日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

日本のアートは、田舎から?

2006-09-18 21:58:58 | ライフスタイル
久しぶりに、美術を学ぶ若い知人にあった。
どうやら先月から今月10日過ぎまで、新潟県妻有という地域で行われていた「越後妻有トリエンナーレ」のボランティア「こへび隊」に参加していたようだ。

「トリエンナーレ」という言葉に引っかかって、現在発売のVOGUE NIPPONのアート頁を見直してみた。
ちょうど、掲載されていた美術祭がこの「越後妻有トリエンナーレ」の記事だったのだ。
他にも、アーティスト・奈良美智さんが青森の弘前・吉井酒造煉瓦倉庫でやっている美術展・AtoZの記事が掲載されている。
題して「ヒーリングアートの旅」。
確かに、「越後妻有トリエンナーレ」も奈良美智さんの「AtoZ」も、東京などの大都市での開催ではない。
むしろ、妻有や弘前といったところなければ開催できない「アート空間」なのだ。

「こへび隊」として参加していた友人から話を聞いてみると、欧州から参加しているアーティースト達からは「ベネチア・ビエンナーレよりも面白い!また参加したい」と、高い評価を受けているようだ。
それだけではなく、開催期間中にはフランス大使館関係者も観に来ていた、という。
日本では殆ど話題になっていないのに、フランスのほうが興味があるということなのか?

日本でのアート等の情報発信は、東京偏重のような気がする。
でも、東京発信の新しいアートというのは欧米の美術館から借り出した、有名な美術作品を中心とした内容のものが殆どなのではないだろうか?
3年程前、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションで話題になったアーティスト・村上隆が最初に注目を浴びたのは、ニューヨークだった。
そうやって考えてみると、東京という最先端の情報発信地は、アートという分野に限っていれば、とても保守的なのかもしれない。
そして、欧州のアーティスト達は、日本の田舎に注目しているようだ。
日本の田舎=アバンギャルドなアート発信地・・・そうやって考えると、どこか愉快な気がする。




フェアートレードと経済的支援

2006-09-18 08:30:18 | アラカルト
一昨日のエントリ「高校生達のフェアートレード」に、くぼたさんが「ホワイトバンド」の生産地が中国だけではなく、アジア各国であることやビル・ゲイツが全資産を寄付してもあっという間になくなってしまうなどの指摘がありました。
次原さんというのは、元日本代表・ナカタ所属のマネジメント会社(最近では、水泳の北島康介選手などが所属)の社長さんで、「ホワイトバンド」の日本での仕掛け人のことですし、好き嫌いの話は個人的なことですからコメントは差し控えたいと思います。

まず「フェアートレード」の考えを理解しているのか?ということ。
私が初めて「フェアートレード」という言葉をしったのは、15年以上前。
「ザ・ボディーショップ」 に置いてあった「木の棒(マッサージ棒)」でした。
原産国などはすっかり忘れたが、商品についてあったタグに「公正な取引」=フェアートレードがあり、興味を持った。
と言っても、「そういう考えがあるんだ・・・」程度だったのだが。

フェアートレードと間違えやすいのが、途上国などへに「生産地移転」がある。
確かに「生産地を移転」させることで、移転先の国の雇用は増え、安定するのだがあくまでもその国の産業として国が発展するというよりも、下請け企業を途上国に作っているだけの話だとも考えれるのではないだろうか?
「ホワイトバンド」の生産を中国から他のアジアの国へ一部移転させたといっても、その国の産業として他の国と対等に公正な取引が出来るようになったわけではないはずだ。
ある意味、途上国に生産拠点を移すのは人件費などの軽減なども考えられるし、「ホワイトバンド」に限っては、そのようなことはない!と考えられないのだ。

フェアートレードの基本は、途上国の伝統的な工芸品などを、日本や欧米での市場価格を考えた価格設定をすることで、途上国の生産者(多くの場合は女性)が経済的に自立できるようなシステムを、作り上げることを目的としている。
その考えは、コーヒーなどの農作物にまで広がりはじめている。
農作物の場合、欧米企業のプランテーションではなく、農園経営そのものを地元の人たちに任せることで、経済的自立を促すことを目的としている。
「ホワイトバンド」は、途上国の下請け化を促しただけなのではないだろうか?
もちろん、使い途についての明快な回答がされていないことも、疑念を生んでいるように思うのだ。

そして「ビル・ゲイツの全資産を提供しても・・・」ということについても、「経済的支援」は「経済的自立」のための最初のステップだと考えるべきなのではないだろうか?
食糧支援はもちろん、インフラ整備のための支援なども最終的には「経済的自立」によって、貧困国とか途上国と呼ばれている国々の人たちが自国を作っている為のはずである。
むしろ今問題とされているのは、「支援馴れ」による「自立の遅れ」という指摘もある。
たとえ、ビル・ゲイツが全財産を貧困国や途上国に提供しても、ビル・ゲイツがその国を作るわけではない。
貧困国から脱却し、彼らにあった生活スタイルを尊重し、日本や欧米の価値観を押し付けない「手助け」の一つとして「フェアートレード」があると考える。

「ブーム」というのは、「一時、話題になり持て囃され、その後忘れ去られていく」現象のこと。
「ブーム」を懸念するのは、本来あるべき姿ではないということなのである。
「フェアートレード」の考えは、地味に静かに長い時間をかけ広がってきているので、「ブーム」で終わることはないと考えている。