心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

足るるを知る?

2020年05月14日 | 御挨拶

2007年のドイツで、亡き妻が生前に好んで購入していた宝くじを

亡き妻を偲んで習慣的に購入した男性が3億円に当選しました。

しかし、その男性は既に妻がいないので使い道がないと言って、

当選金の受け取りの権利を放棄したのだそうです。

 

何も当選金の受け取りを放棄せずとも

自分や自分の子供達のもしも何かあった時のために

銀行の口座にプールしておくとか、

社会貢献に役立てることも出来るとは思うのですが、

その男性の選択は当選の権利を放棄。

 

男性は宝くじに当選した時のことは、

全く考えもしていなかったんでしょうね。

宝くじを購入することで亡き妻の一部に

触れることが出来ていたのではないかと思うのです。

 

当たるはずが無かった宝くじに当選したことで

当選の権利を放棄する自分を知ったことで

男性は、これ以後の宝くじを購入はどうするのでしょうか。

 

亡き妻に代わり自分が当選を射止めたので購入を止めるのか、

亡き妻を少しでも近くに感じるために

当選しても権利を放棄する宝くじを購入し続けるのか、

男性にとっては宝くじに当選しなかった方が良かったのかも知れません。

 

素晴らしい出会いをし素晴らしい結びつきとなり、

素晴らしい時を持てたとしても、必ずや終わる時がやって来ます。

 

その関係が素晴らしければ素晴らしい分だけ

別れの時には大きな悲しみと寂しさ等、

色々な感情と向き合うことになります。

 

人が嫌いなわけではなく、人が怖いわけでもなく、

むしろ好きなのに未来に体験する辛さや悲しみを避けようとして

誰ともあまり親しくならないようにと距離を取る人がいます。

 

幼い頃に大好きな親との別れを経験したのかも知れませんし、

あるいは大好きな友人との別れを経験したのかも知れません。

そして、あんな悲しい想いをしたくないという気持ちが

幼い頃の無意識に刻み込まれて孤独の代償と引き換えに

悲しみや辛さから自分の心を遠ざけることに成功します。

 

それも個人の尊重するべき一つの生き方ではあります。

ではあるのですが、

私達の身体が存在するのは過去でもなく未来でもなく

今にしか存在しません。

 

過去や未来に気持ちを奪われ続けることで

今を体験して今を感じることを疎かにすることは

心の引きこもり状態のようなものかもしれません。

 

どんな名作映画を見ても、どんな名曲を聞いていても

心がそこに無ければ感動することはありませんし、

どんなに美味しい料理を食べていたとしても

美味しさは半減してしまいます。

 

過去を時折除くのは、

今をより素晴らしい瞬間にするためであり、

未来をちょこっと覗くのは、

やりがいや期待と共に今を過ごすためです。

 

過去や未来に心を奪われたままでいることは

仮想現実に生きているようなものです。

 

心の壁が自分の心を護る防壁ではなく

自分を閉じ込める鉄格子にしてはなりません。

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


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