日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ロングセラー商品から学ぶこと

2012-02-03 09:57:47 | ビジネス
江崎グリコのロングセラー商品の一つに、「ビスコ」がある。
おそらく多くの方は子どもの頃、遠足のおやつに持っていったとか保育園でおやつとして食べた、といった記憶があるのではないだろうか?
その「ビスコ」の本年度の売り上げが、発売以来最高の売り上げを記録するという。

江崎グリコニュースリリース愛されて 80年目の 「 ビスコ 」

「ビスコ」が発売されてから既に80年という、ロングセラー商品であったことにもチョッとビックリしたが、発売してから80年経って過去最高の売り上げを記録する、というコトにも驚いた。

過去何度か、「ロングセラー商品」についてのエントリをさせていただいたが、それらの商品に共通していたことは、「時代とともに変化する」というコトだった。
「時代とともに変化する」と言っても、目だった変化をしているわけではない。
むしろ、「ロングセラー」という市場の優位性を十分理解した上で、味や素材などを変えるということだった。
パッケージにいたっては、逆に古臭いと感じられるほど大きな変化はしてない。
今回取り上げる「ビスコ」も、今のパッケージと私が子どもの頃見ていたパッケージとでは、さほど変化が無いように感じる。

「ビスコ」といえば、「子どものおやつ」というイメージが強いと思う。
だが、実際には「子どものおやつ」として購入している人よりも、オフィスなどでOLさんが「小腹が空いた時」などに食べている。
これは、数年前から江崎グリコが展開をしている置き菓子「オフォスグリコ」の効果だろう。
実際、街中でもこの「オフィスグリコ」の配達をしていると思われる営業車両を見ることが多くなった。
子どもが食べて安心なおやつなら、大人が食べても安心なおやつ、というコトだ。
このような、新たな市場の開拓によって「お菓子=子ども」という少子化市場と思われる「お菓子市場」を変えることに成功したのだと思う。

もう一つ大きく売り上げが伸びた理由が、「東日本大震災」だという。
阪神淡路大震災以来、日本の製菓メーカーには「非常食としてのおやつ」という考えが、生まれてきた。
毎年9月になると、スーパーなどの「防災用品」のコーナーにビスケットなどの缶詰お菓子が登場するのもそのためだ。

そして今回、「ビスコケース付きハッピーアイソート」を出す。
「(OLが)かばんに入れても、ビスコが壊れないように」というコトのようだが、使われ方としてはそれだけではないだろう。
実は昨年から、週に1回程度3,4時間の散歩を楽しむようになったのだが、その時水筒と一緒に必ずもって行くのが、小分けパッケージのビスケットやキャラメルなのだ。
お弁当を持って歩くほどではないが、チョッと疲れたら気分転換をかねて一休みする時には丁度良いサイズなのだ。
そんな使い方をする人も、少なくないだろう。

江崎グリコ側は、積極的にこのような提案をしていない。
していないが、食べ方の変化に対応している。
そのような「変化対応力」が、ロングセラー商品にはある。