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原子力保安院は、信頼も信用も取り戻す気はないのだろうか?

2011-12-16 14:29:23 | 徒然
東京電力の「福島第一原子力発電所事故」については、東京電力だけではなく政府機関もその信頼と信用を失った。
そしてその信頼と信用は、失われたままの状態になっている。
その中でも「保安院」に関しては、広報を担当していた技官のゴシップなども含め、失われた信頼と信用は東京電力の次に大きいのではないだろうか。

そんな保安院だからこそ、タイムリーで正確な情報を提供すべきなのだが、どうも当事者である保安院は、そう考えていないらしい。
東京新聞のスクープとして保安院 海への汚染水 ゼロ扱い という記事が、WEBサイトに掲載されている。
当然のことながら、Yahooのトピックスでも扱われている。

この夏~秋にかけ、東京・世田谷で次々と見つかった「ラジュウム」騒動は、放射能に対する市民の不安を煽っただけという気がしているが、今回の保安院の場合、不安を煽る言う状況の話ではない。
いくら「想定外の緊急事態」だからと言っても、事実として汚染水は海へ放出されたわけだし、その事実は世界中に配信されニュースとなっている。
にもかかわらず、その実態を「無かったことにする」というのは、常識として考えられないと思うのだ。
特に、原子炉を冷やすために海水を放水し続けた時から長時間にわたり原子炉内部から汚染水が流出し続けたときなどは、毎日のように「○○キロリットルの汚染水が海に流れ出た恐れがある」と報道されていたのだ。

その結果として、福島県内だけではなく周囲の漁港では漁を見合わせたり、実質的には漁をしないと決定したりしている。
当然のことながら、それらは漁業団体からの損害賠償としての対象となるようなことのはずだが、保安院が「無かったことに」してしまえば、その補償問題にも大きく影響してくるのではないだろうか?
それどころか、海流に乗って世界中の海へと汚染水が運ばれた可能性が高いはずだ。
世界中にご迷惑をかけていることなのに、「無かったことに」という態度は、国際社会の中で問題視されるのではないだろうか?
とすれば、それは保安院の信頼・信用の問題ではなく、日本という国の信頼・信用の問題となっていく。
国の機関である保安院が、そんなことまで考えずに「無かったことに」と考えているのであれば、それは日本だけではなく世界中を敵に回すような「保身行為」でしかない。

このようなコトをすれば、信頼も信用も回復することはないだろう。
むしろ今回の保安院の態度を見ると、信頼も信用も回復させる気がないように思えてくる。