日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

今でも健在、カセットテープ

2013-12-18 21:19:45 | マーケティング

外出の帰り、CDショップの前を歩いていたらカセットテープを見かけた。
今の20代~30代前半の方は、「カセットテープって何?」と思ってしまうのでは?
ネットで検索をすれば、カセットテープを販売している所を見つけることができるが、小売店で見かけることはほとんど無いと思う。それほど「カセットテープ」そのものを、見かけることが無くなった。

今日見かけた「カセットテープ」は、録音用の物ではなく既に録音済みの物で、隣にはCDが並んでいた。
並べられていたのは、先日亡くなられた島倉千代子さんの追悼アルバム。
島倉さんが優しくほほえんでいるジャケットを見て「あ!そうか」と、カセットテープで売られている理由がわかったのだ。

それは島倉さんのファン層。
先日大盛況の内にジャパンツアーを終えた、ポール・マッカートニーは既に70歳を超え、来年来日公演が予定されているザ・ローリングストーンズも、60代後半~70代前半だと考えると、島倉さんのファン層は、高齢者が中心だと思う。
その高齢者のファンにとって、聴きやすい音楽ツールはPCやスマホからダウンロードするのではなく、カセットテープやCDなのだ。

確かにPCやスマホを使ってダウンロードをし、iPodのようなツールで楽しむと言うのは便利だと思う。
しかし、その様な操作に慣れていない高齢者にとっては、自分に馴染みのあるツールで楽しむのが一番なのだ。
ツールの利便性、携帯性などが優位なのではない。
その音楽を聴きたい人にとって、どのツールが一番使いやすいのか?と言う点が重要なのだ。

その視点で考えると、最近の「モノづくり」は利便性や新しい技術などばかりに偏っているのではないだろうか?
しばらく前までよく言われていた「ユニバーサルデザイン・ユニバーサルサービス」というのは、身体的ハンディがある人達や高齢者を対象とした、特別なモノ・コトと考える傾向があるが、本来は違うのではないだろうか?
使う人が使いやすければ、例えそれが旧式で古くさいと思える物であっても、ユニバーサルなモノかも知れない。
そしてその様な人の存在を忘れないことが、市場の多様性を創るのではないだろうか?

島倉さんの優しいほほえみは、そんな問いかけをしているように思えた。