ケイの読書日記

個人が書く書評

江國香織「薔薇の木、枇杷の木、檸檬の木」

2006-01-05 15:54:24 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 うーん、やっぱり江國香織の世界は、私にはまぶしすぎます。

 世の中、デブ、ハゲ、チビ、ドメバイ男、ドメバイ男に殴られる女、ニート、無職etcどっさりいるのに、どうしてこの小説の中には、高学歴,高身長、高収入の細身の男性、上品でキレイ頭がよく、社会的地位のある夫を持つ女性ばかり出てくるんだろう。

 ちなみに、ドメバイ男とは、ドメスティックバイオレンスの略です。


 夫婦で口論した翌日、夫が妻に花を贈る習慣……いったい、どこの惑星の話だろう。

 数多い登場人物の中で印象に残ったのが、カメラマンの土屋保。
 以前、林真理子の小説の中で、「メイクアップアーチストにはゲイが多く、カメラマンには女好きが多い」と書かれてあったが、ホントそのとおり!!
 というか、女の方がほっておかないんだろうね。
 人間性に惹かれる、というよりカメラマンという職業に惹かれるんでしょう。
 こういう男は思いっきり不幸になって欲しいです。


 文句ばかり書いてしまいましたが、すっごくおもしろく、一気に読んでしまいました。次は、江國香織の何を読もうか、考えています。
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酒井順子「その人、独身?」

2006-01-02 16:21:11 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 「負け犬の遠吠え」でも思ったんだけど、この酒井順子さんは、自分では意識していないかもしれないが、すぐれた在野の社会学者だと思う。

 このエッセイ集は、週刊現代2004年1月~2005年4月に連載されたエッセイをまとめたものですが、見事に良家の子女で高学歴、30歳以上、独身、子ナシの女性の生態を書いてあります。

 (人間というものは、誰でもそういう所はありますが)酒井さんという人は、ズーっと自分と同じ階層の人とつきあっていて、男でも女でも、異なった階層の人と接触する機会が、ほとんど無かったんじゃないだろうか?


 考えてみれば、小学校中学校から、公立ではなく有名大学付属の私立へ通い、そのまま高校大学と進み、花形職業の広告代理店勤務、3年勤めた後、独立してエッセイストとなるなら、自分と違った生活環境の人(例えば、地方出身者、公立の小中学校出身者)と親しくなる機会はあまりないでしょう。

 
 酒井さんは本当に従順。そういった見えない階層のバリヤから、飛び出してみよう、打ち壊そうとか思うことはないんだろうか。
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