日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

お取り寄せと御用達-ブランド構築-

2008-10-03 20:52:20 | ビジネス
先日エントリをした「積極的に動き出だす下請け企業」の中で、「私御用達」という言葉を使った。
この「私御用達」というのは、表現を変え最近ブームになっているモノのひとつでもある。
それが「お取り寄せ」や「おもたせ」だ。

書店などでは、「有名人のお取り寄せ」本が人気を博している。
朝のテレビ番組で「おめざ」として紹介され、すっかりお取り寄せの虜になった方もいらっしゃるのではないだろうか?(本来の「おめざ」とは、小さな子供が起き抜けに食べる小さな飴などのお菓子のことで、番組の「おめざ」とは、意味が違う)
この「お取り寄せ」というのは、見方を変えると「私御用達」というコトにもなるのでは?と、考えている。
同じような商品は、市中にはたくさんある。
その中で、自分のために取り寄せるという行為は、購入者からすると「特別なこと=スペシャリテ」というコトになる。
そこから、購入者にとっては「特別なモノ・コト」が始まり、最終的には「私のこだわり」となっていくのではないだろうか?
少なくとも「有名人のお取り寄せ」本を見ると、「お取り寄せする○○は、私御用達というくらい、お気に入りです」というニュアンスがある。

本来の意味とは違う使い方をされているようだが、最近では手土産」のことを「おもたせ」と呼ぶらしい。
しかし「おもたせ」と「手土産」の間には、言葉の違いだけではなく、そこに込められた意味も大きく違っているようだ。
少なくとも「おもたせ」には、「特別に用意した手土産」というニュアンスを含んでいる。
旅行のお土産などとは、意味が違うのである。
大切な方へ折々のご挨拶に持参する「(私が)あなたのために選んだ、スペシャリテ」という意味に近いようなのだ。
すなわち、「おもたせ」を選ぶ側の「御用達」というコトになる。

興味深いのは「お取り寄せ」も「おもたせ」も、マス的市場では意味が無いということだ。
大量生産・大量消費というモノでは、「お取り寄せ」や「おもたせ」の付加価値がつかない。
なぜならそのモノ自体が、「特別」でなくてはならないからだ。
このような少量生産が得意なのは、大企業ではなく中小零細企業だ。
そして「特別」という付加価値は、企業だけが作っていくのではなく、顧客と一緒になって創っていくというところに、大きな資産価値を生んでいく。
それが「ブランド」だからだ。

「お取り寄せ」や「おもたせ」と言った、「人とは違う特別」を求める今こそ大企業ではない地域の中小零細企業がブランドを構築するチャンスなのかも知れないのだ。





日本の食のちぐはぐさ

2008-10-03 15:01:47 | ライフスタイル
日本の食品自給率の低さは、既にご承知のとおり。
急に上がるはずも無く、これから先本気で農水省が自給率を上げるための方策が取れるのか?に掛かっている。
といっても、コレはあくまでも「カロリーベース」でのコト。
違う見方をすれば、まったく違う数字となって現れる。
そんな指摘を、大西宏さんのブログ「大西宏のマーケティングエッセンス」9月29日のエントリーでされていた。

どちらも大切な事だと思うのだが、一生活者というか家計を預かる立場としては、「食品廃棄量」のほうも気になるのだ。
そんな素朴(?)な疑問をもつのは、私だけではないようで今日の毎日新聞のWEBサイトには、なんかヘン?輸入しながら捨てているたくさんの食べるものという記事が掲載されている。

記事としてはエコロジーという視点だが、個人的には「日本の食のアンバランスさ」という気がしてしまう。
「事故米食用転用事件=汚染米事件」で、驚いたのは「ミニマムアクセス米」の存在だけではなく、国内で余っているはずの米(もち米を含む)を使わず、このようなお米を使って、焼酎やでんぷんなどに加工していたことだ。
もちろん中間業者は大幅な利益確保を狙って、安いミニマムアクセス米を販売していたのだろうが、なんとなく本末転倒という気がするのだ。
何故、国内産古米を安価で売らないのだろうか?
その方がまだ「安心・安全」が、確保されたはずだ。

そして11時頃のコンビニのお弁当売場では、「お弁当の入れ替え」をしている。
もちろん「消費期限」の問題で、古いお弁当を破棄し、新しいお弁当へと入れ替えているのだが、その量の多さに「もったいない・・・」と思ってしまうのだ。
ホテルの宴会場、料理店で破棄されるお料理の量は、私たちが想像するよりも多いだろう。
「もったいない」どころか、「捨てる前に作らない」という考えはないの?と思ってしまう。

そしてこの記事を読んではじめて知ったことは、その様な食品の多くはホームレスなどの人への炊き出しとして使われるようだ。
しかし、本当に必要としているのはホームレスの人達ではなく、高齢者や母子家庭だという。
実際、毎月のように値上げラッシュが続いている現状では、元々の収入が年金のみの高齢者や元々所得が低い母子家庭などは、社会保障費などを支払う事すらままならない。
食費についても切り詰めるだけ切り詰めて・・・という状況なのだと思う。
そんな人達のところへは、廃棄される運命にある食品が回らないのである。

梱包の荷崩れ品を破棄するなんて、もったいない!
スーパーの店頭に並べてしまえば、商品としての価値が無くなるわけではないハズなのだが・・・。
確かに、冷凍食品のパッケージに穴が開いていたり、破れていたなら要注意!だとは思うのだが、荷崩れ程度で返品というのは・・・。
そこにかかるコストは総て、商品価格に跳ね返ってくるし、消費者メリットは殆ど感じられない。

少なくとも、食品を産業廃棄物として処分するのは、エコ以前の問題としてもったいなさ過ぎる。
こんなコトがいつまででも続く社会のほうが、おかしいのではないだろうか?