日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

上手いネーミング

2011-12-27 19:20:22 | マーケティング
先週の今頃は「クリスマス」一色だった街中だが、今は「お正月」の飾りつけとなっている。
この時期は、どこかしら心華やぐことが多い。
とはいっても、今年はなんとなく「自粛ムード」。
ご近所の個人宅のクリスマスイルミネーションも、節電気味だった。

そんな「自粛ムードの年の瀬」だが、例年とは違うな~と感じるモノがいくつかある。
その顕著な例が「おせち料理」。
今年の初め、グルーポンが売り出した人気料理店の「半額クーポンおせち」が、参考写真とは似ても似つかないほどの貧相な内容で、尚且つ痛みのあるものまであった、と問題になったが、今では「おせちは自宅で作るもの」ではなく「百貨店などで購入するもの」になってきた。
今年目立つのは、少人数(1~2人用)のおせちのラインナップが増えてきたこと。
それだけ世帯人数が少ない家庭が増えてきた、ということだろう。
そして、内容も本来の「おせち」というよりも、オードブル感覚のおせちという感じだ。
冷蔵庫などの普及だけではなく、元旦から営業を始める大手スーパーやコンビニなどの一般化に伴い、「おせち」をいただく意味が変わってきているのだと思う。
もちろん、「それぞれのお料理に込められた意味」を知り、味わうということはとても大切なことだと思うが、お料理の内容そのものの変化というのは、ある程度仕方の無いことなのかも知れない。

そして、そんな百貨店の「おせちチラシ」を眺めていたら、「上手いな~」と思うネーミングの商品を見た。
名づけて「福幸酒(ふっこうしゅ)セット」。
今回震災にあった東北6県の銘酒(300ml)を、セットにして販売するためのネーミング。
お正月らしく、それでいて被災地の復興を願うネーミングだと思う。
それだけではなく、そのお酒を購入した人も、たくさんの福と幸せがやってきそうな「三方良し」のようなネーミングだ。

今年は「東日本大震災」があったことで、「絆」や「復興」というコトバを聞くことが多かった。
確かに「絆」や「復興」というコトは、今の日本にはとても大切なことだと思うが、それが連呼されてしまうと、そのコトバだけが頭に残り、その意味を感じることができなくなってしまうという部分が無いわけではない。
しかし同じ音でありながら、違う意味を込めたコトバとなると、改めてその意味を考え、新たな年を迎える時の新しい思いへとつながっていくような気がする。

決して大きな扱いでは無い「福幸酒セット」だが、そのネーミングのよさと企画力で、すぐに完売しそうな気がする。