心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

本当に経験しているもの

2013年11月14日 | 心理カウンセリング




私達は、自分が本当に経験しているものと

経験していると思っていることがあります。



ある男性は、

幼い頃より、家の中では両親、学校では同級生達から

認められず、求められない体験を数多くしてきました。



家の中や小学校で、

からかわれないだろうか、馬鹿にされないだろうか、

怒鳴られないかと不安と孤独感の中で過ごしていきました。



そんな精神状態では、学校でも家でも

勉強に気持ちを集中させることは

簡単ではありません。

ゆえに成績も奮いません。

せめて、スポーツに力を発揮することが出来ていれば

また違っていたのかもしれませんが、

運動音痴とまでいかないまでもごく普通のレベルです。



高校となって、

新しい仲間の中で学校生活を送ることになり、

からかったり、馬鹿にしたりするような

同級生もいなくなり、

そして、

あからさまに拒否されるようなことも

なくなりました。



しかし、同級生達の輪の中にいたとしても

高校でも同じ事が起きるのではないかと

同級生に対しての疑いや恐れが消えることはなく

気持ちが安らぐことはありません。



そのような精神状態が続くのは、

あまりにも辛く耐えがたいので

なんとかしなければと思うようになります。



そして、

誰一人として自分を馬鹿にする気が起きないような

強い男になること、恐い男になること

強い男になれなくても、せめて強い男として振る舞えば

それを防ぐことが出来るはずだと考え、

その考えを強く信じ込みました。



そう考えても実行することは簡単ではありませんが、

切羽詰まっていたことが

それを実行に移す原動力となったようです。



そして、「からかわれる。」「馬鹿にされる。」

心のセンサーが目一杯高められます。



それによって周りの人の親しみを込めた軽口にも

強い怒りによって反応するようになります。

自分の間違いを指摘されたり、

自分への反対意見にも

強い怒りによって反応するようになります。



すると、からかわれることや馬鹿にされることは

なくなりましたが、

話をしようとする人はいなくなり、

敵視する人や毛嫌いする人が増え、

中学までと同じように

孤独感や悲しみ苦しみを味わうことになります。



孤独感や悲しみ苦しみを感じているのは

自分の弱い気持ちであり、弱い自分です。

強い自分、恐い自分になることが

自分を救済する唯一の方法だと信じ込んでいるので

絶望に繋がるような弱い気持ちを認めることが出来ません。



よって、自分を救済する強い自分、恐い自分を維持しながら

周りの人達に自分に対して好意を持つこと期待したり、

要求を突き付けます。



しかし、そのままでは、

その人が気分良くいられるためには

周りの人達は、気分を害しないような言葉を慎重に選び、

疑いを抱かれるような態度を慎まなくてはなりません。



そして、その人の間違いまでも肯定し、

絶対服従のような関係になることが必要になります。

当然、誰もそんな疲れる人との関係を

好き好んで選ぶはずがありません。



そして、

何故、自分は人と上手くやれないのか、

こんな酷く悲しいめにあうのかの答えとして導き出したのが


「周りの人が酷い奴らだからだ。」

「周りは血も涙も無い奴らだらけだ。」

「俺を大切に扱う奴は誰一人としていない。」

「周りは自分の敵だらけだ。」です。



そして、

それまでよりも周りに人達を敵視するようになります。

それまでよりも周りの人達への疑いを強めます。

心のセンサーレベルは、ますます高まります。

身構え、攻撃が激しさを増して

周りに敵を増やし、自分を毛嫌いする人を増やします。



そのような心の構えが、社会人になっても続きます。

さすがに社会人となると、

直ぐに怒りを爆発させることはなくなりましたが

どの会社でも我慢を重ね、それが限界にくると

怒りを爆発させ、

その度に退職するを繰り返してきました。



その人が本当に経験していることは、

人から馬鹿にされたり、拒否されたり、

受け入れてもらえない事への不安や恐怖です。



経験していると思っていることは、

「周りの人に敵視されている。」

「周りは敵だらけだ。」

「周りの人は、自分を良く思っていない。」

「誰もが自分を攻撃するはずだ。」


これらは自分が信じたものによって創り出したものです。



そして、その信じて自分が創りだしたものによって

自分の気持ちや態度を選択して

自分が創り出したものを現実のものとしていきます。



現実のものとなった、

周りの人との敵対関係や関係性の断絶は、

その人が実際に経験しているものです。



このような悪循環から脱するためには、

まずは、強い男であること、恐い男であることの鎧を

脱ぎ捨てることを求めはしませんが、

ひとまず脱いで横に置いてもらう必要があります。



それは、本人にとって簡単な事ではありません。

直ぐにやろうとすると

大きな精神的負担となるはずです。



しかし、必要な時間をかけて、

そのための取り組みを粘り強くすることで

負担は軽減していきます。



心理療法の仕事を選択した人達は、

その時間をかけることの本人の決意に応えるだけの

その準備は出来ています。



催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。