ケイの読書日記

個人が書く書評

益田ミリ 「どうしても嫌いな人」

2015-12-12 10:38:19 | Weblog
 ベストセラーマンガ『すーちゃん』シリーズ第4弾。 これ、柴咲コウ主演で映画化もされている。人気あるんだ。私は、第1作と第2作を読んではいたが、30代独身女性の生態がよく描かれていて面白いなぁと思いつつ、ブログにはUPしていない。
 でも、この第4作は、ぜひとも紹介しなくては、と強く思います。



 すーちゃんは、チェーン店のカフェで店長として働いている。正社員・年収320万円。趣味が料理なので、仕事は気に入っている。一番大変なのは、アルバイトの女の子たちを動かすこと。進んでテキパキやってくれる子もいるけど、そういう子ばかりじゃない。褒めること、叱ることにすごく神経を使う。
 そんななか、新卒正社員で、A子さんが配属されてきた。社長の姪らしく、なかなか強気。「おじさんに頼んで…」「おじさんに言えば…」を連発するので、最初はバイトの子たちから煙たがられていた。
 でも、A子さんは、なにせ年が近いので、一緒にカラオケに行ったり食事に行ったりして、バイトさんたちを自分の味方にする事に成功。
 店長であるすーちゃんに連絡せずに、勝手に勤務シフトを決めたり、自分の気に入った子を正社員にしようとする。

 A子さんは、なんといっても社長の姪なので、我慢してきたすーちゃんだが、転勤願を却下され、このまま勤めていたら精神的におかしくなってしまうと、店を辞めることを決意。あらゆる嘘をついて有休を消化しつつ、いくつかの会社の面接を受けに行き、新しい仕事を決めた。

 人によっては「社会人としてどうなの?」とか「どこの職場にもムカつく人っているよ」と正論をおっしゃるでしょうが…私は、すーちゃんのとった行動は正しいと思う。
 鬱病になりそうなほどガマンして、この先、良いことあるだろうか?
 A子さんが社長の姪である事実は変わらないし、マトモな人だったら、他の店で修業してから、おじさんのカフェチェーンで働くよ。最初から縁故採用なんて、どんだけ甘えた人間なんだ!!!
 いきなり店長であるすーちゃんが辞めたら、そりゃ店は困るだろうが、そこはチェーン店。他から引っ張ってくればいいし、本部もある。株式会社だよ。個人の店じゃないんだから。

 すーちゃんが最後に言う。「立つ鳥、跡を濁さずって言うけど、あたしゃ鳥じゃないし」  アハハ、思わず笑ってしまいました。そうだよ、私たち、鳥じゃない。だから、跡がクシャクシャになっても、逃げていいんだ。そんな、有終の美なんか、飾れないよ。
コメント
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