはこれで面白い。頭が良いが(たぶん法学部)全くの理系オンチの草薙なので、読者にとって親しみが持てる。
 最初に草薙が湯川の研究室を訪ねる場面は、ワトソンがホームズを病院に訪ねる場面(「緋色の研究」の最初)を少し思い出して、いなぁと思った。まぁ、草薙は湯川の大学時代の友人だけどね。
 それに、草薙が湯川に「たまには銀座なんかどう」と誘って、湯川が「どうした、臨時ボーナスでも出たのか」とおどける所など、生活基盤がしっかりした34歳の男の余裕が感じられるなぁ。

 そうそう、シリーズ最初では、二人とも34歳という設定なのだ。これは、火村・アリスコンビと同じ。イマドキの名探偵は34歳が一番いい年齢なんだろうか?
 確かに…四捨五入すれば、まだ30歳だしね。


 全部で短編5話。科学を題材にしたメイントリックはそのままだが、人物像、背景、動機などが、TVドラマとは大きく異なるのには驚いた。確かに、この短編を1時間ドラマにしようと思うと、そうとう膨らませなくちゃならないだろう。特に、犯人の人物像を変えている。

 私が読んだのは文春文庫で、解説は佐野史郎が書いている。筆者は、佐野史郎をイメージして、湯川を書いたらしい。そういえば、湯川の容貌を「前髪を眉の少し上で切りそろえた髪型」と記述してあって…うわぁ、佐野史郎のまんまだなぁ。これでは視聴率は取れない。やっぱり、福島・湯川を支持します。
 ただ、佐野は解説で「草薙は誰がいいだろう…と、いろいろ想像がふくらんでくる」と書いているので、自分でやるつもりだったんだろう。Too Bad!
 でも、佐野史郎の湯川も見てみたいね。
コメント (2)
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