日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ブームをつくりだすのは・・・

2012-02-24 19:18:52 | ビジネス
年明けから、あるヨーグルトが品切れ状態になっている。
近所のスーパーにもドラッグストアーにも、「申し訳ございません」の張り紙が貼ってある。
そして「お一人様2個限りにさせていただいております」と言う、案内文も添えてある。
製造メーカーのHPを見ると、品薄状態二あるコトについての詫び文と、それまで人気だった違うヨーグルトを減産してまで、生産体制を整えている旨のコトが書いてあった。

そして今度は、トマトらしい。
「らしい」と書いたのは、実は近所のスーパーでは普通にトマトを売っているし、お客さんが殺到している、と言う光景を見たことが無いからだ。
ただディスカウント酒店などでは、販売制限を設けているところもあるようで、トマトが品切れというよりも、トマトジュースが品薄状態にあるようだ。

この二つの商品に共通している「品切れ・品薄状態」となった原因は、メディアの力だ。
ヨーグルトはテレビ番組で「インフルエンザにきく(何がどうきくのかは知らない)」と紹介され、トマトジュースは新聞で「メタボ対策に効果あり」という記事が掲載されたためだ。
もっとも、トマトジュースの場合は「マウスレベルの試験結果」と言うレベルで、決して人での臨床結果ではない、と言う点が重要なポイントになる。
しかしこの「重要ポイント」の部分だけがすっぽり抜け落ち、拡大解釈をされ、一部では「ダイエット効果がある」と言う話に発展しているともきく。
最近ではトマトジュースの過剰飲食による、塩分の過剰摂取を指摘するお医者様もいらっしゃるようだ。
確かに塩分が含まれているタイプのものが主流で、このタイプのジュースを過剰に飲めば「メタボ対策」どころか、「高血圧」などの生活習慣病を招く危険性のほうが高い。

このようなメディアがつくった、ある特定の食品ブームと言うモノは過去に何度もあった。
特にお昼のワイドショーなどで、「○○は××に効果的!」と放送されると、その日の夕方には取り上げられた食品が、あっという間にスーパーの店頭から消え去る、と言うことがしばしばあった。
それが時には「やらせ」として問題となり、番組そのものが打ち切られると言うこともあった。
にもかかわらず、同じようなブームは何度も繰り返される。

そこ二あるのは、「健康になりたい」と言う気持ちの強さからだろう。
似たような心理が、過剰なほどの「放射能に対する反応」かも知れない。
ブームがつくられる背景には「医学博士」とか「有名大学の実験結果」と言う、肩書きが影響している。
それも、メディアに頻繁に登場している「親近感のある著名人」となれば、その影響はより強くなる。
そのように考えると、「ブームをつくりだしている」のは、その情報に対する信頼度と言うよりも、発言者の親しみ度や肩書きのようだ。
だからこそ、受け手となる生活者は冷静さやメディアを読み解く力が大切だと思うし、発言者は丁寧で決め付けない表現が必要なのだと思う。