ケイの読書日記

個人が書く書評

貴志祐介「狐火の家」

2013-05-16 10:33:15 | Weblog
 防犯コンサルタント探偵・榎本シリーズ第2弾!  第1弾「硝子のハンマー」第3弾「鍵のかかった部屋」に劣らず、秀作揃い。

 よく、ディクスン・カーを密室物の大家という扱いをするけど、貴志祐介の密室トリックの方が、よっぽど実現性があると思うなぁ。ちょっとほめ過ぎ?


 表題作の「狐火の家」、すごくいい出来だと思う。密室にしたくなかった。犯人は窓から出て行ったと思わせたかったが、家の周りが雨のためぬかるんでいたので、密室状態になってしまったのだ。
 いったい犯人は、どこから出て行った?

 第2話の「黒い牙」もトリックが面白いだけでなく、蜘蛛マニアの依頼人のオタクぶりが笑えます。本当にこんなこと出来るかどうか分からないけど、納得できるトリック。

 第3話「盤端の迷宮」は、推理小説としての面白みはあまり無いが、榎本のキャラを楽しむ事ができる。
 この話の中に、女性の将棋棋士が出てくる。彼女に対して、榎本は煩悶する。

 …昔から、手の届きそうにない女性にほど惹かれるという性癖だけは、どうしようもない。特に、知的で勝気な女性に対しては、つい自分の能力を見せつけたいという虚栄心に駆られてしまうのは、もはや宿痾というべきかもしれない…


 第4話「犬のみぞ知る  Dog knows」は、ふざけ過ぎているという感想もあるが、猛烈に笑えた。この4話は、ファミレスで読んだが、クスクスでは収まらず、笑い声を上げてしまい、隣の席の人に不審な目で見られた。
 奇人変人が集まる劇団で、座長が殺された。最有力容疑者は、飛鳥寺という看板俳優だが、読んでいると、どうも「らーめん、つけめん、僕イケメン」のお笑い芸人を思い出してしまう。古いなぁ、私も。
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