日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

何故、日本ではファッションブランドが育たないのだろうか?

2011-12-17 21:15:14 | ビジネス
来週はいよいよクリスマス。
街中も、クリスマスという雰囲気が感じられる。
と言っても、例年に比べるとおとなしめ、という感じを受けるのは仕方ないことだろう。
そんな中、やたらと元気な広告を打っているのが、海外の有名ブランドだ。
以前、エントリした「カルティエ」しかり、「エルメス」しかり。

「エルメス」の広告は、「エルメス」というブランドを知らなくても、見ている側がなんとなく楽しくなるような広告を展開している。
それは新聞の広告だけではなく、ネットで展開している広告なども同じだ。
どちらかといえば、ネット上で展開している広告のほうが、ポップでいながら「エルメスらしさ」というモノを感じさせているような気がしている。

そんな「エルメス」の広告を見ながら、思ったことが今日のタイトルだ。
ご存知のように、「エルメス」は馬具メーカーとして誕生し、馬具にまつわる様々な商品を展開。それが現在のようなファッションブランドへと発展してきたブランド。
競馬ファンの方なら、初夏に行われる「エルメスカップ」という競馬のほうが、有名かも知れない。
その後、馬具製造の技術を使ってバッグなどの製造をはじめ、グレース・ケリーやジェーン・バーキンといったセレブたちが持つようになり、それが新たな人気をつかむことへとなっていった、というコトも有名な話だ。

確かに、エルメスなどの欧州の有名ファッションブランドには、様々な「ブランドストーリー」があり、それがそのブランドの魅力となっている部分も大きい。
しかし、残念なことに日本のファッションブランドには、それが無い。
確かにパリなどで活躍している(していた)、ファッションデザイナーは数多くいるし、評価も高い。
にもかかわらず、デザイナーズブランドという枠から外へ出ることはない。
昨今の「東京ガールズコレクション」などでは、いくつものブランドが参加しているが、そのブランドが20年、30年先まで存在しているのか、疑問なところがある。
私自身、20代の頃に流行したファッション写真を見ると、懐かしいと同時にやや恥ずかしいという思いを持つことがしばしばある。
そのように考えると、日本におけるファッションブランドは、とても短命な気がするのだ。

何故、短命なのか?と考えると、「ファッションは時代を映す鏡」だけで終わってしまっているからなのではないだろうか。
確かに「ファッションは時代を映す鏡」ではあるのだが、ブランドとして筋が通っていれば、時代感を反映させつつ、ブランドを育てていけるはずなのだ。
しかし「時代を映す鏡」だけで終わってしまっているのが、日本のファッションブランドのような気がするし、それが、ホリディシーズンの広告にも現れているように感じている。

日本は世界でも稀に見る、ファッション王国だといわれている。
それは「ユニクロ」と「ルイ・ヴィトン」が共存していても、ちっともおかしくないからだ。
なのに、ファッションブランドが育たない、というのはとても残念な気がしている。