日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

2時間17分台

2008-10-28 18:25:55 | スポーツ
今日、マラソンランナー・高橋尚子さんが「現役引退」を発表した。
引退記者会見で印象的だったのは「陸上が好きで、ここまでやってきた」という言葉と「プロとして、走れる気力と体力がもてなくなった」という言葉だった。
そしてテレビニュースで見る限り、終始笑顔で(少し的外れ?な)質問に応える姿も、高橋選手らしく感じた。

高橋選手といえば、シドニーオリンピックのときゴール直後の「とても楽しい42kmでした」という言葉だろう。
それまでの「マラソン=苦行」というイメージから、「マラソン=明るく楽しいジョガー」へと変えた。
その後、日本女性長距離ランナーのイメージは、しなやかで明るいというモノへとなっていった。
もちろん、先駆者的な存在である、有森裕子さんや増田明美さんの存在も大きいと思うのだが、マラソンを身近なスポーツにした功績は大きいように思う。
その影響は、最近女性ランナーの間で一般的になってきた「ランスカ」のようなファッションにも影響があったように思う。
といっても、高橋選手が「ランスカ」を着てトレーニングをしているというのではない。
高橋選手の「楽しむランナー」というスタイルが、「楽しむならオシャレにね」という意識を若い女性ランナーに与え、呼び起こしたという意味である。

それにしても、小出監督のもとを離れ「チームQ」を立ち上げたのは、大きな決断だっただろう。
なぜなら、チームスタッフという従業員を養っていく責任を持つということだからだ。
そして現役を引退するというのも、チームスタッフの今後の責任を考えなくてはならなかったのでは?と、考えるのだ。
引退を決意してから、今日の発表までの2ヶ月というのはそのための準備でもあったのでは?と、考えてしまう。
しかし「チームQ」という組織は、これまで「高橋尚子」という一人のプロトップアスリートを支えてきた実績がある。
それを、市民ランナーに還元するという方法がある。
むしろ、プロトップアスリートを支えた「栄養学」や「健康管理」などは、一般市民にとっても知りたいコトなのではないだろうか?
特に、昨今の「メタボ対策」に追われる企業の健康保険組合などでは、そのようなアドバイスを必要としているように思うのだ。

今日のタイトル「2時間17分台」というのは、ベルリンマラソンで世界新記録を出したとき、高橋選手が「今後の目標タイム」としてあげたモノ(あるスポーツライターの方から伺ったお話です)。
その目標は達成できなかったが、高橋選手が与えたランナーとしての生き方は目標タイム上のモノだったように思う。

お疲れ様でした、高橋選手。