ケイの読書日記

個人が書く書評

湊かなえ 「ポイズンドーター」

2021-07-09 14:33:59 | 湊かなえ
 「ポイズンドーター」直訳すれば「毒娘」。「毒娘」という言葉が一般的か知らないが「毒親」という言葉に対して生まれた言葉だろう。

 女優の藤吉弓香は、故郷で開催される同窓会の誘いを断った。母親に会いたくないのだ。母親は早くに夫を亡くし、女手一つで娘を育ててきた立派な女性だ。客観的にみれば素晴らしい賢母だが、娘の目からは違って見えた。
 娘を常に自分の支配下に置き、コントロールしようとしてきた。小さな頃は、母親が常に正しく、母親の気に入らない言葉や行動をする自分が悪いと思っていた。でも、中学の頃に、自分の頭痛の原因が心因性のモノ、母親に原因がある頭痛だと気づいてしまったのだ。

 お母さんも、片親だからダメなんだと言われないように、娘をきちんと育てようと一生懸命なんだ。ただ、やっぱりやりすぎだと思う。鞄の中や机の中を探って、何を読んでいるか誰と仲が良いのか探ろうとするのは、嫌がられるだろうね。
 交通事故で亡くなったお父さんは、高校の国語教師だったので、娘にも教員になることを強く望んだ。娘は、本当は小説家になりたいという夢があるのに…。(結果として女優になったけど) 子どもの未来を勝手に決めるなよ。

 同窓会の参加を断った後で「毒親」をテーマにしたトーク番組への出演依頼が届く。さんざん迷ったが、弓香は出演することにした。そして…

 私も母親だから、この弓香のお母さんを「毒親」として切って捨てるのには抵抗がある。頑張って働き、自分の事は後回しにして娘に仕送りし、東京の女子大に通わせたんだから。
 でも、娘が「毒親」だと思うなら「毒親」なんだろう。私も子どもから「毒親」と思われてるかな? ただ、幸か不幸か、女の子ではなく男の子3人だったから、もう小学校高学年の頃からコントロールできなかったよ。

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