ケイの読書日記

個人が書く書評

「佐野洋子 追悼総特集 100万回だってよみがえる」 河出書房

2017-03-09 15:00:44 | 佐野洋子
 2010年に佐野洋子が72歳で亡くなった後、出版された追悼集。やっぱり、売れっ子は違うよね。こんな立派なムック本を出してもらえるなんて。
 いろんな人との対談や鼎談、追悼文、単行本未収録エッセイ、短編小説、そして、もちろん佐野洋子の画が、たくさん載っている。それを読んだり見たりして、一番驚いた事!!佐野洋子の2番目のダンナって、谷川俊太郎なんだ!! これには本当に驚いた。といっても彼女が52歳から58歳の間の、短い期間だけど。
 えっ?! みんな知ってた? 知らないの、私だけ?
 イラストレーターの沢野ひとしが、以前、佐野さん宅で窓拭きしていたら(沢野ひとしは、佐野家の掃除係なのだそうだ)谷川俊太郎が入って来て、勝手知ったる台所というカンジで、戸棚からグラスを取り出しビックリした、その後しばらくして「谷川さんと結婚する」と報告を受けた、という追悼エッセイが載っている。


 そして、佐野洋子は『100万回生きたねこ』『おじさんのかさ』がすごく印象に残っているので、絵本作家として有名だけど、それほど絵本を描いている訳ではない。特に、人生後半は、依頼を受けて文章を書くことが多く、小林秀雄賞といった高名な賞を受賞している。
 そうだよね。私も絵本をあまり読まないという事もあるが、エッセイの方が好きだな。本音そのままの、おしゃべりの延長のようなエッセイ。


 谷川俊太郎と広瀬弦の特別対談も、印象的。前述している通り、谷川は2番目のダンナだし、広瀬弦は、最初のダンナとの間の一人息子。(この人も絵描きで、お母さんに性格が似てる)ただ、弦が谷川姓になったことはない。一定の距離を置いている。それが良かったのか、2人は仲良く、佐野洋子の思い出話をしている。
 彼女は一人息子を溺愛していて、息子が思春期に入って手を焼いていた時、友人からも息子本人からも「みっともない母親」と言われたそうだ。
 でも…そういう所に親近感がわく。あの佐野さんでもそうなのか…って。ここらの事情については、あちこちのエッセイに書かれてあるし、『し-ん』という短編小説にも書かれている。

 そうだ。すべての母子が通る道、通らなくてはならないんだ。

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