ケイの読書日記

個人が書く書評

東川篤哉 「私の嫌いな探偵」

2015-12-17 13:15:58 | Weblog
 東川篤哉は、毒舌探偵が主人公の『謎解きはディナーの後で』シリーズが有名だけど、この烏賊川市シリーズも、結構人気あるみたい。私は初めて読みます。
 烏賊川市(いかがわし)って変わった名前の市町村だなと思っていたが、これって、いかがわしいの言葉遊びなんだ。なるほど! この本は、シリーズ第6弾に当たるためか、ちょっとパワー不足。初期の作品だったら、もっと面白いかも。

 それでも、本格推理とお笑いを、うまく組み合わせようと努力している姿勢には敬意を表したい。
 しかし…そのお笑いの部分が、吉本新喜劇っぽくって、私にはあまり笑えない。もちろん、こういったベタな笑いが大好きっていう人も多いから、人気があるんだろうね。
 それに、登場人物の魅力が不足していると、感じられる。
 鵜飼杜夫探偵事務所の所長・鵜飼と、その弟子の戸村流平。そして探偵事務所が入っているビルのオーナー、うら若き乙女・二宮朱美。この3人の元に、いろんな依頼が舞い込んだり、彼らが事件に首を突っ込んだりして、話が展開していくのだが、どうもパッとしない。
 なぜだろう? この3人、まったくミステリアスな部分が無いんだよね。そそられるものがない。

 本格推理のトリックの方は、さすが東川篤哉。しっかりしています。
 「死に至る全力疾走の謎」「204号室は燃えているか?」などは、タネあかしをすれば、こっけいなトリックだが、可能性がないわけではない。

 「探偵が撮ってしまった画」は、教科書のような雪密室。「死者はため息を漏らさない」は、死因よりも、死者の口から吐き出された、黄色っぽい怪しげな煙のように宙を漂う物体の正体が謎のメイン。「烏賊神家の一族の殺人」は、ちょっと落ちる(失礼!)

 どうしようかな…。このシリーズ、初期の作品を読んでみようかな。
コメント
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