ケイの読書日記

個人が書く書評

泡坂妻夫「亜愛一郎の転倒」

2011-04-03 21:51:16 | Weblog
 こういったミステリ短篇集は、第一集より第二集のほうが落ちるものだが、これは前の作品集『亜愛一郎の狼狽』より出来が良い位で、とても面白かった。

 全部で8作品あるが、中でも『意外な遺骸』『三郎町路上』がよかったかな。
 特に『意外な遺骸』はタイトルが回文になっている事からもわかるように、作品中のあちこちに回文がちりばめられていて、読んでいて楽しい。

 本当に意外な展開で、遺骸が茹でられている。ボイルド・遺骸。WHY?
 今まで読んだミステリの中で、遺体をわざわざ茹でるって話はあったかな?とにかくその理由が分かれば、犯人にたどり着く。


 そうそう、前作品集でも登場した異色のキャラクター「三角形の顔をした洋装の老婦人』が、ここでも全作品に登場。
 『亜愛一郎の狼狽』では、「枯れ木も山のにぎわい」(失礼!!)的な扱いで、せりふはまったくなく風景のようだった。
 しかし、この『亜愛一郎の転倒』ではしゃべるのである。それも強い口調でまくし立てて!! 驚いたなぁ。
 家族構成まで分かってしまった。未亡人ではなく、元気な旦那さんがいるようだ。子供や孫の話は全く出てこないので、別居しているか、いないのであろう。

 次の話を読み始めるたび、あの三角形の顔をした洋装の老婦人は、どこにどういうカラミで登場するんだろうと、待ちどうしくもある。
コメント (2)
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