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「美しい村」と「限界集落」

2013-02-04 12:07:38 | アラカルト
先日、本を読んでいたら「なるほど!」と思うコトがあった。
それは、フランスの観光地としての考え方だった。

ご存じのように、フランスと言えば「観光立国」でもあり「農業立国」でもある。
そのフランスでは、人口2,000人以下などいくつかの条件を設け、「美しい村」という認定をしフランスの国内外に対して積極的にPRをしているという。
私の読んだ本の作者は、ココ・シャネルが10代を過ごした村・オバジーヌと言う、小さな村を訪ねた時のコトを書いていた。

この文章を読んだとき、日本の限界集落とは大きく違うな~と感じたのだった。
もちろん、京都の茅葺き屋根の村として人気がある「美山町」のようなトコロもあるが、多くは、ただただ村が寂れていくのも待つばかり・・・と言うのが現状なのではないだろうか?

私がフランスの「美しい村」という制度が面白いと思ったのは、人口2,000人以下と、人口が少ないコトを挙げているコトだ。
他に挙げられている条件というのは「歴史的遺産が複数あるコト」、「村民が村おこしのために努力をしているコト」と言うコトらしい。
日本の場合「村民が村おこしのために努力をしているコト」という条件が、とても難しいのかも知れないが、あえて「人口が少ない」と言うのは今の限界集落に当てはまるような気がしたのだった。
もちろん「限界集落」と言われる集落の最大の問題点は、「高齢化した地域」と言うコトは、十分理解している。
だからと言って、何もしないまま寂れていくのを待つばかりでは、どうしようも無い。
実際、美山町の様に自分たちの地域を見直して、新たな観光地へと変わりつつある地域もあるのだから。

「起死回生の一打」のような策で、急激な人口増加を考えようとする方が無理難題だと思うのだが、どうも今の日本社会全体の思考として「V字回復」的な劇的な改善・回復を期待しすぎているような気がするのだ。
それも「お上頼み」というか国や行政に頼って、何とかして貰いたい的な感覚が強いような気がしている。
その例が「人を誘致する為に道路や新幹線が必要」という発想だろう。
本の作者が訪れたオバジーヌ村という村は、フランス中部の山里にあり、TGVが止まる駅は近くにはなく、在来線(と言うのだろうか?)駅から、タクシーを乗り継ぐ必要があり、ホテルなどの宿泊施設は2つしか無い、と言う田舎のようだ。
その様な田舎を、フランスは観光地として積極的にPRしているのである。

「観光」と言うのではなく「旅」という視点で考えると、その土地に必要なコトは都会では味わえない「非日常性」だと思う。
日本にある美しい棚田やその棚田を守るようにある自然、その豊かな自然の恵みを頂くコトもまた、旅の楽しみなのでは?
「美山町の真似をしろ」というのではなく、自分たちの文化や暮らしに根付いた手仕事、自然を通して、「日本の美しい村」を見つけ出すと言うコトも、新しい日本の魅力として世界に発信できる資源だと思う。