日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

安全・安心をウリにし始めた、食品CM

2008-10-06 20:40:54 | CMウォッチ
テレビCMが、秋~冬に向かう内容へと変わりつつある。
シチューのCM等も、ルータイプのモノ(=家庭向け)からカップ用インスタント(=オフィスランチや一人向け)が加わったり、鍋の出汁や春雨のような具材など、「お鍋が恋しい」と思わせるようなCMが増えてきた。

お菓子のCM<も、チョコレートなど冬向けの商品が目立つようになった。
その中で、オヤ?と思うCMがあった。
それがクラシエの「甘栗むいちゃいました」だ。
この商品については、改めて紹介する必要は無いだろう。
発売当初、売り切れが続出したほどのヒット商品だからだ。
それまでの甘栗の難点を解消し、手軽に食べれるという理由で、行楽の定番となった商品でもある。
その意味で、行楽シーズンの今テレビCMを頻繁に流すというのは、販促としては正しい。
ただ今年のCMは、昨年までの内容と大きく違う。

「安心・安全」を、全面に打ち出したCMだったからだ。
「甘栗=天津甘栗=中国産」というイメージが、生活者には根付いている。
そのイメージは、間違っていないと思うのだが、昨今の中国産食品の問題で、生活者の中には「大丈夫だろうか?」という気持ちになっているという懸念から、「おいしい」「手軽」ではなく、「安心・安全」を強く打ち出し生活者の購買意欲を高めるという戦略に出たと考えられるのだ。

この傾向は、テレビCMだけではない。
近所の食品スーパーに置いてある牛乳の中には、「愛知県内産牛乳」という名前のモノまで登場していた。
「○○県産」といえば、精肉や鮮魚などに限られていた。
年初めの「中国産ぎょうざ事件」で、大手スーパーの冷凍食品売場のPBには、「○○工場生産、原料野菜××県産」というPOPが今では当たり前になってきた。

気が付けば、食品の多くには「○○産」という表示によって「安心・安全」をウリにしている。
良い・悪いのではない。
今生活者の商品選択に影響を与えているのが、「安心・安全」だということなのだ。
そして、食品のテレビCMは「健康+安心+安全」を訴求していくのでは?と、考えるのである。

ビジネスチャンスを創りだす視点

2008-10-06 13:27:45 | ビジネス
産経新聞のWEBサイトに、とても興味深い記事があった。
女子高生がネイルアートでホタテビジネス 大阪・泉佐野という記事だ。
この女子高校生の個人的プロフィールは別にして、「好きだから、多くの人に楽しんでもらいたい」という、気持ちが産業廃棄物として処理されるはずの「ホタテの貝殻」に、着目したのではないだろうか?

私自身、ネイルアートどころかマニキュアやペディキュアなどを、一切していない。
理由は、食事の支度をする時など気になると言うコトと、マニキュアなどをすると「爪が窒息しそう」な気がするためだ。
爪そのものは、皮膚が変化したモノであっても呼吸をしているわけではないのだが、感覚的には「爪が窒息しそう」なのだ。
もうひとつは、マニキュアをすると「爪が黄色く変色する」というコトもある。
ネイルアートを施すほど、キレイに手入れをしていないということもある。
だが、街中で見る多くの女性は、本当にきれいなネイルアートを施した爪をしている。
若い女性だけではなく、50代60代の女性も本当にきれいな爪をしている。
ただ、マニキュアなどを欠かさない友人に言わせると、「爪が黄色くなるし、脆くなるので、やめられない」という理由もあるらしい。

爪が変色する理由は、マニキュアの溶液だ。
記事中にあるように、人体的害は無いにしても使われている薬剤は、余りよい臭いのするものではない。
そんな問題点を解決したい!という気持ちが、このような商品開発へと結びついたように考えるのだ。
何よりも、開発したご本人がネイルアートが大好きという点が、「何か開発をしなくては!!」という、切羽詰った感覚ではない点が良い。

「開発が目的」ではなく、使う人の気持ちを理解した開発だからこそ、このような商品開発が出来、新しいビジネスチャンスを見つけることが出来たのではないだろうか?
昨今の「知的財産獲得合戦」的な状況では「開発が目的」で、「使う人の気持ち」が置き去りにされているコトが少なからずある。
それはそれで、特許申請ができる開発ができるかも知れないが、それだけではビジネスにはならない開発となってしまう。

「使う人、困っている人の問題解決」という、ある意味当たり前の視点がビジネスチャンスを作るという、一例のような気がする。