日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

お米は、嗜好品?

2011-12-12 18:57:56 | ビジネス
今朝FM番組を聴いていたら、「え?!」と思うようなコトがあった。
その番組は、「日本の農業を応援する」という趣旨の番組で、今週は「5つ星お米マイスター」の方が、今のお米についてお話をされるという内容だった。
その番組の中で、出演をされていたお米屋さんが話した言葉が「今では、お米(ご飯)は嗜好品ですから」だった。

このお話を聞いたとき、当然のことながら驚いた。
お米は、日本人にとっての主食であり、嗜好品という部類のモノではない、と思っていたからだ。
事実、先だってTPPに関するお米についての意識調査でも、「値段が高くても国内産のお米を買う」という人がほとんどで、価格が安くても輸入米に対して積極的に購入したい、という気持ちが薄かったからだ。
それだけではなく、お米に対する「ブランド志向」は、ファッションブランドに対するモノよりも、強いような気がしている。
というのも、以前百貨店のお米売り場で若い男女が「やっぱり、新潟県魚沼産こしひかりでしょう。お米といえばコレだよね」といって、他の「あきたこまち」や「はえぬき」といったブランド米には目も触れず、購入していたからだ。
普段米飯にはさほど興味がなさそうに思えた若い世代であっても、ブランド米は知っている。

しかし考えてみれば、現在のような米離れが激しい時代だからこそ、あえて「嗜好品」といってしまったほうが、良いのかも知れない。
というのも、「こしひかり」ばかりがお米のように若年層を中心に言われているが、「あきたこまち」や「はえぬき」にも、それぞれのおいしい特徴がある。
特に最近話題になり、番組でも高い評価をした「北海道産ゆめぴりか」は、「こしひかり」よりも上のランクがつけられているようだ。
他にも同じ新潟でも佐渡島のお米は、天然記念物・トキと共存するため、農薬を使わずに栽培され、潮風に当たることから生まれる独特の風味があるというし、佐賀県のお米なども、とても特徴のあるおいしさがあるという。

そのような説明を聞けば「その時々にあった、お米をおいしく食べる」という意味での「嗜好品」というコトは十分ありえるだろう。
もともとお米自体、精米をしてしまえば劣化が激しいため、家族2,3人なら2kg程度の少量を買い、1週間くらいで食べきってしまう方がお米本来のおいしさが楽しめる、といわれている。
と同時に「嗜好品としての主食」という視点で考えれば、コレまでのような販売=購入スタイルではない、違うアプローチが生まれてくる。

ここ10年ほどで、お米の食べ方も随分変わってきた。
白米が一般的だったのが、今ではあえて雑穀米にしてご飯を楽しむ健康志向の人も増えてきた。
炊飯器にしても、「玄米コース」という炊き方も登場してきている。

お米は日本人の食にとって、とても重要な位置を占めるモノであるコトには変わらないが、これからは「お米を楽しむ」という付加価値が重要になっていくのかも知れない。
その意味での「嗜好品」というコトなのだと思う。