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北朝鮮で「ジャスミン革命」は起きるか?

2011-12-19 15:49:50 | アラカルト
北朝鮮の金正日が亡くなったと、一斉に報道されている。
この報道を知って、2つのコトが思い浮かんだ。

一つは「沈みかけた船から逃げ出すのは誰か?」というコト。
もう一つは「北朝鮮版ジャスミン革命が起きるのか?」という点だった。

ご存知の通り、北朝鮮自体国の経済は既に破綻状態となっている。
にもかかわらず、「先軍政治」を行い軍備にばかり強化してきた。
結果、軍や党の幹部にはそれなりの生活が約束されていた、という奇妙な国だった。
その「先軍政治」を強く推し進めてきたのが、とりもなおさず金正日氏だった。
その後ろ盾である金正日という人物を失い、その後継者である三男・金正恩氏への後継者としての権威付けなども終わりきっていない今、自分の身の安全を確保するために真っ先に逃げ出すのは、それまで金正日氏から恩恵を受けてきた人たちなのでは?と、感じたからだ。

彼らは、貧困に苦しむ民衆とは違い経済的にも豊か(もちろん日本や韓国のような豊かさではないが)であり、逃げ出すためのルートも持っているだろう。
それこそ、貧困に苦しむ民衆に姿を変え、漁船に乗って「脱北者」の振りをするなどというコトは、簡単にできるはずだ。

というのも、北朝鮮も他の独裁政治と同じ様に、時の権力者に取り入ることで「綱紀粛正」の対象とならない努力をしてきていても、その国のために働くという気持ちがあるとは思えないからだ。
国に対しての忠誠心ではなく、時の権力者に対するご機嫌伺いに長けている人たちが、その恩恵にあずかってきたのでは?
そのような人たちからすれば、貧困に苦しむ民衆を捨て自分のためにあらゆる手段を使って、沈みかけた船から逃げ出すような気がしている。

もう一つの「北朝鮮版ジャスミン革命」という点は、難しいかも知れない。
というのも「北朝鮮版ジャスミン革命」が起きて一番困るのは、北朝鮮自体ではなく、隣国・中国という気がするからだ。
この春~夏にかけ「ジャスミン革命」のような動きがあったが、中国政府はネット監視を強化し、現体制維持のためにはなりふり構わないような態度があった。
とすれば、北朝鮮の現体制が崩れ多くの北朝鮮の民衆が「難民」となって中国に入ってくることは、決して好ましいことではないし、その騒ぎに乗じて収まっていた「中国版ジャスミン革命」が起きることを、何としても阻止しなくてはならないからだ。
中国としては、現体制を維持しつつ民衆の経済低発展を促すような策をとってくるだろう。
それが、中国にとって一番メリットがある方法だから。
もう一つ難しいと思う理由は、民衆の貧困度が他の国と桁違いに高い、という点。
情報ツールである携帯電話やインターネットなどが、自由に使える環境にあるとはあまり思えないからだ。

いずれにしても、金正日氏の死亡というのは日本や韓国、中国やロシア、アメリカなどを巻き込み、様々な転換を起こすコトだけは間違いないと思う。