日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「丁寧さ」が重要

2013-02-24 20:21:01 | ビジネス
Yahooのトピックスに、「ロート製薬が大学生の採用に脱ネット」という内容の毎日新聞の記事を紹介している。
毎日新聞「大学生/就活:ロート製薬、あえて脱ネット 「思い」を持つ学生と本音で対話」

この記事を読んで、いくつかのコトを考えてしまった。
一つは、「就職氷河期」と言われ久しく、就職活動そのものが大変な時代だというコトは判っていても、一人の学生が100社を超える企業に、エントリーシートを提出し、それでも決まらない、と言う点だ。
企業に勤めながらの転職活動とは違い、学生の就職活動そのものはある意味「短期決戦」。
その中で100社を超える企業に、自分のPR文と履歴を書いた(正しくは「入力した」だろうか)エントリーシートを送る、と言うコト自体至難の業という気がしたからだ。
100社を超えるとなると、送る学生自身「自分はどんな企業に勤めたいのか?」とか「どんな仕事をしたいのか?」という、当たり前のコトすら判らなくなってしまい、「とにかく就職」という気持ちで、それこそ「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」的な、就職活動に陥っているのでは?と言う、気がしていたからだ。
逆に、その様な就職活動を経て、就職はしてみたモノの「自分とは合わない」という理由で、就職後数ヶ月に満たない状況で、あっさりと退職してしまうのでは?と言う気もしていたのだった。

一言で言えば「ミスマッチングな就職」というコトになるのかも知れないのだが、この様な就職活動そのものに、やや疑問なトコロがあった。
と言うのも、日本の場合短期で職を変わると言うコト自体、決して良いコトではないからだ。
例え就職した企業が「ブラックな会社」であっても。

もう一つは、企業側にとってもメリットのある方法だろうか?と言う疑問だった。
確かに数多くの学生が応募をするので、自社に合った学生を採用することができる確率は高いと思う。
思うのだが、その「自社に合った学生」が数ヶ月しない間に辞めてしまうのであれば、企業側としては、採用に掛かった時間や労力などを考えれば、決して良い採用ではないのでは?と言う気がしたからだ。

その意味で、今回のロート製薬の脱ネット採用、と言うのは一見時間と労力が掛かりそうだが、その実仕事に対しての意識が高く、定着率も高くなるのではないだろうか?
結局のトコロ、採用時に時間と労力をかけた方が、様々なメリットがある可能性が高いように思うのだ。

ネット社会になってから、インターネットによって情報などを得たりお取り寄せなどの買い物が、とても便利になった。
反面、「丁寧さ」という点ではどうなのだろう?
モノを見る為の「審美眼」的な努力。溢れる情報から選び出す為の力。それだけでは無く、人やモノなどに対する「愛情」のような気持ちなど、「丁寧にものを見る」というコトよりも、スピードや利便さのようなモノだけに価値がある様な思考になってはいないだろうか?

そう考えると、これからのビジネスには「ある種の丁寧さ」が、とても重要になっていくような気がするのだ。
何故なら、ネット社会で感じられる「便利さ」に満足できない、生活思考が生まれてきてもおかしくないからだ。