日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

行動経済学というアプローチ

2011-12-04 06:40:17 | ビジネス
時折購入する本の中に「栄養と料理」がある。
現在発売されている号が「半分は防げる!がん予防」という特集だったこともあり、レシピを見ながら、料理をしたりしている。

「がん予防」というテーマとなると、「喫煙・禁煙」が必ず取り上げられる。
その理由は、ご存知の通り「喫煙が、全てのがんに対する高リスク」だからだ。
それだけではなく、いわゆる「副流煙」によってもそのリスクは高まってしまう。
愛煙家の方にとって「そんなことは百も承知!」というコトになるのだと思う。

では、「何故止められないのか?」というコトが、次のテーマとなってくる。
昨年あたりからは「お医者さんと禁煙しよう」と、テレビCMが流れ、ある程度の規模の病院にいくと「禁煙内科始めました」という掲示を見るコトも多い。
それでも禁煙は難しい、というのが現状のような気がしている。
それを「行動経済学」という視点で考えてみる、という記事があり、とても興味深く読んだのだった。

「禁煙」というと、まず真っ先に言われることが「健康面でのリスク」だ。
上述したとおり喫煙によるがんリスクは、今問題になっている放射能によるモノよりもはるかに高い。
喫煙者本人だけではなく、家族への健康リスクも含まれている。
だから「禁煙しましょう」というのが、「お医者さんと禁煙しよう」というアプローチへとつながる。
それとは別に、「社会的マナー」という視点でのアプローチがある。
都市圏に見られる「禁煙エリア設置による、罰金」が、それに当たる。
名古屋であれば、繁華街・栄の路上と名古屋駅周辺の路上が「禁煙エリア」になっており、このエリアでの喫煙は罰金2,000円だ(だったと思う)。

そしてもう一つが「値上げ」という方法だ。
現在の厚労大臣の小宮山さんが、就任直後「タバコは700円くらいに値上げたい」という発言をし、愛煙家の野田総理大臣をはじめ、マスコミを含め相当批判的なコトを言われた。
しかし「禁煙を促す」という意味では、実は「健康リスク」とか「罰金などの懲罰」よりも、はるかに効果が高い、というのがこの記事だ。
特に、効果があるのは喫煙歴が長い「高依存タイプの喫煙者」。
というのも「高依存タイプの喫煙者」は、「家族を含めた健康リスク」や「罰金などの懲罰」で、禁煙するという動機にはならないからだ。
その視点で考えると「値上げ」は、「禁煙のきっかけ」と十分なりえる動機となる、という調査と結果が出ている。

この記事は「タバコ」という視点だが、案外「動機」という視点で人の行動を見ていくと、これまでとは違うアプローチがあるのかも知れない。

ちなみに、愛煙家の方々から大バッシングを受ける覚悟で、私自身は「タバコ1箱1,000円」位の値上げが、望ましいと思っている。
その内、400円程度は現在パンク状態に瀕している「医療費」に回し、「タバコを吸う健康リスクを、お金で負担」する、という方法もあるのでは?と、思っているからだ。