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同業ライバルが、手を繋げばビジネスチャンスは広がる

2013-12-16 21:47:23 | ビジネス

「東北復興」のプランの一つとして、「SL銀河」というプランがある。
JR東日本盛岡支社:SL銀河サイト
このSL銀河だけではなく、日本のローカル線には定期・不定期を含めいくつかのSLが運行している。
毎日運行しているのは、静岡の大井川鐵道だけで、他は夏休みなど期間限定となっているようだ。

そのSL運行だが、様々な問題を抱えているようだ。
一つは、メンテナンスの問題。
SLそのものが、とても古いためメンテナンスができる技術者が限られていたり、部品そのものが無かったりするようだ。
もう一つは、燃料費の高騰。
ご存じの様にSLは石炭を燃やして動く。
その石炭が高騰していることやメンテナンスという問題で、定期的に運行するコトが難しい、と言うことらしい。

多くのSLは、旧国鉄のローカル線で運行しているが、上述の大井川鐵道だけは私鉄だ。
その大井川鐵道が2年連続の赤字となっている。
理由は、震災の影響と観光バスの運行基準の変更だという。
震災の影響というのは致し方ないところもあるが、「観光バスの運行基準の変更」というのは、意外な気がした。
「観光バスの事故」が多発した為に、その運行基準の見直しがあり、「大井川鐵道のSL乗車」と言うバス旅行が減ったのが原因だそうだ。
確かに、名古屋発のバスツアーの中には「大井川鐵道のSLを楽しむ」というツアーがある。
その様なツアーバスが、減ったのが影響している、と言うことのようだ。

そこで気になったのは、なぜ「JR東海」が、その様なツアーを組まないのだろうか?と言うことだった。
大井川鐵道はJR金谷駅から始まる(SLの乗車は新金谷駅になる)。
JR金谷駅そのものを利用する人達と言うのは、近隣の静岡などに通勤・通学する人達くらいだろう。とすれば、利用者を増やす方法として大井川鐵道と共同して「旅行プラン」を創ると言う方法があると思う。
鉄道マニアだけではなく、SL乗車目的の旅行者にとっても目的地までのルートが確保されていれば、利用しやすいと思う。

「利用者を増やす」だけではなく、地域の活性化にもつながるのではないだろうか?
大井川鐵道のルートは昔懐かしいと感じさせる所も多く、SLに乗った後は日本唯一の「アプト式電車」というお楽しみもある。
JR東海側としては、新幹線の最寄り駅が「こだま」しか停車しない掛川駅なので、さほどメリットが感じられないのかも知れないが、「新幹線とSLと言う対照的な乗り物に乗り継ぐ旅」と言うのも、面白いと思う。

JR東海の様な大きな企業が、大井川鐵道の様な小さな企業と共同で「旅行プランをたてる」と言うのは、JR東海側としてはおもしろくないかも知れないが、「SLから新幹線」という鉄道の歴史の様なモノだと考えれば、その意味は十分あると思うのだ。
それはSLを運行する大井川鐵道に限らず、旧国鉄の路線であった第3セクターであっても同じだと思う。

旧国鉄時代「ディスカバー・ジャパン」というキャンペーンを展開した現JRグループだからこそ、第3セクターや特徴有る地方の電鉄会社と共同で旅行プランを提案するコトができると思うし、それが新しい「ディスカバー・ジャパン」になるのではないだろうか。