日々是マーケティング

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官僚思考

2012-02-25 21:21:17 | アラカルト
先日ある雑誌を読んでいたら、元経済産業省のキャリア官僚でありながら、日本の官僚制度などの批判を書かれていた「日本中枢の崩壊」などの著作がある古賀茂明さんと鎌田實さんの対談が掲載されていた。
対談内容よりも、「え!」と思ったコトがある。
それは、古賀さんの「官僚は、論理的に正しいことが理解できない」と言う言葉だった。
この古賀さんの発言には、対談相手である鎌田さんも驚かれたようで、その意味を確認されている。

古賀さんの説明によると、「いわゆるキャリア官僚は、子どもの頃から受験勉強に邁進し、官僚になるためにも受験勉強中心の勉強をしてきた。受験勉強と言うのは、過去問題を繰り返し解くこと。だから何か問題が起きると、過去の事例を探して、対応することしかできない」と言う。
この説明を読んだとき、変に納得できた気がした。
そして、今日本が抱えている様々な問題に対処できないコトも、なんとなく分かるような気がしたのだった。

ご存知のとおり今の日本の社会は、過去に経験したことが無いような問題が山積している。
しかし官僚だけではなく、日本全体が未だに「高度成長期」をベースとした発想が根強く残っている。
「高度成長」するために必要な、ピラミッド型の人口構成ではないことは統計的に見てもハッキリと分かっていながら、なんとなく思考だけは「高度成長期の雰囲気」を引きずっているような感じがある。
おそらく古賀さんが指摘された「理論的に正しいことが理解できない」と言うのは、このようなコトをさしているのだと思う。
それは政治についても、同じなのではないだろうか?
だからこそ、大阪市長の橋下さんが言うことが、とても新鮮に感じられるのでは?

官僚として必要な資質の一つが「過去問に強いこと」だとすると、「温故知新」と言う言葉のとおり、古い事柄から新しい発想を組み立てれば良いのだと思う。
ただ残念なことに、今の日本は「温故」までで終わった思考なのかも知れない。
「頭が良い=受験勉強に強い」と言う時代ではないはずなのに、未だにこの時期になると、有名国公立大学への高校別進学者数を発表する一般週刊誌などが複数ある。
毎年のように、批判もされるのだがそれでも掲載され続けると言うことは、やはりそのような記事を希望する人が多いということだろう。
とすれば、やはり今の日本は「過去問に強い官僚思考」の社会なのかも知れない。